今回の時系列はなのはが気を失いフェイトがジュエルシードを回収して去った後、なのは側となります。
今日も一話だけ。
第四十九話 企業の技術
時は遡り、フェイトがジュエルシードを回収してその場を去った後、瓦礫に背を預けているブレンは己の失態を反省していた。
迂闊だったな、例え反射的に手が動いてしまったとしても、少し考えれば手の中にある物が飛び切り危険な代物だと言う事は分かる筈だった。 原因はなのはとフェイトの語らいに思わず目を奪われてしまった事だ。 先ほどの戦いは素晴らしい意志と意志のぶつかり合いで、地面に足をつけながらも闘志を燃やしながら睨み合う彼女達は美しく、それから目を離す事が出来ずに居た為、その隙を突かれた形となった。
ジュエルシード暴走の余波を間近で受けた為にこちらの被害は甚大、背骨は折れ、左半身の肋骨と足の骨は砕け散り、義手は全壊、聖剣の力で明日にはなんとか動けるようにはなるだろうがそれでも2〜3日は後を引くだろう、まあ嘗ての旅路を考えるとこの程度で済んで良かったと喜ぶべきか。
エリザベスの秘薬を使用する事も考えはしたが、まだ聖剣で何とかなる範囲だ、たった三つしかないこの秘薬を使う時では無いだろう。
気絶しているだけのなのはより、俺の怪我の方が深刻と感じたのかユーノが急いで俺の元まで駆け寄ってきた。
「ブレン‼︎ ブレン‼︎ ぼくの声が聞こえる⁉︎ 意識はあるかい⁉︎」
「俺は……大丈夫、それより、なのはの方を……」
「何言ってるんだ‼︎ なのはより君の方が重傷なんだぞ⁉︎ 心配しなくても彼女は気を失ってるだけだ‼︎」
「…………そうか」
「ッ‼︎ この馬鹿野郎‼︎ ちょっと見ただけでも分かる、下手したら死んでるレベルの怪我じゃないか‼︎ いや、寧ろ死ななかった方が不思議なくらいだ‼︎ そんな状態でなのはの心配をするなんて、君は自分の命をなんだと思ってるんだ‼︎」
必死で俺の止血や骨折の治療をしているユーノの叱責が俺に突き刺さるが、本来命など安い物、大切にするのでは無くどう使うかが重要な筈なのに、何故ユーノは憤慨しているのだろうか?
その時、ユーノの怒鳴り声によって気絶していたなのはが目を覚ました。
「あ、れ、私……、ッ‼︎ ブレンくん⁉︎」
「なのは‼︎ 起きて直ぐで悪いけど手伝ってくれないか‼︎ 見ての通りブレンが重傷なんだ‼︎」
「う、うん‼︎」
その後は二人掛かりの治療と聖剣の加護のお陰で思ったより早く回復し、後は俺の聖剣の加護による回復で十分なので、それを待ちながらゆっくりと帰路に着いた。
翌日、俺はその日朝早くから道場で模造刀を構え”兄さん”と対峙していた。
先日の失態は俺の気が抜けていたから起きた出来事だ、なら昔の感覚を取り戻すなら命のやり取りが一番。 だが殺生ごとは禁じられている為それは出来ない、なら可能な限り殺し合いに近い模擬戦をしようと思い立ち、それで兄さん達に相手を頼んだのだ。
彼には魔法の事は伏せてはいるが、ある程度の事情は話してある為、なのはを守る為にどうしても必要な事だと頼み込むと、渋りながらも了承してくれた。
破損した義手は修理の為装備しておらず、片手で模造刀を握りながら正眼に構え、真っ直ぐに兄さんを睨みながら、斬りかかるタイミングを伺う。
緊迫した空気が道場内を埋め尽くし、お互いに闘志が満たされた所で模造刀とその鞘を兄さんに投げ付けると同時に足元を払うように一気にスライディングを放つ。
兄さんは投げられたその二つを弾き、同時に滑り込む俺の頭をボールのように蹴り飛ばそうとする。
初めからこの程度の子供騙しが通用しないのは分かっていたので、その蹴りを首を捻って回避、続いて滑り込む勢いを殺さないように床に手をついて逆立ちしそのまま兄さんの顎先に向けて鋭く蹴り返す。
兄さんはその蹴りを腕を交差させながら防ぎ、俺はその腕を踏み台にして弾かれた模造刀を回収し、打ち合いへと持ち込んで行く。
二度三度と刃を交えながら神経を研ぎ澄ませて行き、兄さんの動きを一つ一つ丹念に観察しながら剣戟の合間に混ざる飛針や鋼糸を斬り払う。
だが、それらに気を取られた瞬間に回し蹴りをくらい、俺は身体をくの字に曲げながら壁に叩き付けられ、肺の中の酸素を全て吐き出してしまう。 だが蹴り飛ばされる瞬間に背後に引いて打点をズラしたので動けない事は無いが既に間合いを詰められている、回避や防御は選択できない。
手に握っていた模造刀を手放し、服の袖裏に貼り付けて置いたナイフを投げ付け、兄さんの動きを一瞬止め、肘打ちを膀胱へ叩き込む。
兄さんの身体には今鈍い痛みと吐き気が襲い掛かっているだろう、その隙に手離した模造刀を拾い直してから股間を蹴り上げるが、流石にそれは兄さんも警戒していたのか大きく後ろに飛び退いてそれを回避、お互いに仕切り直しをする。
兄さんもさっきのナイフ投げを警戒しているのか飛針を抜いている、ナイフ投げからの踏み込みに繋げようかと思っていたが出鼻を挫かれたな。 とは言え何時までも飛び道具の脅威に晒されたままなのは頂けない、撃ち落とすか。
袖裏のナイフはさっき投げてしまったので、次は懐のナイフを投げて飛針を投げさせ、更にその場で足を振るい、ズボンの裾裏に仕込んだナイフをばら撒くと同時に間合いを詰め刺突を放つ。
兄さんは飛針だけでは対処出来ないと見るや否や鋼糸で根刮ぎナイフを叩き落とし、俺の刺突に合わせてカウンター気味に刺突で返す。
俺の刃は兄さんの心臓に、兄さんの刃は俺の額にとお互いに寸止めの状態で止まり、模擬戦は相打ちと言う形で決着となった。
兄さんに礼を言ってから模造刀をしまった所で俺の頭にタオルが掛けられる。
「お疲れ様ブレンくん、かっこ良かったよ」
「ありがとうなのは、でも何時から?」
「起きて直ぐここに来たから十分くらい前かな? でももう直ぐ朝食だよ?」
気がつくと確かにいい時間、腹も減ってるしシャワーを浴びてから食事にしようかな?
食事を終え、昨晩修理に出したばかりの義手がパワーアップして帰って来た事に苦笑いを溢しながらなのは達と共に学校に向かう。
そして昼休み、俺はなのは達と昼食を取りながら義手の説明書に目を通して居ると、なのはは勿論、アリサとすずかもその説明書を覗き込んでいる。
「何々? 『我々企業連の義手を長年テストして頂き誠に有難う御座います、以前の義手が全壊したとの事で今回は我々各社の技術の粋を集めた代物となっています、壊せるものなら壊してみてください』だって、相変わらずおかしな連中よね……」
「ね、ねえブレンくん、この義手ってあの企業連の技術が詰まった物何だよね? 一晩だけで良いからこの義手、私に預けてくれないかな?」
「いや、流石にそれは……」
「えっと、続けるね? 『骨格には有澤重工の特殊合金を使用、コンクリートや鋼をブチ抜けるパワーを持っています。伝達系にはアスピナ機関のAMSを使用、触覚だけで無く本物の腕のように温度や痛覚なども感じる事が出来ます。 外装にはキサラギの人工筋肉と人工皮膚を貼り付けてあるので本物の腕となんら変わらない見た目且つ肌触りとなっています。指先の細かい動きはBFFが担当しているため、米粒にフルネームを書き込むような芸当も可能です。 万一ハッキング等の必要が出た場合は、インテリオルのエネルギー関連の技術を利用した手首の中にあるジャックを使うことで脳内で素早くハッキング操作が可能です。 他にも様々な企業がネジ一個、銅線の一本に至るまで担当しているため超高性能となっています』だって」
確かに生身の腕となんら変わらず非常に細かな動きも可能だ、試しに懐からナイフを取り出し、刃を握り潰して見たが、人工皮膚に傷一つ付かず刃は粉微塵になった。
彼らは一体何処を目指しているのだろうか?
不死の英雄伝 〜 舞台裏 〜
NGシーン コジマ万歳
なのは「あっ追記があったよ? 『尚、かねてよりご要望のあったコジマを搭載させて頂きました、これで貴方もアクアビットマン‼︎』……ブレンくん?」
ブレン「コジマパーンチ」拳から緑の爆発
ブレン「ふははは、凄いぞー、かっこいいぞー‼︎」拳から(ry
ブレン「粉砕‼︎ 玉砕‼︎ 大喝采‼︎」拳(ry
なのは「ブレン、正座」
ブレン「……はい」
アリサ「相変わらず尻に敷かれてるわね」
すずか「さ、流石企業連‼︎ 私達に出来無い発想をしてくれるッ‼︎ 其処に痺れる、憧れる‼︎」
アリサ「駄目だこりゃ」