不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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正直、クロノの名前をハーヴェイの方にしようかな?と一瞬考えたんですが、私はとらは知らないから辞めました。




不屈の体現者 51

第五十一話 男として…

 

 

俺が錯乱してから少々時間が経ったらしく、不意に背後からハラオウンに肩を叩かれ『馬に蹴られたくは無いが、僕等も時間が有り余まってる訳では無いんだ』と注意されてしまい、俺は渋々刃を収めながら再び艦内の案内し始めた彼の後に続いて行く、後ろであからさまにユーノが胸を撫で下して居るが後で如何するか考えるか。

 

 

ハラオウンに案内された部屋、其処には一人の女性が畳の上で正座していた。

 

彼女の名は『リンディ・ハラオウン』このアースラの艦長であり、時空管理局の提督の一人で、クロノ・ハラオウンの母でもあるそうだ。

 

この部屋には鹿威しや番傘などの野点を思わせる道具が設置されており、彼女は俺たちに茶を立ててくれた。 その道具は勿論、湯呑みや彼女の腕も一級品で、なのはと共に思わず関心してしまったが、折角立てた茶に砂糖を入れるのはどうなのだろうか? 確かに外国人の中には苦いからと言って砂糖を入れる者も居ると聞くし、逆に考えると彼女には自然か?

 

わざわざ立てて頂いたお茶を頂きながら、艦長殿が俺たちの事情を聞きたいとなのは達に促し、彼女達はこれまでの経緯を彼らに説明し、その説明の中で所々不足している部分を俺が付け足したりしながら一通り話終え、その話を聞き終えたクロノが俺たちに口を開く。

 

「その考えは実に立派だ。しかし同時に無謀でもある」

 

 

そう言ってハラオウンは『ロストロギア』と呼ばれる一種のオーパーツのような物の話を管理外世界の人間である俺達にも分かり易いように要点を噛み砕きながら話し始めた。

 

 

「ロストロギアとは、過去に滅んだ超高度文明から流出する特に発達した技術や魔法の総称だ。 その中には危険な物も多くてね、君達の身近で分かり易い物と言えばジュエルシードもその一つさ。 そして時空管理局はそれらを管理・保管する仕事もしていて、僕らは今回その件で此処まで来ているって訳だよ。 ……本当は管理や保管なんて言わずに処分してしまうのが一番なんだろうけど、下手に刺激を与えるとそれこそ世界を滅ぼしかねない物が多くてね、技術が追い付くまではこうするしか無いのさ。 此処までで質問はあるかい?」

 

「えっと、時空管理局ってなんですか?」

 

「簡単に説明すると次元世界をまとめて管理する警察と裁判所が一緒になったところで、他にも各世界の文化管理とか災害救助とかを行う場所でもあるけど大筋はそれだね」

 

 

彼は肩を竦めながら説明を終え、頭を撫でようとする艦長殿の手を払いながら咳払いをし、なのはに目を合わせる。

 

 

「もうこれは民間人が介入出来るレベルの話じゃ無い、大人しく僕たちに任せて手を引いて欲しい、と本来なら言っているんだがーー」

 

「えっ? で、でも‼︎」

 

「…………んんっ、話はまだ終わってないから最後まで聞いてほしい」

 

「あっ、はい。 ごめんなさい」

 

「本来ならそう言っているんだが、さっき君達が一服している間に戦闘データを軽く拝見させて貰ったところ、君の実力は既に一般人のそれでは無いし、下手に野放しにして敵に回すのも厄介だ、今ここで僕達に『民間協力者』と言う形で協力するか、後の事を僕達に任せて去るか選んで貰いたい」

 

 

ある意味では脅しだな、此処で頷かなければ彼らは我々を『敵』と見なし、もしも敵対した場合には容赦せずに襲い掛かって来るだろう、時空管理局についての説明も受けた以上知らなかったでは済まず、彼らの法で裁かれる事になるな。

 

結局、なのはは彼らに協力すると決めハラオウンはそれを了承する、それによって話がひと段落ついたので、俺は先ほどから気になっていた事を彼に投げ掛ける。

 

 

「一つ、質問しても良いかな? ハラオウン執務官」

 

「?ああ、なんなりと聞いてくれ」

 

「元・時空管理局執務官『ジャック・ザ・リッパー』 この名前に聞き覚えは?」

 

 

それまで落ち着いた少年と言うイメージだったのが一変し、彼は両手で俺の胸倉を掴み上げながら声を荒げる。

 

 

「あの大馬鹿野郎の事を知っているのかッ‼︎教えてくれ‼︎ 彼奴を何処で見たんだ‼︎」

 

「…………非常に言いにくいが、死んだよ」

 

「な、に?」

 

「彼は死んだ、三年ほど前に俺が殺したよ。 魔導士と戦ったのは始めてでね、記念に彼のデバイスの破片を回収している、見るかい?」

 

 

ソウルからあの男の手から拝借して来たデバイスを彼の目に見えるように取り出す。 破損したコレを修理して研究しようとしたのだが、ノウハウが分からずそのまま放置していて今まで忘れていた。

 

「ッ‼︎ ………………そうか、あの馬鹿野郎めッ‼︎」

 

そう言って、彼は手を離しその場で膝をつく、あの男とは浅からぬ関係だったんだろう、その背中からは明らかな落胆が俺に伝わってきた。 艦長殿も面識があったのか『そう、あの子は死んじゃったのね……』と悲しげに顔を伏せている。 そうする内にやがてハラオウンは立ち上がり、顔を伏せながらも俺の前に立った。

 

「…………彼奴とはお互い士官学校時代からの友人だった。 互いに高め合って、管理局を内側から変えようと奔走する仲だった。 悩みや苦しみを分かち合ってきた親友だった。 けど、あの馬鹿は凶行に走った‼︎ 僕は悔しかった、親友の抱えている物に気が付かず、それを解決してやる事が出来なかった事がッ‼︎」

 

 

彼は拳から血が滲むほど手を握りしめ、肩を震わせながらも自分への怒りや無力感を吐き出すように叫び、顔を上げると同時に俺を睨みつける。

 

 

「だからせめて、せめて僕の手で法の裁きを受けさせる事が、親友である僕の勤めだと思っていたんだ、けど彼は君に敗れてしまいそれは叶わない。 僕も二流なつもりは無い、君の実力は対峙すれば大凡は分かる、…………身勝手で八つ当たり的な頼みなのは重々承知している、だけどそれを含めて頼む、僕と戦ってくれ」

 

「敵討ち、かな?」

 

「そうだ‼︎、自分への不甲斐なさと、あの馬鹿を捕まえきれなかった事への憤りと、勝手にあの馬鹿を殺した君への逆怨みが胸に渦巻いていて、今の僕は如何にかなってしまいそうなんだ。だから頼む、僕と戦って欲しい、例え人殺しとなったとしても、彼奴は僕の親友だったんだ……」

 

親友だからこそ、自らの手で引導を渡しその凶行に終止符を打ちたかったのだろう。 しかしそれは叶わず、無残にも彼は討ち死に。 そして目の前にはその親友を殺した男が立っている、逆怨みを抱くなと言うほうが無理があるか。

 

「分かった、ハラオウン執務官の敵討ちを受けさせて貰おう」

 

「…………恩にきる」

 

なのはが心配そうに俺を見ているがこれはケジメなのだ、彼が前に進む為に必要な事で、手を抜くわけにはいかない。

 

俺はなのは達と共に元の場所に再び戻って来た、勿論彼も一緒だ。

 

 

「本気で戦うとなると、アースラ内では何かと不便だからね、この地で戦わせて貰う」

 

「地の利はこちらに有るぞ、良いのか?」

 

周囲には林もあり身を隠して戦う事も出来るし、背の高い草も生えている、地元の者である俺にとってやり易い場所だ。

 

「ああ、構わない。 彼奴もこの地に来て散ったのなら、僕も同じ条件で戦いたい」

 

「なら、何も言わないさ、早くやろうか」

 

 

俺は服の袖からナイフを取り出し、話し終えると同時に彼に向かってそれを投げつけるのだった。




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