ブレンのバリアジャケットはなのはカラーのセフィロスです。
鳥さんはカット。
第五十四話 古の湖獣
私達がアースラに来てから十日目、この間に発見されたジュエルシードは五つでその内の三つは私達が回収、他二つはフェイトちゃん達に先を越されてしまいました。 残っているジュエルシードは六つ、フェイトちゃん達の動向も掴めず終いです。
その事を悩んでいても仕方ないので、今は待機中の時間を利用してブレンくんとお勉強をしているのですが、何しろここ最近は全く反応が無いのでほぼ毎日缶詰状態、休憩を挟んでは居ますがブレンくんが頭から煙を出しながら机に突っ伏して眠ってしまったのでやる事がありません。
ユーノくんが『飲み物を持ってくるよ』と言って席を外したので、精神力が途切れた彼の頭を私の膝の上に移し、魘されないように優しく頭を撫でながら彼が目を覚ますのを待っていると、狙い澄ましたかのようなアラートが艦内に鳴り響きました。
飛び起きたブレンくんと一緒に急いで戻って来たユーノくんと合流してからブリッヂに向かうと、そこではフェイトちゃんが海上で六つの竜巻相手に悪戦苦闘している姿が映って居ました。
「フェイトちゃん‼︎ あの、私急いで現場に‼︎」
「分かってる、今から結界内へのゲートを開くから開き次第先行してくれ」
「はい‼︎」
ブレンくんはまだ空中戦が苦手なのでアースラ内に待機ですが、私とユーノくんはそのままゲートを利用して結界内部へと転移しました。 まっててね、フェイトちゃん‼︎
なのは達が転送された後のアースラ内で、ブレンは出撃準備をしているクロノの隣に移動し彼に話し掛けていた。
「正直意外だね、クロノなら敢えてあのまま放置してギリギリまでフェイトを消耗させると思ったんだけど」
「僕もさっきまではその判断だったけどね、思った以上にジュエルシードの力が強いのと…………いや、コレは関係無いか」
「如何した、何か引っかかる事でもあったか?」
「………………コレはあくまで執務官としての勘なんだが、僅かだがジュエルシードの位置がある一点に引き寄せられるように移動しているように思える、発動状態のジュエルシードが引き合っているだけなら問題は無いんだが…………。 もしも『ジュエルシードを引き寄せるだけの何か』が海中にあるのだとしたら、それを中心に六つのジュエルシードが互いに取り込み合う可能性が出てくる、そうなったら結界は持たないだろうし、その結果一般市民にまで被害が及ぶ事になってしまうからね、此処は豊富な魔力を持っている彼女を先行させた方が良い。 杞憂ならそれに越した事は無いんだけどね、悪い予感ほどよく当たる」
クロノはそう言い残し自身もゲートの中へと足を踏み入れる。 そして、彼の悪い予感を裏付けるように海中には名も無き世界から流れ着いていたある一枚の『ウロコ』がジュエルシードを引き寄せていた。
彼が結界内に転移すると同時に放たれたなのはとフェイトの砲撃、それによって発動状態のジュエルシードを抑える事は出来た。 しかしそのあまりの威力によって海中の『ウロコ』が浮上し、安定していた六つのジュエルシードは依り代を求めてそれの中へと吸い込まれて行く。
六つのジュエルシードは依り代となったウロコからそれが何であったかを読み取り、生前の姿を再現する。
それは嘗てロードランの地にて狭間の森や灰の湖に生息していた竜、ヒュドラとも、ヤマタノオロチとも呼ばれていたそれは、七本の首を一本減らし六本となったそれぞれの額にジュエルシードを埋め込み、咆哮と共に現代に蘇った。
唖然としているなのは達を他所に、クロノは嘆息しながらデバイスを構える。
「はぁ、本当に悪い予感と言うものはよく当たるものだ、竜を相手にするなんて生まれて始めてだけど、何とかするしか無いな。 なのは達も一旦下がれ、疲労している君達では万が一の事もあるし、この隙に乗じてそこの黒衣の魔導士に逃げられても面倒だ」
「で、でもクロノくん一人じゃあ……」
「心配してくれるのはありがたいが、僕もそこまで柔じゃない、それに君の騎士が増援として来てくれたようだからね、寧ろ僕達だけで十分さ」
クロノのその言葉と共に、不慣れな飛行魔法を使用しながらもブレンが結界内へと転送される。
「まあそう言う事だよ、なのは。 アレは俺とクロノで何とかなる、君は疲労しているフェイトに肩を貸しながらゆっくりして見ていてくれ、見ているだけが嫌ならジュエルシードの封印をしてくれても構わない」
その後、彼はヒドラが自分達に水圧ブレスを放とうとした瞬間に間髪入れずソウルからゴーの大弓を取り出し、障壁を足場にしつつ大矢を三本纏めて放ちヒュドラの首を三つ引きちぎる。 その結果放たれた水弾は三つ、それは全てブレンへと集中したが、クロノのブレイズキャノンがその水弾を纏めて射抜くように放たれたのでブレンには傷一つ付かなかった。
それを見たブレンが第二射を放とうとした瞬間、ヒュドラは海中深くに潜り息を潜めてしまったので彼は射撃を中断し、ソウルから竜狩りの槍を取り出し帯電させながらゴーの大弓へと番える。 後ろでフェイトの困惑の声が聞こえる、いやフェイトだけで無い、アースラクルーもブレンの異質さを目の当たりにし皆息を呑んでいる。 だが、海中に潜ったヒュドラを一撃で仕留める為に集中しているブレンにはその声は届かない。
限界まで引き絞られた大弓から放たれる竜狩りの槍、それは轟雷を纏いながら海中に潜むヒュドラの背に突き刺さり、彼の全身を海上に引き摺り出す。
そして、竜狩りの槍によって身体が麻痺したヒュドラの首をクロノが一発の魔法弾で撃ち抜いてゆき、止めを刺す。 最後にそれぞれの首となっていたジュエルシードをなのはが纏めて封印し事態は治った。
「ふぅ一件落着だね、フェイトちゃん」
「肩を貸してくれてありがとうなのは。 それと、ごめんなさい」
なのはが胸を撫で下ろしたのも束の間、彼女に肩を借りていたフェイトが竜狩りの槍を起動し、そのままジュエルシードの元まで一気に突撃する。
その動きにいち早く反応したのはクロノだったが、六つの内三つを取り返す事が精一杯だった。
「やるね、流石は執務官と言ったところか」
「…………大人しく投降しろ、今ならまだ罪は軽い」
「その申し出はありがたいけど私はもう決めたんだ。 それに、今回の私の目的はジュエルシードの方じゃない」
フェイトはそう言うが否や、その速度を持ってふらふらとしているブレンに迫り、彼の身体を抱き抱える。
「へぇ、まるでオーンスタインみたいだ」
「その三つのジュエルシードは君達に譲る、けど代わりにブレンを頂いてゆく‼︎ 退くよ、アルフ‼︎」
「あいよ‼︎ これで漸くあたしらも羽を休められるってもんだ‼︎」
「なのは‼︎ 彼を返して欲しかったら一週間後のこの時間この場所で、君の所有している全てのジュエルシードとブレンの身柄を掛けて私と勝負だ‼︎」
アルフの転送魔法と共にフェイトから閃光弾と衝撃弾が放たれ、その場に居る全員の動きが止まる。
その強力な閃光と爆音が去った後には静寂だけが残されていた。
不死の英雄伝 〜 舞台裏 〜
NGシーン 花婿泥棒?
フェイト「なのは‼︎ 彼を返して欲しかったら一週間後のこの時間、海鳴教会にご祝儀を持って来るんだ‼︎ 私と彼の挙式がーー」
アルフ「ちょっと待ちなよフェイト‼︎ なんでそんな話になってんのさ⁉︎」
フェイト「え? だって母さんが『既成事実さえ作ってしまえばブレンくんはフェイトから逃げられ無いし、仮に逃げたとしても私が地獄の底に居ようとも引きずり出してあげるから安心して』って言ってたから……」
アルフ「プレシァァァァァァァァア‼︎」
フェイト「ねえアルフ、ところで『既成事実』って何かな? 私はブレンに何をしたらいいのかな? 手を繋いだりとか一緒にご飯食べたりとかかな?」
アルフ「そ、そんな恥ずかしい事公衆の面前で言えるわけ無いだろう⁉︎」
なのは「ブレンくんに人には言えないような恥ずかしい事をする気なの⁉︎ そんな事させない‼︎」
フェイト「えっ? 私がブレンに人には言えないような恥ずかしい事しなきゃいけないの⁉︎ そ、その、ブレン、や、優しくしてね?」
ブレン「…………大概の事は経験してきたつもりだったけど、この状況は始めてだ」