なのはの道中も大分ブレンに影響されてます。
ブレンには無縁の話だから大火力ブッパって良いよね!!
時系列的にはクロノの通信前、彼と同じくガーゴイル戦からです。
第六十四話 時の庭園攻略作戦 砲撃の力
時の庭園に足を踏み入れた瞬間に何処かの部屋に転送された私を待っていたのは、台座の上に座った六体のガーゴイルの石像でした。
細部までよく作られているその像に驚いて思わず杖を握る手に力を込めてしまいましたが、近くに寄って行っても微動だにしなかった為、ただの石像だと判断して私は胸を撫で下ろしました。
ですがその瞬間にレイジングハートが自動で障壁を展開、隙だらけとなった私の背後へと音を殺して振り下ろされた斧槍を受け止めてくれました。
慌てて背後を確認すると、台座の上に座っていた石像が動き出していました。 よく見ると他の六体も身を乗り出している所、一対一ならともかく六対一は勝てる気がしません。 そう思った私は、彼らが本格的に攻勢に出る前に倒し切るつもりでディバインバスターを薙ぎ払うように放ちました。
私の先制攻撃で破壊できたガーゴイルは二体、それと半壊のガーゴイルが一、残りは無傷で残りました。 思ったより数が残ったけど、焦りは禁物、自分にそう言い聞かせて深く深呼吸をし、焦る気持ちを整えながら彼らを注意深く見つめる。
半壊したガーゴイルは盾を持っていた左半身が消し飛んでいましたが、行動そのものに問題は無さそうです、他の三体も先ほどの一撃を見たせいか心なしか分散しているように思えました。
睨み合って居る最中にクロノくんからの念話があり、最優先目標をプレシアさんの確保に変更すると指示がありました。 私はそれを了承すると、ディバインシューターを四つ展開しながら、レイジングハートの先端に魔力を収束して行きながら彼らを威嚇する。
ディバインバスターを警戒したガーゴイル達が後退し始めた隙を突き、杖を反転させて背後の壁を破壊し、彼らが反応する前にシューターを放ちつつ壁の外へと転がり出る。 そして、シューターを使って彼らを足止めしている間にディバインバスター・ダブルアクセルを使って部屋ごと吹き飛ばす。
瓦礫の山となった彼らを見て思わず、やり過ぎたかな?と思ったのですが、緊急事態なので気にしないようにして周囲の魔力を探ります。
自分のいる場所からでも分かる膨大なジュエルシードの魔力、魔力の濃淡から判断すると私は大分地下深くに位置しているようで、まともに上を目指していては間に合いそうに無い。
私は杖を天井に向け、周囲の魔力を収束してスターライトブレイカーを展開し、最短ルートを構築する為に天井を一息に打ち抜いてゆく。
砲撃が終わり、レイジングハートの排熱を終えるのを待ってから破壊した天井を移動していると、途中で顔の引きつったブレンくんと出くわしました。
「ブレンくん!! 無事に合流できて良かった…」
「……………………後一歩踏み出していたら危なかったけどね」
見れば辺りは闘技場の様になっていて、細身の大剣を構えた騎士と塔のような巨大な盾と突撃槍を構えた騎士が奥に立っていました。
その二人の騎士の覇気は凄まじく、それに当てられた私は呼吸を忘れる程に威圧されてしまい、身動きが取れなくなってしまいました。
目の前の騎士達からのプレッシャーによってガタガタと震える私の身体を立ち直らせてくれたのは、後ろにいたブレンくんでした。 彼は私の身体を背後から抱きしめながら、『大丈夫、アレは本物じゃない。 俺がなんとかするから落ち着いて』と私に静かに話しかけ、呼吸を整えさせてくれました。
「何処からあんな物を引っ張り出してきたのか知らないけれど、アレは多分あの『英雄』と対峙した騎士だろう。 それに、アレは武器の記憶を読み込んで持ち主を再現してる、中々に手強い」
彼の言う『英雄』を私は『不死の英雄』と思っていたのですが、どうにも違うらしく、彼は『獣と対峙した英雄だよ』と言って私の開けた天井の穴を指差しました。
「なのは、俺はアレの相手に手一杯だ。 プレシアさんの相手は君に任せる、そして見逃すか否かも君の判断に任せるよ」
「見逃す? それってどう言う…………」
「俺の口から言っても良いけど、此ればかりは君が判断するべき事だから、その目でこの事件の真相を確かめてくれ」
ブレンくんはそう言い残して騎士達の元まで踏み込んで行きました、流れるような剣さばきで騎士達と互角に打ち合っている姿に思わず見惚れていましたが、私は目的を思い出して慌ててプレシアさんの元へと向かいました。
暫く飛び続けていると、魔力の発生源と思われる部屋を発見したので、罠を警戒しながらディバインバスターで扉を破壊して中へと飛び込みました。
そこで私が目にした光景は、思わず目を疑う物でした。
私の前に立ちはだかるフェイトちゃん、そしてその奥にいるプレシアさんと、もう一人のフェイトちゃん。 プレシアさんは必死でもう一人のフェイトちゃんへと魔力を送り続けているようでした、額には汗が浮かび、途中で吐血していたのか床と口には大量の血が付いていました。
私が絶句していると、目の前のフェイトちゃんが静かに語り始めました。
「全ての始まりは母さんが『新型の大型魔力駆動路開発プロジェクト』の設計主任に任命された事なんだ。 問題の多い前任者からの引継ぎ、上層部の勝手な都合で厳しくなるスケジュール、上層部に嫌気が差しやめていくチームスタッフたちの事後処理など拷問のような出来事が次々と母さんの身に降りかかり、母さんからの再三に渡る進言にも拘らず上層部が自分達の都合で出した決定の末に『駆動炉の暴走・エネルギー漏れ』が起こってしまったんだ。 母さん達は自分達で張った完全遮断結界によって無事だったけど、結界の外にいた姉さんとそのペットのリニスは窒息死しちゃったんだ。 母さんは万が一に備え姉さんたちの部屋に結界を張っておいたんだけど、微粒子状のエネルギーが酸素に反応することまでは防ぐことができなかった」
プレシアさんはこの事件について会社を告訴するが裁判では勝ち目はなかったとフェイトちゃんは言いました。 そして告訴を取り下げることを条件にアリシアちゃんの賠償金を払うという会社の意志をプレシアさんは受け入れた。 結果的には『プレシア・テスタロッサが違法手段・違法エネルギーを用い、安全確認よりもプロジェクト達成を優先させた』という形で記録に残ったのだと言う。
フェイトちゃんの話を聞き終わった私は、思わず杖を下ろしてしまいました。
今プレシアさんがやっている事はソウルの業を応用したアリシアちゃんの蘇生、自分の身体も実験の後遺症でボロボロだと言うのに、命を削りながら必死でアリシアちゃんを蘇生させようとしていたのでした。
「姉さんの蘇生には色んな手を尽くしてきたらしいんだ。地方にだけ伝わる秘術や、眉唾物のロストロギア、他にも色々あったらしいけど、私自身もその一つ、アリシア・テスタロッサの身体を元に制作された彼女の記憶を転写されたクローン」
「フェイトちゃんが、クローン?」
「そう、でも私はその事を悩んでもいないし恨んでもいない、母さんは私をアリシアの妹だって言ってくれたんだ。 だから私はアリシア・テスタロッサの妹で母さんの娘、それで良いしそうじゃなきゃ嫌だ。 なのは、母さんのコレは最後の賭けなんだ、失敗したらきっとただじゃ済まない、君が姉さんの蘇生を邪魔するのなら私は全てを賭けて君と戦う」
私は、下ろした杖を上げる事が出来なかった。
よく見ればフェイトちゃんはフラフラで立っているだけで精一杯、そんな状態で私と戦う覚悟で居たんだと悟ってしまうともう私も戦えなかった。
戦意を喪失した私は、レイジングハートをリリースして、フェイトちゃんを支えながら手を合わせ、どうかアリシアちゃんの蘇生が成功するように、と願う事しか出来ませんでした。
次回、ブレンVS塔の騎士とつらぬきの騎士の幻影。