不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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後もう少しで無印編が終わりそう、この後暫くは親バカプレシアとかで遊んでからa'sに入るつもりです。

塔とつらぬきかぁ、デモンズもいつか書こうかな。




不屈の体現者 65

第六十五話 時の庭園攻略作戦 第三戦

 

 

なのはを見送った後、俺は対峙している二人の騎士から距離を離し、その技量に舌を巻いていた。

 

俺が此処へ転送されたのはフェイトの部屋から外へ向かおうとして、ドアノブを握った時だった。 この闘技場には三枚の姿見が設置されていて、一枚は俺の正面に残り二つの前には彼らの持つ剣と盾が置かれていた。

 

初めは意味が分からなかったが、鏡面の奥からそれぞれの騎士が鏡を割りながら姿を表した事から、この鏡はタチの悪いコピー機の様なものなのだと察し、咄嗟に俺を映している三枚目の鏡をナイフで叩き割った。 鏡の中の俺には悪いが、俺はお前のように捻くれた男と戦うのはごめんだ。

 

そして、月明かりの大剣を抜き、魔力を込めながら踏み込もうとした矢先になのはの砲撃が目の前を遮り、出鼻を挫かれてしまったのだが。

 

仕切り直しと言わんばかりに月明かりの大剣を背負うと、全身に鎧を装備し、左手にアルトリウスの大盾を握る。 右手にはハルバードを取り出し、盾の裏にローガンの杖を仕込みながら燃える刀身を彼らに向けて殺気を込めて睨み付ける。

 

騎士達の頭が亡者レベルならこの程度で容易く釣れるのだが、残念ながら知性が備わっているようで、彼らは微動だにしなかった。

 

あの二つの武器はこの時代の物じゃない、公爵の書庫で資料として見ただけに過ぎないのでなんとも言え無いが、記憶が確かなら彼らは『つらぬきの騎士』と『塔の騎士』だったはず、死なないように気を付けなくてはいけないな。

 

背中の月明かりの大剣に魔力を込めながら盾の裏に貼り付けてある火炎壺を二つ彼らへと投げ付けると同時に一気に距離を詰めて行く。

 

塔の騎士は身の丈もある大盾に身を隠し、つらぬきの騎士はその芸術品とも思える美しい大剣を振るい、火炎壺を斬り払う。 俺は彼の斬った壺の爆炎を目くらましにしながらつらぬきの騎士の懐に飛び込むつもりだった。

 

 

踏み込み始めた一歩目、投げ付けた火炎壺がつらぬきの騎士の前に飛来する。 踏み込んでから二歩目、つらぬきの騎士が壺を両断する。 壺が切断されてから三歩目、壺は爆発しなかった。

 

恐らく壺の中の火薬が起爆しないほど鋭く早い一閃だったのだろう、剣の腕だけで見ればアルトリウス並だな。

 

目くらましが成功しなかった為、彼の目には俺の動きがはっきりと見えている。 斬り払いの体勢から放てるカウンターは逆袈裟か刺突、その一閃は爆風に紛れるように身を低くしている俺の首に位置するため受けるわけにはいかなかった。

 

咄嗟に床にハルバードの切っ先を叩きつけて爆破し、その爆風を利用して何とか彼の剣をズラす事には成功したが、鎧越しだったにも関わらず胸を大きく斬り裂かれてしまった。

 

彼の後方へとすり抜け、地面を転がりながら背中の月明かりの大剣を暴発させて、彼らの攻撃範囲から転がり出る。

 

どうやらあの鏡には非殺傷の仕掛けを施していないようで、容赦無く彼らは生命を取りに来ている、俺が当たって幸いだった。

 

 

安静にしていなければ月明かりの大剣の効力は得られないので、ハルバードの炎を利用して止血し、盾裏の杖で追う者たちを展開する。

 

五つの闇の塊、それはつらぬきの騎士の胸元へと吸い寄せられるように放たれて行く、それに合わせてゴーの大弓を取り出し同じくゴーの大矢を射出する。

 

つらぬきの騎士は自分の胸へ目掛けて吸い寄せられる闇の塊を難なく両断、続けざまの大矢を半身逸らすだけで回避し、逆に大きく距離を詰めに来た。 そしてその背後からは塔の騎士が膨大な魔力を放つ突撃槍を此方へと向けてきている、つらぬきの騎士を回避してはあれに射抜かれてしまうか。

 

正面から猛然と斬りかかってくる貫きの騎士をアルトリウスの大盾で強引に防いだものの、壁際にまで弾き飛ばされてしまい、回避すべきだったと後悔する。

 

壁に叩きつけられた俺は、塔の騎士の頭上へ手に持っているハルバートを蹴り飛ばし、ソウルから混沌の刃を取り出して俺を串刺しにしようとしているつらぬきの騎士の剣を敢えて脇腹で受ける。

 

ズブズブと脇腹へ刺さって行く彼の剣、返しのようになっている鍔が俺を抑え込もうとする寸前に剣が突き刺さる脇腹を混沌の刃で掻っ捌き、貼り付け状態から脱出する。

 

つらぬきの騎士の背後で塔の騎士が突撃槍の切っ先を俺へと向けてきているが、先程俺が蹴り飛ばしたハルバードが天井を爆破、瓦礫が彼の頭上へと降り注ぎ、彼はそれの下敷きとなり、狙いの逸れた切っ先から放たれた魔力の槍が俺の身体を掠めて行く。

 

俺は脇腹を斬り裂いた所為で、夥しい量の出血に見舞われながらもつらぬきの騎士の背後に回り込む事に成功し、逆手で混沌の刃を握って彼の首を刎ね飛ばす。

 

だが、斬った手応えはなく騎士の鎧の中身は空洞、剣と鎧が一人歩きしているようだった。 鏡に映った鎧は幻で、本体は剣の方か。

鎧の首を刎ねた後、俺はすぐさまその両肩を斬り落とし、ソウルから黒騎士の大剣を取り出して彼の持っていた剣を力任せに圧し折った。

 

案の定、剣が圧し折れると同時に彼の身体はソウルの粒子となって消えて行った。 これで塔の騎士の本体もあの大盾である事が知れたのだが、先ほどから脇腹から流れる血が一向に止まらない、おかげで貧血で身体が重くなって来ている。

 

せり上がってきた血反吐を吐き捨て、デバイスに記憶していた太陽の光の癒しを発動して傷を塞ぐ、だが予想した効力を得ることが出来ず、傷は中途半端な回復で終わってしまった。 実戦で使用して初めて分かったが、デバイスに記憶させた場合でもその効力は信仰心や魔力と言った物に左右されるらしく、使用に問題が無くとも効力は半端なものしか出ないようだった。

 

しかし今はそれでも構わない、出血死さえ防ぐ事が出来ればどうとでもなる、応急手当て程度のものだが充分動ける、本格的な治療は戦いが終わってからでも間に合うさ。

 

 

一先ず死の脅威から解放された俺は、黒騎士の大剣をソウルに戻し、一旦混沌の刃を鞘に収めて、瓦礫に埋もれていた騎士が起き上がるのを見計らいつつ追う者たちを展開し、それらが彼に向かって吸い寄せられて行くと同時に闇の球と月明かりの大剣の光波を同時に放ったのだが、彼の盾はそれら全てを見事に防ぎ切った。

 

あの盾に傷を与えるには魔力的な物では難しいと判断した俺は月明かりの大剣の暴発を利用して一気に加速、彼との距離を瞬時に潰すと同時に彼の盾へむかって混沌の刃の居合斬りを放つ。

 

鞘走りの音と共に放たれた銀閃は、金属同士を引っ掻くような甲高い音を立てながら火花を散らし、彼の持つ盾にほんの僅かな傷を残す。

 

塔の騎士が抱える突撃槍の刺突、それはアノール・ロンドであの放浪者と対峙した際に彼の持つ刺剣から放たれた連打と同じように早く、残像が残るほどの突きだった。

 

彼の突撃槍から放たれる刺突の雨をアルトリウスの大盾で防ぎつつ、突きの間隔を一つ一つ測って行き、タイミングを合わせてパリィする。

 

武器を弾かれた彼の胴が大きく開き、無防備になったその身体へ盾裏の杖をそのまま振るって闇の飛沫を浴びせ付けたのだが、彼はパリィされた瞬間にシールドバッシュを敢行し、俺の身体を強引に弾き飛ばした。

 

お陰で飛沫は外れ、仕切り直しとなってしまった。 俺自身も鉛の塊のような盾で殴り付けられたお陰で鎧越しに肋を何本か持って行かれた、衝撃で胃も破裂したようだ、前向きに考えるなら、あんな物を軽々と片手で扱う膂力で殴られた事を考えると胃と肋で済んで良かったと言ったところか。

 

痛みと疲労によって更に身体が重くなり始めたので、背中の月明かりの大剣と混沌の刃以外の装備をソウルへと戻し、代わりにバリアジャケットを展開する。

 

身体を極力軽くし、再び居合の構えを取り、先程と同じ要領で彼の盾を斬りつける。 狙いは先ほど付けた傷、寸分違わず同じ場所を斬りつける事で強引にその傷口を広げて行くのが狙いだ。

 

鞘走りと斬りつける際の金属音、そしてその傷口から散る火花、居合斬りと同時に彼の盾を踏み台にして後方へと飛び退き、再び斬りつける。 こうして重ねた小さな傷が、混沌の刃の疲労と引き換えに彼の盾に深い溝を作って行く。

 

目に見えて傷が深くなって行く事に彼は焦りを覚え始めたのか、再び槍に魔力を込めながら俺の方へと切っ先を向け始める。

 

俺はそれに構わず吶喊、彼に見えるように居合い斬りを放つ、ように見せかけて抜刀中の刃を半ばで納刀し、彼の横をすり抜けながら瓦礫を作る際に使用したハルバードを回収、その場で速度を殺さないように回転し、遠心力を乗せながら彼の突撃槍を持つ手目掛けて全力で投げ付ける。

 

切っ先によって彼の腕が爆炎に紛れ、豪炎によって槍ごと塵になる、慌てて彼が盾を構えるがもう遅い。

 

最後の一閃、煌めくその銀閃は、堅牢な大盾を見事両断し、奥に隠れていた鎧諸共一刀の元に斬り伏せた。

 

俺はソウルの粒子となって消えて行く塔の騎士を横目に見ながら、事の顛末をこの目で見届ける為にプレシアさんの元へ向かうのだった。

 





今回もNGは無しです。
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