不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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戦いの時はフェイトだけど普段はふぇいとになってるような気がしてきました(白目)


不屈の体現者 68

第六十八話 お花見

 

パイプオルガンの音色を聞きながら、私は教会のバージンロードを彼の腕に抱き付きながら歩いて行きながら、隣でタキシードを着こなしているブレンの顔を見上げる。友人達の祝福の言葉と拍手の雨を浴びながら神父様の前に立つ。

 

大好きな彼とのお付き合いは紆余曲折あったけど、今日こうしてゴールイン出来ました、これもみんな姉さんや母さんの尽力のお陰です。

 

「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」

 

「「はい、誓います」」

「では、誓いのキスを」

 

「さあフェイト、目を閉じて?」

 

「うん……」

 

顔と顔が近づき、唇が触れ合う寸前でーーーーーー。

 

ベッドの上から転がり落ちた。

 

 

「…………え?」

 

 

あまりにも鮮明な夢だったので目が覚めた後も暫く呆然として居たけれど、けたたましく鳴り響く目覚ましを止める為、ベッドの上に戻りつつ意識が覚醒して行くと、次第に自分がどんな夢を見ていたのかを理解し、その内容に思わず身悶えてしまった。

 

(うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!! 恥ずかしい!! 恥ずかしいよ!!これ絶対姉さんがあんな事言ったからだよぉ……)

 

 

時計を見れば午前四時を回った所、お花見のお弁当を作るからと張り切ってこんな時間に目覚ましをセットした自分にちょっと後悔している。

 

お花見はトントン拍子で話が進んで行き、アリサ達も参加する事になったり、母さんが何処から持ってきたのかインスタントカメラとデジタルカメラ、テレビ局の人が使うようなカメラを並べて『どれを持って行こうかしら?』と何時に無く真剣な顔付きで悩んでたり、姉さんに今日着る服を選ぶために一晩中着せ替え人形にされたりと色々ありました。

 

パジャマを着替え、眠い目を擦って姉さんを起こし、目の下に隈を作った母さんがキッチンで私達が起きるのを待っていた。

 

「おはよう二人とも、さあ張り切ってお弁当を作りましょう!!」

 

「お、おはよう母さん……」

 

「うわぁ、フェイトよりも張り切っちゃってるね」

 

「ふふふふふ、一晩かけてカメラの調整も万全、アルバムやその他諸々も二人分用意済み、今日の私に隙は無いわ!!」

 

妙なテンションになってる母さんから目を逸らすと、リビングのソファーで死んだ様に眠っているアルフとリニスが目に入った。 多分母さんに振り回された結果だろう。

 

エプロンを着て髪を後ろで一括りにしながら腕捲りをする、母さんは後ろでビデオカメラを回している、お弁当と言っても今回はお花見、サンドイッチやおにぎり見たいな片手で食べられるような物を作っていくだけだから、前みたいにクリーム塗れになるような事は無いはず。

 

 

(そう言えば姉さんって料理出来るのかな?)

 

 

そう思って姉さんの方を横目で見ると、ソフトボール見たいなおにぎりと、ありったけの具材の挟まれたサンドイッチが次々と生産されている、思わず握っていたおにぎりを取り落としてしまった。

 

 

「ね、姉さん? そ、それって……?」

 

「えっ? 何かダメだった?」

 

「大き過ぎるよ……」

 

「ああこれ? ほら、ブレンとなのはのお兄ちゃん用だよ? 男の人だから私達より食べると思うし」

 

「あっそっか、だったら私の作ったのはちょっと小さいのかな? 」

 

「ある程度私も作ったし、別にいいと思うけど……!! はは〜ん、さてはブレン用を作りたかったとか?」

 

「ち、違うよ!?私はただ……」

 

「隠さない隠さない、後何個か愛と真心を込めてブレンの為に作りなさいな」

 

「う、うぅぅ…」

 

 

顔から火が出そうな思いをしながらも、気を取り直してお弁当の中身を作り切り、私達はお花見の準備をしてから待ち合わせの場所に向かいました。

 

待ち合わせ場所は近くの山、すずかの家の私有地らしく、花見のシーズンでも人混みに悩まされずに済むそうです。

 

現地に到着し、そこで見た光景に私は勿論、元気に何かを企んでいたアリシアも、私達を撮影していた母さんも、眠そうにしていたアルフやリニスも、みんな言葉を失いました。

 

あたり一面満開の桜、はらはらと舞い散る桜吹雪、何故この国の人は桜が好きなのか分かったような気がしました。

 

桜の木下には既にシートを開いたみんなが待っていて、母さんが挨拶と共にジュースやお弁当を並べて行きます、姉さんも『さあさあ』と言いながら私をブレンの隣に座らせてみんなに飲み物を配っています。 そして、みんなの手に飲み物が渡ったのを確認した後、コップを高々と掲げました。

 

「どうも主催者のアリシア・テスタロッサです、長々とした挨拶は苦手なので早速ですが音頭を取らせていただきます。 みんな飲み物は持ったかー!! 食べ物は持ったかー!! いっくよー? かんぱーい!!」

 

『乾杯!!』

「ブレンくん、はいあーん」

 

「あーん」

 

「ブ、ブレン、あ、あーん」

 

「あ、あーん……」

 

「はい、ブレンくん。 お茶どうぞ」

 

「ありがとうすずか……」

 

「ブレン、あんたほっぺたに米粒付いてるわよ? ……はい取れた」

 

「う、うん、ところでアリサ?」

 

「何よブレン?」

 

「なんでみんな俺の周りに居るの?」

 

「あれあれ〜、ブレンくんはこんなにも美少女に囲まれてるのに何か不満でもあるのかな〜?」

 

「いや、アリシア? そう言う物じゃなくてーー」

 

ぽかぽかとした陽気の中、みんなとわいわいと会話しながら、ふと私はこんなにもゆっくりとした時間を過ごした事は無かったなぁ、と思いながらその幸せを噛みしめるのでした。

 

 

 

フェイトは知らなかった。

 

この後、彼女の隣にいる少年がとある物を飲んだ事から始まる騒動を…………。





次回、酒は飲んでも飲まれるな(白目)


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