お堅いブレンくん、今回は大分崩壊します(白目)
ヒロイン達は彼の餌食に…………。
第六十九話 酒は飲んでも呑まれるな
宴会も盛り上がり、大人達もお酒が入り始めたところで、美少女に囲まれたブレンは羞恥心に苛まれていた。
右を見ればなのはが嬉しそうに腕に抱きついている、左を見れば顔を赤くしたフェイトがおずおずと義手を握っている、背中にはアリシアが凭れかかり、目の前ではアリサとすずかが自分に料理をよそってくれている。 俺も男だし悪い気はしないのだが、なのは以外は嬉しいより気恥ずかしいと言う感情が強く、彼女達の言いなり状態だった。
シフの方を見ると、ひっくり返って姉さん達に腹を撫で回されていた。 横には一升瓶が三本、つまみも一通り揃っているから、非常にはしゃいでいる。 ………………助けは期待出来ないな。
自分で食事を取ろうと思っても両手を塞がれている。 食事に関しては丁度いいペースで食べさせてくれるから問題は無いんだが、女を侍らせて悦に浸って居るようで少々居心地が悪い。
そんな中救いの手を差し伸べてくれたのはアリサだった。
「ブレンくん、どうしたの?」
「…………ほら、飲み物が無くなってきたな、と思ってさ」
「あ、だったら私が取ってくるね?」
「うーん、みんなのお水とかも持って来なきゃだし、私も手伝うよフェイトちゃん」
「お菓子も少なくなって来たし、私達も何か持って来ましょうかすずか」
「うん、そうだねアリサちゃん」
ぱたぱたと飲み物やつまみを補充しに行くなのは達、俺も手伝おうかと思ったんだけど、後ろにいたアリシアに両肩を掴まれてそのまま座らされた。
「まぁまぁ、ブレンは折角の男だし、黙って私らに世話焼かれてなさいな」
「いや、でもさ……」
「普通は喜ぶもんだと思うんだけどなぁ…………はいお水」
アリシアがため息をつきながらコップに水を注いでくれた。 どうにも彼女は俺の長い髪を気に入ったらしく、背中に凭れかかりながら毛先をいじくり回して居るので、言う通り大人しくなのは達を待つとしよう。
彼女の注いでくれた水は苦味と喉を焼くような感覚を覚えたのだが、同時に香りも味も良く、二杯、三杯と飲みながらふと銘柄を見ると『神殺し』と書かれていた。 そう言えば、シフの周りにあった瓶が一本見当たらないが、まあ良いか。
数分後、なのは達が飲み物と菓子類を持ってくると、ブレンがアリシアを口説いていた。
「アリシア、君は天真爛漫でとても愛らしいね、表情もころころ変わるし私も話していて全く苦になら無い。 いやむしろ此方も元気にしてくれる、それは素晴らしい才能だ、是非私の側で私を愛してくれないか?」
「待って待って待って待って!! ちょっ、これお酒だったの!? ストップ!! ストーップ!! 近い近いってば!!」
普段はなのは一筋、彼女以外には全く目をくれず、告白されても一刀両断、そんな彼がアリシアの顎に手を添えながら腰を抱き、優しく愛を囁く姿に思わずその場に居た全員が固まってしまった。
「みんな見てないで助けてよ!! いい男の子だって分かってるから耐えるの辛いんだよ!?」
「耐える必要は無いさ、私は君の全てを受け止めるよ」
「やめて!! 本気で惚れそうになるからやめて!!」
初めにその状態から回復したのはアリサだった。
彼女は慌てブレンからアリシアを引き剥がし、彼女を庇うためにその前に仁王立ちをする。
「だ、大丈夫アリシア?」
「ちょっと、大丈夫じゃないかも……まだ少しドキドキしてる」
確実に酔っ払っているブレンは次の標的をアリサと決めたのか、彼女の呼吸と瞬きに合わせて接近し、反応が遅れた隙に優しく抱きしめる。
「えっ? えっ? ちょっ、あんた何時の間に!?」
「これ位は出来て当然の芸当さ。 それよりもアリサ、私は君も欲しいんだ」
「は、はあ!? あんた何言ってんのよ!!」
「どうにも私は寂しがり屋で欲しがり屋のようでね、君達全員が欲しいんだ。 それに君も満更でも無いだろう?」
ブレンは彼女の頬に手を当て、その瞳を見つめながら静かな口調で彼女の心を見透かしたように優しく口説いて行く。
「アリサ、君は私の事を少なからず思っているのだろう? なのはやすずかに遠慮して自分の想いに蓋をしているだけで、素直じゃないようにしているだけだ。 だが君は素直になれなくて良い、 君の本心に従う事が出来るように私が君に言ってやろう。私を愛してくれ、私の物になれ」
「あ、あはは、こりゃあ耐えらんないわ……」
秘めた思いを見透かされたアリサは顔を赤くして沈黙し、ブレンの気が済むまで口説き尽くされる。 アリサが口説き落とされたと同時に、彼は事態がまだ飲み込めていないなのはの元へと向かい、そのまま彼女の前に跪きながらその手の甲に口付けをし、彼女の身体を強く抱きしめながら桜の花弁で絨毯のように埋め尽くされている地面へ押し倒し、馬乗りになって彼女の顔をみる。
「へっ!?」
「なのは、私にとっての一番は君だ。 君は不動の一番で世界よりも大切な存在だ。 だから心配しなくてもいい、私は君を愛している、誰よりもどんな物よりも。 私は君を誰よりも幸せにするから、だから君も私を誰よりも幸せにしてくれないか?」
「ブレン、くん……」
「さっきも言ったけど、私は寂しがり屋で欲しがり屋なんだ、みんなが欲しいし誰にも渡したくは無い。 それを理解して欲しいんだなのは」
「うん……」
なのはも口説き落とされ、べったりとブレンに抱き付いている所を羨ましそうに見ているフェイトとすずか。 ブレンは二人に手招きをすると、纏めて抱きしめて耳元で囁くように口説き始める。
「さあ二人共。 別にもうなのはに遠慮しなくても良いんだ、思う存分私に愛を注いでくれ。 他の誰かを愛するなんて私が許さない、君達は私の物なのだから」
何時に無く強気なブレンに被害者が続出して行く中、間違えて酒を飲ませた張本人は氷の入ったバケツをリニスに用意して貰い、勢いに任せてなのはの唇を奪おうとしているブレンを引き剥がしてから、周りに被害が出ないようにブレンに向けてそれをぶちまける。
身を切るような冷たさに、彼のアルコールで酔っていた頭とタガが外れた理性が一気に覚醒する。 彼はそのまま水浸しの状態で暫し呆然としていたが、断片的に女の子を口説き倒していた事を思い出し、慌てて彼女達を見るも色々手遅れだと悟るとそのまま大の字で地面に寝転んだ。
うん、まあ、あれだ、色々すまんかった(白目)