前作では不死院だけで五話使いましたし当然かな(白目)
第七話 家族
目出度く高町家に居候する次第となり、これから家族になる人達に改めて挨拶をして行ったのだが、一つ困った事となった。
高町恭也。
なのはの兄でありこの高町家の長男なのだが、どうも彼に偽名であることを悟られてしまったようで、かなり警戒されてしまった。
「ブレン・シュトッフか、子供に付けるには酷い名前だな」
「なのはくらいの年頃だと言うのに、やけに落ち着いている」
「お前は、一体何者だ?」
鋭い眼光と共に指向性を持った殺気が俺に突き刺さる。
俺の後ろではなのはの姉であり、目の前の彼の妹である美由希が顔を青くしながら彼を諌めている。
なのはは何故兄が怒っているのか分からず涙目となって俺の服の裾を握っている。
「ちょ、恭ちゃん、相手は子供だよ!?」
「確かに変わった子かもしれないけど、それはいくら何でも!!」
「よく見ろ美由希」
「彼は俺の殺気を浴びながら、平然として立っている」
「えっ?、うそ!?」
「もう一度聞く、お前は何者だ?」
さて、どう答えたものか。
素直に神格だと言っても分からないだろうし、かと言って嘘をついても仕方ない。
彼は聡いようだし、俺が普通の人間では無い事も勘付いて居そうだが……。
ふと、彼の手を見てみると剣ダコがいくつも出来ているのを発見した。
彼の積んできた過酷な訓練が透けて見えるようなそれは実力を示す証。
「お兄さん、見た所剣を振ってるね?」
その手で何人か人も斬ってるでしょ?
後の言葉は口パクで彼に伝える。
流石の俺も、子供のなのはにはショックが大きいだろうと思った為、口には出さなかった。
彼の視線が一層きつくなり、殺気の濃度が濃くなって行く。
美由希の顔にも俺と言う存在への不信感が現れてきたようなので、早く本題に入る。
「残念な事に、俺は自分の事を他人に語る術を知りません」
「ただ一つ語れる事と言えば、剣」
「それを交える事で俺が何者かは判断して頂きたい」
口下手な上に彼の求める答えに回答できない以上、彼が剣士である事を利用した対話しか俺には出来ない。
彼は俺の目を見ながらその言葉に黙って頷き、付いて来いと言って俺を先導し始める。
着いた先は道場、途中から恭也が美由希に頼んだのか、彼女はなのはを連れて別れてる。
「これでお互いに周りの目を気にしないでも構わなくなった」
「お前の剣、確かに見せてもらうぞ」
彼が木刀を俺に投げ渡し、自身も二刀に構える。
刃を正眼に持って行き、ジリジリと間合いを詰めてゆく。
この戦いは俺を語る一戦、彼を殺しに掛かる訳にも行かないが、逆に手を抜いてはいけない。
道場の床を踏み抜くつもりで身を低くし彼の懐まで一足で踏み込んで行く。
魂自体がソウルの業で強化されているため身体能力に変わりは無いが、他の物が犠牲になっている事が今の踏み込みで分かった。
それは、間合いや歩幅、腕のリーチ等の身体的な物。
嘗てと同じ感覚での踏み込みだったが、予想していた地点より二、三歩手前に来てしまった。
踏み込みと同時に横薙ぎに木刀を振っていた為、それが空振りに終わり胴がガラ空きになってしまい、彼にそこを斬り捨てられそうになる。
咄嗟にバックステップして木刀の軌道上から離れたが、空を切る音だけで彼が本気な事がよく分かる。
今の一瞬で唯の人間で無いと勘付いたのか、彼は一気に攻勢に出始めた。
小ぶりな木刀の二刀による連撃。
防御を捨て去り、只ひたすら速さを追求したそれは体格差も重なり、隻腕の俺には非常に凌ぎ辛い物だった。
更に、失った右目の死角からも容赦無く刃を叩き付けて来るため、俺の身体にも徐々に痣が増えて行く。
アレは木刀だから何発か貰っても問題は無いが、急所へと叩き込まれるのは防がなくてはならない。
俺も彼も実戦の剣、握った得物は木刀と言えど其処への一撃は敗北を意味するものとなる。
負けても構わないが、まだ俺の全てが伝わっていないのだ、やられっぱなしでは居られない。
死角を付いた彼の一撃を右の剣で受け止め、残る一本を左肩で防ぐ。
膠着状態に入ったのだが、右手が体重の差によって直ぐに押し込まれ始めている。
彼の刃が俺の胸を貫く寸前まで鍔迫り合いを続け、そこで一気に手を離す。
急に力が抜けた為、彼は体勢が前のめりになったので、その顎先に膝蹴りを入れ、頭を跳ね上げる。
だが、やはりリーチと体重が足りなかったのか手応えが浅く、直ぐさま彼の反撃を側頭部に受け、意識を刈り取られた。
敗因はやはり子供の身体と隻腕隻眼が足を引っ張りました。
短くても無印開始前、長くて無印終了時までは暫くこのままで。