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第七十話 事後処理
あぁ、雲一つ無い青天だ、こんな日は全てを忘れて伸び伸びと昼寝でもしようかな? うんそうしよう!! 舞い散る桜も風情があって良いしね、ロードランでは血桜は見たことがあっても普通の桜は見た事無いからさ!!
「そうと決まれば日当たりの良さげな場所を探さないと…………」
「待てぇい!! 手当たり次第口説き倒して現実逃避はちょっと無いんじゃないかなぁ? 私は第一被害者だよ? みんなもう放心状態で自分の世界に入っちゃってるよ? 此処で逃げると絶対取り返しがつかない事になるよ? て言うか逃げるとか私が(そんな面白くない事)許す訳が無いでしょ」
「離してくださいアリシアさん、後生ですからッ……!!」
「手を合わせてもだーめ!! 素面に戻った所でみんなの前に行こうね〜」
「こんなッ、こんな失態ッ!! 酒で崩れて手当たり次第に女に手を出すなどッ!! 自らが情け無い……、アリシアそこの桜で首を括らせてくれ!!」
「う〜ん、素面に戻ったかと思ったけどまだ少しアルコールが残ってるっぽいね、普段じゃ絶対に言わない事ペラペラ言ってるし、言ってる事も支離滅裂だし」
ブレンの襟首を掴んでずるずると引き摺るアリシア、彼女は顎に指を当てながら『あれ? もしかしたら今なら適当な理由を付けたらこの子何でもしてくれるんじゃ……』と思い至り、試しにブレンに対してある要求をしてみる。
「えっとさブレン、一つ良いかな?」
「父さん母さん引き篭もってばっかりでごめんなさい、反抗してごめんなさい、自殺してごめんなさい、迷惑かけてごめんなさい」
「………………所謂前世の記憶とか言う奴かな? 全く意味分かんないんだけど? ねぇ、ね〜ってば!!」
「もう挽肉は懲り懲りだよオーンスタイン、あぁでも丸焦げも嫌だなぁ……」
「だめだこりゃ。あのお酒相当強いみたいだ、また酔いが回ってる、どうしようかな……」
三角座りをしながらブツブツとここに居ない誰かに向かって謝罪し始めたブレンを如何にか正気に戻す方法は無いものか、とアリシアは思考を巡らせる。
『神殺し』とか言う銘柄の一升瓶を丸々一本開けてしまった彼は、冷水を浴びせる事で一瞬だけ素面に戻ったが、結局体内にアルコールが残ったままなのかまた直ぐに酔いが回ってしまっている。
自分の母親に助けを求めようかとも思ったのだが、お酒が入っている母に近付くのは自殺行為だと思い、却下する。 なのはの母と楽しげにうちの子自慢をしている中に入って行ったらどうなる事か…………。
彼の被害者達に協力を仰ごうかと思ったのだが、なのはとフェイトは当然ながら、すずかやアリサまでもが自分の世界に入って妄想を膨らませている。 みんなして結婚式まで漕ぎ着けたようだ、恥ずかしい内容がダダ漏れになっている。 ………………一字一句逃さないようにしっかりと録音したから後で覚えてろ。
揺さぶっても帰ってこない彼女達にちょっとした復讐心を燃やしながら、桜の木相手に会話を続けているブレンに目を向ける。 自己嫌悪のデフレスパイラルに陥ってる彼の周りにはどんよりとした空気が漂っている。
自然に酒が抜けるのを待ちたいけれど、彼があんな状態だと酒が抜けてもあのテンションのままになり兼ねない。
アリシアは腕を組みながら酔っ払いをなだめる方法を考える為に、あれこれと思い付いた事を吟味していったのだが、ブレンは単純な男の子の印象があるが基本的に感は鋭く、不意打ち気味に再び水の入ったバケツを彼にぶち撒けたのだが、ひらりと身を躱される、ハリセンでひっぱたこうとしたら根元から斬り落とされた。 実力行使は無理と悟った彼女は、駄目元である手段に出た。
「もしもし其処の少年や、儂はこの桜に宿る精霊じゃ、お主の悩みはよーく分かった、儂の言葉に従えばその悩みは晴れるぞよ?」
アリシアは桜の背後に回り込み、ダミ声を出しながら『桜の精霊』とやらを演じている。 このまま桜の精霊の信託を与える事で水と酔い覚ましを飲みに行かせようと言う魂胆なのだが、悲しいかな、アリシアは彼がその手の類いがヘドが出るほど嫌いな事を知らなかった。
ゆらゆらと立ち上がるブレンに、桜の影から顔を出していたアリシアは彼が桜の精霊を信じた物だと思い、小さくガッツポーズを取りながら水と酔い覚ましの元へ向かわせようとする。
「フォッフォッフォッ、儂の言葉を信じたようじゃの? それではーーーー」
「精霊だと? 下らん思念体の分際で私の世界に湧いて出たか」
(あ、あれ? なんか雲行きがおかしいよ? めっちゃ怖いんだけど? と言うかこのままだと色々とやばい気が……)
生存本能がアリシアの直感をプッシュしたのか、彼女はすぐさま桜の影から飛び出し、ブレンを押し倒す。 居合いの体勢に入っていた彼を止められたのは幸運だった、更に上手いこと頭を打って気を失ってくれた。 下手な三文芝居を打った所為で危うく桜が伐採される所だった……。
彼女はもう色々と疲れたので、ひっくり返って気持ち良さげに眠っているシフの腹にブレンを寝かせて、プレシアの元へと向かった。 同じ酔っ払いでも母親の方が何万倍もマシだからだ。
(彼処にいる被害者達? 知らない知らない、口説かれてる時も満更でも無さそうだったし、ミッドは税金払えばハーレム作っても平気だからいざとなれば向こうに移住すれば良いし。 ブレンがあの子達の妄想の連鎖を止められる状況じゃないのが悪い!! 私はやれるだけの事はやった!! だからもう投げ出しても良いよね!!)
こうして、色々と問題だらけのお花見は幕を閉じた。 後日この日の出来事を全て知らされたブレンと、垂れ流していた妄想の内容をリピート再生で聞かされたなのは達は羞恥心と申し訳無さに苛まれ、暫くの間アリシアに頭が上がらなかった。
不死の英雄伝 〜 舞台裏 〜
NGシーン 後日談
アリシア「で? 私ほったらかしで好き放題してたみんな、何か言う事は?」
ブレン「二度と酒は飲みません」
なのは達「「「「ごめんなさい」」」」
アリシア「危うくアリ/シアになるところだったなぁ〜、あっ私喉渇いてるんだ〜」
ブレン「紅茶買ってきます!!」
アリシア「ありがとー、ところでなのはちゃん?」
なのは「は、はい!!」
アリシア「子供は女の子二人と男の子一人が良いんだよね? それで一緒にブレンくんの帰りを待ちながらーー」
なのは「そ、そうだアリシアちゃん? 私お店のシュークリーム持ってくるね!!」
アリシア「そんなに気を使わなくても良いのに……」
フェイト「姉さん、肩揉むよ!!」
アリサ「こ、今度うちに遊びに来ない? 犬も一杯居るわよ!!」
すずか「わ、私の家は猫ちゃん一杯居るよ!!」
アリシア「わーい、私もってもてだ〜!!」