もう二、三話日常パートをしたらAsに入ります。
泳がしていた転生者もそろそろ出したいしね。
今回、怪談話が盛り込まれております、苦手な方はご注意下さい。
出展は某掲示板の『洒落にならない怖い話』より。
第七十二話 百物語
学校の昼休み、何時ものメンバーで昼食を食べているとアリシアが唐突に『今夜みんなで百物語をしよう!!』と言い出した。 なんでも昨日の夜にやっていた心霊特番を見て幽霊がいるかどうかはっきりさせたくなったらしい。 …………ただ、フェイトの身体が気の毒な程に震えているのが少々気になったが。
そして夜になり、我が家の道場にて百物語が始まったのだが、さっきからフェイトが俺の左腕に抱きついて震えている。 よくよく話を聞くと彼女はこの手の話が苦手らしい、昨晩も夜に一人で寝られず、アリシアと一緒に眠ったそうだ、涙目で俺に抱きついて来ている物だから振り払うのも酷に思えてしまい、好きにさせている。
なのはの方を見ると少々不満気そうではあったが、フェイトの怯えようを見て直ぐにその表情が引っ込んでしまったようだった。 代わりに俺の反対側の腕に抱きついて来ているが。
「じゃあ蝋燭百本用意したし、トップバッターはこの私!! アリシア・テスタロッサでいっきまーす!!」
ハイテンションなアリシアが雰囲気を出すために俯き、静かな声でボソボソと怪談話を始める。
『俺にはちょっと変な趣味があった。 その趣味って言うのが、夜中になると家の屋上に出て、そこから双眼鏡で自分の住んでいる街を観察すること。 いつもとは違う静まり返った街を観察するのが楽しい。 遠くに見えるおおきな給水タンクとか、酔っ払いを乗せて坂道を登っていくタクシーとか、 ぽつんと佇むまぶしい自動販売機なんかを見ていると、妙にワクワクしてくる。
俺の家の西側には長い坂道があって、それがまっすぐ俺の家の方に向って下ってくる。だから屋上から西側に目をやれば、その坂道の全体を正面から視界に納めることができるようになってるわけね。その坂道の脇に設置されてる自動販売機を双眼鏡で見ながら、「あ、大きな蛾が飛んでるな~」なんて思っていたら、坂道の一番上のほうから、物凄い勢いで下ってくる奴がいた。
なんだ?と思って双眼鏡で見てみたら、全裸でガリガリに痩せた子供みたいな奴が、満面の笑みを浮かべながらこっちに手を振りつつ、猛スピードで走ってくる。奴はあきらかにこっちの存在に気付いているし、俺と目も合いっぱなし。ちょっとの間、あっけに取られて呆然と眺めていたけど、なんだか凄くヤバイことになりそうな気がして、急いで階段を下りて家の中に逃げ込んだ。
ドアを閉めて、鍵をかけて、「うわーどうしようどうしよう、なんだよあれ!!」って怯えていたら、ズダダダダダダッって屋上への階段を上る音が。明らかに俺を探してる。
凄いやばいことになっちゃったよ、どうしよう、まじで、なんだよあれ、って心の中でつぶやきながら、声を潜めて物音を立てないように、リビングの真中でアイロン(武器)を両手で握って構えてた。しばらくしたら、今度は階段をズダダダダッって下りる音。もう、バカになりそうなくらいガタガタ震えていたら、ドアをダンダンダンダンダンダン!!って叩いて、チャイムをピンポンピンポン!ピポポン!ピポン!!と鳴らしてくる。
「ウッ、ンーッ!ウッ、ンーッ!」
って感じで、奴のうめき声も聴こえる。心臓が一瞬とまって、物凄い勢いで脈打ち始めた。さらにガクガク震えながら息を潜めていると、数十秒くらいでノックもチャイムもうめき声止んで、元の静かな状態に……。それでも当然、緊張が解けるわけがなく、日が昇るまでアイロンを構えて硬直していた。あいつはいったい何者だったんだ。もう二度と、夜中に双眼鏡なんか覗かない。』
怪談話を語り終わり、蝋燭の火をふっと消したアリシア。 フェイトの怯え様を堪能したのか、満足気に頷きながら二番手であるアリサに新しい蝋燭を手渡した。
彼女の次はすずか、なのは、フェイト、俺と言う順番で淡々と怪談話を進めて行く。 彼女達は気が付いていないようだったが、どうやら俺達の魔力に『ナニカ』が反応しだしたらしく、話を進めて行く毎に嫌な気配が道場の周りを包み込んで行く。
万一に備えてソウルから混沌の刃を取り出し、側に置いておく。 静かな道場内に刀を置く音が響き、全員の肩が大きく跳ねる。 フェイトは目を強く瞑って一層強く抱き着いてきているが、みんな俺の取り出した刀の音だと気が付いたのか、ほっと胸を撫で下ろしている。
「てか、あんたどっから刀取り出したのよ……」
「念の為さ、鍛えられた刀には魔を祓う力があると言うからね」
「いや、でもさ、あんたのそれって祓うって言うより、祟りそうな刀何だけど……」
「うん? ただちょっと生き物を斬りたくなるだけだよ、害は無いさ」
「思いっきり妖刀じゃないの!!」
みんな乾いた笑いを浮かべていたが、代表してアリサが俺にツッコミを入れる。 正直手に入れた当初は扱い切れなかったが、今は手足の様に使いこなせるし、今更刀に魅了される何て事は無いから、俺が使う分には害が無い。
そうこうしている内に百話目に到達、九十話を超えた辺りからなぜかフェイトだけで無くみんな俺の側に集まっている、何故だろう?
「何でって、そりゃあブレンのその刀がマジでやばい雰囲気出してるからでしょ!! 絶対三桁は殺してるわよその刀!!」
「言い出しっぺの私も流石に怖くなってきたんだけど……」
(吸血鬼だからかなぁ。 物凄くあの刀から血の匂いがするんだよね、存在感も半端じゃ無いし怨念とか付いてそうで普通に怖いです)
「ねぇブレン、早く終わらして寝ようよぉ……」
「そ、そうだよ、みんなでお布団くっ付けて寝ようよ、ね?」
たかが刀一本に全員が全員怯えきってしまっている、どうせなら初めから出しておくべきだったのだろうか、そんな思いを抱きながら俺は百話目の話を始めた。
「じゃあ俺からとっておきのお話を一つ。 あの障子の外に見える影は何かな?」
そう言って、俺が指差した先には月明かりに照らされ、障子に映し出された巨大な蠢くナニカだった。
ガタガタと障子を揺らしながらゆっくりと開けるそのナニカ、それは巨大な一つ目とニタニタとした笑いを浮かべた黒い塊だった。 例えるならバックベアードに巨大な口を付けてニタニタ笑わせたような物か。
なのは達が悲鳴を上げるより早く、こんな事もあろうかと義手に収納していたナイフをその巨大な目玉に投げ付ける。
深々と眼球に突き刺さるナイフ、それによって奴はノイズが混じったような耳触りな悲鳴を上げる。 その隙にフェイトが抱き付いている左腕をパージすると同時に踏み込み、足元の混沌の刃を回収しながら一気に彼我の距離を詰める。
片手で混沌の刃を抜刀し、怒りのあまり大口を開けて俺を飲み込もうとしている奴へと飛び込み、内側から彼を真っ二つに両断。 いっぺんも残さないように滅多斬りにして奴を力尽くで除霊した。
後ろを振り向くと、義手という事をみんな忘れていたのか俺の腕が捥げた事で失神してしまっていた。 道理で静かな訳だ……。
危なげな気配も去った、残る問題は、気絶したみんなの中から三名程シャワーを浴びさせ無いといけない状態になっている事だ。 着替えも必要だろうし、さてどう起こした物か…………。
本当に、この世界に来てからは戦い以外で窮地に立たされる事が多いよ全く……。
おもらしメンバーはA/BさんとF/TさんとA/Tさんです。
名誉の為に実名は伏せましたが、ブレンくんは責任取らないと行けないよね(白目)