不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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復讐鬼の登場です、彼も良い感じに逝かれて私も満足。

変態医師も居るよ(白目)

追記

送信ミスにて再投稿です、申し訳ありません。


不屈の体現者 74

第七十四話 嵐の前の静けさ

 

 

ある日、クロノから連絡が入った。

 

なんでも俺の存在が上層部、並びに聖王教会にバレてしまったらしく、連れて来いと煩いとの事。 今までのらりくらりとボカしていたらしいのだが、それにも限界来てしまったとボヤき、『老人達はせっかちで困る、老い先が短いのは分かるがもう少し腰を落ち着けて欲しいね』と毒吐いて居たのが印象的であった。

 

又彼の話によると短くて三ヶ月、長くて半年は向こうに留まる可能性があるらしい。 その話を聞いたなのはが『私も行く!!』と言ってくれたのだが、『今回の件は下手をすると陰謀話などに巻き込まれる可能性もある、ブレンはその辺りの嗅覚が優れているからともかく、一般人の君を連れて行く事は許可出来無い』と言われてしまい、見るからに肩を落としていた。

 

そう言った事は普通向こうが守ってくれる物では無いのだろうかと思ったのだが、クロノは『狂信者やそれを利用する輩は何をしてくるか分からない、太陽の信徒は管理局員にも居るからね』と言う返答を返してくれた。 嘗ては太陽の信徒は変人扱いされていたと言うのに、太陽信仰も随分な物になった物だな、ソラールも鼻が高いだろう。

 

『近い内に迎えに行くから準備をして置いてくれよ』と言って彼は通信を切った。 流石に長期間向こうに滞在する事になると、父さん達にも魔法の事も含めて事情を話さねばならないだろう。

 

項垂れているなのはを起こし、俺は父さん達に話がある事を伝えてみんなをリビングへと集めて貰った後、デバイスや障壁、ソウルから物を取り出して見せたりと、魔法やそれに属する物を実践しながら今までの事を話し、なんとか口裏を合わせてくれるように頼み込んだ。

 

父さん達は案外すんなりと受け入れてくれて、ミッド行きを許可してくれた。 昔の仕事柄、こう言った話も多少は知っていたらしく、あまり驚きは無かったようだった。

 

暫く会えなくなるからと言う事で、その日から俺がミッドチルダに向かうまでの数日間は片時も離れずなのはの側で過ごした。 待ち合わせの日時に、俺は万一に備えてシフに留守番を頼みながらクロノの元へと向かった。

 

 

久々に会った彼は、待ち合わせの場所で煙草をふかしながら手持ち無沙汰に俺の事を待っていた。 約束の時間の10分前だと言うのに彼は設置されている喫煙所で灰皿が山盛りになっていて、ゴミ箱にも煙草の箱が山の様に積まれていた。 其れ程ストレスが溜まっていたのだろうか? 見れば彼の吸っている煙草も形が悪く、しけもくを吸っているようだった。

 

俺に気が付いた彼は『漸く来たか……』と溜息混じりにこぼしながらしけもくを握り潰し、灰皿に捩込むと俺を連れてアースラへ転移するのだった。

 

 

 

 

 

ブレンがクロノ達と合流し、ミッドチルダへと向かったのと同時刻、とある世界の研究所にてある博士によって最後の強化手術を施された少年が目を覚ました。

 

この少年は嘗てブレンに全てを奪い尽くされた転生者だった。 復讐に燃え、その刃を磨く為に幾多の戦場で無差別テロを繰り返し、己が成りたいと思った人物と真逆の行為をしながら自身の強さを確固たる物とした。

 

戦い、戦い、戦い、復讐の為にはもっと強く、もっともっと強く、その為には血で血を洗う戦争が必要だ。 討つべき相手を超える為、何時しか幼い彼は修羅となり、戦いを煽動する悪鬼となって行った。

宗教家を煽動し、革命家を唆し、民衆を立ち上がらせる。 持ち前の能力で金を量産し、それを資金源に彼らを戦わせ、裏では政府軍などとも繋がりを持ち、そちらにも金を流して戦いを泥沼化させる。 そんな阿鼻叫喚な地獄の中を彼は復讐の糧にするために戦い続け、とある博士と出会った。

 

その博士は傲岸不遜に笑いながら少年の作り上げた地獄を見てこう言った。

 

『私と組まないかね?』と、正直少年はこの話を蹴るつもりであったのだが、裏の人間として彼と彼のパトロンになっているとある『財団』の噂を思い出し、とある条件と引き換えに彼と手を組んだ。

 

その条件とは、あらゆる技術を使って自身の肉体を強化してくれ、副作用や拒否反応等のリスクを全て度外視し、戦う為だけの肉体に仕上げてくれと言う物であった。

 

博士と財団は喜んで彼に強化手術を施した、神経系を光ファイバーに置き換えることで反応速度を向上させ、肉体に入力コネクタを埋め込み、デバイスの操作・制御系との直結を可能にする、心肺機能、骨格、筋肉組織の強化、人工血液の使用などによる対G特性の向上等、少年の肉体にメスが入らなかった部分は無く、脳以外の全てが作り変えられた。 最早機械のサポートが無ければ日常生活は過ごせず、気が狂うほどの副作用と拒否反応にもがき苦しみ、血反吐を吐きながらも復讐の炎を燃やし続けていた。

 

そんな少年への最後の手術が終わり、彼も復讐に向かう為に準備を整えていた。

 

「ドク、例のデバイスを俺に渡してくれ」

 

「『アレサ』の事かね? あんな物を使用するとは、君も随分と物好きな少年だね」

 

「どのみち俺はろくな死に方をしないから構わない、早く寄越せ」

 

「そんなに慌てなくともちゃんと渡すさ、安心したまえ。 しかし滑稽な話とは思わないかね?『人類史に残る最悪の遺物』を『人間に可能性など在りはしない』と言う財団が更に改造し、それを『人間の可能性を謳った不死の英雄』を討つ為に使用するとはいやはや、現実は小説より奇なりとは言うが、それにしては出来過ぎな話だね」

 

「ふん、あの男は『英雄』でも、ましてやあの『石碑』に描かれていた『太陽の王』ですら無いよ」

 

「ほう? では彼は何なのかね? あの『石碑』を発見し、且つそこに記された内容を感じ取った君自身がその正体を不死の英雄本人であると断定したと私は記憶しているのだがね」

 

「確かに肩書きはそうだろうさ、『不死の英雄』『太陽の王』『不撓不屈』どれも奴で間違いない。 だが昔はどうだったか知らないが今の奴は――――」

 

 

――――――ただの死にたがりだ。

 

彼はそう言い残し海鳴市へと向かうのであった。




次回はAs前まで一気に飛びます。
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