殺意MAXのブレンの猛反撃の始まりです。
手加減? うちのシマじゃノーカンだから(震え声)
弱いものイジメ? 神は得てして理不尽です(白目)
それとね、ブレン以外にもチート疑惑のあるプレシアママが居る訳ですよ、例え生き延びたとしても…………あっ(察し)
第七十七話 英雄の力
赤いお下げ髪の少女は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながら目の前の少年に目を合わせる。 尋常ならざる殺意と威圧感を振りまき、怒り心頭な状態にも関わらずその剣閃に乱れが無い、その事から激情の中に冷静さを持たせるタイプだと判断し、完全に藪蛇だったと彼女は後悔する。
横着せずに地道にちまちまやってくべきだったか。 しかしこうなってしまった以上もう遅い、相手は太陽の聖遺物を手足の様に使いこなしているから只者では無い事は一目瞭然、更に容姿も不死の英雄と瓜二つと来た。
彼女がその事実に舌打ちをしていると、自身の背後に切れ目が生じた。 振り向けば剣を振り上げた少年が其処から斬り掛かって来て居るのが分かり、彼女はそれを受け止めた。
何故彼が背後に現れたのか、それは先ほど切り開いた世界の切れ目を更に斬り裂き、お下げ髪の少女の背後への道を作ったと言う離れ業をやってのけたからだ。
彼は鍔迫り合いの状態からそのまま刃を押し込み、デバイスを両断、ガラ空きとなった胴体に暗銀の残滅を突き立てる。 彼はその状態から貫いた刃を捻り、傷口を抉りながら猛毒を投与、更に全身を黄金の残光によって滅多斬りにする。
それによって彼女は全身から噴水のように血を吹き出し、神代の猛毒に蝕まれながら地表へと落下して行くが、デバイスを両断されながらも彼女は急所だけは回避し、即死だけは免れていた。
しかし彼女の足掻きも其処まで、ブレンは落下中の彼女の首を掴み、義手で締め上げながらアルトリウスの大剣を心臓に向ける。
「さようなら、名も知らぬ少女よ。 君の不運は私の女神に手を出した事だ、十二分に後悔して死んで行け」
「…………ちく、しょう」
大量出血と全身を巡る猛毒に指一つ動けなくなった彼女は、絞り出すような声でそう言うしか無かった。
そして、ブレンの凶刃が容赦無く彼女の心臓を貫こうとした時、彼の頭上に人影が差し掛かる。
「紫電、一閃!!」
炎を纏った剣を振りかぶり、上空からブレンの身体を両断しようとシグナムの奇襲が襲い掛かる。 彼女はブレンの垂れ流している魔力を頼りに、お下げ髪の少女の元へと加勢に訪れたのだ。 だが、雄叫びと共に振り下ろされた斬撃は彼を斬る事は無く、その寸前で止まってしまう。
何故なら、ブレンは彼女のその刃を防ぐ為に自分が首を絞めている少女を盾にしていたからだ。 戦いにおいて、凡ゆる手段を講じる彼にとって、この行為は至極当たり前であり、且つこれだけでは終わらせない。
彼は動きの止まったシグナムの前に虫の息のお下げ髪の少女を投げ付ける。 当然彼女は反射的に少女を抱き留めるが、その隙を逃す彼では無く、彼女が気が付いた時には二人を纏めて斬り捨てようと剣を振りかぶっていた。
既に回避が出来る段階では無く、攻撃を防ごうにも虫の息の少女を手放す訳には行かない。 万事休すかと思われたが、この状況で更に新たな闖入者が現れる。
転移と共に現れたのは青いバリアジャケットを纏った白髪で筋骨隆々の浅黒い男性。 彼はブレンの隣に現れると同時に彼を横合いから殴り付け、力尽くで地面へと叩きつける。
「すまないザフィーラ、助かった……」
「構わない、それよりもヴィータは?」
「まだ息はある、だがこのままでは……」
「シャマルも来ている、彼は私に任せて治療にーー」
彼がそう言った瞬間、腹部に槍のような矢が突き刺さる。 それは先ほど地面に叩き付けたブレンによって放たれた鷹の目の矢、黒竜カラミットを墜としたその矢は、バリアジャケットなど容易く貫通し、彼の身体に大きな風穴を開ける。
下を見れば、無傷のブレンが竜狩りの槍とハルバードを鷹の目の大弓に番えている所であった。 刀身が帯電する槍と全てを焼き尽くす炎を纏った斧槍、彼らが回避しようにも手負いの状況、そんな状態ではブレンからの狙撃を避けられはしない。
だが、番えられたそれらが放たれる事は無かった。
突如としてブレンの胸から生えた女性の物らしき手、彼は気が付いて居なかったが、結界を内側から撃ち抜く為に密かにスターライトブレイカーを展開していたなのはの胸からも同じ手が生えていた。
そしてその手が握っている物、それはリンカーコア。 元々今回の襲撃はコレを狙った物であった。魔法を扱う為に必要不可欠な器官の蒐集、それによってある物の完成を目指す事、これが彼らの目的であった。
「ふぅ、何とか上手くいったわね」
物陰から二人の魔力を一冊の本に蒐集している金髪の女性、シャマルは次々に埋まって行く頁に驚きを隠せなかった。
(あの白い子は20頁、銀髪の子は、70…80…90…100頁!? 嘘!? まだ蒐集が終わらないの!?)
ブレンの良質で膨大な魔力を蒐集し続けている彼女は夢中で気が付いていなかったが、なのはは蒐集される痛みに耐えながらも強引にスターライトブレイカーを放ち、力尽くで結界を撃ち抜く。
それに慌てたシャマルは急いで全員で逃走を図ったのだが、ブレンに腕を捕まれ引き抜けない。 そして、ブレンは引き抜こうと悪戦苦闘している彼女の腕を頼りに、アルトリウスの大剣で自分の胸ごと彼女を貫く。
串刺しにされた彼女は、まだ蒐集途中のリンカーコアを丸ごと引き抜く事で、内臓を引き抜かれるような激痛を与え、なんとか一瞬だけ彼の拘束を弱め、その隙に全員の撤収に成功する。
後に残されたのは気を失ったフェイト、なのはと二人を治療するユーノ、そして内臓を無理矢理引き抜かれた程度の痛みに一瞬だけ気を抜いた事に苛立ちを隠せないブレンだった。
まあ、ブレンのリンカーコアを引き抜いたんだから成果としては上々だよね(白目)
尚、四名中三名が負傷、内一名は虫の息の模様(白目)
更に撤退フェイズにはプレシアの鬼追撃が待ってるよ(白目)