不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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ブレンを蒐集したおかげで闇の書が582頁埋まってると言う脅威(白目)


不屈の体現者 79

第七十九話 戦いの後

 

胸に突き刺さったアルトリウスの大剣を引き抜き、シフを再召喚しながらその背に乗って、なのはの元へと向かおうとしたのだが、俺は月明かりの大剣をなのはに渡していたのを失念していた。

 

徐々に瞼が重くなって行き、なのはの所に着く頃には気を失ってしまった。 結局次に目を覚ましたのは翌日の朝、管理局の治療室のベッドの上だった、我ながら情け無い。

 

ナースコールを押し、担当医と看護師が到着した後、ベッドから飛び起きてなのはが無事かどうかを真っ先に聞く、医者は安静にしていろと抜かしていたが、自分の身体の事など後回しで良いしどうでも良い、そんな些細な事よりもなのはは無事なのかと詰め寄ると、医者は呆れながらも彼女は無事だと言う返事を返してくれた。 俺はその返事に安堵しながら彼女の状態を詳しく聞くと、リンカーコアが極端に弱っている程度で、身体の怪我も既に完治していると言う。

 

だが、反対に俺の身体は割と深刻な状態だったようで、先ずリンカーコアが丸々抜き取られて居る為、最悪の場合二度と魔法が使えなくなると言う事と、胸の傷は心臓を掠めるように貫かれており、下手をすると心臓の傷が開く恐れがある為当分の間は絶対安静だと厳命されてしまった。 そもそもこんな重傷を負っていながら翌日には目を覚ます事自体が異常だと医者は言うが、この程度の傷で寝込んでいられるか、自分で付けた傷で再起不能になるなど良い笑い物だ。

 

それと、リンカーコアに関しては本来ならそれを丸々抜き取られた時点で二度と魔法が使えなくなる筈らしいのだが、俺の場合はそのリンカーコア自体が再生しているようだと言っていた。 この件は医者も首を傾げていたが、どちらにせよ長期間魔法が行使出来ない事には変わりないし、リンカーコアの再生に関してもこの身体は生前の肉体を使用した触覚であるから、本体の魔力をこの身体に供給をすれば再生させられる事も可能だ。 要するに現在絶大なヒーリング効果を持った月明かりの大剣が手元に無いので、仕方無しに本体から魔力を引っ張ってきていると言うのが真相だ。 まぁ、人間の身体と神格の身体では魔力の質が雲泥の差なので調整を間違えれば一瞬でこの身体がダメになってしまうので、あまり好ましい手段とは言えないが。

 

医者が去った後、俺はまだ付け替えたばかりの点滴の袋を握って一気に薬を全て身体に送り込んでから針を剥がし、服を着替えて今度こそなのはに会いに行く。 病室のドアには面会謝絶と書かれていたが此方から会いに行く分には問題無い筈だ、異論は認めん、断じて認めん、私が法だ、黙して従え。

 

貧血気味の所為か少々足元がふらつくが、なのはの魂を探りながら歩き回る事数十分、フェイトと共に自販機の側にあるベンチに俯きながら座っているのを発見した。 どうやら面会謝絶の張り紙を見て肩を落として居るようだ、余計な事をしてくれたものだな。

 

どう声を掛けた物かと悩んでいると、気配を感じて二人がほぼ同時に顔を上げる。 視線が交差し、彼女達の瞳に大粒の涙が浮かぶ、やがて二人同時に俺に泣きつき、静かに涙を流して行った。

 

落ち着いてから話を聞くと、医者からは当分目を覚まさないだろうと言われており、面会謝絶だったから不安だったと言う事、なのはに関しては昔の事を思い出して余計に不安だったと言う事だ。

 

 

「なるほどね、でも安心して良いよ二人とも」

 

「「どうして?」」

 

「俺はこの程度じゃ死なないさ、いや寧ろ死ねないって言った方が良いかもしれないな」

 

 

彼女達は首を傾げているが、俺が死ねる条件は『俺が認めた人間の手によって討たれる』と言う事と『ある程度本気を出した戦いで敗北する』と言う事、この条件以外では真の意味で俺を殺す事は出来無いし死ねないのだ。勿論自害など無駄、神になった直後何度首を切り、心臓を抉りだした事か。 その死ねる条件も、分かるまで数万年掛かったのだが。

 

取り敢えず、泣き止んだなのは達と共に医者に見つからないようにさり気なく地球へと帰る。 荷物はソウルにしまってあるし、どうせあの医者は暫く俺をベッドの上に固定するつもりだろうから居るだけ無駄だ、これ以上なのはと離れ離れになりたくないしね。

 

ただ残念な事に、月明かりの大剣は修理中のレイジングハート内に収納されたままだと言う、アレがあれば直ぐに戦えるようになるのだが、まあ仕方ない。 いざとなったらエリザベスの秘薬を使用する事も視野に入れれば良いしね。

 

堂々としていれば案外バレない物で、医者に気取られる事無く無事に帰宅出来た。 フェイトと別れ、家の中に入ると、母さんや姉さんからは『心配した』と抱きしめられ、父さんや兄さんからは『もっと自分の身体を大切にしろ』と長々と説教された、その最中に口が滑り『それは無理な話だ』と零してしまい、今度はなのはや母さんまでも説教に加わりだして収拾がつかなくなってしまった。

 

その後、疲れ切った俺は姉さんとなのはに風呂へと連れて行かれ、全身を丸洗いされる。 なすがままの俺は姉さんの膝の上に座らされ、正面からはなのはに抱き着かれながら湯船に浸かる。 風呂上がりにはなのはが嬉しそうに俺の髪を乾かし、色々な話をしながら夜を過ごし、なのはの部屋で一緒に寝る事となった。

 

 

漸く自分の日常に戻って来たと言えば聞こえは良いが、これが俺の日常だったっけ?

 

 

 




怪我による戦線離脱、まあ有って無いような物ですが、一応休息期間という事で。

死に掛けの重傷を意に返さないブレン、ロードランは命が二束三文で叩き売りされてた世界だったから仕方ないね(白目)
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