不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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今回復讐鬼君の襲撃回です、魔法の秘匿? なにそれ美味しいの(白目)


不屈の体現者 81

第八十一話 復讐劇の始まり

 

 

あの男が守護騎士との戦いで心臓に大きなダメージを抱えて数日、半年ぶりの日常とやらを堪能しているようだが、そんな物俺の手でぶち壊してやるよ。 この数年で奴の戦闘データから人間関係、普段の生活などの情報を全て脳内に記憶した。 致命的な癖も、苦手とする手合いも、全て調査済み。 更に奴の担当医や治療に関わった医療スタッフ全員を買収し、心臓以外にもう一つ存在する重大な傷、肺への裂傷を伝えないままにさせてある。 それと、昨晩奴はあの月明かりの大剣とやらも高町なのはに手渡しているようだから傷が塞がっている可能性は零、残りの聖遺物には傷を癒す力は無い、もう少し奴が疲弊するのを待つつもりだったのだが又と無い好機、今から殺しに行ってやるよ死にたがり。

 

 

冬の朝、復讐に燃える少年は強化手術の後に手渡された安定剤を服用しながら廃ビルの中から通学バスへと弓を構え、矢の代わりに捩じくれた剣を番える。 少年は冷酷な笑みを浮かべ、一般人が同乗しているにも関わらず、その剣を射出する、放たれた剣は空間を抉り取りながらバスを撃ち抜き、最後部を喰い千切る。

 

しかし、ターゲットの彼は少年の殺していた殺気をバスの中から感じ取ったのか、射出されたその剣を義手で掴み止めていた。 更に、数キロ先であるにも関わらず視線が交差する、少年は親指を立てて首を切る動作をし、再度同じ剣を構える、次の狙いはターゲットの側に居る高町なのは、少年にとって彼の側に居る人物全てが憎悪の対象でありターゲットが命より大切にしている少女へとその復讐の刃を向ける事は至極当然であった。

 

容赦無く放たれる第二射、狙い澄ましたその剣は真っ直ぐになのはの眉間に向かって行く。 ターゲットはデバイスを混沌の刃にし、その刃を斬り払おうとするが、刃が剣に食い込んだ瞬間、二つの剣が大爆破を起こす。 ターゲットは爆発の瞬間に自分の周囲の少女を蹴り飛ばし、爆心地から遠ざけてはいたが、代わりにろくな回避行動が取れずに爆風に身を焼かれていた。

 

 

思った通り、奴は高町なのはの身の安全が最優先、その次に自分の周囲の人間で最後は自分、それと奴は四肢の欠損のように、直接戦闘に支障が出るような怪我は避けているようだが、それ以外のダメージに関しては意に返して居ない。 今も立ちはだかるように砕けたデバイスを片手に立っている、偽・螺旋剣を握っていた義手は粉砕し、左半身は大きく焼け爛れ、見るからに重傷だ。

止めを刺す為に、第三射を放とうとした矢先、奴の使い魔が俺に目掛けて特攻を仕掛けて来た。 それは想定の範囲内、使い魔の速さも熟知している。 だから俺は前以てこの廃ビル内部にピアノ線を張り巡らせてある、突入と同時に肉片となってしまえ。 こっちだって効き目が悪い癖に短時間しか保たない安定剤の所為で一回の戦闘で戦える時間は限られているんだ、貴様のような雑兵に一々構っていられるか。

 

狙い通り、あの犬はピアノ線の前に鑪を踏んでいる、重傷とまでは行かなかったがそこそこの傷を負わせる事が出来た、ピアノ線には毒も塗られている、暫くのたうちまわってろよ。

 

三発目の偽・螺旋剣を放つ瞬間、奴が高町なのはから月明かりの大剣を受け取ったのを見てしまった。 舌打ちしながら構わず放ったものの奴の剣によって偽・螺旋剣を消し飛ばされてしまう。 よく見れば何時の間にか結界が展開されている、デバイスが破壊される前にでも展開したのだろうな。

 

第四射を構える前に目の前の空間に切れ込みが入る、恐らく奴が俺との距離を無理矢理斬り開いて居るのだろう、干将・莫耶を投影し、奴の出現に合わせて斬りかかる。この男への攻略法はただ一つ、捨て身で行う絶え間ない攻撃、それしか無い。

 

隻腕の奴はこれを月明かりの大剣を盾にして防ぐだろう、だからそれに合わせて干将・莫耶を手放し、奴の手首を掴んで背負い投げ、地面へと叩きつけ、奴の胸を全力で殴り付ける。 強化人間となり、並々ならぬ膂力を手に入れた俺の拳は奴の肋骨を粉砕し、心臓と肺の傷を開かせる。

 

そのまま首を刈り取ろうとしたのだが、奴は咄嗟に手元の月明かりの大剣を暴発させて俺を引き剥がしにかかる、吹き飛ばされながらも受け身を取り、再び干将・莫耶を投影して奴の目を睨み付けようとして背筋が凍った。

 

 

見るからに満身創痍、胸からは夥しい血が溢れ出し口元もドス黒い血で濡れている。 美しい銀髪は鮮血で染まり、身体はふらついている、今奴は発狂しそうな痛みに襲われ、消え行く生命をありありと感じさせられている筈だ。 戦場で見た連中の多くは、絶望や恐怖に襲われた表情を浮かべ、少数の奴らが諦めの悪そうな表情や気概で相手を殺そうとするが、こいつは笑ってやがる。

 

愉快そうに嬉しそうに笑ってやがる、ああ胸糞が悪い、こんな死にたがりの狂人の所為であの二人が死んだと言う事実が腹ただしい。 こいつもこの世界も、何もかもが下らない、あの二人の生命を奪ってまで存在して良い世界では無い!!

 

そう思った瞬間、奴の口から冷たい声が発せられた。

 

 

「『あの二人の生命を奪ってまで存在して良い世界では無い』か、この世界を創世した本人を前にして言うセリフでは無いね、口から漏れていたよ」

 

「………………貴様と話す舌など持たん」

 

「クククッ、随分と威勢が良いものだ。 ならば問わねばなるまい、君の望む新世界を、君と同じ、存在する価値の無い神の玩具であったあの二人と釣り合う新世界、君はどんな世界が欲しいのかね?」

 

「…………言った筈だぞ、貴様と話す舌など持たないと!!」

 

奴が妙な事を口走り、完全に無防備となった隙に斬り掛かる、こんな問答を交わす必要は無い、ただの戯言だ。 薬の効力もあと少しで切れてしまう為、急いで殺し切る必要がある、一秒も無駄に出来はしない。

 

しかし、此処から奴への攻撃が一太刀も届かなくなってしまった、剣を振る度に破壊され、干将・莫耶の引き合う性質を利用して背後から奇襲を仕掛けても斬り払われてしまった、そして、いよいよ身体に不調が出始める。全身に走る拒絶反応の痛みと手の震え、動悸、息切れ、まともに戦える状態で無くなり、思わず膝を付いてしまった。

 

奴はそんな俺を鼻で笑いながら首元に剣を突き付け、先ほどの問答を続け始めた。

 

 

「私を討つと言う事は、即ち私に成り代り世界の全てをその手に納めると言う事だ。 当然、君はこの不愉快な世界を焼き尽くし、新たに自らの望んだ世界に染め上げるだろう。 だが、私は既にこの世界を譲る相手を決めているのだよ、それは君では無いが、ある意味君は私が見込んだ男でもある、答えによっては君に譲ってやっても構わないのだがね?」

 

 

この男には責任と言う物は無いのか!? 仮にもこの世界を作った神なのだろう? こいつはそれを放り出すと言ってるようなもんだ、ふざけやがって!! 此奴はとことん屑だ、死ぬ事しか頭に無い!!

 

俺はデバイスを起動し、別の拠点へと転移する。 今の状態では犬死するだけだし、この胸糞悪い男の前で倒れ込むような真似をしたく無かった、もし倒れるような事があればそのまま殺されていた筈だ。

 

それと、俺が転移する間際、先ほどの歓喜の表情が嘘のような冷たい表情を浮かべた奴の言葉がやけに耳に残っていた。

 

 

ーーーーーーこの問いに答えられ無い貴様に、私を討つ価値や生きる価値など在りはしない、期待外れだよ。

 




対ブレン用に色々戦略立てた転生者君、やはり強化人間化が祟ったね(白目)

次の出番は決戦までお預けかな(適当)
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