なのは=超超火力。
フェイト=超超速度。
今回は出ませんが、フェイトのソニックフォームはチート級な性能(スタープラチナ・ザ・ワールド)となります。
第八十五話 リベンジマッチ F
なのはとヴィータの戦闘が開始されたと同時に、その上空ではフェイトもまたシグナムとの戦闘に勤しんでいた。 しかし状況は芳しくなく、彼女もなのはと同じく高性能なデバイスに振り回されていた。
フェイトの戦闘スタイルの肝心要であるスピード、それの微調整が難しく、デバイスで斬り掛かる際に望んだ速さを超える圧倒的な速度を叩き出してしまい思うように戦えない。 一歩踏み出す度に周りの景色がスローモーションになり、その中を自分だけが元の速さの感覚で動いている、足を止めればスローな世界は元に戻り、感覚の擦り合わせが上手くいかない彼女は決定打を与えられ無い。
対するシグナム、彼女もまたフェイトと同じく決定打を与えられずに攻めあぐねいていた。
フェイトの速さ、それは既にシグナムの手に負える物では無くなり、反射的な動きでしか捉える事が出来なかった。 現れたと思えば消え、消えたと思えば現れる、斬撃の瞬間には姿を表すのでシグナムはフェイトの姿が見えた瞬間に彼女の一閃を避け、斬撃を放つも、目視からの回避によってその攻撃は空を切る。
このままでは負けはしないが勝てもしない、そう確信したフェイトはスローモーションな世界の中で、立ち止まる事無くシグナムを斬り捨てに掛かる。 緩慢な動きのシグナム、彼女は剣を納刀し居合いの形に合わせている、狙うのは居合いの届かない背後。
フェイトはシグナムの真横を一直線に駆け抜け、肩から魔力を放出する事でターンを掛ける、サイズフォームのバルディッシュから放たれた回転斬り、鎌の切っ先がシグナムの背に突き刺さり、半ばまでその刃が背中へと食い込む、バルディッシュに宿る雷の力、それはシグナムの身を容赦無く焼き焦がす。
フェイトはそのまま強引に斬り裂こうとするも、バルディッシュの柄をシグナムに掴まれ、その華奢な身体に鋭い膝蹴りを叩き込まれる。 フェイトの白く柔らかな腹部に突き刺さる槍を思わせるような一撃、実はシグナムもフェイトと同じタイミングで、回避する事を捨てカウンターによる重い一撃を浴びせる事を思い付いていた。
肉を切らせて骨を断つ、居合いの構えはその為の囮でもあった。前回の戦いにおいてシグナムはフェイト最速の一撃を両断して見せた、その事はフェイトも忘れる筈は無く、今回にしてもそれを十分に意識していた。
だからこそ彼女はカウンターを貰わないように背面への攻撃に的を絞って一撃で沈めようとしたのだが、逆に言えばそれは読み易く、誘導し易い物であった、シグナムは居合いの構えを取ることで攻撃範囲を限定し、正面から攻撃される可能性を排除した。残るは側面だが、居合いの構えなのだから横薙ぎに一閃する物、射程範囲はギリギリ側面にも届くため、万全を期すならばこれも可能性が低い。 なので最後に残った背後に気を向けていれば、攻撃の瞬間にカウンターを合わせる事は難しくは無い。
シグナムは手応えを感じてはいたが、フェイトのバリアジャケットが以前とは比べ物にならないほど硬く、然程堪えているようには思えなかった。 シグナムは咄嗟にフェイトの右手首を握り、逃がさないようにしながら全く同じ箇所へと膝蹴りを突き立てる。
フェイトは二度目の膝蹴りを左手で受け止め、シグナムの顎先を鋭く蹴り上げる。 彼女は同じく左手でその足を受け止めたのだが、ブレンによる派生強化はバリアジャケットにも効力が及んでおり、受け止めたシグナムの手の平に再び電流が走る。 それによってシグナムの身が竦んだ隙に、フェイトは身体を弓のようにしならせ、握られている右手首を重心に、受け止められた足を横へと開いてシグナムの両腕を開かせ、その顔面を殴り付ける。
シグナムの顔面に突き刺さる拳、そしてその一点から走る雷、彼女の意識が一瞬途切れ、その隙をバルディッシュが突く。 バルディッシュのコアを中心にして放たれた奇跡『フォース』殺傷力は無いのだが、相手を吹き飛ばし体勢を崩す力を持った魔法で、インファイトに持ち込まれた状況から脱するのには丁度良い魔法であった。
至近距離からフォースを浴びて吹き飛ばされるシグナム、フェイトはバルディッシュから指示を受け、そのままシグナムへ向けて槍投げのように杖を構える。 バチバチと帯電して行くバルディッシュ、それは嘗て不死の英雄の友であった『太陽の戦士 ソラール』が使用した奇跡『雷の大槍』であった。
豪快なフォームから投げるように射出された雷の大槍、それにシグナムは驚愕の表情を浮かべながら斬り払おうとしたのだが、雷の大槍はその斬撃をすり抜けて胸を貫く。
フェイトは何気無く使用した奇跡であったが、ベルカの騎士にとっては奇跡、魔術、呪術はとても大きな意味を持っている。 それらはベルカが存在したその時代ですら失われた伝説の魔法、不死の英雄の伝承の中でしかその存在が確認されていないその代物を、目の前の魔導師は使用して見せた。 それも、太陽信仰の教祖『ソラール』の奇跡である、太陽の信徒である彼女は湧き上がる歓喜が堪えられなかった。
長い戦いの中で『奇跡』を、それもあの『太陽の戦士 ソラール』の使用した奇跡だとは、直に目にしたのは今回が初めてだ、ふふふっ年甲斐も無く心が躍るな。 下を見ればヴィータの方も『呪術』を使う者と戦っているようだな、それにしても向こうは『混沌の呪術』か……。 ヴィータは『不死の英雄』を一番尊敬しているからな、あの少女も災難な物だ。
シグナムは笑いながら長い戦いの中で最速の敵である『フェイト・テスタロッサ』を相手に本気を出すことに決めた。 彼女はヴィータのように敵意がある訳では無かったが、目の前の少女に加減をするのは無礼であると感じたからである。
「名を聞かせてはくれないか?」
「フェイト、フェイト・テスタロッサ。 貴女は?」
「我が名は『剣の騎士 シグナム』。 テスタロッサ、これからは此方も殺す気で行く、恨めよ」
「恨むなら、私自身の未熟さを恨みます」
シグナムから表情が消え、触れれば斬れる刀のような雰囲気を身に纏う、フェイトは生唾を飲み込み、殺気に震えそうになりながらも自身に喝を入れる。
戦いは殺し合いに移行して行った。
守護騎士となのは達の殺し合い、その直ぐそばで行われているアルフとザフィーラの使い魔同士の殴り合い、其れ等を隠れ蓑にクロノが動き出していた。
『ブレン、僕はこれから結界の外に出る、なのは達への指示は君の判断に任せる』
『本命を叩きに行く気かい?』
『そうだ、奴らは闇の書を持っていなかった。 どういう訳だか知らないが仲間意識どころか家族意識を持っている彼らは仲間を見捨てはしないだろう、だったら残りの一人も闇の書を持って周辺に居るはずだ』
『結界の中は?』
『瓦礫すら無い更地だぞ? 隠れる場所など無い』
『だろうね、リンカーコアには気を付けろよ?』
『そんなヘマはしないさ、万一逃しても大丈夫なように『小道具』も用意してあるさ』
『その『小道具』とやらは人に言える代物かい?』
『使った事がバレる奴は二流だよ』
クロノは軽口を叩き、残る一人の捕縛の為に結界の外へと転移して行った。
不死の英雄伝 〜 舞台裏 〜
NGシーン ヴィータの英雄伝講座
はやて「うーん」
ヴィータ「如何したんだ、はやてー」
はやて「いやな、『不死の英雄伝』って神話の本があるんやけどな? 物によって解釈がまちまちでどれが本当なのか分からんのよ」
ヴィータ「どれどれ? あ〜、此奴は端折ってある奴だな、英雄が負けたりするのがイメージ悪りぃって馬鹿な理由で大分話が脚色されちまった奴だ、まだマシな方だけどな〜」
はやて「おお〜、詳しいんやなぁ」
ヴィータ「んで、こっちが布教用の奴、ウーラシールと放浪者の話がカットされてるけど他の内容は手が加えられてない奴でこれがこん中で一番詳しい奴かな? これが童話とかみたいな感じで子供にも分かり易くしてある奴、後それが馬鹿みてぇにあれこれ付け足して不死の英雄を最強で無敵な存在に仕立て上げたくっだらねぇ粗悪本。 何が無敵神話だよ、不死の英雄はどんな手を使ってでも必死で戦うから魅力的なんだろうが!! 才能も無い凡人で戦いのいろはも知らない状態から、不意打ちや騙し討ち、ナイフや火炎壺、果てには髪の毛まで、兎に角使える物はなんでも使って奇襲や奇策を練って格上相手に戦い抜いたんだ!! 決っして才能なんかじゃねぇし最強でも無敵でもねぇんだ!! んな基本的な事も分からねぇ馬鹿司教共が勝手に改変しやがって、その所為でこんな物が一般的になっちまってるんだよ!! 糞が!! 巫山戯やがって!!」
はやて「あ、あははは」