現在のマヌスの容姿は非常に色っぽいリィンフォースです。
女の身体だと色仕掛けにしろ洗脳にしろやり易いからね(白目)
第九十一話 蘇る悪夢
闇の書を完成させた邪神は仮初めの肉体を手に入れた。 流れるような銀の長髪、背中に生えた堕天使を思わせる漆黒の翼、グラマラスな肉体、ハリとツヤのある肌、妖艶な姿をした女性となった邪神は、自らの野望の為、不死の英雄に復讐心を燃やしている少年の元へと転移した、人間の負の感情の塊である彼にとって、自らの全てを掛けてまで不死の英雄への復讐に望む少年の居場所など手に取るように分かる。
復讐に燃える少年は、自らの拠点で強化手術の後遺症と拒絶反応に苦しみ悶えて居た。彼は突然の侵入者に対してエクスカリバーを投影し、その首元へと突き付ける。
「な……に、もの、だ」
「恐れる事は無い、我は貴様の味方だ」
「…………み、かた、だと?」
「そう、味方だ。 力をやろう、神をも滅ぼす闇の力を。 我の手を取れ、全てを捨てたのだろう? 最早人間である事に拘る事は無い」
邪神の甘言、それは心の隙間へと染み渡り人心を支配する言葉。 心に闇を抱える者、心が弱い者、自分の感情を抑圧している者、自分の感情を見て見ぬフリをする者、邪神の言葉はそれらに対して優しく、縋り付きたくなる程甘い。 不屈の心持たぬ少年は、その言葉に抗うことが出来なかった。
邪神は自らの容姿を利用し、少年を優しく胸に抱き締め、頭を撫でながら彼の記憶を読み取り、子供をあやす様な安らかな声で彼の全てを肯定し、理性を一つ一つ外して行く、自分の手駒とする為に。
「良く思い出してみろ、君が何をしたと言うのだ? ただ神の玩具として殺され、その手駒として転生させられただけの言わば被害者だ。 奴さえ居なければ、今頃君は奴と同じ場所に立っていた筈だ。 その両手を血で染め上げる必要も無く、憧れた者を真っ直ぐに目指し、暖かい家庭に恵まれ、二人の幼馴染みと共に心優しい友に囲まれ、幸せに暮らして居た筈だ。 被害者である君には当然その権利があり、そうならなければ報われない筈なのだ、それを奪ったのは誰だ? 富と名声、心優しい少女に囲まれた栄光の人生を奪ったのは誰だ? そう、奴だ。 だが奴は強大だ、身に染みて分かっただろう? 異常なのだ、君一人では倒せない、だから我が手を貸してやろう。奴を憎め、奴を恨め、我が深淵の力はその思いを増幅させ力に変える」
「しん、えん?」
「そう、深淵の力だ。 あの男に勝つ為に必要な物は不屈の心などでは無い、神をも呑み込む闇の力なのだよ。 さあ、受け入れるならば目を閉じるが良い」
邪神の周りには何時の間にか深淵の泥が纏わり付いている、どろりとした深淵の泥を受け入れば、自分を見失い、肉体を異形へと変えてしまう代わりに尋常ならざる力を得る事が出来る。 不死の英雄はその力を否定し、侮蔑と共に強い意志を持って跳ね除けたが、この少年はその誘惑に打ち勝つ事が出来なかった。
少年は瞳を閉じ、深淵の泥を受け入れる意志を見せた。 邪神は歪んだ笑みを浮かべながら少年と口付けを交わし、体内へ深淵の泥を直接流し込む。 更に、深淵の力を深く馴染ませる為に邪神は彼の色欲を刺激する。 口内へと舌を侵入させ、卓越した舌技によって快楽を与えるように蹂躙。次に自ら衣服を脱ぎ去り、一糸纏わぬ姿となった瑞々しい肢体を好きにさせる。 此処までせずとも、無限の欲望を抱えた狂気の科学者による強化手術によって、人間の残酷さと狂気を体現した身体になった彼には深淵が良く馴染むのだが、そろそろ憎き不死の英雄が自分の事を嗅ぎ付けて現れる頃合いだったので、彼には深淵の力に早急に馴染んで貰わなければならなかった。
何故なら、今尚闇の書の意思が主導権を取り返そうと邪神の中で暴れており、そちらに意識を割かなければならず、もしもこの状態から不死の英雄の持つ聖剣を一太刀でも浴びせられてしまえば、その浄化能力によって力関係を崩され、肉体の主導権を簡単に奪い返されてしまう。 しかも、仮初めの肉体であるこの身体は守護騎士達のように魔力によって形成された物であり、八神はやての肉体では無い為、純粋な生物では無く、プログラムの様な物、人間などの純粋な生物に絶大な影響を与える深淵の力もプログラムの一部でしかないこの身体では十全に使い熟す事が出来無い。 肉体として乗っ取ろうとした八神はやては、邪神に呑まれる前に闇の書の意思が横から奪い取り、その身を賭して守護している、決死の抵抗なので時間を掛けて喰い潰すしか無い。 今の状態では精々直接深淵を撒き散らしたり、直接接触によって深淵の泥を相手に流し込む程度しか出来ず、此れでは不死の英雄によってすぐさま浄化されてしまう。
その為、この少年には自分が完全に復活する為の時間稼ぎをして貰わなければならない。 深淵の力を与えれば不死の英雄も無視する事は出来ず、彼も戦闘時間に悩まされずに済むようになり、思う存分戦わせる事が出来る。 完全に彼の身体に深淵が馴染んだ頃、案の定此方を嗅ぎ付け、一直線に英雄が向かってきている事を察知した邪神は、深淵の力により完全に正気を失い、不死の英雄への殺意のみが支配した彼を邪神は優しく抱きながら、優しい声で耳打ちをして出撃させる。
「さあ、来たぞ、我等の敵が」
「……………………す」
「見事奴を討てれば我が望む物を与えよう」
「…………ぶす」
「行け、行って奴を討ち滅ぼせ」
「潰す潰す潰す潰す潰す潰すツブスツブスツブス!!」
狂気に染まった少年は闇の力を身に宿し、英雄を迎え討つ為に出撃して行った。
復讐→闇堕ち。
王道だよね(白目)