不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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自分で書いててもマヌスのおかげで原作以上に凄惨な事件になる予感がして来ました(白目)


不屈の体現者 94

第九十四話 邪神マヌス

 

 

時間は遡り、ブレンが固有結界に飲まれた直後、なのはとクロノは邪神の襲撃を受けていた。

 

上空から撃ち出される漆黒のディバインバスター、発射時の爆音によって襲撃に気が付いたクロノとなのはは左右に散開、砲撃の余波に煽られながらも上空に陣取る襲撃者に目を向ける。

 

流れるような銀の長髪、背中に生えた堕天使を思わせる漆黒の翼、グラマラスな肉体、ハリとツヤのある肌、息を飲むほど妖艶な姿した女性がそこで腕を組みながら不敵に笑っていた。二人はあまりの美しさに心奪われてしまいそうになりながらも敵である事を思い出し、何とか彼女から目を逸らし、魅了されないように正気を保つ。

 

実は邪神は『不死の魅了』と呼ばれる呪術を密かに使用していた。人を魅了するその呪術を使用する事により、洗脳したものを予備の肉体として確保するつもりであったのだが、思った以上に抵抗が激しく魅了の力は跳ね除けられてしまった。 邪神はその事に内心で舌打ちをし、この世界の住人の精神強度の高さを思い知らされていた。

 

八神はやての心を折る際も、常日頃から足の痙攣に激痛を伴わせていたのだが彼女はそれに耐えていた、毎日のように悪夢を見せ、睡眠と言う安らぎを妨害して精神を疲弊させていたのだが、その苦痛をものともしていなかった。 結局、彼女の心を折るには四人の守護騎士全員を直接その手で殺めると言う手段を取らなければ出来なかった。 まるで英雄が謳った人間の有り様だ、邪神がそう思ったのも無理は無いだろう。

 

 

邪神は此方を睨み付ける人間達を小馬鹿にするように話しかける。 どちらにせよ自身は人間の負の塊、彼ら人間が嘗てより遥かに強靭な精神を持っていると言うのであれば、それに比例して負の感情もまた強靭な物となっている。 飲み込めない道理など無い。

 

 

「クククッ、世界の半分をやろう。とでも言えば良いのかな? 我が名はマヌス、貴様ら人間の負の塊だ」

 

 

深淵のオーラを纏いながら見下すようにそう言い放った邪神、ふざけ半分のような口調からは想像を出来ない程の威圧感は彼らの身を硬直させる。 威圧感に晒され、満足に身動きの取れない彼らを見た邪神は自身に纏わりつく泥を掴み、剣の形にすると硬直して居る彼らへと勢い良く斬り掛かる。高速の踏み込みから放たれる横一線、咄嗟に反応したのはクロノであり、恐怖に身を竦ませながら過呼吸気味となっているなのはを蹴り飛ばし、ブレンから譲渡されたアルトリウスの大盾を使って剣の形を模した泥を防御する。

 

泥の剣は盾受けと同時に爆散し、辺り一面に拡散、邪神は周囲に飛び散った泥を追う者たちに変換、星の数程の闇の弾丸がクロノへと一斉に襲い掛かる。 急場を凌いだと思っていたクロノは、さらなる窮地に苛立ちながらも極めて冷静に追う者たちの迎撃に移る。 弾速の遅い追尾する闇の弾丸の性質を利用して地面すれすれにまで急降下、追尾している闇の弾丸を限界まで引きつけた後Vの字になるように急上昇、幾つかの弾丸を処理した後そのままの勢いを利用し、マヌスへと向かってブレイズキャノンを横一線に放つ。

 

扇状に薙ぎ払われた砲撃、一撃必殺を狙わずに闇の弾丸の操作を妨害する事がクロノの狙いであったのだが、そもそも追うもの達の闇の弾丸は対象のソウルや人間性を的にして自動追尾する代物、術者が操作している訳では無い。 それを知らないクロノは、マヌスが防御に気を取られた隙に背後の闇の弾丸をそっくり返す為に邪神と自分を直線で結ぶ。 クロノの狙い通り、マヌスは放たれたブレイズキャノンを片手で防ぐ、その瞬間クロノは急加速しマヌスの背後に回り込み、杖の先へスティンガーブレイドを展開、そのまま背中に向かって斬り掛かる。

 

クロノの誤算は先の通り、追うもの達を通常の魔法だと勘違いしていた事と、邪神の力が彼の戦ってきた全ての敵を凌駕する物であった事だ。

 

背後から振り下ろされた一閃、マヌスは後ろに身を引き、自身の身を斬り裂こうとしている魔力刃を二本の指で白刃取りをする。 それに驚愕したクロノの身体をバインドで拘束、追うもの達の雨に晒させる。

 

撃墜されたクロノ、バリアジャケットを展開していたおかげか即死は免れたものの、彼はマヌスに取り込まれてしまった。

 

その光景を目の当たりにしたなのはは、自分が威圧されて身を竦ませていた所為でクロノが取り込まれたと思い、血が出るほど唇を噛み締めながら体勢を立て直す。

 

なのははレイジングハートの『エクセリオンモード』を起動、レイジングハートを槍の姿を模した杖へと変える。 この形態はレイジングハートの全性能をフルに使用出来る形態。しかし、その分使用者の身体へと大きな負担を掛け、魔導師生命に大きな傷跡を残してしまうデメリットがあった。

 

だが、彼女は迷わない。 自分の失態でクロノが取り込まれてしまったのだ、助けなければならないのはクロノだけでは無い。既に取り込まれていた八神はやても救出しなければならないのだ。 二人を助ける為に、此処で使わずして何処で使えと言うのだ。

 

(だけど普通に戦ったとしても二人は助けられるとは思えない。 ユーノくんが闇の書について調べてくれているけど…………、私が落とされるまでに間に合うかな?)

 

この状況で勝てると言える程なのはは楽観的では無い。あのマヌスと名乗った女性は自分達よりも遥かに強い、戦闘経験の豊富なクロノが手も足も出なかったのだ、自分が真面に太刀打ち出来るとも思えなかった。 ブレンならば何とかしてくれるかも知れないが、今の彼は交戦中、こっちも間に合いそうに無い。

 

覚悟を決めた彼女はカードリッジをロードしながらマヌスへと立ち向かって行った。

 

 





なのは(告白、しとけば良かったかな?)

的な事を入れたかったけれど、誰がどう見たって死亡フラグにしか思えないので却下しました(白目)
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