不死の英雄伝 〜不屈の体現者〜   作:ACS

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さあなのはちゃん、保護者(ブレン)も居ないし今度は君が地獄を見る番だよ(白目)




不屈の体現者 95

第九十五話 聖剣の加護

 

 

なのはとマヌスの一騎打ち、その開幕はお互いの放ったディバインバスターの衝突から始まった。相反する深淵の力と聖剣の力、なのはは月明かりの大剣の本来の所有者では無い為に、押し切れる筈の聖剣の力は闇の力を相殺するに止まっている。拮抗していた二色の砲撃は着弾点を起点に、衝突し合っている箇所が空中で大爆発を起こし、爆煙を撒き散らす。

 

視界が遮られた隙になのははアクセルシューターを十六発展開、半数を正面に回し、残りの半数を発射、巧みに操作しながらマヌスの上下左右から二発づつアクセルシューターが襲い掛かるように誘導、時間差を置いてカートリッジをロードし、ディバインバスターと残りのシューターを発射する。

 

マヌスは魔力放出によって四方向から向かって来るシューターを掻き消すと、遅れて迫ってきた桜色の砲撃を防ぐ為に障壁を角度を付けて展開、守護騎士を通じてその威力を目の当たりにしていたマヌスは、超火力の砲撃を馬鹿正直に受け止める事はせずに受け流す事に専念する。 しかし、ディバインバスターの火力を警戒していたマヌスは、誘導弾であるアクセルシューターを見落としてしまう。バスターを受け流し終えたと同時に背中に走る衝撃、高密度な砲撃だった為に誘導弾の魔力を感じられず、障壁を迂回するそれを見逃し、八つ共背中に叩き込まれていた。

 

背中から煙を上げながら落下するマヌス、誘導弾と言えど侮れない火力なので当然と言えば当然なのだが、マヌスが衝撃を受けたのは火力では無かった。

 

(この小娘ッ!! あの忌まわしい聖剣を所持しておるのか!?)

 

元々不完全な復活な上、核となる肉体も無い状況では聖剣の力は致命傷、先ほど取り込んだ人間も精神掌握に手間取っており身体を手に入れる事が出来ていない。 寧ろこの一撃の所為で肉体云々など気にして居られなくなった、何故なら、折角押さえ込んでいた闇の書の意思が先の一撃の所為で息を吹き返していたのだ。

 

聖剣の力による浄化、それは取り込んだ者達の目を覚まさせる可能性があると悟ったマヌスは、全神経をなのはに向け、認識を改める。

 

落下中のマヌスは、狙いを定めるなのはに向かって闇の飛沫と追う者たちを放ち、彼女の出鼻を挫く。 飛来する深淵の泥、固定砲台型のなのはは回避せず、障壁を展開する。聖剣の魔力によって強化された障壁は泥を浄化しながら彼の攻撃を全て凌ぎ切る。 だが、彼女が障壁を解除した瞬間にマヌスの回し蹴りが左側頭部に炸裂、妙齢の美女の姿をしているとは言え、中身は邪神、その一撃は正に生命を刈り取る物、まともに浴びてしまえば人の頭など簡単にザクロへと変えてしまうだろう。

 

なのはは咄嗟に多重障壁を張れるだけ展開し、頭部を粉砕しようとしている足刀の威力を緩和する。 しかし反射的に展開出来た障壁は少なく、幾分か威力を殺す事には成功したのだが、首を引っこ抜かれたと錯覚してしまうような衝撃と、絶叫したくなる程の鋭い痛みを伴った一撃を浴びてしまう。 鮮血に染まる左目、彼女は視界の半分を奪われた事に気を取られる暇も無く、柔らかな腹部に目も覚めるようなサマーソルトを叩き込まれる。

 

骨の砕ける音、内臓が破裂する激痛、なのはは血の塊を吐き出し、手足の震えから杖を取り落としてしまいそうになる。意識が遠のき、生命が失われて行く行程が否が応でも実感させられて行った。だが、なのはのネックレスと、譲渡された月明かりの大剣がそれを許さない。 徐々に迫って来る死の恐怖と全身に走る痛みを残し、砕けた骨と破裂した内臓が映像を逆再生するように回復して行く。

 

それがマヌスの癇に障ったのか、彼女への猛攻が更に熾烈になって行く。 カチ上げられるように顎に突き刺さるショートアッパー、跳ね上がった頭によって晒された胴体に叩き込まれるリバーブロー、くの字に折れ曲がった身体を叩き落とす為に振り下ろされた踵落とし。

 

一撃一撃の威力を殺す事で精一杯のなのは、砕かれては再生し、破裂しては再生しと、只管防御に徹する事しか出来ずに居たが、抵抗虚しく脳天に直撃した踵落としによってアスファルトの地面へと叩き付けられた彼女は、朦朧とする意識を無理矢理繋ぎ止めながら衝撃と共に舞い上げられた粉塵を利用してシューターを四つ展開。バスターを放とうと魔力を収束しかけ、反射的に背後に向かってデバイスを薙ぎ払う。

 

其処にはマヌスが音も無く立っており、予想外の反撃に対応が遅れたのかその一閃を頬に浴びてしまった。 この一撃はアリトリウスの聖剣による加護による反射速度の向上、それに彼女自身の空間把握能力が合わさった一閃だった。

彼女は動きが鈍ったマヌスの隙に付け込み、槍を模した杖による斬撃と刺突を繰り出して行く。それらは攻撃の軌道を無理矢理変えながらマヌスの意表を突いて浅い裂傷を作って行く。 その姿、その動きが騎士アルトリウスを彷彿とさせる事、それがマヌスの苛立ちの原因であった。

 

なのはのこの一閃、この一閃が戦局を大きく揺るがす事となる。掠めた程度ではあったが、その傷口から聖剣の魔力が入り込み、囚われの二人が目を覚ますきっかけとなる。

 

 





やっぱり、魔法は添えるだけだね(白目)
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