たとえ、世界を滅ぼしても ~第4次聖杯戦争物語~   作:壱原紅

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※注意

こちらの小説にはオリジナルサーヴァントが原作に介入するご都合主義成分や、微妙な腐向け要素が見られますので、受け付けないという方は事前に回れ右をしていただければ幸いでございます。

この内容は、キャスター陣営のお話です。
その為、R-18G内容の描写があります。

閲覧は自己責任となり、気分が悪くなった、精神的に不快感がする。
等の症状につきましては、作者ではどうする事も出来ませんので、どうかご了承くださいませ。


それでも大丈夫という方のみ、ご覧くださいませ。


第二章 戦争激化
魔道妖歩(鮮血歓喜)


それは、誰にも理解されない、人の道を外した喜び。

それは、誰でも理解出来る、何かを愛しいと感じる歓び。

人間、十人十色と言いますが、その【個性】は人の数ほどあるもので……

 

理解されようとされまいと、生きている限りその【本能】にも似た感覚は、決して切り離せないのです。

 

我等はひたすらにこの惨劇に酔うのです―――――――さぁ、今宵も【パーティー(アート)】を始めましょう?

 

 

赤い紅い真っ赤な部屋で笑いましょう?

飛び散る飛沫と砕ける音はとても甘美で素晴らしい。

 

血の匂いが香しく、心をくすぐるその悲鳴。

愛しくて、好ましい、幼子達のその表情!ああ君たちは何て可愛らしいのだろう。

 

待っててね、今すぐ俺達が君たちを最高にCOOLにしてあげる。

きっとそれは【幸せ】なんだ、だから何も怖くない、さぁ―――――――楽しい時間の始まりだ!

 

 

*************************************

 

 

――――――そこは、日常でなら誰も訪れる事の無い場所である。

 

薄汚れて薄暗い下水道、冬木の街の中にある川に繋がる、一際大きい排水溝の奥にある多少の奥行きのある空間。

だが、それだけだ。

奥行きがあろうと、ある程度の空間があろうと、そこは下水道に他ならない。

そんなところに、訪れる存在など、其処を住処にしているネズミか虫ぐらいだ。

たまに点検をしにその生業の者が来る程度…………それが、この下水道での日常だった。

 

……………だが、【今は】、違った。

 

 

 

グシャ、ズッジュ!

 

ブチブチブチィッ!ブシャァァッ!!!

 

血が、血飛沫が辺りを赤く染める。

 

 

ぶらり、と糸の切れたマリオネットのように、揺れる小さな白い腕。

 

「あっははははは!すっげぇ!すげぇよ旦那ぁ!超COOLだっ!!」

「ふふ、そうでしょうリュウノスケ。

人は壊してしまうのは簡単ですが、生かしたまま作り変えるのはとても難しいのですよ。」

 

笑い声が響く。

切り裂かれた少女の腸を、引き摺り出しながら、

赤い赤い血を浴びながら、青年が嬉しそうにメスを振るう。

嗤い声が響く。

 

その腸を、【別の子供】の骨に結び付けながら、

白目を剥いて痙攣する子供を、無理矢理生かしながら男が微笑んだ。

 

「よーっし!んじゃぁ俺は『人間オルガン』だけじゃなくて、う~んそうだなぁ……あ!そうだよ、先に『ランプ』か『スタンド』を作らなきゃ!こういう慎重な作業は照明が無いと捗らないしなっ!でもそこも自分で作らないと意味が無いし、でしょ旦那♪」

「素晴らしいですよリュウノスケ!その発想はやはり貴方の才能あってこそのもの!!そうです、まずは自分の作業効率を重視しなくては!最高の環境あってこそ【最高の芸術品】は生み出される!我が聖処女に捧げる供物も確保しながらですが、このジル・ド・レェの手腕を持ってリュウノスケの【アート】を完成させましょう!!」

「っ嬉しいよ旦那ぁ!よーしっ♪俺張り切って作っちゃうよ!」

 

ギョロ眼の男……【キャスターのサーヴァント】の掛け値なしの称賛に、

歓びからか興奮からか、オレンジの髪を振り乱した青年(マスター)は心底嬉しそうに【製作物】へ微笑を浮かべた。

 

 

そこで繰り広げられているのは、【パーティー(饗宴)】だった。

 

 

少女が腹を切り開かれて、全ての血を引き抜かれ、臓物をブチマケテイル。

少年が背骨を引き摺り出され、痙攣しながら、口から喀血しツヅケテイル。

小さな命を使って作り上げられる、【異形の物品(アート)】。

鮮血が舞い、臓物が引きずり出され、あらゆる骨を組み替えて、数が足りなければ追加して、丹念に思考し作り上げる。

 

 

異常だった。

 

いや、現在進行形で異常だ。

普通の精神では有り得ない、悪魔の所業。

 

だが、最も異常で恐ろしいのは、その【行為】ではなく。

 

一つ一つ、しっかりと構想した意識で、青年とサーヴァントは子供を生かしたまま作り変える。

その瞳に宿るのは、引き裂き苦しめ悲鳴と絶叫による歓喜ではなく―――――――――――――――――――

 

「ああ可愛いね!旦那見てよこの子の顔~…すっげぇクる、可愛すぎでしょ!血塗れだけど黒い目がキラキラしてる…うん、やっぱり子供の眼は綺麗だねェ♪それに、こっちの坊やはいい感じに骨がしっかりしてるよ!ほんっとこれだから堪らないよ!皆大好きだよ!これなら凄い良いランプが作れるよぉ!!!」

「流石リュウノスケ、1人1人の個性と魅力を最大限に理解する事で、貴方のアートに彩が更に増していきますねェ!!これならもっと連れてこないといけません!リュウノスケのアートになって新たな形になれるなどこの上ない幸せでしょう!!」

「も~やだなぁ旦那、そんな事言われたら俺調子に乗っちゃうって!」

 

 

――――――――――作品となる幼子達への深い愛情、これから生み出されるであろう芸術品への期待と制作意欲だった。

 

 

 

「あはははははははははははははは!!!ほら出来た!!俺旦那に会えてホント良かった!!こんなにインスピレーションがフルで働くなんて今までなかった!!旦那ぁ!本当にアンタはCOOLだよ!俺の可能性をもっともっと引き出してくれよ!!ああ…………生きててよかったあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」

「最高の褒め言葉ありがとうございますリュウノスケ!!貴方のようなマスターに巡り合える等やはり聖杯は既に我が手中にあるのでしょう!!このランプも!この机も!この棚も!素晴らしい!素晴らしい出来ですよリュウノスケェェェェ!!これ以上のアートは私の時代でも中々お目にかかれませんでした!やはり――――――貴方はこのジルのマスターに相応しい!!!!!!」

 

 

歓びの声が、悍ましい程の笑い声が響き渡る。

その間も双方の手は止まる事は無く、切り裂かれる赤いイロと、バラバラになる命ばかり。

惨劇の中、悲鳴と絶叫が響き渡り、そして、その深い赤黒い闇の底に、暖かい光救いは訪れる事は無く。

そんな狂気の宴の中心から離れた場所から――――――――――【声】が、響いていた。

 

 

 

               たすけて

 

            おとうさん、おかあさん

 

             いえに、かえして

 

              しにたくない

 

             ここから、だして

 

            かみさま、だれか、たすけて

 

 

 

 

すすり泣く声が響いている。

恐怖に震え、閉じ込められて、救いを求めて涙する声が。

昏い暗い、その場所に、小さい複数の影が見える。

それは、年が近いであろう、幼い子供達。

誰も彼もが、闇の中で泣き続けている。

 

 

 

ただ―――【助けて】と、救ってほしいと、涙を流して祈り続けていた。

 

 

 

「さーって、次はどの子にしようかな~?」

「ふふ、遠慮しなくてもいいのですよリュウノスケ、貴方はもう【貴族】なのですから。

好きなだけ使って、好きなだけ足せばいいのですよ………ほら、その栗毛の少女はどうです?中々いい顔立ちですよ!」

「おっ!さっすが旦那!見る目ある~ぅ♪そんじゃ君の番だよ、すっごく綺麗にしてあげるから安心していいよ!!!」

 

指差された少女が、声にならない悲鳴を上げる。

逃げようとして、けれど逃げられず、無理矢理引き立てられて連れて行かれる。

惨劇の中心へと、その舞台の上へと、足が進められる。

 

 

 

          いや、たすけて!

 

 

 

泣き声が響く、暴れても暴れても、腕は振りほどけない。

 

 

 

          誰か、助けて!

 

 

 

血塗れの床に心が軋む、滲む視界に誰かの腕が転がってる、オマエモオイデと言っている。

 

 

 

        お願い、救って(たすけて)!

 

 

 

掌が、首にかかった、締め上げられる、ギリギリ、痛い、苦しい、何で、どうして、こんなことに……!?

 

 

 

 

         ―――――――っ!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

ゴキリ、と、【何か】が折れる、鈍い音が、した。

ぶらり、と糸の切れたマリオネットのように、小さな白い腕が、揺れた――――――――――――

 

 

 

…………………………カシャン、と何かが零れ落ちて、音を立てた。

それは、小さな星のキーホルダーがついた、鍵。

 

 

 

しかし、ソレを拾い上げる持ち主は、もう――――――【いない】。

 

 

*************************************

 

<SIDE/言峰綺礼>

 

他のマスターに対する招集をかける前に、キャスターの動向を探っていた綺礼は一度時臣にその結果を報告していた。

遠坂邸と連絡を取っていた言峰綺礼は、アサシンの諜報活動により、キャスターが工房を不在にしている間に、奴らが【何を】しているのかを完全に掌握していた。

その、あまりにも人道を逸脱した行為に、綺礼は戦慄した。

 

悍ましいソレが、受け入れられなかったのだ。

 

幼い子供達を使い作っていく、その過程も、その行為も、その思考も、その製作物も、何もかもが――――――――綺礼には、受け入れる事は出来なかった。

 

サーヴァントとの感覚の共有をしていたのも、間違いだった。

もろに感じ取ってしまった、夥しい量の血液の香り。

転がる無数の肉片に、砕かれていた骨の破片。

 

【作品】についていた真新しい眼球と、目が合った気すらした。

 

今の今まで代行者として生きてきた綺礼ですら、顔を顰める程に不快感を得たのだ。

常人ではまず耐えられない程の、猟奇的なマスターとサーヴァントの所業は、もはや粛清等のレベルではなかった。

今すぐにでも打って出なければ、今も生きているだろう幼子達は確実に死に絶える……いや、いっそ【死ねた方がマシ】だろう。

生きたまま、奴らのいう【アート】にされるというのなら、いっそ死んでしまった方がどれだけ幸せか。

そうだ、それならいっそのこと、アサシン達に襲撃させてキャスターのサーヴァントとマスター諸共……

 

 

(――っ!?何だ、私は…今、【何を】考えた……?)

 

 

一瞬、自分の中に見逃せない何かが生まれていたような気がした。

しかし………ソレは、決して、受け入れてはいけない思考だった。

 

(馬鹿な!?このような事―――神が許す筈が無い!!何かの、間違いだ……!!)

 

信じられない思考に、綺礼は思わず自室で頭を抱えた。

認められない、認めてはならない、【ソレ】を認めてしまえば……今までの【言峰綺礼】の全てを否定してしまう気がした。

 

それ故に、綺礼はキャスター達の動向を再び時臣に報告する事にした。

少しでも眼を逸らしたかったのかもしれない、流石にこのような所業を知れば、自らの師も重い腰を上げて戦場に赴くように指示するだろうとも、考えて。

 

 

 

 

だからこそ――――その返事をした遠坂時臣の言葉に、問い返さずにはいられなかった。

 

 

 

「師よ…今、何とおっしゃいましたか?」

『ああ、【キャスター達は放っておいてもいい】と言ったんだよ。

彼等はあの内部でならば大人しくしていてくれるようだしね、これから討伐に乗り出すのだから、わざわざ君のサーヴァントを無駄に消費する事はないだろう。

凛達を冬木から遠ざけておいて良かった、まさかそこまで積極的に行動しているとはね……全く、あの子がいたら真っ先に狙われていたに違いない、そう思わないかい綺礼?』

「………はい、その通りでしょう、彼女は優秀ですから。」

『さて、璃正殿も奴らがもう一度行動を起こしたら招集をかけると言っていたし、君も他のマスターとサーヴァントに集中してくれ。

ランサー陣営の動きも気になるところだ…期待しているよ、綺礼。』

「はい、分かりました、師よ。」

 

その言葉を最後に、完全に沈黙した通信機を見ながら、綺礼はただ静かに目を伏せた。

 

(……………………………やはり、師は【魔術師】なのだな。

アーチャーへ言ってはみたものの、私も見る目が無かったか、師は余りにも…【傲慢】すぎる。

私がいくら言っても無駄だろう、最初から【後継者である娘】以外の、【一般人の子供の命など】、数に入れて考えてもいない。

ここまで自分の内で考えを停止させている者もそうはいるまい、成程、アーチャーが【つまらない】と愚痴を零すのもある意味では当然だったか。)

 

そうなれば、もはや何も期待する事はない。

この戦争で言峰綺礼は、遠坂時臣の援護する立場から変わる事はないが、しかし積極的に支援する事はないだろう。

師と仰いだのもそもそもは自らの【内】を知る為の行為、サーヴァントを召喚したのも別に叶えたい願いがあった訳でも無い、ならばもう、この身が願うのは―――――――

 

 

「綺礼様」

「どうした。」

 

フッ、と突然背後に膝を附く形で現れた女アサシンに、やはり驚く事無く綺礼は言葉を返す。

またキャスター陣営が動いたのかと思った………その時。

 

 

「…………【正体不明のサーヴァント】の、魔力供給場所を発見しました。」

「―――――なん、だと。」

 

女アサシンの言葉に、綺礼は完全に虚を突かれた。

驚愕に思考が固まると同時に、よく分からない感覚が溢れだす。

 

まさか、と

本当に、いたのかと

そして、それを発見した、と

しかし内心驚愕しながらも、ソレを表に出さないように、綺礼はいつもの無表情になるとパスで問い掛けた。

 

『場所は、何処だ?』

『円蔵山、柳桐寺です。

寺の裏の池に、微かに魔力の痕跡を発見しました。

監視しているサーヴァント及び、マスターのどれとも【違う者】です。

どうやら、奴はずっと留まっている訳ではなく、恐らく一定の時間帯に現れてるのだと思われます。』

『………よくやった、数名私についてこい…偵察に行く。』

『…分かりました、では、10名傍に配置いたします。』

 

(やっと―――――やっと会えるか、【咆哮の主(第八のサーヴァント)】!!

衛宮切嗣に続き、こうして手がかりを手にする事が出来るとは………私にどうか【答】を示してくれ!この空虚な胸を揺さぶったあの声をもう一度!そしてお前がこの戦争に参戦している理由を、お前が戦い続ける訳を!それを知った時この空虚は完全に満たされる!!!!!)

 

もはや躊躇う事無く外へと歩み出す綺礼に、アサシンは自らの分身を付けて再び闇に溶ける。

目指すは柳桐寺………ここに、黒き主従が、誰にも悟られる事無く行動を開始した――――――――――

 

*************************************************

 

 

鮮血に涙は零れ。

救われぬ命は嘆く。

ただ生きていただけの、心。

ただ幸せになれた筈の、子供。

 

踏み躙られた想いが、叫ぶ。

 

 

 

―――――――――――――――【助けて(シナセテ)】、と。

 

 

 

そして、ついに

 

 

銀のイレギュラー(Heretic)が、黒き神父(Seeker aftertruth)と……………邂逅する。

 

 

 

NEXT




【後書き】


今回は、旦那キャスター再び!と龍之介君の登場です。
しょっぱなからCOOL!な状態で申し訳ございません。

今まで他の方のZero小説を読んでいて、
あまりにもこの陣営の【アート中】の描写がなかったため、自分で書いてみました…投稿して後悔してますが。
ぶっちゃけこれぐらいグロいよね。

ということで…

とうとうシンプソンがドラグーンに気付きました。
アサシン80の気合入った捜査がここで立証されましたね!次回は…………果たしてどうなるのか!?
お楽しみに!


今回のBGMは、【悪意の穴を見た男(片霧烈火)】でした。

※感想・批評お待ちしております。
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