たとえ、世界を滅ぼしても ~第4次聖杯戦争物語~   作:壱原紅

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※注意

こちらの小説にはオリジナルサーヴァントが原作に介入するご都合主義成分や、微妙な腐向け要素が見られますので、受け付けないという方は事前に回れ右をしていただければ幸いでございます。
尚、しっかりとこの場で警告をさせていただいているので、受け付けないという方は無理に入る必要はございません、どうかブラウザバックしてくださいませ。


今回は完全に作者のオリジナル設定です、オリジナルなんて見れぬわああああああ!という方は無理をせずUターンをお願いいたします。m(__)m

大丈夫な方、それでも見てやろう!という心優しい方は、どうぞ閲覧してくださいませ。
ちなみに、今回の話で、ドラグーンの正体バレるの確定かもしれません;


銀想憐憫(最強烙印)

昔々、遠い昔、神様がまだ世界に介入していた時代―――いつだって、一人ぼっちの人がいました。

 

親の愛を知りません、人の温もりを知りません、誰も分かってくれない人がいました。

 

どうしてだったのでしょうか。

どうして【彼】だったのでしょうか。

他の人ではいけなかったのでしょうか。

 

血に塗れて立っている遠い背中、雨が降る中その表情は――――――――誰も、知らない。

 

 

 

さあ!【物語】を、語りましょう。

 

 

紫の騎士を貴方は呼び、されど招かれざる戦士も現れた。

彼の騎士を貴方は知っているけれど、貴方は【彼】を知らないのです。

 

神々の劇場の舞台の上、踊り狂った道化の道筋を辿り、その結末に近付こう。

真実はいまだ遠く、されどその絶望を知らなければ、貴方は届かないモノがあるのです。

 

 

――――最強の名を持ちながら、掌から愛する人のみ零れ落とした愚か者。

 

 

鏡合わせの主従故に、貴方の末路もその戦士になりうるのだから。

 

 

************************************

 

<SIDE/間桐雁夜>

 

 

――――――時は、数刻前に遡る。

 

ドラグーンと言峰綺礼が邂逅するより前、そして、教会からキャスター討伐命令による招集がかけられた後まで。

 

 

「ごほっ、ごほ…!」

 

冬木市の新都、路地裏の一角で、苦しそうに咳き込む声が響いていた。

ぜぇぜぇと、荒い息を繰り返しながら、それでも倒れる事無く左足を引きずり歩いている1人の男。

 

間桐雁夜、バーサーカーとドラグーンのマスターである。

 

…臓硯に家から出ていくように指示されてから数分後、教会から招集の狼煙が見え、

その教会に使い魔を放ち、招集内容を聞いてから雁夜は間桐家からすぐに飛び出したのだ。

キャスターのマスターとそのサーヴァントの凶行。

詳しい内容までは理解出来なかったが、【討伐出来れば追加の令呪を寄与する】―――その言葉よりも、雁夜にはその暴挙が許せなった。

 

(…っ冗談じゃない、そんな連中が冬木を好き勝手に暴れてるなんて…!聖杯戦争に無関係の子供が、何人も犠牲になってるだと!?ふざけるなよ、何してやがる時臣…っ!助けに、いかないと……まだ、生き残りはいる筈だ!こんな戦いに巻き込んで死なせるなんて駄目だ!間桐家は爺がいるから大丈夫だとは思うが、下手をしたら桜ちゃんにも危険が迫るかもしれないってのに…!)

 

攫われている子供達、幼い少年や少女がどんな目に合わされているのか。

キャスターのマスターは殺人犯、とてもじゃないが、無事とは考えられなかった。

だが、彼等の行動は行き過ぎてはいたが、【魔術師】という生き物からすれば正しかった。

どれだけ人道に外れていようと、その【理由】を知らない限り、殆どの魔術師はキャスター達を責めないだろう。

【魔力供給の為だろう】と考えて、【秘匿さえしてれば問題ない】と片付けて、彼等の行動を容認して否定なんてしないだろう。

 

 

しかし―――――結局のところ、【間桐雁夜】は他の魔術師達とは違い、やはり【一般人】としての考えが強かった。

 

 

所詮、雁夜は1年足らずの短い期間に無理矢理刻印虫で魔術師モドキ(・・・・・・)になった一般人に過ぎない。

そしてバーサーカーの狂気に、今尚引きずられる事無く正気を保っている彼には、キャスター達の行動が、ただ赦せなかったのだ。

だから彼は今、蟲に蝕まれた身体を引きずって歩いている。

 

 

「がっ!?」

 

と、その時、何かに躓いて転んでしまった。

べしゃっ、というような音を立てて、上手く受け身を取れずもろに倒れる。

 

「いっ…たぁ…」

 

痛みに顔を顰めるも、それによって血が上っていた頭も冷静さを取り戻した。

ただ闇雲に動き回ったせいだろう、随分と体力を消費してしまっていたようだ。

焦っていたのもある、だが些か軽率だったなと、雁夜は頭を冷やして路地裏の壁に背中を預けた。

無理をしてこれ以上焦って動き回るのも無茶だろう、此処で少しでも体力を回復しないといけない。

そう考えて、溜息を吐く。

それでも、手持無沙汰に右手を握り締めて……その指に嵌められている【指輪】が目に映った。

 

 

――――ふと、【夢】の事を思い出した。

 

 

思い返してみようか、あの【内容】を。

腹立たしくなって仕方なかった、あの【過去】を。

 

 

間桐雁夜は苦しげに息を吐きながら目を伏せる。

 

 

そうして、彼は【夢】の続きを回想する――――――――もう終わってしまった、【物語】を。

 

 

************************************

 

……銀の夢、雁夜が視たアレには続きがあった。

 

祖国から、【彼】が逃げるように戻ってきたところから、夢は続きを映し出していた。

 

養父は、戻ってきた彼を労わる事無く、すぐに邪龍退治へと急かした。

祖国から戻ってきた傷心の青年は、それでも約束だからと承諾し、頷いた。

しかし邪龍の居場所を知らぬという彼に、詰りながらも道案内だけ引き受けた養父と共に、彼は龍の元へ向かった。

 

辿り着いた―――――そこは、地獄だった。

 

地肌剥き出しの岩山と暗く鬱蒼と生い茂る森しかない土地で、【彼】は1人取り残された。

養父は、邪龍の弱点である腹を突けば倒す事が出来るといい、その方法を告げると、自分は戦いに巻き込まれないようにと安全な場所へと逃げて行ったのである。

 

『「奴が這いずった跡に隠れられる溝を掘り竜が水を飲もうとする隙を突いて殺せ。」か……簡単に、言ってくれたものだ。

邪龍がどれだけの存在かは分からない、奴の移動速度も把握出来ていないのに、ただ穴を掘るというのも難しいだろう…。』

 

大木に身体をもたれさせて、皮肉気に呟く【彼】には、全く覇気がなかった。

全身に力という力が入らないのだろうか、虚脱状態の青年は、生きた死体のようなものだった。

 

その理由は、この地一体に漂っている瘴気、いや―――毒霧のせいであった。

 

 

そも、邪龍を倒そうとした者は彼だけではない。

多くの戦士や勇者達が、名声欲しさや正義感等を持って、邪龍へ挑んでいたのである。

だが、誰も倒せなかった。

邪龍は知恵を持ち、口からは猛毒のブレスを吐き、竜種故の堅い鱗に覆われている体躯には傷一つすらつけられなかったのだから。

 

運が悪いとしかいいようがない。

 

 

彼と養父が辿り着いた時、その数時間前にどこぞの戦士が邪龍に挑み、その猛毒のブレスで葬られていたのだと、どうして気付けただろう?

その為に、既に邪龍の現れる土地には、未だ濃い瘴気が辺りを包み込み、あらゆる存在の行動を遮っていた。

 

とても奇襲用の穴を掘る余裕すらない、少なくとも、一度この場を離れるしかない。

…しかし、一体どちらに行けばいいのかも分からない、下手に移動して、邪龍に出会ってしまったら終わりだ。

疲労が頭を苦しめる、毒霧が肉体を蝕んでいく、このままでは死んでしまう、どうしたらいい、どうしたら――――

 

 

 

<―――――こっちだ―――――>

 

 

ふと、その時、彼の脳裏に声が響いた。

 

 

『だれ、だ…?』

<―――――こっちだ、こっちに来い―――――>

 

周囲には誰もいない、けれど確かに声が聞こえる。

 

戸惑いながらも、何とか立ち上がった。

邪龍かとも思ったが、それなら自分から襲いに来ればいい。

なら、この声は違うと思った。

声に導かれるまま、彼は歩き出した。

何度も躓きながら、それでも声のする方に。

 

【生きたい】、その思いのままに、彼は歩き続けた。

 

 

『川…?ありがたい、これで毒素を身体から抜ける。』

 

 

そうして、辿り着いたのは魔境の中に在る唯一の清流だった。

全身に蓄積した毒素を抜き、疲労を癒す為に服を脱ぎ、身体と衣服を清めると火をおこして四肢を休めた。

不思議な声のおかげで、【彼】は一命をとりとめたのだ―――――そして、その出会いが更に【彼】を導く。

 

 

『おお!これは、立派な名剣をお持ちですなぁ――――もしや、邪龍退治に来らした勇者様ですか?』

『っ!?』

 

 

休んでいる【彼】が驚き振り返ると、謎の老人がすぐ後ろに立っていた。

声をかけられるまで気配を全然感じなかった。

 

声をかけたのは、襤褸切れを纏った老人だった。

腹にまで届く程の長い髭、片目がないのは病か何かで失ったのだろうか?

つい先程まで邪龍の毒霧で、ふらついていたのだから。

老人の気配に気付かなかったのも無理はなかったのかもしれないが、どうしてこのような場所にいるのだろう…?

 

『ふむ、その様子では何かお困りの様子。

どうでしょう、この翁で良ければ相談に乗りましょうぞ。

奴めには我々も困らされているのです、奴の行動範囲ならば分かりますので、どうか奴を倒してくださいませ。』

『……それは、本当か?奴の移動する時間帯も、知っていると?』

 

突然の助言に疑いよりも驚きを【彼】は感じた。

先程の疑問も一気に吹き飛び、急いでその情報を聞き出し、それならば急いで向かわねばとした。

老人に礼を言って、そのまますぐに背を向けて走り出そうとして―――――――――その声に、足を止めた。

 

『―――戦士よ、今日はまだこの一帯には濃い瘴気が残留しておる、挑むならば毒霧が晴れる明日以降にせよ。

 奴が水飲み場として利用しているのは、此処より上流にある湖の畔、そこに隠れ穴を掘り襲い掛かれ。

そして、邪龍を刺し殺す際は、流れ出す血で溺れずに済むよう隠れ穴を掘る時は充分に深い穴を掘るのだぞ。

…攻撃するのなら奴の心臓を一突きにするように―――左腕の付け根から心臓を突き刺せば、奴は倒せるであろう。』

『っ貴方は、貴方は一体―――――!?』

 

はっ、と彼が後ろを振り返るが、そこには既に、その不思議な老人はいなくなっていた。

彼は暫く老人を探したが、結局逢う事は出来なかった―――――

 

 

 

そして、【彼】はその奇襲を行う事になる。

 

 

 

養父と老人の助言通り、邪龍の這った跡地のある湖の辺りに深い穴を掘り、その訪れを待ち続けた。

恐らく機会は一度きり、失敗は許されない最初で最後の攻撃となる、その一撃。

【彼】は父の形見である剣を打ち直して造り上げられた【魔剣】を一撫でする。

 

 

『―――父上、俺に力を。』

 

 

ぎゅっ、と魔剣の柄を握り締め、その邪龍との決戦を【彼】今か今かと待ち望んだ。

ドクリ、ドクリと心臓が高鳴る、邪龍が水飲み場に来る間までが、一生のように感じられるほどの時間…その時は、訪れた。

ズリズリ、ズシンズシンと音を立てて、大地を揺らす音と共に邪龍がやって来る。

自らの喉を癒す為、【彼】のいる穴の真上まで、やって来る。

邪龍の巨大な体躯では、人が堀った穴など小さく気にも留めない。

あと少し、気が逸るのを抑え込んで、失敗すれば死が訪れる状況で、待つ。

 

 

邪龍が―――――穴の上を歩く、左腕の付け根を晒して。

 

 

『っおおおおおおおおおおおおおおおお―――――――――――――!!!!!!!!!!!』

 

 

その必殺の機会を逃さないといわんばかりに、咆哮をあげると彼は、竜の左腕の付け根を突き刺して、一気に剣を柄まで叩き込んだ。

 

 

――――――ドズッ!!

 

 

―――――――振り抜き突き刺した魔剣は、竜の鱗をものともせず、一閃でその肉体を貫き、心臓を切り裂いた。

 

 

それと同時に、凄まじい量の血液が邪龍の身体から魔剣を伝い溢れだし、彼のいる穴の中まで一気に流れ込んできた。

血の川が出来るのではないかと思われるほどの血、もし老人の言っていたように深く掘り進んでいなければ、今頃血の川で溺死していたかもしれない。

瞬く間に全身が血の色で真っ赤に染まっていく。

上半身も、唇も、両脚も、銀髪も、身体の全部が毒々しい朱色に染められていった。

 

しかし…これで、邪龍は死んだ。

一撃で心臓を破壊されたのだ、死んで当然だ。

だから【彼】は、その確信をもってそのまま剣を引き抜こうと思った。

 

 

 

 

『―――――――――――よもや、この身を一撃で仕留める者が現れようとは。』

 

 

 

 

抜こうとして――――――――――その「声」に、動きを止めた。

 

振り仰ぐ、黒い巨体を。

眼が合った、金色の双眸。

傷口から鮮やかな赤い血が、降り注ぐ中。

 

【彼】は

 

憎しみも怒りも無い、ただ静かなその瞳と、向き合った。

 

邪龍は、暴れようともせず、【彼】を見下ろしていた。

魔剣に心臓を壊されながらも、持ち前の生命力で生きていた。

――――しかし、それも長くはもたない。

邪龍自身もソレが分かるのだろう、怒りも憎悪も無いのは、意味が無いと分かっているから。

後数分も持たず、この竜は死ぬ。

それはもはや、逃れられぬ結末だった。

 

『この身を打倒した者よ、問おう――――――お前の名を、聞かせてほしい。』

『……スネイルだ。』

 

その邪龍の言葉に、【彼】は嘘を言った。

養父に多くの事柄や魔術を学んだ時に、覚えた事の1つ。

死に瀕するモノが【名】を知りたがるのは、呪いをかける為。

ソレを分かっていて、何故自らの真名を名乗らねばならないのか。

邪龍は、【彼】の言葉に静かにクツクツと笑う。

 

『止めよ、そのような言葉遊びをしたい訳ではない……この、呪われた身を、【滅ぼしてくれた】者の名を、知りたいだけだ。

お前を呪っても、この滅び逝く身に報われる物等ありはせん。』

『…………』

 

当たり前のように、邪龍は【彼】の嘘を見破った。

しかし、邪龍は責めない。

嘘を吐いた事に、怒りもしない。

【彼】は邪龍の態度と、言葉の真意が分からず、ただ困惑する。

 

何故、この邪龍は、こんなにも落ち着いているのだろうと。

 

そう考えながら、邪龍の金色の眼を見つめて、【彼】はその眼に宿る感情(モノ)に気付く。

深い深い感情を宿した眼、怒りも絶望も悲しみも、何もかもを込めようとして、出来なかったソレは――――

 

 

『……………………■■■■だ。そして、我が父の名は■■■。』

 

 

【彼】に、その名を名乗らせるには充分すぎるモノだった。

 

呪われてもいい、それでも、この邪龍が死の間際にソレを願うというのなら、叶えてもいいと思うぐらいには。

その眼に宿っていた【安堵】に、感じるものがあったから。

殺される結末に、安堵している。

【彼】はそんな邪龍を卑下する事も嫌悪する事も出来なかった。

養父の言葉の為だけに、竜を死に追いやった自分が、それを否定する権利があるのだろうか?

だから、呪いをかけられたらその時は、その時だろうと納得すらしていた。

 

 

『―――――――――――そうか』

 

 

だが……それでも、邪龍は、呪いを掛けようとは、しなかった。

 

『■■■が、この命を狙った事は、知っていた。

しかし、まさかお前のような人の子を担ぎ上げてこようとはな…アレも、随分と変わってしまった…』

 

邪龍の金色の目が細められる、宿っていた安堵は消え、その双眸に過るのは一抹の悲しみ。

何を思い、何を懐古したのか、ソレは【彼】には分からない。

 

 

邪龍がいったい【何】に対して、悲しんだかは、きっと―――――【竜】にしか、分からないから。

 

 

『…我が身が持っている【黄金】は、新たな所有者になるお前の命も、いずれ奪うだろう。

そしてその黄金の呪いは、お前だけでは済まない…多くの者がその黄金を求めて、襲い掛かってくるだろう。

だがそれ以上に覚悟して歩むがいい、人の子よ――――――――お前はもう、【人間】としては、生きられない。』

 

 

小さい溜息のような声で呟かれる。

【彼】はまだ分からない、その言葉の意味が、分からない。

 

 

 【彼】はまだ感じない――――――己が身体の変異(恐怖)に。

 

 【彼】はまだ知らない――――――己が力の真実(罪悪)に。

 

 

 【彼】は、まだ気付かない……己が英雄として――――【完成してしまった(・・・・・・・・)】ことに。

 

 

 

 

だから、邪龍はただ思ったのだ。

黄金の呪いから解放され、死に至るその数分の間に幻視した、【彼】の結末に。

 

ヒトならざるモノを、ヒトが乗り越え打倒した時点で、その【結末】は決まっていた。

 

ああ何故―――――自らを黄金の呪いから、【死】をもって解き放った者が、【その結末】を背負わなくてはならないのだろう、と。

 

 

 

 

『お前はこの身を滅ぼした、この龍をお前は殺した。

それ故に、お前は我が血を浴びた…ヒトならざるモノの【血】を浴びた以上…その身は老いすら長引かせ、鋼の剣すら寄せ付けぬ。

たとえ千の諸人がお前の命を狙おうと、お前はその全てを殺し尽くす事も出来るだろう。

しかし、その代償として――――――――お前は永久に、『人間としての幸福(・・・・・・・・)』を、失うのだ。』

 

 

 

 

邪龍が声を紡ぐ、少しずつ、弱くなっていく声で、最後に――――――

 

 

 

 

『ああ、哀れなるモノよなぁ………■■■■。

お前は決して黄金の呪いで死ぬのではない、発端は呪いであろうが、その【死】は『人間』によって運ばれるだろう。

―――――――――さらばだ、【竜殺し】、せめて…お前の死に際が……穏やかな……モノで…あれば…いい…の、だ…が…』

 

 

 

絞り出すような、深い悲しみを込めた声で、いずれ訪れるだろう【彼】の結末を静かに嘆くと。

地響きを立てて、その巨体をのけぞらせ倒れていったのだった。

 

 

************************************

 

こうして、邪龍は倒れた。

多くの勇者や戦士を悉く葬り、殺してきた竜は、その因果の果てに自らも殺された。

 

【彼】は、竜を殺した英雄となったのだ。

 

だが

 

そのすぐ後に気付いたのだが―――――――――――――見事、邪龍を殺した青年は、その時「人間としての肉体」を失っていたのだ。

 

 

『その竜の心臓を、儂に焼いて食べさせろ!いいか、絶対にだ!!!』

『………はい、分かりました、父上。』

 

 

呆然としたその心を顧みる事無く、青年の養父は言い募る。   (お前が、殺した。)

樹の葉が、唯一背中から剥がれ落ち、受け止めた竜の血を地面に伏せる。  (我が肉親を殺すとは、何事かと。)

言われるがままに、邪龍の死骸から心臓を切り取り、火を起こして心臓を焼いていく。  (冷ややかな視線は、自らの言葉を認めてはくれず。)

それでも、きっと、この心臓を食べてくれたら、喜んでくれるのではないのかと、思って。  (ふとその眼に、微かにどこかで視た感情があるような気がして。)

 

 

どれだけ罵られようとも、まだ、その心のどこかで、【彼】は養父を信じていたのだ――――――――

(邪龍の心臓が焼けたかどうかと確かめようと手を伸ばす、心臓の肉を一欠け、確かにその口に含み咀嚼して――――――)

 

 

 

<かわいそうにね>

<だまされてるのに、きづいてないんだ>

 

 

……その声が、聞こえるまでは。

 

 

<だまされてるよ、だまされてる、あいつはしんぞうがたべたいだけ>

<ころすきだね、ころすきだ、かわいそうな■■■■は■■■にころされる>

<りゅうのしんぞうをたべればかしこくなれる、にんげんとはくらべものにならないほどに>

<ああかのやまにすむいくさおとめなら、きっととめてくれるだろうに、なんていうことだろう!>

 

声は告げる、その【裏切り】を。 

(瞳は陰り、一瞬にして怒りが表情を変えさせる、その感情は一気に心を染め上げて。)

 

信じる信じない等も無く、そも【声】が嘘を言う理由などなかったから。 

(疑いは確信へ、絶望は憤怒へ、悲哀は憎悪へ切り替わる。)

 

 

 

 

 

<<<■■■に、やくそくをまもるきなんてないのにね!!>>>

 

 

 

 

【彼】は、それがどうしようもない程に、事実なのだと分かってしまったのだ――――――――

 

 

 

 

 

だから、その行動は速やかに、そして呆気ない程に、行われた。

 

 

『おお、やっとか!やっと竜の心臓を喰らえ――――ッ!?』

 

 

 

――――――――――ギゾンッ!!!

 

 

躊躇う事無く、振り返った男に、剣を振るった。

 

 

鮮血と共に、首が宙を舞った。

同時に切り離された胴体から、夥しい量の血が流れ出す。

ドシャリ、と音を立てて崩れ落ちる身体の傍に、ボトリ、と、音を立てて、驚愕に眼を見開いた、首、が

養父の、斬り落とされたその首が、【彼】を向いて絶命していた。

 

……表情は見えない、だが淡々とした声が、辺りに響いた。

 

 

 

『………分かっていた、最初から、貴方が【俺】を見てくれてなんて無かった事なんて。』

 

 

 

血塗れの地面、切り落とされた首、邪龍を殺した剣で殺せぬモノ等なかった。

皮肉な話だが、例え目の前の男が養父だろうと、裏切ったなら殺そうと断じれるぐらいには、冷酷な判断は降させる程ぐらいには

 

 

『こっちを殺す為に生かしていたというのなら、殺される覚悟はあったんだろうしな。』

 

 

生まれながらにして――――――――――【彼】は、妥協を許さない戦士だったから。

 

故に、躊躇いも無く、憐憫も無く、情け等かける必要すら感じなかった。

だから容赦なく、【彼】は養父を、【敵】を殺した。

 

 

『……………。』

 

 

………それでも、【何】も思わなかったわけでは、無かった。

竜を殺せる都合のいい武器だとしても、自分の欲望を果たす為だとしても……思う事は、あった。

親として愛してくれてなんていなかった、ただの道具として利用していただけだった、そんなのちゃんと分かってた。

多くの知識を学ばせてくれた事もあったけれど、それは結局【邪龍】を確実に殺せるようという配慮だと。

あの日、一緒にいてほしいと望んだ時に、その手を振り払われ森に追い出されたその時から、全部分かっていた。

 

 

 

けれど、ああけれど、そんな人でも――――――――――――やっぱり【彼】の養父(ちちおや)だったのだ。

 

 

 

幼い頃から自身を育てた養父の裏切りに、はたしてこの青年が抱いた感情は如何程のものだったのか。

 

 

【彼】は、自分自身の手で、刎ね落とした養父の首を、どう思ったのだろう…?

 

 

『……………………さようなら、【父上】。』

 

 

その一言に、どんな想いが込められていたのだろう?

恨みはあるのかもしれない、憎しみもあるだろう、一度も親愛を向けてくれなかった養父。

自らを利用し、殺そうとまでしていた裏切り者。

 

 

そして―――――それでも、赤ん坊だった【彼】を、育ててくれた男。

 

 

その死体へ背を向けて、剣を片手に【彼】は愛馬に黄金と愛剣を積むと、そのまま何処かへ去っていく。

 

邪龍の心臓を喰らい、その血をその身に浴びて。

死闘の果てに手に入れたのは、【人ならざるモノ】の身体。

養父を殺して黄金を携え、【彼】は愛馬と共に歩んでいく。

 

 

…雨が降る中、遠ざかって行く、その背中………笑顔と呼べるモノは無く、ただ、その瞳は………

 

 

 

 

微かに、濡れているように視えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――【声】が、聞こえる。

 

 

 

 

 

 

 

『あれが龍を殺した男だとよ。』

『へぇ、あんな優男が…本当か?』

『ああ…だが、代わりに呪われちまったんだと。』

 

ひそひそ、と遠巻きに聞こえる声。

 

『はぁ?武器が刺さらない!?嘘だろ?』

『本当さ!奴に襲い掛かった山賊が、斬りつけたにも関わらず無傷だったんだと。』

『うへぇ…マジかよ、そんなの倒せる訳ねぇだろ。』

『……ていうか、本当に人間かよ、ソイツ…龍が人間の姿をしているんじゃないのか?』

 

恐ろしい、と疎ましげに向けられる声。

 

『しかも、容赦なく敵を殺すんだと…どこかの国で、皆殺しもしてきたらしい…』

『聞いた聞いた、実はさ、アレ命乞いしてる相手もぶっ殺したんだとよ。』

『……普通じゃないよ、何それ……気持ち悪い…』

『嘘だろ、そんなのどうかしてる…』

 

冷たい目線、存在を否定するような声。

 

 

 

……そんな声が、歩み進む彼の背中に、投げかけられていた。

 

 

 

邪龍を倒してから、彼の名は大地を駆け抜け、広まった。

人は、彼が恐ろしい竜を殺した偉大な英雄だと、讃えた。

 

 

―――しかし、それは長くは続かなかった。

 

 

始まりは、妬みや恐怖からの声だった。

 

それは、【彼】を殺し、竜の置き土産でもある財宝を奪おうとした、野盗を倒してからの、モノ。

 

 

1人も生き残らせなかった。

【敵】として殺そうとしてきたから、殺した。

 

皆殺しにして野ざらしにした。

それがどれだけ残酷な事かを、分からなかった。

 

ソレが、人間としては間違っていると。

そう教えてくれる人が、いなかったから。

最初から、そういう風に、育てられていたから。

 

 

それが、やりすぎ(・・・・)だと―――――【彼】は、知らなかったのだ。

 

 

 

 

その結果が、【コレ】だった。

 

 

 

多くの人々が、彼を讃えながらも恐怖した。

【アレ】は、人間なのかと、嫌悪を向けるようになった。

人としての、慈悲も情けもかけなかった、【人でなし】の異常者だと。

 

何物も恐れる事のない、また、何物も顧みれない存在なのだと。

【彼】の戦果が、【彼】の打ち立てる偉業が増える度に、その声は増えていった。

 

 

そうしているうちに、また、人を殺した。

 

 

戦いに巻き込まれた事もあった、誰かに助けを求められて手を出した事もあった。

その度に、多くの人間が【彼】の戦い方と、その肉体の異常に目を見張った。

普段とは打って変わったような、冷たい判断と別人のような戦闘と。

剣が刺さらない、殺せない、襲い掛かったら、武器で傷付けられない身体。

死なない、【死ねない】戦士、周りの眼はどんどん冷たくなっていった。

 

 

 

 

『……………怪物(バケモノ)め。』

 

 

 

 

最初に、そう言ったのは、誰だっただろう――――?

 

 

噂は一人歩きする。

彼の気持ちを誰も知らない。

 

けど声は止まない。

 

誰も彼もがその武勲を称えながら、それでも視線と声が蔑み続ける。

 

英雄。

最強の戦士。

 

異常者。

底知れぬ化け物。

 

あれは人間ではないよ、と誰かが言った。

 

あれは普通ではないよ、と誰かが嗤った。

 

 

そうして最後は、皆が、言った。

 

 

 

 

『アレは人間じゃない!アレは人間とは違う、英雄(化け物)だ!!』

 

 

 

――――無理もない、確かに、ソレは事実だった。

 

 

【彼自身】、そう断じていた。

 

 

確かに何も恐ろしく等なかった、【恐れる】という行為自体が、意味がないから。

【彼】が恐れたとしたら、ソレは竜と戦った時に払拭されてしまったから、もう何も怖くなかった。

 

普通じゃないというなら、そうなのだろう。

周りの人々と自分がどこか違うのを、養父との生活と全く違う光景で理解していた、価値観も全然違っていた。

 

明らかに周囲とは【壁】があり、超える事の出来ない一線が敷かれてしまっている事も、それが現実だという事も。

 

 

 

けど

 

 

 

『…………俺、は。』

 

 

 

 

けど、恐れはしなくても、哀しくなかった訳じゃないのだ。

 

分からない、確かに分からなかった。

それが、人を殺した際の行動が、やり過ぎだった事も。

自分の戦い方が、周りからしたら異常だったんだという事も。

 

 

 

それでも、そのやり方しか知らなかった(・・・・・・)のだ!

どうしたらいいのか、分からない程に、その戦い方しか知らなかった!!

それこそが正しいのだと、【彼】は、ただ竜を殺す為だけに育てられた青年には――――――――――――救いなんて、どこにも、なかったのだ。

 

 

 

『ああ…そっか…俺、は――――化け物、なのか…』

 

 

そうして、【彼】は独りになった。

 

傍に寄り添ってくれる、愛馬以外には、人なんて誰もいなかった。

そして誰も理解何てしてくれなかった、その言葉に【彼】が傷付いていた事も。

【彼】が、誰かの声を聞く度に、その言葉に静かに目を伏せていた事も。

 

死んでしまえと振り下ろされる剣を、この身体は防げるけど。

その悪意の言葉を身体は防げない、耳を潰せばいいとかいう問題じゃない。

心に傷は増えていく、どうする事も出来ない、今更変わろうにも変わり方も分からない。

 

周りの声はどんどん増えていった。

悪意の声もどんどん増えていった。

 

皆が皆、【彼】を讃えながらも恐れていった。

皆が皆、【彼】の気持ちを理解しようとしなかった。

 

 

 

 

 

 

    (■■■■は―――――望んで、そんな身体になったわけじゃなかったのに。)

 

 

 

 

 

――――――けれど、【彼】はそれを、結局最後まで、否定出来なかった。

 

 

 

声の、他の者の言うとおりだったからだ。

 

自分がどこか、おかしいのだと、分かっていた。

 

ただ、それを受け入れられなくて、悲しかっただけ。

 

それでも、死にたくなくて、生きていたかっただけで。

 

 

 

(たった1つだけ、【願い】があった、ソレを、叶えたかっただけだったのに。)

 

 

 

――――――――そして、気がつけば、【彼】は追いやられるようにして、その山の麓に辿り着いていた。

 

 

************************************

 

 

……………雁夜が思ったのは、ただ『どうして』という気持ちだった。

 

 

寂しい夢、ただ哀しい夢だった。

最初から何もなかった【彼】の物語、けれど何かを手に入れる度に、その痛みが増していく。

救いなんて何処にもなかった、信じてた相手に最初から裏切られていた。

 

母親に切り捨てられ、養父には使い捨ての道具扱い、周囲は彼を妬み恐怖し疎み続ける。

 

その戦いに報いと呼べるモノが無い、与えられるのは苦痛と嫌悪だけ。

望んで手にいれた訳でも無いモノで、彼は孤独に立たされ続ける。

そんなの―――――酷いし、辛いだけだ。

 

 

(寂しいと、独りぼっちで泣いていたあの小さな子供は、結局誰にも助けてもらえなかったのだ。)

 

 

 

ギリッ、と右手を握り締める。

怒りで、心が焼き切れそうになった。

 

「何でだよ、何で…アイツ、何もしてないじゃないか…なんで、アイツがあんな目にあわないといけなかったんだよ!?」

 

…雨が降っていた、あの記憶では。

 

養父を殺した、殺されかけたから、先に殺した。

でも、あの眼が忘れられない、だってきっと【彼】は…

 

 

「アイツ、泣いてたじゃないか……っ!」

 

 

誰かが言った、【怪物(バケモノ)】なんて関係無い、そんな事無い。

【人間】だ、どれだけ身体が変わってしまっても、彼はちゃんとヒトのままだった。

その心は優しいモノだった、誰かが傷付いていたらそれを助けようと思えるぐらいには。

それなのに、誰も、その気持ちを分かろうとすらしてくれなかった―――――――

 

 

ああ―――――それは、なんて、孤独だろう。

 

 

理解してくれる相手が、味方がいない。

ずっと独りで、ずっと一人ぼっちで、生きる。

そんなの、考えたくも無い、死んでいるのと同じだ。

未来が見えない、暖かい場所も無いなら、それはなんて絶望だ。

 

 

…そんな、悲しい過去を持った相手に、自分は何て言ってしまった?

 

 

 

<煩い!もういいお前は桜ちゃんの傍にいてあの子を守れ!いくら弱くなっていてもそれぐらいは出来るだろう!?俺にはバーサーカーがいるんだ!お前の助けなんて必要ない!早くこの部屋から出ていけっ!!!!>

 

 

「っ俺は、なんて、事を……!」

 

思い返した言の葉、自分の言ってしまった事が恐ろしい。

衝動に任せて吐き出した【アレ】は、逆に言われる立場だったら、どれだけの苦痛か考えもしなかった。

呼び出されたマスターに、必要ないと捨てられて。

弱いならいなくなれと、一方的に拒絶される。

 

生前と同じような扱い、明らかな【道具扱い】だ。

 

自分は【知らなかった】、ああ…なんて都合のいい言葉だろう。

何も知らなかった、だから、後になってこうして知って後悔してる。

知らなければいけなかった、聞かなければ相手の気持ちなんて分からない。

それをしなかった、ただ怒鳴りつけて追い出した、返された【あの言葉】にどんな想いが込められていたのだろう。

 

 

<…これだけは言っておく、私は【カリヤのサーヴァント】だ。

カリヤに危険が迫った時は、何があっても何を犠牲にしても、必ず助けに行く。

信頼なんていらない、信用何てしなくていい、ただそれだけを…忘れないでくれ。>

 

 

優しさが辛い、あの笑顔が痛い、自分の願いを否定はしてた、でも何かを気付けと忠告もしてた。

きっと、あの微笑みの下で傷付いていたのに、悟らせようとしなかった。

それなのに、この身を案じてくれていた。

助けに行くと、約束してくれていた。

見捨てる事も出来たのに、それをしないでくれたのに…あの倉庫街で、確かにその約束を、彼は果たそうとしてくれたのに…!

だから、間桐雁夜は謝らなければ、いけない。

共に戦いたいと思うからこそ、傷付けた事に謝罪したかった。

 

「ドラグーン…馬鹿野郎、何で、謝らせてもくれないんだよ…!」

 

でも彼は、此処にいない。

何処にいるのか、自分は知らない。

少女の傍すら離れ、今は何処にいるのだろう。

パスで呼びかけても、返事はない。

ただ微かな繋がりが、彼の生きている事を伝えている。

…彼は、今も1人なのだろうか。

あの夢のように、また独りなんだろうか。

まさか、何かあって、動けないのかもしれない。

 

「アイツを―――――っ、探しに、行かないと。」

 

ずる、と動かない左足を引きずって、雁夜は路地裏を移動する。

自分の責任だから、ちゃんと会いに行こう。

そしたら、すぐに謝って、もう一度話そう。

頭なり下げるのは、当然するとも。

そしてキャスター達の事も、【一緒】に、戦ってもらおう。

でなければ、雁夜はきっと後悔したままになる。

相手を傷付けたままで、その気持ちを無視したままで。

 

 

そんなのは――――雁夜自身が許せなかった。

 

 

その時、その雁夜の身体を抱き上げた腕があった。

 

「うわっ…バーサーカー!?」

『―――――』

 

今まで雁夜に負担を掛けないように霊体化していたバーサーカーに、子供のように抱き抱えられる。

その体勢に驚いて思わず声を上げるが、パスを通じて微かに聞こえた単語に、雁夜は暴れようとするのを止めた。

 

『――ドラ―グーン―――――ます―ター――とも、に――』

「…バーサーカー、ドラグーンがいるところが、分かるのか…?」

 

その問い掛けに返事はない、ただ、それでも雁夜を抱き上げ歩み出した黒い騎士の足取りはしっかりとしている。

ただ目的地へ、【指輪】の持ち主たる孤独な戦士の元へ、狂える騎士は確かに向かおうとしていた。

 

「ありがとう、な…」

 

その支えの中で瞳を閉じる。

次に開く時は、きっとあの銀の目の前だ。

だからせめて、その時は笑えるように、していたい。

 

 

待っていてほしい、ちゃんと、今度はこちらから会いに行くから―――――――独りには、しないから。

 

 

************************************

 

血塗れの夢、その中にあった一握りの嘆き。

寂しい微笑みを独り浮かべて、歩いていく遠い背中。

分かってほしい、そんなのではない。

 

 

英雄(バケモノ)なんて、言わないで。

 

誰も知らない【彼】の悲哀。

 

その結末は未だ知らない、【彼】の主よ。

 

 

どうか、その涙を、止めてほしい。

 

 

いずれ訪れる絶望の果て、何一つ変わらない終幕が訪れる時。

 

――――――燃え盛る黒焔の原で、【彼】が笑って逝けるように。

 

NEXT




【後書き】

ドラグーンの過去話編、2の続きだと思ってもらえれば幸いです。
アサシンの攻撃を弾けた宝具の秘密を開帳しました。

ここまでくれば、彼の真名に気付いた方も多いかもしれません。
しかしこの【彼】については、作者の完全オリジナルです。
実際はどう考えていたかなんてわからないですし、他の方の意見もあるでしょう。

この小説では、苦しんでいたのではないのかな、と思って書いています。

以前、投稿していたサイトで、
前回の麻婆神父との会話を、今回の話を読んだ後に読み直すと、少し泣きそうだと言われてしまいました。
【彼】の生前の結末と、そこまでの道程が過酷すぎる故に、神父の苦しみを否定できなかった・・・そう感じた様ですね、いや、予想外の反応でした;


おじさんもその在り方に悲しみました。
だからこそ、会いに行かなきゃ!と行動しています。
無事に再開できるのか?皆様もおじさんを応援してあげてください…。

それでは、ここまでの閲覧どうもありがとうございました!

今回のBGMは、【消えない想い(Fate/stay night[Realta Nua]】でした。

※感想・批評お待ちしております。
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