たとえ、世界を滅ぼしても ~第4次聖杯戦争物語~   作:壱原紅

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※注意

こちらの小説にはオリジナルサーヴァントが原作に介入するご都合主義成分や、微妙な腐向け要素が見られますので、受け付けないという方は事前に回れ右をしていただければ幸いでございます。

今回は300お気に入り登録者達成記念のリクエスト小説第一弾③――――を、書く前にリクエストの内容を視て作者が思いました。
【「最恐雁夜おじさん再び!」】(by 朋毅様)……これは、まず、そもそも最恐おじさんネタを知らないと楽しめない方も多いのではないかという事です。

なので、今回は!
既にpixivの方で掲載されている【聖杯戦争、Ture End過程の後日談番外編】を一部掲載いたします。

 ・バサドラ陣営+桜+ランサー陣営で桜ちゃんをかまい倒すソラウ様、ほのぼの
 ・以前短編で触れていた“ぶち切れ雁おじ”、に遭遇するドラグーン、ギャグな感じ


その為、バサカの理性がログインしてるよ!ドラの態度が本編より軟化してるよ!
まだ本編に登場してないキャラも出てきてるよ!

先生とソラウ様が正直別人かも……?
雁おじがぶっちゃけ黒(オルタ)化してるよ!

それでもいいという方、別に平気という方は大丈夫ですが。
興味ねええええええええええ!とか知らねええええええええええ!とか
うぜええええええええええ!!!とか思ってしまう方につきましては、この場でバックブラウザを推奨させていただきますm(__)m
しっかりとこの場で警告をさせていただいているので、受け付けないという方は無理に入る必要はございません、どうかブラウザバックしてくださいませ。


それでもいい、という優しい方はそのままスクロールをお願いいたします。


後日談番外編①

穏やかな日常は時として変化をする。

毎日が楽しいだけではないのが人生。

 

だからこそ、その1つ1つが愛おしい―――――

 

 

夢はいつか終わる日がくるけど、それまでは出来る限り笑っていたい。

 

 

*******************************************

 

 

短編その①  未来の幸福の継続を祈る ~お洒落をしよう!~

 

 

 

――――いつもの間桐家の昼下がり、何やら楽しげな声が聞こえます。

 

 

「あの服を着ているサクラは、とても可愛らしいですねケイネス殿。」

「ふむ、流石はソラウだな…色の配分もあの少女にピッタリなものばかりだ。」

「桜ちゃん…凄く可愛いよ!バーサーカー、カメラ持ってきて!」

「お任せをカリヤ!換えのフィルムも用意しておきますね!!」

「あー…じゃあ俺は新しいお菓子でも持ってくるかー…」

 

 

間桐家のとある一室で、数人の男性がテーブルで話し込んでいた。

間桐家の住人であるバサドラ陣営と、来客として訪れているランサー陣営である。

 

何故、このランサー陣営が間桐家にいるのかと言えば、至極簡単な理由だったりする。

 

蟲によって傷付けられた雁夜と桜の身体の治療と、それぞれの属性に合わせた魔術の勉強。

どちらも聖杯戦争が終わってから、雁夜と桜を助ける為に必要であった重要な事柄。

その両方をしてくれているのが、聖杯戦争中に仲良くなったランサー陣営だった。

 

魔術の勉強はケイネスが、治療はケイネスの婚約者であるソラウが、請け負ってくれている。

最初の頃は、ただそれだけだったのだが―――――――――――最近、この来訪に新たな場面が加わるようになった。

 

「可愛いわ!こっちの服も良く似合うけど、その服もやっぱり貴女にぴったりよサクラ。(〃^∇^)」

「あ、ありがとう…ソラウおねえちゃん…(〃・ω・〃)」

 

ふわふわの白いレースのヘッドドレスに、同じようなレースがついた桃色のミニスカートと淡いクリーム色のシャツ。

所謂ゴスロリという服だが、着る人によっては嫌味でも何でもない可愛らしい姿になれるモノ。

 

部屋の一室にカーテンの仕切りを引いて、その中で着替えて部屋の中の鏡の前でくるりと一回転する桜。

いつもより女の子らしく着飾って、少し嬉しそうに照れている姿に、鏡の前で一緒に見てるソラウが微笑む。

 

そう、ソラウが桜に子供用の洋服を着てほしいと言ってきたのだ。

昔自分が着ていたお嬢様向けのモノもあれば、冬木のショッピング中に気に入ったモノから様々だが、ソラウは桜に似合いそうなモノを持ってくるようになった。

 

「でもいいの…?桜、おねえちゃんに何もしてあげれないのに…(´・ω・`)」

「サクラ…!いいのよ、気にしないで。

 私貴女みたいな素直で可愛い妹が欲しかったのよ…ああもう本当に可愛いわ(≧▽≦)!」

「おねえちゃん…ありがとう…(・ω・*)」

 

最初は突然プレゼントを持ってきてくれたソラウに驚いて、桜も本当にいいのかな?と戸惑っていたが。

今では月に2回のこの小さなファッションショーを楽しみにしているようで、前日にはお姉ちゃんまだ?となっていた。

 

つまり、ケイネス達がその日訪れた場合。

 

治療→勉強→お茶会&ファッションショー……といった感じに、その2人の姿を見守るのが男性陣の最終的なその日の行動となっているのだ。

 

 

「しかし、ソラウがあんなにサクラを気に入るとは…正直、予想外だったな…彼女は子供好きというわけではなかったのだが…」

「ソラウ様はサクラを聖杯戦争の時から気にかけていらっしゃいましたから…思うところがあったのではないのでしょうか?」

「なぁ…そういえば彼女は、兄弟がいると聞いたが?」

「ああ、ソラウには兄がいる。

 兄との仲は良好でな、むしろ…彼しかソラウの味方はいなかった、とも言っていいのだが…」

「――――成程、同じ【妹】という側面でサクラを心配してくださったのですね、彼女は…」

「ん?どういう事だよ。」

 

その様子を見つめつつ、もそもそとクッキーを食べていた雁夜が納得した様子のバーサーカーに問い掛ける。

そんな問いかけに、ドラグーンが紅茶を飲みつつ横目で桜とソラウには聞こえないように答える。

 

「つまり、彼女は桜の境遇と自分を重ねてしまったんだろうな。

 ソラウには味方がいたけど、桜には【肉親】にその存在がいなかった―――実際は違ったわけだが、ソラウからすれば桜の扱いは完全に受け付けられない部類だったわけだ。

 今は桜に家族以外にも【味方】がいるんだと、彼女なりに伝えたいんだろう……で、その方法がアレになったってことだろうな。」

「…そっか。」

「桜が魔術師として生きるかは桜自身の問題だから、今は本当に姉妹として接してみたいと思ってるんじゃないか?

 あの様子だと本気で桜の事を【妹】扱いしているような気もするし……」

「…シンジが聞いたら大騒ぎになりそうですね。」

「ふむ、君達の家族の少年だったな、確かに彼は騒ぎそうだ。」

「『桜は僕の妹なんだーo(*≧д≦)o!』って、前も言っていたしなぁ…」

「あの時は、なかなかの騒ぎだったな…」

 

それぞれがクッキーやらチョコレートやらを摘みながらの会話。

すっかりこの光景にも慣れたもので、ドラグーンは桜とソラウを見ながら思う。

 

バーサーカーは雁夜にチョコレートを、ランサーはケイネスのお皿にクッキーを、それぞれ追加したりしてる。

この面子でテーブルを囲むことも多い為、誰が何を好きなのか把握してるからこその行動なのだが…

 

何と言うか、ちょっと和む。

 

 

(以前は誰が何を好きだから増やしたげよう、とか気にしてる余裕すらなかったしな…全員で一緒に甘いモノ食べるとか、したこともなかっただろうし…)

 

 

この時間が、酷く暖かくて、ずっと続いてくれたらいいと思う。

 

 

(ま、いつかは終わりは来るんだがな。)

 

 

それはどんな形かは分からないけれど、終わらないモノはないように、いつの日か幕を引くだろう。

 

 

(だから、今だけは―――――――)

 

 

 

「おじさんっ!あの、似合うかな…(?´・ω・`)」

「桜ちゃん!うん、すごく可愛いよ!今から写真撮るからね…ソラウさんも、桜ちゃんと一緒に写ってください(o≧▽゚)o」

「あら、じゃあお願いしようかしら(〃^∇^)」

「ソラウおねえちゃんも一緒?ありがとう雁夜おじさん!嬉しいな(・ω・*)♪」

「では、私も手伝いますよカリヤ(`・ω・´)」

「ああ、ありがとうな、バーサーカー(^▽^●)」

「む…(後でカリヤに焼き増ししてもらうよう頼むか…(。-`ω-))」

「ケイネス殿、ソラウ様もサクラも嬉しそうで何よりですね!(^-^)」

「ああ、そうだな…」

「…………………じゃあもう、全員で写ったらどうだ?」

『えっ?』

「どうせなら集合写真にしよう、後で皆でそれぞれ持ってればいい思い出になるだろう?」

 

 

 

(―――――――この幸福な日々が、一日でも永く続く事を、願う。)

 

 

 

 

――――――数分後、バサドラ陣営とランサー陣営で集合写真を撮る事になったのがその日の午後の話。

 

幸せそうにそれぞれが笑う写真を手に入れるのが数週間後。

 

その際の写真を見つけて、狡いと騒ぐちょっとした騒動が起こるのが一か月後の事になるのだが……それはまだ、語られる事なき幸福の日々のヒトカケラ。

 

 

 

――――――――貴方と一緒に笑おう、この日常を過ごせる事に感謝して。

 

 

 

短編その① END

 

 

*******************************************

 

 

普段、大人しい人程起こると怖いと言いますが。

それは、ある意味語弊があります。

 

大人しいから怖いのではなく、笑顔だから怖いのです。

 

普段怒らないから分からない、ましてや、ソレは静かな怒り。

自業自得とは言いますが、藪から突いて蛇を出したは貴方です。

 

さて―――――――――此度は、誰が、お説教されるのでしょうかね?

 

 

*******************************************

 

 

短編その② 俺達のマスターは最強なんだ! ~間桐家のラスボス化現象~

 

 

その日、特に何も無かった筈だった。

 

いつも通りに朝目を覚まし。

いつも通りに家事に勤しみながら。

いつもと違った来客の準備をしてただけ。

 

そして、その来客を出迎えて相手をしてて。

 

 

―――――――どうしてこうなった。

 

 

そう現実逃避したくなる程度に、目の前にある光景にそう思わずにいられない。

 

 

「なぁ時臣、お前大丈夫だって言ってたよな?何で桜ちゃんと慎二君泣いてんの?」

「それは、その…私が桜の魔力の桁を勘違いして、図り損ねたからです……」

「あはは…へぇ、それまた【うっかり】かよ…?お前の家系マジでソレ無くすとこから始めた方がいいんじゃねえの?マジで。」

 

 

冷ややかな目。

薄く笑った口元。

纏う空気は黒く重い。

 

 

「衛宮さんも、結局こうなるのは想像してたんじゃないですか…言ってましたよね?【うっかりで屋敷壊す】って…?」

「え、アレは、遠坂の屋敷だけって意味だったんだけど…」

「ん?(ニッコリ(黒笑))」

「はい、すいません、ちょっとは予想してました……」

「あ、やっぱりー!もういい加減にしてくださいよー…家の子泣いてるんですけど、そのせいで。」

「ハイ、すいませんでした……」

 

 

それだけ今の雁夜は、正直怖かった。

何で魔術師殺しに笑って威圧感出せるんだ、雁夜。

遠坂なんて真っ黒い気配に押されて、顔が真っ青になっている。

 

 

「なぁ、雁夜…」

「ああ、ドラグーン―――――大丈夫、お前は気にしなくていいから♪桜ちゃんと慎二君を見ててくれな。」

 

 

そうですか、と言えればどれだけマシか。

いっそ回れ右をして逃げ出したい、それだけ今の雁夜はマズイ。

 

実際、誰も近寄ろうとしてないのだから、当然なのだが。

 

雁夜を見守っているバーサーカーや鶴野はとっくの昔に安全圏に逃げている。

アーチャーとセイバーは、己のマスターの事等知った事ではないと呆れた目で見てる。

こちらも桜や慎二に引っ付かれて、背後に隠れている状態なのだから近寄る事も出来ない。

 

 

………………………だがしかし

 

 

「………」

「―――っ!」

 

 

そんな雁夜の目の前で、正座をした状態で、どことなくプルプルと震えている死んだ眼の男2人の視線が痛かった。

明らかに【勘弁してください】とか、【たすけてぇぇぇぇ!】という眼が正直めんどう…いや、憐れだった。

 

衛宮切嗣、遠坂時臣。

お前ら本当に、何て事をしてくれた―――――自業自得だけど。

 

 

*******************************************

 

 

事の起こりは、数分前まで遡る。

 

 

『――――――そうだ、ここの広間で魔術の実験成果を見てほしいんだが。』

『はぁ?こんなとこでする気かよお前…』

『別の僕は良いと思うけどね、下手に自分の家でして、【うっかり】屋敷を破壊するよりは。』

 

 

間桐家の【裏】の当主として、必要最低限の内容を同じ当主である遠坂時臣に。

外道魔術師の危険性と、その主な対処法を衛宮切嗣に師事している月1の会合の時に、事件は起こった。

 

 

『失礼だね、これは桜の為の術式でもあるんだよ……虚数属性はケイネス殿だけでは手に余るからね。

 私も少しは…あの子の為に、何かしてあげようと思ったんだよ。』

『へぇ、ちょっとは【父親】として行動しようと努力してるのか……どうだい、雁夜?僕も見ておくし大丈夫だと思うけど?』

『――――――ふん、まぁいいんじゃねぇの?それで、ソレは今すぐしないとダメなのかよ?』

『ああ、万が一の時、あの子の力が暴走した時にすぐに対処できるようにする為のモノだからね。

 君に合わせて考えたものだ、水の属性で虚数にどこまで迫れるかは分からないが、その場しのぎにはなるだろう。』

 

 

桜の為――――その言葉に嘘は無いと判断したのが、運の付き。

それでも、それこそその実験で万が一が起こったら怖いと、

雁夜が俺を含めたサーヴァント……バーサーカー・セイバーに協力を頼んだのは、不幸中の幸いだった。

(※何故か暇つぶしと称してアーチャーも来たが、奴は本当にただ見てるだけだった。)

 

 

『それじゃぁ始めるよ、桜………魔方陣の中心に立ってくれるかい?』

『はい―――遠坂のおじさん。』

『っ……』

 

 

――ちょっと、泣きそうになりながら詠唱をしていた遠坂は、まぁここでミスったのだろう。

そもそも、桜自身、たった1年で実の父親に対しての感情を整理出来るほど単純ではなかった。

 

術を行使する側、される側がお互い不安定等、失敗するに決まってる。

だから、この実験自体、いきなり行うべきではなかったのだと今は思える。

 

いい加減自分がさっさと桜に謝らなかったからこうなったのだと自覚すればいいのに、とか。

衛宮もどうして桜と遠坂を合わせてしまおうと考えたんだろう、と思って気を散らしてた俺も正直馬鹿だったが。

 

 

『っ―――――う、く―――!?』

『桜…!?そこまで力を使わなくていい!もう少し抑えるんだ!!』

『拙い…!遠坂!実験を中止するんだ速く!』

『桜ちゃん!気を失ったら駄目だ!今そっちに…っ!』

『危険ですカリヤ!今の桜に近寄っては―――!』

 

 

複数の焦りを込めて響く声。

目の前で苦しげに顔を歪める少女。

暴走した力が、自身の影を歪ませて周囲を攻撃する。

 

 

『さくらぁっ!!』

 

 

そんな中――――――小さな1つの影が、桜へ向かって走った。

 

 

『慎二君っ!?』

『待て慎二っ!戻れ!』

 

 

危険だからと別の部屋にいた筈の鶴野と慎二が、何故か部屋に飛び込んで来た。

桜が心配だからと慎二が駄々を捏ねて、こっそり覗いていたのだと、思う。

 

幼いなりに、自分の妹が危ないと気付いたのだろう。

助けなければと父親の手を振り切って、傍に行こうと走ってきたのだ。

 

 

『桜!桜っ!!』

『~~~…っ!駄目、お兄ちゃんを傷付けないで…!』

『いけませんシンジ!私と一緒に戻って!!』

『離せよぉっ!桜を助けるんだ!!』

 

 

魔方陣の中の自分に駆け寄ってくる慎二に、桜も何とか声を張り上げて影を抑え込もうとする。

その間にセイバーが慎二を抱き上げたが、慎二は嫌だと抵抗してすぐに逃げようとしない。

 

そして――――――――

 

 

 

『駄目――――――っ!逃げてぇえええええ!!』

 

 

 

桜の悲痛な叫びと共に、魔方陣が一際強い光を放ち消滅する。

それと同時に抑えきれなくなった影が、目の前の相手を追い払おうと暴れ出す。

 

ソレらは纏まり一つの巨大な鞭のようになると、立ち尽くすセイバーと慎二に、一気に襲い掛かり――――

 

 

『慎二を庇え!セイバーっ!!』

『ドラグーン……っ!?』

 

 

――――距離からして避けきれないと、慎二を守るように抱きしめたセイバーを、俺はそこから思いっきり突き飛ばした。

 

 

………………まぁ当然、セイバーを突き飛ばしたからには、そこには俺が割り込んで入ってしまったわけで。

バーサーカーは助けに行こうとしていた雁夜と鶴野を抑え込んでたし、遠坂は虚数の暴走を抑え込む魔方陣を維持してて、衛宮は二次災害が起こらないように対処してた訳なんだから、誰も俺の補佐には回れなかった訳で。

(※結局、魔方陣は桜の無意識の暴走に押し負けて壊れてしまったから、実験が失敗したのは確定だった。)

 

 

 

 

当然、こうなった。

 

 

 

 

               どがああああああああああっ!!!

 

『っ……!』

 

 

横腹に影の一撃が容赦なく叩き込まれ、その衝撃によって宙を舞った。

一気に吹き飛んだ身体に走る振動、そして視界の隅に映る壁の破片。

背中から壁に突っ込んでしまった為、息が詰まり受身も取れない。

そのまま床に、壁の破片と一緒に俯せに落下した。

 

傷は負わなくても、衝撃は殺せなかった。

 

全力の一撃、とはまさにこれだろう。

幼いながらも優秀な魔術師候補とだけ言われる訳だ。

受肉したサーヴァントに微かにダメージを負わせたのだから。

霊体化が出来れば壁をそのまますり抜ける事も出来たのだが、これはどうしようもない。

 

そんな現実逃避をしながらも、頭も打ったのでぼんやりしながら何とか立ち上がろうとした。

 

 

『ドラグーン…っ!』

『おい、おい!?大丈夫なのかよ…!』

 

 

そんな時、ふと、泣き出しそうな声が聞こえた。

上半身だけ起こして、その声に目を向けると、桜と慎二が駆け寄ってきていた。

 

 

『…無事だったか、良かった、怪我ないか2人共。』

『お前は大丈夫なのかよ!?ケガは!?痛い所ないのかよ!!』

『ごめ、んなさい…ごめんなさい…!わたしが、ひどい事しちゃった…!』

 

 

ぎゅうっ、とこちらの服を握り締めて、問い掛けてくる慎二と。

涙をいっぱい眼に溜めて、今にも泣きだしそうな顔で目の前で謝る桜。

この子達のせいではないのに、自分を責めて苦しむ姿は見たくなかった。

 

だから、2人纏めて抱きしめた。

ぽんぽん、とそれぞれの背中を軽く叩く。

少し身体を離して、見上げてくる不安そうな顔と、泣きそうな顔に笑って言った。

 

 

『あー大丈夫大丈夫、そんな簡単に怪我しないから。

 むしろ気にしなくていい、お前達が笑っていられるようにするのが、俺の幸せだし。

 だから次からは気を付けようなー、慎二は冷静に行動出来るようになって、桜はもう暴走させないようにする。

 

 今はそれで、充分だから――――――――ゆっくりやっていこうな。』

 

 

その瞬間、慎二と桜は同時に、くしゃりと顔を歪めた。

 

 

『ば、馬鹿ああああっ!ドラグーンのバカァっ!違うよ!僕も悪いけど違うっ゚(゚ノД`゚)゚ !!』

『ごめんなさ…っ!ごめんなさい!お兄ちゃん!ドラグーン…っ!ごめんなさい…(´;д;`)!』

『っ!?ちょ、泣かなくていいからなっ!?ほら怖くないもう大丈夫だからな!平気平気!ヽ(´Д`;≡;´Д`)ノ』

 

 

一気に、広間に泣き声が響き渡った。

ボロボロと涙を流して泣きじゃくる子供が2人。

しがみ付いてきて、離れようとしない慎二と桜が泣いている。

 

冗談抜きで驚いて、慌てて泣きやませようと抱きしめながら必死に声をかける……そんな中。

 

 

『………おい』

 

 

ピシリ、と空気の凍る音がした。

部屋の中が、どことなくヒンヤリとしてきた気すらする。

 

嫌な、予感がした。

 

そう、まるで――――――起こしちゃいけない類のモノを、起こしてしまったような気が。

 

 

そして

 

 

『俺の【家族】になんてことしてくれてんだ…?』

 

 

――――その、静かな怒号が響いて、冒頭の事態が発生したのであった。

 

 

 

*******************************************

 

 

「どう責任とってくれるんだ…?」

「ごめん雁夜!こ、怖いよ君!?何か出てるっ!!??」

「……水の魔術で作った水球……え、どうする気なんだいソレ」

「だいじょーぶだって♪ちょーっと30分くらいコレを頭に被って反省してくれればな…(黒笑)」

「雁夜っ!?それは溺死しちゃうと思うんだけど私間違ってるかな!?」

「溺死どころか、間違って飲み込んだりしたら色々とヤバイ色してるけどね…何で、緑…」

「ん?(ニッコリ)」

 

 

ジリジリ、と大人の頭サイズの水球2つを背後に詰め寄っていく雁夜と、

正座して足が痺れたのかはたまた暗黒オーラに押されて動けないのか、逃げれない遠坂と衛宮。

そんな暴走気味のマスターを見つめつつ、ちょっとばかり思い出した事に、頭を押さえて溜息を吐いた。

 

 

「……そりゃぁ、慎二も桜も、怖い思いをしただろうがな……」

 

桜は能力の暴走で少しは疲れているだろうが、自分自身を傷付けたりはしていないので無傷。

慎二についてはセイバーが要望通りに庇ってくれたので、こちらも同様に無傷だったりする。

 

影の暴走は誰もが予想外だったので、慎二も桜もきっと本当に驚いて怖かっただろう。

しかし、それは自分が盾になって、代わりに吹っ飛ばされたのでまだ大丈夫だったのだが。

多少壁に叩きつけられて頭を打った程度、こんなの戦争の時にいくらでも体験してたので慣れてる。

 

その後、すぐに慎二と桜が一緒に駆け寄ってきて、一緒に泣きだされたのはこちらも予想外だったが。

 

 

「正直、アレは…怖いぞ、うん…」

 

 

自分の傍から離れない慎二と桜も、雁夜がちょっと怖いのか後ろに隠れて出てこようとしない。

というか、おい、いつの間にか水球がケイネスの水銀と同じぐらいの大きさになってるんだが……

 

 

「覚悟できてるだろうな…お前等…?(`д´ ╬ ) 」

「雁夜っ!落ち着いてくれないか!!??ソレは本当に死ぬから!!Σ(゚Д゚|||)」

「僕までその球体を被るのか!?ちょっと大きすぎないかいソレは!?Σ(((-言-;;)))」

 

しかし一体何が雁夜をそこまで怒らせているのか、正直見当もついてないからどう止めたものか―――

 

 

 

『俺の【家族】になんてことしてくれてんだ…?』

 

 

 

「……ん?」

 

そこまで考えて―――ふと、ある可能性に、行きついた。

 

目の前で今も冷ややかな空気を垂れ流しにする雁夜。

その真正面で正座させられて怒られ続けてる衛宮と遠坂。

 

でもって、そんな光景を呆れた様に見ているギャラリーの様子。

 

「なぁ、雁夜。」

「…何だ?俺は今忙しいんだけど。」

 

その状態と唐突に思いついた事を、なんとなく原因だと判断して声をかけた。

 

 

「あー……もうそこまでにしとけ、そいつらもワザとじゃなかったのは事実だろう。

 俺達も桜の事をもうちょっと考えてやるべきだった、いきなり実験とか受け入れるべきじゃなかったんだ。

 それに、俺は平気だし、どこも痛くないから。

 むしろ――――悪かったな変な心配かけて、あの程度で怪我する程柔じゃないから気にするな。」

 

 

もしかしなくても―――――――雁夜は桜達だけじゃなくて、俺の事でも怒ってるんだなと、分かったから。

 

 

その答えに、ぴたり、と雁夜の動きが止まった。

どことなく、ジト、と睨んできている事にこちらもおかしな事を言ったかな?と思う。

まぁ、これで少しは冷静になってくれるだろうな―――――と、若干楽観的に考えている、と。

 

 

 

 

 

 

「……………………………よーし、お前も正座だ☆ここに来いっヽ(#`Д´)ノ!!!」

「えっ!?俺もかっ!!??ってうわあああああああ!?水がぁぁぁ近っ!?Σ(゚ロ゚;)」

 

 

 

 

 

突如、クワッ!と目を見開かれて怒られたと思ったと同時に雁夜の背後の水球が2つ同時に突っ込んできた。

顔面スレスレで急停止したが、正直このままぶつかられたらどうなってたか、あんまり想像したくなかった……雁夜も床が水浸しになるのは、嫌だったのだろうか。

 

 

「当たり前だっ!!大体お前も無理し過ぎなんだよ俺達がどれだけ心配すると思ってんだ!!桜ちゃんや慎二君もお前を心配して泣いてたんだぞっ(# ゚Д゚)!!」

「え、あ、うん…ごめんなさい…(-_-;)」

 

先程よりも冷気は消えた代わりに、口元を引き攣らせた状態で指差して怒られた。

その様子に、言い訳は駄目だと瞬時に悟ると大人しく雁夜の前に連行される。

(※桜と慎二はバーサーカー達にお願いしました、流石に連れてけない。)

 

 

「さーて…………3人共、覚悟は、いいな?(黒笑)」

『はい…………』

 

 

真っ黒笑顔で(少しはマシになったけど)雁夜が微笑む。

水球は消えたが説教は消えない(まだ怖い空気)何この貫禄。

平謝りしなくてはいけないと気付いた(もうすぐ夜だぞ)今日の午後。

 

 

―――――――――――――その日、夜も眠らせてもらえない地獄の理論攻め説教大会が開かれたのは、関係者のみの間の話になったのは言うまでもない。

 

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ☆

 

……次の日。

 

 

「セイバー。」

「ドラグーン、大丈夫なのですか?もう起きても。」

「ああ、衛宮と遠坂は知らんが俺はサーヴァントだしな。

 そこまで寝なくてもいいからもう起きたんだが……先日は慎二を守ってくれて感謝する、ありがとう。」

「む、気にしなくても結構です、むしろ私も結局貴方に庇われてしまいました…感謝しています。」

「そうか、しかし………アレが例の『ラスボス化』か…予想より酷かったな…」

 

 

間桐家のリビングで、セイバーと出逢ったドラグーンは、その時の感想を語ったのだが。

セイバーはこの時、重苦しい空気を醸し出して、こう言ったという。

 

 

「ドラグーン…カリヤは…あれでもまだ本気で怒ってはない(・・・・・・・・)のですよ…?」

「え」

「以前、サクラとシンジに暴漢が襲い掛かってきたのです、その時にキリツグや私も一緒にいたのですが…凄かった。」

「ど、どう…凄かったんだ?」

「今回の、比ではないぐらいに容赦なく、冷たく、色んな意味で――――――――黒かった(・・・・)、です。」

「……………………………………………………………………………………………………………………………………うん、俺が悪かった。」

 

 

ぴちちち…と、小鳥の声が聞こえる中。

 

彼は、■■■■は。

雁夜が【バーサーカー】と【ドラグーン】を呼べたという事に、ちょっとだけ納得出来た気がした。

 

 

「セイバー、俺とバーサーカーのマスターは、最強…なんだ…」

「最強、ですか…………あの、むしろ……」

「言うな、少なくとも、この家の中では、言うな――――」

「……はい、そうです、ね。」

 

 

そう―――――――――――俺達のマスターは、【最恐】なんだ!そう、思った。

 

 

これも、幸せ(?)な日常のほんの一幕。

でも、出来れば……………………もう、あの真っ黒は、みたく、ない。

 

 

短編その② 爆☆終




【後書き】

朋毅様リクエストの小説を読む前の、その事前知識ともいえる番外編でした。
コレを読んでからの方が、どんな感じの雁夜おじさんが来るのか分かるので、読んでもらえたら嬉しいです。

お待ちしていただいている朋毅様へ、最恐おじさん再び!のリクエスト小説も出来る限りの更新を急ぎます!
それでは、ここまでの閲覧、本当にありがとうございました!

今回のBGMは、【「深海のリトルクライ」 feat. 土岐麻子】でした。

※感想・批評お待ちしております。
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