マテリアル・シーカー   作:by俺っと

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どうもby俺っとです。
相変わらずの文章力です。
しかも今回は課題としている戦闘描写があります。
そんなこんなで二話めです。
「こうしたら良いのに」など指摘等ありましたらどんどんお願いします。



魔物とシーカー

 翌朝、ヴォルスがタット村で迎えた朝は最悪なものだった。特別女性が苦手というわけではないが、同じ屋根の下で初対面の女性と一晩を共にするという体験は初めてだった。そこからくる緊張でろくに眠ることができなかったためだ。加えて、隣で眠っていたサイクスが何度も何度もヴォルスに寄りかかってきたのだ。結果、恐らくはこの村の誰よりも早く朝を迎えたであろうヴォルスの目の下には、濃厚な隈ができていた。

 半ば寝ぼけた意識を呼び戻すため、外で日課の体捌きの確認をすることにしたヴォルスは、自前の盾を持ってアイリーンとサイクスを起こさないように外に出た。幸いなことに吹雪いてはおらず、村は平静そのものだった。大きく一つ深呼吸をすると、朝の冷え切った空気がヴォルスの肺を満たす。いくらか目が覚めたヴォルスは盾を構え、素振りから始めた。

 ヴォルスの盾はとても大きいが、十二層に及ぶ魔導被膜加工がその防御力の大半を担っているため本体自体はとても軽く、扱いやすい。

 ブンッ!ヒュッ!

 盾を振り回す音が閑散とした村に響く。ヴォルスが素振りをしながら村の全景をざっと見渡すと村は平静そのもので、とても魔物に襲われたことのある村には見えなかった。

 「三百九十八回、三百九十九回、よん、ひゃく!ふぅ…」

 さて、次は型の確認を…。

 「すっごいね~。四百回もこんなの振ってたの?」

 「!」

 三十分ほど無心で盾を振るい続け、続いて拳法の型に移ろうとしたヴォルスの傍にはいつの間にかアイリーンが立っていた。彼女は昨日の服装にケープを羽織っただけという薄着の域に入る格好をしていた。

 「アイリ。いつからそこに?」

 「ん~、五分くらい前かな。男の人と一緒に寝るのって始めてだからちょっと緊張しちゃって。で、目が覚めてヴォルスがいなかったからおかしいなと思ったのね。そしたら外からヴォルスの声が聞こえてきたから…」

 「…サイクスは?」

 「まだ寝てるよ。…ふふっ」

 「どうした?」

 「こうしてると私たち夫婦に見えるんじゃないかなぁって。サイクスは子供で、お父さんが子供のことをお母さんに聞いてるみたいだったなぁと思って…ごめんなさい、私何言ってんだろう」

 言いながら俯いてしまったアイリーンは耳まで真っ赤になっていた。

 「気にすることはない。確かにサイクスは子供っぽいところがあるが、あれはあれでなかなかいいやつだ。」

 当のヴォルスは気にする箇所を間違えていた。わざとや狙いではなく、天然なのだ。

 「あ、あはは…そうだよね。ヴォルス、素振りは終わった?終わったんなら中に入ってご飯にしよう?」

 「ん、次は拳法の型でもしようかと思っていたところ…」

 大変だぁー!

 魔物だ!魔物が山から下りてきたぞー!

 アイリーンの質問に対するヴォルスの返答を遮り、山あいの方から必死な叫びが聞こえてきた。その叫びは魔物の到来を知らせるものだった。

 「え?」

 「魔物…だと?ちょっと行ってくる」

 ヴォルスは近くの木にかけておいた自前のコートを羽織り、盾を担いで戦闘態勢に入る。その目はすでに狩人の目だ。

 「ヴォルス…」

 アイリーンは心配そうにヴォルスの腕を掴む。

 「大丈夫だ。アイリは家に入って身を守っていろ。私は魔物と戦う」

 「無茶よ!盾じゃろくに戦えないわ。サイクスを起こしてくるから…」

 「駄目だ。サイクスには君を守らせろ。あんなやつだが腕は立つ。いいか?私がいいと言うまで外に出てはいけない」

 「でも…」

 「信じてくれ、アイリ」

 ぐずるアイリーンの両肩に手を置き、ヴォルスは説得を続ける。

 「…うん、わかった。でも、約束して。絶対一緒にご飯食べるんだよ?」

 「ああ、約束だ」

 ようやくアイリーンが納得し、ヴォルスは目標を見定める。目指すは魔物が出たという山あい。

『風よ 我が身に宿れ』

 ヴォルスが詠唱を始めると、周囲に風の形をした魔力が渦巻き始めた。いかつい見た目ではあるがヴォルスは魔術も扱える戦士なのだ。

『ストライド』

 ヴォルスが呟き、地面を蹴った。その瞬間アイリーンの視界が雪煙で遮られた。

 「けほっけほっ。うわーもう見えないや」

 雪煙が晴れた時、もうヴォルスの姿はなかった。

 

※※※

 

 ヴォルスが魔物を見つけたときには、すでに人っ子一人いなくなっていた。

 遠目に見るその影は狼のものに間違いはなかったが、その影は明らかにサイズがおかしく、また、牙が大きく変質していた。

 魔物はヴォルスを見つけるとそれまで貪っていた作物から目を離しヴォルスに向かって牙を剥いた。

 ヴルルル

 低く構えつつ唸り、ヴォルスに対して威嚇をしている。

 「ウルフタイプか…単独なのが救いだな。数で来られるといささか面倒だ」

 ウオォォォォーーン!

 担いでいた盾を構え、ヴォルスが呟くと、ウルフは大きく吠えた。ウルフタイプの魔物は基本的に群れを形成して行動している。稀に単独で偵察の意味を込めて活動し、敵を発見次第即座に自分の力量と比較し、自分の手に負えないようであれば仲間を呼ぶというのが基本の行動パターンである。 

 「やれやれ、仲間を呼んだか。…しかたがない、全て倒す」

 言いながらヴォルスが盾のグリップを捻ると盾の中心の部分がせり出し、せり出した部分には鋭利な刃がついていた。盾から剣が伸びたという見た目だ。

 「…まずはお前からだ。いくぞ!」

 ヴォルスが武器を構え、魔物に向かって駆けると、魔物もそれにあわせるようにヴォルスめがけて突進してきた。ヴォルスは魔物と交差するタイミングにあわせて切りつける。が、魔物は紙一重で白刃をかわし、身を翻して距離をとる。結果大振りしてしまい、ヴォルスは隙だらけになってしまった。

 しまった!

 ヴォルスは振りぬいた盾の刃を地面に突き立て、そこを支点にして体勢を立て直した。しかし、魔物は攻撃する素振りを見せず、ヴォルスの様子を見定めている。見に回った魔物の後ろには、同タイプの魔物が少なくとも二十は控えておりどこか勝ち誇ったような表情が見て取れる。ヴォルスをしとめるチャンスをむざむざ見送った余裕は数によるものだと予想ができる。

 「増援か。ならば圧倒的な力で駆逐させてもらおう」

 言いながらヴォルスは盾を掲げる。

 『雷よ 我が刃に宿り 眼前の敵を討ち滅ぼせ』

 ヴォルスの頭上に小規模な雷雲が形成され、徐々に雷の力が凝縮され始める。

 『サンダーブレード』

 雷雲からヴォルスの盾めがけて稲妻が降り注ぎ、帯電した状態になる。

 「待たせたな」

 言いながらヴォルスは盾に収納されていた刃を展開させた。刃からは雷の力がほとばしる。

 ヴォオオオォォォォォ!

 ヴォルスが刃を構えると魔物たちが一斉に飛び掛ってきた。

 「うおおおおおお!」

 ヴォルスは構えた刃をそのまま横一線に振りぬいた。刃に蓄えられた雷の力が一気に解放され、魔物の群れを一瞬で消し炭に変えた。後には何も残らず、ただ張り詰めた空気と物が焼けた臭いだけが立ち込めていた。

 「ふしゅぅぅぅ…」

 ヴォルスは息を吐きながら刃を盾に収納した。するとそれまで盾に宿っていた雷の力も霧散し、元の状態に戻った。

 「…他にはいないみたいだな」

 ヴォルスは他に魔物がいないことを確認し、村人に伝えに行こうと村の方を向いた。するとそこには先ほど逃げていったはずの村人が腰を抜かしていた。

 「もう大丈夫…」

 ヴォルスは近寄って手を差し伸べようと村人に向かって一歩踏み出した。

 「ば…化け物!」

 すると村人は恐怖を顔一杯ににじませ、後ずさった。その顔は魔物を見るときとなんら変わりはなかった。

 おーい!

 大丈夫かー?

 村の方から村人が何人か駆け寄ってきて、目を見開いて息を呑んだ。

 「なんだ…これ?」

 「なぁ、これは魔物の仕業なのか?」

 村人たちの目に映ったのはいくつかの焼け焦げた小屋と木々だった。到底一人の人間にできる芸当ではない。

 「アイツだ、アイツが一人で魔物の群れを消し飛ばしたんだ」

 先ほどの村人がヴォルスを指差し、ようやく喉から搾り出したような声で言った。

 何だって?

 冗談じゃない!本当なんだ!

 だとしたらアイツも魔物なんじゃ…

 村人たちはヴォルスを遠巻きに眺めながらひそひそと話した。

 「ちょっとみんな!ヴォルスは魔物を追い払ってくれたんだよ!」

 村人を掻き分けてアイリーンがやってきた。あれほど外に出てはいけないと念を押されていたのにも関わらず、様子を見に来たのだろう。

 た、たしかに。

 それもそうだ…。

 アイリーンの言葉のおかげで村人たちの猜疑心は少しずつなくなっていき、ひそひそ話も影を潜めていった。

 「アイリ!あれほど外に出てはいけないと…」

 村人たちに聞こえないように最小限の大きさの声で話す。

 「だってサイクス起きてくれないし、ヴォルスのことが気になってつい…」

 「アンタ!昨日のシーカーじゃないか!」

 アイリーンの囁きを遮って昨日の女性が叫びにも似た声を上げていた。

 「!」

 シーカーだって?

 シーカーは普通の人間じゃないって聞くが…

 いや、本当に人間…か?

 アイリーンの言葉のおかげで収まっていた猜疑心が女性の言葉で再び鎌首をもたげ、ひそひそ話が再燃する。アイリーンの顔にも少しながら恐怖の色が顔を出した。アイリーンの華奢な肩がかたかたと小刻みに震えている。その震えが寒さによるものだけではないことは誰が見ても明らかである。

 「わ、私は怖くないよ?だってヴォルスが村を守ってくれたことには変わりないもの」

 なんで声が震えるの?しっかりしてよ、私!

 アイリーンは自分の声が震えていることを自覚した。寒さのせいか、恐怖のせいか。前者であって欲しいと彼女は願う。突然やってきたあの優しい客人を恐れたくはないから。

 そもそもなんでサリバンさんはシーカーとあんなに仲がよさそうに話してるんだ?

 もしかしてサリバンさんも仲間…?

 村人たちの猜疑心がアイリーンにまで及び始めた。

 …まずいな。このままじゃアイリまで村八分にされてしまう

 「何を勘違いしてるんだ?こんな女は見たこともない。今初めて見たんだ。身内でもなけりゃ同業者でもない」

 「え?」

 突然のヴォルスの言葉にアイリーンは目を丸くしていたが、ヴォルスの圧力に二の句を継ぐことができない。

 「ふぁ~あ。こんな朝っぱらから何の騒ぎさ?」

 場にそぐわない大あくびをかきながら寝ぼけ眼でサイクスが歩いてきた。どうやらこの騒ぎでようやく目を覚ましたらしい。

 「来たか、行くぞ」

 「え?あ、うん」

 サイクスは一瞬アイリーンに言葉をかけようとした。しかし、ヴォルスの目が『合わせろ!』と強く言っていたため、とりあえず従っておく方がいいと判断した。サイクスは、盾を担ぎ直し山へと向かって歩き始めたヴォルスの後を追う。

 怖かったろう?サリバンさん。

 二度と来るな!

 この魔人どもが!

 お前たちと魔物とどう違うんだ!

 二人は村人たちに後ろ指を指されながらタット村を後にした。

 

※※※

 

 「ねぇ~何があったのさぁ~?説明くらいしてくれたっていいじゃ~ん」

 いまいち事態を把握し切れていないサイクスは、村から出てしばらく歩いたあたりからヴォルスに向かって疑問を投げかけ続けていた。

 「…いつものとおりだ。私たちがシーカーだとわかって怖くなったんだ。私たちとアイリ…サリバンが顔見知りだとわかろうものなら彼女にまで危害が加わると思った…」

 「だからアイリを庇うために村から出たって?なにそれ?悪いのはあっちじゃんか!僕たちが出て行く必要ないじゃん」

 ヴォルスが重い口を開き、事の顛末を話すとサイクスは激昂した。今までにも今回のような扱いを受けたことはあったが、そのたびにサイクスは怒り、ヴォルスは半ば諦めたような態度をとっていた。

 「それに何さ!今のヴォルス。なんでそんなにアイリに対して他人行儀な呼び方なのさ?それでアイリとの関係が薄まるわけでもないだろ?」

 「…」

 まくし立てるサイクスの言葉にヴォルスは黙ったままサイクスの顔を見ている。

 「…そう、だな。お前の言うとおり…ッ!」

 言葉が途切れ、ヴォルスの目が鋭くなる。

 「どうしたの?」

 「静かに。いいか?誰かが近づいてくる。迎撃頼めるか?」

 「…わかった」

 ヴォルスが囁くとサイクスの顔にも真剣な色がにじみ出てきた。言いながらサイクスは腰に提げている銃に手を伸ばす。その動きはごくさりげないもので、漫然と見ただけでは到底気付くことができないぐらいだった。

 ザッザッザッザッ

 雪をかき分け人の気配が近づいてくる。

 …三歩、二歩、今だ!

 「動くな!」

 タイミングを見てサイクスは振り返ると同時に銃を構えた。その動きは普段の物腰からは想像できないほどに鋭敏で、研ぎ澄まされた動きだった。

 「うひゃぁ!」

 振り返ったサイクスが見たのはリュックを背負ってコートを着込んだアイリーンだった。アイリーンはサイクスの行動に驚き、その場にしりもちをついた。サイクスはあわてて銃口をアイリーンから背けた。

 『アイリ!』

 「いたた…」

 「なんで…なんで追ってきた!」

 アイリーンを見たヴォルスは即座にアイリーンを叱り飛ばしていた。

 「なんで追ってきたんだアイリ。私たちといることがわかれば君もただじゃ済まない。今からでも遅くはない。早く村に帰り二度と私たちに近づいてはいけない」

 ここまで言ってヴォルスはアイリーンに背を向け、歩き出した。

 「嫌!」

 歩き去っていくヴォルスの背に向かってアイリーンは一言自分の気持ちを投げかけた。ヴォルスの歩みが止まる。

 「私、知ってるよ。ヴォルスは優しい人だって。村の人が何と言おうと私の中でそれだけは変わらないよ」

 「…一日共に過ごしたぐらいで私のことが全てわかるとでも言うのか!」

 アイリーンの言葉に対してヴォルスは大声で応える。突然出された大声にアイリーンは身を縮こまらせるが、すぐに居直ってキッとヴォルスを見る。

 「わからないよ!わからないけど…今朝村を眺めてた時のヴォルスの顔、とっても優しかった。それに、魔物が出たって声が聞こえてきた時も真っ先に魔物を退治しに向かってくれた!そんな人が悪い人だなんて…思えないよ」

 「しかし君は…先ほど私たちがシーカーだと知って困惑の表情を浮かべていた。君自身私たちと関わるのは避けたいとどこかで思っているんじゃないのか?」

 「ッ!」

 アイリーンの言葉が一段落したのを聞いてからヴォルスは言葉を紡いだ。その言葉はアイリーンの心を抉るのに十分な言葉だった。

 「…確かに、さっき私は少しヴォルスが怖かった。ホントは人間じゃないんじゃないかって思った。…でも、ちょっと考えたらすぐにわかった。ヴォルスはみんなを守るためにその力を身につけたんだって。それなのに私はヴォルスを怖がったりして…自分がどんなに嫌な人間かってわかったの。だから」

 ここまで言うと、アイリーンは懐からナイフを出し、自分の左手に思い切り突き立てた。

 『!』

 「いっ…たっ」

 ナイフはアイリーンの左手を貫通し、血を滴らせて雪に赤い染みを作っていた。

 「アイリ!」

 「アイリ、なんてことを…」

 突然の出来事にサイクスとヴォルスが駆け寄ってくる。

 「…こんなことでヴォルスとサイクスが受けた痛みが償えるとは思わないよ。でも、私にできるのはこんなことだけだから…」

 苦痛に顔を歪ませつつアイリーンは言う。その顔や、声に偽りはなくアイリーンの本気が伺えた。

 「動かないで!治癒術をかける…サイクス!」

 「わかってる!…ちょっと痛いけど我慢して…ねッ!」

 「ッッッ!」

 言うと、サイクスはてきぱきと自分のコートでアイリーンの腕を縛り、出血を抑えた上で左手に刺さっているナイフを抜いた。鋭い痛みにアイリーンは歯を食いしばって耐える。ヴォルスはアイリーンの左手に手をかざし、魔力を集中させる。

 『癒しの風よ 対象に作用せよ』

 詠唱を済ませ、魔力を具現化させる。

 『ヒールウィンド』

 アイリーンの左手を黄緑色の光が包み、傷を癒していく。

 「…私の治癒術ではこれが限界だ」

 しばらくしてヴォルスがかざしていた手をどけると、傷はふさがっていたがうっすらと痕が残っていた。

 ヴォルスは自らのふがいなさに歯噛みする。

 「すまない、アイリ」

 「なんで謝るの?私が自分でやったことなんだよ?ヴォルスとサイクスが責任感じることじゃないって。それに、この傷見るたびにヴォルスとサイクスのこと思い出せそうじゃない?」

 言って、アイリはいつものように笑って見せた。

 「…君は強いな」

 まるで自分だけが不幸みたいなことを偉そうに言っていた私に、まだその笑顔を向けてくれるのか…。

 傷痕が残ると知ってなお明るい笑顔を浮かべるアイリーンのことを見て、ヴォルスは先ほどまでの自分を恥じた。

 「んっんー!いいですかね?ヴォルスさん、そろそろ行かないと…」

 サイクスは自分だけが取り残されているような危機感を覚え、無理やりに割り込んだ。

 「あ、あぁ。行こう」

 ヴォルスは突然声をかけられたため、若干声が裏返ってしまった。

 「…行くの?」

 「あぁ」

 「私も行く!」

 突然の申し出に、ヴォルスとサイクスは固まった。

 「駄目だ。危険すぎる」

 自分を取り戻し、ヴォルスは申し出を却下する。しかし、アイリーンも負けじと食い下がる。

 「いいじゃない。乗りかかった船ってやつよ。それに自分の村の存続の問題なのよ。ね?迷惑はかけないから」

 お願い、と手を合わせて頼むアイリーンを尻目にヴォルスとサイクスはアイリーンに背を向け、相談する。

 「どうする?アイリ、多分無理にでもついてきちゃうよ?」

 「一人で村に帰して途中で何かあってもな。…やむをえない、か」

 ヴォルスは大きく一つため息をついた。

 「…私の後ろから離れるなよ」

 アイリーンに背を向けたままヴォルスは言った。

 「!うん。わかった。ありがとう、ヴォルス!」

 手を合わせ、ヴォルスを拝む形だったアイリーンは顔を上げ、うれしそうにヴォルスの後ろについて歩き始めた。

 「…なんで僕にお礼がないんだろう」

 そしてアイリーンの後ろにブツブツ言うサイクスがついていった。

 




とまあ、こんな感じでした。
どうでしたでしょうか?
感想、指摘お待ちしております。
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