マテリアル・シーカー   作:by俺っと

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どうも、by俺っとです。
この水曜日は仕事のイベントで朝早かったんで更新できませんでした。すみませんでした。
とりあえずこんな感じでこの話を締めさせてもらいました。
楽しんでいただけたら幸いです。


過去の歪みと未来への再出発

サイクスはとり出した短剣で自らの手の甲を傷つけ、血を流す。

 『告げる』 

 一言発しただけであたりの空気が一変した。ピリピリとした空気が辺りを包み、遠くから見ていたアイリーンにもその変化がわかった。

 空気の変化は当然アイスゴーレムにも伝わり、攻撃目標をサイクスへと変える。足音のみを響かせ、サイクスへと向かっていく。

 「させるかぁ!」

 ヴォルスは盾を構え、猛然とアイスゴーレムに向かって突進していく。アイスゴーレムはヴォルスに気付き、大きな腕を振り回して攻撃してくる。

 「ふっ」

 アイスゴーレムの腕が迫り、ヴォルスに直撃するかしないかというギリギリのタイミングで盾をうまく使い、腕での攻撃をいなす。

 「はぁぁぁぁぁっ! 崩月掌!」

 攻撃をいなしたことで隙が生まれ、すかさずヴォルスは懐へもぐりこむ。そしてそのまま左手で強烈な掌底を加えた。気を練り、ヴォルスが放った渾身の掌底を食らったことで、アイスゴーレムの巨体がサイクスとは反対方向に吹っ飛んだ。

 「…すっごぉ~い」

 雪煙を立てながら吹っ飛んでいくアイスゴーレムの姿を見ながら、アイリーンは呟いた。

 『我 サイクス・ヴァレンティーノの名において 門を開き 精霊(アストラル)界と現界を繋ぐことを許されよ』

 着々とサイクスの詠唱は進んでいる。一言一言を紡ぐたびに、サイクスの周りの空気が異質なものになっていくのがわかる。

 一方で吹っ飛んだアイスゴーレムはゆっくりと起き上がろうとしていた。そこにヴォルスが更に追い討ちを仕掛ける。

 「炎よ 逆巻く流れのままに敵を包め 打ち砕け」

 アイスゴーレムの周りに炎の魔力が形成されていく。

 「ファイアストーム!」

 形成された炎の魔力が巻き上がり、炎の竜巻になった。竜巻はアイスゴーレムを包み込み、すっぽりと覆ってしまった。外からは中がどうなっているか見ることはできないが、恐らくはまだ動きを止めてはいないだろう。

 『汝は炎 砂塵の陽炎 わが身に降りて力を貸したまえ』

 ここまで言うと、サイクスは自分の血を地面に落とした。すると、血の雫がたちまち巨大な魔方陣を描いた。

 「…そろそろいいか」

 一言呟くとヴォルスはアイリーンが隠れているところまで下がった。

 アイリーンは度重なる超展開についていけず、呆然としていた。

 「大丈夫か?」

 ヴォルスがアイリーンを気遣って声をかけるとアイリーンはようやく自分を取り戻したのか、ヴォルスの肩を掴み怒涛の勢いで質問を始めた。

 「大丈夫か?じゃないよ!一体何が起きてるの?なんでサイクスはあんなに怖くなっちゃったの?なんでサイクスは自分の手を傷つけてるの?なんで…」

 「わかったわかった、説明するから落ち着いて」

 ヴォルスは言って、アイリーンの手を肩から離させた。

 ふぅ、と一息ついてからヴォルスは重い口を開いた。

 「…サイクス・ヴァレンティーノ。アイツは生物兵器だ」

 「え?」

 ヴォルスの口から飛び出した言葉はアイリーンの予想していたものよりも重かった。

 「先の大戦でなかなか決定打を打つことができなかった我々の祖国はとんでもないことを計画した。…それは発育段階の子供に魔術的処理を施すことによって、普通では考えられないほどに手順をショートカットした召喚魔術を使う人間を量産しようというものだった」

 召喚魔術。

 言葉にしてみれば簡単なものだが、実際はそんなに簡単なものではない。まず、召喚するに値する強力な存在は大体が精霊界と呼ばれる別次元の世界に存在している。

 そんな世界にいる者たちにコンタクトを取るためには、儀式魔術が必要だし、その上一度の交信で力を貸してくれるようなお人良しは向こうの世界には存在していない。何度も何度も交信することによって信頼関係を作り、そこでようやく召喚に応じてくれるようになるのだ。

 サイクスは自分の体を媒介にすることでその面倒な工程を全てカットして召喚魔術を行使できる。

 ヴォルスは淡々と説明を続けるが、その表情はどこか苦々しいものだ。

 「な、なんで子供なの?」

 ヴォルスの言葉を聞いてアイリーンは自分の疑問を口にする。

 「恐らく洗脳に向いていたためだろう。子供は大人に比べて周りの環境の変化に柔軟に対応しようとするからな」

 「それじゃあサイクスは…」

 アイリーンは自分の考えがあっているはずがないと信じたかった。そんなことがあってはいけないと。しかし、その思惑は続いたヴォルスの言葉で打ち砕かれた。

 「そう、サイクスはその子供たちの中の一人だ。当時のアイツの呼称は『召喚魔導人形・甲型』だった」

 「そんな、そんなことって…」

 アイリーンの声は震えていた。

 「それに、アイツの体はその魔術の影響なのかある程度まで成長した後に心も体も成長しなくなった。今、アイツは生まれてから二十五年経つが、十三歳の時からほとんど変わってないんだ」

 「!」

 妙に子供っぽいとは思ってたけど…

 アイリーンはそれ以上何も言えなくなった。

 『灰は灰に 塵は塵に その者の名はサラマンダー 契約の証をここに』

 そんなアイリーンの思いも知らずに、サイクスは詠唱を続け、魔方陣に魔力を込める。

 「しかし、その計画は結局大戦終了までに完成せず、彼らが戦場に立つことはなかった。戦後、彼らは疎まれて追いやられた。私たちの旅の目的はそんな彼らを元の体に戻す方法を見つけることだ」

 ヴォルスは言いながら自分の相棒に目を向けた。

 『世の淵よりわが身に来たれ!』

 詠唱が終わったらしく魔力がズンッと重くなり、形を持ち始める。するとサイクスの周りに膨大な炎魔力の奔流が現れ、サイクスの姿が見えなくなった。

 同時にアイスゴーレムを包んでいた炎の竜巻が途絶え、大半が溶けていたが、まだ動いていた。解き放たれると同時に再生を始めたアイスゴーレムはサイクスを包んでいる魔力に気付き、脅威を汲み取ったのだろうか。魔力の奔流に向かって大きな腕を振りかぶり、振り下ろした。その腕は魔力の奔流を真っ二つに裂き、地面に到達し雪煙を巻き上げた。

 「嫌ァァァ!サイクスゥゥゥ!」

 アイリーンは手で顔を覆って悲痛な叫びを上げた。

 「よく見ろアイリ、アイツは無事だ」

 ヴォルスが指差す先には雪煙が、そしてその先に一つの人影が立っていた。信じられないことだが、その人影はアイスゴーレムの巨大な腕を片腕で受け止めていた。

 「サイクス…?」

 アイリーンはその人影がサイクス本人なのかわからなかった。

 それは間違いなくサイクスの姿だったが、よく見ると所々形が変わっている。両手両足には鋭利な鉤爪が生えており、腕には四本、足には三本しか指がなかった。肌には赤みがかった鱗がびっしりとそろっており、爬虫類を髣髴とさせる。そしてサイクスはきれいな銀髪だったのに比べて、今目の前に立っている人影は燃えるような緋色の髪をしていた。

 人影はアイリーンとヴォルスの方をギロリと睨んだ。その目は揺らめく炎のような色合いだった。

 『なんだよ小僧、ちょっと人使いが荒いんじゃないのか?また仕事かよ。お、今度は根暗の兄ちゃんも起きてんな』

 人影は突然独り言を言い始めた。その声はサイクスのものとは別の声だった。傍から見ていると異様な光景である。

 「そう言わないでよ旦那。また後で美味しいもの奢るから。それに、旦那は人じゃなくてトカゲだろ」

 今度はサイクスの声で独り言に返答が成された。

 「なに…あれ?」

 アイリーンは目の前で起き不可解な現象についてヴォルスに疑問をぶつけた。

 「入ったな。今サイクスにはサラマンダーという精霊が降りてきている」

 アイリーンの疑問にヴォルスは淡々と答える。

 『てんめぇ、いい度胸だな…うおっと』

 サラマンダーが何か言おうとしていると、アイスゴーレムは掴まれたままの腕に体重をかけて押しつぶそうとしてきた。

 『オイ、木偶人形。チョーシこいてんじゃねぇぞコラァ!』

 サラマンダーが雄叫びを上げるとサラマンダーの手のひらから火柱が上がり、アイスゴーレムの腕を一瞬で蒸発させた。

 『あったまきた。オイ、小僧。まずはこの木偶野朗を消し飛ばすぞ』

 「そう来なくっちゃ」

 何とかサラマンダーと利害を一致させ、臨戦態勢に入ることができた。アイスゴーレムは蒸発した腕を必死で再生させているようだ。

 『なんだァ?アイツ再生すんのか?』

 「そこなんだけど、倒し方はわかってるから、あとは旦那に任せていい?旦那にしかできないことなんだよ」

 アイスゴーレムは蒸発した腕を再生させ終わり、猛然と襲い掛かってきた。

 『しかたねえな。言ってみな』

 「ありがとう。あいつの胴体の中心にあるマテリアルを引っこ抜いちゃって。そうするともうアイツは再生できなくなると思うから、そうしたら旦那のお好きなように」

 『心得た』

 サラマンダーは言うと、体を右に開き右腕を下げ、こぶしを握った。肥大させ、より鋭利な形になった右腕を振りかぶり、アイスゴーレムは目前まで迫ってきている。

 『遅えっ!』 

 真正面から突っ込んでくるアイスゴーレムを軽くいなし、懐に入ると握ったこぶしを胴体のマテリアルめがけて打ち込んだ。サラマンダーのこぶしがアイスゴーレムの胴体にめり込んだ。

 「旦那!」

 『わかってるよ!オイ根暗の兄ちゃん、受け取れや!』

 そしてマテリアルを掴み、引っこ抜くと同時にヴォルスめがけて放り投げた。

放り投げられたマテリアルは若干暴投気味にヴォルスの手に収まった。

 マテリアルを抜き取られたことにより、胴体に開いた風穴が埋まることはなく、アイスゴーレムは若干よろけて膝をついた。

 「よし!仕上げだ」

 「やっちゃえ旦那!」

 『誰に物言ってんだヒヨッコどもがぁ!』

 ヴォルスとサイクスに命令されたのが気に食わないのか大きく叫ぶと、サラマンダーの右腕が大きく燃え上がった。

 『とっておきだ。コイツが見られるなんてそこの嬢ちゃんも果報者だな』

 「え!私?」

 突然話を振られたため、アイリーンは若干困惑した。

  サラマンダーが右こぶしをアイスゴーレムに打ち込むと、まず細い火柱がアイスゴーレムを貫いた。その後にその何千倍もの太さと熱量を持つ巨大な火柱がアイスゴーレムを砕き、包み、無へと還した。

 『奥義、火刻葬砕』

 その柱は、さながら火の龍が天に帰っていくかのように天を突き、ゴルク山地に久々に青空がのぞいた。

 『俺様に逆らうなんざ百年早いんだよボケナスが』

 サラマンダーはそれだけ言うと、フンッと鼻を鳴らし、右腕を払うように振った。

 「ほへぇ~」

 「大丈夫か?」

 火柱の迫力に圧倒されて腰を抜かしていたアイリーンにヴォルスは手を貸してやった。

 「まあ、何はともあれ」

 「蒐集完了、だな」

 サイクスとヴォルスが目線を合わせ、声をそろえて言った。サイクスの意識の裏でサラマンダーは『俺様のおかげだろ』と呟いていた。

 

   

 

 『さて、小僧よ。さっき言ってたうまいもんを食わしてもらおうじゃないか』

 事態が収拾したのを見計らってサラマンダーが言った。

 「あ、そうだっけ?じゃあアイリ、あのアップルパイ出してあげて」

 「え?私のアップルパイを?無理無理無理!精霊さんが満足するようなものじゃないって!」

 精霊への貢物として自分が作った料理が指名されるなどとは夢にも思っていなかったアイリーンは、首を残像ができるほどに高速で振った。

 「大丈夫!アイリの料理おいしいから」 

 「むぅ~、どうなっても知らないからね」

 言いながらアイリはリュックからアップルパイの入った容器を取り出し、アップルパイを二切れサラマンダーに差し出した。

 『なんじゃい、嬢ちゃんの料理か?本当にうまいのか?』

 「文句は食べてからにしなよ」

 フンと鼻を鳴らし、一切れ手に取り口へ運ぶ。

 二口、三口、二切れ目を手に取り、黙々と食べ続ける。

 「おいしかったんでしょ?」

 『フ、フン!まぁまぁだな。…もう残ってないのか?』

 「まだ二切れありますけど…」

 容器を覗き込みアイリーンが言うと、サラマンダーはばつが悪そうに言った。

 『どうせ誰も食べないんだろ?もったいないから俺様が食べてやるよ』

 言い終わると同時にアイリーンの手から容器を取り上げ、全部食べてしまった。

 「満足した?」

 『とりあえず腹は膨れたからよしとするか!じゃあなヒヨッコども』

 言い捨てると憑依状態から戻ったのか、サイクスは元の姿に戻った。

 「ふう、やっと帰ったよ」

 「お疲れさま」

 サイクスがサラマンダーから開放されて一息つくと、アイリーンがスープを差し出してくれた。

 「あ、ありがとー」

 サイクスはスープを受け取ると、一気に飲み干してしまった。

 「うん、やっぱりアイリの料理はおいしいね!いっそのことお店開いたら?」

 サイクスが微笑みながら言うと、アイリーンは首を横に振ってその言葉を否定した。

 「無理だって。私なんかの料理じゃ誰も喜ばないよ」

 その言葉を聞いてヴォルスは口を開いた。

 「君のすぐに『無理だ』と言う癖は改めた方がいい。諦めてしまっていてはできるものもできなくなってしまう」

 アイリーンはしばらくその言葉を噛み締めるように黙っていた。しばらくして口を開いた。

 「でも、私料理で喜んでもらったの、ヴォルスとサイクスが初めてだったし…」

 「ほら。君の料理で喜んだ人はここに二人もいる」

 ヴォルスの言葉にアイリーンは泣きそうになった。

 「自信を持って。君の料理はうまかった。君がその気になれば店だって出せるはずだ」

 「そうそう。サラマンダーの旦那が黙々と人間の食べ物食べてるところなんて始めて見たよ」

 二人の言葉に、ついにアイリーンの涙腺は決壊する。

 「うっ…うっ。でぎるがなぁ?わだしにもでぎるがなぁ?」

 完全に涙声になって二人に問いかける。

 『できるさ』

 「…うわぁぁぁぁ~ん」

 二人が声をそろえて言うと、アイリーンはついに泣き出してしまった。その声は山彦になっていつまでも響いていた。

 

※     ※     ※

 

 ひとしきり泣き終り、アイリーンは村のはずれまでヴォルス、サイクスに送ってもらった。風魔術で強化されたヴォルスにおぶさって帰ってきたため、行きの時間の半分以下で帰ってこられた。

 「さぁ、着いたぞ」

 ヴォルスに言われ、アイリーンはヴォルスの背から降りる。

 「ありがとう」

 「ではな。私たちはこのまま王都まで戻る。君は村に戻るんだ。君といた時間はとても楽しかったぞ」

 ヴォルスは言って軽く微笑んだ。ヴォルスが人前で表情を崩すことはほとんどない。

 「じゃあね~。アイリも王都に来ることがあったら魔導院まで来てね。王都案内するよ~」

 サイクスは大きく手を振りながら、ヴォルスは振り向かずに少しずつ離れていく。

 「…待ってッ!」

 離れていく二人の姿を見ていたら不意に切なくなり、気がついたらアイリーンは二人を呼び止め、追いかけていた。

 「私も、私も連れて行って。このままあなた達と…!」

 目の前まで近づくと、ヴォルスが不意に振り向いてアイリーンを優しく抱きしめた。そしてそのまま耳元でささやく。

 「ありがとう、アイリ。でもすまない。その申し出は受け入れられない」

 「え?」

 アイリーンは半ば呆然としたままヴォルスの言葉を聞いていた。

 「君は大切な人だ。しかし私たちと一緒では必ずいつか命を落とす。私はそれに耐えられないだろう。…私たちはこのまま別の仕事へ再出発する。君は、この村で、再出発の形を探してくれ。…うれしかったよ、ありがとう」

 言ってヴォルスは手を解き、再び歩き始めた。

 取り残されたアイリーンはまた泣きそうになったが、寸でのところでこらえた。目にたまった涙を拭いて大きく手を振り別れを告げる。

 「じゃあね~、ヴォルス!サイクス!私、この村でがんばるよ!だから、またきっと遊びに来てねぇ~!」

 アイリーンの声に、サイクスは振り返って大きく手を振り、ヴォルスは振り返らずに右手を上げて、それぞれ返事をした。

 アイリーンは村から去っていく二人に、見えなくなるまで手を振り続けた。

 

※     ※     ※       

 

 ヴォルスとサイクスが去ってから三ヵ月後、村はかつての喧騒を取り戻していた。草花は生い茂り、温かい日差しの下で子供たちがじゃれあう。そんな日常が帰ってきたのだ。

 村の外れの丘には小さな宿屋があったが、一年前に管理人の老人が亡くなってから空き家になっていた。しかし、三ヶ月前に新たな管理人を迎え、新装開店したのだ。

 カランコロン

 杖を突いて歩いてきた老人がドアを開けて中に入ると、ドアに括りつけられたベルが鳴る。

 「は~い、ちょっと待ってくださ~い」

 奥から女性の間延びした声が聞こえてくる。

 パタパタというあわただしい足音と共に、印象的な赤毛をゆるい三つ編みにしているかわいらしい女性が出てきた。

 「お待たせしました~。ようこそ、旅の宿屋…何だ村長じゃないですか」

 「おお、アイリーン。元気そうじゃな。様子見がてら話に来たんじゃが、邪魔だったかの?」

 村長と呼ばれた老人は杖を鳴らしてテラスへと進む。

 「いえいえ、大丈夫ですよ。丁度今お客さんいないので」

 アイリーンはすぐにお茶の準備をして、ティーセットをテラスの座席にもっていった。村長はテラス席に座って村を眺めていた。

 「いやぁ~しかし、よくもまぁあの惨状からここまで村が復興したのぅ。やはり三ヶ月前の火柱が何か関係あるんじゃろうか?」

 「多分神様が私たちに変わるチャンスを下さったんですよ」

 村長の質問にアイリーンはおどけたように答える。

 「そうかもなぁ。…変わるといえば、アイリーン。お前さんも変わったのう。昔は何かに挑戦することを拒んでばかりいたのに。お前さんがこの宿屋の管理人になりたいと言ってきたときはたまげたわい。どんな心境の変化だったんじゃ?」

 「まぁ…いろいろです」

 村長の質問にアイリーンは再びおどけたように答えた。 

 「いろいろか。まあ深くは聞かないでおこうかのう。しかしアイリーンよ、この屋号は…」

 カランコロン

 「あ、お客さんだ。すみません村長。お客さんが来たので、私はこれで」

 アイリーンは村長に一礼するとそそくさと立ち去った。

 「すみませ~ん。誰もいないのかな」

 「すいません。お待たせしました」

 カウンターに到着したアイリーンは客を満面の笑みで出迎えた

 「ようこそ、旅の宿屋『シーカー』へ!」

 彼女なりの再出発の決意と共に。 

 




とまあ、こんな感じでした。
感想、批評お待ちしております。
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