竜たちの日常のような非日常   作:無一文

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一話 旅は道連れ 情けはない

 時間は日が傾き、空が茜色に染まり始めた頃である。そんななか私は近くの茂みに腰を降ろしキノコやら雑草やらを漁っていた。

 

 さて、私が何故こんなとこでキノコやら草やらを漁っているのか自分なりに整理してみようと思う。

 まず、私は自由気ままにと言えば聞こえはいいがまぁ目的もなくフラフラと旅をしていた。すると目の前に不様に転がるデッカイ竜がいて食べ物をねだってきたので優しい私は親切に食べ物を探してあげている。というわけだ。いやー私ほんっと優しい。集めてるの食えるかわかんないけど。

 しかしまぁ極限の空腹になればゴキブリとかでも食えるだろう。ならこれがもし毒キノコや毒草だったとしてもきっと大丈夫だと(勝手に)納得して私は茂みを漁った。

「んー、こんなもんかな?うん、充分。」

 とりあえず手から溢れそうなほど集めたので一回持っていってあげることにしよう。なんか明らかに紫色の毒々しいキノコ混ざってるけど見えないふりをした。私はなにも見てない。

 

 

 

 

 

 

 私が両手いっぱいのキノコと草を持って先程の竜のもとへ行くと出会ったときと一切変わらない体勢でそこに転がっていた。どんだけ腹減ってるんだあいつは。もういっそそのまま自然と同化してしまえとか思った。

「もういっそそのまま自然と同化してしまえ・・・・」

 口に出てた。悪気はない。ただ本当にそう言いたくなるようにほんの1mmも動いてなかったというのをわかってほしい。

 とりあえずあの様子じゃ100%動かないと思うので顔の前まで移動してあげよう。

「あのー、一応食べ物(?)持ってきたんですけど大丈夫で」

 

 

 

ガブッ(噛まれた音)

ブシュ(血が吹き出た音)

 

 

 

 

 

 

「イギャオウイアエアアアア☆○▽©☆!!!!」

 私が声をかけ終わる前に採取してきた植物はおろか私の腕ごと噛みやがったこの欠食竜。あぁ、私の腕がエライことになってる・・・・というか噛みつくときの体力どこにあったんだチクショウ。

 そんな私の誠心誠意の心の罵倒は全く気にせずに目の前の竜はモグモグと私が採ってきたキノコやら草やらを食べている。くそ、もうお前なんて毒に当たってしまえ。いっそ毒だけ食え。他返せ。私もまだ夕食食べてないんだぞ。

 そんな願い(?)も虚しく目の前の竜はゆっくりと起き上がり、今の私と同じように人型になった。

 見た目は割りとスタイルの良い女性で、ボロボロな深緑の服をきていて顔に傷が一本入っている。正直女性がそんなとこで行きだおれるなよと言いたい。(竜だけど。)

「いやー、助かったぜ!かなり足りないけどありがとな!」

「もっと採って来いってか?採って来いってか!?」

 お礼言ってるのかわからないなこの野郎。アンタのおかげでこっちは腕に大怪我を負ったのに。

「てか、その手の怪我どうした?大丈夫か?」

 

 ゴッ(女性を殴った音)

「ぎゃふ!?」(女性の悲鳴)

 

 とりあえず殴った。誰のせいだと思ってんだこの怪我。

 状況が理解しきれてない女性が頬を撫でながら混乱しつつ色々と聞いてくる。

「な、なんで殴った!?オレなんかしたか!?つかなんか体少し痺れてるんだけど!?」

「あー、えっととりあえず経緯を全て話しますから落ち着いてください。」

 私は腕の怪我はアンタにやられたんだということを懇切丁寧に説明し、適当に体の痺れについて説明した。

「あぁ、なるほどそりゃオレが悪いな。マヒダケ食わされたことを除いて。」

「他にも明らかに毒々しいのあったんですけどね。」

「オイコラ。」

 私は女性のツッコミを華麗にスルーして腕に薬草をすりつぶした物を塗る。応急処置程度にしかならないが出血多量と傷が膿むことくらいは防げる。竜は寝れば大概の傷は治るのでこの程度の処置でこと足りるのだ。

 私が傷の処置に精を出しているといきなり女性が立ち上がり話しかけてきた。

「お前、今腹減ってるか?」

「あなたほどではないですけど減ってます。」

「よし、助けてもらったお礼と怪我させたお詫びになんかとってくるわ。」

「え、あ、じゃあお願いします。」

 なんかかなり流された感が少し否めないけどまぁ是非お願いしてしまおう。なにが今日の夕食になるんだろうか?少し楽しみな気がする。

 そういえばまともに他人と話したのなんて何年ぶりだろうか。実は自分も自分で今の状況を楽しんでいるのかもしれない。今は女性の帰りを楽しみにしながら傷の手当てをしてしまおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日がくれた。あれからどのくらい待ったのだろうか?何をしてるんだろうかあの人は。いい加減腹と背がくっつきそうだ。

 少し考えてまた行き倒れになってそうという仮説が浮かんだので探してみることにした。行き倒れてたらもう一回殴ってやろうと心に決めて私が探索を開始しようと思った瞬間に遠くに人影が見えた。上になんか担いでるけど。

「悪い悪い。なかなかいいやつが見当たんなくてさ。」

「・・・・・・なんですかそれ。」

「アプノトス。三頭あるぞ。」

「そんな山菜みたいな感覚で・・・・・・」

 この人いろいろとぶっ飛んだ人だっていうことを今いやと言うほど思い知った。あんな軽いノリでアプノトス三頭担いで持ってくるとか正気の沙汰じゃないと思う。

「さて、食うか!」

「生で!?」

「え?普通だろ?」

「私は焼きます。お腹壊すんで。」

 私は胃が生まれつき弱い。生肉とか食べたら結構大変なことになる。幸い火は吹けるのでなんとかなるのが救いである。

 二人とも食事の準備ができたのでとりあえず食べ始めようということになり肉を頬張った。うん、やっぱり美味しい。食べ過ぎると吐きそうになるけど。

「そういえば、お前名前なんていうんだ?」

「あれ?いってませんでしたっけ?アビオルグといいます。」

「あー、獰竜ってやつか。」

「あなたは?」

「イビルジョー。恐暴竜って言われてる。」

 聞いたことがない名前だった。こちらの方に来たのが最近なので知識が浅いのでどういう特性をもつ竜なのかわからない。欠食以外は。

「お前こっちのほうに居なかったはずだけど旅でもしてんのか?」

「はい。まぁ、目的はないですけど。」

「なぁ、一緒に旅しないか?」

「え?」

「いや、オレも決まった居場所みたいのがなくていろんなとこまわってるんだ。旅は道連れって言うしお前面白いし。」

 なんか最後失礼だった気がする。でも嬉しいと思う私が確実にいるのが解る。心臓がかなり早く脈を打っている。

「えっと・・・・あなたが良いなら良いですよ?」

「よし、なら決まりだ!よろしくなアオ!」

「よ、よろしく・・・・」

「固いなお前・・・・」

「慣れてないだけです。」

 今日、初めて【仲間】と呼べる人に会えた。そんな気がする。

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