竜たちの日常のような非日常   作:無一文

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三話 伝説とか物語とかは大抵美化されて残されるよね

「じゃじゃーん!はいこちらシュレイド城でございまぁーす!!」

「「テンションが高すぎ。」」

「あなた方は低すぎない!?」

 私達は今、残念な黒龍さんに連れられて『シュレイド城』と呼ばれるお城の前にいます。かなり大きく、古いお城のようで所々壁の石が欠けたり剥がれたりしている。

 周りには草木の1つも生えておらず、空は重苦しい闇のような色をしていて正直かなり息苦しい感じが強い。

「なんで草の1つも生えてないんですかここ。」

「大昔に滅ぼしちゃったから♪」

「はい?」

 まてまて、今この人テンションと全く合わないことを言わなかったか?『滅ぼした』ということはここに"元々存在していたなんらかの文明"を全て駄目にしたということだろう。

 ・・・・残念でもやっぱり伝説の黒龍の名は伊達じゃないということだろう。

「さて、中にはどうやって入るんでしょう?門を開ける方法忘れちゃたんだけど・・・・」

「やっぱり残念だこいつ。」

「あぁ残念だな。」

「ヒデェ!!泣くぞ!!」

「「どうぞ。」」

「うわぁぁぁぁぁぁん!!!」

 前言撤回。ただの残念だこの人。

 開かない門の前で私達がとことん不毛な会話を繰り広げていると門の奥から声が聞こえてきた。

「そこに居るのボレアスか?」

「あ、ルーツ!?ちょうど良かったちょっと門開けてくんない?」

「飛べよ。」

「あ、その手があったか。」

 

 ドゴバキ!(私達が残念を殴り飛ばした音)

「マヒダケッ!?」(残念の悲鳴)

 

 どんだけこいつはアホなんだ。いや、私達もその方法は思いつかなかったけど。まぁ私達には翼がないししょうがないだろう。うん、仕方ない。

「うぐぅ・・・・と、とりあえずアタシが原型に戻って運びます。」

「わかりました。」

「はいよ。」

 そう言うとミラボレアスさんはもとの姿に戻り私達を手につかんで飛び上がった。

 みるみる高度が上がって見上げるほどあった門がもう下に見える。私はこんな高い位置に来るのは初めてなので正直結構怖い。落ちたらどうなるんだろうと考えて思考を止めた。もう降り始めるしおとなしく待とう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、私は上がった時より下がる時の方が怖いことを知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょ、ま、怖っ!ちょっともう少しゆっくり!ゆっくりぃぃ!!」

『え?そんな速い?』

「速いです!もっとゆっく・・・・!?」

 私がもっとゆっくり行ってくれと頼もうとした瞬間にミラボレアスが急降下した。

「ぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!!」

「おー、速いなー。」

 大絶叫をあげる私。暢気なイビルさん。恐ろしい速度で近づいてくる地面。

 着地の瞬間に私は一瞬意識を手放した。

『ほい、到着でーす!』

「おー、城もでけーな。なぁアオ・・・・ってアオ?」

 イビルジョーとアビオルグにどうしたのかとミラボレアスが人型に戻りアビオルグに近づいた瞬間にアビオルグがミラボレアスにカウンターの要領で蹴りを食らわせた。

「ごぶぅ!?」

「ゆっくりって言ったろーがこの残念龍!!本気で怖かったよ!!」

「いや、ビックリさせようと思って・・・・」

「十二分に驚いてたわ!意識飛んだわ!!」

「まぁ落ち着けアオ。」

「あー、ちょっといいかな馬鹿とお二方。」

 私が残念にマジギレしていると白髪の青年が話しかけてきた。恐らくは彼がミラルーツだろう。

「おいボレアス。こいつら誰だ?」

「アタシの客人です。てかさっきさらっと馬鹿って言わなかった!?」

「客?あんたらどこでこいつと会った?」

 うわ、この人スルースキル凄い。ミラボレアスさんいじけちゃったよ。また地面になにか描いてる・・・まぁいいか。

「えっとですね。かくかくしかじかでして・・・」

 私はミラボレアスさんが土砂崩れに巻き込まれて埋まっていて、それを私達が助けたということを説明した。

「あぁ・・・・ったく。そりゃ家の馬鹿が悪かった。申し訳ない・・・・」

「いえいえ、気にしないでください。」

「それにオレらもブレス思いっきり当てたし。」

「あの馬鹿は丈夫だから問題ねぇよ。まぁとりあえずお詫びとして飯でも食っていってくれ。」

「おぉ!マジで!?」

「わぁ!ありがとうございます!」

 雨やらなんやらで結局ご飯を食べれていなかったのでとても有難い。悪いことばかりじゃないんだなぁ世の中。神様ありがとう。目の前に神様っぽい人いるけど。

「じゃ、中に案内するからきてくれ。」

「ルーツぅ!アオさん!イビルさん!アタシ放置!?ねぇ!?」

「うるせえ馬鹿。」

「あ、いましたねそういえば。」

「スマン。完全に忘れてた。」

「うわああああああああああああん!!!もう誰も信じねぇぇぇ!!!」

 あぁ、ミラボレアスさんが泣きながら走り去っていく。でもあの人ならすぐ帰ってくるだろう。今はとりあえずもう歩いていっているミラルーツさんについていくことにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ・・・・広い・・・・」

 私達がミラルーツさんに連れられて入ったシュレイド城の中についての感想は一言で言うならば『広い』入り口から入ってすぐの広間ですらぐるりと見渡さないと全容が見渡せないほど大きい。

「でもあんたらこんなとこに二人で住んでるのか?」

「あ、そう言えばそうですね。」

 確かに言われてみればこんなに広いところに二人だけというのは寂しすぎる。使わない空間のほうが多そうだ。

「いや、俺と馬鹿以外にあと二人いる。今一人外出中だがもう一人は・・・・」

「ルーツ、飯。」

「この駄目野郎だ。名前も駄目野郎で覚えてくれ。」

 駄目野郎と呼ばれている人は紅い髪がかなりボサボサになっており、眠そうな顔をしていることから先程まで寝ていたのかもしれない。

 ミラ三神の一人と考えるならば【紅龍】駄目や・・・・ミラバルカンだろう。

「えっと、この人ミラバルカンですか?」

「ん?なんで俺の名前知ってんだ?てか誰?・・・・・・それよりルーツ、飯。」

「こいつらはボレアスのきゃ」

「アタシの客人ですよ!!」

 あ、ミラボレアスさん戻ってきた。やっぱり復活早いなこの人。ミラルーツさんが凄い嫌そうな目線を送ってるけどそれには気がついてないようである。

「・・・・バルカン、バルサ○取ってこい。」

「んー、はいはい。」

「アタシはゴキブリかコラァ!?」

「似たようなもんだ。黒いし。すぐ湧いてくるし。」

「泣くぞ!凹むぞ!!傷つくぞ!!!」

 ミラルーツさんとミラボレアスさんが兄妹(?)喧嘩を繰り広げているのを遠目に見ながらイビルさんがポツリと呟いた。

 

「飯、いつ食えるんだろうな・・・・」

 

 

 




 ミラの名を持つ者たちはバルカンとボレアスは残念です。ルーツは威厳とかはあまりありません。

 さぁアオたちは次回でご飯にたどり着けるのでしょうか。
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