竜たちの日常のような非日常   作:無一文

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四話 主と従者だと威厳があるのはどちらかと言うと従者のほうが多い気がする

 私達は今、シュレイド城というところで伝説とさえ呼ばれる【ミラ】の名をもつ者たちの喧嘩(?)を見守っています。

 伝説とかには尾ひれが付くって言うけど今の状況を見る限りほとんど尾ひれな気がする。(本体)2:8(尾ひれ)くらいの割合で。

 そんな思いは届かず未だに喧嘩は続いている。

「アタシ【伝説の黒龍】だよ!?さらに♀だよ!?それをゴキブリみたいな物って酷すぎない!?」

「ワラジ虫とかの方がいいのか?」

「虫から離れろよぉぉ!!」

「ル~ツゥ、殺虫剤でもいい?」

「全然いいぞ。」

「バルカンンンン!!?ちょ、いい加減アタシのガラスのハートが本当に砕けるよ!?」

「その水晶の眼ごと砕けろ。好都合だから。」

「うわあああああああああん!!!みんな死ねばいいんだあああ!!!」

 あ、またミラボレアスさんの心が折れた。なにか友達と遊んでて集中放火されて泣いた人みたいな捨て台詞だなぁ・・・・でもあの人はすぐに帰ってくるだろうけど。

 喧嘩が一段落ついたと思うと突如城の入り口が開いた。

 そこには黒髪を後ろで1つに束ねていて、落ち着いた雰囲気の服を纏う女性が立っていた。

「只今帰りました。あのー、ボレアス様が泣きながら走って行ったのとすれ違いましたが何かあったのですか?」

「お、お帰りアンノウン。」

「アンノウン、飯は?」

「ただいまですルーツ様。バルカン様、働いてください。」

「あ、アンノウン!?あああああの有名な残虐な竜!?」

 アンノウンという名は私の生まれ故郷のほうでも有名で、遭遇することは稀だが、出会ったら最後、確実に殺されるとまでの噂がたっている竜である。

 残虐性もさることながら能力が異常であることから、人間からも竜からもとてつもなく恐れられている。と私は昔風の噂で聞いた。

 その(私の中では)恐ろしい竜が私達に気がつき、こちらを鋭い目付きで睨んできた。

「こちらは・・・・?まさかボレアス様を泣かせたのはあなた方ですか?」

「えっ!?いやいやいや違います違います!!」

「泣かせたのはルーツって奴だオレらは知らねぇぞ!?」

「な・・・・!ルーツ様に罪を着せるとは許せません!覚悟っ!!」

「「ええええええええ!?」」

 言うが早いかアンノウンさん・・・・アンノウン様は人型のまま手に特大の蒼い炎を溜め始めた。このままだとヤバイ。濡れ衣着せられて殺されるとか絶対に嫌だ。

「ちょ、やめてください話聞いて!!お願いだから話聞いて!!!」

「お、おい落ち着け!オレらはホントに何もしてねぇぞ!?」

「おい!アンノウン止め・・・・」

「消えて失せろ無礼者!!」

「またアタシ放置か!ってあれ?アンノウン帰ってき・・・・え?」

 

ズゴオオオオオオオオオオオンンン!!!!!

 

「わああああああああああああ!?」

「うおおおおおおおおおおおお!?」

「えっ!?ちょ、待っぎゃああああああああああああ!!!!?」

 

 か、間一髪避けきれた・・・・!しかし噂に聞いた通り異常な破壊力である。

 人型のときはブレス等の攻撃は原型時の八割も出ないのにシュレイド城の門に風穴が開き、遥か向こうの城壁さえ黒く焦げている。喰らったら確実に死んでた・・・・

 しかし、アンノウン様の殺意はまだ全開である。

「避けましたか・・・・次は消し飛ばしてさしあげます!!」

「ヒイイイイイイ!!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃぃぃ!!!!」

「た、頼むから落ち着け!!落ち着いてくれえぇぇ!!!」

 ヤバイ、かなりヤバイ。アンノウン様の目から殺意が溢れ出ていて直視できない・・・・!!なんだこの人ミラの名をもつ者より断然ヤバイじゃないか!!

「アンノウン、落ち着け。」ゴス

「痛っ!?な、なにするんですかルーツ様!!」

 ((か、神が!救いの神が舞い降りた!!))

 ルーツさんが荒ぶるアンノウン様に手刀を叩き落としたおかげで私達の寿命がとりあえず延びた。

 ありがとうルーツさん。本当に死ぬかと思った・・・・。

「何故止めるんですか!?この人達はボレアス様とルーツ様に無礼を働いたんですよ!?」

「いや、あの馬鹿泣かせたの俺だから。事実だから。落ち着いて他人の話を聞くことをいい加減覚えろ。」

「え?」

「あとついでに言うとお前さっきの熱線でボレアス焼いたぞ。」

「え!?」

 アンノウン様が反射的に先程吹き飛ばされた門の方を見るのにつられて私達も門の方を見ると、ほとんど炭化したミラボレアスさんが転がっていた。

「うわあああああ!!ボ、ボレアス様大丈夫ですかごめんなさいぃぃ!!」

「・・・・あの人あの熱線喰らったんですよね?」

「あぁ・・・・」

「さすがに死んだんじゃ・・・・」

「かもな・・・・」

 ミラボレアスさんはアンノウン様に抱えられて揺さぶられているがピクリとも動かない。

「ルーツ、あれ、お葬式の準備したほうがいいんじゃない?」

「だな。いやぁ、おかしい人を亡くしたな。」

「そうだねぇ。」

「軽くない!?ルーツさんバルカンさん軽すぎない!?」

「「ボレアスだし。」」

「可哀想すぎる!!」

 しかし本当にあの人ピクリとも動かない。もしかして冗談言っている場合ではないのではないだろうか。

 ミラボレアスさんは黒焦げになっていて、はたからみればどう考えても焼死体にしか見えない状態になってしまっている。

「・・・・こんどお花くらい持ってきますね・・・・」

「オレも何かお供えものくらい持ってくるわ・・・・」

「ん、よろしく頼む。」

 少しの間だけどあなたといた時間は楽しかったです。私達はあなたを決して忘れはしません。

 綺麗な闇色の空の下、ミラボレアスさんは静かに息を引き取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってちょっと待てえええええええええ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ、生きてたか。」

「おはようボレアス。」

「わっ!?凄い生命力・・・・」

「ホントにゴキブリかあいつは・・・・」

「生きてた・・・・良かったぁ・・・・ボレアス様本当にすみませんでした!!」

「おいいいい!!まともに心配してくれてんのアンノウンだけじゃん!!ルーツに至っては舌打ちじゃん!!!何これ!?死んでいい?」

「勝手に死ね。」

「ルーツの馬鹿ぁぁぁ!!」

 あぁ、ミラボレアスさんがまた走り去っていく・・・・泣いたり死にかけたりまた泣いたり忙しい人だなあの人。

 ミラボレアスさんが走り去っていった方をぼんやりと眺めているとアンノウン様が話しかけてきた。

「あの、客人の皆様も申し訳ありませんでした・・・・今から夕食をお作り致しますので食事のほうはもう少しお待ちください。」

「あ、いえ、私達も無事ですし平気ですよ!大丈夫です!」

「そうそう!大丈夫だから気にすんなよ!」

 私もイビルさんもどことなく声が震えている。でもしょうがないじゃないか本当に怖かったんだもの。うん、しょうがない。

 とにかく、やっと夕食にありつけそうだ。ミラボレアスさんが帰ってくるのを待ちながら夕食の完成を待つことにしよう。




 結局まだご飯にはたどりつけませんでしたw次回やっとご飯です。


 冬は焼きいもが美味しいですねぇ・・・・高くて買えないのが口惜しいです。
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