SEESメンバーの歌の上手さはわからないのでイメージで決めちゃいました
「ヤベェ、もう体力が持たねえ…理あとは頼んだぜ…」
そう言って順平は力尽きた。その横では既に岳羽が気絶している。
「おい順平!しっかりしろ!」
かく言う自分も体力は残り僅か。マズイ、このままじゃ全滅だ…
「ぐぁぁ!」
強力な衝撃波をまともに食らい、意識が遠のいていくを感じる、もはやこれまで…そう思った時、ポケットの黄昏の羽根が輝き始めた…
ちなみに、ここはタルタロスじゃないし、今はシャドウと戦っているわけでもない。というか影時間ですらない。じゃあ何で俺たちがこんな状況にいるのか、話はほんの数時間前、今日の昼休みまでさかのぼる…
「え、カラオケ?SEESの二年生のみんなで?」
「そうそう、風花も新しく仲間に入った事だしこの辺で一つみんなで親睦を深めましょう!って事よ。ゆかりッチも来るだろ?」
「う~ん、今日は部活休みだしまあ行っても良いけど。」
「よっしゃ、じゃあ決まりだな。理も来るだろ?」
カラオケか…夜の一人カラオケしか行ったことないし行ってみようかな。今日は部活も休みだし。
「うん、行くよ。」
「よっしゃ、じゃあ決まりって事で!」
順平はそう言って居なくなってしまった。
「カラオケか…最近全然行ってないな~。結城くんはよく音楽聞いてるけど、どんな曲歌うの?」
「カラオケに着いてからのお楽しみ」
「お、何か自信ありげね。私もこう見えて結構歌上手いんだから。」
「へぇ、意外だね。」
「…、バカにしてるでしょ。負けないんだからね。」
そんな話をしていると順平が戻って来て言った。
「風花もオッケーだってよ。というわけで放課後に下駄箱の所に集合な。」
順平がそう言い終わるとちょうど昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り、順平も岳羽も自分の席に戻っていった。
放課後に下駄箱の前で他の三人を待っていると、風花がやって来た。
「あ、あの、ごめんなさい、待たせちゃった?」
「いや、まだ誰も来てないけど。」
「そ、そっか。私あんまり友達と学校帰りに寄り道とかしたことないから緊張しちゃって…」
風花はそれっきり黙ってしまった。
「…別に気にすることじゃないと思うけど。」
「そ、そうかな。そういえばあのね、結城くんには一度ちゃんとお礼を言いたくて。」
「お礼?何の?」
「ほら、私が森山さんたちに教科書を床にばらまかれた時に拾ってくれたし、それに怪物だらけの学校まで助けに来てくれたし、命の恩人だよ。」
「別にいい、普通の事だから。」
「そ、そうかな…でも、その…ありがとう」
風花がそう言った時、順平と岳羽がやって来た。
「ごっめーん、待たしちゃった?私たち掃除だったのすっかり忘れててさ。」
「別に、そんなに待ってない。」
「よっしゃー!全員揃ったところでカラオケにレッツゴー!」
「全くあんたは…相変わらずお気楽というか…」
下校用のモノレールを途中で降り、ポロニアンモールへとやって来た。下校途中の生徒で賑わう中をカラオケマンドラゴラへと向かう。中へ入るとちょうど受付には誰も並んでいなかった。順平が受付まで歩いて行って言う。
「すいませ~ん、学生四人フリータイムでお願いします。」
「かしこまりました、当店のポイントカードはお持ちですか?」
「いや、持ってないで…
「あります」
すかさずポケットから容易しておいたポイントカードを取り出す。
「お、理会員だったのか。意外だな。」
「かしこまりました、ではお部屋までご案内します。」
部屋に着いた。
「ドリンクは自由らしいけど、みんな何か食い物頼むか?」
順平が皆に聞く。
「私と風花はパス、順平と結城君はどうするの?」
「俺は頼まなくていいよ。」
「よっしゃ、じゃあとりあえず何も頼まないどくぜ」
「そんなことより誰から歌う?誰も行かないなら私が一番いっちゃいまーす。」
言うがや早いか岳羽は自分の予約を入れてしまった。曲は「Burn My Dread」だ。くそ、取られた…
「お、待ってましたー! 」
順平は備えつけのタンバリンを叩いている。
~♪♪♪~岳羽が大音量で歌うなか風花が話しかけてきた。
「次。私いいかな!」
「どうぞ!」
岳羽の熱唱に掻き消されないように声を張り上げる。
岳羽の歌が終わった。
「イェーイ!よかったぜ~ゆかりッチ~!」
順平が叫ぶ。なかなか上手い、負けていられないな…そう思っていると風花の歌が始まった。知らない洋楽のようだ。
~☆¢△‰¢&§~風花が歌い出した。
!これは…ものすごい調子っぱずれの歌声だ…
「ちょ…風花、これそんな声で歌うんじゃな…」
言い終わらない内に岳羽は倒れてしまった。
「ちょ、ゆかりッチ!理!一回風花の歌を止めさせてくれ!」
「そうしたいけど!…」
風花の歌声で意識がもうろうとして前に進めない。
「風花!、おい風花!ダメだ、聞こえてねぇ…理、後は頼んだぜ…」
順平はそう言って倒れてしまった。ま、まずい。そうこうしているうちに自分の意識も遠のいていく。まさかこんなところで力尽きることになるとは…