もしもモルさんが暗殺者だったら   作:コナー

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第一夜

「ねぇ、おじちゃん。どうしてモルを助けてくれたの?」

 

 奴隷市場から共に逃げ果せた後、手足に着けられていた鎖を外されてどうにか落ち着く事が出来た幼き日のモルジアナが、男に最初に尋ねたのは、それだった。

 それに対し、少しだけ何かを考えるような――より詳しく言うならば、どうやって誤魔化すかを思案するような――素振りを見せてから、男はこう答えた。

 

「お前が救いを求めているように見えた。あの奴隷商を消す必要もあった。だからついでに助けた。それではダメか?」

 

 今ならばこそ、その言葉が男の本心の半分程度しか言い表してなかったものだったと気付けたかもしれない。だが、生憎当時はまだ幼く、そうなんだ、ありがとう、と鵜呑みにした言葉への謝礼を送る以上の事はモルジアナには出来なかった。

 

「礼には及ばない。それはそうと娘よ、お前の名を教えてくれないか?」

 

 その男の質問に、オウム返しをするように、ややたどたどしくモルジアナは返答した。

 

「モルジアナ。みんなはね、モルって呼ぶの」

 

「そうか、モルジアナ――“小さな真珠”か。良い名だ。俺の空虚な名とは違う。お前は良い親の下に生まれたようだな」

 

 頷き返しながらそう返す男の顔は、相変わらず目深に被られたフードでその表情を伺う事は出来ない。

 だが、モルジアナはそれでも嬉しかった。自分の名前、そして愛する両親の事を、この男は間違いなく褒めてくれたのだから。自然、えへへ、と顔がにやけてくる。

 だが、それが同時にある事を思い出させ、一時は明るくなり掛けた彼女の顔に影を差した。

 

「どうした?」

 

 不意に俯きだしたモルジアナに、男が訝しむように尋ねて来た。それで、ふと思った――この人なら、知っているかも、と。

 だから、思い切ってモルジアナは男に気になっている事を、訊いてみる事にした。

 

「ねぇ、おじちゃん?」

 

「何だ?」

 

「あのね、モルのお母さんとお父さんがどこにいるか、しらない?」

 

 そう尋ねられた男は、右側に古傷の付いた唇を真一文字に閉じ、顔に掛かるフードの影を深くして、首を左右に振る。

 

「いや、知らないな」

 

 その返答に、そっか、と残念さの滲んだ声がつい漏れるも、すぐに気を取り直してモルジアナは更に質問を加えていく。

 

「あのね、ここってどこなの? カタルゴじゃないの? ドレイってなぁに?」

 

「……」

 

 それに対し、男は顎に手をやるなど、時折何かを考え込んでいるような素振りを含んだ沈黙という応答を返す。

 そんな男の素振りを眺めているうちに、変な事でも訊いてしまったのだろうか、と疑念が浮かび、恐る恐るモルジアナは尋ねてみる。

 

「ねぇ、おじちゃん? どうしてだまってるの? モルへんなこと言った?」

 

「――ああ。済まない。ちょっと気になった事があったものでな」

 

 彼女の不安げな視線を感じ取ったか、ようやく思考の海から戻ってきた男が、特に悪びれる様子も無くそう返した。

 心なしか、フードの奥からのその視線は彼女の赤い髪に向いているような気がした。

 その態度に不満を感じ、むっと頬を膨らませてねめつけるモルジアナに特別動じる事も無く、男は訂正の言葉を口にする。

 

「大丈夫だ、話はちゃんと聞いている。――安心してくれ、モルジアナ。お前は、お前のいた所に必ず戻る事ができる」

 

「ホント!?」

 

 この場で最も聞きたかったその吉報に、先程とは違い胸を弾ませた声で、モルジアナはもう一度問い質す。

 

「お母さんとお父さんに会えるの!? みんなと会えるの!? もうドレイっていうのにされないの!?」

 

「ああ、そうだ」

 

 フードから覗く口元に頼りがいのある笑みを浮かべ、男が深く頷く。

 

「ただ――先程のカタルゴというのは、お前の故郷と考えて良いのだな?」

 

「うん!」

 

「そうか。だとすれば、俺はお前の故郷がどこにあるのかを知らない。仮に、そのカタルゴとやらが海を隔てた先にある地だとしたなら、船の手配に、旅の準備で時間が要る。それに俺がいない間の対応も考える必要があるな……」

 

 喜びから元気の良い返事を返したモルジアナに、口元に手を当てつつ男はそう述べて見せる。

 が、その意味を幼い頭で整理仕切る事が出来ず、えっと、と目を瞬かせる事となったモルジアナに、簡略化した内容を改めて男が伝えた。

 

「簡単にいえば、お前の故郷について知る事と、そこに行くために必要な準備に時間が必要で、すぐにお前を両親の下へ連れて帰る事は出来ない、ということだ」

 

 そう言い改められて言葉の意味をようやく理解出来たモルジアナだったが、今すぐに両親に会うことは出来ないと知ったその心に少なからず陰りを齎した。

 だが、そのせいで俯き掛けた顔を彼女はすぐに持ち上げた。

 きっと彼に助けられないままだったら、自分はもう故郷に帰る事は出来ず、両親や一族の仲間とも会えなかった。そう考えたら、例え時間が掛かるとしても、あの怖い場所から救ってくれただけでなく、故郷に連れ帰ってくれる事を約束までしてくれたこの恩人に、そんな些細な事で不満を見せるわけにはいかない――少女の気丈な面が、そう思わせたのだ。

 

「うん! 分かったよおじちゃん。おじちゃんのジュンビができるまで、モルまってるよ!」

 

 満面に見えて、その実どうにか作り上げた笑顔を見せて、モルジアナは返事を返した。

 あるいは、彼ほどの人ならば、その時の笑顔が空元気であると気付いていたのかもしれない。その上で、彼もまた微笑みを作って、そう言ってくれていたのかもしれない。

 

「ありがとう。出来る限りは急いでみせる。だから、もう少しの辛抱だ」

 

 自らの肩の上に手を置く男に、再度元気よく、うん、とモルジアナは返事を返す。

 それに頷き返してから、男はその場に立ち上がった。

 

「では、まずは一度俺達の“家”に来てくれ。準備に必要なものがある」

 

「おじちゃんのおうち?」

 

「そうだ。俺が準備を進める間、お前を放っておくわけにいくまいからな。故郷へ戻る日が決まるまで、お前もそこで過ごすと良い」

 

 差し出された男の手を掴み、モルジアナも立ち上がった。

 

「我ら“アサシン教団”の砦、“マシャフ”で」

 

 その後、カタルゴの位置を知り、出発の準備が整うと共に、長い間待った事により高まった故郷と両親への想いを胸にモルジアナは男と、彼の弟子だという数人の若者達と共に“マシャフ”を発つこととなる。

 その先に待つのが、再開の喜びや再び踏み締めた懐かしい大地の感覚等という喜ばしいものとは無縁の、惨たらしく理不尽な“絶望”であるなどとは、まだ知る由も無い話であった。

 

 

 

 その日から数日間の事を、後に忘れたくても忘れられない、本当に碌でもない日々になろうなどと、その時点のアリババ・サルージャには予想もつかなかった。

 事の発端は荷馬車の運転手のバイト中に起きたアクシデントだった。砂漠を横断中、偶然砂漠の肉食植物“砂漠ヒヤシンス”に襲われ、色々あって間一髪で食われそうになったところをどうにか助かった。だがその代償は全く小さくなく、酒に弱い砂漠ヒヤシンスを追い払うために彼の馬車に乗っていた大豪農の葡萄酒樽を全て注ぎ込んでしまい、結果一生働いても返せないどころか、彼のバイト先にすら大きな被害を与えかねない恐ろしい額の借金を背負うハメになってしまう。

 だが不幸中の幸いというべきか、アリババにはこれを返済する充てが一つあった。

 それは、先の大豪農と同じように彼の馬車に乗り込んでいた、一人の少年であった。

 無論、唯の少年ではない。

 何故なら彼こそが絶体絶命のアリババを救った命の恩人であり、彼を救う際に使った“魔法のターバン”や伝説の“ジンの金属器”といった魔法のアイテムを所持する魔術師であった。

 名はアラジン。

 実際のところ彼が何者なのかは今でもアリババは知らないし、その時点ではそもそも知る気も無かった。

 だが、その力は本物だ。上手く利用しさえ出きれば、十分な力になってくれる筈。

 迷宮(ダンジョン)を攻略し、借金を返してもなお手に余る程の大金を手にするための力に。

 そう目論み、どうにか彼を取り込む事は出来ないかと考えを巡らしていたアリババだったが、生憎とその算段は早々にして潰えていたといえた。

 

「おい、アラジン! アラジンってば!」

 

 チーシャンの街の大通りに面する市場。

 多種多様の人々が行き交い、景気の良い売り文句がそこら中から飛び交う中、先程から前方を早歩きで進むアラジンを呼び止めようとアリババは声を張り上げていた。しかしその成果は見られず、まるでアリババの声が聞こえていないかのように、一瞥することも無くアラジンは歩みを止めない。

 

「何怒ってんだよ一体! 俺何かしたかよ!?」

 

 先ほど、アリババの自宅で彼のバイト先の社長に借金返済の目途を話すついでに紹介した時から、ずっとこの状態だった。

 腹痛か、それとも得た金の割振りか? 色々原因として思いつくことを振っては見るものの反応は無く、荷馬車での談話で彼がほぼ唯一反応を見せた“料理”や“やわらかいお姉さん”に関する話題で気を引こうとするも、やはり反応は無い。

 そうやって手を拱いている内に苛立ちが募ってきて、いい加減に怒鳴りつけてやろうかとアリババが思い始めるのと同じくして、

 

「……わっ?」

 

不意にアラジンが誰かにぶつかった。

 拗ねるあまり前を見ていなかったのだろうか。見れば、彼とぶつかった誰かも衝撃でその場に尻餅を突いていた。

 ――ああもう、何やってんだバカ!

 すぐにアリババは彼らの下に駆け寄り、まずアラジンに手を差し出した。

 が、差し出したその手は当のアラジンによって、即座にペシンと叩き返された。

 その対応につい堪忍袋の緒が切れそうになるのをどうにか我慢し、改めてアラジンとぶつかった方の者に手を差し出そうとした。

 

「ゴメン、ウチのがよそ見してて。大じょ……」

 

 一瞬、その手が躊躇した。

 その理由は、アラジンがぶつかった相手にあった。

 一見すれば、ただの6,7歳くらいの少年だった。赤い毛が混じったボサボサの茶髪にクリクリとしたあどけない子犬のような目が特徴的だったが、今のアリババの目にはそれとは別に目立つものに焦点を合わせていた。

 ボロのシャツと短パンの更に下、少年の足首に付けられた鎖付の枷であり、また“それが意味するもの”。つまり、“その少年が奴隷である”という事だった。

 別に、奴隷だからどうというわけでは無い。こっちに落ち度があるのは事実であるのだし、このまま少年が取り落した荷物――こんな年端がいかない子供が持っていたというには少し多過ぎる気がする、大小の果物――を拾ってやることにも特に抵抗は無い。

 ただ、自らも借金のせいで奴隷に堕ちる可能性がある事をつい思い出したのと、こんな小さな子供すら奴隷にする世の中の不条理に一抹の怒りを焚き付けられたのだ。

 

「――あ、ごめん。ちょっと待ってろ、今拾――」

 

 この次の瞬間、彼はちょっとした災難に巻き込まれることになる。

 そしてその原因は、必ずしも一瞬彼が呆けていた内に少年に近づいたアラジンのみによるものでは無い。

 ある種、この先に起こるアクシデントの最大の要因は、そこに“彼ら”が居合わせたという“間の悪さ”だったのだ。

 

「さっきはゴメンね。それにしても、動き難そうな鎖だね」

 

 そう少年に言い、自らも彼の傍にしゃがみ込むや、首から下した金の笛をアラジンが吹いた。

 やったのはそれだけだった。

 それだけで、バキン、と甲高い音を立てて少年の両足を繋いでいた鎖が、一人でに断ち切れた。

 同時に、アリババの目も点になった。

 

「ハイ、とれたよ。これで楽に歩けるね」

 

 どうやったのか分からない。どうしてそんな事をしたのかも、アラジンという人間についてこれっぽっちも理解していないこの時点では分からなかった。

 だが二つ、ハッキリしている事があった。

 一つ、少年の鎖を切ったのはアラジンだという事。

 二つ、奴隷の鎖を勝手に解く行為は貴族の所有財産の窃盗に該当し、また重罪だという事。

 

(や、ヤバイ!!)

 

 心中で、アリババは絶叫する。

 そこへ泣きっ面に蜂とばかりに、ドヨめき出す大衆を割って厄介な人物が彼らの下にやって来る。

 

「コラそこ~、何を騒いでおるか~!」

 

 不意に大通りの奥から聞こえてきた聞き覚えのある声に、反射的にアリババは振り向いた。

 途端、つい声の主と目が合い、互いに、あ、と声を上げた。

 

「あんたは……っ! 何でここにっ!?」

 

 知っているような気がしたのは当たり前だった。

 何せ、その声の主こそ砂漠ヒヤシンスの件でアリババが多大な借金を負う事になった大豪農ブーデルその人だったのだから。

 

 

 

 ――面倒な事になったわ。

 ざわめく衆群の中に紛れ込みながら、彼女は尾行していた“標的”の様子を眺めていた。

 

「あ! 君は昨日のおっぱいおじさん!」

 

「ザケんなクソガキャッ!!」

 

 青い髪にターバンを巻いた少年の侮蔑――少年的には唯のあだ名だろうが――に、体中にくっついた贅肉を、特に胸の辺りをタプタプと揺らして“標的”が怒鳴り返す。

 ――成程。だから“おっぱいおじさん”か。

 上手いことを言う、と目深に被ったフードの下の無表情にほんの少しだけ浮かんだ笑みを、すぐに彼女は消し去る。

 紛いなりにも仕事中だ。自分の存在にまだ誰も気づいていないとはいえ、気を緩めるわけにはいかない。

 

「貴様らのせいでワシは大顧客の信用を失ったんだぞ! 絶対許さんからな!!」

 

 恨みがましく放たれた“標的”の言葉に、最初に彼に言葉を掛けた金髪の少年が震え上がるような素振りを見せる。

 その一方で、先程の台詞に含まれた“ある言葉”を彼女はしっかりと聞き取っていた。

“大顧客”、と。

 それが果たして葡萄酒の買い手として“のみ”の意味なのか? そして、その“大顧客”とやらは誰なのか。

 是非とも明確にしたいものだ。後に控えている筈の“あの男”。そして“標的”自身を“消せるだけの”罪状を確定させるためにも。

 しかし、この場ではダメだ。人目が付き過ぎる。もう少し“標的”に移動してもらい、人目の無くなったところで後ろの護衛二人を消し、裏路地に引き入れるのが最良だが……。

 そんなふうに目の前の問答が早く終わらないかと彼女が観察を続けていたところ、んん、と“標的”が唸る。

 その後紡がれた台詞に、最初は聞き間違いだと彼女は思った。

 だが、そうじゃない事は、“標的”から視線をずらしてすぐに判明した。

 

「キサマら、この上奴隷を窃盗か? 重罪だぞ?」

 

 驚くべきことに、“標的”の台詞どおりだった。

 青い髪の少年の傍らに、足枷に付いた鎖が断ち切られた幼い少年の姿が、確かにそこにあった。

 思わず、驚嘆に彼女は目を見開いていた。

 白昼堂々重犯罪が行われたことではなく、またその少年達が碌な武器も持っていない中で見るからに頑丈そうな鎖を切った事でもなく、“自分達以外にもそんな真似をしようという者が一般人にいた”、という事に。

 

 

 

「や、やだなぁ旦那様。冷静に考えてくださいよ。僕ら、武器も無い非力な一般人ですよ?」

 

 ど、どうにか誤魔化さないと!

 焦燥と不安に駆られる内心を必死で抑えつけることでどうにか出来た愛想笑いのままに、掌を見せてアリババは釈明する。

 それに対し、腕を組んだ不遜な態度で、白々しい、とブーデルは吐き捨てる。明らかに、千切れた少年の鎖がアリババ達の所業であると確信している。

 チッ、と心の中で舌打つアリババに、ブーデルが更に言葉を浴びせ掛けてくる。

 

「フン、気に食わんガキめ……。キサマが100金貨(デイナール)の借金を返せなかった時にどうしてやろうか、もう決めてあるんだぞ? 聞きたいか? ん?」

 

「……ど、どうなさるんで……?」

 

 ねちっこいその問い掛けに不安を逆撫でられ、胸が急激に高鳴っていくのを感じながらアリババは唾を呑んだ。

 一拍待って、それまでただ嫌らしい笑みだけだったブーデルの顔が不意に変貌した。

 

「奴隷にしてやる」

 

 それは予想通りの答えだった。

 そしてその行く末を考える事すら恐ろしい、最悪の仕打ちだった。

 無意識に体を震わせたアリババを尻目に、後に控えていた屈強そうな護衛二人に何かの指示を与えてから、ブーデルが言葉を続ける。

 

「奴隷にして、生涯、一生。ワシ自らの手で、痛め続けてやるっ」

 

 憎らしげに響くその声は、アリババにとってはさながら地獄の大悪魔の放つ、怨念の詰まった呪詛のようだった。

 生きた心地のしないそれが、耳から耳へと、嫌な残照を残して通り過ぎていき、次第に彼の顔を蒼白にしていく。

 だが、何気なく視界の端に映ったブーデルの護衛達によって、半ば茫然としていた彼ははっと意識を取り戻した。

 

「奴隷はツラいぞ~?」

 

 見れば、護衛達が例の奴隷の少年の腕を乱暴に引っ張り、ブーデルの傍へ強引に近づけていた。

 何か、嫌な予感がした。

 咄嗟に、止めようと彼は身を乗り出す。しかし彼の持病ともいうべき“癖”のせいで、それが明確な意思表示にならず、ブーデル達は止まらない。

 否、例えハッキリと制止を呼び掛けられたとしても、彼らは止まらなかっただろう。

 

「こ~んな事されても、文句は言えんからなァ~!!」

 

 そう言い切るや、自らの目の前に連れられて来た少年を、まるでそこらに転がっていたボールにそうするように、ブーデルが無造作に蹴り上げた。

 肥えた男の太い靴が小さな体に容赦なくめり込む鈍い音の後、暫しの沈黙を挟んで、それによって宙に舞い上がった少年の体が土の上に落ちる音が鳴った。

 それから、何が起きたのかをアリババが理解するまで更に数刻。

 そしてその数刻が過ぎた時、最初に動いたのは砂漠ヒヤシンスの一件のように、怒りと正義感に突き動かされたアリババでもなく。

 されとて、首に掛けていた笛をさながら棍棒のように振りかぶったアラジンでもなく。

 

「……えっ?」

 

 ブーデルの後に戻っていた護衛二人の更に後。

 ざわめく群衆を含めたその場の誰にも認識されていなかった第三者――銀に光る鉤爪を掲げ、獲物目掛けて高々と飛翔する若き鷲(ヘイザム)であった。

 




実をいうと、“モルジアナ(マルジャーナ)”っていうのは奴隷につけられる名前だったらしいです。
なので、本来はどちらかといえば忌み名なんですが、
・マギ原作でモルさんの名前について特にそういう意味合いで勘ぐられるような描写が無い
・それ以前に、奴隷解放後も平然とその名前を名乗っているモルさん&普通に自分の名前で呼ばれてるゴルタス

という事で、こちらでは本名として解釈。“男”の名前との対比を交えた、今回の冒頭に至りました。

それはともかく、感想・御指摘、お待ちしております。
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