最近友達の一色いろはがあざとくない件について 作:ぶーちゃん☆
どうも。完結詐欺に定評のあるあざとくない件です。
結局また書いちゃいましたっ(汗)
今回はいわゆるエピソード0的な所からスタートして、本編1・2・3話のちょっと後くらいまで書く予定でして、三話くらいの更新となる予定でおります!
なので今までの過去編とは違って、後半(後日更新予定)にはしっかり八色夫婦漫才もご用意しております。
お楽しみ頂けましたら幸いです!
年が明けて早一週間。
ここは約二週間ぶりの教室。
私は朝のSHRまでの間、初詣以来に会う友人達との会話を楽しんでいた。
私、家堀香織は総武高校に通う一年生。
こう見えても一応このクラスのトップグループの一員なのだ!
友達のうちの一人笠家紗弥加はクール系の黒髪ストレート美人。
メンバーの中では姐御的存在かな。
そしてもう一人の大友智子はちょっぴり巨乳がウリのおっとりさん。
いつもラブラブ彼氏とののろけ話を聞かせたがるウザキャラ枠☆
三人で久々のガールズトークに花を咲かせていると、ちょっと遅れてやって来ましたのはこの人!
我がグループの中心でもあり一年生にして生徒会長の肩書きをもつあざとい小悪魔系美少女こと一色いろは!
「久しぶりー!初詣以来だねー!」
クラス中が注目する中、私達トップグループが三学期初の集合を向かえるのだった。
× × ×
いろはがやってくると、クラスの男共が示し合わせたかのようにワラワラやってくる。
なに?砂糖に群がる蟻なの?生者に群がる亡者なの?
ま、クラスのアイドル…というよりは今や学園の妹的存在となったいろはへの新年ご機嫌伺いなんだろうね。
年明け一発目の魅惑的な微笑みと猫なで声をご所望とみえる!
年明けの猫なであけおめは年イチのレア挨拶だし、一年生の私達には初モノだしご利益とか考えてるのかも。
あざとい挨拶が新年初モノのご利益とか、ちょっと頭沸いてんじゃね?この人たち。
あ!勘違いされちゃうと困るんだけど、べ、別に私らは私らのファンにすでに群がられた後なんだからねっ!
と、脳内で謎のツンデレキャラが降臨している私には一切お構い無く、群がる蟻共が我先にといろはに話し掛ける。
「いろはあけおめー!」「久しぶりー!超会いたかったよいろはすー!」「冬休み遊びたかったわー」「初いろはすー」「ね、年賀状届かなかったんだけど、もしかして俺の届いてない…?」
各々が姫殿下への謁見に赴き、思い思いの新年のごあいさつを捧げる。
中にはちょっぴり涙色のごあいさつも混じってますね。
『あけましておめでとー!わたしも久しぶりに会えて嬉しいよー♪』
との甘ったるいお言葉を賜る事を期待して、今か今かと構えていた皆の者だったのだが、いろはの返答はこんなんだった。
「あ…、あけましておめでとう。ごめんねー、久しぶりに香織達と会ったから、ちょっとお話したいんだよね」
嘘…だろ…?って顔してますよ?姫の謁見の間に集まった従者共が。
いやまぁ私達もちょっとびっくりしてますけどね!
そして年賀状のくだりは聞こえなかったのかな?いろはす。
お、おう…、と蜘蛛の子を散らしたように蟻共が霧散していく。
蜘蛛なんだか蟻なんだか紛らわしいわねっ!
「ど、どしたの?いろは」
「なんか機嫌悪いん……?」
紗弥加と智子が姫のご機嫌を伺うが、
「ん?なにがー?」
姫殿下は特になんともないご様子。
ど、どうしちゃったのよ?あざとい我が友人いろはよ……
× × ×
いろはは席につくなり急にご機嫌ナナメ。
バターンと机に突っ伏すなりグチグチ言いだした。
なんだ。やっぱ機嫌悪いんじゃん。その愚痴を言いたかったからお邪魔虫を蹴散らしたのかな?
「ねー…聞いてよー!さっき戸部先輩から聞いたんだけどさー……、せんぱい達がみんなで初詣に行ってたらしいんだよねー……。なんでわたしを呼ばないかなぁ……」
とパンっパンに頬を膨らませてぶーぶー言ってる。
てかあんた私達と初詣行ったじゃんっ!
なんすか!?ご不満なんすか!?
「いやアンタあたしらと初詣行ったじゃん…」
紗弥加が冷めた眼差しをいろはに向ける。
そうだ!言ったんさい!
「それはそれ!これはこれ!もちろん紗弥加達との初詣は楽しかったけどー……。そもそもまずわたしを誘わないってどゆ事!?信っじらんない!超ムカつくぅ!あんにゃろうっ」
あんにゃろうって……。先輩でしょ…?
戸部先輩に言ってるんなら、……まあ仕方ないか。
でもいろはがご不満って事は葉山先輩絡みよねぇ。
「なに?そんなに葉山先輩と初詣行けなかったのが気に食わなかったの?」
私が尋ねると
「……え?葉山先輩……?うーん、どうなんだろう?居たのかなぁ」
え?なにそのついで感!?
まさかいろはすは戸部先輩との初詣がご所望だったのかないやそれはない。
私が即答で自問自答を終らせると
「と・に・か・く!放課後文句言いに行ってやんなきゃっ」
ぷんすかするいろはなのだった。
あんまり戸部先輩を虐めないであげてね?
ないわーないわー五月蝿いからさ。
私面識ないですけど☆
× × ×
そんな時、新年早々見たくもない顔がニヤつきながらやってきましたよ?
「いろはちゃんあけおめぇ!ねぇねぇ!いろはちゃんって葉山先輩と仲いいんだよねぇ!?じゃああの噂ってホントかどうか知ってるのぉ?」
うっわ……。朝から限りなくウザいな襟沢。
なにその嬉しそうなツラ!なんかいろはちゃんに不利な情報ありますけどぉ!って顔全体で表現してる!
腹立つ顔芸だなぁ……
「恵理ちゃんあけおめー。んで葉山先輩の噂って?」
「あれぇ?聞いてないのかなぁ?朝から女子達の間で超話題になってるよぉ?」
するといろはは私達に、そなの?と視線を向けてくる。
うーん。私達は知らないなぁ…と、顔を見合わせ首をかしげる。
あー、でも確かにクラスの至るところで女共がなんかキャーキャーギャーギャー騒いでたな。
「あ、香織ちゃん達も知らないんだぁ!えー!どぉしよっかなぁ?言わない方がいいのかなぁ?」
マジうぜー。言いたいなら早く言えよ。
「えっとねぇ、なんかぁ、葉山先輩って、あの雪ノ下先輩と付き合ってるらしーよぉ?」
マジでっ!?
って私が食い付いちゃったよ!
色恋沙汰大好きな女のさがですかねぇ。
するとガタッ!っと音を立てていろはが立ち上がる!
「マジでっ!?なにそれ!?全然知らないんだけどっ!?どこ情報!?」
おお……、やはりすごい食い付きっぷり。
「なんかぁ、お正月に一緒に千葉に居たとこ目撃されちゃったらしいよぉ?学校中その話題で持ちきりになっちゃうのも時間の問題なんじゃなーい?」
いろはざまぁ!って顔に書いてある。ざまぁの後に大草原不可避だよ。
襟沢の顔を大草原で一杯にしてやりたい。wをたくさん書いてやろうかしら、油性マジックで。
「え?それだけ?」
あ…あれ?すごい意外な反応。襟沢も目ぇ真ん丸くしちゃってんじゃん。
「うん……、そぉだけどぉ……」
「なーんだ。それじゃ全然信憑性ないじゃん、つまんなーい。大体一緒に居るとこ一度目撃されたくらいで付き合ってるって……、総武高校女子一同はみんな中学生かってゆーのっ」
まあね。それで付き合ってるって言ったら、いろはと戸部先輩なんてとっくにラブラブカップルになっちゃってるわ。
戸部色カップル……やだちょっと面白い。
「休みに一緒に居たくらいで彼氏彼女なんだったら、あんたの大好きな中西といろはも彼氏彼女になっちゃうって気付けよ襟沢」
紗弥加のきっつーい一撃で襟沢玉砕(笑)
「なぁっ!?べっ別に私中西くんの事なんてなんとも思ってないしぃ!」
真っ赤んなって行っちゃった……。
お前は小学生かよ。
それにしてもつまんないって?
「でもいろは、心配じゃないの?」
少なくともこいつは去年のクリスマス前に葉山に振られてるのだ。
いくら信憑性がなくても、あの雪ノ下先輩と一緒に居たなんて事実、普通不安になるもんじゃないのかなぁ?
「うーん……。わたし雪ノ下先輩とも結構仲いいからねー。あの二人が付き合うとか、ちょっと信じらんないかなー。………でも…でも万が一その情報が本当なら………」
ゴクリ……超ショック?
「……ちゃ〜んすっ♪」
あざとさなど忘れて、邪悪さ丸出しの低音ボイスに悪魔の如き笑みを浮かべる……
え?なんだって?
声ちっちゃいわ低いわで聞き取り辛かったんだけど、ちゃーんす♪って言った?
いやいや!チャンスな要素なんてどこにもないよね!?相手はあの雪ノ下先輩だよっ!?
なに?いろはすったらドMなの?
雪ノ下先輩を強敵《とも》とでも呼びたいの?
「それも含めて今日聞いてみよっと!あー!楽しみーっ」
おいおいおかしくね?楽しむ要素どこにあんのよ!?
「えへへ〜、クリスマスイベントぶりかぁ〜……早く会いたいなぁ〜……えへへ〜」
そんな私の脳内ツッコミ露知らず、いろははにへら〜っと弛みきった顔でトリップしていました☆
膨れたりニヨニヨしたり、新年早々お忙しい事でっ!
× × ×
始業式が終わりLHRも終わると、新学期初日の本日は早くも放課後へと突入する。
長期休暇明けの始業式ってなんかちょっぴり得した気分よね!
今日この後どーするー?なんて話をしてると、いろはがちゃっちゃか荷物をまとめだした。
「あれ…?いろは?今日どっか寄ってかないの?」
「ごっめーんっ!わたしこれから忙しいんだー!ほら、生徒会『とか』…」
『とか』なんだよ。
ああ、マネージャー業かな?
そしてとっとと荷物をまとめて出て行こうとしたところ、いろはに群がる他のクラスの蟻共も新年のごあいさつを求めてわらわらやってきちゃったよ。
その中にはいろはのお気に入り(荷物持ち)の爽やかイケメン、中西翔太君の姿も……。
「いろはー!あけおめっ!」
そうにこやかに挨拶する中西君を筆頭に皆が挨拶する脇をピューっと走り抜けていくいろはす。
完☆全☆無☆視
というよりは早く行きたくて仕方なくて、余計なモノは視界に入ってなかったみたいなご様子。
いや余計酷くね?
あっれ〜……?と引きつった笑顔の、額に汗する憐れな下僕たちに優しい私がフォローしてあげるのだった。
「なんか部活と生徒会で忙しいらしいよー」
背中で泣きながら散っていく戦士達の背中を見送りながら、私は思うのだった。
一色いろはの様子がおかしい………と。
× × ×
翌日、登校してきたいろはは朝から落ちていた……。
これはあれか!?まさか本当に葉山先輩って雪ノ下先輩と……!
これは聞くべきなんだろうか…?と顔を見合せている私達に向かって……と言うよりは智子に向かっていきなりの謎発言。
「ねー、智子ってさぁ、文系の成績めっちゃ良かったよねぇ…?」
…………は?
あまりの突然の事態にみんな固まった……。
え…?なんなの?急に……
「え…?え〜っと……、う、うん!かなりイイ線行ってるよ〜?」
最初は戸惑い気味だった智子もなんだかノッて来た!
やばい、智子がノるとちょっと……
「ほらぁ〜☆友樹君がイケメン文学少年だか…」
「いや、そういうのいいから」
ザラキ!ザラキ!ザラキ!いろはすがクリフトばりの即死攻撃!
智子のライフがもうゼロになろうかという所だが、そんな小さなことは構わずもう一度低くゆっくりと訊ねるいろはの笑顔は闇落ちしていた……
「智子って文系の成績めっちゃ良かったよねぇ」
「う、うん!いいよっ」
余計な事を言わない智子に満足したのか、いろはすがこちら側に戻ってきました!
「だよね〜!智子で学年何位くらいなのっ!?」
「う〜ん……。文系だけの順位は出ないからな〜。ちょっと分かんないかも〜」
「じゃ、じゃあちなみに国語はっ!?国語だけなら何位っ!?」
「ふっふ〜!私文系の中でも国語が一番成績いいんだよね〜。国語だけなら常に学年10以内には入るかな〜っ!最高で7位まで行きました〜!」
豊かな胸を張りえっへんと満足気な智子。
はぁぁ〜…確かにこいつの文系の成績がいいのは知ってたけど……、智子ってこんなんの癖にそんなに成績良かったんだぁ……
智子のくせに生意気だーっ!と、私の中にどす黒いジャイアニズム的思想が駆け巡っていると、いろはは一気に絶望の淵へと叩き落とされた……。
「うっそ……、マジで〜……?」
そんないろはの様子に、へへんっ!と勝ち誇ったかのような笑顔を向ける智子なのだが、次のいろはの言葉にライフがゼロになった……。
「智子でさえ…!?智子でさえたったの10位程度なの…?」
そう言って頭を抱え込むいろはの横では「たった…?」と智子が笑顔のままで白くなっていった……
「うわー……じゃあ最低でも智子並みにはなれるくらいじゃないと、同じ大学も目指せないんじゃん……」
消沈するいろはだが、ん!?大学!?
一体話はどこに向かってしまったの!?
「くっそー……実は成績いいとか反則でしょー……」
「……えっと、いろは?一体なんの話…」
てか葉山先輩は実はどころか秀才で有名だと思うけど。
そんないろはの様子に戸惑ってる私達の元に、昨日姫殿下からの甘いお言葉が貰えなかった男子達が、今日こそは!と気合いを入れて集まってきた。
「いろはー!おはよー」「おはよういろはすっ!」「オッス!一色っ」「あのさ…年賀状…」
男にはいつ如何なる時でも魅惑の微笑みと甘い猫なで声を絶やすことの無かったいろはが返したご挨拶は、今日もやっぱりこんなもんだった。
「あ、おはよ」
………………最近私の友達の一色いろはがあざとくない件について、みなさんはどう思われますか??
続く
久しぶりの香織の出番でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました!
実はもう一本連載している方でいろはすの出番が無いじゃないか!とのプレッシャー感想を多数頂きましたのでこちらを書きました!
まぁ半分冗談ですが(笑)
アニメ二期で、ようやく来週からいろはすメインのクリスマス編がスタートするので記念ageって感じですかねっ!
次回更新はまだ未定ですが、もう一本の方のケリが付くかその前か、とりあえずそこら辺を予定しております!