ググってハルケギニアの地図、トリステインの地図を参考にした部分が多々あります。
えーと、一応方角とか距離はなんとなく書いてますが、分かりづらいかと思います。
地図確認できない方はまことに申し訳ないですが、えーっと。うん。まぁそういうもんだと思ってください。
―――きなさい。クロア。 起きなさい! クロア!
という、俺の杖の妖精―――じゃなくて父上の声で意識が浮上した。両親がベッドの側にいて、父上は軽く俺の肩をを叩いていて、母上はひたすらヒーリングをしていた。俺が目を開けたのを確認して両親は軽くため息を吐いてほっとした顔をした。正装のままベッドの上に仰向けで寝かされていたようだ。
ふむ。寝起きの挨拶は基本おはようだが、俺のこれまでの経験上、朝でない可能性の方が高い。……こんなときは便利な挨拶を使うしかありませんな。
「えっと、父上、母上、ごきげんよう。」
「うむ。気分はどうだ?」
「クロア、ごきげんよう。起きたようで良かったわ。」
俺が挨拶すると両親は俺の気遣いながら体調を確認した。ふむ。別段いつも通りか? 特に悪くもなく良くもなく。そしてベッドの縁に腰を下ろすようにして起き上がる。
「ええ、いつも通りだと思います。お久しぶりですね。父上も母上もお元気そうで何よりです。ヒーリングの詠唱が聞こえましたが、母上のお加減はいかがですか?」
そう答えてから母上に尋ねると、このくらいなら全然平気らしい。実はすごいメイジなのだろうか。そして「いかがなさいました?」と少し首をかしげて父上に目で訴えると、
「起き抜けですまんが、少し時間が押していてな。これから話し合いがある。出席しなさい。」
と、父上が少し真面目な顔で俺に言った。おお、話し合いですか。間違いなく俺の婚約の話ですね。モンモランシーがいたら気絶しかねませんが大丈夫ですかね? ええ、幸せなことですが、将来に不安がですね……。
「おお、起きられたか。ささ、こちらへ。」
と、いう男性の声が聞こえた。アレ? 誰ですかね? クロア君の寝顔を眺める会とかですか? いえ、分厚いカーテンも半分かかったままですし、こちらからは見えませんから気のせいですね。ええ、モンモランシーに寝顔見られるとか――いいのか? なんか思考がまだ混乱している気がしてならない。
「モンモランシ殿、ようやく起きました。お待たせして申し訳ない。」
「いえいえ、彼は今後義理とはいえ息子になるのですからな。カスティグリア殿も出来れば他人行儀はやめてくだされ。」
そんな声が聞こえる。これはもしかして……。よく噂に聞くという
「お嬢さんを私にください!」
「貴様なぞにやるか! 歯ぁくいしばれ!」
とか言うイベントでは……? 即死ですね。いや俺が貰われちゃうんだっけ? というかすでに俺の人生はモンモランシーに貰われてましたな。はっはっは!
あれ? もしかしておれ しょうらい クロア・なんちゃら・モンモランシ とかになるの!?
いや、モンモランシでもいいんだけど、実はちょっと「カスティグリア」は音の感じがカッコイイとか思ってたんですけどね……。いや、いいけどさ。
少し混乱していると、母上に手を引かれ、天蓋のカーテンから出た。俺の部屋にはさっきの丸テーブルではなく長方形の装飾は多いが天板はきれいに平面に磨かれているテーブルが置かれており、両側に三脚ずつ椅子が置かれ、こちらから見て一番奥のお誕生日席にマザリーニ枢機卿らしき方が座っている。
マザリーニ枢機卿(仮)は日ごろの激務を思わせる深く刻まれた皺と真っ白な白髪だが、品があってこざっぱりした感を受ける。初めて見るが、個人的には好印象だ。
そして手前側の一番奥に父上が座っており、手前側は椅子が二つ空いている。まぁ母上と俺だろう。向こう側の一番奥にモンモランシ伯と思わしき金髪の人物、そしてモンモランシー、一番手前に恐らくモンモランシーの母が座っている。
「初めまして、皆様。クロア・ド・カスティグリアと申します。よろしくお願いします。」
「うむ。今回立ち会うことになったマザリーニだ。」
挨拶をすると最初にマザリーニ枢機卿が応えてくれた。おお、トリステインのトップが立会いとか……。何が起こっているのだろうね。いや、婚約式だが、カスティグリアのトリステインでの立ち位置が不明すぎる。そして椅子に座るよう促され、モンモランシーの向かい側に座る。全員が着席し、自己紹介が始まる。ええ、名前と顔を覚える必要があるのは知ってます。しかしですね……。
モンモランシーのごくわずかな香りがテーブル越しに彼女の存在を教えてくれるのだが、少しでも彼女を意識すると自分の瞳に焼き付けた「モンモランシーの蕩けきったような表情の真っ赤な顔」が鮮明に浮かんで――――
「……母上、ヒーリングをですね。」
とこっそり隣に座る母上に要請すると、こっそりヒーリングを俺にかけてくれる。ぶっちゃけ自己紹介どころではない。ひたすら耐える。聞いてるフリをして耐える。そしてたまにヒーリングをお願いする。なんか更に虚弱になった気がですね……。
話が進み、羊皮紙が双方、いくつか
これは好機! アレが俺に回ってきた瞬間、元の冷静な貴族の仮面が戻るはずだ。
「クロア、確認してサインをしなさい。」
と父上自身はもう前に確認しているのか、ざっと確認してから、全てにささっとサインして父上から救いの資料が渡される。ふぅ、さて何が書いてあるのかね。一番上の物は一枚で婚約の誓約書になっており有効期間は5年に設定されている。
ふむ、ぶっちゃけ明日にでもけっこ―――ごふっ、「は、母上……ひ、ヒーリングを」と母上に救援要請をする。し、資料でも無理……だと!?
お、落ち着くんだ、なんか素数を数えるといいみたいな事をだな……。えっと1…。1って素数なんだっけ? 違うっていう話があって2からでしたね。ええ、しりとりでいきなり「みかん」とか言ってしまった気分です。少し落ち着いたのでサインする。
えーっと二束目は――ふむ。どうやら俺は結婚したらクロア・ド・モンモランシになるらしい。俺の今後の扱いが色々書いてある。俺とモンモランシーの立ち位置の確認ですね。ラ・フェールが付くかとも思ったが当主はモンモランシーになるようだ。ふむ。俺はすでに人生を捧げているからな。何も問題はないな。ささっとサインをする。
えーっと三束目は―――「クロア・ド・カスティグリア」および「クロア・ド・モンモランシ」の介助要員兼側室候補の選定手順および権限規定、現在の候補者リスト……あれ?
ちょっとどういうことかわかりませんね。ええ、介助要員は必要ですし、選定手順もあるでしょう。しかし後半の「兼側室」ってどゆこと? ああ、いつもの目がちょっと……と羊皮紙の資料を近づけるがどう見ても「兼側室」って書いてある。ふむ。きっと誤植だろう。訂正を求めねばなるまいて。
「父上、ここの項目なのですが……。」
と羊皮紙を見せて尋ねると、
「ふむ。何か問題があるのか? 言ってみなさい。」
と真面目な顔で返された。ふむ。問題あるのでは? 俺お婿さんですよね? ここはストレートに聞いてみよう。
「いえ、ここの『兼側室』というのは誤植では?」
「いや、誤植ではないし、必要なことなのだよ。ちゃんと皆で話し合ったから抜けはないはずだ。まぁその一枚はあまり気にするな。」
と、父上は少しうそ臭い笑顔で俺に告げた。右側にいる母上を見ると彼女も少しうそ臭い笑顔が……正面、は、今見ると危険なのだが、一応チラッと見ると、モンモランシーは普通の笑顔を浮かべている。あれ? 彼女は嫉妬深いんじゃなかったでしたっけ? 嫉妬=死 くらいの覚悟してたのですが……。おおっと、ママン、ヒーリングタイムですよ。
「いえ、気にするなと言われてもですね……。」
と、詳しく聞こうとしたら、「さぁ時間がないぞ」と簡単に逸らされつつ急かされ、一応続きを読んだ。ううむ。解せぬ。理解が追いつかない。シエスタの名前もあるし……。見なかったことにしよう。ええ、彼女はステキなかわいい子で体力もありますし、学院生活では欠かせない存在ですが、これを見た後普通に対応できる気がしない。忘れよう。俺にはモンモランシーがいますからな!
「ごふっ、た、たびたびすいません、ひ、ひーりんぐを……。」
と、母上にこっそりささやいてヒーリングをかけてもらう。ちょっと呆れているようだ。いえ、本当に申し訳ありません。
しかし今この場所は人生最大の死の危険が溢れている。ちょっとしたミスで俺が死ぬ。ぶっちゃけアルビオンで15万だか20万だかの軍勢と真正面からやりあう方が安全な気がする。そんな状況下なので今はそんな事を考えている余裕がない。そうだな、この羊皮紙からは転進して急いで次に行こう。と、言ってもあと一束だが……。ささっとサインして次の羊皮紙を読み始める。
カスティグリアとモンモランシの同盟か……。ふむ。政略結婚とも取れますね。ええ、俺にとって現状では救いです。ちょっと黒いくらいじゃないと今は冷静になれませんからね。
ふむ。モンモランシ領にも風竜隊や艦隊を少し置くらしい。資金は全部カスティグリア持ちか。問題は兵站線の維持だが、今のところ補給艦を定期運行させるとか。こちらの人件費だけはモンモランシ持ちらしいが、何とかちょっとでも出させて? って感じで出したような気がする。
あとモンモランシ領の魔改造も始まるようだ。なんか「カスティグリア総合研究所モンモランシ支店」みたいな感じの建物を建ててカスティグリアから経験者や研究や教育、監督する人間が結構来るみたいだ。
やはり肥溜めからなのかね? 優秀な土メイジが来るといいのだが……。
風石関連はカスティグリアから運ぶらしいから採掘はしないのだろう。まぁ100%突き当たるとは思いますが、リスクがあると思われているのでしょう。あの時も無誘導爆弾のテストも兼ねてましたしね。
あとは相互に安全保障を行ったり、食料をメインでモンモランシから輸入、工業品を輸出するようだ。
参考までにだが一応トリステインの簡単な地図も添付されている。初めて見るが、兵站路が異常に長い。カスティグリアはトリスタニアから北西の海に程近い位置にある。一応ゲルマニア国境をほんの少し接しているが、一番近い戦場は、あるとしたらだがヴァリエール-ツェルプストー境界線だろう。
一番近い有名どころは南東にあるトリスタニアで風竜隊を使えば多分1時間くらい。いや、うちの風竜隊は妙に速いからね? アルビオンからの侵攻路であるラ・ロシェールやタルブ村は南西に、2~3時間。あの感じだと多分魔法学院も直で行けば2~3時間になっているのではないだろうか。
そしてモンモランシ領は真南に3~4時間といったところか?
ぶっちゃけ一番遠い。でかい湖があって対岸はガリア領の確かタバサの実家だった気がする。ふむ。意外とモンモランシ領は平和そうだな。補給路も複数用意するだけで内線だし、問題ないか?
あ、クルデンホルフ大公国も近いな。恐ろしく近いな……。接してるんじゃね? ってくらい近いな…。ここは注意が必要かもしれん。いや、個人的にだが……。
そして、モンモランシ領の西端からタルブ村まで恐らく1~2時間じゃないだろうか。アルビオンから侵攻されたときはモンモランシ領に配置される部隊を使った方が即時対応できそうなんだが、戦力をぶつけるならこの程度ではなくもっとガッツリとぶつけたい。うーむ。と、考えていると父上から話しかけられた。
「どうした? クロア。また何かあったら何でも言っていいぞ?」
「ええ、少し懸念がですね……。このような席で話すのはどうかと存じますが、お言葉に甘えて若輩者の私の考えを少し述べさせていただいてよろしいでしょうか。」
マザリーニ枢機卿が一番気になる。恐らく父上はうなずくだろう。とりあえずマザリーニとモンモランシ父を視界に収めて聞いてみると、二人とも少し興味があるようで「うむ」とうなずいてくれた。
お言葉に甘えてちょっと提案というか意見具申させていただこう。マザリーニ枢機卿が気になるが、大丈夫だろうか。怒られないだろうか……。モンモランシーの前でそれは避けたいのだが、彼女の領のことも考えると、レコン・キスタがタルブで止まらなかったら次は彼女が継ぐ領地に来る事もありうる。
「まず、一つ確認ですが、モンモランシ領に配備される戦力はしばらくこのままということでよろしいでしょうか。」
「うむ。そうなるな。なに、ラグドリアン湖の対岸はガリア領でな。かの元領主殿とも交誼があったのだが、まだ新しい領主は来ておらん。誰もなりたがらないようでの。
そして、南西はクルデンホルフ大公国だがトリステインとは同盟を結んでいる。むしろ属国とも言えるくらいだから心配せんでよいぞ?」
とモンモランシ父(名前聞き忘れた)が穏やかに答えてくれた。
「ありがとうございます。では、少々私の懸念と申しますか、提案を述べさせてもらいます。まず、この防衛戦略ですと、主眼はガリアに向いているようですが私としてはアルビオンおよび、クルデンホルフに備えたいと存じます。」
そういうと、マザリーニ枢機卿が「ほぅ?」と少し興味を示した。少し彼を確認してみると続けてもいいようだ。少しうなずいてくれた。とりあえず、添付されていた簡単な地図を枢機卿にも見えるように前に出し、羽ペンのインクを落としてペンの逆側の羽の先端部分を使って地図を指し示しながら説明を続ける。
「ガリアからの侵攻は恐らくラグドリアンを回り込む形か、湖に両用艦隊を配置する形になるかと思います。しかし、皆さんご存知のようにガリアはゲルマニアが睨んでますから、そこまで大きな戦力をここに集める利点は全くないでしょう。」
そして、再び少し確認する。地雷原を歩きだした気がしてならない。言わなきゃよかったか!? いやしかし、目の前にいるモンモランシーのだな―――いや、確認はできんが……。
「ですから、恐らく現在一番警戒が必要だと思われる、ラ・ロシェール方面のこの辺りにカスティグリアの航空戦力をある程度集めて空軍基地にしたいのですが、いかがでしょうか。」
うおおお、静まれ心臓。今ヒーリングはまずい。倒れるのもまずい。気絶もまずい。多分「何そんなに自信ないの?」みたいに思われる。えっと、2、3、5……と、ドキドキしながら応えを待っていると。
「ふむ。あー、カスティグリア殿がいるのでミスタ・クロアと呼ばせていただくよ? 「よろしければクロアとお呼びください。」 あいわかった。クロア君。なぜそのように考えたのかね?」
うおおお、マジこえぇ。マザリーニ枢機卿が政治家の、宰相の顔になってる! すさまじい見えないプレッシャーが……、
―――いや待てよ?
何を恐れているのかね。俺もカスティグリアの、モンモランシの、そしてトリステインの貴族だったと思うのだがね?
―――さて、往こうか。
「まず、今、現在アルビオンではレコン・キスタなるものが流行っていると伺いました。どこぞの平民の司教を虚無の使い手と称え旗頭にし、アルビオン王家を攻め立てているようですね?」
初撃は当然俺の命を掛けた一撃ですな。当れば恐らく俺の勝ちですが、これを外すとですね……。
「ふむ。君がどこで知ったのかは興味深いがこの際いいだろう。補足するとレコン・キスタは王党派と貴族派の争いで、旗頭は確かにロマリアの司教が行っておる。貴族派の掲げる大儀は現王のジェームズ1世が彼の弟であるモード大公を投獄、処刑したことだな。最初は単なる小規模な内戦ですぐに終わると思われていたのだが、意外と拮抗して貴族派がかなり盛り返しつつある上に貴族派が勝つ可能性が出てきておる。」
ふぅ……杞憂だったようです。原作通りですな。ずっと資料書いてただけだし……。調べときゃよかった。ギーシュとかクラウスとかに聞けばわかったかも。あとで一応ギーシュに聞いてアリバイを作ろう。いや、逆にやばいか? なんかアリバイ作りのいい手段ないですかね。
そう、ここでもし、「何言ってんの? そんなの存在しないよ? 夢でも見たの?」とか言われたら死ぬしか……ん? そういえば俺の生死与奪権はモンモランシーが持ってるのか? いや、ギリギリ人生だけだから! ギリギリ捧げたの人生だけだから! ええ、ギリギリ……ダメかな? ふむ。信念まで捧げた覚えは~とかシレっとですね―――あー、でも彼女に確認できないしな……。
「ええ、そして気になるところは、まず、ロマリアがなぜ一司教の宣言に対応しないのか。そして、なぜロマリアが虚無の使い手に関する真偽の発表をしないのか、です。もし、かの司教が虚無の使い手であれば始祖の再来でしょう。ロマリアが反応しないのは恐らく真偽のほどはどちらでもよく、ただ、戦況を眺めているだけのようですね。ただ勝ち馬に乗る気でしょう。」
なんかみんな真面目な顔をし始めた。え、っと。婚約式でしたよね? まぁいいか。俺のメインイベントはもう終わったのだよ! ああ、アレに比べればたいしたことはないな……(心の中で遠い目)
「そして、旗頭がブリミル教の虚無の使い手の司教でありながら始祖の系統である王家を襲うのは相反するものがありますね。むしろ、王家はブリミル教に保護される対象なのでは?
虚無の使い手である司教はアルビオンの虚無の系統を滅ぼす事を目的にしており、そして貴族派はそれに従いついでに自分の領地拡大や、大公家の復讐を望んでいる。
―――本当にこれだけならトリステインとしてはあまり脅威に感じないでしょうが、もし司教の裏に本命がおり、それが外国勢力だった場合、ただの内戦では済みません。
マザリーニ枢機卿の前で口にするのは
ここまででもかなり際どいと思うが、「次は聖戦だね!(テヘペロ)」とか言ったら不敬罪や異端審問で死ぬかもしれん。そこまでこのダミーの例えで命を賭けたくない。少しマザリーニ枢機卿が眉を寄せた。次行こう次! さっさと通過するに限る。
「しかし、私が本当に懸念しているのはゲルマニアおよびクルデンホルフ、そしてガリアです。」
こっそりクルデンホルフ混ぜといた。ええ、クルデンホルフは今のところ私に私怨ありますからね。せっかく俺という駒がモンモランシに移動するのですから、この際クルデンホルフへの恫喝にも使いましょう。あ、ガリアに逃げられたら厄介ですかね……。ありえそうで怖いですね。まぁその辺りの調整は枢機卿に任せましょう。
ええ、ぼくはただの虚弱な子供だしー。
「ここからは外国勢力がレコン・キスタを支援しているという予想からですので、レコン・キスタが王党派に勝利したという前提で説明させていただきます。
そして、もし背後にいるのがゲルマニアだった場合は分かりやすいですね。レコン・キスタはそのままカスティグリアかラ・ロシェールを、そしてゲルマニア本体はヴァリエールを同時攻略、こちらが遅れればかなり押し込まれるでしょう。
そして、クルデンホルフだった場合、大公国が独自の軍事力とアルビオンに広大な領地を持つことになります。もしかしたら私にまだ個人的な敵意を覚えており、カスティグリアとモンモランシが標的になる可能性があります。呼応する貴族もいないとも限りませんが恐らくはそこで止まるでしょう。しかし、トリスタニアがどう対応するかわかりませんが私としてはこれを許容したくありません。
最後に、ガリアであった場合が一番恐ろしく、そして大変言いづらいのですが、かの王は無能王などと呼ばれているそうですね。その理由のうち二つが、一人でチェスに興じたり、人形を使った戦争ごっこが好きなのだと耳にしました。ハルケギニアを盤上にした戦争ごっこがしたくなったのかもしれません。
そうなればレコン・キスタを使って次はトリステイン攻略を考えるでしょう。そうなるとラ・ロシェール周辺に艦隊を集めて順次攻略ですかね? まぁ戦争ごっこですからガリア王は上から盤上を眺めているだけでしょうけど、こちらが完全に対応するとこちらの戦力をある程度分散させるために陽動でモンモランシに圧力をかけてくる可能性もありえます。」
そこまで話して少しこっそり息を吐く。あー、原稿が欲しい。内容に穴があったらどうしよう。とりあえず、一番味方になってくれるであろう父上を見ると、驚愕に顔を染めている。
おおぅ、そこまででしたか。しかし父上、俺の援護をですね……。
と、とりあえず父上の援軍が遅れそうなので、敵情を偵察しましょう。マザリーニ枢機卿は、……アレ? 同じような表情をしている。ふむ。流行っているのですかね? 未来のお義父様を窺うとやはり同じような表情をしている。へんじがないただの―――いや生きてるけど。うん、彼らが戻ってくるまで続けるか。
「そのような理由で私としてはこの辺りに大きめの空軍基地が欲しいのです。先の理由で侵攻された場合、こちらから攻めない限りそれほど押し込まれないかと存じますし、兵站に関しては、これからカスティグリアとモンモランシを繋ぐ内線が出来るわけですからね。
本当はラ・ロシェール辺りにも欲しいところなのですが他領ですからね。モンモランシ領で考えるならこの辺りかなと……。空軍なら比較的早く対応できますから、ラ・ロシェールへの援軍にも対応できますし、カスティグリアとモンモランシを繋ぐ内線の防御にもある程度使えると思います。
できれば、その辺りは空路だけでなく陸路も少し考えていただければこの二つの領でかなり周りに睨みを利かせられると思うのですが……えっと、いかがでしょうか。
すいません。政治とか外交とか財政とか正確な情勢はわかりませんので、ちょっとしたただの提案だったのですが……。」
あー。えーっと。復帰してこない。困った。ふむ。そういえば驚愕顔が流行っているのでしたな。ここはモンモランシーのレアな表情が見れるかもしれません。どうせみなさんが戻ってくるまで暇でしょうし、隣には最早俺用のヒーリング発生装置となりつつある母上がいらっしゃいます。今では俺の貴族の仮面も完全に修復されたようですし、命の危険はもうあまりないでしょう。
ええ、ちょっとモンモランシー嬢のご尊顔を堪能させていただきましょう。
そして、レアな表情を見たいという欲求に逆らいきれずにモンモランシーを見ると、目をまん丸にして父上達の顔をキレイな金髪ロング縦ロールを揺らしつつ見回しながら驚いていた。おお、やはり流行でしたか。
かわいいなー。キレイだなー。かわいいとキレイが合わさってさらにステキなドレスとかっっっ! もう彼女がハルケギニア最強の系統でいいのでは? と考えながら瞳は危険だとわかったので、モンモランシーが動く様を脳に焼き付けていたら彼女がこちらに気づいたのか、赤くなって少し下を見た後――赤い顔のままこちらを向いて優しく目を細めて輝くような満面の笑みを俺に魅せてくれた。
ごふっっっ、し、しまった。は、ははうえ、このおろかなむすこに……
急遽母上にヒーリングを要請しようとしたところで視界が暗転した。
あー、やっちまった。やっちまったよ……。
うおおおお! 誰だ!
モンモンとの恋愛話書きたいとか言ったやつ出て来い!
ノ 私です。ごめんなさい。
モンモンが強すぎて辛いorz