ソードアート・オンライン〜デュアル・クロス〜   作:阿良良木歴

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デスゲーム

「な、なんだっ!?」

 

「ッ!?」

 

「うおっあ!?」

 

突然鳴り響いた不気味な鐘の音に驚く間もなく、3人は青白いエフェクトと共に姿を消した。

 

 

* * *

 

 

3人が目を開けると、そこははじまりの街の中央部広場になっている所だった。周りを見渡すと、他のプレイヤーも集まっているようだった。

 

「強制転移か。これから運営からの説明でもあんのか?」

 

「みてぇだな。ログアウトできねぇなんて重大な欠陥だもんな」

 

「いや、どうやらそんな感じじゃないみたいだぜ」

 

この状況を楽観的に捉えていたクラインとライガだったが、キリトは鋭い眼差しで空を見上げていた。つられて空を見た二人は息を呑む。空が赤く染まり、漏れ出した血のようなものが人の形に変わっていった。巨大な人影はやがて、ローブを纏った姿で完成の色を見せた。が、そのローブの中、顔があるべき所に顔は無く不気味な空洞が広がっていた。呆然とするプレイヤー達をしり目に、赤ローブは鷹揚に両の手を広げ宣言する。

 

『ようこそ、私の世界へ』

 

「茅場……さん?」

 

ポツリとライガの口から溢れた言葉に、誰も気付かない。しかし、キリトや他の勘の良いプレイヤーはそれとなく気付いていた。

 

そして、デスゲームの幕開けを赤ローブーー茅場晶彦は前触れも無く告げた。HPが0になった時、現実世界でも死ぬこと。アインクラッド第100層をクリアするまで、デスゲームは終わらないこと。

 

説明を聞くにつれ、顔を青くし喚き出すプレイヤーが多い中、一人口が裂けるかのように歪曲させて笑うものがいた。

 

「いいねぇ、茅場さん。やっぱアンタ最高だよ!」

 

どこまでも愉快そうに笑うライガの姿を、だが誰一人として見てはいなかった。

 

『チュートリアルはこれにて終了とする。最後に私から君達へのささやかなプレゼントだ。アイテムストレージから受け取ってくれたまえ』

 

そう言われ、各々アイテムストレージを開き、そこにあるものを確認した。あるのはただ一つ、手鏡。それを取り出し、手に持った瞬間。鏡は輝き、やがて収まるとプレイヤーに変化が起きていた。それはライガやキリトも例外では無かった。

 

「ったく、なんだったんだ。いったい?なあキ……リト?」

 

「さあな、俺もさっぱりわかんないぜ、クラ……イン?」

 

「……なるほど、現実世界の顔を投影したってことか」

 

呆然とお互いの顔を見合うキリトとクラインを横目にライガは冷静に分析する。キリトの方は、プレイヤー時よりも線が細く少々女顔。クラインはなんだかんだ、あまり変わらない雰囲気だった。

 

「ってぇと、お前がライガか!」

 

「まあ、そ〜なるな」

 

ライガの見た目の年齢は、キリトとクラインのちょうど中間くらいだった。髪は染めているようで、日本人離れした金髪を肩口まで伸ばしていた。前髪は鼻にかかる程度に伸び、その奥から覗く瞳は三白眼で他者を威嚇しているようだった。

 

「つーか、のんびりしてる暇はねぇ。行くぞ!」

 

「ああ、クラインも来るなら来い!」

 

「お、おい!待てよ!!」

 

広場で未だに動けない者達を置いて、ライガとキリトは走り出した。クラインも慌ててその後を追う。走りながらライガとキリトはクラインに状況を説明し始めた。

 

「いいか、このまま行けば手頃な狩場はあいつらに狩り尽くされて、順調にレベリングなんて出来なくなる。そうなる前に、少しでも先に進んでレベルを上げなきゃなんねぇ。……生き残る為に」

 

「次の村に拠点を移す。オレはレベル1でも安全に行けるルートを知ってる。効率のいい狩場や金を稼げるとこもな!」

 

それを聞いたクラインは徐々に足を緩め立ち止まった。

 

「クライン!?何を!!」

 

「わりぃなキリト、ライガ。オラァ誘った仲間がまだあの広場にいるんだ。あいつら置いて先には行けねぇ」

 

「クライン……お前…………」

 

「心配すんなって!オレはこれでも前のゲームじゃギルドの頭張ってたんだ。そうそう無茶はしねぇよ。それにお前らに習った技もちゃんと覚えてるしな!!」

 

クラインは胸を張り、ドンと叩いた。そして、人懐っこそうな笑みを浮かべながら親指をグッと立てた。

 

「……なんかあったらメッセージ送ってくれ。すぐに飛んでく」

 

「レベリングは慎重にな。ぜってぇ焦んじゃねーぞ」

 

キリト、ライガのアドバイスを受けて、クラインは笑みを深める。

 

「ありがとよ!しかしキリトよ、おめぇリアルの方が可愛い顔してんじゃねぇか。ライガも見た目ヤンキーみてぇだけどいい奴だしよ」

 

「クラインもその野武士面の方が10倍似合ってるよ!」

 

「目つき悪いのは生まれつきだ。髪はまあ、染めてんだけどな」

 

三人でひとしきり笑いあった後、誰からともなく拳を突き合わせた。

 

「そんじゃま、またどこかで」

 

「ああ、絶対に生きて会おう!」

 

「約束だかんな!!」

 

ゴツっと鈍い音を立て拳を交わし、三人は別々の方向に駆け出した。

 

「オレはオレの武器を取りに行く!先に行ってろ、キリト!!」

 

「ああ!さっさとこねぇと置いてくからな!!」

 

二人の少年は大声で言葉を交わし、全くの逆方向に走り出した。

 

攻略の日はまだ遠い。




更新遅れて申し訳ございません。

次の話でユウキ出していく予定です。
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