スランプ解消用に書いたのですが、勿体無いので投稿することにしました。
IS大戦
~平成桜に浪漫の嵐~
プロローグ
時は大正時代、平和な日本の帝都・東京は平和の真っ只中にあった。
しかし、そんな平和な世の中の裏では魑魅魍魎と戦う者達が居た事もまた、誰もが知っていた時代でもあった。
帝国華撃団と呼ばれる8人の乙女達と1人の青年が過去3度に渡り帝都の平和を脅かす敵と戦い、勝利し、人々の平和を守ってきたことは、平成になった今では最早、知る者は僅かでしかない。
そう、大正から昭和、そして平成となった現代では、帝国華撃団は既に解散して、過去の存在と言われている……表向きは。
銀座にある嘗ての大帝国劇場、昭和の時代に起こった世界大戦で一度は焼け落ちた建物が、再建され、今尚舞台に女優達が立ち続けているのが何よりの証拠と言えよう。
嘗ての帝国華撃団隊員たちの子孫達が今でも舞台に立ち、時に影から東京の平和を守り続けている事を知るのは、ごく僅かではあるのだが。
「…は? 指令、今何と?」
「だから、お前にはIS学園に入学してもらうって言ってんだよ」
そんな大帝国劇場の支配人室、建て直された現在も大正の頃と変わらない内装の部屋で、モギリの服を着た一人の少年が支配人席に座る老人の前で唖然としていた。
「いや、でも何で? IS学園に入学するって事はずっと機密にしていた事を世間に公表するって事じゃないですか」
「しゃあねぇだろ? こちとら上からの指示なんだ、文句なら賢人機関に言えってんだよ」
少年の名は大神桜一郎、嘗て帝国華撃団・花組隊長にして帝国華撃団2代目総司令を務めていた大神一郎の玄孫であり、現代の帝国華撃団・花組の隊長を務めている。
まだまだ15歳の子供とは言え、その容姿は若き日の大神一郎に瓜二つで、支配人室に飾っている歴代支配人の写真の一角を飾る大神一郎の写真と見比べても違いが見分けられない程だ。
「しかし…」
「だぁあ! ウダウダ言ってんじゃねぇっつうの!! 桜花もサポートとして付けるんだから良いだろうが!」
「そういう問題じゃ…もし東京に降魔が現れたら如何するんですか?」
「安心しな、翔鯨丸・改で迎えに行くし、お前が到着するまでは副隊長のアリアが指揮すっからよ、それにIS学園も一応は東京都内だろうが」
そこまでお膳立てされていると、今度は何が目的なのかが気になり始めてきた。
元々、桜一郎は大帝国劇場から近い高校に進学するつもりだったのに、それが急にIS学園などと、それでは大帝国劇場から離れる事になるし、そもそも10年前から世間に秘匿していた重要機密を晒すというのは如何考えても腑に落ちない。
「お前の言わんとする事は俺も理解出来るさ、それに賢人機関の思惑もな…ニュースで騒いでるのが原因だろ」
「織斑一夏でしたか…確かに彼が表舞台に出てきた以上、これ以上は俺の存在を秘匿していてもいずれは…」
「だからこそ、早急に公開する事にしたんだろうぜ」
そう、桜一郎は世界にIS…インフィニット・ストラトスと呼ばれる兵器が出てきた10年前、その時に女しか動かせないと言われていたISを動かしていた。
勿論、その理由については判明しており、桜一郎はノーマルの状態のISは動かせないものの、とある手段を用いる事で動かせるようになったのだ。
「まぁ、納得してくれや、折角この件が決まってから神埼重工で造っていた新型機を用意したんだからよ」
「新型…? 完成したんですか!?」
「おう、一先ずはお前と桜花の分だけな…芙蓉くん」
指令の老人が桜一郎の後ろに目を向けると、ずっとそこに控えていた一人の女性が桜一郎の横に歩み寄り、手に持っていた資料を差し出してきた。
「って、芙蓉さん…居たんですか?」
「失礼ね大神君、ずっと後ろに居たわよ」
芙蓉と呼ばれた女性…藤枝芙蓉は背中まで伸びた茶色の髪をかき上げてジトっと桜一郎を睨んだ。が、直ぐに呆れたという視線を向けてから資料に目を向ける。
「読んで御覧なさい」
「はい…これは……光武・伍式! やはり!!」
「そうだ、帝国華撃団の歴代霊子甲冑、光武、神武、光武・改、天武、光武・弐式、双武、光武・参式、それからIS登場後に開発された第2世代型ISである光武・肆式に続く新たな光武、それが第3世代型ISにして新たな霊子甲冑、光武・伍式だ」
「この光武・伍式に合わせて巴里華撃団では光武F5を、紐育華撃団ではスターⅣを、伯林華撃団では星武3を開発しているわ、つまり、これは世界中の華撃団で共同考案している霊子甲冑型IS開発計画の最新鋭機になるの」
帝国華撃団・花組隊長という立場上、噂には聞いていたし、巴里華撃団・花組や紐育華撃団・星組、伯林華撃団・星組のそれぞれの隊長達とも話をしていて話題にもなった事があるので、計画がある事自体は知っていた。
しかし、既にこうして完成していたとは驚いた。まだまだ世界中でも第3世代機の開発は試作段階であり、こうして資料を読む限り実戦向けとして既に完成している機体が造られていたとは思わなかった。
「帝国華撃団・花組隊長、大神桜一郎」
「っ! ハッ!」
「貴殿に任務を与える。花組隊員の大神桜花と共にIS学園に入学し、賢人機関の思惑を暴いて来い」
「了解! …しかし、それだと賢人機関を疑っていると思われませんか?」
「構いやしねぇよ、どうせ今代の賢人機関の連中なんざ先代や先々代達の七光りばかりでロクデナシばかりだからな、さっさと足掴んで失脚させて、代替わりさせた方が華撃団の為だ。それに、世界中の華撃団でも同じ様に調査する予定だからな」
「そうですか…了解しました」
「おう、安心しな。どうせ来年までに終わらなければイリアスも入学させっからよ」
もう一度敬礼をして、桜一郎は支配人室を出た。
残された芙蓉と指令の2人は桜一郎が出たドアを見つめた後、互いに目を合わせて苦笑する。
「指令も人が悪いですね、言わなくて良いんですか?」
「言わなくてもいずれ判るさ…それに、その為に桜花も一緒にするんだろうが」
「本当に、素直じゃないですね…大神指令」
頬を赤くしてソッポを向く指令に芙蓉はクスクスと笑いを零す。そして、指令……帝国華撃団4代目総司令大神一基の孫である桜一郎が出て行ったドアにもう一度目を向けると、もう一度一基の方に目を向け、孫が心配だけど顔には絶対に出さないと言わんばかりに口をへの字にしている爺馬鹿に呆れた溜息を零すのであった。
支配人室から出た桜一郎は直ぐに一基から聞かされた話をするため、目的の人物の部屋へ行こうとしていたのだが、中庭に目的の人物が居たので急遽中庭に出る。
目的の人物…桜色の着物に赤い袴で紫の帯に刀の鞘を差し、両手で握った一本の日本刀を構えて素振りをしている少女に近づいた桜一郎は支配人室でずっと肩に掛けていた刀袋から二本の刀を取り出し、鞘から抜くと少女に斬りかかった。
「っ!」
「はぁっ!」
ギィン! という甲高い音と共に桜一郎の二刀が少女の一刀に止められ、暫く鍔迫り合いになり…やがて同時に後ろへ下がって刀を下ろした。
「お兄様…」
「御免ね桜花、邪魔しちゃって」
「いえ、お兄様に斬りかかられて自分の未熟を痛感しました、お兄様が中庭に入ってくる気配に気付きませんでしたし」
「あはは、暫く出撃も無かったし、鈍ったかな?」
少女…桜花は桜一郎の双子の妹で、桜一郎と同じ大神一郎の玄孫…そして、大神一郎の妻であった大神さくらの玄孫でもある。
その容姿は若き日の大神さくら…否、真宮寺さくらと瓜二つ、さくらから代々受け継ぐ着物と、今も桜花の手に握られている刀…霊剣荒鷹を構える姿は現代に真宮寺さくらが蘇ったかの様だ。
「お兄様も練習するつもりでしたか? 神刀滅却と光刀無形をお持ちという事は」
桜花が目を向けた先、そこには桜一郎の両手に握られた二振りの日本刀があった。
片方は神刀滅却、もう片方は光刀無形、それぞれ桜花の持つ霊剣荒鷹も含めて大神家が代々受け継いできた宝刀だ。
「そのつもりだけど、桜花…指令から話は聞いている?」
「お爺様…あ、えと、指令からですか? はい…今朝方に」
「そっか、悪いね…桜花まで巻き込んで」
「いえ、私はお兄様の為でしたらどの様な事であろうと、苦痛とは思いません」
会話だけを聞いているとブラコン、シスコンの会話にしか聞こえないのだが、刀握っている光景は何処か物騒というより異様だった。
「じゃ、始めようか」
「はい」
改めて、桜一郎と桜花は刀を構え、互いに真剣な表情で剣気を身に纏い一切の隙を無くする。
「狼虎滅却……」
「破邪剣征……」
桜一郎が振るうのは二天一流、桜花が振るうのは北辰一刀流、それぞれ幼き頃から修練を重ねてきた剣技が今日もまた、大帝国劇場の中庭で盛大の交わるのだった。
更新は、まぁ遅いでしょうけど、すると思いますので、どうかお楽しみに。