絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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七八話

Re:

 

 

「え?いや、しかしだな……」

 

「何を戸惑っている?」

 

管制人格から、夜天の書を奪い蒐集を開始する。

何故か、守護騎士やずっと様子を伺っていたギル・グレアム達から得体の知れないモノを見るような目で見られているが気にしない。ってか、何をそんなに驚いている?

とりあえず、夜天の書全てのページが埋るのを待って再度魔導書を侵食してシステムの状態を確認した。気になっているのは、無限再生機能と残りカスではあったけれどナハトヴァールのプログラム。今の所は問題無さそうだけど、要観測項目かも知れないので夜天の書そのモノにマーカーを打ち込んでおく。

夜天の書にある本来の修復システムも、ちゃんと機能しているのを確認。散々、書き替えられて磨耗したパーツとかはそのままだけど、基礎構造を支える核に該当する部分は問題無いと判断出来るレベルだ。まあ、ちょっとだけ自分の技術を使って核に該当する部分の補強したけれど。

 

「うん。ロストロギアである事は、変わらない事実だから別の技術が混じったところで問題は無いだろう。プログラム方面で、変な動きをするモノも無いし……システムを古代ベルカ語で統一したから、バクも生じないな……とりあえず、数年間は様子見で必要ならまた来るから、その時にでも再確認して問題ないようなら晴れて自由の身だな!」

 

「あー、そうなんや……ってか、そのリンカーコア?は消えへんのん?」

 

八神はやての指摘を受けて、自分の隣に浮かんでいるリンカーコアを見る。まだ、半分以上魔力を残して俺の周りを浮遊しているが……八神はやて達は、これが気になるらしい。

もう一回くらいは、夜天の書をいっぱいに出来るレベルの魔力を注いだのだ。その為に創ったモノなのに、早々簡単に消えて貰っては困る。

 

「消えないよ?」

 

「そ、そうなんや……せやけど、蒐集されたら消えるてシグナムが……」

 

「夜天の書二冊分の魔力を注いだのに、消えたらおかしいだろう?」

 

「二冊……分……」

 

「師匠!師匠の魔力って、どうなってんッスか!?」

 

「???……どうって、魂の内側に蓄積する保管庫があるからそこに保管してるんじゃないのか?」

 

「魂の内側に蓄積する保管庫!?…………えっと、該当するのはあるっちゃぁーありますけど……『魂蔵』ッスか?」

 

「あー、大魔導師がそんな事を言ってたなぁ……」

 

「じゃあ、その蔵が空っぽの時はどうしてるんッスか!?」

 

「空っぽの時?太陽から補充するけど?」

 

「太陽!?ちょ、ええ?師匠の魔力理論関連が、予想していたのと大部違う気が……」

 

「…………えっと、神崎は大四元素って知ってる?」

 

「大四元素ッスか?火水風土ッスよね?」

 

「じゃあ、統括元素は?」

 

「統括元素!?光とか、闇ですか?」

 

「……………………人間が、生まれた時から持つ元素は?」

 

「……何ッスか?それ……?」

 

「ああ、うん。何となくわかってきた……一先ず、それは置いといて……僕の魔力運用は、君達の知る魔力運用と大分違うのはもうわかってると思う。僕には、リンカーコアそのものが存在しない。それは、良いかな?」

 

その場にいる全員に対して、語りかける様に声を発する。

ただ、部屋全体を見回した時にディアーチェがまだ現存しているのが気になった。

 

「まあ……この世界の魔法には、リンカーコアは必要不可欠ですから……グレアムさん達には、師匠の話はわからないかもですけど……聞きますか?」

 

「フム……だが、興味はある……」

 

「あ、聞くんですね……じゃあ、師匠。続けてください」

 

神崎に促されて、俺は魔力運用理論の話を始める。

ただ、ギル・グレアム達には関係ないこの話だが、神崎には他人事ではない話なので話せる時に話しておくのがベストだろうという判断だ。では、魔力に関する話をしよう。

 

「魔力には、大まかに二種類ある。【マナ】と【オド】だ。【オド】は、人間が体内で生成し運用する魔力の総称で……【マナ】は、世界を構築し満たしているモノの事をいう」

 

「はい、師匠!【オド】はわかりますが、【マナ】の説明が俺の知る【マナ】と違うんですが……世界を構築しているってどういう事なんですか?」

 

「……【マナ】は、【命】と言い換えても良い。世界とは、この【命】が形を持ったモノだという考え方だな……だから、“【マナ】が世界を構築し満たしている”と認識される訳だ。以前いた場所では、空間そのものを分解して【マナ】に変換していた奴もいたから、あながち間違いでもないらしい」

 

「マジッスか!?空間を分解って、訳がわからないッス!」

 

そもそも、あの【組織】は化け物の巣窟なのでどこまでが事実でどこまでが個人の能力なのか……その辺りの境界が曖昧なところがある。多分、空間を分解し【マナ】に変換っていうのは個人の能力である可能性が捨て切れない感じがしていた。

 

「まあ、個人が持つ能力の可能性が捨てきれないので、断言はしない方向で行くが……そういう理論を立ち上げた奴がいるのも事実なんだよ……」

 

「個人の能力……炎熱変換や雷電変換みたいな感じ?ッスか?なら、レアスキル扱いになるッスよ?」

 

「まあな。【マナ】に関しては、様々な諸説があるんで今一説明がし辛い部分が確かにあるんだ。だけど、今回の魔力運用については【オド】の方になるんで一旦置いておく」

 

「【オド】!?【マナ】じゃないんッスか!?」

 

「【マナ】ではなく、【オド】の方だな……まあ、それだとリンカーコアから生じた魔力と差ほど変わらないけど……それに属性元素が絡んでくるんだ」

 

「属性元素って、アレですよね?火水風土の……この世界で言うところのレアスキル。炎熱変換とか氷結変換……」

 

「うん。だけど、この世界のレアスキルでは魔力を回復させる事は出来ないだろう?」

 

「えっと……魔力を回復?」

 

「だから、一方通行じゃ無いんだよ。炎熱変換が出来るなら、炎熱を得る事で魔力が回復するはずなんだ。例えば、魔力を電気変換出来るなら……その逆にコンセントから電気を身体に流す事で魔力を回復させる事が可能って理論なんだが……」

 

「ああ、言いたい事はわかるッス。可能であるなら、フェイトちゃんかプレシアさんで実験してみたいところですね……」

 

属性変換の話を終えて、騒ぎ始めた守護騎士達を見る。

神崎も、困り顔で騒ぎの中心角であるシグナムを見ていた。何故なら、この話を聞いたシグナムがフムフムと頷きライターを片手に魔力が回復するかを試そうとしていたからだ。

それに気が付いた管制人格が、全力でライターに火を灯し身体に近付けようとするシグナムを止めている。

 

「あー、シグナム。デバイスを通した方が良くないか?」

 

「そうだよ!魔力変換用の術式も必要じゃないか!!」

 

実際には、属性特性なので炎熱変換が出来たとしても魔力変換が出来ない可能性がある。

だから、シグナムの様に即行動をするよりも検査で調べてからの方が良いと言えるだろう。とりあえず、シグナムを説得して無謀な行動を八神はやてに咎めて貰っておく。

 

「魔法が使える人間には、必ず【属性資質】ってのがあるんだ。それは、大四元素だったり、統括元素や架空元素だったりするので明確に出来るものではないんだけど……因みに僕の属性は、架空元素と統括元素の一つだよ。ぶっちゃけ、光と聖属性だね」

 

「…………光と聖属性ッスか……闇や魔属性じゃないんッスね」

 

「うん。僕的には、そっちの方が良かったんだけど……こればっかりは、ねぇ?」

 

「それで、太陽から補充って話に繋がるんですね……」

 

「結論をいうならば、それで良いんだけど……わからない人もいそうなので続けるよ?僕の属性は、今述べた通り『光』と『聖属性』だ。『聖属性』っていうのは、架空元素に分類される属性で『魔を払い、清め浄化する力』を指す。わからないなら、別の言い方にするけど……」

 

「いや、『魔を払い、清め浄化する力』で十分だ……」

 

「そうか。じゃあ、光の方も説明しなくて大丈夫?」

 

「ああ。光と太陽で、十分理解しているつもりだよ……」

 

「フム。じゃあ、割愛するけど……僕は、太陽の光を浴びる事で魔力を補充する事ができる。まあそれは、太陽という存在が燃え続ける限り何処でも有効だ。要するに、太陽の光を直接浴びなくても魔力変換が可能という事になる。太陽が存在する世界であるならば、閉鎖空間に居ようが太陽の光が届かない地下に居ようが、関係なくその恩恵を得る事ができるって事……極論を上げるなら、【この宇宙に存在する全ての恒星を破壊しない限り僕を殺す事は出来ない!!】……とかね♪」

 

「また、大きく出ましたね……」

 

「実際、魔力というエネルギーが有る限り……この身が、消失する事は無いからねぇ……いやぁ、太陽様々だよ!」

 

と言いつつ、自分が超高密度のエネルギー生命体だからと言わないのは何でなのだろうか?

チラリと神崎を見るけど、知っているはずの神崎は別段気にした様子もなく普通にユーリ達と話をしている。

実際問題、俺の魔力が枯渇する事は無いと断言できた。

太陽云々もあるけれど、この身体は本体とも繋がっていて使い魔と同じ様に魔力を供給されていたりする。まあ、存在を存続する程度のモノだけど……その気になれば、存在の存続を無視して消滅覚悟での突撃も可能なのだ。存続の消失が起きても、本体が有る限り何度でも俺は復活する。

存続の消失によって失われるのは、内側にいる人々の記憶と記録程度のモノだ。それはもう、綺麗サッパリ消えてしまう。ただし、契約しているユーリや神崎は除外。

【鮮血の】に言わせると、古くなったゲームの冒険の書みたいな感じなんだそうだ。

 

「後、大きく出たつもりはないよ?近場の平行並列世界の太陽も該当するから、僕を殺すのはかなり難しいらしい」

 

「ちょっと、待って下さい……師匠。まさか、本当の話なんですか!?しかも、平行並列世界の太陽も破壊しないと師匠を殺せないとか……どんな化け物です!?」

 

「フーハーハハハ!伊達や酔狂で、【太陽の主権】なんて【神格】持ってないって!!」

 

「そういえば、師匠は一柱の神でしたね……」

 

「正確には、【神権】を持った魔王様だ!……後、僕の得た【神格】は……【真実の瞳】と【ルール・ブレイカー】を発動させる為だけの常用スキルだから、神云々は二の次扱いだよ?」

 

「…………なんッスか?【真実の瞳】と【ルール・ブレイカー】を発動させる為だけの常用スキルって!?まさか、その二つの能力の方が【神格】よりも上等な能力だとでも言うつもりですか!?」

 

「言うよ?実際、【神権】よりも【真実の瞳】と【ルール・ブレイカー】の方が上等な能力なんだけどね……ってか、言っただろう?【管理者】に時間を切り捨てる権限は無いって……覚えてるかい?」

 

「…………ああ、俺の世界(十二話)で言っていたヤツですね」

 

「あー、うん。……まあ、大体は……ね?【神格】<<【真実の瞳】<<<<<<【ルール・ブレイカー】の順かな?」

 

「マジッスか!?……【神格】とかを得なきゃ発動しないスキルなんて……実際にあるんッスか?」

 

「あるよ?条件付きスキルって言うんだけど……何かを犠牲にしないと発動しないスキルが……」

 

「ああ、そういう事ッスか……それなら、わかる気がします」

 

腕を組み、納得したと何度も頷く神崎がちょっと面白かった。ただ、今一理解が追い付いていなさそうなのが八神はやてなので、耳元まで行って『ゲームみたいに考えた方が楽だよ?』と囁いてみたところ。

 

「そなんか!?せやけど、現実なんやろ!?」

 

「ファンタジーという名の現実だけどな」

 

「まあ、魔法とか言われたらそうなんやろうけど……」

 

「今回は、僕の魔力運用に関するお話しだったからね。まあ、リンカーコアを使う君にはあまり関係ない話だよ?参考程度に聞いて貰えれば良い程度の話さ」

 

「うーん……それでええんやろか……」

 

「まあ、属性云々の話をするなら【精霊】の話もしないとイケないんだけど……あっちの話まですると、かなり長くなる事は間違いないしなぁ……」

 

「【精霊】!?……ホンマにファンタジーな話しねんなぁ……」 

 

「さて、ギル・グレアム。闇の書は、無害な魔導書と化し……暴走することも、誰かの迷惑になることも無くなった訳だが……それでも、凍結封印する予定かい?」

 

「いや、無害なモノであるなら問題はない。ただ、ロストロギアである事は変わらないから登録は必要だ……」

 

「ああ、そうでしたね……それ以外では、何かあるかい?」

 

「問題という訳では無いが……見た目が、闇の書そのモノだから……」

 

「それ故の勘違いがある可能性か……まあ、ここではない場所で闇の書事件を起こす必要がある訳だな?」

 

「?……どういう事かね?闇の書は、無害な魔導書になったのだろう!?」

 

それを問われて、ニヤリと邪悪な笑みを浮かべて見せる。

手を前に突き出して、『来い!闇の書っ!!』とか言ってみせた。瞬間、黒いオーラを纏った魔導書が出現して俺の手の中に収まる。

 

「ジャーン!!僕が造った、闇の書モドキだよん♡これで、闇の書事件を起こして……夜天の書は夜天の書。闇の書は闇の書っと、次元世界に知らしめれば……守護騎士を含む八神家のみなさんが今後非難される事は無いだろうね!!」

 

「……君は、何故そこまでしてくれるんだ!?」

 

「何故って……何故だろう?」

 

言われてみれば、そこまでする理由は無かった。

首を傾げて、不思議そうに俺を見上げている八神はやてを見て振り返りつつディアーチェを見る。その後で、神崎に視線を向けてユーリを確認し、もう一度ディアーチェを見た。

 

「ディアーチェ…………八神はやてが、助かったのに何で消えてないの?もう、闇の書の驚異は無いんだよ?」

 

「知らぬわ!我が、知るはずもなかろう!?」

 

「うーん。ああ、ディアーチェはね……闇の書に取り込まれ侵食融合した、『もしも』の未来の【八神はやて】なんだよ……平行世界ってわかるかい?」

 

「……平行世界?次元世界では無いのか?」

 

「次元世界は、並列に並ぶ世界の総称。平行世界は、決して交わる事の無い平行上に並ぶ世界の総称だよ。まあ、干渉しにくい世界なんで次元世界みたく簡単には移動出来ないんだけどね……そうだなぁ、簡単に言うと『もしも』の世界になるかな?」

 

「平行世界っていうのは、可能性の世界の事ですよ。もしもああだったらとか、もしもこうだったら……って感じ?」

 

神崎にフォローされたが、概ね間違ってはいないので否定はしない。神崎の説明に、八神はやてが理解したとばかりに頷いているが……ディアーチェの存在に関して、とても驚いていたのは何だったんだろう?

 

「!!…………ホンマに、ホンマに私なんか!?」

 

「ウム。我は、汝の未来の可能性の一つである!」

 

「…………そ、そんな……わ、私がこんなんになるなんて……」

 

「???……はっ!?ちゃうで!?そういう意味でなら、双夜が現代の【八神はやて】と区別が付くように言うて強制させられとるだけやからな!?」

 

「へ?そうなん!?…………ホッ。安心したわ……」

 

「私かて、不本意なんやけど……双夜が、シャマルのポイズン☆クッキングで脅して来るから……」

 

「あー、アレはホンマに地獄やったわ……」

 

何故だろう?

途中から、二人の八神はやてがシミジミとした語り合いに変わっている。現代の八神はやては何処か安心した様子で、ディアーチェの方に至っては誤解が解けた人的な顔をしていた。

 

「師匠。師匠にも、黒歴史ってありませんでした?」

 

「黒歴史?なんだそりゃ???」

 

「あー、こう、物語の主人公的な言動を真似た事って無かったッスか?」

 

「何故、その様な事をする必要がある?」

 

「……ヤバイ。師匠が、リア充だった可能性が………………はっ!違う、師匠はそんな事をしている暇が無かったんだっ!!あ、や、何でもないです!!」

 

「???」

 

神崎が、困惑した声をあげていたけど、何かを思い出したかの様に自己完結した。

 

「ま、良いか。紆余曲折はあるけど、ディアーチェの存在が僕の動源力だな。平行世界の未来で、僕を散々イジメて泣かした奴を助けるなんてしたくなかったけど「あぅ!?」……モノのついでなんで、僕の性格上助けれそうに無かったら切り捨てるから「ええっ!?」問題はないよ?」

 

ディアーチェが、怯えた様にこちらを見上げているが視線を外して続ける。

 

「それに、管制人格や守護騎士には関係無いだろう?僕の八神はやてに対する苦手感情や嫌悪感は、当人に向けるモノではあるけれど……その周りにいる君達に向けるモノでは無いからなぁ……」

 

「あれぇ!?我が、とてもショウモナイ人間像に聞こえるのだが!?貴様、我を貶めておるのでは無いだろうなぁ!?」

 

「……何処にそんな文面があった?そんな被害妄想をしている暇があるのなら、これから起こす闇の書事件をどんな風にするかを考えろ闇の書の主様?……さて……」

 

「ええっ!?我が、闇の書の主をやるのかぁ!?」

 

混乱するディアーチェを放置して、俺は元・闇の書から出てきた魔導書を手に取った。視れば、【真実の瞳】からこの魔導書が『紫天の書』であると情報が流れてくる。

更に、【真実の瞳】の力を解放して中身を確認するとバクっている箇所が次々に浮かび上がって来た。

 

「フム。これも何かの縁だ……お前も直してやるとするか……」

 

《ルール・ブレイカー》を突き刺したまま、こちらの魔導書は持って帰る事にする。ヒョイっと、その魔導書を懐にしまって振り返るとアイゼンを展開したヴィータが俺を睨み付けていた。

 

「夜天の書を直してくれた事には感謝するけど、私をガキんチョ扱いにした事は許さねぇかんな!?」

 

「ヴィータ!アカンよ。双夜は、私の事も助けてくれたんやから!!許したりぃ!」

 

「けどよぉ……」

 

「あ、良いよ。僕が、ヴィータを頭の悪いガキんチョ扱いしたのは紛れもない事実だから……」

 

「うぉい!?なんか、増えてねぇか!?」

 

「まあまあ、ヴィータが頭の足りない礼儀も礼節もないひねくれたガキんチョである事に変わりは無いから……」

 

「増えてるっ!増えてるじゃねぇか!!」

 

「そりゃ、増やしてるんだから増えるだろう?」

 

「ーーーーーアイゼンッ!!」

《Jawohl!!》

 

ガションとカートリッジがロードされて、ハンマー部分がドリルとブースターに変化する。一旦、ブースターが火を吐いてヴィータが大きく振りかぶった。

 

「ヴィータ!」

 

「うっせぇ!!デヤアアァァァーーー」

 

シグナムの制止を聞かず、助走を付け振りかぶったハンマーをブースターの力を借りて振り降ろすヴィータ。

俺は、振り降ろされるハンマーの軌道をズラし、その攻撃を回避。ついでに、相手の勢いを利用してハンマー娘を投げ飛ばした。本来なら、頭から地面に叩き落とすのだが……目の前には、小学生の少女もあるので尻餅をつく程度に調整する。ドスン!とお尻から床に叩き付けられたヴィータが、『いってぇ!?』と叫んでお尻を庇うように両手で隠す。

バリアジャケットを展開していなかったばかりに、半泣きで床に転がった。

 

「頭の足りないガキんチョである事に代わり無かったか……」

 

「ううっ……チクショウ……」

 

「もう少し、落ち着きを得て淑やかに生きる事をオススメするよ……じゃないと、痛い目を見るだけだからね?」

 

「師匠……弱い者イジメは止めて下さい」

 

「見た目的には、5歳程の幼児にハンマーで殴り掛かる小学生だろう?むしろ、僕がイジメられている様に見えるから!」

 

「……詐欺ッスね!?」

 

「うっさいなぁ……さて、八神はやて。君に……いや、君達に紹介したい女の子がいるんだが……良いかな?」

 

「私達に紹介したい女の子?」

 

「うん。この世界で見付かった魔導師の女の子だ。二人……いや、三人?」

 

「あー……アリシアを入れるなら、三人ですね……」

 

「ってか、もう紹介するのか!?」

 

「ディアーチェ、元々の目的を忘れちゃあイケないよ?僕達は、レン・K・ヴォルフラムの野望を打ち砕く為に行動しているんだ。ハッピーエンドで、終了って訳じゃ無いんだから……出来るだけの手は打たないと、危険が及ぶのはこっちの幼い八神はやてになんだから!!」

 

「ウム……言われれば、そうであったな……」

 

「待て、何の話だ!?」

 

「八神はやては狙われている。時空管理局にではない……個人に狙われているのだ。しかも、ソイツは未来に何が起きるかを知っている奴だ。その未来知識を元に、英雄になろうとしているんだろうなぁ……」

 

「ついでに、逆ハーレムですかねぇ?」

 

「知らん。闇の書事件を解決して、自分が最強なのを世界に知らしめる予定なのかも知れないぞ?まあ、僕達が先回りしているから彼女が英雄になる事は無いんだが……警戒して置く事に越した事は無いだろう」

 

「彼女って、女の人なん?」

 

「ああ、女だ。金髪の派手な奴だから、見たら即わかるよ」

 

「金髪の派手な女だな?覚えておこう……」

 

シグナムの確認の言葉に神崎と視線が合う。

 

「………………(コクリ)」

 

「………………(ニヤリ)」

 

「標的は、古代ベルカ式の騎士……一騎千等の凄腕だぞ!?師匠ですら、一度は撃破されたというのにシグナムさん一人ではっ!!(捏造by神崎)」

 

「ならば、尚の事我々の出番ではないか……(ギラギラ)」⬆⬆

 

「……そこまで言うのなら、僕の弟子と一勝負するかい?負けたら、シャマル先生の手料理でも食べて貰おうかな?」

 

「良いだろう!我が剣の錆びにしてくれる!!」⬆⬆

 

「師匠、剣……貸してください……」

 

「はい。僕のナマクラ(刃引き)ソードだ。大事に使えよ?」

 

「ありがとうございます!!」

 

「リンカーコア生成……魔力波長をシャマル先生に。シンクロ・イン!!行くよ、クラールヴィント!!」

《Ja》

 

「ええっ!?」⬅w

 

シャマル先生の驚きの声を聞きながらバリアジャケットを展開して結界を展開してみせる。当然、その結界展開には別の目的もあるのでそれらを加味して展開するのを忘れない。

 

「結界、展開完了。じゃあ、シグナムと我が弟子の模擬戦を開始したいと思いまーす!」

 

「シグナム、俺は剣と体術のみでやるから好きなだけ、魔法やカートリッジを使うと良い!!はっはっはっ!!」

 

「待ってくれ、どういう事だ!?何故、シャマルのクラールヴィントを持っているんだ!?」

 

「僕、未来から来た。持ってても、不思議じゃない(笑)」

 

「ほら、シグナム。さっさとバトろうぜ?好きだろう?模擬戦……いやぁ、シグナムがチョロインで助かったよ(笑)」

 

「所詮、バトルジャンキーは模擬戦と聞けば素っ裸でもやって来るからなぁ?この中で、まともなのはザッフィーとヴィータくらいなものさ……」

 

「え?私は!?」

 

「××料理人は、黙ってような?」

 

「シャマルさん、君の料理人としての腕は10年、20年経っても変わらないから台所に立つのは止めて置いた方が良い」

 

「その癖、直ぐ台所に立つんだぜ?胃薬が、いくらあっても足りないから……みんなの事を考えるなら、止めることをオススメする(笑)」

 

「なんや?みんな、知り合いやったんか?」

 

「『未来で』知り合いだっただけで、この時代では知り合いですらないけどなっ!」

 

「早く来いよぉ?それとも、怖じけ付いたのか!?」

 

「ムッ……そんな事あるはずがなかろう!」

 

シグナムが、神崎と向かい合い剣を構える。

 

「それでは、簡単にルールを設けます。魔法有り、カートリッジ有りで、非殺傷設定を必ず設定してください!相手にギブアップを言わせるか、気絶させたら相手の勝ちだ!」

 

「良いだろう!」

 

「不足なし!!」

 

「それでは、Get Ready……GO!!」

 

「レヴァンティン!!」

《Jawohl!!》

 

カートリッジがロードされて、炎熱変換によりレヴァンティンに炎が巻き付く様に展開される。

 

「紫電……」

 

「経験不足、いただきます!!」

 

「いっ!?」

 

本来ならば、『一閃』と続くはずのそれは神崎の瞬動術でタイミングを崩され振る前にレヴァンティンを跳ね上げられる事で無害化されてしまう。

シグナムの一瞬の怯みを隙と取って、神崎は更に一歩踏み込んでがら空きの腹部に鎧通しを打ち込んだ。

結果、シグナムは剣を取り落とし片膝を付いて嘔吐した。

 

「し、シグナム!?」

 

「くっ……」

 

「確かに、経験不足だな……ん?」

 

「し、シグナム……だ、大丈夫なん!?」

 

「だ、大丈夫です!主はやて……この程度の傷、大したものでは在りません」

 

剣を地面に突き刺して、フラフラと立ち上がるシグナム。

一方、リラックスした様子で剣を構えている神崎。

だけど、勝負がつく前に別の目的が来てしまったのでお開きにしたいところである。

 

「さあ、構えろ!シグナム!!」

 

「えっと……でぃばいん?」

 

「くっ……強いな。お前、名前はなんと言う」

 

「神崎大悟だ!」

 

「ばすたー来ました……」

 

「神崎か。覚えておこう……だが、負けん!!」

 

「はっ!負けて……ん?おおおおお!?」

 

剣を鞘に納め、身を低く構えるシグナム。

しかし、神崎は構える前にピンクの極光によって排除されていく。流石、踏み台。主人公に排除されるのも一瞬だ。

 

「……………………」

 

「あ、あの!大丈夫ですか~?」

 

「???なんか、来たでぇ?」

 

「全力全開で勘違い……」

 

「な、なのは(焦)……ごめんなさい!ごめんなさい!!」

 

「もう一人は、ものすごい謝っとぉよ?」

 

「もう一方は、ちゃんと模擬戦だと認識……と」

 

「おい、あいつ等はなんなんだよ?」

 

「えっとぉ……魔導師ですねぇ?」

 

「……………………」

 

シグナムが、突然現れた珍客を無言で見ているのが怖すぎるが、気にしていても仕方がないので気が付かないフリ。

ヴィータやシャマル、ザッフィーからは敵意無しなので放置。ギル・グレアムやリーゼ姉妹も目を点にしているので状況がわかってないと見える。八神はやては、同い年の魔導師を見て笑顔なので問題ないと推測した。

 

「あー、ちょっと早まったけど……あの子達が、八神はやてに紹介したい女の子達だ。友達にと思って……」

 

「ふーん。…………それも、未来知識なん?」

 

「うん?あ、まあ、そだね。未来で、僕を拾ってくれたなのはママと……その友達のフェイトちゃんだ」

 

「そ、なんや……せやけど、それはいいとして……シグナムがムッチャ怒っとるで?どないするん?」

 

「えー、そお?僕には、そうは見えないかなぁ~?」

 

「わかっとって、放置かいな……」

 

「シグナムは、神崎に任せるよ。さて、おーい!フェイトちゃーん!!」

 

「ん。アレ?……双夜!?」

 

「あ、本当だ!ソーニャくーん!!」

 

「なんだ、お前の知り合いか?」

 

「うん。ちょこっと、お、は、な、し、しようか?」

 

『え?』

 

ニパと笑顔で、二人を八神家のリビングに招いた。

その際、シグナムと神崎が模擬戦をやっていたことを説明。

自分の勘違いで、模擬戦を邪魔した事を理解したなのはママがシグナムに謝って一旦棚上げする事になった。

飲み物を入れ直し、全員に配り終えたシャマル先生が八神はやての背後に戻ったところで自己紹介がスタート。

一通り、紹介が済んだ所で僕達に視線が集まった。

 

「えっと……何?」

 

「何ではない!何かあるから、全員を集めたのでは無いのか!?態々、結界をフェイトちゃん達がおるところまで広げて……こちらを関知させたのは貴様だろう!?」

 

「あー、まあ、そうだけど……今のところは、何もないかな?……あ。じゃあ、一つだけ……レン・K・ヴォルフラムには気を付けてね?」

 

「……………………それだけか?」

 

「うん。それだけ……」

 

「…………もっと他に、なんやあるんかと身構えてしもうたやないか!?」

 

「事が起きるのは、12月24日くらいになるだろうから……今は、親睦を深めてれば良いんじゃない?」

 

「クリスマスに?それ、どういう事なん?」

 

「それに、話があるんじゃなかったのか!?」

 

「あったけど……今すぐじゃ無くても良いやって事になったんだよ。それに、これだけ魔導師がいれば対処も可能だろう」

 

「って、言ってますけど……何か、企んでますよ?この人‥」

 

「神崎!!…………何も企んでないよ!」

 

「またまたぁ……レン・K・ヴォルフラムが、ここにいる高町さんやテスタロッサさん達に変な執着心を持っているのは明らかなんですよね?だったら、ちゃんと警告しておくべきなのでは?」

 

「……………………神崎。お前、しばらく八神家に通え。で、シグナムと模擬戦三昧してろ!!」

 

「は?えっと……それは、ウェルカムな話ですが……何故?」

 

「言ってたじゃないか。シグナムが、経験不足だから『その隙いただきます!』って。だから、不足している経験をシッカリ叩き込め!」

 

「ああ、戦力の底上げですか……師匠はどうするんですか?」 

 

「僕は、テスタロッサ家でなのはちゃん達に魔力操作を教えるよ。プレシアと一緒に!理論は、プレシアに任せて(笑)」

 

俺が何もしないのは、直ぐに行動に出ると思っていたレン・K・ヴォルフラムが地下に潜ってしまったので、考えていた事が出来なくなったのが理由だ。

理由は、タイミング的な問題だと思われた。

あのレン・K・ヴォルフラムが、【原作知識】を頼りに行動していると言うのなら、事を起こすのは12月24日しか無いだろう。即ち、本来の闇の書事件当日である。

まあ、もう何も起きないのだけれど……自分の目的が、達成出来ないと知ったら何を仕出かすかわからないのが【転生者】という存在だった。

そして、みんなの自己紹介を聞いていて考えていたのは、歪めてしまった本来あるべき未来の事。

俺や神崎がいなくて、ディアーチェの存在やユーリさえもいなかった場合……レン・K・ヴォルフラムが、どんな行動に出て何をしようとしたのかである。

俺達は、未だにそれを知らない。

まあ、プレシア・テスタロッサの事は仕方がないけど……八神はやてに関しては、完全に俺の暴走の結果である。

管制人格の名前は、まだ未確定のままだし……ナハトヴァールなんて余分な守護騎士が着いちゃってるし……まだ、七月初めなのにみんな出会っちゃってるし……色々、ヤラかしてる気がしてならない。だが、謝罪はしない。

これは、俺が正しいと信じて取った行動の結果だ。

それを、間違っていたからと謝罪する気は更々ない。

それに、間違っていたという確信も得ていない状態でこれを失敗だったと切り捨てるには未だ早すぎる。結果が出るのは、早くても12月24日くらい……遅くても今年一杯までは、待たなければならないだろう。

ディアーチェの事もあるから、どちらにしろ俺は彼女達に関わっていないといけないんだ。そして、俺の懐にある『紫天の書』に関しても考えて行かなければならないだろう。

これが、未来にどう関わっているのとか……色々と考える必要がありそうだ。全く、本当に面倒な世界だよ。

 

 

 

 

 

 




ついでのつもりが、メイン話に(笑)
まあ、魔力に関するお話です☆!正確には、【魔力変換】の話ですねw何となく、これだけでレアスキル扱いになりそうだけど……炎熱(電雷・氷結)変換とセットのスキルになってます。炎熱変換ならば、炎熱を得る事で魔力が回復します。電雷ならば、電雷を……氷結ならば、氷結を得る事で魔力回復☆!!双夜ならば、太陽の存在を感じるだけで魔力が回復しますw

シグナムへ……無茶すんな!
火傷程度で済めば良いけどね……。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

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