絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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八一話

フェイト

 

 

翌朝、私はアリサの別荘のリビングで目を覚ました。

見上げるのは、知らない天井。微妙に頭が痛い様な気もしたけど、起き上がって周囲を見回すと傍でなのは達も寝ていた。少しだけ、なのはが恐いという気持ちになるけど……幼くなった双夜の話では、獣耳の魔法が影響しているだけという事だから問題ないそうだ。

自分をシッカリと保てば、微々たる影響でしかないらしいんだけど……今一、理解のできない魔法だった。母さんは、幼い双夜の説明で理解していたみたいだけど……私達は『そういう魔法なんだ……』という事で納得するしかないらしい。

私達の周囲には、幼くなった大人の人達も一緒に寝ていた。

フと視界の端に母さんの黒髪が映る。立ち上がって近付いて見ると、何故かアリシアにしがみつかれる様にして眠っていた。その光景を見ていると、少し笑ってしまう。

余りにも幸せで、フとした日常が夢の様で私は満足だった。

でも、このままにしておく訳にも行かないだろう。

ちゃんとした場所で寝ないと、真夏とはいえ風邪をひいてしまう。

母さんの肩に手を置いて、前後に揺すって声を掛ける。

しかし、余程深い眠りについているのか、母さんは声を掛けたり揺すったりする程度では起きない。

少し気が引けたけど、母さんの頬を控えめにペシペシしてみる。それでも、母さんは起きなかった。

仕方がないので、近くに寝ていたリニスを起こそうと試みる。だが、リニスも起きる気配がない。そこで、漸く私は母さんやリニスがおかしい事に気が付いた。

 

「母さんっ!?アリシア!!リニス!?アルフっ!!」

 

何度呼び掛けても、応答も反応もない。

どうしようかと思い、顔を上げると双夜の姿があった。

 

「双夜!?母さんがっ!!」

 

「あ、ごめん。ちょっと、待ってね?」

 

「あ、あのっ!母さんの様子がおかしいんだ!?」

 

「知ってるよ。だけど、順番は守ろうね?」

 

「え……順番?」

 

良く見れば、双夜がシグナムを浮遊魔法で浮かべてソファーに座らせると何かを飲ませているみたいだった。

 

「えっと、それは?」

 

「解毒剤。って言っても、時間が経てば回復するんだけどねぇ……でも、放置は出来そうに無かったから、重症度の重い順に診ているんだよ……」

 

「か、母さんはっ!?」

 

「中症ってところかな……まあ、口から泡吹いて無いから大丈夫だよ。まあ、シグナムとヴィータが酷いかな……」

 

「大丈夫なの?」

 

「あー……任せて!」

 

それだけ言うと、双夜はヴィータを浮かべてシグナムの隣に座らせる。そして、水の様な透明な液体を飲ませていた。

シグナム達の傍に寄り、顔を覗き込むと二人共蒼白ッポイ顔色をしている。でも、双夜の処置を受けてしばらくすると幾分かマシになって行った。

その後、全員の介抱を終えた双夜がシャマルさんの口に何かを突っ込んでいたけど気にしてはイケないという事だ。

何を突っ込んでいたのか不明だけど、その後のシャマルさんを見ていれば、何となくだが把握することはできる。

多分、みんながああなってしまった原因を突っ込んでいたのだろう。ヴィータが、真っ青になってシャマルさんをジッと見ているのが印象的だった。

 

「さて、おかしなサプライズもあったが……楽しい旅行二日目を再開しようと思う。まあ、あんな事があったその後に僕の作った手料理を食べるのは勇気がいるだろうけど……」

 

「双夜の手料理ですか!?わぁー楽しみですぅ♪」

 

「ユーリの反応で、安心度が跳ね上がったか?……まあ、今回は胃にも優しい方が良いだろうから流動系の食事を用意させて貰った。ゆっくり、食べてくれ……」

 

双夜が、パンパンと手を叩くと数人の見た事のない人が食事を運んで来てくれた。

 

「……?こちらの方々は?」

 

「僕の使い魔だ。手が足りなかったんで、召喚した」

 

「君は一体、何体の使い魔を保有しているんだ!?」

 

「時空管理局に戦争を吹っ掛けられるぐらい(笑)」

 

「……………時空管理局って何?」

 

「次元世界……並列に並んでいる世界の平和を維持している組織だよ。主に戦闘に特化した魔法を使用して、それによって発展した超技術を保有している魔法文明の世界。確か地球のある世界は、第97管理外世界だったかな?まあ、僕は彼等が平和を維持できているかは懐疑的なんだけどね……」

 

「なっ!?管理局は、ちゃんと世界の平和を維持しているっ!!」

 

「うっせー、時空管理局執務官にして次元航行艦アースラの切り札・魔導師クロノ・ハラオウン。ちょっと、黙っててくれないか?」

 

「おや?クロノ君は、そちらの関係者なのかい?」

 

「え!?あ、いや……君は、一体何処まで知っているんだ!?」

 

「あー……確か君達がここにいるのは、レン・K・ヴォルフラムがテスタロッサ家の誰かを襲う可能性があるから……その護衛だったよな?」

 

「なっ!?」

 

「知ってるよ?その犯罪者が、元・アースラの武装隊局員で君達に同行してきて犯罪者になったこともねぇ……」

 

「…………君が、あの町に潜んでいる魔導師か!?」

 

「残念。僕にリンカーコアは存在しないよ。僕は、世界を構築している式を受け入れて魔法を行使する者だからね」

 

「???世界を構築している式……だと!?」

 

「まあ、人が理解できるモノではないよ。僕自身、それを理解出来るようになるまで結構掛かってるし……ザッと、1500年程(笑)」

 

『1500年!?』

 

1500年と聞いて、私は声も出ないくらい驚いてしまう。小さいから、年下だと思っていたけど……まさか、年上以上だったなんて思いもしなかった。でも、双夜の話にある矛盾がこれで判明して私的にはスッキリした気分だ。

 

「1500年と言っても、僕にとっては一瞬程度の時間だよ。僕は、人間の様に一日を24時間として365日を一年換算で歳を数えたりはしないけどね。基本的には、周期換算かな?」

 

「周期換算……」

 

「数千年周期なら、数千年に一つ歳を数えるんだよ……」

 

「……じゃあ、双夜君は何歳なんだい?」

 

「僕は、生まれて間もないから……まだ、わかってないよ?だから、『零歳児』扱いになってる。まあ、12000年は存在しているんだけどねぇ……」

 

「12000年……」

 

それは、気が遠くなるような年月だった。

それだけの時間を、双夜はどうして過ごしていたのか凄く謎である。

 

「そんな年月、何して過ごしていたのよ!?」

 

「えっと……仕事?」

 

「仕事って……何の仕事よ!?」

 

「あー……ま、いっか。《神殺し》だよ?」

 

『神殺し!?』

 

『???』

 

なのは達が驚いていたけど、私達には馴染みのない言葉だった。あ、【神】っていう概念がわからないって意味じゃ無いよ?ただ、余り使わない概念だったからピンと来なかっただけである。

 

「カミって、天に召しませ我等の神よ……の【神様】!?」

 

「そそ。その【神様】!」

 

「殺し……って、神様を殺すって事?」

 

「うん。端的にいうと、神様専門の死神って事かな?」

 

『……………………』

 

「……………………はぁ。あんた、そんな嘘ばっかり言ってると本当に誰にも信じて貰えなくなるわよ?」

 

「まあ、信じられないのは仕方がないけど……嘘つき呼ばわりとは……」

 

アリサの言葉に、何か面食らった顔をした双夜は苦笑いをして頬を指で触る。瞬間、ズシャッ!!という音がして何か丸いモノが宙を舞った。パシャッと、私の頬に暖かい液体が掛かる。手を当てて、その液体を拭いソッと手のひらを見てみると赤色の液体がベットリと付いていた。

一息程の間を置いて、怒号の様な悲鳴が響き渡る。

私自身も、良くわからない事を叫んでいたと思う。

だが、それだけならば良かったんだけど……事態は、それだけで終わらなかった。何故なら、首のない双夜の身体が頭が無いのにも関わらず、倒れる前に動き出しワタワタと床に落ちる前の首をキャッチしたからである。

そして、その首を胴体の頭があった部分に乗せてしばらく動かなかった双夜だけど……唐突に起き上がり、何事も無かったかのように自分の首を切り跳ねた使い魔と喧嘩を始めた。

 

「何しやがる!?ってか、前回。死に過ぎてるって言った所だろう!?殺す以外の方法をとれよ!?」

 

「最も簡潔に、わかりやすい方法を取っただけですが……ダメでしたか?」

 

「ダメだろう!?これから、食事って場面だろう!?見てわからないのか!?つーか、何で首を切り落としに来るんだよ!?」

 

「ですから、最も簡潔にわかりやすい方法です」

 

「グロ禁止ッ!そりゃ、首を切り落とすのが簡単だっていうのはわかるけれど食事時にすることじゃないだろう!?それに、ここには耐性の無い小学生もいるんだぞ!?トラウマになったら、どうするつもりなんだ!?もう少し、配慮しろやー!!」

 

「……すみませんでした。これからは、脳幹を貫かせていただきますね?」

 

「だから、殺すなって言ってんだけど!?」

 

「すみません。少し……ストレスが、溜まっていまして……」

 

「主人で、憂さ晴らしすんじゃねぇよ!?」

 

「あははは(>ω<)9m」

 

「笑い事じゃねぇ。ああ、もう!こいつはぁ~~!!」

 

何か良くわからないけど、双夜がとても大変そうな事は理解できた。それと、気が付くと手のひらにベットリ付いていたはずの赤い液体がいつの間にか消えていて……まるで、さっきあった事が夢か幻の様に思えてしまう。

 

「えっと、ウチの使い魔が大変粗末なモノを見せまして本当に申し訳ありませんでした!」

 

「今、首を切り落とされていなかったか!?」

 

「落とされたけど?まあ、気にするなって……それに、後始末はちゃんとしたよ?もう、首を切り落とされたって証拠は何処にも残ってないだろう?夢か幻かって状態にしたはずだけど?」

 

「…………あんた、本当に人間じゃ、ないの?」

 

「うん。正真正銘の『化け物』だよ。首を切り落とされても、くっ付けちゃえば治るし……あ、リビングデットじゃないよ?生きてるし(笑)腐っても無いからねぇ……って、はぅあ!?し、しまったぁ!!」

 

「!?ど、どうしたのよ!?」

 

「僕が、チローの隠し子じゃない事を自分から暴露しちゃった……残念無念……ガックシ」

 

『あ!!』

 

「そういえば!ほら、桃子。僕は、潔白だったろう!?」

 

「クスクス。それなら、昨日の夜に聞きましたよ?」

 

「へ?」

 

「…………あんた、何がしたいのよ!?」

 

「……撹乱?」

 

そういえば、リニスの時もそんなことを言っていたような気がする。『撹乱』って、【かき乱し、混乱させること】とこの国の辞書には載っていたけれど混乱させてどうするんだろう?

 

「そうじゃなくて、みんなを混乱させて何をするのかって聞いてんのよ!?」

 

「悪戯は、混乱させて終わるモノでは?」

 

「悪戯かぁ!!!!」

 

「うん。チローとモモちゃん見てたら、喧嘩させてみたくなったので……ちょっと、意地悪してみた(笑)」

 

「でも、悪戯って親しい人にするモノなんじゃ無い訳?」

 

「うん?まあ、普通はねぇ。でも、基本的に未来から来てる者としては、チローもモモちゃんも良く知ってるんだよねぇ……一方通行だけど……」

 

「未来から……」

 

「来た???」

 

「時間転移魔法……知らない?まあ、人外の魔法なんで人間が知ってたら大問題だけどね!!」

 

「あんた、未来人な訳!?」

 

「うん。因みに僕は、恭にぃに……文字通り、海で釣り上げられました(笑)」

 

「海で、釣り上げられ……って、漂流していたのか!?」

 

「漂っていたらしいよ?」

 

「はあ……もう、無茶苦茶ね……」

 

「えー……そう?まあ、その後……なのは『ママ』に引き取られたけどね……」

 

『なのは『ママァ』!!???』

 

双夜は、なのはの子供らしい。

もう、本日何度目かわからなくなったけれど、とんでもない衝撃を私は……私達は、受け止めさせられた。

 

「うんうん。みんな、良い反応してくれるよね♪」

 

「って、嘘な訳!?」

 

「いんや、事実だよ。アリちゃ『ママ』!」

 

「ってぇ!私も『ママァ』!?あんたの『ママ』は、なのはでしょう!?」

 

「正確には、僕の『ママ』は三人いるんだよ。すじゅかママとアリちゃママ。そして、なのはママの三人……元々は、すじゅかママが僕を引き取るって言い出したんだけど……僕がその時幼児後退化した原因が、すじゅかママだったんで……嫌がったらしい。そしたら、なのはママがじゃあみんなで面倒みよう的な事を言ったらしくて……」

 

「ああ、うん。何となくわかってきたわ……うん」

 

「なのはちゃんなら、そういうこと良いそうだよね……」

 

「ええっ!?す、すずかちゃん!?」

 

「うん。そうだね……なのはだもんね……」

 

「ええっ!?フェイトちゃんまでぇ!?」

 

「……………………そういえば、私は?」

 

「フェイトちゃんは……………………うん。ちょっと、アレ関係で言えないかな?」

 

「アレ関係???」

 

「あー、うん。えっと、言って良いなら言うけど……僕が、間接的に言うよりも……自分から言った方が良くない?」

 

「???」

 

「えっと、首を傾げられてもなぁ……ほら、クロノ・ハラオウンを見て何か思い浮かばない?」

 

言われて、クロノをジィと見つめる。しばらくすると、クロノが段々顔を赤くして目を背けて行く。

それをエイミィさんが、肘でつついてニヤニヤしている。

 

「えっと?」

 

「ほら、クロノン!念話的にアドバイスを!!」

 

「ん?あ、ああ……」

 

〔フェイト、なのは。きっと、彼は魔法や魔導師の事を言っているんだと思うが……〕

 

「ええっ!?」

 

「……………………ああ!」

 

「ーーーーーダメダメだね……」

 

「もう、可愛いなぁ!フェイトは♡!!!」

 

「流石、アリシア!わかってるわねっ!!」

 

「……さて、そっちの話が終わるまで僕達は関与しないから……なのはママと一緒に、ガ・ン・バ・って?」

 

「はうっ!?あうあう……あぅ……」

 

そう言って、双夜達は席を立って部屋から出て行った。

残ったのは、私となのはとアリサとすずかの四人。

残された私達は、双夜の気遣いに苦笑いしてしまう。

そして、なのはは……何て言うか、状況の展開に付いて行けなかったらしく……どう見ても、誰が見ても混乱して慌てているのがわかる状態だった。

 

「え、えっと……」

 

「ちょっと、落ち着きなさいよ。なのは……」

 

「ふふふ。大丈夫だよ、なのはちゃん!焦らずに、お話聞かせてね?」

 

「ほら、なのは。みんなもこう言ってくれてるし……」

 

「フェ……フェイトちゃんは、こっち側だよね!?」

 

「な、なのは、落ち着いて……」

 

「お、落ち着いてるよぉ~っ!!」

 

『いやいや、落ち着いてないから!!』

 

「にゃあああああ~~!!」

 

なのはは、無理そうなので私が言ってしまう事する。

 

「あ、あのね……私となのははーーー」

 

「あ!だ、ダメェエエエェェェェ!!」

 

「な、なのは!?」

 

「わ、私が言うのぉっ!だ、大丈夫だからっ!!大丈夫、大丈夫……」

 

『……………………ダメかもしんない……』

 

「はぅっ!?」

 

なのはは、頭を抱えて座り込んでしまった。

ついこの間、驚かせたらいけないから何時かは……と話していた所の今日だから仕方がないとは言え、何時までも引き延ばしにしている訳にも行かない話ではある。

ちゃんとした機会を設けて貰ったのだから、私はアリサやすずかにハッキリと胸を張って言いたかった。

 

「なのは……」

 

「ううっ……フェイトちゃん。うん。もう、大丈夫だよ……あ、あのね、アリサちゃん、すずかちゃん……私、ま……」

 

『……ま?』

 

「あぅ……」

 

「なのは……頑張って!」

 

「う、うん。私、魔法使いになったのっ!!」

 

『……………………』

 

「え?あ、あれ?え、えっと、驚かないの?」

 

「あー、うん。驚いたって言えば、驚いたかな?」

 

「ってか、あのチビッ子の後だとねぇ……こう、予想が付くというか……ねぇ?」

 

「わ、私……頑張ったのにぃ……」

 

「あ、うん!なのはは、頑張ったよ!!」

 

「フェ、フェイトちゃん……!!」

 

「なのは……大丈夫、なのははちゃんと頑張ったよ。……よしよし……」

 

なのはが、泣きながら抱き付いてきたのでソッと支えて頭を撫で撫でする。チラッとアリサ達を見ると、微妙な顔で苦笑いをしていた。

 

「ってか、あのチビッ子の存在が無ければ……もっと、驚いていたわよ!?でも、なのはが魔法使いになってた事と未来からやって来た私達の子供で12000年生きてるっていうのと比べたらねぇ?」

 

「うん。あの子の存在の方が驚きかな?色々と……ね?」

 

「ううっ……」

 

「なのは……」

 

『なんだってぇー!?』

 

なのはを慰めようと手を伸ばした瞬間、部屋の外から誰かの叫び声が聞こえて私達は顔を見合わせる。

ソッと、部屋の扉を開けると険しい表情のクロノと双夜が何か言い争いをしている最中みたいだった。

 

「だから、その魔導書は【夜天の書】って魔導書であって、闇の書とは全くコレッポッチも関係ない魔導書だって言ってるだろう?ほら、似たような魔導書ならこの【紫天の書】もあるんだから……」

 

「だが、ロストロギアである事に代わりはないだろう!?」 

 

「大丈夫だよ。僕以上に危険なモノは、無いんだから……それに、纏めといた方が監視もしやすいだろう?」

 

「しかしだなっ!!」

 

「クロノ執務官!確かに、あなた方の言い分もわかりますが、ロストロギアは発見したら確保……もしくは、封印が私達の間では通説なの。だから、出来るなら提出して貰えないかしら?」

 

「だから、【紫天の書】は僕の家族(建前)だから渡せないって言ってるだろう!?【夜天の書】だって、はやての家族なんだ……渡せる訳が無いじゃないか!?」

 

「せやっ!私の大事な家族を持ってかんといて!!」

 

「しかし……」

 

「そもそも、ロストロギアが危険なモノだっていうお前等の論理は、【闇の書】が原点だろう?……まさかとは思うけど、知らないのか!?お前達が探している【闇の書】は、時空管理局の前身組織が生み出したモノだって事を……全く、何だって大きな組織は都合の悪い情報を隠蔽したがるのかねぇ……」

 

「………時空管理局の前身組織が、闇の書を作った!?そんな馬鹿な話が信じられる訳がないだろう!?」

 

「はあ。歴史的観点から見て、モノを言っているんだが?ならば、問おう。時空管理局が、ロストロギアを集めているのは何でさ!?」

 

「ロストロギアが危険なモノだからだろう!?」

 

「じゃあ、時空管理局はロストロギアが危険なモノだと何時知ったんだよ!?」

 

「……………………」

 

「ロストロギアが、危険なモノだっていうのは常識だ。そんな、当たり前の話を何度聞くつもりだ!?」

 

「いや、『歴史的観点から見て』って前提条件付けただろう!?お前、自分の世界や所属している組織の歴史とか調べないのか?」

 

「……………………」

 

「あ、調べてない?しかも、常識だからって理由で……いや、調べてても隠蔽された歴史とかは一般には出回って無いのか?うん。とりあえず、時空管理局がロストロギアを危険なモノだと判断して確保・封印し始めた理由を考えた事はあるかい?ああ、もちろんこの質問にも『歴史的観点から見て』の条件が組み込まれているからね?」

 

「……………………」

 

「じゃあ、ちょこっと歴史的観点から見つつ、時空管理局の成り立ちを組織外の者から勉強しようか?」

 

そう言って、双夜はクロノやリンディさんを連れて別室へ。良くわからないけど、母さんが『興味深いわ……』と言い出して双夜達の方へ行ってしまった。

 

「え、えっと……」

 

「ソウニャくんの未来の話だったのに……ソウニャくんが、管理局の人達を連れて行っちゃった……」

 

「えっと、あんた達はアイツの家族なんだろう?その辺りの詳しい事情とか知らないのかい?」

 

「私、双夜と一緒にいる時間は短いんです。ディアーチェは、何か知ってますか?」

 

「我は、知っているが……あまり、聞いて気分の良いモノでは無いぞ?聞きたいと言うのであれば、語らぬ事は無いが……オススメは、せんぞ?」

 

「聞きたい、聞きたい!教えて!!」

 

その後、私達は双夜が戻って来るまでディアーチェの未来での話を聞いた。最初はとても楽しい話だったけれど、なのはが非魔導師になったとか……私が行方不明になったとか……段々、余り聞きたくない話へと変化していく。

そして、『夜の一族』と呼ばれる種族の話になった所ですずかが真っ青な顔で『聞きたくない』と言い出した。

 

「そうね。ディアーチェには悪いけど、あんたの体験した未来は余り聞きたくない分類だわ……」

 

「だから、最初に言ったであろう?オススメは、せんぞ?とな……では、我の話はここで終了とするか……」

 

「そうだね……そうだ、最後はどうなったのか教えてくれるかな?ああ、ハッピーエンドになったのかバットエンドになったのかだけで良いよ?」

 

「フム。バットエンドとなった……だな。我も、最後の方は余り覚えておらぬから……しかし、最後までいた双夜ならば知っているであろうな……」

 

「そうか……うん。なのは達には、たどって欲しくない未来だから注意するようにするよ……」

 

「とは言え、この時間軸の『高町なのは』が同じ道をたどる事はあるまい。我の知る過去と、今ある過去は大分様変わりしておるからな?」

 

「そうなのかい?」

 

「ウム。双夜が、色々して歴史を改竄しまくっておるから……『高町なのは』が、過労で敵に撃沈される事はないと思うぞ?」

 

「残念ながら、なのはママの撃沈はあると思うよ?」

 

声がして、振り返ると双夜がリビングに入ってくるところだった。トテトテと入ってきた双夜は、先ずディアーチェの元まで歩み寄るとペシ!とディアーチェの頭を叩く。

 

「何をする!?」

 

「聞かなくても、わかってるよね?」

 

「……………………」

 

「さて……ハッキリ言っておくけど、ディアーチェ達がいた未来は正確に言うと……もう、存在しない未来だよ?」

 

「存在しない?」

 

「うん。時間軸そのものを切り捨てて、無かった事にしたからね……【世界の理を砕く者】の手によって、なのはママが撃沈された時間まで遡って、なのはママが撃沈された時間軸から世界の終演までの時間軸を切り捨てたんだよ。即ち、完全な意味での消失だ。バックアップも、形跡も跡形もない……完全に消失した未来さ」

 

「ちょっと待て……双夜。あんた、私達の世界になにしたんや!?完全に消失したって、どういうことや!?」

 

「いやいや、だから……人々の存在情報だけは残して、世界を構築している情報を完全に消滅させただけだよ?で、人々の存在情報を過去の人々の意識に上書きして保存したんだ。ああ、因みに……完全なフルコピーじゃないからね?個人の記憶を完全なモノではなく、虫食い状態で更にその一部を平行上に存在する世界の人々に上書きしただけだから」

 

「ーーーーーそれって、かなり限定的な記憶よね?そんなんで、大丈夫な訳!?」

 

「うーん。ほとんど、記憶というより感情の残りカス……ぶっちゃけ、『後悔』が上書きされた程度じゃないかな?」

 

「それ、何か意味あるの?」

 

「あるよ?人間、痛い目をみて後悔すると二度目は回避する傾向があるから……結末がわかっている話には、絶対に乗らないよ?『後悔、先に立たず』ってことわざがあるだろう?あれを逆手に取って、先に後悔させて上げたんだよ」

 

「ーーーーーうん、成る程。先に来る後悔か……確かに、それなら同じ伝は踏まないだろうね……」

 

「【消滅術式搭載型爆弾】を生産していた世界も、それを手に入れて、悦に浸っていたアホ共も二度目の時……一切、手を出してなかったらしいからね。まあ、一部の馬鹿を除いてだけど。目論見としては、上々だったかな?ああ、【消滅術式搭載型爆弾】っていうのは……封印されていようがいまいが関係なくロストロギアであるならば、その内包エネルギーを吸収して……で、そのエネルギーで世界を滅ぼす術式を起動させるっていう爆弾の事ね?まあ、それを企てていた奴等はとっちめてやったんだけど。時空管理局が、それを確保して解体を始めたと聞いた時は……アホだろう!?と思ったもんさ……」

 

「時空管理局には、大量に封印されたロストロギアがあったからなぁ……フム。アホとしか言いようがないな……」

 

「脳ミソ筋肉な管理局に、そんなモノ渡したら起爆するのは確実だしな(笑)。アイツ等と来たら、目の前に未知の技術をぶら下げてやれば……必ずと言って良いほど、飛び付くから……」

 

笑う双夜に青い顔をしたクロノが、その胸ぐらを掴んで何か言いたそうに睨み付ける。それをリンディさん達が、割って入って止めた。

 

「止めなさい、クロノ!彼の言っている事は、真実よ……」

 

「まあ、全部がとは言わないけど……一部の高官共の話だよ。自分達の出世の事しか頭にないから、どんな危険なモノであっても割りと簡単に解体を試みようとする……」

 

「フム。だが、この頃のクロノにはキツイ話だな。まだ、管理局は正義だと思ってる頃やろうから……」

 

ディアーチェの発言に、クロノはこちらを驚いた様な顔で振り返った。それを見たディアーチェが、クロノに自分の存在が誰なのかを説明する。

私達は、先程聞いたのでクロノ達の事を一旦置いといて双夜の方に向き直った。

 

「それで?なのはの撃沈が、あるかもって話だけど……」

 

「僕の眼の話は聞いた?」

 

「【真実の瞳】……だよね?」

 

すずかが、少し暗い顔で言う。

私はそれを、双夜のその能力が恐ろしい代物だからそれに怯えているだけだと認識していた。

 

「うん。まあ、簡単に言うなら……【神の眼】だろうね。ありとあらゆるモノを見通す眼だ。これには、その人の疲労度も情報として上げられる。それによると、クロノんやリンディさんと同レベルの疲労度が情報として視えるね……数字的には、この中で最も高いかな?」

 

「なぉ~のぉ~はぁ~~!!」

 

「ひいぃっ!?」

 

「あんたわぁ~~真面目なのは構わないけど、ちゃんと休息を取りなさいよね!?それで、倒れられたら余計迷惑になるんだからちょっとは考えて行動しなさいっ!!」

 

「そうだよ、なのはちゃん!私達は、心配する事しかできないんだから……ちゃんと、休息はとろうね?」

 

「にゃああああ~っ!!ごめんなさーいっ!!」

 

「あ、そのごめんなさいはわかってない方のごめんなさいだから……ちゃんと、言い聞かせてね?アリちゃママ☆!」

 

「OK。さあ、なのはぁ……私達と一緒に来るのよ?」

 

「え?ええっ!?」

 

そう言って、アリサはなのはを連れてすずかと出て行ってしまった。その時、何故か念話で『ドナドナ~』という声が聞こえたけど……誰の念話なのかは、わからなかった。

 

「おい」

 

「ん?何だよ、クロノん……」

 

「変な呼び方はよしてくれ……それより、八神はやての魔導書が【闇の書】と言うのは本当なのか!?」

 

「はぁ!?あれは、【夜天の書】だって言ったじゃないか……まさか、もうボケたのか?」

 

「違うっ!!この、ディアーチェという魔導師が八神はやての魔導書は【闇の書】だと言ったんだ!!」

 

「……………………すまぬ。口が滑った……」

 

「ーーーそれでは、男の『娘』と書いて『男のこ』と読む、『マジカル☆クロノん』を上映したいと思います!!」

 

「は?何を言って……」

 

「バインド!沈黙魔法《アバァ》!!さあ、クロノ・ハラオウンの暗黒歴史を観ようじゃないか!!」⬅問答無用w

 

「ーーーーーー!?」

 

部屋の一面を使って、30分にも及ぶ『マジカル☆クロノん』(?)の上映が嫌がるクロノをバインドで拘束して無理矢理行われた。その結果、現在怒ったクロノと脅す双夜による模擬戦の話が持ち上がっている。

 

「ああ!?だから、平行世界のクロノんの協力を得て作った一品だよ!変態!!お前だけど、この時間軸のお前じゃないお前の行動だ。諦めて、全次元放送で上映しようぜ!変質者!!」

 

「ふざけるのも大概にしろっ!!弱味が無いから、弱味を作った……等と言う輩の脅しには、僕は屈しないぞ!?」

 

「あ、今の映像のデータ……貰えるかなぁ?」

 

「良いよ?幾らでも、あげるよ!!」

 

「ちょ、エイミィ!?」

 

「こんな面白い弄りネタ……あ、いやいや、映像解析に掛けるんだよ!それで、クロノじゃないとわかれば問題無いんだよね?」

 

「本当にそれだけの理由なのか!?今、全力で本音が聞こえたような気がしたんだが……」

 

「だから……白黒付ける為にも、模擬戦をしようって話になったんだろう?まあ、負けるのはクロノんと決まっているけどな!!何なら、リンディさんも殺ります?」

 

「あら?私も参加して良いのかしら?」

 

「全然、構わないですよ?何でしたら、全盛期まで時間逆行します?肉体的に衰えが……いえ、何でも無いです……」

 

「うふふ。遠慮しておくわ……クロノ?「は、はいっ!!」勝つのよ?良いわね?」

 

「はい!艦長!!」

 

立ち上がり、ビシッと敬礼するクロノ。

その表情は、真っ青でダラダラと汗を流している。

 

「負けたら、どうするにょかな?」

 

「そうねぇ……全次元放送で、マジカル☆クロノんの上映は仕方がないかしら……」

 

「ちょ、かあ……艦長っ!!」

 

「あら?何かしらぁ~~?」

 

「あ、いえ……何でも…………どうしてくれるんだ!?」

 

「いやぁ……地雷踏んじゃったのは悪いと思うけど、そこはキッパリ言い返せば良くない?」

 

「出来ると思っているのか!?」

 

『……………………』

 

「何かしらぁ~~♪」

 

「いやいや、若いのは見た目だけで……やっぱり、お年なんだなぁ……と?」

 

「おい!?何で、油を注ぐんだ!?」

 

「クロノぉ~~ちょっと、いらっしゃい?」

 

「あ、は、はいっ!!今、行きます!!」

 

クロノがリンディさんに連れられて、リビングから出ていく。それを見送って、双夜はシグナムさんに言った。

 

「ついでに、シグナムとユーリの模擬戦もしてしまおうぜ?直ぐにでも、可能だろう?」

 

「もちろんだ!」

 

「はい!大丈夫ですよぉ~♪」

 

ユーリもシグナムも、ヤル気満々で拳にグッと力を入れる。二人は、睨み合っ……見詰め合っているが、まだ始まりそうには無かった。

リビングにある時計を見ると、9時を少し回った所だ。

朝食を取るには、少し遅い時間帯。なのはは、アリサ達に連れて行かれているし、クロノ達も先程外に出て行ったので今はいない。戻って来る気配も無いので、午前中は作戦会議と言った所だろう。

多分、なのはや私も参加する事になるから……模擬戦は、本日の昼食の後でという事になるだろう。

 

 

 

 




双夜が、みんなを介抱しています。
使い魔の愛情表現が、とっても痛い件。
何とかしたいなぁ……しないけどwww

そして、なのはさんが魔導師である事を友人達に告白。
だけど、双夜のインパクトに負けたwまあ、仕方ないよねw
でも、代わりにそれを吹き飛ばすかのようにクロノンが驚きの叫びをあげてるけどw
ネタバレ♡wでも、部が悪くなると……強制弱み作りを実行する酷い奴wwwww出現wwwwww
模擬戦で、白黒付けようぜって事で……次回に続くw

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

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