絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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テーマは、【重力】です!!


九八話

ユーリ

 

 

双夜が、訓練校へ入隊してから二年が経とうとしていました。その間私は、無限書庫で働きつつ、訓練校&寮に足を運び双夜とラブラブしています。

ええ、それはもう超ラブラブですよー!!

 

「妄想は良いから……」

 

「何の事ですか!?」

 

双夜のツッコミに驚きつつも、組んだ腕を離そうとは思いません。

 

「それにしても……生徒、増えましたねー……」

 

現在は放課後で、一年目、二年目の脱落生徒さん達が双夜の元で効率の良い魔力運用法を学んでいます。

当初は、非魔導師で礼儀のみを学ぶ為に入学した双夜でしたが、あまりに酷い魔力有り無し差別にキレて高魔力ランクの人達を、模擬戦でサンドバックにして病院送りにしたそうです。それを見ていた人達は、双夜を指差し口を揃えて言います。『アイツは、修羅だ……』と。

神速に瞬動術を用いて、相手に自身を認識させずに……まるで、人が車に跳ねられる様な光景を見せられたそうです。

余りの光景に、双夜に魔力があるのではないかと一時は騒然としました。だけど、それを調べたセンターの判断は魔力ランクEの魔力を持たない一般人という事に。

最後まで、その判定に疑問を持たれていたみたいですけど。

その後、許可もなく模擬戦をしていた為に教員達が駆け付けて模擬戦をしていた双夜達を力付くで止めようとしました。

その結果は、教員達の全滅です。

空戦魔導師もいたらしいのですけど、地上に引き摺り下ろされて撃破されたという事です。

先に重りの付いた、ヒモ(?)が飛んできて体の一部に巻き付いたと思ったら、ほぼ一瞬で地上に引き摺り下ろされて、訳もわからない内に意識を刈り取られるという体験をしたとお茶をご馳走してくれた教員が言っていました。

そんな戦い方をする双夜ですから、訓練校内で付いた通り名が『音無き暗殺者』……もしくは、『人を外れた修羅』等と呼ばれています。

因みに、訓練校の教員達の魔導師ランクはB~Dです。

それを一人で壊滅させた双夜は、推定ランクでAAとされています。一応、この訓練校で一番のランクなんだと生徒さん達が言っていました。

だけど、双夜は魔導師ではない事になっているので正確なランクは与えられていないとのことです。

 

「そう言えば、訓練校ではツーマンセルが基本なんですよね?双夜の相方さんは、どちらに?」

 

「後ろにいるだろう?」

 

振り返り、場を確認するが誰もいません。

 

「いないですよ?」

 

「ん?……自主練にでも、行ったかな?」

 

適当にそう言って、双夜は視線を戻していました。

本当にもう、適当なんですから……と私は、頬を膨らませて文句を言います。こんな調子で、双夜は相方を二年も紹介してくれません。

 

「まあ、アイツはシャイだからな……仕方がないんだ」

 

なんて、毎回誤魔化されています。

 

「まさか、女の人何ですか!?」

 

『それはない!!』

 

双夜含む、その場にいた全員に否定されてしまいました。

以前、双夜の家族だからとお断りしていたのですが、どうしてもっとお願いされて模擬戦をした事があります。

それ以来、みなさんはそこそこ仲良くしてくれています。

親しみを込めて、『可憐な鬼姫』とか『修羅嫁』と呼ばれているのが私です。

 

「あれ?修羅嫁、今日も御面会ですか?」

 

「はい!双夜成分を充電しに来ました!!」

 

「はあ、修羅成分ですか……はっ!!修羅になるんですね!?わかります!!」

 

「どんな成分だ!?わからねーよ!?」

 

数分もすると、ワラワラと自主練を済ませた双夜の生徒達が集まってきます。こういう時は、双夜に助言を求めて戻って来ている事があるので私は手持ち無沙汰になってしまうのですが、みなさんがこんな風に声を掛けてくれるので寂しくはありません。

 

「あ、修羅嫁だ!!デートですか?」

 

「それなら、もっと気の効いた所に行くだろう?」

 

「……暗殺者が気を効かせた所って……何処だ?」

 

「え……えっと、何処だろう……」

 

「暗がりとか……月のない夜道とか?」

 

「ナニする気だよ!?」

 

「ナニする気だろう?」

 

ニヤニヤとふざけていた生徒さん達の目の前に、ズガン!!と長さ2メートル、太さ直径5㎝から20㎝程の金棒が突き刺さった。

 

「お前ら、校庭三周程して来いよ。何なら、ユーリと金棒持って追いかけようか?」 

 

すっごく笑顔な双夜が、その金棒を片手で引き抜き持ち上げると生徒さん達が真っ青になってそれを見上げます。

 

『すいませんでした!!三周、してきます!!』

 

数人の生徒さん達が、ビシッ!と立ち上がって一礼をした後、走り去って行く。それを見送って、双夜を見ると他の生徒に武術の指導をしていた。

 

「あ、鬼姫じゃん。今日も来てるんだ?熱々だねぇ……」

 

「みなさんは、好い人いらっしゃらないんですか?」

 

「くっ……サクッと痛いところを……」

 

「あ!す、すみません……」

 

「あ、いや……いないコイツが悪いんで……所で、鬼姫は修羅とデートするの?その時は、何処に行ったりする?」

 

「この前の日曜に……遊園地へ行きましたよ?」

 

使い魔さん達の意地悪以来、双夜は私を誘っては様々な所へ遊びに連れてってくれます。主に、自分が遊びたいだけの様にも思えますけど、基本的に一人で遊んでいてもつまらないらしく私を誘うのだと言っていました。

 

「あー、遊園地かぁ……その前は、ゲーセンでしょう?楽しかった?」

 

「はい!とっても!!」

 

「はあ……初々しくて良いねぇ……」

 

「私も、早く彼氏が欲しいんだけど……」

 

「日曜日に、逆ナン行ったんじゃなかった?」

 

「あー、行ったけどさぁ……なんか、チョロいんだよねー……弱っちいっていうか……」

 

「魔法?体型?」

 

「どっちも……かなぁ。意気がっているくせに、妙に逃げ腰なのよねー……魔法も、吹いたら消えそうでさぁ……」

 

「何処のトレーニングスペースに行ったの?」

 

「40区。Bランクのアーツ系がいたんだけど……」

 

「何々?手加減してくれたの?」

 

「当人は、そう言ってたんだけどねぇ……」

 

「あー、ダメだったかぁ……」

 

良くわかりませんが、みなさんが私の周りにまで集まってきてお話を始めます。内容は、上の通りですが……お目当ての人には会えなかったという事だけはわかります。

 

「何だ……また、辻デュエルか?」

 

「あ、コーチ。それがさぁ、最近の男が弱っちくてパッとしないんですよ!何処かに、強くてカッコいい男いませんか?」

 

「そういう人脈なら他を当たれ……後、イケメンは止めといた方が良いぞ?顔の良い奴は、顔にキズを付けたがらないから基本的に弱い……」

 

『やっぱりか!!』

 

みなさん、双夜の話を聞いて嘆くように手で顔を覆ってしまいました。その後は決まって、私が羨ましいだとか双夜みたいな強い男がいないとか愚痴を溢し始めます。

 

「そうですねぇ……あー、でも私が知っている人は特定の方がもういますね……」

 

「ああ……どっかに、フリーな良い男いないかなぁ……」

 

「諦めろ。基本的に、雑魚しかいないから……」

 

「くっ……コーチ級でなくて良いから、せめて乙女を守れるイケメンの男が欲しい……」 

 

「神崎がフリーだったら、幾らでも紹介するんだがな……」

 

「あの人の嫁さんは、人外級の美しさだった……」

 

「あれは、勝てないですよねぇー……普通に……」

 

「初めてみたよ?あのレベルの女性。一瞬、何処の女神様!?って思ったもん!」

 

その後も、翼さんの話題で盛り上がりましたが、双夜が門限コールを宣言してその日は解散という運びになりました。女性の方々は、女子寮の方へと走って行き、男性の方々は女子寮よりは近い場所にある建物へと入っていきます。

双夜も一度は、寮に入って行きますが直ぐに出てきて私を本局まで送り届けてくれます。

 

「次は、何処に行く?僕は、食べ物屋に行きたいんだけど……オススメとか、行ってみたい所とかあったら遠慮なく言って良いんだよ?」

 

「はい。でも、双夜となら何処にでも!」

 

「そういうのが、一番困る返答だな……」

 

「そう言えば、本職の方は大丈夫なんですか?」

 

「ん?ああ、一応原作の周囲にはいる事になっているよ?関わってはいないけど……まあ、大丈夫だろう?」

 

とっても、適当に話す双夜。

現在は、神崎さんが『モブ』と呼ぶ方達の強化ばかりしている双夜ですが……本当なら、原作人物達の周りで囮として活動していなければなりません。ですが、双夜は原作には関わらずに囮が出来るのならそれはそれで良いと言います。何だか、ワザと原作から距離を取っている様で心配です。

 

「あ、そうだ。ユーリにお願いがあるんだった……」

 

「?お願い……ですか?」

 

「うん。ユーリにしか頼めない事なんだ。協力してくれるよね?」

 

「内容にもよりますが、良いですよ?」

 

双夜は、ニッコリ笑うだけでその日はお願いの内容を教えては貰えませんでした。でも、双夜の事なので悪戯に使うのはわかってしまいます。

だけど、私は双夜のモノなので拒否はしません。

双夜がいなければ、私は世界を滅ぼして絶望の中で果てていたでしょうから……多少の不満はあっても、これで構わないのです。でも、いつかは……という希望もあります。

双夜は、我が儘でいても良いと言いましたが……私の我が儘は、双夜が困ってしまうかも知れないモノです。

だけど、願わずにはいられません。

 

「悩み事?」

 

「い、いえ!そういう訳では……」

 

「良いんだよ?我が儘言っても……」

 

「大丈夫です!」

 

「と、到着だな」

 

気が付けば、私達は本局支部の転移ポート前まで来ていました。私は双夜と別れて、転移ポートを使って本局に戻りリンディ提督の私室へ帰ります。

 

「それじゃあ、双夜……」

 

「ああ。またな」

 

そう言って双夜は、私の元から離れていきます。

ふぅっと、さっきまであった熱が冷めて行くように寒々しくなっていくみたいで、寂しいという気持ちとダブルで私の胸を締め付けます。

『あ……』と、手を伸ばし離れて行く双夜を繋ぎ止め様としてしまいそうになりましたが、何とかそれを引っ込めて少し涙ぐみながら踵を返しました。

瞬間、後ろへと強く引かれてバランスを崩しながら倒れてしまう。だけど、倒れきる前に抱き止められて強く抱き締められ、求めていた優しい声が鼓膜を打ちます。

 

「寂しいなら、寂しいって言わないと普通はわからないんだぞ?全く…… !」

 

「双夜……ごめんなさい……」

 

「構わないさ……俺は、お前の主なんだから……」

 

「双夜……」

 

「とりあえず……………………野次馬共!暖かい目で見んのは止めろっ!!見世物じゃねぇんだよっ!!」

 

我慢の限界を迎えた双夜が、周囲の人達に怒鳴り始めました。見れば、行き交う人達が私達を微笑ましそうに見ています。現実に引き戻された私は、急に恥ずかしくなって熱くなった両頬を押さえて背を向けました。

 

「まあまあ、こんな人通りの多いところで君達くらいの子がイチャ付いていたら誰でもああなるよ……」

 

当然、転送ポート前にも人がいて(局員)怒鳴る双夜を宥めに出て来ます。

 

「チッ。行くぞ、ユーリ!」

 

「え?あ、あの……何処にですか?」

 

双夜が、私の手を引いて歩き出します。

 

「もちろん、ホテルに行くんだよ!!今帰すのは、ちょっと癪だからな。じゃ、そこの局員!不純異性交遊に行ってくるぜ!!」

 

「ちょぉ!?そんな事言われたら、見逃せないじゃないか!!」

 

双夜に指を指し示された局員の方が、慌てた風に追いかけてきます。しかし、双夜が私を抱き寄せてお姫さま抱っこをすると、追い掛けて来た局員から逃げるようにジャンプして歩道橋の上へと移動しました。

 

「お前が、ススメたくせに……」

 

「ススメてないからな!?」

 

「ふははは。サラバだ!貴様が言った通り、俺達は今晩結ばれるのだぁ!!」

 

「マジで、洒落にならない事を叫ばないでぇ!!」

 

局員さんは、泣きながら追い掛けて来ていましたが双夜の足に敵うはずもなく、私達を見失いorzの体制で落ち込んでいるのがビルの屋上から見えます。

 

「それで、何処に行くんですか?」

 

「まずは、ホテル街だな……」

 

「本当に、不純異性交遊をするんですか?」

 

「しないよ!?ってか、それはあの局員をイジメる為の発言だからね!?本気にしないように!!」

 

そう言いつつ、双夜は夜の町を飛ぶように進んでいきます。そして、何を見付けたのか唐突に道路へと降り立ちました。とある場所に立ち、紫天の書を呼び出してリンディさんへ送る映像メールの撮影を始めます。

 

「ーーって訳で、ユーリは今日帰らないから。心配しなくて良いよ。大丈夫、僕がちゃんと手取り足取り面倒を見るから……じゃ、またねー♪……終了、と。それから、送信!」

 

「…………双夜、今日はここに泊まるんですか?」

 

「ここには、泊まらないよ?この先に、神崎達が住んでる所があるから今日はそっちかな?」

 

宿代も浮くし……と笑う双夜が、私の手を取って進んで行きます。その背中を見ながら、私は嬉しくなってウキウキしていました。久しぶりに、みんな揃っての団欒です!

 

「その方が、ユーリも嬉しいだろう?」

 

「はい!また、みんなで暮らしたいですね!」

 

「そうだな。もう少し治安の良い場所に移ってくれたら直ぐでも構わないんだけどな!」

 

そう、双夜は周囲を見回しながら言います。

だけど私は、今の生活も気に入っていたりします。

確かに、双夜と離ればなれなのは寂しいですが、それでも安心して生活できているのでそれ程心細くはないです。

そのまま、暗がりを突っ切って私達は外周設置型の階段があるアパートへとたどり着きました。階段を登り、とある部屋の前までやってくると、双夜は何の遠慮もなくドンドンと扉を叩き、返事も出迎えも待たずに扉を開けて中へと入っていきました。

 

「ちょ、って師匠!?せめて、返事だけでも待ってくださいよ!?出迎えとか……って、鍵は?」

 

「あら?双夜じゃない……それに、ユーリも?」

 

「おう、開けた。悪いんだけど、泊めて?」

 

『……………………脱走!?』

 

「何でそうなるんだ!?」

 

双夜は、神崎さんに襲いかかって行って顔をアイアンクローしたまま振り回し、私は翼さんに挨拶をします。

 

「良く、リンディ提督が許したわね……」

 

「いえ……双夜が、私が寂しがっていたからそうしようって言ってくれたんです……」

 

「って、無断外泊!?」

 

「あ、いえ。さっき、連絡はしました!」

 

「そう。なら、安心ね。そう言えば、夕食は?」

 

「私も双夜も、まだですよー?」

 

「そ、じゃあ今日はハンバーグにしましょう♪」

 

「ハンバーグ!?わぁ、楽しみです!!」

 

ハンバーグは、私の大好物です。

最近は、リンディさんが栄養のあるモノを作ってはくれますが、ハンバーグはそれ程多くは作って貰えません。

だから、とっても嬉しいです!

 

「挽き肉あったかしら……」

 

翼は、そう呟きながらキッチンへ。ごそごそと、キッチン内で探し物をした後は、材料をカウンターの上に置き包丁でカットしていきます。挽き肉は、あったみたいですね!

振り返ると、双夜は神崎さんとジャレ合っていました。

何だかんだ言って、双夜もみんなで一緒にいられるのは嬉しい様です。

 

「そう言えば、ツヴァイはどうしたんですか?」

 

「ツヴァイって?」

 

「蒼天の書ですよ……最近、ツヴァイを見掛けないので……まさかとは思いますけど、忘れてませんよね?」

 

「……………………あ!クラールヴィントは、頻繁に使うんで忘れないんだけどな……ユーリもいるし、つい……」

 

「忘れてやがったよ、コイツ……」

 

「おいで、蒼天の書……えっと、ツヴァイ?」

 

双夜の呼び掛けに、蒼天の書は来ましたがツヴァイちゃんは呼び掛けても出てきません。

どうやら、拗ねてしまっているみたいでした。

 

「レイジングハート達は、拗ねたりしないのに……このデバイス様は……」

 

「まあまあ、何なら翼が預かったら良いんじゃないか?ほら、ユニゾン出来るかもしれないぞ?」

 

神崎さんの奨めで、翼さんが双夜から蒼天の書を受け取る。その上で、喚んだら涙目のツヴァイちゃんが翼さんに抱き付きました。

 

「皆さん、酷いですぅ!私、私っ!全く呼ばれなくて、ずっと寂しかったんですよ!?」

 

「クラールヴィントとレイジングハート、バルディッシュ……と。この子達は、たまに自己主張してくるからなぁ……念話でw……ツヴァイは、大人モードでなければ八神家に超怪しまれるし……」

 

「それでも、忘れるなんて酷いですぅっ!!」

 

「それはーーー存在感のないツヴァイが悪い!」

 

「ガーンっ!!」

 

双夜の言葉に、ショックを受けてイジケ始めるツヴァイちゃん。だけど、流石に私も双夜の発した一言はダメだと思いました。

 

「まあまあ……ユニゾンデバイスの融合事故の事は知っているか?適正とか、制御とかができないとツヴァイに乗っ取られるんだよ。まあ、ツヴァイは純粋で良い子だからそうなった時は勝手に解除してくれるから安心して。な、ツヴァイ?」

 

「もちろんです!任せてください!!」

 

神崎さんの説明を受けて、翼さんはコクリと頷きました。

そして、私達が見守る中、翼さんがユニゾンを試します。

 

『ユニゾン、インッ!!』

 

結果は、成功でした。

翼さんの青銀の髪が、少し白銀寄りの色に変化して瞳は碧色。神崎さんの弁をそのまま言うなれば、翼さんの美しさが更に神がかって本物の女神になりつつあるとのことです。でもそれは、私達全員の見解でもありました。

 

「綺麗を通り越して、人外級の美しさってヤツか……」

 

『私は、外から見えませんからわかりませんが……あ、ありがとうございます!わぁ……凄い綺麗です!!』

 

双夜が気を効かせて、翼さんの姿を画像に映し出してツヴァイちゃんに見せてあげます。それを見て、ツヴァイちゃんが大いにはしゃぎました。

 

「……八神はやてとどっちが綺麗だ?」

 

『断然、翼さんですね!!』

 

「フム。八神はやてにお土産が出来たなw」

 

『断然、翼さんですね!!』

 

そう言って、双夜は先程のツヴァイちゃんの発言を録画した映像付きを再生して見せます。

全く、双夜は意地が悪いですね。

 

『ちょ、ユニゾンアウト!って、消してくださいっ!!」

 

「にゃははは!どうしようかなぁ……」

 

双夜が、ツヴァイちゃんとジャレ合っている間にくすくす笑っている翼さんがキッチンの方へと移動して夕飯の続きを始めます。それを目で追って、視線を戻すとツヴァイちゃんが目の前にいました。

 

「ユーリもユーリですよ!?なんで、もっと早く双夜に私の事を言わないですか!?」 

 

「お!?八つ当たりか?良いじゃないか、前回の世界ではずっと出ていてディアーチェと一緒にいたんだろう?」

 

「それは、そうですけど……私の出番は、全くありませんでしたよね!?」

 

「メタい発言キター!」

 

「妖精サイズでいたのに、描写すら無かったもんなw」

 

「師匠もかぁ!?」

 

神崎さんをペイ捨てした双夜が、私の隣に来て座ります。

そして、おもむろに私を抱き寄せると『僕には、ユーリがいるし!』と前置きした上で言いました。

 

「ぶっちゃけ、紫天の書が手に入るとわかっていれば蒼天の書を持ってくる事は無かったんだよなぁ……あのまま、世界と一緒に消滅してしまっていたんじゃないか?」

 

「なんて言いよう!?酷いですぅ!!」

 

「じゃあ、ユーリと模擬戦して勝てたらメインで使ってやるよ……」

 

「ユーリ……と……?」

 

「私と模擬戦ですか?」

 

「もちろん、超本気のユーリに勝てたらだけどな!」

 

『なんて、無理ゲー……』

 

「死んじゃいます!!」

 

「にゃははは」

 

本当にもう、双夜はとても意地悪でした。

でも、私は知っています。それが、双夜の優しさで……今のツヴァイちゃんでは、神々の恩恵を受けた転生者との戦闘は消滅の危険すらあるからです。ユニゾンできるならばまだしも、彼女は単独での戦闘は避けなければなりません。

翼さんが、ツヴァイちゃんを自分のデバイスとして使ってくれるのであればその問題も解決するので双夜も乗り気の様に見えました。

 

「そう言やあ、師匠?訓練校の生徒さんは、どんな具合ですか?」

 

「順調に強者化しているよ?」

 

「強者ですか……」

 

強い者と書いて、モサと読むらしいです。

そう呼ばれる方達の戦い方は、瞬動術で、間合いを殺し……【鎧通し】で大ダメージか、【抜き】で相手の意識を刈り取るという方法です。その一撃必殺振りに、魔力ランクのC以上の生徒さん達は畏怖と敬意を込めて【修羅の一団】と呼んでおられます。双夜の生徒さん達は、魔力ランクF~Dの方々で構成されていて、普通にCやBの方々と渡り合っていると聞きました。

最近では、一部の先輩方が教員を撃破したとも聞きます。

 

「何、そのチートっプリ……怖い……」

 

「えー……そう?因みに、僕が育てた第一期の奴等が後輩を育てるっていう二次育成も開始した所。上手く行けば、後人が育つよー♪」

 

正確には、第三期以降の生徒さん達の為の育成だと双夜が言っていました。双夜の存在は、人の記憶にも機械の記録にも残りません。双夜自身から学んだ生徒さん達の記憶には、基本何も残らないのですが……ちょっとした裏技があるんだそうです。

それが、双夜自身から学んだ生徒さん達が、後輩にそのノウハウを教え……その後輩さん達が、更に後輩さん達に教えた場合はその技術とノウハウが残るんだそうです。

 

「発案者の記録は無いけど、技術とノウハウがあるっていうのは、そこそこ良い結果をもたらす事になるんだよ」

 

「時間の掛かる育成ですね……」

 

「育成事態が、時間の掛かるモノなんだけどな……」

 

双夜は、そんな風に言ってますが……双夜がもたらした、その技術とノウハウは生徒さん達にとても人気があります。

魔力ランクがモノを言う魔法と違って、体を鍛えれば鍛える程結果の出る(限界はある)ソレは半人前の生徒さん達に努力すれば結果を出せるという自信を生み、双夜が提示した魔力の効率的運用法の足掛かりにもなっています。

効率的魔力運用法の方は、二期生が漸く実り始めた所です。三期生が実れば、双夜の育成は終了して次の段階に行けるらしいのですが……それには、まだまだ掛かる予定です。

因みに、効率的魔力運用法を修得した生徒さん達の中には、魔力ランクが向上した方々もいます。

Fランクの生徒さんが、Dランクの魔導師になったという朗報は彼等のやる気にも変化をもたらしました。

今では、高ランクの生徒さん達まで参加する授業になっています。

 

「ってか、なんで教員まで生徒化してるんですか!?」

 

「仕事の片手間に出来るからだろうな。流石に、瞬動術や鎧通しとかは時間を食うけど……効率的魔力運用法は、片手間で出来る事だからなぁ……」

 

「一日、一時間程度で効率が上がるんッスか!?」

 

「上がるよ?割りとw……ってか、リンカーコアの解析が終了したから、そんな方法を見付けられたんだろう?」

 

「モブをチート化する気ですか!?」

 

「良いじゃん!戦力の底上げが出来るなら……見てろよぉ!?脳ミソ共っ!!テメェ等が、間違っている事を教えてやるぅ!!!」

 

『……………………』

 

結局の所、双夜の目的は原作系の方々に可能性を魅せる事の様です。神崎さんも、双夜の宣言に苦笑いをしつつ溜め息を吐くのでした。

 

 

fade out

 

 

 

……………………。

 

 

 

???

 

「フェイト、そっちはいた!?」

 

『ごめん、母さん。まだ、見付けてないよ!』

 

リンディ・ハラオウンは、フェイト・T・ハラオウンと連絡のやり取りをしつつ夜の町をさ迷っていた。

ホテル街を中心に、しらみ潰しに当たっている。

 

『リンディさん!そっち、いました!?』

 

『アカン!こっちは、全滅や!!』

 

更にウィンドが開いて、高町なのはと八神はやてから連絡が入る。

 

『リンディ提督!メール画像と一致する看板を発見しました!!ですが、この周辺にはいないようです……』

 

更にウィンドが開いて、ヴォルケンリッター達からも連絡が来た。それを聞いて、リンディの顔が曇る。

 

「みんな……ごめんなさいね。こんな事に、付き合わせてしまって……」

 

偶々、非番だった彼女達を召集し無理難題をお願いしたリンディとしては、時間が経つにつれて申し訳なさが込み上げてくる。しかし、彼女達から返ってきたのは頼もしい返答だった。

 

『大丈夫ですって、リンディさん。これが、彼の悪戯やったとしても……その時は、みんなで模擬戦という名の仕返しをしてやったらええんやから!!』

 

『そうだ!高々、非魔導師一人……我々が、思い知らせてやれば済む!!』

 

『まあ……ユーリ達が、アイツの味方をしたら逃げるしかねーけどさ……アイツだけなら、勝機はあるさ!』

 

等と、悪戯だった場合の報復相談を始める彼女達を心強く思いながら指示を出す。

 

「そうね。じゃあ、看板のあった場所を中心に探してみましょう!」

 

そして、彼女達は合流した。

その場所へと集まってきた彼女達は、そこから周辺のホテルをしらみ潰しに当たっていく。と、その時、着信拒否をしていた少年から画像添付メールが送られてくる。

リンディは、それを直ぐ様開封し内容を確認して愕然としてしまう。

 

「そんな……」

 

「ちょ、母さん!?」

 

「って、ええっ!?」

 

そこには、上半身裸の双夜と胸元は隠しているがやっぱり裸のユーリが写っていた。それを見たリンディは、ガックリと膝を付き前のめりに手を突いてorzの体制へ。

 

「間に合わなかった……」

 

茫然自失のリンディだったが、そこへ別の通信が入ってくる。発信者は、『不知火翼』とあった。

何の気もなく癖でONにした次の瞬間、大音量で双夜の怒鳴り声と神崎の叫び声が聞こえて正気に戻される。

何事かと思い見上げれば、上半身裸の双夜と神崎が取っ組み合いをしていた。

 

「え?ええっ!?」

 

「えっと……」

 

『我皇流奥義!白虎真皇牙!!』

 

双夜の放った一撃が、神崎を吹き飛ばし窓ガラスを突き破って行くのが見えた。それと同時に、近くで壁が爆音と共に崩れる様な音が聞こえてくる。

その直ぐ後に、通信が途絶えた。

 

『……………………』

 

「……うふ……うふふふふ……あはははは!見付けたわよ!!」

 

先程と打って変わって、リンディが最高の笑顔で立ち上がる。それに続くのは、彼の悪戯に振り回された彼女達だ。

みんな、怒り顔で音のした方向へと走り出した。

 

「今日という今日は、許さないわよっ!!」

 

双夜の悪戯メールで、お休みを無茶苦茶にされた彼女達は神崎達が住まう住居にカチ込みを掛けて双夜を捕まえる。

その後、本気モードの模擬戦(挑戦状)を双夜に叩き付けて報復しようと彼女達は目論んだ訳だ。

だが……報復模擬戦当日、棒を持っているだけの双夜に蹂躙される事になる。

 

詳しい話は、また後日。別のお話で。

 

 

 

 

 

 




ユーリが、双夜の嫁認識な訓練生達が笑える。
順調にキチガッてるし……鬼姫(オニヒメ)とか、修羅嫁とか呼ばれるユーリ(模擬戦の状況からのネーミング)が、それを嬉しそうに受け入れてるのは何でだろうねぇ……作者には、サッパリダヨw

ツヴァイは、翼に渡されましたとさ。
使われるのかは、不明。どうしようかなぁ……?
あ、原作人物の襲撃の際は、ツヴァイは蒼天の書の中に入ってました。その為、襲撃者達には見付かっていません。

最後は、神崎達に悪戯を邪魔されて奥義で潰してます。
それに気が付いた原作人物達に模擬戦にドナドナされたのに蹂躙イベントとなっただけだったw

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m(_ _)m

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