絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一〇〇話

双夜

 

 

レジアス・ゲイズにアタックしたあの後、数回に渡り暗殺者の襲撃を受けていた。全員返り討ちにして、二度と立てない位に痛め付けた後、裏路地に放置しておいたけど。

その内、二人は局員の魔導師だったのでリンカーコアを抜いて目の前で破壊してやったり、紫天の書で気取られない様にしつつ魔力の核を回復しないレベルで蒐集しておいた。今頃、生きてはいるが魔法が使えなくなった事を嘆いているだろう。もしくは、俺を恨んで再襲撃の準備中かもしれない。だが、彼等に三度目はないと断言できる。

次に来た時は、下半身不随にしてやるつもりだ。

訓練校卒業の後、俺は無限書庫に戻り闇堕ち仕掛けていたユーリと合流して日々を楽しく過ごしている。

悪戯はそこそこに、最近は最高評議会の傘下にいる局員や違法研究所等を中心に拠点潰しをしていた。もちろん、正規の局員を動かせないので使い魔を使ってだ。

エリオ達は、機動六課という新設の実験部隊に配属され、日々を大変そうに過ごしているとメールで言っていた。

だけど、充実した毎日だとも言っていたので楽しそうではある。近い内に襲撃して、驚かしてやろうと画策中。

そうそう、一つ朗報がある。

俺が育てた低ランク魔導師達が、例の技術の成果を認められて正規の局員達に技術を広め始めたと嬉しそうに報告してきた。中には、既に陸戦Aランクを習得して割りと過激に走り回っている奴もいるらしい。その為、半年後には局員の全体的な戦力が引き上がる可能性があるという事だ。

 

「……と、通信?って、またレジアスかぁ……」

 

発信者の欄を見て、うんざりした気分で通信を繋げる。

厳つい顔をしたレジアスの顔が映り、重苦しい声で真面目な口上をのべた後何時もの勧誘が始まった。

 

『それで、例の件だが……考えてくれたかね?』

 

「前にも言ったが、僕の師事なんて受けたがる奴なんていないよ。こんなチビッ子にズタボロにされたら、むしろ局員を辞める奴が増えるだけだ。そういう仕事は、他の生徒達に回してやれば良いだろう?」

 

『既に、全員雇ってそれぞれの部隊に配属したとも!!』

 

「うわぉ!?既に、大人買い後!?なら、来年まで待っていれば良いだろう!?訓練校で、強化された低ランク魔導師が卒業するまで……」

 

『そちらは、既に予約済みだ!!』

 

「……それに、そういう改革は時間が掛かるのが現状だろう?諦めて、どっしり構えていれば良いんじゃないか!?」

 

『フム、しかしだ。魔力ランク推定SSSを倒した君程魅力的な人材はいない……どうかね!?私の御付きにならんか!?』

 

非魔導師という事になっている現状、レジアス達から見たら俺という存在は貴重だろう。推定、SSSの魔導師をブチのめせる非魔導師なんて早々いない。

実際、推定SSSの魔導師をブチのめした時は面倒事を避ける為に【魔力】ではなく【気】を使ってボコった訳だ。まあ、だからと言って『【気】を使ったんです』なんて別の可能性を広げてやる必要もない。

 

「ならねーよ。例のあの人達から、縁が切れたらって言っただろう?まだ、繋がりがあるってこっちの情報網に引っ掛かってるぞ!?」

 

『ムゥ…………』

 

「あ。それと、この会話の後に刺客送ってくるの止めてくれない?再起不能にしちゃうからね?」

 

『既に、再起不能になった者がいると聞いたが……』

 

これは、レジアスのうっかりではなくもう諦めた感じの返答である。当初は、完全否定をしていたレジアスだったが最高評議会との会話内容や最高評議会の現在の映像とかを紹介していたら諦めてしまったようだ。

 

「自業自得だろう?この前は、爆風や衝撃波と競争までさせられてさぁ……うんざりなんだよねぇ……」

 

『爆風や衝撃波…………』

 

段々、理不尽な会話になり始めた所で一旦切り上げる。

 

「兎に角、御付き云々前に彼等との縁が切れたらまた連絡してくれ。それ以外では、許容しないから!」

 

『…………諦めんからなっ!?』

 

「しつこいっ!!」

 

レジアスは、週に一回は必ず連絡を寄越してくる。

その度に軽くあしらっているが、例のあの人達に会話を傍受されているらしく、彼との会話(通信)後は必ずと言って襲撃されていた。

 

「と……『レリック』の情報は、この辺りで。『ゆりかご』の情報も折り込み済だから、後は最高評議会の情報も含んでこれでよしっと。………次の刺客さんには、下半身不随をプレゼントしちゃうぞ♡」

 

 

……………………。

 

 

ルンルン気分で、無限書庫を後にした俺はスキップしながら局内にある一般住居区のハラオウン家を目指す。

しかも、襲ってくださいと言わんばかりに裏路地や人通りの少ない場所を狙って、かなり遠回りまでしてハラオウン家を目指していた。ある程度して、ハラオウン家が目の前に迫って来た所でピタリと足を止める。

背後を振り返って、気配のする方に声を掛けた。

 

「良いの?もう、着いちゃうよ?」

 

息を呑むような、驚きの感情が見えない所から伝わってくる。それをわかっているから、おもむろに今回の襲撃犯には下半身不随をプレゼントする事を含めてお伝えした。

 

「んー……なら、鬼ごっこする?僕が鬼をやってあげるから、襲撃予定者は全力で逃げてね?捕まえたらぁ……下半身不随だよw」

 

「えっ!?」

 

「じゃあ、スタート♡」

 

瞬動術を使って、思わず声を上げてしまった馬鹿の目の前に移動する。腕を掴んで、足払いをしてうつ伏せに倒した襲撃犯の上に跨がって襲撃犯の覆面を取り払い確認した。

 

「うふふふ。さあ、下半身不随の時間だ♡」

 

「や、止める!襲撃、止めるから!!」

 

「あるぇ?君、リンカーコアを潰して上げた元局員さんではありませんか。残念!君には、問答無用で下半身不随をプレゼント♡。これ、決定済みだから返品は出来ないよ?」

 

「ちょ、嘘だろ!?」

 

「嘘じゃないよ。それじゃあ、健康な人生お疲れ様でした。恨むなら、自らの選択を恨んでね?はい、ズドーン!」

 

腰骨から、下半身に向かって伸びる神経を【真実の瞳】で見極めてブツンッ!と指を直接刺し込み切り捨てる。

余りの異物感に、襲撃予定犯が短く悲鳴を上げたけど無視して指を引き抜いた。

 

「あ……ああ……あ……あ…………」

 

「はい。神経を切断させて貰ったよ?これで、君も身体障害者の仲間入りだ。嬉しい?これからは、国?世界?が君を助けてくれるさ……じゃ、バイバイ♪」

 

そう言って、事を済ませた俺はサッサとハラオウン家に帰って行った。背後から、悲痛な叫び声が聞こえて来たけど気にしない。上手く神経を繋げれば、治る見込みはゼロではないので当人が騒ぎ立てなければ問題ないけど……はてさて、俺みたいなチビッ子に襲撃されたあげく、下半身不随にされたと騒げる気力が彼に残っていれば良いけど。

用意された自室に戻った俺は、レジアスに連絡を入れてみた。何コールかして、レジアスが画面に映る。

 

「やあ、レジアス。さっきの今で悪いんだけど……襲撃した犯人をブチのめしたんで回収しておいてくれるかな?」

 

『…………回収?』

 

「うん。その人の背骨に通る、運動神経をぶつ切りにしてやったから動けないと思うんだ」

 

『ーーーーーな、なんて事を……』

 

「再起不能にするって言ったよ!?」

 

『本気だったのか!?』

 

「当たり前だろう!?」

 

『……………………………………………………わかった。用件は、それだけか?ならば、切るぞ?ワシは、忙しいのでな……』

 

顔を真っ赤にして、怒鳴り散らそうとしたレジアスだったが、すぐに青冷め通信を切ってしまった。

これに懲りて、刺客を送って来なくなれば良いのだが……脳ミソ共には、他人事なので襲撃が無くなる事はないだろうと判断する。

まあ、しばらくは怖くて誰も来ないだろうけど。

 

「おやぁ?ふふふ。さっきの襲撃者は、別件だったか……」

 

ニタァ……と口の端をつり上げて、ハラオウン家の周りに集まってくる気配を感じながら俺は戦闘準備を始めた。

 

「明日の新聞の見出しは、ハラオウン家を襲撃した馬鹿共が返り討ちになった……かな?」

 

カーテンを閉めて、電気を消す。そして、俺自身も襲撃者を迎える為の準備に取り掛かった。

 

 

……………………。

 

 

翌朝。

朝帰りをしたリンディ・ハラオウンが、自分の自宅を見上げて力無く膝を付いていた。目の前に広がる光景を、夢か幻かと頭を振って拒絶する。

 

「おー、リンディちゃん……お帰りい♪」

 

「双夜くん……その手に持っているのは、何かしら?」

 

震える声で、俺が手に持っている物体を指差すリンディちゃん。それを俺は、一瞥して首を傾げながら答える。

 

「…………僕を暗殺しに来た、馬鹿かな?リンディちゃん家を破壊して、返り討ちに合った哀れな暗殺者?」

 

「そう。双夜くん、何か危険な事件に巻き込まれていたのね?それならそうだと、早く言ってくれないかしら?是非、こうなる前に!!!!」

 

ズビシッ!!と全壊した自宅を指差し、リンディちゃんが額に青筋を立てて怒鳴ってくる。

 

「あー……これまでも、数回程襲撃されてたよ?返り討ち出来てたから、言わなくても良いかなぁって……」

 

「そう。だけどね。双夜くんはまだ、12歳の子供なの……ちゃんと、大人を頼る癖を付けて置きなさい。わかった?」

 

「はーい。とりあえず、コレ捨ててくるね?」

 

「待ちなさい。捨ててくるって、何処に?」

 

「ごみ収集箱の中?」

 

そういうと、とても良い判断だけどそれの引き取りは局員にして貰うという事だった。

それから数十分後、やって来た局員に既に捨てちゃっていた襲撃犯(両足骨折)と鬼ごっこの末捕まえた襲撃犯を引き渡して寝泊まりする場所が無くなったと嘆いてみる。

ハラオウン家が、全壊したのでリンディちゃんは局にある執務室でしばらく寝泊まりするらしい。だが、俺を側に置いときたくないーー仕事が増えるーーという訳で、機動六課に出向している神崎を頼る事になった。

俺も神崎も、現状は非魔導師扱いになるので部隊的には幾らでも入る事が可能らしい。魔力があった場合は、神崎も俺も機動六課には入れなかったと言っていたけど。

まあ、それでも侵入・潜伏は可能なんだけどね☆!!

という訳で、前日はユーリとタップリスキンシップをしてからリンディちゃんに預けて、俺は機動六課の隊舎があるミッドチルダ中央区画湾岸地区にやって来た。

本当ならば、玄関で八神はやてと待ち合わせって事になっていたんだけど……俺は今、機動六課内部食堂の厨房にお邪魔している。海上を走り、透明化の魔法《ステルス》を使って厨房まで侵入して来た訳だが……魔法に頼り過ぎていているらしく、あのザフィーラにすらバレなかった。

ドボドボと、鍋の中にシャマル先生特製の緑色の液(サンプル)を入れて一度機動六課から離脱する。

一時間程、ミッドチルダで時間を潰し適当にお土産を買ってから再度機動六課に行ってみると八神はやての姿はなく、警備員がいる受付けで『アポイントは、取ってるんですけど~』と八神はやてを呼び出す。

結論を言うと、八神はやては来なかった。

きっと、シャマル先生のポイズン☆クッキングトラップにはまって動けなくなったらしい。仕方ないので、その辺の地面にレジャーシートを敷いてカバンから毛布を取り出し寝転がる。屋根はあるので、眠れるなら何処でも同じだ。

 

「えっと……なんなら、警備員室で待つか?」

 

「いいの!?」

 

「ああ。構わないよ!」

 

気の良い警備員さんのおかげで、俺はぬくぬくと八神はやてが来るのを待つ。暖かいミルクで、もてなして貰いながら待つが一向に八神はやては来ない。シャマル先生や、ザフィーラの出迎えすら来なかった。

 

「おかしいなぁ……もう一回、連絡してみるか?」

 

多分、今はそれどころじゃ無いはずなので野宿くらいは覚悟している。だけど、予想とは違い青い顔をしてはいたけどシグナムが迎えに来てくれた。

 

「シグナム、さんですか?無限書庫から、出向して参りました如月双夜です。階級とかはありません(笑)」

 

「ああ……主はやてから聞いている」

 

それだけ言って、俺を車に乗せると来た道を戻り始める。

 

「本当なら、八神さんとの待ち合わせだったはずなんですが……何か、あったんですか?」

 

「ん?……ああ。少し、手違いがあってな……」

 

「手違い?ですか……」

 

余り、深くは突っ込まずに適当に相槌を打って窓の外に視線を向ける。向ける視線の先には、海があった。

先程は、この海の上を走り抜け機動六課に侵入した訳だが……二度目は、案内役に連れられての訪問だ。アリバイも、しっかり準備したし俺の犯行だなんて考えもしまい。

 

「如月。お前の事情も少しは聞いている。完全には行かなくとも、ここは安全だ……」 

 

「安全面では、信頼しているよ。まあ、僕も闇をツツキ過ぎたからね……まあ、色々と…………」

 

だからと言って、困ってはいなかったりするんだけど……問題になったのは、リンディちゃんの方でこれ以上仕事を増やされたら過労死してしまうなんて言われたら仕方がない。レティさんも、最近は執務室に籠りっきりで自宅にすら帰れないとの事だった。

 

「改革ってのは、時間が掛かるものらしい……」

 

「……………………」

 

「僕の知る組織だと、割りと簡単に改革を達成しちゃう所が多かったから……リンディちゃんやレティさんを執務室に監禁するとか無かったんだけど……」

 

「ああ。今の本局の話か……」

 

「発端は僕なのに、左遷されちゃった……僕がいると、仕事が増えるんだって……ちょっと、局内の不正の数々を小耳に挟んだから報告し続けただけなのに……」

 

「……………………」

 

「リンディちゃん、過労死しちゃうって言って僕を遠ざけるんだよ!?もう、こうなったら……」

 

誓いを新たにしていると、漸く機動六課の隊舎に着いた。

シグナムは、車を玄関に着けたまま俺を連れて八神はやての執務室に連れていく。真っ先に執務室に案内されて、中に入ればソファーに沈んでいる八神はやてがいた。

 

「主、連れて参りました」

 

「あ、ありがとうな?シグナム……」

 

「無限書庫から、出向しました……如月双夜です。大丈夫ですか?今にも、酸っぱくてツーンとした胃液が込み上げて来そうな顔をされてますが……」

 

「ウプッ…………」

 

口を押さえて、ギロリとこちらを睨み付けて来る八神はやて。入ってきた時よりも、更に顔を真っ青にして怨めしそうな視線をこちらに向けはじめていた。

 

「その様子だと、食中毒みたいですね。ははぁ……何か拾い食いでもしたんですか?」 

 

「くっ……あんた、ホンマに遠慮とかあらへんねんな……」

 

「固定砲台なんて、恐るるに足りませんから。しかも、広域と言いつつ魔力操作が微妙で範囲攻撃しか出来ない魔導師さんとは違いますので……」

 

出来る出来ないは良いとして、やるなら針に糸を通すくらい精密な魔力操作を実現して欲しいモノだ。

八神はやての胸に、グサッ!!とエクスカリバーが突きたったのを幻視する。青かった顔が、今度は真っ赤になって彼女は怒鳴った。

 

「魔力をロクに使えへん非魔導師に言われたか無いわ!」

 

「おやおや。今度は、人種差別ですか?魔力が使えない者を見下すなんて……魔法至上主義らしい発想です。まあ、僕達みたいに……魔力が使えないなら、生命力を使って戦おうなんて考えるキチガイとは違うみたいですねぇ……」

 

「…………生命力やて!?」

 

「ええ。俗に、【気】と呼ばれる技法です。ですので、魔力がないイコール魔力操作が出来ないという考えには至りません。集束……」

 

集気法と似たような感覚で、周囲に散らばっていた魔力を集束して指の先から針の様な刃を出して見せる。

 

「なあ!?」

 

「まあ、こうなる訳ですよw因みに、集束出来る魔力全てを完全コントロールする事もできますよ?」

 

「…………リンカーコア、無いんと違ったんか!?」

 

「無くても、研鑽と血が滲む程の努力……それから、知識と閃きさえあれば魔力の一つや二つコントロールして見せますって……さて、微妙な魔力操作しか出来ず適当な範囲攻撃しか出来ないのを広域魔法の使い手と言い張っている八神はやてさん?おや。どうかされました?」

 

八神はやては、頭を抱えて顔を赤くしていた。

 

「ねぇ、どんな気持ち?魔力操作出来ないとタカを括っていた奴が、魔力操作出来るってわかった瞬間の気持ちってどんな気持ち?ねぇねぇ、どんな気持ち!?おら、言ってみろよ?後、人種差別とか……何時から、他人を見下すようになったんだ!?例えそれが、頭に血が登って出た発言だったとしてもヤラかしちゃったねぇ!?八神はやて!!」

 

最高に嫌味ったらしい、笑顔と言葉で顔を更に赤くする八神はやてを追い詰める。シグナムが、レヴァンティンを展開しているけど問題なく蹂躙できるので気にしない。

その後も、レヴァンティンを白羽取りしながら八神はやてを弄り倒した。

 

「兎も角、しばらく機動六課でお世話になるんで一応挨拶はしておきますわ。あ、これ詰まらないものですがw」

 

「……ムッチャ腹立つけど、命狙われてる子供を野宿させる訳にもいかへんからな……機動六課で、世話したる。……後で、神崎くんとこ行って顔合わせしときや!?」

 

「ところで、翼もいるんですよね?」

 

ふと、疑問に思った事を聞いてみる。

その返答は、予想されたモノに近かった。

 

「神崎くんを雇う時に、家族を受け入れるっていう契約を結んださかいな。……せやけど、六課の仕事には協力して貰ってへんで?」

 

詰まりは、隊員の家族として受け入れているということなのだろう。出来るなら使いたい……という思いが、滲み出ているけど部隊を持つ全ての隊長が抱くジレンマに苛まれているようだ。つまり、ランク上限数だろう。

 

「本当に住んでるだけか?まあ、自覚無いから仕方がない?下手に放置すると、病み乙女になりかねないからな……」

 

「やっぱり、翼ちゃん神崎くんにホの字なん!?」

 

「見てりゃわかるだろう?さてはて、自力で気が付けるのかな?あ、本人には絶対言うなよ!?ああいうのは、見てるだけで面白いんだから!」

 

「ホンマに悪質なお子様やなぁ……」

 

そう言いつつ、ニヤニヤしている時点で八神はやても悪質な側の人間だった。話をそこそこに、神崎達に会いたいと切り上げて八神はやての執務室を後にする。

シグナムに案内されながら、非魔導師で魔力をコントロール出来るようになるにはどれ程かかるのか等を聞かれた。

だから、周囲の魔力素を感じ取れる様になるまでとか個人によって差がある的な事を適当にはぐらかしながら答えておいた。魔力素の、多い少ないでも変化するから断言とかは出来ない。三日かもしれないし、一年以上掛かるかも知れないと聞いた時のシグナムは難しそうな顔をしていた。

そうこうしている内に、神崎達が住んでいるという部屋の前に到着する。シグナムが、呼び鈴を押してしばらくすると翼が部屋から顔を出した。

 

「はい……って、シグナムに双夜?」

 

「ヤッホー?仕事を増やしまくってたら、左遷されちゃった。お世話になりまーす♪」 

 

「……それは構わないけど、ユーリはどうしたの?」

 

「この部隊をどうする気だ!?って、リンディちゃんが言うから置いてきたw」

 

「…………そうね。戦力が、異常になるわね……」

 

俺・ユーリ・神崎・翼・原作人物達……まさに、とんでも部隊の出来上がりである。魔力は持ってないけど、空飛んでようが飛んでいなかろうがSランク魔導師を一撃で落とせる戦士が二人。公式チートラスボスと、スキルブレイクはしたけどチート全開な翼。そして、原作主人公達の部隊。

どっかの脳ミソを屠り、次元世界の支配者になれるレベルの戦力となり得そうである。

 

「まあ、不毛なのはもう良いや。で?神崎は?」

 

「外で、新人達に混じって訓練しているわよ?」

 

「ほうほう。そう言えば、ここに配属されるにあたってレジアスに何か言われたんだろう?大丈夫なのか?」

 

「何でも、犯罪者の部隊に行く必要は無いとか何とか言われたらしいわよ?」

 

「はあはあ。自分が、犯罪を犯しているから過敏になっているのかな?高々、闇の書を所有していたってだけで犯罪者呼ばわりかぁ……ちょこっと、マスコミ辺りにレジアスの黒~い噂の真実辺りを証拠込みで流してやろうかしらん?」

 

「おい!……何故、闇の書の事を!?」

 

「僕の所属は、無限書庫。ちょっと調べれば、それくらいわかるってw闇の書の守護騎士さん?」

 

まあ、調べたのはそれだけではないんだけどね。

 

「……闇の書では、無い。夜天の書だ。それに……」

 

「闇の書の被害者。未だに、君達を恨んでいるってさ……リンカーコアの異常な萎縮。君らに奪われて、魔導師では無くなった者もいるらしい……そこら辺、どうする予定?」

 

「……………………」

 

そう聞いたら、彼女は黙り込んでしまった。

 

「記憶を操作する魔法とか無かったのかい?」

 

なんて、俺は言っているけど……訓練校に行っている間は、ある程度自由だったので色々と手を打って回った。

即ち、リンカーコア精製魔法を使った【実験】である。

リンカーコアを失った者を対象に、リンカーコアの再発現を目論んでみた訳だ。昔、魔導師だった経験がある者でリンカーコアを失い魔導師では無くなった者を使って実験を繰り返した。その結果、二割の者がリンカーコアを再度発現。リンカーコアが、異常な萎縮状態のままだった者達は元に戻しておいた。萎縮した時に、リンカーコア事態がリミッターを自身に付けちゃってたので、そのリミッターを取り除いたら魔力のランクアップと共に元に戻ったのである。まあ、10年もリミッターで押さえ付けちゃってた訳だから、大体Bランクだった者がAランクになっていたり……Aランクが、ニアAAランクになったりした。

リンカーコアが文字通り奪われた者は、当人の魔力資質を使わなくなったデバイス等からデータを取ったりして魔力の詳細データを復元。

この復元が上手く行けば、リンカーコアを復元出来るから後はその人の胸の中で再構築してその人が持つ残留魔力と同期してやって問題なく定着させる。

それだけで、何とか回復させる事に成功した。

ただし、ここで勘違いされると困るので釈明しておく。

俺は、幾つかの手助けをした形ではあるがリンカーコアの再発現に関しては当人達の努力で回復したモノとする。

リンカーコア精製魔法は、元魔導師達が体内の魔力を収束仕切れない状況下で後押し程度にしか使っていない。

まあ、最後の工程のみを手伝っただけに過ぎない訳だ。

確かに、リンカーコア精製魔法で再構築したのは俺だけど……自分の体内に残っていた僅かな魔力を胸にかき集めたのは間違いなく彼等自身である。

それが出来なかった者は、リンカーコアの再発現は出来ない事にしたし、再発現してもリンカーコアが完全に定着するまでリンカーコアが酷く消耗する様な魔法を使う事は禁じて徐々に慣らすように言っておいた。

ついでにこの技術・理論は、まだ実験段階で確かなモノではないという事をあげた上で犯罪者に利用される恐れがあるから口外する事も禁じておく。

そうしておいて、何となくで思い付いた風に適当を装い闇の書やそれに関わる者達の事を聞いてみる。

それはもう、どうでも良さげに関わりたくないけど管理局に関わる者として聞いとかなければならない的な感じで。

言うまでもないが、ここで御都合主義が発生して彼等が闇の書とその主を許すかというとそうではない。

そんな事がある訳がないのは重々承知で聞いてみた。

予想通り、恨みはそのまま。

八神達に、人生を狂わされたという者がほぼ全員。

だけど、時空管理局にはまた関わりたいので、見掛けても関わらない様にするという者が大半だった。

 

「一度、辞めてるから下っ端からやり直しってのも関係してるんだろうなぁ……」

 

あれから10年。それだけあれば、彼等が何処まで昇りつめていたのか……可能性として上げられるなら、階級2ランクアップくらいだろう。それで、彼等が得られたであろう報酬はどれ程のモノか俺にはわからない。

 

「何の話よ?」

 

「管理局の戦力について?」

 

「まだ、そんな考察しているの?結論は、出ているんだから忘れてしまいなさい」

 

「まあ、そうなんだけど……体は大きいくせに、まだまだ未熟な奴が多くて困りネタになっているよ。全く……ま、人の事は言えないけどね……」

 

何れだけ足掻いても、何れだけ望んでも彼等の望みは叶わず……彼女達の願いも届かない。されど、彼女達や彼等の願いを聞き届けるのは俺の仕事じゃないので、これにて闇の書が犯した罪の考察は終了とする。

 

「シグナム、何かと大変だろうけど……みんなで、協力すれば何時かは許して貰えるはずだ。訳がわからないだろうけど、頑張りたまえ……」

 

「???」

 

「じゃ、案内ありがとうね?」

 

それだけ言って、俺は翼と共に部屋へと入って行く。

扉が閉まるのを待って、神崎と翼が生活しているという部屋の奥へと入って行った。

入ってすぐ、中央にベットがあり奥面がガラス張りでミッドチルダを一望出来るようになっている。入り口から向かって、左側が水回り。入り口から向かって、右側はクローゼットとなっていた。

 

「ほぅほぅ……翼、この辺に秘密基地設置しても良い!?」

 

「ここで、一緒に寝るんじゃないの!?」

 

「ええー……二人のラブラブ時間を邪魔する訳には行かないだろう?」

 

「そういう関係じゃ無いわよ!?」

 

「またまたぁ……御冗談を。六課のみんな、二人はそういう関係だと思っているはずだよ?じゃなければ、同じ部屋に入れる訳無いだろう?」

 

「誤解よっ!!」

 

「本当に?僕がいると、誘惑なんて出来なくなるんだよ?」

 

「全然、ウェルカムよ!!」

 

「そう?まあ、それなら良いけど……本当にOK?」

 

「ええ。当たり前でしょう!?」

 

こんな風に言っている翼だけれど、この日の夜は俺がエリオの部屋に行ったっきり戻って来なかった為に意識し過ぎて眠れない夜を過ごすことになる。

その後、訓練から戻ってきた神崎と共に原作組と夕食を取って自己紹介等をした。その際、原作のショートカットの青髪に『あ!修羅だ!!』と指を差されて、オレンジ頭が止めるのも虚しく模擬戦の約束をする事に。

そして、エリオ達と再会をした訳なんだけど……最初、俺が12歳の姿をしていた為にエリオとキャロが俺を俺と認識出来ずにいたみたいだが、劣化術式でチビッ子に戻って見せてからの再会祝いとなった。

因みに、チビッ子化はフェイトちゃんの部屋で行われる事となる。余り多くの人前で、チビッ子化したり12歳になったりするのは色々と問題があるのだそうだ。

 

「双夜は、こっちが本当の姿なんだね?」

 

「いや、ややっこしいかもしれないけど……どっちも、僕本来の姿だよ?どっちかが、本物って訳じゃないんだ」

 

「ふーん。種族的な、変化なのかな?」

 

「あー……ま、良いか。で?二人は、あの後何してたの?」

 

「メールにも書いたと思うけど、自然の生態系の調査をしていたんだ……珍しい鳥とかいっぱいいて、面白かったよ?」

 

「そっかー……キャロは、龍魂召喚上手くなった?」

 

「うん。フリードも、ちゃんと言うことを聞いてくれる様になったよ?ねー?」

 

「くきゅるー?」

 

「……フムフム。あの時、食べちゃわないで良かったーって感じかな?」

 

『え?』

 

二人の疑問を適当に流しつつ、俺達は離れていた間の時間を埋めるように夜通しとは行かなかったけど、ちょっと遅くまで話をしていた。

 

 

 

 

 

 




レジアス中将の大人買いw 大胆だなぁ……w
煽りの双夜。今回も煽るのが中心のお話にw
多分、双夜のやる気が低迷し始めたんだと推測する。
双夜は、気分屋的な所があるのでモチベーションを維持する為に周囲を弄って高めてるんだろう。迷惑な話だw

そして、漸くエリキャロと再開です。
まあ、エリキャロは訓練があるので一日中双夜と一緒にはいられませんが休み時間にはお話したり、日向ぼっこしたりして友好関係を築いていく事でしょう。

因みに、双夜は訓練校で『暗殺者』か『修羅』と呼ばれていた訳ですが、『暗殺者』と呼んでいた大半が男の子で、『修羅』と呼んでいた大半が女の子だった。スバルの『修羅』発言は、そこら辺から来ていると考えてください。

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

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