絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一〇四話

 

 

双夜が、変態を断罪した後……丁度、二週間が過ぎた。

今日は、朝からフォワード達に休暇が与えられてエリオとキャロはデート?に……スバルとティアナは、ヴァイスにバイクを借りてドライブに行ってしまった。

私はというと、朝から惰眠を貪ってゴロゴロしつつ神崎を挑発したり優しく甘えたりしていたんだけど。

しかし、あの馬鹿は訳のわからない事を叫んで逃げてしまったので今は暇だった。

 

「暇だわ……」

 

「働けよ……」

 

「貴方に言われたく無いわ……」

 

「僕、ちゃんと働いてるぞ?」

 

「違うわよ!貴方が、ワーカーホリック過ぎるから言ったのよ!?わかってるでしょう!?」

 

別に、私は全く働いていない訳じゃない。

しかし、コイツや神崎に比べればそこそこ働いてはいる。

私はコイツ等の様に、仕事で暇潰しをする程時間に溺れている訳ではない。やりたい事もあれば、欲しいものもあるのだ。ただ、手元には残らないので困りモノだけど。

この子なら、裏技とか知っていそうだけど頼るのは何故か気が引けた。

 

「神崎は?」

 

「地上管理局・本部よ。レジアスに呼ばれて、行ってしまったわ……お気に入りは、大変ね」

 

それはもう、超嬉しそうに支離滅裂な事を言いつつ出て行った。あれはもう、私から逃げたと考えて間違いない。

 

「レジアスかぁ……そろそろ、そっちも何とかしないとなぁ……つーか、あっちの方は5期生が育って来た辺りか?」

 

何か良くわからない事を呟いていたけど、チビッ子は部屋の奥にあるソファーに腰掛けて別の事を始めてしまった。

私への興味は、それで終了したらしくゴロゴロしていても気にしない……我れ関せずの状態へ。

長く生きて(?)ると、こんなにも薄情になれるものなのね……と長く生きる事に恐怖する。早く功績を上げて、普通の【転生】をして幸せになるんだと誓いを新たにした。

とは言え、功績を上げると言っても何をすれば良いのか今一わからない。それだけは、このチビッ子に聞いておかないと行けなかった。

 

「ねぇ?」

 

「んー?」

 

「功績を上げるって、何をすれば良いの?」

 

「色々……」

 

「……………………」

 

一番困る返答が来た。まあ、それでわかる事もあるけれど……この様子だと、形式的な話ではないとしかわからない。

 

「ああ。因みに、《神殺し》にとっての功績だと難易度がルナティックになるから……僕が、この世界でしなければならない事に柄対する功績って事にしておこうかな?」

 

「貴方が、この世界でしなければならない事柄?」

 

《神殺し》にとっての功績だと、難易度がルナティックになると聞こえて、一瞬ドキッ!とさせられたけど難易度を下げてくれるらしい。少しだけ、安心する。

 

「僕の本分は《神殺し》だ。だけど、それは様々な理由で本職の僕達が殺らなければならない。だから、君達に任せる事は出来ないようになっている。ならば、君が出来る事は限られてくる訳だ……」

 

「限られてくるって……何をすれば良いの?」

 

「簡単だよ。原作に絡む形で、派手に目立つ事だ。即ち、囮って事さ!それと平行して、転生者探しと監視も含まれてくるって訳。それと……でも、その前に」

 

「???」

 

少しだけ、困った顔をするチビッ子。

何か言いにくい事だったのか、チビッ子には珍しく口ごもりつつ説明を始めた。

 

「君には、言っておかないとイケない事がある。君の【転生】には、オリジナルの魂が必要になるだろう……」

 

「オリジナルの魂?」

 

「初めて、僕と会った時の事を覚えているかい?」

 

「ええ。もちろん、覚えているわ……?」

 

昔の記憶を思い出しながら、チビッ子の質問に答えていく。今一、要領を得ないけれど大事な話なんだろう。

 

「うん。じゃあ、その時の君が君自身のオリジナルだったのを知っているかい?ああ、もちろん【魂】の話だよ?」

 

「えっと、貴方と初めて会った時の私が……私の【魂】がオリジナルの魂だった?」

 

「んで、ややっこしいんだけど……TAKEを潜って、ニ度目に会った時の君の【魂】は、インスタント・ソウルにすり替えられていた……」

 

「え?……それ、どういう……え?」

 

「つまり、今の君の魂は【不知火翼】の複製魂なんだ……」

 

「……………………え?」

 

チビッ子が、何を言っているのか全く理解できなかった。

だって、それだと私はTAKEを潜った時にもう一度【転生】した事になる。

 

「僕はねぇ、別の平行世界で君に会っているんだよ……その時の君は、確かに不知火翼で……オリジナルの魂だった」

 

「それって……」

 

「僕がTAKE2で君に、《ルール・ブレイカー》を仕込んだのを覚えているかい?」 

 

「…………私に、《ルール・ブレイカー》を仕込んだ?」

 

何度思い返しても、そんな記憶は無い。

って言うか、私がオリジナルの魂を持っていたと言うことも知らなかったぐらいだ。そういう話は、チビッ子達の様な【外】の存在にしかわからないのではないだろうか?

 

「あ、それは覚えてないのか……きっと、君を転生させた管理者とは別の管理者が、僕に協力しようとする君を疎んだのかはわからないけど……目を付けてしまったんだろう」

 

「…………じゃあ、貴方達の言うTAKE3で、私が不幸になっても家が大きくならなかったのは……」

 

そう言われると、色々と符合する事が幾つかあった。

 

「君の魂が劣化したから……だろうね。元々、死んだ者の魂を【転生】させるにはリスクが伴うんだ。だから、生前の記憶を消したり、魂を出来るだけ洗浄してから転生させるんだけど……【神様転生】には、そのリスクが無かった事になっている。何故だかわかるかい?」

 

「……………………どうして?」

 

「君達の言う、【神様特典】があるからだよ。あれはねぇ、一摘まみ分の神格を君達の魂に与えて補強しているんだ。まあ、転生し終えたら【特典】へと変化して神格としての効能は消えてしまうんだけどね……」

 

転生させる為だけに、一摘まみ分の神格を転生者の魂に与えるって……一体、どんな大盤振る舞いなんだろう。

 

「一摘まみ分の神格で、特典が三つになるの?」

 

「いや。厳密に言うと、3~5つ分の特典になるんじゃないかな?残りの二つは、裏特典に変化するんだよ……」

 

「裏特典?」

 

「まあ、言うなれば負の特典だね。君だったら、【みんなの幸せ。人生の理不尽】と【転生者と原作人物以外と仲良くできない】だろうね……」

 

「は!?何、それ……」

 

パカーンと、頭を横殴りにされたような衝撃が私を襲う。

まさか、私にとってのTAKE1での出来事全てが誰かによって仕組まれたモノだったと言われているみたいだ。

 

「後者は、そのままで……前者は、みんなを幸せにする代わりに自分が不幸になる……みたいな裏特典だよ」

 

『みたい』ではなく、そうなのだと断定されてしまう。

つまり、私のあの苦しみは全部仕組まれていたという事だ。あの悲しみが、あの寂しさが、全部誰かの差し金だったと?冗談じゃあないっ!!

 

「ふざけてるわっ!!」

 

余りの理不尽さに、怒りで声を荒上げてしまう。

確かに私は、神様に転生させて貰った立場だから文句なんて言うべきでは無いんだろうけど……それでも、許せない事がある。

 

「うん。神々がする事は、基本的に悪辣だ。神崎も、それを聞いて大分荒れてたからねぇ……」

 

「えっ!?」⬅?

 

神崎と聞いて、瞬間的に冷や水を頭からブチまけられた気分にさせられる。何故かはわからないけど、少しだけ気が晴れたような気がした。

 

「ん?ああ、馬鹿とは色々と裏話とかするから……(ニヤリ)。ずっと、気にしていたみたいだから、余りイジメるなよ?」

 

「い、いい、イジメてなんて無いわよ!!」

 

「え?ふーん。まあ、兎も角。君は、まず最初にオリジナルの魂を回収する事を第一と考えておくと良い。回収する方法としては、当人の同意を得て抱き合えば問題ないだろう。理想としては、それまでに功績を上げて【転生】のキップを手に入れておけば良いんじゃないかな?」

 

「……………………反論も出ないわ。了解よ!」

 

それは、十分以上の提案だった。

ただ、少しだけ長引きそうな気配にうんざりする。

まさか、私がインスタント・ソウルだったなんて……そう、考えた所である一つの可能性に思い当だった。

 

「神々に関しては、僕達が責任を持って処理するから……任せておいてね?」

 

「ええ。そっちは、任せたわ。特に、ニ度目の転生に関わった方の神様を徹底的にブチのめして欲しい所よ?」

 

自ら、死を望んでも殺さずに半永久的に苦しめてやって欲しい。殺すなんて生温い方法は、取らないで欲しいかな?

 

「OK。みんなにも、そう言っておくよ。まあ、その内会う事もあるだろうから……自分で、お願いするのも良いだろうね?」

 

「ええ。その時は、ちゃんとお願いするわ!」

 

土下座でも何でもして、私を転生させた神様を捕まえて貰わなければ割りに合わない。

 

「あ、土下座みたいなのはいらないよ?普通に頭を下げる程度でお願いね?中には、神様扱いされてるって勘違いして怒る奴もいるから……」

 

「…………そうなの?わかったわ……」

 

「僕達、《神殺し》の大半は神々を憎んで成った者が多いから神様扱いされるとキレる奴がいるんだ。僕もそういうのは嫌な方だし……」

 

《神殺し》と言えど、元は人の子だったらしいので人として扱う方が受けが良いんだとか。その情報は、しっかりと頭に叩き込んでおく事にした。

 

「覚えておくわ……後、一つ確認したいのだけど……」

 

「…………うん。予想通りだと思うよ?」

 

「まだ、何も言ってないわ……」

 

まるで、人の思考を読んでいたかのようなその反応に、少しばかり恐怖に似た感情が沸き上がってくる。

 

「生前の君の話だろう?魂が、オリジナルなら生前の自分は死んでいたのではないかって?」

 

「そう、だけど……頭が回り過ぎるって言うのも、考えようモノよね……」

 

「にゃははは。そだね……さて、僕はそろそろ行くよ?」

 

「あら?出掛けるの?」

 

「うん。ちょっと、地上管理局まで♪」

 

そういうと、チビッ子は入り口の方へと駆け寄り、一度振り返って手を振ると部屋から出て行ってしまった。

 

 

 

……………………。

 

 

 

昼になって、やる事も無かった私は部屋から出て隊舎の食堂に行くと突然アラートが鳴り響き始めた。

どうやら、緊急出動らしい。今日は、フォワードの子達に休暇を与えていたからか、のんびりデスクワークをしていたなのは達が飛び出していく。

やる事も無かった私は、コッソリチビッ子直伝の技法を使って気配を消しつつみんなの後を追い、気が付かれないようにヘリに乗り込んだ。リンカーコア式の魔力操作では、こういう気配を消したり、気が付かれないようにヘリに乗り込むなんて不可能なんだけど……そこは、あのチビッ子の悪知恵である。私のリンカーコアは、リンカーコア精製魔法によってバージョンアップされていた。

だから、普通のリンカーコアと違ってゼロコンマでの使用が可能なのである。今までは、特に気にせずに使っていた魔力だったけれど、あのチビッ子達と行動を共にする事で通常以上の魔力運用が求められるのだ。

普通に戦っていては、途中棄権ばかりで足を引っ張ってしまう。デバイスなんて、昔は役に立つと思っていたけど……今は、自分の頭でマルチタスクを使って計算した方が細かく素早い計算が可能だ。

まだまだ、計算の方が甘くてチビッ子レベルには届かないけれど、原作には有効な技法だった。

 

「それで、何処に行くの?」

 

「え?翼ちゃん!?何時から!?」

 

話し掛けて、漸く気が付いて貰えるレベルが私の限界だ。

これ以上は、リンカーコアでは不可能らしい。

 

「チビッ子技法で、最初からよ?」

 

「双夜くんの技術か……それは、侮れないね……」

 

微妙に引きつった笑みを浮かべるフェイトを見て、少し自慢気に胸を張った。身内認識して貰っているので、デバイスに情報が送られて来たのを見てからの判断だ。

ここで、部外者に情報を渡すとは何事か!?とか言ったらどんな顔をするのだろうか?少し、試してみたくなった。

だけど、時間がモッタイナイので今回もスルー。

 

「まあ、街に行きたかったから便乗しただけよ?人手が足りないなら手伝うけど?」

 

「ううっ……嘱託魔導師の気軽さが、今は羨ましいよ……」

 

なのはに、苦笑いされつつ出動の原因を教えられる。

どうやら、エリキャロがレリックを持った幼女を発見。

保護しているらしい。それを、なのは達が迎えに行こうとしているとの事だった。ただ、それとは別にガジェットの動きも活発化していて、どうもキナ臭いらしいのではやてのリミッターを少し外して、広域魔法でガジェットの方を何とかするらしい。

 

「敵さんに、手の内を見せるのね?」

 

「ホンの数分間の話だから、大丈夫じゃないかな?」

 

「チビッ子だったら、却下しているでしょうね……で、質量兵器でガジェットを破壊。手の内は絶対に見せないわ」

 

「質量兵器でって……」

 

「あら?大悟の訓練見てないの?チビッ子が、質量兵器を振り回して追い回しているじゃない……」

 

「…………それ、質量兵器じゃないよね!?」

 

「…………なのは、否定したいのに、否定できないよぉ……」

 

あのチビッ子が、大悟の訓練と称して質量兵器ーー原始的な武装・金棒ーーを持って鬼の形相で追い回すのである。

しかも、どう見ても金棒にしか見えないそれで如何なるモノも破壊し尽くすので、私はそれを質量兵器と呼んでいた。一振りで、アスファルトで舗装された地面を数十メートルに渡り捲り上げ、叩きつければ陥没は間違いなく……金棒なのに、凄まじい性能を見せ付けてくる。

まさに、破壊棒であった。あれで、駄々を捏ねられたら……普通に死人が出そうである。主な犠牲者は、神崎だけど。

 

「それじゃあ、私はフォワード達と行動しようかしら?」

 

「そうして貰えると助かるよ……双夜くんは?」

 

「地上管理局・本部よ。遊びに行ってしまったわ……」

 

『……………………』

 

物凄ーく嫌そうな顔で、更に複雑そうな表情で押し黙る二人。考えている事は、チビッ子が大人しくしていないだろうなぁ……という共通の見解。多分、間違ってないから質が悪い。今頃、どんな大暴れをしているのやら……。

 

 

 

……………………。

 

 

 

薄暗い部屋の中央で、双夜が入浴剤片手にニコニコと脳髄が浮かぶポットの前で笑っている。その傍らには、そのポットを調整しているのであろう局員の女性が転がっていた。鎧通しによって、体内機関を蹂躙されたジェイル・スカリエッティの戦闘機人であるドゥーエだ。

 

「さあ、リフレッシュしようか?」

 

『く、来るな……来るなぁ!!?』

 

ゆらり、ゆらり、とポットに近付く双夜。

そして、おもむろに手を持ち上げて一閃。シュバッ!とポットを水平に手刀で上段部分を切り捨て……それは、アッサリ切れてバシャン!と硬質な音と共に落ちて砕け散る。

 

『や、やめろおぉぉぉぉ!!!!?』

 

「バブ、投下しまーす!」

 

『ぎぃやあああぁぁぁ!!!?!?』

 

『本気で入れよったぁ!!?!!?』

 

制止の声をスルーして、トポン……と音を立てて固形物がポット内へと投下された。少し、脳髄をカスったみたいだけど、無事に入浴剤は底へと落ちる。

泡が、脳髄を撫でる様に上がって行くのが見えた。

 

『ぎぃやあああぁぁぁ!!!!??』

 

「シュワシュワですよー?」

 

その隣にも、入浴剤が投下された。

 

『し、しし、し、ししみりゅううぅぅぅ!!!!』

 

ついでに、例のアレがポット内で現界する。

ほぼ、三つ同時にだ。邪悪な笑顔が、ポットに反射する。

泡で、脳髄を蹂躙しながらそれは発動された。

行われるのは、良い子となる為の儀式。

 

『ぎゃあああぁぁぁ……!!!!!』

 

「にゃははは!!さあ、泣き叫べぇ!!!」

 

薄暗い部屋の中央で、悪魔の様な笑い声が響く。

それはまるで、地獄の底から響く亡者の呻き声となって周辺に聞こえたという。

 

「おや?メールかな?」

 

 

 

……………………。

 

 

 

「とりあえず、馬鹿と理不尽には連絡しておいたわ……」

 

「馬鹿と理不尽?って……神崎くんと……誰?」

 

「チビッ子の方よ」

 

「ああ!双夜くんかぁ……でも、なんで『理不尽』?」

 

「直ぐに、わかるわ……」

 

ヘリは、順調に現場に着いて私は地上に降り立った。

なのはとシャマルさんは、保護された幼女を診た後二人共にヘリへと戻って行く。きっと、あの幼女を病院にでも連れていくのだろう。だが、このタイミングで保護された子だ……原作に関わりが、無いはずが無いから普通の病院では危険の様な気がした。

 

「さてと、嘱託魔導師の不知火翼よ。ポジションは、なのはと似たような感じだからそういう風に使ってくれるとありがたいわ……」

 

「あ、はい!わかりました!!」

 

ごちゃごちゃ考えた所で、私に何が出来る訳でも無いのでバッサリ切り捨てて現状を見据える事にした。

ティアナに作戦の指揮を丸投げして、さっさとセットアップをする。私のバリアジャケットは、HUNTER×HUNTERのクラピカが着ていた民族衣装のの色違いだ。そこそこ、動きやすくて武器を使う私としては愛用の一品だった。

ティアナから、聞いた任務は下水に流れてしまったレリックの回収だ。残念だけど、今日の街行きはお預けになりそうだった。手伝うと言ってしまった手前、やっぱり止めとくとは言い辛い。潔く諦めて、下水の中へと飛び降りた。

 

「流石に、臭うわね……」

 

「まあ、下水ですから……」

 

「とりあえず、行こう!!」

 

本当は、飛行魔法で駆け抜けたかったけれど……この子達の、お守りもしないとなので一緒に走っていく。

しばらく走ると、隣のオレンジ頭の子がチラッチラッと私を見ている事に気が付いた。

 

「何?」

 

「あ、いえ……少し、意外だったので……」

 

「街に出たかったのよ。で、便乗したら運賃を払わないとイケないでしょ?でも、今日は無理そうだわ……」

 

フォワードの子達が、私の話を聞いて苦笑いをする。

 

「あれ?街に行かないんですか?」

 

「あら?下水の臭いを撒き散らしながら街を歩けって言うの?エリオくんは、サディストなのね……」

 

「あ、す、すいません……」

 

「ダメだよ?女の子には、もっと気を使わないと……」

 

「今のは、減点ね……」

 

「はうっ……」

 

「ふふふ。……と!」

 

フォワード達の前に出て、現れたガジェットを殴って破壊する。少しだけ、手が痛くなって肉体的アドバンテージが無くなっていたことを思い出した。

 

「スフィア、剣になってくれる?」

 

《Yes sir.》

 

「え?剣……ですか?」

 

「そうよ?それが何……って、そう言えばなのはと似たような感じとか言っちゃってたわね。正確には、接近型の砲撃魔導師よ……」

 

「あ、本当になのはさんと似てるかも……」

 

「そっちかぁ!OK、把握しました!!」

 

フォワード達の、それぞれの反応が新鮮で楽しい。段々、あのチビッ子に引き摺られている様な気がして鬱だった。

だからと言って、手を緩める訳にも行かず私は剣を鞘に納めて腰のベルトに差し込むとスバルと共に走り出す。

しばらく走ると、またガジェットが現れ……しかし、それは横合いから現れた髪の長い、とても可愛らしい女の子に撲殺された。

 

「ギン姉!!」

 

「スバル、久しぶりね……」

 

「あ、納得。とても、わかりやすい自己紹介だったわ……」

 

「えっと……(焦)」

 

ティアナが、微妙に焦っているけど、どうしたのやら?

 

「陸上警備隊第108部隊・陸曹ギンガ・ナカジマです!」

 

「嘱託魔導師不知火翼よ……これなら、前衛は任せて大丈夫かしら?」

 

「はい!多分……」

 

「多分は、いらないわ……」

 

ティアナの駄目なところを指摘しつつ、後方に回って殿をかって出る。ギンガが、ここに来るまでの経緯を簡潔に語っていたけど、その途中で広い場所に出た。

 

「厄介な場所に出たわね。周囲を警戒って所かしら……」

 

「了解。この周辺を探すわよ?」

 

『了解!』

 

しばらく、周辺を探して回るとレリックを保存するケースが見付かった。それと一緒に現れたのは……。

 

「ゴキブリね!下水ですもの、仕方ありませんわ……」

 

人形と化した黒い虫が現れた。それと、女の子。

黒い人形の虫によって、ケースから引き離されたらその少女がケースを拾い上げる。

 

「ちょ、違うんじゃないですか!?」

 

ティアナのツッコミの後、ギンガが女の子に警告して人形の虫に向かって行く。

これだから、真面目な子って苦手なのよね。

そう、認識しながら人形の虫との間合いを詰めて剣を振るった。すると、虫人の手の甲から刃が飛び出してきて私の剣を受け止める。

 

「うーん。もしかして、ゴキブリって言った事怒っているのかしら?」

 

「何を呑気な事を!?」

 

「あら?だって、余裕があるとそうなるのよ……」

 

『え!?』

 

腕力だけで、虫人を吹き飛ばした。

段々と、チート化していた筋力が落ち始めて、漸くあの頃望んでいた自分を手に入れられそうになったと思っていたんだけど……今は、少しだけ後悔している。

 

「戦い続けるなら、必要だったかしらね……」

 

これは、今後の課題となるだろう。

地味に面倒だなと思っていると……目の前が、カッ!と明るくなった。思わず目を閉じてしまい、視界が塞がれたが向かって来る気配を便りに剣を振るう。ギィイン!と運良く当たったけれど、深追いは危険なので大きく後退した。

 

「ルールー!」

 

「あまり、言いたくはないけど……さっきのはいただけないわ。幼い女の子をまるで人質に取った様に見える、制止の仕方は……理不尽が知ったら、ティーダさんとお話かな?」

 

「あうっ……」⬅涙目

 

「さてと、身内弄りもそこそこに……仕切り直しかしら?」

 

「戦闘中ですよ!?」

 

ギンガが、ふざける私に怒鳴ってくる。

だけど、あのチビッ子と比べると……どうしても、余裕が生まれるのだから仕方がない。チビッ子との模擬戦だと、こんな風に戦闘に休憩を挟める状況所ではないから。

一度、あれとの戦闘を体験させたいと考えながら、私達の後ろで作戦を練ってる子達の時間稼ぎをする。

 

「でぇやああぁぁぁーーーーーー!!」

 

しばらく戦っていると、リインフォース・ツヴァイとヴィータちゃんが救援に駆け付けてくれた。

ツヴァイちゃんは、敵のインプッポイ子と……ヴィータちゃんは、黒い虫人をそれぞれ担当してくれる。私達は、それの補佐的な感じで戦い……何とか外へ。

さて、馬鹿と理不尽は来ているのかしら?と視線をさ迷わせている内に、キャロとエリオが女の子とインプを確保していた。女の子は、素直過ぎるくらいに戦闘を停止。

馬鹿と理不尽の出番が、無くなってしまい残念に思う。

だから、少し気が緩んでいたのも仕方がない事なのよね。

女の子達を確保した直後、ヘリに向けて砲撃が穿たれた事に気を取られて折角確保した女の子とインプを敵?に奪い返されてしまった。

 

 

 

……………………。

 

 

 

今回のオチ?

私が救援を求めた結果(?)が、六課の隊舎に戻って判明した。チビッ子が、戦闘機人なる敵勢力を捕まえて無力化してしまったらしい。

 

「トーレさんとディエチ……それから、ドゥーエさんだ……」

 

目の前に連れて来られた三人の幼女達が、拘束されていて何故か酷く怯えている。

 

「何、やった訳?こんなに、怯えて……」

 

「お、俺じゃねぇよ!!師匠が……やってしまったんだ……」

 

多分、『やらかした』の方の『やってしまった』なのだろう。神崎が、酷く落ち込んだ様子で『原作崩壊』とブツブツ言っている辺り、この場面で捕まる様な存在では無かったみたいだ。

 

「それで?何したの?」

 

「師匠が、レリックを抜いて斬っちゃった……」

 

何気に可愛い言い方をしてくれる。

ちょっと、キュンと来てしまった。

 

「順を追って、説明してくれるかしら?」

 

神崎の話では、チビッ子が地上管理局で一番の黒幕をイジメて『良い子』にしていたらしい。そこへ、私から連絡が入って慌てて急行したのが最終場面辺りだったと言う。

神崎が、『ああ、これは無理ですね』と言っているのにチビッ子は神崎を掴んで加速術式込みで投げ飛ばし、離脱しようとしていたクアットロとディエチの進行方向に叩き付けて妨害。敵は、気にせず直ぐに逃げようとしたらしいけど、妨害したモノが神崎だと知って二重の意味で硬直。

突然の事に慌てている間に、相手の背後に接近してズドーン!クアットロとディエチを引き剥がして、地面を転がっていたディエチを確保したとのこと。

その直ぐ後、ディエチを奪い返そうとして向かってきたトーレを一撃撃破。で、三人を拘束したらしい。

 

「待って、計算が合わないわ。もう一人は、何処から涌いて来たの!?」

 

「地上管理局に潜入していたスパイを、確保していたんだよ。で、気が付いて暴れたから、師匠の妖精魔法《リヴゥフロー》で無力化したら……何故か、レリックが排出されたんで師匠が調度良いって、斬っちゃったんだ……」

 

何でも、《リヴゥフロー》で幼くなった結果……レリックに合うように調整されていた体が、レリックと合わなくなって排出されてしまったという事だった。

 

「……って事は、この子達……弱体化したの?」

 

「はい。弱体化して、元に戻っても体が丈夫なだけの魔導師程度に成り果てたって感じ?」

 

「鬼ね……」

 

「師匠だから、仕方がない」

 

「うっかり、納得しかけてしまったわ……」

 

「だって、師匠だから仕方がない……」

 

 

 

 

 




機動六課が、核弾頭と起動スウィッチを手に入れた。

もう少し詳しく言うと、核弾頭に電源が入っちゃった状態wwwww!
そして、ストーリー上…核弾頭が、起爆する秒読み段階に…w
つーか、後三話程?まあ、引き延ばしはするかもだけど…w
それでも、五話程しか引き伸ばせないかな?起爆スウィッチが、誘拐されたら……この世界も大詰めですね!!

あるぇ!?トーレとディエチ、ドゥーエ姐さんが捕まっちゃったよ!?しかも、リヴゥフローで幼女化。そのまま、トーレとドゥーエは妖精処理して幼女のままにしてしまえ。暴れられても面倒だ。と思っていたのに…レリックが、排出されて核弾頭が斬り捨てたってww無力化は出来てないけど、戦闘機人としては能力が半減ってところかな?
やっぱり、幼女のままにしてしまえ!!(キチガイ)

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m(_ _)m

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