絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一〇五話

双夜

 

 

翌日。

ティアナ達が、微妙に落ち込んでいた。

昨日の休暇からの出動で、戦果を上げられ無かったのが原因だと思われる。もとい、俺が散々煽ったのもイケなかったかもしれない。非魔導師である俺達が、敵を捕まえるという大金星を上げたのに、彼女達の戦果はレリック一個を死守しただけに終わったからだ。

その為に、俺が魔導師の優位性を語った上で今回の戦果を使って散々煽った結果がこの有り様だった。

 

「悪かったよ。未熟練なお前等を魔導師だからって、一人前扱いしていたのがイケなかった。半人前だもんな!これからは、その様に取り扱うようにするよ!!」

 

「うっさい!謝ってないでしょ!?それ!!」

 

ニヤニヤしながら、ティアナのツッコミを甘受してエリキャロの頭を撫で撫でする。エリオとキャロは、まだ幼いから仕方がないんだよ。もっともーっと頑張って、フェイトちゃんを追い抜かないとね!と慰めておく。

 

「ティアナ達は、年上なんだからもっとしっかりしないと……チビッ子に抜かれちゃうぞぉ?あ、ティアナ。ティーダさんがお話したいって言ってたけどどうする?」

 

「ひぃ!?」

 

「ディスりに行くわね……」

 

「あれはなー……師匠だから仕方がない」

 

「昨日から、そればっかりね。飽きてきたわ……」

 

「まあ、師匠のあれは師匠のモチベーションを上げる為の行為でもあるから……止められないんだよなぁ……」

 

等と、別のテーブルに着いていた神崎達の会話が聞こえてくる。確かに俺は、自分のモチベーションを保つ為に周囲を煽っているけど無差別にやっている訳じゃない。

ちゃんと、人は選んで煽っている。

これを止めると……何にもしたくなくなるんだなぁこれが。

最終的な、《時渡り》回数を知ってしまっているから段々面倒臭くなって来た。何もかも神崎に押し付けてしまえるなら、全部使い魔と神崎に押し付けて秘密基地内でグータラしたい。ゲーム(VRRPG)やここに来る前に買い溜めた魔導書や科学技術系理論書を消化したいところだ。

まあ、やっても良いけど……世界が、《旧・神族》の玩具にされるのも搾取されるのも嫌なので手が抜けなかった。

朝食を済ませた後、俺は適当にフラ~と六課から消えて本局の無限書庫へと妖精転移で移動した。

とりあえず、ユーノ司書長と受付の司書を驚かせて遊び、その後はリンディちゃんの執務室へ。因みに、リンディちゃんの執務室では慎重に行動する。

何故なら、下手にバーン!と行くとリンディちゃんが薄着でいたりするからだ。女性の裸怖い俺としては、逆にビックリするだけになるので呼び鈴を押してから中に入る様にしている。

 

『はーい。どちらさま~?』

 

「ソウニャです。ユーリいますかぁ?」

 

『調度良かった!助けて!!』

 

「既に黒化していたか!?」

 

恐る恐る執務室へ入ると、半泣きなユーリが飛び付いてきた。それを何とか受け止めて、ユーリをギュッと抱き締めて頭をヨシヨシと撫でる。それだけで、ユーリは大分満足した様で俺に体重……じゃなかった、身を預けてきた。

 

「リンディちゃんにイジメられたの?」

 

「イジメてないわよ!?」

 

「しょうがないなぁ……報復方法は、仕事の追加でOK?」

 

「止めて!仕事、増やさないで!!」

 

まあ、報復話は冗談なので気にしなくて問題ない。

だが、仕事の方は追加になるんだよね。お疲れ様です。

 

「つーか、君達が前に知りたがっていた話なんだけど……昨日、元凶を潰して来たからそこら辺詳しく答えられるようになったんだけど……知りたくない?」

 

「くっ……それ、聞いたら仕事が増えるのよね?」

 

リンディちゃんが、怖いもの見たさな感じの質問をしてくる。顔色や表情を見ても、聞きたくないけど聞かないとイケない話なんだろうなぁ……という思いがありありと伝わってきた。そして、それは正解だ。

 

「もちろん。つーか、僕が今まで隠匿してきたのも全部公開する事になるだろうから……局員全員、死ぬ気で殺らないとイケなくなるかな?」

 

「聞かないって選択はあるかしら?」

 

「あー。聞かなかった場合は、僕が広域次元犯罪者になるって感じ?……あ、そうだ!レティちゃんの耳元で全容を呟いて来るね?その方が、早そうなんで(笑)」

 

レティちゃんなら、仕事に人事も含まれているので調度良い感じになるだろう。そうと決まれば早速!!

 

「待って!とりあえずで良いから、話を聞かせてくれないかしら?今日は、クロノも聖王教会に行っていーーー」

 

聞かないという選択で、犯罪者が生まれるのは避けたかった様子。ってか、不祥事な上に超大スキャンダルだ。

次元世界が、大荒れになる(笑)。

 

「聖王教会?カリ姉達か……教会の騎士団借りたら良いんじゃない?あ、でも……これから摘発するのは、管理局の身から出た錆びだしなぁ……武装隊だけで、何とかする必要があるかも……」

 

ちょっと、カリ姉ちゃんの事を思い出したので提案してみたけど、管理局内部のしかも膿の摘出作業なので諦める事にする。残念無念。人手は、多い方が良いのだが身内の恥を晒す必要もないと判断した。

 

「身から出た錆び?」

 

「リンディちゃん。不幸は、共有するモノだよね?レティちゃん呼んで?」

 

という訳で、集まったリンディちゃんとレティちゃん。

ついでに、原作外の複数の提督達。それから、彼の伝説の三提督にも地上管理局の最高評議会についての話を聞かせてやった。それ等が犯した犯罪はもちろんの事、リンディちゃん家が全壊した理由や俺が暗殺され掛けていた理由を公開。

それにまつわる、重犯罪から軽犯罪までを全て公開すると全員が腕を組んで困惑するか、頭を抱えて途方に暮れてしまった。

 

「何てモノを、発掘してくれちゃってるのかしら?」

 

「これ、どうにもできないでしょう?」

 

口々に、手の出しようがないと提督達が首を横に振る。

 

「あー。既にプチっとしてきちゃったんだけど♪……まあ、だからこうして公開できるんだけど……」

 

『…………何をした(の)!?』⬅ほぼ全員

 

「管理局の最高評議会……地上管理局の地下施設に、こんな感じで隠れていたから昨日…………」

 

と言いつつ、現在の最高評議会の姿を見せた上で、昨日俺がやらかしてきた事の記録を公開する。すると、その場にいた全員が顔を両手で覆い嘆きの声を上げ始めた。

嘆きというか、むしろ悲鳴?

 

「既に、黒幕を手に掛けてたのか!?」

 

「また、仕事が……仕事がぁー!!」

 

「あー……あー!仕事が……仕事があぁぁぁ!!」

 

降って湧いたかの様な仕事(量)。かつて無い程、途方もないレベルの事柄だった為に壊れ始める提督達。仕事量的に言えば、多分残業三昧しても終わらないレベル。隠蔽は、目の前にいる俺がさせないので残業確定。

その事に、更なる絶望感が溢れてきて彼等は奇声を上げるしか出来ない。

 

「これも全て、僕を自由の身にしちゃった人がイケない。つーか、執務官権限くれたら僕のお友達を使って裁判までお手伝いする事は出来るんだよね。ぶっちゃけ、長引いても一年程度だろうし……」

 

「それが出来たら、苦労はしないわ……」

 

「だよね!とりあえず……ポチッとな?」

 

コンソールを呼び出し、どれだけの余罪があるかをその場にいる全員にわかるように提示した。

 

「過去、170年前から及ぶ……最高評議会の方々が、犯した犯罪という犯罪をピックアップ。見よ!これが、時空管理局開設以前から続く管理局の暗黒歴史だ!!」

 

目の前に、提示され始めた犯罪の数々に提督達が唖然とした顔で食い入るように見ている。

その一つを、おもむろに取り上げて読み上げてやった。

即ち、闇の書のトドメについて。

すると、それは今の時空管理局とは関係の無い話だろうと反論される。時空管理局となる前の組織がした事だから、自分達には全く関係のない事柄だと言い切られた。

だが、前身だろうが何だろうが、同じ組織である事に変わりはない。それなのに、関係性云々を組織に所属する彼等が愚痴るのは卑怯だ。組織が同じであるならば、その罪も同じでなければおかしい。それに、大人が子供を守るのは法を守るのと同じくらい大事な仕事である。

それを放棄する事は、許されるモノではない。

 

「まあ、終わった事だからペイっとしちゃうけど……ここにも、残念な大人がいやがったか……もう、コイツ等を巻き込まずにこっちで勝手にヤっちゃおうかなぁ……」

 

「えっと……その場合、犯人はどうなるのかしら?拘置所とか、刑務所みたいな施設は持っていないんでしょう?」

 

「え?そんなん……誰かさんの言葉を借りるなら『犯罪者は、皆殺しだ!!』かな?」

 

俺が関わった、未来のクロノ・ハラオウンの言葉だ。

 

「……………………協力させて貰うわ!是非に!!」

 

とりあえず、その未来への道筋は断ち切ってあるので問題はない。現在、使い魔が残党の殲滅を行っているそうだ。ってか、いつの間に【凌辱系転生者】と接触したのやら……報告書すら、俺の元に届いてない所を見ると本当に何の前触れもなく戦争になってしまったもよう。

希にあるんだよね。こちらに気が付かれないように行動して、殲滅しに来る馬鹿が。理由は、【外】から来た報告書で納得した。

どうも、【管理者】の一柱が神権を失いたくない一心で転生者に全面協力をした結果、こちらの情報網に引っ掛からずに戦争となってしまったらしい。流石に、【内側】の世界の中で【管理者権限】を使用して隠蔽されたら手の出しようもないというモノだ。まあ、それでも戦況を盛り返し転生者達を打破して殲滅戦に持ち込んだ使い魔達に惜しみ無い拍手を送りたい。

『良く殺った!』と、誉めて讃えてやる必要があるだろう。出来るならば、お休みを与えてヤりたいのだが……さて、何時になったらお休みを与えてやれるのだろうか?今はまだ、先も見通せない。

ま、ストライキを起こせば、それに限らずお休みを与えてやれるのだが。

 

「これを放置したら、次元世界が大荒れになる予感がする……それに、子供を犯罪者にする訳にもいかないか……」

 

微妙に諦めムードな提督達が、それ等のデータを確認し始める。しかし、前身組織時代のはカットして欲しいと言い出した。そこら辺は、わかっていたので了承し……時空管理局開設と、そこから現代に至るまでの暗黒歴史を彼等は難しい顔で見ている。

 

「とりあえず、前身組織の分に至っては歴史書として纏めちゃうね?」

 

俺がいなくなっても、残る様に細工をして保存しておけば問題は無いだろう。ちょっと、過労死し掛けるとは思ったけれどユーノ司書長にお願いして纏めるのを手伝って貰う事にした。ってか、妖精魔法の【妖精の陣(不老長寿系結界)】や【妖精の泉(疲労回復)】も使えば何とかなると考えられる。必要であるなら、【妖精の涙(体力回復)】や【ガッシュの炭(覚醒薬)】等の魔法薬も使用可。

 

「ユーノきゅん、覚悟して貰おうかな?」

 

『何か、ろくでもない事を考えていそうだ……』

 

「兎も角、はい。プレゼント♡」

 

「……これに、最高評議会や時空管理局が犯した犯罪のデータが入っているのね?」

 

とっても嫌そうなリンディちゃんが、そのデータボックスを受け取ってくれた。でも、彼等執務官権限を持っている者からすればそれを床に叩き付けて破壊したいだろう。

だけど、それをやったら……通常業務を放棄して、データの打ち込みを手伝った武装隊諸君と、その指揮を担当した司書長達の苦労と時間が無駄になるだけである。

 

「証拠なんかも入れてあるよ?後、最高評議会の確保はちょっとだけ待ってね?アイツ等は、レジアス・ゲイズ中将に捕らえさせるから。レジアスは、最高評議会に苦しめられてきた者の一人だ。ここら辺で、意趣返しもしたいだろうからな!」

 

「あら?でも、彼も加担していたんでしょう?」

 

「君達【海】側が、人手不足だからと高ランク魔導師を根こそぎ連れてっちゃったからだろう?でもって、魔法至上主義がもたらしたのは低ランク魔導師の可能性を徹底否定だったからな。魔力が、少しでもあれば結構えげつない事出来るんだぞ?って訳で、訓練校に入れられたのは良かったかな?修羅量産の目処は立った!!」

 

『しゅら?』

 

聞き慣れない言葉に、提督達が首を傾げて来る。

男はキモく、女は可愛いという不思議(笑)。

 

「あー……簡単に言えば、古代ベルカの騎士……ではなく、何でもありの戦士を大量生産。あの時代を紐解けば、キチガイレベルの戦士がゴロゴロしていたらしいからな……」

 

『あー……』

 

何故か、提督達全員が納得顔。

この様子だと、何でもかんでも『古代ベルカ』と言えばわかって貰えそうな雰囲気にちょっと引いてしまう。

古代ベルカ……もとい、シグナムのイメージが強いと思われるそれは、決して間違いではないと言い切れるモノだった。即ち、古代ベルカ世界全体がシグナムみたいなバトルジャンキーだったという事実。もしかすると、アレよりも酷かった可能性も出てきた感じだ。

 

「何れくらいの戦力になるのかしら?」

 

「そうだなぁ……Cランクもあれば、まず地上戦で敵無しかな?AAランクでも、封殺して落とせるレベル?」

 

『何それ……怖っ……』

 

既に、フェイトちゃんで実戦してる話だ。

そりゃ、フェイトちゃんの性格上未来のお仲間に本気は出せなかっただろうけど……それでも、箔が付いたのは間違いない話で、現在進行形でそんなキチガイ格闘系魔導師が量産されているのは確かなのだ。

 

「卒業式の大乱闘では、フェイトちゃんが五人のDランク魔導師に打ち取られたんだぞ?ほぼ、無傷で(笑)。デバイスをセットアップ出来るなら、確実に戦力になるよ?で、電池式のデバイスを作るってレジアスが息巻いててさ……だからあれは、逮捕するより方向性を与えて使った方が役に立つと考えたんだ……」

 

『何気に酷いよ!?この子……』

 

「余りにも、時空管理局が腐ってたんでヤル気が下方に向かってるんだ。だから、芸風で上方修正しつつ頑張ってるんだよ!今後の方針としては、レジアスが最高評議会の脳ミソ共を確保してから執務官権限持ってる奴全員で当たれば何とかなるはずだ。という訳で、僕はジェイル・スカリエッティを機動六課と捕まえてくるから、そこから一気にこの事件の全容を解決するぞ!目標は、一年以内!!」

 

『殺す気か!?』

 

「今まで、誰も知らぬまま彼等の手足となって犯罪を犯してきた奴だっているんだぞ?それを考えたら、君達だって例外じゃ無いんだ……はてさて、どうしたものかねぇ?」

 

『お、脅す気か!?』

 

「おや?僕が、君達を何時脅したよ?そういう風に感じるって事は……何か心当りでもあるのかい?」

 

『い、いや……そんな事は……』

 

「ま、余罪については後で調べるとして……時空管理局、真っ当な組織にしたいならこのチャンスを逃す理由は無いはずだ。まあ、出世の為や点数稼ぎの為に何かを犠牲にした覚えがあるなら、その罪を帳消しに出来るぐらいの働きを見せてくれ……」

 

それでも、敢えて言うのであれば俺は正義の味方ではないという事だ。これ等の検挙の為に、犯罪行為を繰り返している。まあ、捕まっても良いからやっているのだけど。

そもそも、彼等がそれを利用して犯罪者を裁いた所でそれを用意してきたのは俺自身。捕まるとしたら、彼等ではなく俺が捕まるだけなのだ。

そして、俺は局員ではなく民間協力者。

何の為にそのポジションにいるのかをよーく考えるとわかる話だった。即ち、最初から折り込み済みの計画なのである。この手の改革は、誰かが犠牲にならないと成り立たない。等価交換の原則を掲げる俺としては、その犠牲は俺一人で事足らせたい所であった。

まあ、打算もあるんだけど。

残党狩りだが、アルカの話ではまだまだ掛かりそうな気配があるとのこと。何でも、首謀者とその取り巻きは捕まえて生前の記憶を消去処理し、全く関係の無い管理外世界の町の近くに放置しているらしい。もちろん、転生者を転生させた【管理者】共の検挙とも連動してだ。

でないと、記憶を戻された上に更なる能力を与えられて、原作達をバッドエンドに向かわせる様な細工を施して来るらしい。ついでに言うと、正規転生者がとんでもない武装を振りかざしたという報告があったから驚きである。

何でも、神装武具アルテインとかが出てきたらしい。

神装武具アルテイン……かつて、《旧・神族》が身に付けていたと言われる武装で、その気になれば次元そのものを生み出せるという代物である。天地創造を行った時の神器とも言われ、失われてしまった技術の貴重な遺産であった。

例え、レプリカであったとしても……その威力は、計り知れないレベルの代物だ。良くそんなモノを、転生者に預けようと思ったモノだとアルカリアも驚いていた。

【我々】の世界のロストロギアに該当するそれは、直ぐ様封印して【外】の連中に預けられたらしい。

きっと、【外】の連中も驚いた事だろう。

まさか、神装武具なんか持ち出してくる転生者がいるなんて想定すらしていないだろうから。

俺自身、報告が上がって来ても半信半疑だったぐらいだ。

 

「とりあえず、六課に戻ってジェイル・スカリエッティを直ぐにでも確保出来そうか、はやてに聞いてみるよ」

 

気分を切り替えて、俺はその場にいた提督達に声を掛けた。一応、リンディちゃんの了承を得て俺は執務室を出る。

その際、ユーリを一時的にではあるが六課に連れていく事を提案した。最初は渋っていたリンディちゃんだったが、ユーリが乗り気になってしまった故に了承せざるを得なくなってしまう。結果、六課の戦力面がキチガった(笑)。

ユーリの滞在期間は、大体約二週間程。それくらいで、黒化現象は治まりある程度は何とかなると言っておいた。

それまでに、ジェイル・スカリエッティを逮捕出来るならOK。出来なくても、一ヶ月間くらいは持つ計算である。

六課に戻って早速、八神はやてに許可を貰いに八神の執務室にやって来た。もちろん、ユーリも一緒である。

ユーリは、俺の腕に絡まっていて歩き辛い事この上無かった。

 

「って訳で、ユーリの滞在許可をお願い♪」

 

「ああ、エエよ?ってか、最強を六課に連れて来てもうたんやね……まあ、あんた等は局員でも何でもないさかい気にもせえへんやろうけど、翼ちゃんだけでも結構微妙なところなんやで?キッツいわー……」

 

「別に六課の業務を手伝う訳でも無いんだし……問題は無いだろう?」

 

「無いは……無いんやけど……」

 

「あ、そうそう。僕から、一つ依頼があるんだけど……ジェイル・スカリエッティを逮捕してくれないかな?」

 

「はあ!?」

 

唐突なお願いに、八神がぽかーんと口を開けた状態で固まってしまった。

 

「じゃあ、言い直そう……旧い結晶と無限の欲望が交わる地、死せる王の下……聖地より彼の翼が蘇る。死者達は踊り、中つ大地の法の塔は虚しく焼け落ち、それを先駆けに数多の海を守る法の船は砕け落ちる……以上を回避する為に、設立された機動六課の責務を果たせ!」

 

「なんで、それを知っとんやぁ!!……って、せやった。双夜の場合、知らん方がおかしいねんなぁ……」

 

グワッアっと興奮して、瞬間的に萎んでしまった八神。

 

「うん。で、旧い結晶が『レリック』。無限の欲望が『ジェイル・スカリエッティ』。死せる王は『オリヴィエ・ゼーゲ・ブレヒト』。彼の翼が『聖王のゆりかご』」

 

「え!?ちょ、待って!!」

 

「死者達は本来なら死んでるって意味で『最高評議会やゼスト・グランガイツ』。後は、そのまんまだから訳す意味は無いよね?」

 

「…………そこまで、わかっとんのか……」

 

「うん。情報を纏めると、こんな感じになるんだよ。因みに、ジェイル・スカリエッティの生みの親は確保したんだけどね?」

 

最高評議会は、そもそも確保する必要性すらないけど。

肉体が無いから、逃げることもできないだろうし。

 

「これから、ちょっと出掛けるんやけど一緒に来るか?」

 

「聖王教会のカリム・グラシアの所だよね?うん。行く!」

 

「それもわかっとんのか……段々、部隊作った意味が無くなって来た感じがするわ……双夜一人おれば、何もかも解決しそうな勢いやしなぁ……」

 

顔を覆い、疲れたように肩を落とす八神。

 

「僕、局員じゃ無いんだけどね……」

 

「…………え!?あ、せやった!!本局で、リンディさんと色々やらかしとったから……うっかりしとったけど、民間人なんやったなぁ……」

 

八神は、思い出したかの様に驚いていた。

八神の執務室を後にして、食堂方向へと進んでいく。

 

「神崎と同じ、嘱託戦士です♪……ってか、僕が民間人っていうポジションにいるのも意味があるから勝手に局員登録はしないでね?」

 

「……そうなん?」

 

「うん。絶対、必要になる事だから……」

 

「???」

 

「あ!フェイトちゃん!!」

 

ラウンジで、寛いでいたフェイトちゃんを見付けて飛び付いた。フェイトちゃんは、苦笑いしつつも俺とユーリを受け止めてはやての方を見る。

 

「双夜も行くの?」

 

「せや。何たって、機動六課の設立理由まで知っとた歩く重要機密や。連れて行っても問題やあらへん」

 

「あー……段々、中心人物になっちゃうんだね。双夜は……」

 

騒ぎの中心に、いつの間にか居座ってる。

そう、フェイトちゃんに評価されてしまった。

態とじゃ無いのに……情報収集してたら、そうなってしまっていただけの話なのに。

 

「……なのは、遅いね?」

 

「ちょっと、呼び出してみよか?」

 

ラウンジで、八神とフェイトちゃんが待ってなのはママを待っていた訳だけど……全然来ないので、呼び出してみる事に。通信を繋げた瞬間、大泣きする誰かの声が聞こえた。

 

「にゅ!?この声……」

 

聞き覚えのある声が聞こえて、八神達がなのはママの所に行くというので同行する。なのはママとフェイトちゃんの愛の巣にやって来た俺達は、困り顔で脚に抱き付いている幼女に困惑する白い悪魔を目撃した。

 

「フェイトちゃん、はやてちゃん…あの…助けてぇ…」

 

「えっと……どうしましょう?双夜……」

 

「ここは、放置の方向で!流石に、こんな幼い子には魔法制裁できないもんなぁ……もう少し、見て楽しみたい!!」

 

「まあ、エースオブエースにも苦手なもんがあったちゅーことやな。双夜やあらへんけど、もう少し見てたい気分やわ……あははは」

 

「……………………」

 

なのはママが、微妙に影のある冷めきった視線をこちらに向けている。それに気が付いた八神が、『冗談!冗談や!!』と言ってティアナ達に視線を向けた。

 

「ユーリ、キャロの時みたいに何とか出来ない?」

 

「うーん……」

 

そうこうしている内に、フェイトちゃんがヴィヴィオをあやしてしまった。僕の知る、フェイトちゃんには無いスキルに少し驚く。成る程。転生者に捕らえられていない場合は、フェイトちゃんはこんなにも子供好きになるのか。

 

「フムフム。うさぎさんね……」

 

以前、ユーリに渡した『なにょはママ』人形とは別の『なにょはママBJバージョン』をヴィヴィオに渡す。

 

「これで、寂しくないにょ?」

 

「……………………どこから、そんなモノを……」

 

「普段着バージョンは、ユーリが使ってるから……」

 

「まだ、あるんだ……」

 

「因みに、ヌイグルミの中にレイジングハートを突っ込んでおくと……動きます(笑)」

 

「動くんだ……ってか、レイジングハートを預けたこと無いよね?なんで、わかるのかな?」

 

この世界では実行した事の無い話に、なのはママが疑問を抱く。ちょっと、調子に乗り過ぎたみたいだ。

 

「バルディッシュでも可能かと……ってか、クリスタル系のデバイスならどれでも可能なのでは?」

 

「ああ。そういうこと……うーん。イケるかも……」

 

なのはママは、それで納得してくれたもよう。

ヴィヴィオの遊び相手として、様々な動物のヌイグルミとなったフレールくんを置いていく事にする。そのついでとは言いにくいが、ユーリを護衛として俺と隊長陣は聖王教会へと向かう事となった。ヘリに乗った後、聖王教会に着くまでの間無言で過ごし、殺していた感情を整理する。

ヴィヴィオは、俺にとってとても大事な存在だ。

かつて、全ての次元世界が失われた世界で。

次元航行艦内での、生活を強いられた彼の日々。

俺は、あの子……ヴィヴィオを妹分として、家族として接していた。なのはママとフェイト姉とヴィヴィオ。そして、俺。奇妙な家族ではあったけれど、それなりに楽しく日々を謳歌していた。限られた時間しか過ごせなかったけれど、次元航行艦での日々は俺にとって大切な思い出だ。

確かに、【あのヴィヴィオ】とこの世界のヴィヴィオは全くの別人であろう。だけど、俺の認識は頭ではわかっているはずなのに【あのヴィヴィオ】と代わらなかった。

 

「……………………」

 

神崎の話では、この後でジェイル・スカリエッティにヴィヴィオが拐われてゆりかごを動かす【鍵】として使われるらしい。それは、なんとしても避けたかった。

前回の様に、ヴィヴィオの寿命が縮むかもしれない。

あの次元航行艦の中での生活で、一番目に死んでしまったのもヴィヴィオだった。小さな体で、ゆりかごの【鍵】となったのが原因でヴィヴィオは……ーーー。

 

「ーーーーー」

 

ギリッと歯を食い縛った。

油断していると、感情が暴走を始めそうになる。

穏やかに眠る、ヴィヴィオの死に顔を思い出して悲痛な思いと涙が込み上げてきた。

あんな思いは、二度と嫌だ。

静の時も、俺は無力だった。

だから、ヴィヴィオは……ヴィヴィオだけは必ず護る!!

そう、誓いを新に俺は指針を固める。

 

 

 

 

 




最高評議会がいなくなったとたんにこれだよ!!
順調にモブが、チート化してますね。地上管理局の戦力が、ランク低いのに最強化しているような気がするのは何故だろう。

後、不幸は共有するものではない!!
モブな執務官と提督を巻き込んで、不幸の押し売り大会が始まってしまった。死ぬまで働けとリンディちゃん達にムチを打ち付ける双夜が鬼過ぎる。一番不幸なのは、無限書庫の面々。一日中、椅子に座っていればいいだけのお仕事だけど……眠る事は許されない悪夢の時間。さあ、データを打ち込んでデータベースをつくるのだ!!

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m(_ _)m

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