絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一〇八話

フェイト

 

 

あれから、双夜が私達の部屋にずっといる。

ずっとと言っても、一緒に寝食を共にしている訳じゃ無いんだけど。

朝起きて、朝食を取った後仕事に行く頃になると部屋にやってきて入れ替わるように私達を送り出してくれる。それは、良いんだ。

ヴィヴィオの面倒を見てくれるし、大いに助かっているのも事実。良いんだけど、これまでの素行が素行だけにヴィヴィオに悪影響がでるのではないかと不安になる。

なのはは、双夜に関して何故か何も言ってはくれないので私がしっかりしなければならない。というか、とても積極的に双夜にヴィヴィオを任せ切っちゃっているくらいだ。

流石にヴィヴィオの教育上、双夜に面倒を見させるのはマズイ気がする。

だから、その辺りの事情を知るアイナさんに双夜とヴィヴィオの事をめいイッパイお願いした。アイナさんは、最初苦笑いしていたけど力強く頷いて胸をドンと叩いて私のお願いを快く引き受けてくれる。それで、少しだけ安心して私は仕事へと行けるのだった。

それに今日は、陸上警備隊第108部隊からスバルの姉ギンガがやってくる日。

スバルの為にも、不甲斐ない姿は見せられない。

そんな思いで、迎えたその日は何故か神崎達もいて楽しそうにシグナムと話をしていた。

 

「あれ?翼、見学しに来たの?」

 

「例によって、知らされて無いんだな……」

 

私の質問に神崎が答えてくれる。

だけど、それは私が思っていた事とは異なる返答だった。

 

「どうして、フェイトはそういう話から遠避けられるのかしら?」

 

「あれじゃねぇ?相談したりすると、まず拒否されるからだろう?」

 

「ああ。フェイトって、過保護そうだものね……」

 

「え、えっと……」

 

今一、神崎達が言っている事が理解できないけれど見学とかでは無いらしい。

疑問に思いながら、首を傾げていると見かねたシグナムがそれを教えてくれた。

 

「隊長達と模擬戦の後、双夜達とも模擬戦!?聞いてないよ!?」

 

「別にフェイト達が、俺等と模擬戦する訳じゃ無いんだから大丈夫だろう?」

 

「で、でも、まだ早いと思うんだ!ちょっと、なのはに言ってくる!!」

 

双夜との模擬戦でも負けが込んでいるのに、神崎達を含めた5対3なんて早過ぎる。

彼等がどんな化け物なのか、なのはだってわかっているだろう……なのに、そんな無謀な事をさせる訳には行かない。

 

「なのはっ!!」

 

「あ、フェイトちゃん?どうしたのかな?」

 

「双夜達との模擬戦、私はまだエリオ達には早いと思うんだ!!」

 

「ああ。大丈夫だよ、みんな出来るようになって来てるし……それに、双夜くん達も十分に手加減してくれてるよ?」

 

「なのはぁ~(泣)」

 

「まあまあ…それに、双夜くん達との模擬戦はとっても良い経験になるよ?」

 

なのはは、全くこちらの話を聞かず……笑顔で、着々と模擬戦の準備を始めていた。

 

「じゃあ、フォワードのみんなぁ~集合してぇ!!」

 

そうこうしているうちに、エリオ達を集めたなのはがギンガをみんなに紹介して一緒に訓練することを伝える。それと、地上に用事があったマリエルさんの紹介もした。

マリエルさんは、地上での用事が終わるまで六課に滞在するとも伝えられた。

マリエルとシャーリーは、訓練の様子を見学するという事でその場から離れる。

すると、なのはが唐突にギンガとスバルに二人で模擬戦をしてみるかと問う。

一対一で模擬戦して、スバルの成長を確かめてみては?という提案だった。

それに、ギンガは快く了承。少し、戸惑っている様に見受けられたけど問題は無さそうだ。勝敗は、僅差でギンガの勝ち。でも、スバルも中々いい感じに仕上がって来ている。

 

「じゃあ、今度は私達とやろうか?」

 

「え!?」

 

何故か、ギンガが目を見開いて驚いているけど……何かおかしなこと言ったかな?

元々、予定されていた事で私も賛成した模擬戦。

エリオ達の成長も見られるし、私としては願ったり叶ったりだ。

ただし、双夜逹との模擬戦は今尚反対のままである。

神崎達は、参加せずに見学するとのこと。参加すると、パワーバランスが崩れてしまうからと言われた。だからまずは、私達が先にやってその後に双夜含む神崎達との模擬戦となるらしい。ギンガが、少し戸惑っているけど始まってしまえば問題ないと言うことで模擬戦はギンガが正気に戻る前に始まった。

結果は、当然と言えば当然だけど私達の圧勝で終了する。

 

「じゃあ、少し休んだらもう一戦やろうか!」

 

「あ、ちょっとなのは!?」

 

「大丈夫、大丈夫!次は、私達じゃなくて彼処にいる神崎くん達が相手をするから……あ、双夜くんも来たみたいだね!」

 

袖を引っ張って、懇願してもなのはは止まらない。

ほら来たよ!と言われて、振り返れば棒を持った双夜が駆けてくる所だった。

どこか楽しそうな双夜が合流して、私達隊長陣は少し離れた仮想レイアウトビルの屋上に退避する。フォワードは5人。対する双夜達は3人。普通に考えれば、双夜達が不利なんだけれど……全く、意に介さずにハンデなんて無かった風に戦うのが双夜達だ。

そして、なのはの掛け声によって模擬戦は開始された。

結果だけを言うと、双夜達の圧勝だ。ただし、普通ではありえない事が起きる模擬戦なので終始フォワードのみんなは、ありえない事(悪戯)に足並みを乱されて蹂躙され続けるだけの結果となる。

 

「こんな、ワンサイドゲームみたいな模擬戦やったって教導にならないよ!!」

 

「そうでもないよ?双夜くんも、私のリクエストにちゃんと応えてくれてるし……」

 

「え?リクエスト!?」

 

「ほら、教科書や先輩達の教訓話とかで聞いたり見たりはするけど、実際に体験なんて希でも無いじゃない?でも、双夜くん達だったら上手く誘導して実際に体験させてくれるんだよね!事前に、こういうのをやって欲しいって言っておけばやってくれるんだよ!」

 

「…………それは、確かにまあ……聞いた事や見た事のあるシチュエーションがチラホラあったけど……偶然じゃなくて?」

 

「うん!双夜くん達が、頑張って私のお願いしたシチュエーションを再現してくれるんだよ!!ただ、ちょっと想定外なのもあるんだけどね……」

 

ああ。やっぱり…と、苦笑いするなのはを見て額に手を当てて首を横に振る。

多分、なのはのリクエストと一緒に自分のやりたい悪戯もやっているのだろう。

それは、容易に想像が付いた。だが、双夜がなのはに協力してくれていたと言うのは少し意外で……私的にはにわかに信じ難いことだ。

 

「ティアナ達にとっては、双夜くんと模擬戦する事はとても良い経験になるんだよ?」

 

「それは……わかるんだけど、私にはとても教導ができるとは思えないかな?」

 

「それは、フェイトちゃんが……一々、良い反応を返すからだよ!……で、どうだった?上手く出来たとは思うんだけど……」

 

「あ、双夜くん!もちろん、バッチリだよ!」

 

「悪人ッポイ、僕を信じれないもんねー?フェイト姉ちゃんは……でも、なのは、さんは僕の事信じてくれるよ?」

 

「……双夜くん、言いにくいなら『ママ』で良いって言ってるのに……」

 

「ティアナ達が、困惑するでしょう!?それに、今の僕はリンディちゃんに引き取られた子供なの!なのは、さんとは、フェイト姉ちゃんの親友で僕とは他人なんだから……」

 

なのはが、とても嬉しそうに双夜にお礼を言うものだから毒気を抜かれて……その上で、双夜に溢れるほど注入される。ついでに言うと、双夜は私の後ろに隠れてしまった。

なのはを指差して、『フェイト姉ちゃん!なのは、さんが、変な事ばかり言うよ!?』と助けを求めてくる始末。

 

「ほら、フェイト姉ちゃんも言ってやってよ。僕は、ハラオウン家の子供なんだよって!?なのは、さんとは他人なの!!」

 

「フェイトちゃんは、私が悲しくなる様なことは言わないよ……ね?フェイトちゃん!」

 

「え?あ、うん……」

 

「今、フェイト姉ちゃんに強制した!?それ、絶対言わせたよね!?」

 

「えー?言わせてないよ~?双夜くんは、何にでもケチ付けるんだね?」

 

「それに、そんな事(ママ)言ったら……産まれたばかりのヒヨコみたく、強制刷り込み状態で『私の子』認識されちゃうじゃん。なのは、さん、真面目だから困る……」

 

そんなことないよー?と言うなのはを見ながら、双夜の言うことが一理あることは私もわかっていた。何となく、双夜がなのはの性格を把握しているんだということがわかって苦笑いが漏れてしまう。

 

「なのは、さんは、気に入ったらガチでまっしぐらだからな……ちゃんと、境界線は引っ張って置かないと、いつの間にか既成事実にされていそうで怖い……」

 

「あー……ちょっと、わかるかも……」

 

「だよね!んで、フェイト姉ちゃんが嫌がるのを無視して……いや、フェイト姉ちゃんは嫌がらないかもだけど……同じ家に引きずり込まれていそうだ……」

 

「それは、ないんじゃないかな?」

 

「平行世界の『なのは、さん』が、大体そんな感じだったんだよ。平行世界って言っても、本質は変化無いから……この『なのは、さん』も、同じかと思われ……」

 

「本質は、変わらないんだ……」

 

だったら、双夜がなのはを理解していても不思議ではない。

……無いんだけど、ちょっとだけ双夜が疎ましく思えた。

 

「嫉妬?」

 

「ウグッ……」

 

図星を指されて、言葉が詰まる。それを、誤魔化す様に双夜から視線を外すとヴィヴィオがザフィーラ同伴でこちらへと来るのが見えた。

 

「ママー!」

 

「ヴィヴィオ?」

 

「危ないよー?転ばないでー……」

 

「うん!」

 

そう返事した瞬間、ヴィヴィオがコテンと転んだ。

 

「あ、大変!」

 

慌てて駆け寄ろうとするが、それをなのはに遮られる。

 

「大丈夫。地面柔らかいし、綺麗に転んだ。怪我はしてないよ……」

 

「ウウッ……」

 

ヴィヴィオが、涙目で顔を上げてこちらを見上げて来る。

 

「怪我してないよね?頑張って、自分で立ってみようか?」

 

「ママぁー……」

 

「うん。なのはママここにいるから……おいで……」

 

「う……あ……ううっ……」

 

ヴィヴィオは転んだまま、涙をポロポロ流し始めた。

 

「なのは、ダメだよ。ヴィヴィオ、まだちっちゃいんだから!」

 

私は、見ていられなくなってヴィヴィオに駆け寄り抱き上げる。

 

「フェイトママ……」

 

「うん。気を付けてね?ヴィヴィオが怪我なんかしたら、なのはママもフェイトママも泣いちゃうよ?」

 

「ごめんなさい……」

 

「もぉー、フェイトママはちょっと甘いよ?」

 

「なのはママは、厳し過ぎです!」

 

「ヴィヴィオ、今度は頑張ろうね?」

 

「うん……」

 

なのはは、苦笑いした後……地面に下ろしたヴィヴィオの手を取って、隊舎の方へと歩いて行く。一段落付いたので、私達は一度昼食を取る為に移動を開始した。

 

「成る程ね。フェイトちゃんって、子供に甘かったんだね……」

 

「平行世界の私は、違ったの?」

 

「言っただろう?僕の知るフェイトちゃんは、人格が壊れてたって……なのは、さんに甘えているフェイトちゃんしか知らなかったから……」

 

「他の世界では、どうだったの?」

 

「うーん……面倒見の良いお姉さんって感じだった……」

 

双夜はまだ、私を完全には把握していないらしい。

最初の世界の話は聞いたけれど、その世界の私は今の私とは大きく違っていたということだった。それだけ、【転生者】という存在が歴史を滅茶苦茶にしたんだとわかって少しだけその未来に同情する。そして、その上でこの世界は守り切ると誓いを新たにした。

もう少し、双夜と話をして食堂のテーブルに着く。

昼食を食べていると、ヴィヴィオがピーマンを避けて食べていることに気が付いた。

それをなのはが注意して、ヴィヴィオに食べるように言う。

ヴィヴィオは、泣きながらもピーマンを食べきった。

 

「ほらほら、キャロも人参を食べないと恥ずかしいよ?」

 

「ううっ……」

 

「ヴィヴィオは、ちゃんと食べたんだからキャロも食べないとねぇ?」

 

「うううっ!!」

 

ヴィヴィオが、ピーマンと格闘している間私の背後からは双夜とキャロ達の会話が聞こえて来る。エリオが、『無理しなくて良いよ?』と言っているのに双夜は情けも容赦もなかった。

 

「いつか、予言したろう?キャロは、人参をパクパク食べることになるって(笑)」

 

「もしかして、この状況を予測してたの?」

 

「ヴィヴィオが、来た時からこのシチュエーションはあると思ってたよ?」

 

「……………………」

 

キャロが無言で、人参を食べる様子を見ながらヴィヴィオが六課に来た事で良い方向に向かっているような気がした。

 

「別に、キャロがキャロ(人参)食った!共食いだ…とか言ってないんだから、そう睨まないでくれないかな?」

 

「……そんな事言うつもりだったんですか!?」

 

「言ってないし、言うつもりもないよ!?それとも、エリオはキャロと間接キスが出来なくて御立腹なのかな?」

 

「か、間接キス!?」

 

そう言われた瞬間、エリオの顔が真っ赤に染まる。

それは、エリオだけでなく顔が熱い私も似たようなモノだろう。

まさか、その様な単語が飛び出して来ようとは思いもしなかった。その後も、双夜はエリオ達をイジメ続け注意しようとしたところでエリオが訓練があるからとキャロを連れて逃げ出す。双夜は、そんなエリオ達を見送ってから私達のいるこちらへとやって来た。

私達のテーブルに来た双夜は、ヴィヴィオの頭をナデナデしてからなのはに次やる事を聞いている。その会話の中で、なのはは私達には馴染みのある……だけど、双夜達には無理そうな事を頼んでいることに気が付く。

 

「なのは、双夜は魔導師じゃないよ!?」

 

「うん。でも、出来るんじゃないかなって……」

 

「うーん……出来なくもない。やり方は違うけど、再現は出来ると思うよ?」

 

「え!?出来るの!?」

 

それは正直、頭を横殴りされるくらいの衝撃だった。

だって、双夜にはリンカーコアが存在しない。それなのに、それができると疑問気ではあったけど言ったなのはもそうだけど、それを可能だと言った双夜にも驚かされる。

 

 

…………………………。

 

 

昼食後、再開された訓練と〆の模擬戦で双夜は……その詠唱を持って、なのは最大の魔法を使って見せた。まさか、こんなにも簡単にそれを再現してみせるなんて思いもしなかったが、目の前で行われるそれを否定出来るほど私は現実が見えない子供じゃない。

 

「咎人達に、滅びの光を……星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ。貫け……閃光!」

 

「っ!!全員、逃げろおおおぉぉぉ!!!!!」

 

神崎が、周囲にいる全員に退避の号令を掛ける。

それを見て思うことは、双夜の悪い癖が出たということ一点のみだった。

 

「ちょ、貴方リンカーコア無いんじゃ!?」

 

ティアナ達も、その魔法への恐ろしさからか慌て逃げ惑いながら文句を言っている。

 

「再現魔法、 スターライト・ブレイカー!!」

 

「痛っ!?って、何これ……壁!?」

 

ある程度、双夜から離れた場所で全員の動きが止まってしまった。

ティアナ達の行く手を、見えない壁が阻む。ティアナ達が、立ち往生している間にSLBを完成させた双夜が情け容赦なくSLBを穿ち放った。

 

「シュゥートオオォォ!!!!!」

 

魔力光まで、忠実に再現されたその魔法は私達の視界をピンクに染め上げて……って、まさか私達も対象!?気が付いた時には、ピンクの壁が私達の目の前にまで迫っていて逃げられなかった。ピンクの極光に呑まれて、更には見えない壁のようなモノに阻まれて凄まじい衝撃にシェイクされる。そのまま、私の意識は暗転して行った。

 

 

……………………

 

 

…………

 

 

……

 

 

目が覚めたのは、シャマル先生が詰めている救護室のベット。

最初は、天井を見上げてボーッとしていたんだけど……そうしている内に、段々思い出して来て私は苦笑いするしか無かった。昔、なのはが撃沈された頃まで良くやっていた模擬戦で何度か吹き飛ばされた事を思い出す。

なのはは、負けず嫌いだったから幾度もやった模擬戦で何度かSLBを使用したんだ。

その内の数回、逃げ遅れて巻き込まれたのを思い出してしまう。

もしかすると、あのSLBは双夜の想定外の威力だったのかも知れない。

起き上がって、周囲を見回すとはやてに叱られている双夜がいた。

 

「何も無かったから良かったものの、もし出動があったらどないする気やったんや!?なのはちゃん等まで、撃沈して……って、聞いとんのか!?」

 

「うーん……収束した魔力量が多かったのかな?もしくは、術式ミスった?やっぱり、解析が甘かったのかな……非殺傷設定、ちゃんと解析仕切ったつもりだったのに……」

 

「……………………普通に聞いとらへんって、どういうことや!?」

 

双夜の態度に、思わず笑ってしまう。

それと同時に、やっぱり……という納得もしてしまった。

 

「八神の話は、聞かなくて良い話だから!!分割思考八つは伊達じゃない!!」

 

「分割思考?って、マルチタクスみたいなもんか?」

 

「マルチタクスだと、思考能力が48になって大変…………」

 

それを聞いて、私はそのマルチタクスの多さに驚きと疑問を得ていた。

何をどうしたら、そんな48なんて数字になるのやら……とても不思議な話だ。

 

「何やそれ……どんな、思考能力やねん!?って、やっぱり魔法が使えるんか!?」

 

双夜は、はやての言葉に『にゃははは』と笑って妖精魔法も魔法なんだと言い切った。

でも、魔法無しでも問題ないから非魔導師で良いんだとも言い切ってくれる。

少し、頭の痛い話だった。

 

「一応、何ランクなんか聞いてエエか?」

 

「全力全開のユーリを一撃撃破出来るくらい?」

 

はやての質問に返って来たのは、ちょっと信じられない位のとんでもない話だった。

あのユーリの全力全開を、一撃撃破出来るレベルの魔導師なんて……どのランクにも入らない、完全に無敵の魔導師って事になる。にわかには、信じられない話だ。

 

「ってか、高次元精神生命体にそんな事訊くとか意味ないよね?」

 

「せやったなぁ。人間ちゃうんやった……って、今更やけど双夜、あんた何歳や?ものすごお生きとんちゃうんか?それでなのはちゃんの事を『ママ』言うとったん?」

 

はやての言う事は、私も疑問に思っていた事でもある。

だけど、聞きにくい話でもあったので疎遠になっていたモノだ。

 

「誤解するなよ八神。確かに僕は、一万二千年生きてる化け物だけど……人間と違って、年歴で年は数えない。僕等は、周期で年を数えるんだ!」

 

一年ではなく、周期で年を数えるとは…また、初耳な話であった。

 

「ふーん。せやったら、双夜はあんた等的には何歳やっちゅうねん!!」

 

「…………まだ、何周期で年を取るのかわからないんだ。つまり、零歳だ!」

 

「……………一万二千年生きとんのに?」

 

「まだ、一歳にも満たないけど?」

 

「…………気の遠なりそうな話やなぁ……」

 

はやての相槌に、うっかり納得してうんうんと頷いてしまった。

それにしても、話を聞けば聞くほど一万二千年生きているのに零歳とか……人間とは、全く違う存在なんだって理解してしまう。っていうか、零歳で一人旅とかどうなんだろう?

 

「ああ、フェイトちゃん。はやてちゃん、フェイトちゃんも目を覚ましたみたいですよ?バイタルも安定してますし……直ぐにでも、復帰出来そうです!」

 

私に気付いたシャマル先生が、私の状態をモニターで確認して太鼓判を押してくれる。

それと同時に、二人の視線もこちらを向いた。シャマル先生に、問題ないと聞いた瞬間の双夜がどこかホッとした表情を見せたのを目撃してしまう。

その後は、申し訳なさそうな表情でこちらへと歩み寄って来た。

 

「ああ、フェイトちゃん。おはよお……」

 

「おはよう。はやて……なのは達は?」

 

「新人のみんなは、まだ寝とるよ?隊長陣は、フェイトちゃんが最後やね」

 

「なのは、さんは、ヴィヴィオの所に戻ったよ?」

 

「おんやぁ?なのはママやないの?」

 

「だから、あれは寝ぼけてたって言ってるだろう!?」

 

はやての言葉に、超反応で否定する双夜が珍しくて目をパチクリと見開いてビックリする。って、『なのはママ』?

 

「なのはちゃん、ものすごぉ喜んでたやないか……」

 

「五月蠅いよ!ちょっと、ウトウトして寝ぼけていただけじゃないか!?大阪のオバタリアンっ!貧乳!だから、モテないんだ!!」

 

「誰が、オバタリアンや!?……それで、なのはちゃん見て『なのはママぁ~』って、甘えたっていうんか!?」

 

はやてが、意地悪な笑顔で身振り手振りを交えて双夜がどんな風になのはにおはようの挨拶をしたのかとか、しがみついてから頭をなのはの胸元に押し付けて二度寝をしようとしたとか教えてくれる。双夜は、嬉しそうに話すはやてに最初は嫌々そうに反論していたけれど、段々冷ややかな視線を向けて押し黙るようになって行く。

その内、背筋が冷たくなるような視線……いや、殺気の様なモノを感じ始めてしまう。

 

「はやて、あんまり双夜を虐めるのは良くないよ……」

 

「何時もの仕返しやんか……何で、そんなに怒るねん……もしかして、周囲には良くて、自分にはダメの鬼ルールかいな!?」

 

「『ママ』という単語で、弄られるのが嫌なだけだよ。それに、八神を弄るのは平行世界の『八神』が僕にした仕打ちの鬱憤を晴らすためであって、ここでまた八神のヘイト度数を引き上げる予定は無いんだけど……」

 

「……………………」

 

はやてが、何も文句が言えずに固まってしまった。

それよりも、双夜が私に意地悪な理由の一端が見えた様な気がして……って、まさかとは思ったけれど、双夜は平行世界の私に意地悪されていたのだろうか!?

 

「それって、平行世界の私にもイジメられたって事?」

 

「フェイトちゃんのは、プレシアちゃんとアリシアの鬱憤だけど……」

 

「母さんと姉さんの……?」

 

それは、私が思い付きも…考えもしなかった事の鬱憤だった。

 

「うん。アリシアは、僕が好きだとか言い出すし……プレシアちゃんは、女性の裸が嫌だって言ってるのにお風呂に連れて行こうとするし……色々、鬱憤が溜まってるんだ」

 

「……姉さんが、双夜を!?」

 

「それ、ホンマなん!?」

 

双夜の話に、一瞬私は耳を疑う。何でそんな事になったのかはわからいけれど、アリシアが双夜に恋心を抱いたという話は私に少なくない衝撃を与えた。

 

「一緒に暮らしてた事があったんだよ……まあ、世界を調整するに当たってどうしても必要だったからね。因みに、アリシアがいるプレシアちゃんは『白い』プレシアちゃんだよ?」

 

『『白い』プレシア(母)さん!?』

 

『白い母さん』とは、どういう意味なのだろう?

 

「うん。改心したプレシアちゃんは、とても良い感じの母親になったーーーいや、この場合は戻ったと言うのが正しいのかな?僕的には、可愛い女性だったけどね」

 

ああ、そういう意味での母さんって事だったのか。少し納得して、自分が『あの母さん』を『黒い』と認識していた事に二重の意味でショックを受ける。

 

「何や、聞いとった話と違うんやね?」

 

「そりゃ、アリシアが生きていれば悪落ちする必要無いからねぇ……それに、フェイトちゃんに辛く当たる様なら……アリシアが、プレシアちゃんに『ママなんて、大嫌い!!』って言ってしまえば解決するお話だから……」

 

『…………………………』

 

そのエピソードに、私とはやては絶句してしまう。

それは、母さんの絶望が目に浮かぶような話だった。

 

「プレシアちゃんが、フェイトちゃんに言った言葉だからね!なら、言われる覚悟くらいあるだろう?ってことで、アリシアに前もって進言しておいたんだよ……プレシアちゃんが、フェイトちゃんを疎遠にするようならそう言ってやれって……」

 

あれ?何だろう、双夜の私に対する感情が思っていたのとは違う様な気がして思わず聞き返していた。

 

「双夜は、私の事……嫌いだったんじゃ……」

 

「何でそうなるんだ?フツーに好きだよ?ご飯とか、生活能力面ではダメダメだったけれど……まあ、シャマル先生よりかは出来る方だったし……」

 

「グフッ……!!」

 

何故か、シャマル先生に飛び火した。

シャマル先生は、ショックを受けた様子で崩れ落ちシクシクと泣き始めてしまう。

それをみたはやてが、慌ててシャマル先生を慰めに駆け寄って行った。

 

「それに、フェイトちゃんはなのは、さんのいない世界では庇護対象になっていたくらいなのに……嫌いな訳が無いじゃないか……」

 

「えっと……そ、そうなんだ……」

 

それはとても、意外な事実だった。

しかし、だったら意地悪とかしないで欲しい。

 

「最近は、してないだろう?ちゃんと、ダメな事はしないし……節度を持って、臨機応変に対応させていただいているよ。今は、ヴィヴィオの教育に悪そうなモノはやらない様にしているからね……」

 

「え、ええっ!?」

 

「傷つくなぁ……僕にだって、分別はあるんだよ?それに、今の悪戯は方向性を変更してあるから……後で嫌って程、味併せてあげるよ!!」

 

「ええっ!?」

 

ズッビシッ!と、指を突き指されて私は悪戯宣言までされてしまう。

不安いっぱいな宣言に、私は辞める様に説得するつもりだったのだけど……そのすぐ後に、目を覚ましたティアナ達と反省会なるものを双夜が始めてしまって、私は気を失っている間に溜まった仕事を処理する為に一度仕事に戻ることとなった。

それから、ちょっとだけなのはに仕事を手伝って貰い一緒に部屋に戻ると私の抱いていた不安は消し飛んでしまう。現金な話ではあるのだけど、目の前に現れたヴィヴィオは私達の疲れを癒やす……いや、消し飛ばすには十分な存在となっていた。

そう。ヴィヴィオが、とても魅力的な『ウサギ』に大変身していたのだ。

 

「どうだ?僕が、夜なべして作ったウサギの着ぐるみだ!!ヒントは、ウサギの人形をヴィヴィオが持っていたので合体させてみた!!アイナさんに相談したら、材料は直ぐに用意して貰えたしな!!」

 

ヴィヴィオの顔の部分だけが、普通に見えていて後は上から下までウサギだった。

なのはが、フラフラとヴィヴィオに近付いて行きガシッと抱き付いて目に浮かぶ様な大好きオーラを放ち、私はヴィヴィオの魅力を引き立てるその姿に心奪われる。

 

「因みに、このヴィヴィウサギは寝間着にもなるので、そのままベッドに連れて行く事も可能だ!!どや?これが僕の次世代悪戯だ!!」

 

「ヴィヴィオ~、可愛いよヴィヴィオ~♡♪」

 

なのはが、疲れ気味だったのか……さっきから、同じ事しか言っていない。

でも、その気持ちはわからないでないのでソロソロ代わって欲しい。

 

「ねえ、なのは。ソロソロ、私にもヴィヴィオを抱かせてくれないかな!?」

 

「もうちょっと!もうちょっとだけ~♡♡♡」

 

「なのはぁ~!!」

 

 

 




フェイトちゃんの心配事w
凄く、良くわかるんだけど……でも、大丈夫だよ。
なのはさんみたく、スパルタって訳じゃないからw

そして、魔法少女リリカルなのはINNOCENTのギフトカード。ヴィヴィオ『ヴィヴィうさギフト』風うさぎの着ぐるみヴィヴィオ降臨です!!
可愛いよ~ヴィヴィうさヴィヴィオ……可愛いよ~♪
本当は、二頭身をイメージしていたんだけど……ヴィヴィオでやると、二頭身にはならなかった。ってか、材料的な問題が……wwそこで、マジにならなきゃ出来たのに……(泣)

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m(_ _)m

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