絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一一七話#

???

 

 

ヴィー……! ヴィー……!

 

けたたましいアラームが鳴り響く、次元航行艦の艦橋で時空管理局の局員達が慌ただしく状況を艦長に報告している。戦況は、芳しくなく刻々と悪化していた。

 

「前方に高次魔力反応!!……っ!?数、三!!」

 

「ヴィセッグ、ライドラス大破っ!!本艦を除いて、二割強が消失!!そんなっ!?更に被害拡大っ!!!」

 

「馬鹿なっ!?時空管理局が誇る艦隊がこうも……」

 

「っ!?本局に転移反応っ!?数、およそ300!?」

 

「まさか、別動隊か!?」

 

「魔力ランク……嘘っ!?ダブルSっ!!」

 

「ダブルSの魔導師が、300!?何かの間違いじゃ無いのか!?」

 

「本局に転移した魔力反応、更に増大!!」

 

「既に1000オーバーですっ!!まだ、増える!?」

 

「推定魔力ランクは!?」

 

「いずれも、ダブルSですっ!!信じられません!!」

 

ヴィー……! ヴィー……!

 

本局に転移してくる大量のアンノンウ。

何処の誰なのか……名のある部隊かわからないまま、艦長達は敵がいると思われる宙域にアルカンシェルを撃ち込んだ。一点集中で、放たれたアルカンシェル。しかし、敵の攻撃が止む事はなく事態は悪化の一歩を辿る。

そして、ついに本局を守っていた艦隊の防衛網の土手っ腹に風穴が空いてしまう。その時点で、本局を護る艦隊の数は全体の一割を失っていた。

 

ヴィー……! ヴィー……!

 

「くっ!他の艦は、何をしているんだ!?」

 

「本艦を残して、八割の艦隊が中破!行動不能!!このままでは、全滅ですっ!!」

 

「ば、バカなっ……」

 

「前方に高次魔力反応!!う、嘘だろぅ……」

 

「目標……確認っ!?そんな……」

 

「どうした!?なっ…………ば、化け物か……っ!?」

 

「敵は、たった一人の魔導師!?」

 

本局を背に、数多くの次元航行艦が展開する中で如月双夜は、真っ正面から時空管理局目掛けて魔法を放っていた。乱射されるアルカンシェルをモノともせず、更に大漁の魔法を敵に叩き込んでいる。

そして、ある程度敵を排除してから《神槍・グングニル》を展開し、僅か10秒程で魔法の構築を終了した。

 

「師匠!何やってんですか!?」

 

「うっせー!ブチ殺すぞ!?」

 

「何で、こんなに怒ってるのかしら?」

 

「ちょ、翼!何、のんびりしてるんだよ!?」

 

「くらぇえぇ!!」

 

「もう、無理ね……」

 

「ええっ!?ちょ、」

 

「《神槍・グングニル》ッ!!」

 

「あーーーーーー!!!」

 

「雑魚共がああぁぁ!!!!」

 

如月双夜の手を離れた魔法が、一直線に時空管理局のど真ん中へと吸い込まれていき……起爆した。

凄まじい衝撃と光が、次元空間を照らし呑み込んで行く。

神崎達は、その衝撃波に吹き飛ばされない様に如月双夜にしがみついていた。そこへ、管理局内に侵入していたアルカリアから苦情と報告が送られてくる。

 

「ああもう、良いだろう!?面倒だったんだ!!で?あいつ等はいたか!?」

 

『いえ。ミッドチルダに逃亡した模様です……』

 

「OK。ミッドチルダだな?行くぞ!!」

 

「え!?ちょ、【原作】は、どうするんですか!?」

 

「知った事か!?今、大事な事はアイツ等が『俺』の逆鱗に触れたって事だけだ!!草の根を別けてでも探し出し、四肢を切り捨てて殺す!!それだけだよっ!!」

 

「私達と別行動している間に、アイツ等がこの子に何したのかしらねぇ……気になるわ……」

 

「ちょ、翼!?師匠を止めないのか!?」

 

「あら?止められるの?」

 

「……………………」

 

止められるのかを問われ、神崎は視線を反らして行く。

その瞬間に腕を掴まれた二人は、如月双夜の転移に巻き込まれてミッドチルダに瞬時に転移した。

三人が、転移した先は宇宙空間だ。神崎が、お約束とばかりに空気がないともがき苦しんでいる。それを尻目に、呆れた様な翼が神崎を殴って息が出来る事を伝えた。

 

「消し飛べぇ!!」

 

神崎が遊んでいる間に、魔法を展開終了していた如月双夜がミッドチルダを消し飛ばしていて、二人は頭を抱える事になる。

 

「あんた、なんばしよっとか!?」

 

「手っ取り早いだろうがよ!?ミッドチルダに降りられたら、どっち道同じ事をして消し飛ばしていたよ!!」

 

「三期終了のお知らせね。その後の分も……」

 

「ちょ、何を呑気な事を……」

 

そこへ、次元空間から次元航行艦が一隻出現した。

如月双夜が、瞬時にそれを見付けて飛んで行く。

その後を悪態を付きながらも、神崎と翼が追い掛けて行った。問答無用で、次元航行艦に穴を開けて入って行く自分達の雇い主(?)を追って彼女達も船の中へ。

中に入った時には、如月双夜の姿は何処にもなかった。

棒立ちになっていると、続々と使い魔達も現れ始める。

聞けば、使い魔達も如月双夜がキレた事情を知らないらしい。すると、本格的に翼が謎解きを始めた。

それに使い魔達が、面白そうだとあれやこれやと輪を組んで話し合いを始める始末。

神崎だけが、何故か慌てていて使い魔や翼を捲し立てているが完全に無視されていた。

 

「大丈夫ですよ。主だって、子供じゃないんですから……」

 

「違うッスよ!!このままだと、転生者の魂が回収されて師匠をブチギレさせた理由がわからなくなるッス!!永遠にっ!!」

 

「それは不味いわっ!!」

 

「えぇー……」

 

神崎の言葉に、翼が漸く起動した。他の使い魔達も、キュピーンと目を輝かせて続々と翼に続く。

それを、微妙な気分で見送るのは神崎ただ一人。

だが、動き出すのが一歩遅かった。

次の瞬間、世界が虚無の世界へと落ちていく。

虚無の暗黒の世界へと成った。

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

………………………………

 

 

 

………………

 

 

 

「TAKE2!!」

 

「くっ……ヤられたぁ……っ!」

 

「だから、言ったじゃないですか。早く止めようって!」

 

三者三様の事を言っているが、彼等が現れたのは地球の日本の海鳴市の人通りの多い繁華街。

さて、側には黙ったまま三人の様子を伺う双夜の側近使い魔・アルカリアが呆れた感じで顔を覆っている。

 

「マスター、何があったんですか?突然、方針を変えられるにも程度というモノがありますよ?」

 

「言わない!ってか、段々転生者が悪質になってないか?何だよ、あのTAKE1の転生者共は!?自分達の罪ぐらい、自分達で背負えば良いじゃないか!!僕達に擦り付けなくても良いと思わないか!?」

 

「あー……そういう、人間もいるって事ですよ……」

 

「ああいうのは、権力を得る前に叩き潰すのが良いね。時空管理局や地上管理局が乗っ取られる前に!!」

 

「そうできたら良いわね……」

 

「ああ、もう!腹立つなぁ……」

 

「あら?ユーリちゃんは?」

 

「……………………紫天の書よ、ここに!」

 

呼ばれた紫天の書が、双夜の掌の上に浮かんでいる状態で出現する。だが、敢えて言わせて貰おう。

双夜達がいる場所は、人通りの多い繁華街!しかも、彼等はそこそこ人目を惹き付けていて……当然、突然現れた書物に人の目が集まるのも仕方がない事である。

 

「あ、師匠!ここでは、不味いですよっ!!」

 

「んあ?」

 

「ちゃんと、周りを見て行動しましょう?」

 

「翼も、のんびり注意してんじゃねぇよ!!」

 

という訳で、人目に気が付いた神崎に手を引かれ人通りの少ない裏路地へ。神崎が、周囲を確認して双夜達に振り返ると『キャー……襲われるぅー……』等と棒読みで騒ぎ出す二人のギャングがいた。

 

「あなた方を襲ったら、返り討ちに遇いますから……遊んでないで、何であんな事をしたか教えてください」

 

「うわぁっ!ツマンネー反応!!」

 

「Retakeを要求するわ!」

 

「一体、いつからそっち側に寝返ってんだよ!?」

 

「うるさいわね。少し、落ち着いたら?」

 

「仕方がないよ。所詮、踏み台だ……」

 

「関係ないだろう!?そんなモンッ!!」

 

等とギャーギャー騒ぎながら、次の方針を考える。

前回は、この世界に降り立った所では問題なかったのだが、しばらくして神崎が転生者らしき者達を探し出して来た所辺りから狂ってしまった。

当然の話ではあるが、コチラがアチラを見付けるという事は、同時にアチラがコチラを認識しているという事でもあるのだ。そこで、大きな勘違いが発生し、彼等の協力を扇ごうとした時には敵対心がバリバリになっていたらしい。

それにより、彼等がコチラの話を聞かず自分達の犯した罪を擦り付け、事もあろうに次元犯罪者として指名手配した事が発端だった。等と、思っていたのは双夜だけである。

実際には、自分達以外の転生者は排除するのが当たり前になっていた彼等が新たな転生者候補を見付けて攻撃してきただけであった。後は、御存知の通り……戦争になって駆逐されてしまったという事である。

勝てると思い込んでいた彼等は、余りの戦力差にドン引き。逃げ出したのに回り込まれて、敢えなく回収されてしまったという事だ。馬鹿め。

 

「また、転生者がいなくなってしまった……」

 

「もしかしたら、善良な転生者がいるかもしれないじゃないですか!!頑張りましょうよ、師匠!」

 

「転生者イコール仕事ですものね……いなくなれば、仕事が無いのと同じ事か……ニートね!」

 

「っ!?に、ニート……嫌だぁ!ニートだけは、嫌ぁ!!」

 

双夜が、唐突に泣き出しポテポテと通りの壁に突撃して頭を抱えた状態で小さくしゃがみ込んでしまった。

 

『!?ちょ、どうした(んッスか)のよ!?』

 

「きっと、ご両親が影響しているのかと思われます」

 

『両親!?って、この子の(師匠のッスか)!?』

 

唐突に、アルカリア出現。

説明モードで、話し掛けて来る。

 

「はい。一族総出で、ニートでしたから……」

 

「一族?」

 

「総出で?」

 

「ですから、マスターの親族は全員ニートだったのですよ」

 

『はあ!?』

 

「それで、どうやって暮らしていたのよ!?」

 

「もちろん、お金のある魔導師側の方々から搾取されておられましたよ?」

 

『……………………』

 

その言葉を聞いた彼等は、一瞬黙って明らかな嫌悪感を示すとそれぞれの感想を言い始める。

 

「ディアーチェより、強者がいたか……」

 

「双夜の両親って、魔導否定組織のカリスマ的リーダーだったわよね?……死ねば良いと思うわ。そんな親族!」

 

「師匠の人生を、返して欲しい。マジ、死んだら良いと思うよ?そんなショウモナイ一族は!!」

 

「双夜、働き口探すわよ!!」

 

「師匠、全力を持って転生者を探し出しますよ!?私立聖祥大学付属小学校の校門に行きましょう!!」

 

二人が振り返り、双夜の姿を探したが……双夜は、ちょっと目を離した隙にいなくなってしまっていた。

 

『……………………』

 

「師匠!?」

 

「マスター!?」

 

「ちょ、どこ行ったのよ!?」

 

裏路地の奥へ通じる道を確認し、通りの方へ行く道を確認すると何故かメイドさんの後ろ姿が見える。

あれ?と三人が首を傾げている内に、メイドさんの姿は見えなくなり車が急発進する音だけが聞こえて来た。

 

『……………………誘拐!?』

 

「あー、でも……あるぇ!?」

 

「今、この世界に来たばかりですよね?」

 

「この辺りで、メイドと言えば……バニングス家か、月村家よね?あ。バニングス家は、執事か……」

 

「何、のんびりしてるんですか!?誘拐ですよ!?誘拐っ!!今すぐ、追い掛けるべきじゃないんですか!?」

 

「神崎、ちょっと五月蝿いわよ?」

 

「……神崎さんは、ボケ担当じゃなかったんですか?」

 

「だあああっ!?アンタ等のせいだろうがっ!!」

 

神崎は、ダンダンと地団駄を踏んでガックリと落ち込んだ後誘拐犯を追い掛けて走り出した。大通りに出て、既にそこにいない車を直感のみで追い掛けて行く。それを見送って、翼と使い魔はまだ動き出してはいなかった。

 

「どうされますか?」

 

「……そうね。実際、大丈夫じゃ無いかしら?」

 

「そうですかね?裸の女性に囲まれたら、方針云々では無くなるんですが……」

 

「はっ!?さっきの、月村家のメイドだったわ!!」

 

「ああ。じゃあ、追い付いた時には幼児後退化している可能性が……って、速いですねぇ……」

 

先程まで目の前にいた翼が、瞬きしたらいなくなっていた。アルカリアは、呑気に『慌ただしいですねぇ』等と言いながら二人の後を追う。

 

 

…………。

 

 

「……………………」

 

「……………………」

 

先に月村家に向かったはずの二人に使い魔が追い付くと、何故か門の前で立ち止まっていた。二人の様子を見る限り、月村家に入って行く事を躊躇っているように思う。

 

「何やっているんです?早く、入りませんか?」

 

「あ……いや、それがねぇ……」

 

「……吸血鬼の話が生きているなら、入ったら間違いなく攻撃されるわね……」

 

「そうなのですか?なら、ビースト使います?」

 

「……………………ここに、戦力チートがいたよ……」

 

「入るとしても、何処にいるのかもわからないのよ!?」

 

「大丈夫ですよ。主が、幼児後退化すれば……威嚇魔法で、屋敷の何処かが吹き飛びます」

 

『……………………』

 

ダメな方の確認方法だった。確かに、双夜が幼児後退化すれば威嚇魔法の一つや二つ使用しても不思議ではない。

いっそうの事を、フレールくんを使って居場所を特定した方が早い様な気がしてきた。むしろ、危険な橋を渡る必要もないのでそう神崎が提案すると何故か『チッ!』と舌打ちが帰って来る。しかも、翼と使い魔の二人に。

 

「何が『チッ!』何ですか!?安全マージンは、取るべき事柄でしょう?なら、一番簡単な方法じゃ無いですか!?」

 

「面白味がちょっと……」

 

「…………蹂躙してこいと!?」

 

「出来るだけの戦力はあるわね」

 

アルカリア、翼、神崎。いや、本当に何処の都市を壊滅させるのだろうかと思わずにはいられない布陣だった。

 

「わかりました。行けば良いんでしょ!?行けば!!」

 

『ええっ!?マジで、行くつもり!?』

 

「アンタ等が、行けって言ったんじゃないですか!?」

 

「では、犯人に危害を加えてはいけませんよ?」

 

「そうね。相手は女性なんですから……危害は加えられないわね……」

 

「恭也さんが、出てきたら腕試ししましょう!」

 

「あら……もちろん、勝敗はあの子に報告するのよね?」

 

「ええ。もちろんです!無傷で、生還してください」

 

「何勝手に、難易度をあげてるんッスか!?つーか、恭也さん相手に無傷で生還とか不可能でしょ!?」

 

「私なら可能よ!!」

 

『ああ、うん。未来が見える様です……』

 

「何よ?問題あるの!?」

 

「恭也さんの未来の為に大人しくしててください……」

 

「ツツモタセならぬ、押し売りツツモタセか……鬼だな!」

 

相手に無理矢理弱味を作り、脅すという戦法。

翼は特に、恋人がいる相手を執拗に攻めて行く女である。

自分の見た目が、良い事を知った彼女は……それを十全に使って、それはもう神崎が自殺しちゃいそうになるくらい間違った頑張りをしていた。神崎が、嘆くのも仕方がない。

 

「あらヨット!」

 

ヤケクソになった神崎が、門を飛び越えて月村家の敷地内へ侵入。その後を追って、翼と使い魔が軽々と月村家の敷地内へと入って行った。

当然の事ながら、三人の侵入により月村家のセキュリティシステムが起動。数々のトラップや砲撃弾幕が、行く手を妨害してくる。しかし、三人の進行を止められる事はなく屋敷の手前まで侵入していた。ある所まで進むと、神崎が直感的に飛んで来た針を叩き落とす。

 

「ほら、来たわよ……ラスボスが(笑)」

 

「来たわよって……わかってて、ススメたんかい!?」

 

「あ、ほらほら、余所見していると危ないですよ?」

 

一息で、神崎の懐に飛び込んで来た恭也が小太刀を素早く振るう。それを神速を使って、小太刀の軌道を読んだ神崎が素手で払い退けた。

 

「ちょ、ちょっと!こっちは、武装してないだろう!?」

 

「神崎ぃ!そんな、優男さっさとのしちゃいなさい!」

 

「そうですよ!いつも、神速からの閃きでサクサクッとやっつけちゃってください」

 

「……………………」

 

「だからっ!難易度を上げてくんなっ!!アンタも乗せられてんじゃねぇよ!俺達は、この家の奴に連れて行かれた幼児を探しているだけなんだ!ちょこっと探して見付けたら立ち去るからって危なっ!?」

 

「お前の話は……信じられんな。どうしても、行きたいのなら俺を倒して行け!!」

 

「ああんもう!ほら見ろ!変なスイッチ入ってるじゃないか!?って、いねぇしっ!!」

 

双夜の使い魔も翼も、既に神崎の背後から立ち去って月村家の屋敷内へと侵入を果たしていた。

 

「俺は、囮かぁ!?」

 

「……………………愉快な仲間だな……」

 

「うっせぇ!!」

 

神崎は、魔力強化を身体全体に張り巡らせて恭也を睨み付ける。腹は、括った。相手が、ただの人間だけど神速を使う達人。テオルグやラヴォルフ等には、及ばなくても手加減していては自分を倒してしまう可能性を持つ御仁。

手を抜く事は、出来そうに無かった。

最近は、双夜との戦闘もこなしてはいるけれど勝率はゼロ%のままである。魔法に至っては、初歩の魔法が出来る様になってきただけで、戦闘では使えないモノばかり。

選択肢は限られていて、相手は達人の不破恭也。

素手でヤるには、心許ないが仕方がない。

神崎は、少しだけ状況と相手の獲物を見て覚悟を決めた。

 

「殴って、へし折って、押し通るっ!!」

 

「来るか!?」

 

短期決戦とばかりに、一息で間合いに踏み込んだ神崎が素手で小太刀を持つ恭也に殴り掛かる。それと同じくして、既に抜かれた恭也の小太刀が神崎を斬り伏せんと返しの刃で迫って来ていた。迫り来る一刀目を身体を反らして回避し、二刀目を強化した拳で弾き返す。

 

「……刀を素手で殴っただと!?それに、今の感触……手の甲に鉄でも仕込んでいるのか!?」

 

「仕込んでねぇよ!んなキチガイな事するか!?ウチの師匠達に何度も吹き飛ばされて鍛えた拳だ!高々、ナマクラな刀程度で斬り落とされてたまるか!!」

 

ただ単に、魔力でガッチリ強化した上にプロテクションの魔石(アイテム)で防御を補強しているので、刀程度では斬る事が出来ないだけである。

だから、普通に刀と殴り合いが出来るのだった。

 

「はあ……我皇流・一の弟子。神崎大悟だ!名乗れよ……」

 

「小太刀二刀・御神流……高町恭也……」

 

『参るっ!!』

 

 

……………………。

 

 

所変わって、屋敷内部二階廊下。神崎を囮に、中に侵入した二人は月村家のメイドさん達と対峙していた。

 

「…………我等が主人の屋敷に何用ですか?」

 

「あら、ご挨拶ね……先に手を出してきたのはそちらでしょう?サッサと、私達の大事な子を返してくれないかしら?」

 

「…………何の事か、わかりかねません。お帰りください」

 

「そう?そちらの若いメイドさんは、心当たりがあるみたいよ?」

 

「はぅ!?な、な、な、なんの事かサッパリですよ!?」

 

「ふふふ。動揺し過ぎでしてよ?」

 

「……………………」

 

「それにしても、凄まじいクォリティーですね。本当に、人間に見えます…………」

 

『!?』

 

「ちょっと、変な事言い出さないでくれるかしら?」

 

「ああ、すみません。あのレベルの機械人形を見るのは、久しぶりだったもので……まあ、あの方はバイオロイドに凝っていましたが……」

 

「……バイオロイドって何よ?」

 

「遺伝子操作された人工的に生み出した人間の器に、電子脳を入れて作られる擬似生命体の事ですよ?」

 

「それ、生命の冒涜じゃないのかしら?」

 

「あー、別に脳幹を抜いて電子脳を入れる訳ではありませんよ?遺伝子操作の段階で脳が空っぽになるようにしているらしいです……」

 

「はあ。どっちにしろ、生命の冒涜でしかないでしょうに……そうね、貴方達の主は良い判断をしたわね……」

 

「……主の判断力は、我々の誇りですから!」

 

この場合の『判断』とは、【組織】を抜けた事を指す。

 

「それじゃあ、通らせて貰うわよ?」

 

「い、行かせません!」

 

「あら?別に構わないわよ?私は、好きなように進むだけだから。でも、貴女達が案内したくなったら何時でも言ってくれて構わないわ?」

 

「???」

 

そう言った翼は、おもむろに腕を上げて拳を握ると『???』と首を傾げているメイドを確認してから思いっきり壁を殴った。ズドン!!という音と共に、翼が殴った壁に大穴が開く。

 

『ーーーーー』

 

「…………じゃあ、ドンドン行きましょうか?」

 

ニヤリと邪悪な笑みを浮かべた彼女は、漸く事態の大きさに気が付いた二人のメイドを置き去りに、悲鳴を聞きながら次の壁をブチ抜いて行く。

その様子を見ていた使い魔は、『なかなか嫌らしい事をするなぁ……』等と呑気に思っていた。(他人事)

そして、何枚目かの壁を抜いた所でメイドさん達が案内をしたくなったらしく声を掛けてきたのだった。

 

「あら、もういいの?」

 

「はい!忍お嬢様の元に案内させていただきます!!」

 

「あ、忍さんではなく……もう一方の方で、お願いできますか?」

 

「……忍お嬢様ではなく?すずかお嬢様の事でしょうか?」

 

「もしかすると、顔見知りかもしれませんので……」

 

『???』

 

そんな感じで、適度な混乱を撒き散らしながら使い魔と翼は、問題の部屋へと案内された。

ドアノブを掴み、ガチャガチャとお約束をしてから翼が扉を吹き飛ばす。

部屋の中は、薄暗く誰が何処にいるのか最初はわからなかった。しかし、段々目が薄暗がりに慣れてくるとどういう状況になっているのかハッキリとする。

 

「にゃ~ん」

 

「あ、あ、あ……そ、双夜!?あ、あれ?な、何で!?」

 

ベットのすぐ側で、半裸になったすずかがうずくまっていた。その近くには、真っ白な子猫が鳴いている。

 

「にゃ~……」

 

「どうなってるの?あれ……」

 

「はあ、まあ……幼児後退化させようと、無理矢理迫ったら恐怖とストレスMAXで終わった……って感じですかね?」

 

真っ白な子猫を前に、どうしたら良いのかわからない月村すずかがアワアワと困惑している。

その間にも、その白い子猫は月村すずかに身を寄せてスリスリとすり寄っていた。翼も困惑した様子で、その子猫を見ていたがアルカリアに視線を向けてどうしたら良いのかを問う。

 

「ここは、こんな事態を招いた方に責任を取って貰いましょう。今後、この様な事が無い様に念入りに……です」

 

「それは良いけど……この子猫、あの子よね?」

 

「はい、我等が主です。さて、お久し振りですね?すずか様?」

 

「……あ、アルカくん。どうしよう……双夜が、こんな……」

 

「間違いない様です。この方は、我々の知るすずか様と判断します……私の愛称もご存知のようですし……」

 

「ふーん。で?どうする訳?」

 

「…………あれ?翼ちゃん!?」

 

「ええ。私達の世界のTAKE1振りね……」

 

「TAKE?」

 

「後で、説明するわ……それよりも、先ずはその子を何とかしないとね?……で、どうするの?」

 

「はい。では、こちらをどうぞ……」

 

アルカリアが、すずかに手渡したのは一本のナイフ。

それをしっかり握らせて、ニッコリと優しく笑い掛け告げられるのは残酷な宣告。

 

「それでは、一思いにサクッと殺しましょう♪」

 

「……………………え……」

 

「ですから、このモードになった主を戻すには、殺す以外の方法はありません。ですので、サクッと殺っちゃってください」

 

「……………………あ……い、嫌……」

 

一瞬、言われた事を理解できなかったみたいだが、時間が経つにつれて内容が頭に浸透した彼女はナイフを捨てて拒絶する。捨てられたナイフを拾い上げ、再度すずかに手渡そうとしながらアルカリアは続けた。

 

「何を言っておられるのですか?我等が主を、こんな風にしたのは貴女ではありませんか……当然、責任を取っていただけますよねぇ?」

 

「ーーーーー」

 

目に見えてわかるほど、すずかがサーッと青冷めて行く。

 

「にゃーん?」

 

「無理っ!私には、無理だよっ!!」

 

「無理ではありません!貴女も母親を名乗るのであれば、これくらい殺ってください!!まさかとは思いますが、我々に殺らせるつもりですか!?」

 

「だ、ダメっ!!双夜を傷付けるのは……」

 

「いいえ、貴女と違って我々には任務があります。ですので、主を目覚めさせてください」

 

「……………………」

 

「さあ、貴女がした事ですよ」

 

「にゃ~ん……♪」

 

ゴロゴロと身を寄せていた子猫が、嬉しそうに喉を鳴らし始めた。すずかの膝の上で、コロコロ転がりながら楽しそうにのびのびとしている。

 

「私にはむりだよ……っ!!」

 

「もう、良いでしょう?」

 

「ですが、我々は……」

 

「…………全く、仕様がないわね……」

 

すずかの膝の上で、寝転がっていた子猫をヒョイっと取り上げ、頭を掴み合い壁をブチ抜ける程のその腕力でそれを壁に向けて投げ放った。

結果、鈍く柔らかで液体ッポイ音が響き子猫は床に落ちる。それと同時に、子猫が子供の姿へと戻っていた。

 

「ヒィッ!?」

 

「うっ……殺っておいて何だけど、ちょっとトラウマになるレベルの音だったわね……」

 

「確かに、ちょっと聞きたくない不快感MAXの音でしたね……視覚的にも、最悪です……」

 

「そ、双夜!?双夜っ!!」

 

半裸のまま、すずかが双夜に駆け寄りその小さな身体を揺する。その後ろ姿を見て、双夜を知る者達が半裸のすずかを双夜から遠避ける為に動き出す。

 

 

……………………。

 

 

その頃、神崎はというと……まだ、恭也との戦闘を続けていた。神崎、恭也共に肩で息をしている。

神崎は、見た目は無傷であったが少なからず打撲系のダメージを負っていて……恭也の方は、驚く程にボロボロで小太刀が一本折れて一刀のみで戦っていた。

 

「魔力強化して、互角とか……洒落にならんのですが……」

 

「強いな!これ程、戦えるとは中々楽しませてくれる!」

 

身体的スペックは、大きく開いているはずなのに……技術面で負けているのだろうと、神崎は己の未熟さを痛感しながらも最終局面へと進めていく。

ジリジリと間合いを詰めつつ、相手の隙を伺っていると恭也の姿が掻き消えた。瞬間的に、神速だと判断した神崎は同じ様に神速状態へと入る。何とか小太刀が、己に届く前に間に合ったが……選択肢が、あまり存在しない状況に追い込まれていた。刻々と小太刀が、己に迫って来ている。

それがわかっているのに、神崎は動けなかった。

動きたくても、現在の体勢からでは小太刀を避けるのに二動作が必要だ。だが、小太刀は体勢を整えている間に己に届くだろう。選択肢は少ない。

だから、神崎は訓練中のとある術を持ち出して来る。

丹殿から練り上げた『気』を放出し、体内を駆け巡らせ己が肉体を鋼に変えて防御する選択を取った。

 

我皇流奥義・岩鋼二式《金剛》。

 

成功率、僅か10%未満の一か八か大ギャンブル。

勝っても負けても、大目玉は間違いない賭けだった。

神経を研ぎ澄まし、小太刀が己の身体に触れる直前に発動させた。成功するかは、神のみぞ知るそれは半分成功して半分失敗したのだった。

即ち、小太刀を己の身体で受け止めてへし折る所までは成功したのだが……その後、恭也の手に残っていた数センチの折れた刃で掠り傷を負ってしまう。

『あ!?』と思った時には、全てが水の泡と化していた。

気を抜いたつもりは無かったが、小太刀がへし折れたのを見て何処かで油断したらしい。恭也を一本背負いで、地面に叩き付け気を失わせた後、ミスを嘆く神崎を恭也に事情を説明しに来たノエルが発見した。

 

 

 

 




開始、いきなり最終決戦!!
管理局・ミッドチルダが……即消滅☆!!
やったね!\(^-^)/最短時間……一話目の前半で、時空管理局が……ミッドチルダが……もう、ダメダメだったw
そして、ついに恐怖の存在が現れる。
でも、例のヌコ化で即正気に戻っちゃったw
アルカリアのお仕置きは、かなりすじゅかママにはキツイ奴でしたねwナイフを持たせて、『さあ、殺せ!』とか鬼ですか!?そして、神崎wwwwチンク達と戦った時より、強化されてませんか!?我皇流(土属性系武術)習得中とかw作者の黒歴史の産物ですが……他に四つの流儀がありますがww
まさか、そんなモノを持ち出して来るとは正気の沙汰ではありませんww《神殺し》の技ですよ?それ……wwww

TAKE2からではありますが、新しい平行世界ですw
今回のターゲットは、誰になるんでしょうね?
そろそろ、悪質な転生者が現れ始めますので段々厄介な物語へと変化していきますよ?そうでもしないと、翼と神崎がなぁ……www
凍真との合流はまだまだ先ww
何故?って、時間転移魔法が使えないから最初に合流出来なければ、後は永遠に放置wwwww
つまり、TAKE1に置いてけぼりwwww

双夜の両親・親族の話は、本当。ガチニートでしたw
働いたら負けというよりも、働かなくても勝ち組扱いって感じ?毎月、三千万前後を魔導師の方から引っ張って税金も払わない。それでいて、自分達を信仰する信者からも寄付金を寄付させて贅沢な生活をしていました。
質量兵器を購入したり(コレクションとして)、豪遊したり、働かない夢の様な生活を……それでいて、魔導師を批判・中傷して何が楽しいんですかね?っていう人達でした。
双夜を暗殺しようとしたり、世界を自分達中心に動かそうとしたりしようとしたのも……おまわりさん、コイツ等です!!

これにて、連投終了w

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m(_ _)m

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