絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~ 作:葉月華杏
翼
アリサ・バニングスに対して、私達は手を小招いていた。
すずかでは、アリサ・バニングスとの面会アポが取れなかったからだ。どうも、すずかとアリサの間には大きな溝があるらしい。
チビッ子の話では、アリサに憑依している転生者が吸血鬼やクローン否定派の真面目な子みたいですずかだけでなくフェイト共折り合いが悪いらしい。
「ヤッパリ、すじゅかママではアリちゃと連絡すら取れないか……相手は、憑依転生者ですじゅかママを吸血鬼の化け物認識だって事だから、難しいとは思ってたけど……」
「すずかが、すじゅかになった理由ね?っていうか、あの程度の吸血鬼、私達が知る吸血鬼よりもイージーじゃない……何が怖いってのよ!?」
「クローンであるフェイトちゃんを、偽物呼ばわりするぐらいだからそういう方面に超否定的なんだろう?」
話を聞いている限り、確かにアリサ態度は常識的にダメなモノだとは思う。けれど、ふと疑問に思う事がある。
根本的に、それの何がダメなのか私にはわからない。
「ねぇ……一つ聞いても良いかしら?アリサが、アリサで無いとして……それの何が問題なの?別に、アリサの役目が出来れば良いんでしょう?」
「まあ、それ程大きな変化は無いと思うよ?でも、ヤッパリ何かがおかしくなって行くのは避けられないかな?それが、良い変化なら良いけど悪い変化だと目が当てられない。しいては、『フェイトちゃん』の性質や性格に影響していると思われ…」
「フェイトの?」
「友達にクローンである事を否定される以上、何かしらの変化があるはずだ。受け入れて貰える事と受け入れて貰えないという結果が、フェイトちゃんの性質や性格にどれだけの影響を与えると考えられる?」
「普通なら、すんなり『だから?』みたいな感じで受け入れて貰えていたのでしょう?確かに、影響が大きそうね……で、どうするつもり?」
「双子にする予定。アリちゃママとアリサ(仮)の二人にするんだ……まだ、確認できてないからわからないけど……アリちゃママが封じ込められているだけなら問題なく双子に出来るはずだからね……」
「でも、憑依転生なんでしょう?途中から、アリサの中に入ったんなら双子化は無理なんじゃぁ……」
「フッ。まあ、問題なくヤれるさ。【理を破壊する者】を舐めるなよ?」
話を聞く限り、また無茶な事を考えていそうな雰囲気がある。とは言え、このチビッ子が失敗をする事はないので放置しても問題は無いだろう。だけど、功績を上げなければならないのが私だ。のんびり構えていては、オリジナルに会った時に恥ずかしくて顔向けできない気がした。
だから、チビッ子の話を私が通す必要があるだろう。
ただ、恵まれるのを待つだけでは功績を上げる処の話ではない。アポイントメントが取れないのなら、バニングス家に突撃してサクッと会って来れば良いんだ。
そこで、アリサに事情を話して双子化計画の了承を得れば任務完了だ。私は、功績を得られる上に世界の修正も出来てチビッ子も助かるだろう。
という訳でその翌日、私はバニングス家の前にやって来ていた。定石通りであれば、昔アリサに教えて貰った抜け道が残っているはずだ。一応、セットアップしてから認識阻害系の魔法を展開して抜け道を駆け抜ける。
数分後、私はアリサの部屋の真下までやって来ていた。
ヒョイっと、ジャンプしてバルコニーへ登り部屋の中を確認する。調度、一人で読書をしているアリサがいた。
扉を開けて、中に入り声を掛ける。
「こんにちは」
「誰っ!?」
見た目は、間違いなくアリサ・バニングス。
だけど、明らかに違和感がある。
何がと、問われるとわからないとしか答えられないけど……確かにアリサは、アリサ・バニングスでは無かった。
「私は、不知火翼。貴女と同じ、転生者よ……」
「……な、何を言っているのかしら……転生者?ふざけてるの!?」
突然の告白に、アリサが驚いた様に動揺する。
【転生者】という言葉に反応するということは、彼女が自分を転生者だと認識しているという事の証拠でもある。
「神様に、アリサ・バニングスに憑依転生させられたんでしょう?他人にされるなんて、大変ね……」
「…………ふーん。本当に、『私』がわかるのね……それで?ここには、何をしに来たのかしら?」
彼女は、観念したのか転生者である事を認めると同時に、私がここに来た理由を訪ねる。
さあ、ここからが正念場だ。
「私は、とある存在と共に世界を修正して回っている転生者よ。ここに来たのは、貴女がアリサ・バニングスだとこの世界の『物語』がおかしくなってしまうの……だから、私としては修正したいのよ。それで、貴女にお願いしに来たの……アリサ・バニングスを辞めてくれないかしら?」
超度直球で、私は彼女にアリサ・バニングスを辞めるようにお願いする。拒否されれば、それまでだけれども了承を得ればチビッ子も色々やり易くなるだろう。
「…………そんな事が、貴女に出来るわけ?」
「私の仲間に、それが出来る人材がいるわ……だから、アリサを本来のアリサに戻してくれないかしら?」
「…………そう。良かった……このまま、ヤりたくもない会社経営とか押し付けられるのかと思っていたわ……何とか出来るんなら、私としてもその方が良さそうね……」
背負わされていた、重荷を降ろせる事にホッとした様な彼女に私も安心する。チビッ子が言っていたような事もなく、私はアリサ(仮)と今度の休みに会う約束をして別れた。
清々しい気分で、抜け道を通って外に出る。これで、彼女とチビッ子を会わせれば、チビッ子が問題を解決してくれるだろう。私は軽い足取りで、月村家へと戻って行った。
……………………。
様子を見て、話を付けて来た事をチビッ子に伝え待ち合わせ場所を告げると……最初は、とても驚いた様子で直ぐに何故か苦虫を噛み潰した様な顔をする。
「…………翼、悪い事は言わない。行くのは、止した方が良いだろう。君の説得は、失敗していると思われる……」
と、とんでも無い事を言い出した。
「どういうことよ!?」
「彼女はそもそも、アリサ・バニングスに憑依転生したいと願っているんだ……」
実際に会って会話した私より、チビッ子は使い魔が調べてきた情報の方を信じるようだ。それは、頭を横殴りされるような感覚を覚える予想外の事で、少しだけ悲しくなってしまう。だから私は、頭に来て反論する。
「はあ!?それって、最初からアリサと入れ替わるつもりだったって事!?じゃあ、何で私の提案に乗った振りをする必要があるのよ!?」
「後でわかった事だけど……生前の彼女は、親の借金地獄に付き合わされた挙げ句に無理心中で命を落としているんだ。彼女はね、今度の人生ではお金で失敗したくは無いんだよ……」
更には、アリサに憑依している転生者の生前の事まで調べている事に驚かされた。っていうか、どうやって調べたのよ!?そんな、生前情報を……。
「嘘よ!私が、独断で説得したのが気に食わないんでしょう!?そうやって、功績を与えないようにして使い潰す気なんだわ!!」
「それじゃあ、僕に利益が無いじゃないか。…………はあ……良いだろう。だったら、待ち合わせ場所に行けば良い。おい、神崎!ちょっと、翼と一緒に『アリサ』との待ち合わせ場所に行ってこい!」
「はあ!?ちょ、待って下さい!なんか、ものすごーく嫌な予感がビンビンするんですけど……!!」
神崎くんが、青い顔をして拒絶の言葉を言い綴る。
だが、チビッ子は止まらない。
「なら、言い直そう。翼と一緒に、殺されて来い!まさかと思うが、翼を一人で逝かせるつもりか?薄情な男だな……お前が、こちらに連れ込んだんだろう?」
ザックリ、嫌がる神崎くんに私と一緒に待ち合わせ場所へ逝って来いと命じた。
「…………ぐっ……わかりました……」
「返り討ちにしてやっても良いが……相手は、何してくるかわからないからな?十分、気を付けて逝ってこいよ?」
「じゃあ、今度の休みにそこへ行けば良いんだな?」
「え?……え、ええ……」
「わかった。全く、神様に騙されて転生したお前が……功績に目が眩んで突っ走ってるお前が……人を見る目があるとは思えないけど、仕方がない。一緒に逝ってやるよ……」
「ううっ……」
そんな風に言われると、段々自信が無くなってくる。
私は確かに、神様に幸せになれると騙されて転生した。
そのせいで、どれだけ悲しい思いをしたか……嫌と言うほどわかっている。ついでに言えば、功績を上げる事に躍起になっていて突っ走ってる自覚が無くも無かった。
冷静になってしまうと、アリサの対応が態とらしい様な気もして来る。ヤケに簡単過ぎると言うか……初めて顔合わせしたのに、とてもアッサリ信用されて約束していた。
「……………………」
「お?冷静になってきたか?」
「翼は、とても素直な性根だからなぁ……俺、とても心配です……正式に転生した後、ロクデモない男に騙されないかとか……変な男に、貢ぐだけ貢いで自殺しないかとか……」
「ううっ……」
段々、この場にいる事が居た堪まれなくなってきた。
「なんだ、神崎は翼にしっかりして欲しいのか?」
「まあ、素直で騙されやすい翼も可愛いんですが……」
「か、かわっ!?」
その言葉を聞いた瞬間、一気に顔が熱くなって行くのが感覚に流れ込んでくる。綺麗とか、美人とか散々言われて慣れたと思っていた。なのに、可愛いだなんて……そんな。
「もう少し、騙されにくくなって貰わないと……心配でオチオチ眠っていられません……」
「心配性だな……神崎は。そんなに心配なら、お前が貰ってやれば良いだろう?」
も、貰って!?それは、つ、つまり、け、結婚っ!?
両頬を抱え込むように、両手の平で包み込む。
「あー……それは、ちょっと……」
まだ、私には早い……あ、違っ!そう言うんじゃなくて、そ、そう!いきなり、結婚なんて順序が違う。
「まだ、原作に未練があるのか?仕方ない奴だなぁ……すじゅかママに神崎の黒歴史を語って聞かせて貰うか?」
先ずは、清らかなお付き合いから!
「ちょ、死にます!!」
デートとか重ねて、信頼関係をしっかりと作ってから!
ロマンチックな場所で、プロポーズして貰って……。
「羞恥心で、悶え苦しめばいい!と、翼……翼!!そろそろ、戻っておいで……w」
「はっ!?私は、何を?」
「血の涙が、止まらないッス!」
「良いから。とりあえず、次の休日は二人でデートしてこいよ?時間は、あるんだろう?」
昨日のアリサの言葉を思い返し、時間を確認する。
言われてみれば、少し時間があるみたいだった。
「ええ。アリサとの約束は、夕方だから……出来ると言えば、出来るけど……」
「映画とかなら、付き合うぜ?ちょっと、見てみたいのがあるんだ……本当は、一人で行くつもりだったけど……翼も、一緒に行くか?」
すると、神崎から映画に行かないかと誘いを受ける。
「良いの?」
つい、そう返していた。でも、神崎は気にした様子もなく二つ返事で了承して、次の休日はデートとなる。
「浮かれて、アリサとの約束スッポカすなよ?」
「スッポカさないわよ!?」
ニヤニヤと、邪悪な笑みを浮かべたチビッ子が視線を落とし見詰めるのは、使い魔からの報告書というかファイル。
一冊取って、中を確認してみるとアリサ・バニングスに憑依している転生者の本名まで書かれていた。
『麒凪 楓』というらしい。
前世で、死んだとされる時期は高校生。親の作った借金地獄で、高校を中退し如何わしい場所で働かされていたらしい。高校の頃の成績は優秀。頭一つ飛び抜けていて、そこそこ有望視されていた子だったらしい。
「こんな情報、何処から調べてくるのよ!?」
「冥界で活動している《神殺し》の補佐達がいるのですよ。ですので、転生した時期を調べてこの世界に送られた魂の履歴を調べれば一発ですよ?誰の魂であるかが判れば後は簡単です。生きていた世界を調べてどんな生活をしていたのかを確認すれば……この詳細データの出来上がりです」
「ラヴォルフさん……もしかして、神崎?」
突如出現したラヴォルフさんが、私の疑問に答えてくれた。そう言えば、《神殺し》って【組織】で動いてたわね。
それならば、この詳細な情報もわかるのかもしれない。
つい、チビッ子があんな使い魔による戦力・人材チート状態だから忘れがちになるけど……《神殺し》という【組織】が、絡んでいたのを忘れていた。
「神崎さんでしたら、テオルグがドナドナして行きましたよ?ホラ……」
ラヴォルフさんの指差す先には、ニコニコしたテオルグさんが逃げ出そうとする神崎を捕まえて外へと連れ出ようとしている。
「嫌だああぁぁ……まだ、死にたくないんだああぁぁ……」
「……………………死ぬの?」
「殺しはしません……まあ、もしかすると必要になるかもしれないですから、その為の魔法術式一式と簡単な鍛練をするだけですよ?」
簡単と言っているけど、前に見学させて貰った時は普通に神崎が半死半生状態でピクピクしていたのを思い出す。
今回も、あの時と同じ様な状態になるのだろうと予測できた。
程々にとだけ言っておいて、私は秘密基地を出てすずかの元へと行く。今日は、習い事も何も無かったはずだ。
もしかすると、緊急で用事が入っているかも知れなかったけれど、確認がてらすずかの部屋へと赴いた。
部屋に着くと、ノックをして少し待つ。
返答を待ってから、扉を開けて中に入った。
「翼ちゃん?どうしたの?」
「ちょっと、今度の休日に服貸してくれないかしら?」
「私の服で良いの?サイズとか、合わないと思うんだけど……?」
「購入しても、次の世界には持って行けないでしょう?なら、購入するよりも借りた方が早いのよ……」
「……双夜には、聞いてみなかったの?」
「そういう裏技とか知っていそうだけど……あまり、頼りたくはないかしら……一応、上司と部下みたいな立場だし……」
「聞いてはいるよ?功績を上げて、ちゃんとした転生をしたいんだよね?ただ、翼ちゃんは短期間で功績を上げるつもりみたいだから、長期化する可能性を考慮してもう少し落ち着いて取り組んで欲しいって、双夜言ってたけど……」
「…………それは、確かに言われたけれど……」
今の生活が、楽しくない訳ではない。
だけど、私は全うな幸せを掴みたいのである。
今の生活の様な、神様特典ありきの仮初め的な幸せなんて要らないから……ごく普通の女の子の幸せが欲しい。
「こんな事になるなら、転生なんてするんじゃなかったわ……健康的な肉体に、生まれ変われるって謳い文句が全て悪いのよ!」
「……聞いても良い?翼ちゃんは、生前……病気でもしていたの?」
「……小さい頃から、ずっと入院していたわ。私ね?病気に対する抵抗力や免疫が無かったのよ。治療法もなくて……」
「そうだったんだ……」
「だから、健康的な身体が欲しかったの。それにつけこまれた感じ?ホンと、旨い話ってないわね……」
本当に世界は、こんなはずじゃなかった事ばかりである。
神様ですら、旨い話を振ってくれないのだから世界は余程酷い状況になっているのだろう。やはり、その辺りの事をチビッ子に聞いてみる他ないのかも知れない。
「すずかは、この世界のなのは達に自分の事……言った?」
「うん。なのはちゃん達が、魔導師だって告白してくれた時に言ったよ?困惑してたみたいだけど、普通に受け入れてくれたかな?」
本来なら、もっと思い悩んでいるはずなのに……このすずかは、もう言ってしまっているらしい。やはり、未来の体験と知識がある分、安心して言えるのだろうと思えた。
「そこら辺は、変態がいても変化しないのね……」
「ただ、フェイトちゃんはアリサちゃんに偽物なんだって言われてショックを受けてたみたい……」
「最悪の反応ね……一つ、良いかしら?なのは達が、吸血鬼の話を受け入れたのを見て、アリサの反応とかどうだったのかしら?」
「正直、あまり良い感じじゃ無かったかな?そのせいで、アリサちゃんとなのはちゃん達も微妙な雰囲気になってたから……」
そこら辺が、チビッ子の杞憂するところなのだろう。
誰かが欠けているというだけで、精神的な変化がもたらす世界の変革は計り知れないモノがあるという事だ。
だからと言って、それで世界が壊れるなんて事はないはずだと思うのだけれど……もしかすると、出来るだけ変化を小さくする様にしているのかもしれない。
「完全に孤立しちゃってるのか……本当のアリサがいたら、もっと良い感じになってたんじゃぁ……?」
「そうだね。アリサちゃんがいたら、あの子ももっと良い子になってたんじゃ無いかなぁ……双夜曰く、アリサちゃんは『太陽のように明るく、正義感の強い人』らしいからね」
そう言って、すずかはクスクスと笑い始める。
あのチビッ子から見ると、アリサはそういう風に見えているということなのだろう。それでも、人間なんだから負の感情はあるだろうに……とは言え、私もアリサが悪落ちしたところを見た事はない。どちらかというと、元気でツンデレなアリサしか知らなかった。
「…………双夜によるとね……アリサちゃんが、黄泉岸くんを慕っているのは演技の可能性があるって言ってた……」
「はあ!?ちょ、それってどういうことよ?」
「さあ、わからないよ……でも、アリサちゃんの性格を考えると、そうとしか思えないって……」
「…………だったら、だいぶ状況が変わってくるわよ!?」
それだと、黄泉岸をアリサが操っているとも考えられる。
黄泉岸は、自分が主導権を握っていると思わされているのかもしれない。そこら辺、神崎に聞いてみたらわかるだろうか?いや、踏み台の事は踏み台に聞くのが一番だろう。
秘密基地に戻ったら、聞いてみようと考えて私はすずかが取り出してくれる衣服を見定めていた。
「もう少し、明るい色合いのは無いかしら?私の髪、少し濃い青だから白ッポイ方が良いのよねぇ……」
「だったら、これなんてどうかなぁ……?」
「あら、とっても良い色合いね……ちょっと、着てみてもいいかしら?」
「良いよ」
許可を貰って、袖を通してみた。
多少、腰回りが厳しい気もしないでもないが……胸回りは、確実にキツいのでもう一回り大きいのが欲しくなる。
「どうかな?」
「胸回りが、キツいわ……」
「……………………」
「…………腰回りは、厳しい感じね……」
すずかの、無言の圧力に耐えきれずアッサリ腰回りが厳しいってことを告白した。
「…………そう。翼ちゃん、プロポーションが良いから仕方ないのかな?じゃあ、こんなのはどう?」
この日は、試着で私達は一日を過ごす事となる。
それでも、コレ!と言った勝負服は決まらなかった。
アレもダメ、コレもダメ……様々な、すずかの服を試してみるも色合いがダメだったり、サイズ的な事が問題だったりと中々決まらない。
「もう、いっそうの事……双夜に相談しましょう!」
最終的に、すずかの鶴の一声でチビッ子まで巻き込み勝負服を選ぶ事になった。すると、秘密基地にあるとある部屋に連れて来られる。何故か、白ッポイボディースーツを着せられて変な部屋に放り込まれた。
「なによ、コレ……それに、この部屋何もないじゃない」
と、文句をブツブツ呟いていると目の前にウィンドが展開された。内容は、凄まじい種類の衣服やアクセサリーが含まれるカタログみたいなモノ。
『どれでも良いから、選択してみろ……』
アナウンスから、そう言われてセット欄から適当なモノを押してみた所、白ッポイボディースーツだったはずなのに適当に押した衣服が、光の衣服となって順次私に着せられて行く。
『ここは、仮想試着室と呼ばれるルームだ。その名の通り、瞬時に自分の好みの衣服を見定めて発注する事が出来る場だ。サイズの方は、その部屋に入った時点で既にデータを録らせて貰ったから、後は気に入った服を試して注文するだけ……え?あ、うん。良いよ?……失礼。発売元は、いうまでもなく《神殺し》が運営する【組織】だけど……それに関わっているのは、真面目な方々だからネタ的なモノは少ないよ?』
という訳で、試着という名の自前着せ替えごっこが始まった。途中、すずかが乱入してくる場面もあったけど、基本的に平和でオーバーテクノロジーなそれは、とっても楽しい時間となりました。
「ヤバイ……これ、ものすごく面白い……」
「ううっ……なのはちゃん達も連れて来たくなってきた……」
『止めてくれ……ロストロギア扱いで、取り上げられちゃうじゃないか!まあ、バレたりはしないだろうけど……』
その後、何着か試して私は薄い色合いのワンピースと幾つかの小物を注文。その際、お金の話になったけれど……それは、今までの功績には該当しない働きに対して支払われた給料で支払うという事だった。
「お給料なんてあったの!?」
『あるよ!?ブラック企業じゃないんだから!当たり前だろう!?』
ちょっと、知らなかった事実に驚いたりして。
普段は、秘密基地にある住居区の家賃として一部引かれているらしいのだが……基本的に、それ以上の金額が支払われているらしい。以前、ラーメンのモニターをやっていたりしたのは、その為の資金稼ぎだったという事だった。
「じゃあ、秘密基地を使わなければ払わなくても良くなるんじゃない?」
『その時は、君達が別で稼がなくならなきゃなるだろう?秘密基地の部屋は、一年に一回の更新制だから逆にモッタイナイよ……』
「そうなんだ。思ってた以上に、しっかりしてるのね……」
『あのねぇ……まあ、良いや。給料の確認は、部屋の端末で確認出来るから確認をしたかったら端末を使って』
という事で、部屋に戻った時に確認したら10万クレジット程の残高があった。衣服やアクセサリーの購入をしていなければ、もう少しあったらしい。部屋代も引かれているようだから、その残りがこれなのだろう。
ついでに言うと、あの施設は初期の型らしく固定式なんだそうだ。最新式では、秘密基地内であるなら普段着でも試着等が出来るらしい。それを聞いた時は、なんて便利な技術なんだろうと耳を疑ってしまった。
つまり、この部屋の中ででも着せ替えごっこが出来るらしい。更に言うと、部屋で給料について調べていると……普段は使わない部屋から、『オトドケモノガトドキマシタ』という電子音声が聞こえて恐る恐る見に行くと発注した衣服が届いていた。それらを見て、思う事はただ一つ。
このシステム、ヤバイ!!という事だけである。
便利過ぎて、10万クレジットなんてあっという間に消費してしまう恐れがあった。試着システムが、初期の型で良かったとつくづく思う。アレが、最新式だったら私……破産している可能性が……本当に、初期の型で良かった!!
翌日、試着室を覗いてみると何故か忍さんの姿があった。
どうやら、すずか経由で伝わったもよう。
札束を渡されて、クレジットに換金しているチビッ子がいたけど……アレってどうなんだろう?と考えなくもない。
私達みたいな者であるなら、ここでの購入もありなんだろうけど……忍さん達は、購入しない方が良いのでは無いだろうか?物質的な……とか、平行世界的な……とか。
ただ、私が気になったのは哀愁を漂わせ遠い目で作業するチビッ子の姿がなんだか可哀想で……涙で目が滲んでしまうのだった。
問題児、アリサ・バニングス!アポイントを取る時点で、干渉できないこの孤立っプリ。洒落になりません。
翼が、ちょっと余計な事をしていますが……はてさて。
情報が集まって来た双夜の意見でバッサリ斬り捨てられるってオチ。この後、翼挽回なるか!?
そして、神崎の口説きww翼のハートに会心の一撃が入りましたwwそのまま、落ちるんだ!!
更に、双夜の攻撃。翼は、グラグラ揺れている。
新展開!!神崎が、翼をデートに誘ったぁ!?
波乱の幕開けだ。
誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m
感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。