絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

149 / 592
一二四話

神崎

 

 

師匠の麒凪楓説得の件は、継続的に続ける様だが……アリサ・バニングス姉妹化の影響か、黄泉岸航はアリサ&楓から離れて行った。それに、自分をオリ主であると宣言する事も無くなっているらしい。

 

「はふっ……」

 

「にゃあ……」

 

そして、今日もお疲れ気味な師匠が秘密基地の広間にあるソファーにユーリと共にダイブする。

 

「お疲れの様ですね……」

 

「全く……すじゅかママには、困っているよ……」

 

すずかは、アリサ魔導師化以来師匠にリンカーコアをねだっている。当初、すずかの何かを代価としてリンカーコアを生み出そうとしていた師匠だったが……何時でもヤれるって理由で、すずかに焦らし攻撃を始めた訳だ。

それが、面白かったらしく今尚継続してイジメている。

 

「さっさと、創って上げれば良いでしょうに……」

 

「やだよー?僕の楽しみ取らないでよねー。それでなくても、楓のせいでストレス度が高いんだから……」

 

という事らしい。麒凪楓説得で得た、ストレスをすずかで晴らしているという事だが……これでは、すずかが浮かばれない。何故ならば、すずかの上書きは麒凪楓が関わっていたから起こった事だからだ。

氷村遊に誘拐されたのは、すずかと楓の二人でアリサ・バニングスはその時別行動していたらしい。その際、すずかが吸血鬼である事を氷村にバラされて楓はすずかを拒否。助け出されるも、すずかは絶望して……事情をアリサが知った時には、すずかは師匠のすずかママになっていたという訳だった。そういう風に修正されて、今があるというのに師匠は楓との対話から得たストレスをすずかで晴らしている。いやもう、本当に浮かばれない。

何で、そんな修正が行われたのかわからないがすずかが師匠の親になるのは決定されていた事らしい。

 

「リンカーコアを与えて、構って貰えなくなるのがそんなに嫌ですか?」

 

「神崎……死にたい?」

 

「……………………」 

 

質問と同時に、明確な殺意と殺気を向けられて俺は押し黙った。ちょっとした、軽口だったんだけど……あ、まだ見てる。刺々しい視線が、俺の側面にザクザク刺さり痛い。

もしかすると、図星だったのかもしれない。

師匠は、黒化してないすずかにはとても甘えん坊だ。

すずかも、基本的に師匠を甘やかすから二人で甘い雰囲気を出している事がある。親子には見えるのでアレだけど、世間一般的な親子とは違うのでやっぱりおかしかった。

兎も角、奇妙な親子がいる生活は至って平和で……原作人物達が、本局に行き来して忙しく働いている事以外は問題なさそうだ。

 

「師匠」

 

「あ゛!?」

 

威嚇された。

 

「いやいや、もう何も言いませんて。そうでなくて、この世界でやる事はまだあるんですか?楓の事が終わったら、別の平行世界行きですか?」

 

「知らん。そんなモノは、世界に聞いてくれ……」

 

「世界に……ですか……」

 

今一、わからないが師匠は次元世界の『意思』に呼ばれて召喚されると言っていた。はて?次元世界の『意思』とは何の事だろう。どうも、明確な意思という訳でもならしい。だが、明確でなくても師匠達を呼べると言うことは、それなりに強い意識があると見て良い。

多分、総合的な意識でもあるのだろうと色々仮定しつつ今日という日を生きている。

何もする事がなくて、ボーっと広間を眺めているとある事に気が付く。そう言えば、今日はまだ鉄の姿を見ていない。また、迷宮と化している住居区で迷っているのだろうと思うが……この秘密基地限定で、彼の認識阻害は発動しないようになっているはずなんだが。師匠が、アンチ魔法ではなく《神陥し》という術式を秘密基地全体に展開したからだと聞いている。

 

「師匠、鉄は?」

 

「そう言えば、今日は見てないなぁ……」

 

「一度、確認がてら部屋にいるか試してみたんですが、返答は帰って来ませんでした……」

 

「居たら居たで邪魔なのに、居ないと心配させる奴だよね」

 

「否定はしません」

 

師匠は、秘密基地のシステムを立ち上げて内部の情報を確認し始める。しばらくして、『あ゛?』と起き上がった。

 

「クソッ!施設の下層に転移システムがあるんだが、それが起動した形跡がある。どうやら、【受難S+】が発動したみたいだぞ!?」

 

「え゛!?また、巻き添えですか!?」

 

「知るか!とりあえず、使い魔に捜索させるが……何処に行ったかわからない。もしかすると、次元世界の可能性もあるから時空管理局に一報を入れておく必要があるかもな」

 

そう言って師匠は、管制通信を開きながら秘密基地から出て行った。きっと、すずか経由で管理局に一報を入れるのだろう。全く、世話の掛かる居候である。

しかし、これが新たな事件の幕開けになるとは、この時は思いもしなかった。

 

 

……………………。

 

 

数日後、鉄は交渉組の使い魔に発見されてフレールくんが常時付いている事になった。今までは、付いていなかった訳ではないのだけど、片手間に見てる的なモノだったらしい。それが、常時に変化したのだから笑えるというモノ。

そうでもしていないと、痴呆で病んだ者と変わらないというのが師匠の弁だ。

 

「鉄発見の報せと、【異端技術】アンチ・アルカンシェルのお知らせが来たぞ?もうちょっと、突っ込んだ調査の上で再度報告するとあるが……ついに、【次元消滅術式搭載型爆弾】の再登場か!?」

 

「マジっすか!?」

 

「あの衝撃を、また体感できるらしい(笑)」

 

「笑っちゃダメでしょ!?」

 

「しかしだなぁ……面倒だし、また今度と先伸ばしにしていた結果、何時再実装されるのか?とは思ってはいたんだ」

 

「対策があるのなら、さっさとやってしまいましょうよ」

 

「まあ、そうなんだが……しょうがない、リンディちゃんの胃に穴を穿ちに行くか!!」

 

「あるぇ?これ、俺のせい?」

 

という訳で、リンディさんが住んでいるマンションへ。

どっちかというと、クロノとエイミィさんの愛の巣?あ、これは最終的な話だから……今は、フェイトん家って表現の方が良いのか。そこに来て、チャイムを押して出迎えを待たずに入ろうとした師匠を止めて、迎え出て来たエイミィさんに案内されリビングに入るとクロノも在宅していた。

 

「あれ?クロノ、休み?」

 

「ああ、しばらくアースラが使えなくてな……」

 

「整備中か……師匠、無理そうですよ?」

 

「問題ない。むしろ、アースラが無いなら好都合じゃないか!つー訳で、リンディちゃん……僕ちょこっと本気で、魔力放出するけど……構わないよね?」

 

「……魔力放出?そんな事を、報告に来たの?」

 

首を傾げて、リンディさんは本当にわからないといった風な態度を取っている。うっかり、知っているんだろうと思っていたけど、そう言えばまだ説明すらしていませんでしたね。

 

「僕達が、出現した時の事を忘れたのかい?」

 

「普通に次元震起きますよ?ジュエルシード21個なんて、目じゃないぐらい……」

 

「だから、時空管理局に許可を取りに来たのに……神崎、もう良いや。ちょこっと、次元空間へ行って殺って来ようぜ」

 

「ですね。次元世界内だと、惑星消滅の危険もありますし」

 

俺も師匠も、意地の悪い会話をしてからベランダへ向かう。それを、慌てて駆け寄ったクロノが止めた。

 

「ちょ、ちょっと待て君達!そんな事、許さないぞ!?」

 

「クロノんの一本釣り成功!」

 

「チョロいですよね。クロノ、チョロい!!」

 

「……冗談なのか!?」

 

『冗談な訳ねーだろ!』

 

クロノの怒りを吹き飛ばしてから、師匠は【次元消滅術式搭載型爆弾】の話をリンディさん達に聞かせた。

しかも、実物の映像付きで……次元消滅瞬間の画像まで出してである。ってか、そんなのあったんだ……。

後で聞いたら、【組織】からの提供物だった。

 

「で、僕のレアスキルに《ルール・ブレイカー》ってのがあってね?これを使えば、全次元世界で魔法を使えなくする事も出来ちゃう超危険なレアスキルなんだ……」

 

「それはっ!!……ちゃんと、制御出来てるのかしら?」

 

驚愕の事実に思わず、声を荒上げてしまったリンディさん。何とか落ち着けて、体裁を整える辺りは流石である。

 

「もちろん。それに、考えなしで使う様な馬鹿でもないし……【次元消滅術式搭載型爆弾】を使い物にならないようにする為に使うんだよ?君達に事情まで話して、何を疑う理由があるのさ?」

 

「……………………そうね。悪い事に使うのなら、話す必要が無いわね。でもね、私はまだ貴方達の事を何も知らないのよ?疑うのは、当然じゃなくて?」

 

確かに、こちらはリンディさん達の事を良く知ってはいるけど、彼女等が俺達と出会ったのはまだ数日前の話である。知らないということは、信頼関係も絆も無いって事だ。

そりゃ、疑うのは当然の事だと思われる。

 

「フムフム。だから、【次元消滅術式搭載型爆弾】の話は眉唾で、《ルール・ブレイカー》も信じられないと?OK。許可なしで問題無さそうだ!」

 

「待って!そうは、言ってないわ……」

 

師匠に、手玉に取られるリンディさんが不憫である。

多分、リンディさん的には信頼関係から作りましょう的な話に持って行きたかったのだろうけど、信用しないなら気にも止めないのがウチの師匠だ。

 

「じゃあ、戦争する?」

 

「まだ、許可を貰えないと決まった訳じゃないですから、いきなり戦争する?というのは脅しにしかなりません」

 

「楓のせいで、ストレスマッハなんだよね。時空管理局が、相手になってくれるなら魔力ランクダブルSの魔導師……100万を呼び戻しても良いよ?」

 

「だ、ダブルSランクの魔導師、ひゃ、百万!?」

 

エイミィさんが、声を裏返してその驚きを表現する。

非情に心臓に悪い師匠の戦力。なんで、そんなモノを作ったのやら。神を殺す為だけとは考えにくい。

 

「馬鹿な!?それだけの魔導師を個人が保有していると?そもそも、そんな高ランク魔導師が早々居る訳が無いだろう!?」

 

クロノの疑問もわかるんだけど……師匠に常識は通用しない。それに、今の師匠なら時空管理局との戦争を殺りかねないので許可を出してくれると有り難い。

例え、それが脅しだったとしても。

 

「出来るから出来ると言っただけだよ?クロノ・ハラオウン。絶対的にそれをやるとは、まだ決まってないし……」

 

「あー、師匠のはガチです。戦力も、能力も、魔力も、異常なのがこの人ですから……」

 

「非常識な……」

 

「その人達は、今何処にいるのかしら?」

 

「各次元世界で、【転生者】と【異端技術】を探してるよ?【異端技術】ってのは、本来は存在しない技術だね」

 

「許可は……取ってないわよね……」

 

大きな溜め息を吐いたリンディさんの顔色が段々悪くなって行く。気持ちはわからないでも無いが、それは師匠を喜ばせるだけにしかならない。

 

「【異端技術】を持ち込んでいるのは【転生者】よね?それなら、【転生者】を有効利用とか出来ないのかしら?」

 

「お?…………変な事言い出したぞ?神崎」

 

まさか、リンディさんの口からそんな言葉を聞く事になろうとは考えてもいなかった。だが、問われた以上考える必要はあるので少しだけ考えて答える事にする。

凌辱系の転生者達が……世界は、俺を中心に回っていると考えるオリ主様が誰かの下に付いて働くかどうかだ。

ダメだ。最初は大人しいかもしれないが、最終的に原作人物を纏めて手に入れようと反乱を起こすだろうという予想しか出来ない。

 

「無理でしょうね。自己中なのや、凌辱しか頭に無いのとかロクデナシばかりでしょうから……難しいと思われます」

 

「だそうだ。有効利用なんてした処で、最悪の裏切りに合うだけだと思うよ?それこそ、時空管理局終了のお知らせとか(笑)」

 

「なあ!?馬鹿な、管理局が終わるはずがっーーー」

 

「クロノ!……それじゃあ、回収って事になるのよね?」

 

「うん。まあ、善良なのは放置&記憶封鎖の方向で……悪質なのは、問答無用で回収かな?」

 

「善良なのは放置?それで、大丈夫なのかしら?」

 

師匠から、前向きな言葉が出るのがそんなに不思議か!?と、訪ねたくなるような表情でリンディさんが問う。

 

「大丈夫だと思うよ?今の段階で、記憶封鎖すれば戦力にはなれど足を引っ張る存在にはならないよ!」

 

「そう言えば、アンチ・アルカンシェル技術については言わないんですか?」

 

「アンチ・アルカンシェルですって!?」

 

「もう!交渉に使う予定だったから、言わなかったのにぃ……さて、リンディちゃん。何処の世界で見付かったか、知りたくなぁい?」

 

ヤヴァイ……師匠が、ニパッと無邪気な笑顔で変な交渉を始めた。クロノの視線が、凄く冷たいモノになってるけど指摘も何も出来そうに無い。リンディさんを見れば、師匠が何を言い出すのかわからずビクビクしている。

 

「とりあえず、魔力放出の許可をくれるかな?そしたら、アンチ・アルカンシェルが何処の世界で開発されているかを教えてあげる。どうだろう?」

 

「あれ?脅してたんじゃ無いんですか?」

 

「神崎くん、ちょっと黙っててくれないかな?」

 

「ひぃ!?サーイエッサーっ!!」

 

笑顔のまま、背筋が凍る程の殺気を向けられて俺はしばらく黙っている事にした。無限再生があるとはいえ、師匠とのガチバトルは避けたい。

 

「どうだろう?どちらにしろ、君達が不利になる話じゃないよね?アンチ・アルカンシェルの開発を止めたい君達と【次元消滅術式搭載型爆弾】を無力化したい僕。どちらも、次元世界の平和に関わるモノだ。嫌だなんて言わないだろう?」

 

交渉術としては、酷く全うなモノで……一瞬だけ、師匠が師匠に見えなかった。

 

「……………………わかりました」

 

「母さん!?」

 

「クロノ、良いから。それで、私は何をすれば良いのかしら?虚偽の報告?それとも、何もなかったと報告すれば良いの?」

 

うわぁ……リンディさんが、悪落ちし始めてる!!

若しくは、師匠の腹黒さがリンディにうつった?

 

「これを、時空管理局に提出してくれれば良い。平行世界で、回収したジュエルシードを解析して複製したモノだ。大きさは、見ての通りジュエルシードの10倍くらい?ジュエルシードと違う所は、願いを叶えないって所か?まあ、小型の魔力動力炉見たいなモノかな?」

 

「…………これを、暴走していたと言って報告しろと?」

 

「うん。中身の方は、抜いてあるから使うならチャージする必要があるけど……封印して、保管するんだろう?」

 

多少、疑問に思われるかもしれないが言い訳には十分な代物だった。だが、リンディさん達の事を考えて持ち出した訳ではないと思われる。使えるかな?と複製してみたが、使えなかったから廃棄する事にしたのだろう。

しかし、何処に廃棄したら良いのかわからず困っていたのだと推測される。まさか、時空管理局を廃品業者扱いするとは思いもしなかった。

 

「封印したロストロギアを、使う予定なんてあるわけ無いだろう!?」

 

「でも、ジュエルシードはジェイル・スカリエッティの手に渡って有効活用されているらしいよ?」

 

「……なんですって!?」

 

「……なんだって!?」

 

流石親子。似たような反応をw。

リンディさんには珍しい、クロノと似た驚き方を目撃。

 

「ちょ、師匠。それは、未来知識ですから!余り、公言されるのはどうかと思います!」

 

「しかしだなぁ……時空管理局に犯罪者に協力している内通者がいる事くらいは伝えておくべきだろう?」

 

「それは……そうですが……」

 

上層部と下端の一部が、【悪】寄りであるが故に全体的に【悪の組織】的な見方が強いけど、それをハラオウン親子の前で言ったらどうなるか予想が付くだろうに……。

 

「まあ……時空管理局は【正義の組織】というより……コインの裏表状態。悪と正義が混在する組織だ。ぶっちゃけ、【悪の組織】と変わらないんだよ?」

 

「あーあ。言っちゃった。はあ……ハラオウン親子だけが、例外って訳でも無いでしょう!?ちゃんと、他にも正義に燃える局員は居ます!」

 

「行き過ぎた正義(笑)。勘違いされた都合の良い正義(笑)、正義を免罪符に強行する馬鹿もいるけどね……」

 

まあ、師匠の言いたい事もわからないでも無いけれど……今ここで、ハラオウン親子を失う訳には行かないって事を忘れて貰っては困る。

 

「とりあえず、クロノとリンディさんは余り管理局の闇に近付き過ぎない事をオススメします。俗に、見て見ぬ振りをしろ……ですね。流石に、身内に暗殺されたくはないでしょう?」

 

もう、何に驚いたら良いのかわからないという表情のリンディ・ハラオウン。全力で否定したいが……最近、管理局の闇に気が付いちゃったクロノ・ハラオウンが頭を抱える。

エイミィさんは、遠い目をして聞きたく無かった事を全力アピールしていた。

 

「神崎……それじゃあ、管理局が組織の都合を護る為に人殺しをする事があるって認めちゃってるよ(笑)」

 

「あ!…………えっと、聞かなかった事にしてください……」

 

「出来る訳無いでしょう!?」

 

警告のつもりで、態とうっかりを装って言ってみました。

そのせいで、リンディさんの頭痛が凄い事に……。

 

「でも、ヤらないと……未来ある若者の命を散らされる事になるよ?例えば、身近な人でフェイトちゃんとか……」

 

「っ!?私を脅す気!?」

 

「まさか。僕達はなにもしないよ?それを殺るのは、時空管理局という組織を都合の良いようにしたい闇に隠れた誰かだよ。まあ、僕達は黒幕も知っているけど…………管理局の闇を知り過ぎている部外者……(笑)」

 

「まあ、こちらの存在は知られてないので暗殺される事はありませんが……貴女方は、自重した方が良いと思われます。せめて、後4年間は黙って見てて下さい」

 

「高町なのはが19歳になる頃、八神はやてが自分の部隊を立ち上げるから……その時に、管理局の闇は奈落の底に屠られるはずだ」

 

「ええ。表に知られる事なく、ではありますけどね……未解決事件も一緒に奈落の底……ですけどw」

 

リンディさんが、少し別な事を考えてる気配を感じる。

表だって動くと、周囲の人を巻き込む可能性があるからって事で裏から手を回すつもりかもしれない。だから、何するなと言っているのに、なのにどう動こうか考えているリンディさんが意味不明であった。

 

「平行世界のヤツで良いなら、以前僕が管理局内部に入った時の記録が残っているけど……見る?」

 

「ああ。あの億単位の犯罪履歴ですね?」

 

「そうそう(笑)。ちょっと、無限書庫のバックドアに入ったらわんさかと犯罪の履歴書が溢れてきたアレだよ。無限書庫には、そういう犯罪の証拠も収集するシステムがあるんだけど、バックドアを知らないと一生わからないままの証拠が安眠することになるんだよねー(笑)」

 

「それで、どうします?秘密裏に師匠をユーノに会わせてみますか?それなら、余り軋轢もないと思われますが……」

 

「簡単に言うとね?時空管理局に所属する、執務官全員を過労死させたいなら僕協力するよ?」

 

全くもって、安心出来ない提案がハラオウン親子に提示された。ついでに、クロノとリンディさんの目の前に展開される情報はあったり無かったりする事件の報告書。

実在しない事件は、ここが平行世界だからこその証。

それらは排除しつつ、管理局の犯歴をガッツリ見せてからお伺いをしてみる。無かった事件を排除しても、事件の件数が減ることは余り無かった。

むしろ、使い魔さん達が集めて来た情報から概要のみで似た様な事件が追加されていく。師匠の説明も、それに準じるモノとなり追加された分は別けて紹介された。

 

「あるぇ!?」

 

「何ですか……って、ええっ!?」

 

その追加された情報の中に、知っている人物の記事があった。しかも、原作通りであるならばこの先も生きているはずの人物だ。師匠に断りもなく、その記事を引っ張ってメイン画面に出した。

 

「ギル・グレアムが、事故死だって!?未来じゃあ、まだ死んでないはずだぞ!?これが、管理局のアレ絡みだとしたら……この世界軸の闇深くありませんか?」

 

「ちょっと、調べてみる必要があるなぁ……無限書庫、潜ってみるかぁ……」

 

師匠の目が、仕事をする時の目に変化してリンディさんを見据えた状態でユーノの紹介を迫り始めた。流石にこちらがもたらした情報がアレだった為、二人は渋々ではあったモノの師匠に協力する方向で話は付く事に。

後日、リンディさんと共に時空管理局に行く事になった俺達は、先に《ルール・ブレイカー》の設置を済ませてしまう事にした。師匠が、次元空間に転移して魔力の解放後《ルール・ブレイカー》を“世界”に突き立てる。

これにより、【次元消滅術式搭載型爆弾】の懸念事項は封殺されたと考えて良い。これで、突然のRETAKEは無いと考えられる。多少、使い物にならなくなった事が判明して周囲に浸透するまでは待つ必要があるが……不安事項の要素が一つ減った事は事実だった。

 

「クソッ!調べれば、調べる程……例のアレが、関わっている可能性が高まるんだが……」

 

「他の平行世界とは、異なる事があるって聞いてはいたけど……厄介な話ですよねー。やっぱり、リンディさんどんな形であれ、これには関わらない方が良いと思うよ?」

 

「そうだな。これで、リンディちゃんが死んだらフェイトちゃんが可哀想だ。闇には、探りを入れるなよ?せめて、無限書庫の調査が終わるまで手は出さないでくれ……」

 

いやもう、本当に『世界は、こんな事じゃ無いことばかり』である。まさか、時空管理局の闇がここまで深まっているとは考えもしていなかった。

下手をすると、もっとヤバい事になっていそうで、色々と手回しする必要があるかも知れない。

 

「それで、無限書庫にはどうやって入りますか?」

 

「平行世界で、取った資格は使えないが……司書資格はあるんだよなぁ……」

 

「そうなの?なら、もう一度資格を取れば良いんじゃ無いかしら?身分の証明は……すずかさんの登録と併用して行えば良いかしら?担当は、私達になるけど……」

 

「なら、あの時と同じようにユーリと突撃するか……」

 

予想が正しければ、ギル・グレアムの死には転生者が関わっている可能性がある。

直接か間接かは、わからないがギル・グレアムが管理局の闇に探りを入れる切っ掛けがあったはずだ。もしかすると、善良な転生者からの無償の通報の可能性もある。

 

「なら、俺と翼は嘱託ですかね?信用の出来る魔導師とか紹介して貰えませんか?報酬は、師匠がもたらす情報になりますけど……」

 

「乗り掛かった船ですもの。構わないわ……」

 

「じゃあ、リンディちゃん……僕とユーリの保護者になってくれないかな?そっちの方が、動きやすいんだよね……」

 

「あら?すずかさんは、良いのかしら?」

 

「すずかの家に転がり込んでいるとはいえ、俺達には明確な身分は存在しません。不法滞在者でもあり、不法入国者でもある訳です。しばらくすれば、師匠が身分証を作っちゃうんですけどね。師匠は、目的の為なら手段を選ばない人なので、放置しておくと危険です……」

 

「言ってくれるじゃないか……」

 

事実を口にしただけなのに、師匠が殺気に近い視線で軽く睨んでくる。だけど、事実は事実なので早々に視線は切られた。今は、リンディさんとクロノの間に座って各事件のあらましを説明している。

 

「ってか、僕達の事……信用するの?」

 

「今更、それを聞くんですか!?」

 

「確認だよ。確認!大事な事だろう?」

 

「目的はどうあれ、管理局の闇を払そうとしてくれているんだ。今は、それだけで十分だよ……」

 

目的って、あの局の執務官全員を過労死ってヤツか?

ほら師匠、信じられちゃってますよ?あの冗談。

結果的に、そうなるかもしれないですけど意図的にやる事ではありませんからね?

 

「そうね。事実確認が出来てから、答えを出す事にするわ」

 

リンディさんまで、師匠が色んな方法で煽ったりイジメたりするからおかしな事になってますよ?

なのに、師匠が笑顔でピースしてやがる。

まさか、そういう風に誘導していたのか!?この人。

 

「当たり前だろう?そう簡単に、信じられたらこっちも困るって。リンディちゃん達のチョロいん疑惑……その後の展開次第では、闇に呑まれる可能性まで視野に入れなきゃならなくなるだろう?」

 

「猛毒来たー!!それはそうですが、本人達の前で言うことではありませんよ?まあ、牽制にはなるかもですが……」

 

「あちら……転生者が、管理局の闇に協力している可能性も視野に入れているんだ。味方は全員、監視されていると考えておいた方が良い。その上で、僕達が別動隊として動くんだ。当たり前だろう?」

 

「…………なんか、情報来てますか?」

 

「いや、ただの勘だ。そういうのが来たら、確定事項になるんだがなぁ……流石に、尻尾は丸めている様だ」

 

全て、折り込み済みって訳ですか!?

 

「裏が取れ次第、順次報告かな?普段通りのはずなのに、リンディちゃん達に筒抜けってカラクリがわかるまでは自由に行動出来そうだ。ユーリは、転生者に顔バレしているらしいから変身魔法で別人になって貰おう。僕は、非魔導師として登録するから余り目立たないと思うよ?」

 

「監視があるという事でしたが、今もあるのでは?」

 

「無いよ?もし、そんなモノがあるならフレールくんが見逃すはずがないだろう?」

 

「デスヨネー!」

 

既に、色々と手を打って回っている師匠の手腕に恐れを抱く。しかし、ギル・グレアムの件はつい先程知ったはずだ。いったい、何時からその事を視野に入れていたのか見当も付かない。だが、そういう事をしてくれているから安心して行動出来るというモノだ。

 

「それじゃあ、楓と平行して無限書庫にも挑むのが僕のお仕事だね!神崎達は、新人転生者として管理局に関わるんだろう?殺されない様に頑張ってね?」

 

「午前中は、ラヴォルフさん達と修行三昧で、午後から嘱託戦士としてのお仕事……帰って来たら、魔法の授業ッスね。大変なスケジュールだ……」

 

という訳で、俺達はそれぞれの行動を起こし始めるのだった。師匠は、司書資格を得る為に……俺と翼は、嘱託の資格を得る為に動き出す。その後見人は、クロノ・ハラオウン(俺・翼)とリンディ・ハラオウン(師匠・ユーリ)だ。

 

鉄は、現在の所……次元世界で迷ってる。

 

 

 

 

 

 

 




鉄翼刀……裏特典【受難S+】と【迷い子】認識阻害ヴァージョン。克服不可ww受難はわかるとして、【迷い子】は読んで字の如く『迷子』の事ww自特典に【悪運】があるので、死にはしないけど……それでも、生活に困るレベルなのでさっさとスキルブレイクしてあげないとイケないだろう。でも、面白いからって理由で放置ww
きっと、【受難S+】が関わっているモノと推測されるww

さて、それでは無限書庫に暇潰しに行こうか!!

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。