絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~ 作:葉月華杏
Re:
結論だけを言うならば、彼等はRETAKEを受け入れる事にしたらしい。【本気】と書いて【マジ】と読む、一番面倒な結果である。……考え直してはくれないかな?
「じゃあ、一度世界を虚無に還すけど……本当にやり直しで良いんだね?」
「ええ。今の状況じゃあ、私達は犯罪者ですもの……人生のやり直しが出来るなら、やり直させて欲しいわ……」
「君達も、それで良いんだね?」
『あ、はい』
何故か、精気の抜けた様な態度の男性転生者達。っていうか、すっごく気落ちしている様に見える。
「リーダーが、そう言っているのでそれで良いです……」
「ショック療法が、行き過ぎた感じがする……」
「そりゃ、ショックも受けるでしょう……」
呆れた感じで、リーダーと呼ばれた女性が肩を竦めた。
「全く、妹に会えたと思ったら……また、やり直しとか辛いわぁー……」
「妹?」
「平行世界で、高町なのはに引き取られたので……僕にとってヴィヴィオは妹だよ?で、なのはママはママだし……」
『ポカーン……』
「貴方、年上じゃない訳!?」
「女性の裸に、トラウマがあって……裸の女性に囲まれると、幼児後退しちゃうんだよ。で、黒歴史を何度も繰り返すはめに……モモちゃん……なのはママのママに、何故か気に入られて連れ込まれるんだよ……お風呂に。それで、幼児後退して黒歴史が積み重ねられていくって訳……」
『……それ、嫌だなぁ……』
何故か、男性転生者達に同情されてしまった。
「原作人物達とお風呂に入れるんだよ?羨ましいとか、思わない訳?ぶっ殺してやるっ!!とか?」
「女性の裸にトラウマがあるんだろ?」
「それって、女性の裸=恐怖の対象って事じゃないのか?」
「あ、ちゃんと理解してやがったか……ここで、反抗してくれたら面倒が減ったのに……こういう時だけ、頭が回るんだよなぁ。人間って……」
全くもって、面倒な生き物である。
「あ、危ねぇ……こいつ、危険思考者だ!気を付けろ!」
「アンタ達、黙ってなさい!チャンスが逃げるわ!!」
『サーイエッサー!!』
「徒労組むし……チェッ……」
しかも、あのフードの女性が転生者共のリーダーって事は、彼女がいる限りこちらの思い通りには行かないと考えて良い。つまり、彼女が彼等の理性と頭脳といった所か。
「もしかして、君は……性別反転者なのか?」
「違うわ。生前も女よ。でも、この世界に恨みを持っているのは事実ね。見なさい……」
そう言って、彼女はフードを取り払いその顔を俺に見せる。その顔は、俺の知る人物と良く似ていた。
「鳴宮海沙姫!?」
「その双子の片割れね。あの子とは、一応血の繋がりがあるけど……妙な能力を使うからって、気持ち悪がられて捨てられたの。あの子は、受け入れられて私が捨てられるっていうのが納得行かないわ!!」
「鳴宮海沙姫を恨んでいるのか?」
「馬鹿言わないで!あの子は、私が捨てられた後も必死で色んなモノを差し入れてくれたのよ!?何度、クズ(両親)に叱られても……何度、あのクズ共に殴られてもそれを止めなかった……私の大事な妹を、恨むはずが無いでしょう!?」
「フムフム。やり直して、一緒にいたいって事か。なら、やり直しした後の彼女への説明は任せても良い?やり直しの話は、彼女にはまだしていないから……」
「ええ。了解よ……」
「後、裏特典についても説明しておくね?」
『裏特典!?』
「神様特典と共に……または、神様特典を得ると特定条件の元に裏特典というモノが付いてくるんだ。例えば、魅了系の特典を得ると恋愛系認識阻害を得て……まるで、相手が自分に惚れているように見えるっていう負の特典が得られる。その結果、魅了系特典会得者は嫌われていても自分が思い描いた恋愛をしているように見えるらしい……」
『マジか!?』
「他にも、幸せになりたいと願うと不幸になるとかね……多分、君の特典もその類いだろう。両親に捨てられたのも、裏特典の可能性が大だ……」
「…………つまり、これも【神様】が仕組んだ事な訳ね!?」
何となく、《旧・神族》を恨む憎む様に誘導している様に感じるけど……事実なのだから仕方がない。それに、裏特典を《ルール・ブレイカー》で破壊してやり直ししたら未来が変化するのは当たり前なので問題はないだろう。
「正確には、《旧・神族》が君達を【闇堕ち】させる為に付けた特典だろうね。そして、堕ちた君達に【神格】を与えて【堕ち神】にするのが奴等の目的だ!」
「おちがみ?」
「要するに、堕ちた魂に【神格】を与えると兵器になるんだ。【対神殺し用戦略兵器】にね……」
「つまり、私達は貴方達《神殺し》と戦う為に転生させられたって訳!?」
惜しい。良い線行ってはいるんだけどなぁ……間違いではないので、否定はしないけど。
ちょっとだけ、訂正しておく。まあ、低ランクの《神殺し》にはそこそこ脅威だったりするし。
「いや、時間稼ぎだ。例え、【堕ち神】が何万何億何兆現れても敵にすらならないからね。でも、《旧・神族》が人間という玩具を手に入れる時間稼ぎにはなるんだよ」
「ちょっと待ちなさい!人間が、玩具ってどういう事!?」
「その言葉通りだよ。彼等に取って、現存する世界は自分達のモノという認識でしかない。その中でも、生きとし生ける者は最高の玩具らしいいんだ……それを、僕達《神殺し》が邪魔をしたり……解放して回っているって訳だ」
「…………良いわ。私は、貴方達に付く。それで、アイツ等に意趣返しが出来るなら本望よ!!」
なんか、こちらの良いように進むので不安になってくる。
だから、ちょっとリスクがあるけど聞いてみる事にした。
「…………《旧・神族》を、恨むように誘導しているとは思わないのか?こちらの言い分が、正しいと判断は出来ないだろう?」
『……………………』
男性達が、『え?』みたいな表情をする。っていうか、なんでそんな素直な反応をするのか……余りにも、チョロ過ぎるんだけど?精神的に未熟なのか?
「……そうね。言われてみれば、その通りだわ……でも、そんな質問をしてくるって事は嘘ではないはずよ?それに、貴方……ぶっちゃけ過ぎよ!!」
言われて、俺はやり過ぎていた事に気が付いた。
「色々、筋が通っているような気もするし……条件が、破格過ぎるのよ。今の記憶を持ち越せるんでしょう?」
「まあね。それと、更に好条件の追加だ。神様特典と裏特典の破壊を提案する。神様特典については、魅了系とか他者の意思に反する能力限定で破壊するけどOK?」
「破格どころでは無いわね……もう、貴方を信じる以外の選択肢が無いわ。ええ、その条件でお願いします……貴方達も良いわね?」
『うッス!!』
「じゃあ、ちょこっと特典を確認させて貰うよ?」
そう言って、【真実の瞳】を解放した。
それによって読み取れたのは、リーダーをやっている転生者の特典と裏特典。やはり、通常の特典とリンクした感じで転生者を貶める系の裏特典が存在していた。
それと、後ろにいる男性の中に魅了系と思われる特典が幾つか確認できる。しかし、裏特典に邪魔されていて上手く機能していない様子だった。まさか、ここに来て魅了系が正確に働いている転生者に会うことになろうとは……でも、魅了系特典は破壊すると言ってあるし了承を得ているので問題はないだろう。破壊後、ちょこっと教えるくらいは問題ないし……な!という訳で、そそくさと彼等の魅了系特典と、彼等を不幸にする裏特典を破壊してしまう。
「はい。終了!後は、破壊神最終奥義魔法で世界を消滅させればRETAKEとなる!!覚悟は良いかい?」
『ええ!』
「それじゃあ、未来でまた会おう!」
そう言って、俺は破壊神最終奥義魔法を使用。
世界を虚無に還したのだった。
…………………………………………
…………………………
…………
「TAKE3!!」
『なんで(さ)よ!?』
神崎達にツッコミを貰いつつ、先程までの流れを説明する事になった。言うまでもないけれど、神崎や翼に散々文句を言われる。
「僕だって、まさかこんな事になるなんて思わなかったんだ!良いじゃんか、善良な転生者が増えるんだ……RETAKEを繰り返せば、楽できるようになるんだぜ?」
「それにしたって……何の相談もなく、RETAKEとか止めて欲しいわ。また、面倒な嘱託をする事になるのよ?」
「兎に角、月村家に行ってみようよ。何か変化があるかも知れないよ?」
もしかすると、【すじゅかママ】が普通の【すずか】になっている可能性が大なのでルンルン気分で月村家へと行く事にした。もちろん、人影が少ない裏路地に入ってから転移魔法で月村家の近くに転移する。そして、コッソリ敷地内に入ってすじゅかママを確認すると何故か鳴宮海沙姫とその双子の姉が庭先でお茶していた。
「……………………」
『なんで(さ)よ!?』
「双子!?双子なんですか!?」
「ああ、鳴宮海沙姫は双子で……その片割れが、凌辱系転生者のリーダーだったんだ……」
「!?それって、大丈夫なの!?」
「さあ?見た感じでは、問題なさげだけどなぁ……?」
こうして、外部から見るだけなら仲睦まじい姉妹と友人の様に見える。そこへ、アリちゃと楓が入って来た。
「一応、転生関係が揃っているから乱入しても問題無さげなんだけど……邪魔しちゃ悪いしなぁ……」
「ですね。引き上げますか?」
そう、神崎が進言してきた所で背後から音が聞こえて、振り返れば黒尽くめの男……高町恭也が立っていた。
「ほぉ……何の為に侵入したのか判断付かないが……不法侵入罪で、警察に付き出されても文句は無いだろう?」
『!?』
その高町恭也の発言で、神崎達は慌てて飛び退いた。
遅れて、俺もすじゅかママ達が楽しそうに笑う中庭に乱入する。こちらに、気が付いた転生者達の声が聞こえた。
だけど、それに反応する前に恭にぃが神崎の方に突っ込んで行って小太刀を振るう。それに割り込んで、適当にサバイバルナイフでいなして回避する。ついでに、神速を使って恭にぃの背中に蹴りを入れて歓談中の【すずか】達の方に流れないように軌道修正を掛けておいた。
地面に降り立ち、ナイフを構えながら距離を取って行く。
俺を挟むように、左右に神崎と翼がやって来てそれぞれの構えを取った。
「アンタと、事を構える気はこちらには無いよ。とある事情で、そこにいる『月村すずか』を確認したら離脱する予定だったんだ……」
「……………………」
「もう、ここに用はない。離脱するぞ……?」
だがしかし、離脱すると言っているのに恭にぃがそれを許してくれるはずもなく、俺達は構えたまま様子を伺う。
仕方がないので、ナイフを片付けて代わりに薙刀を取り出し構えた。一応、警告を出しておく。
「高町恭也、死なない程度に痛め付けるが……怨まないでくれたまえよ?」
「…………子供に負ける気はない!」
「見た目に惑わされるな。器が知れるぞ?餓鬼……」
「!?」
神速は使わず、流れる様な動きで相手の呼吸を読み取り、意識の隙間に入って間合いを殺す。そこから、最速の突きを放ってみた。恭にぃは、途中から驚いて避けたけど……この程度の事で、神速を使っていてはスタミナが持たないと思われる。
「おいおい、この程度で神速使って回避するくらいなら……被弾覚悟で、カウンターがセオリーだろ?見た目で判断するから、序盤から体力を使う事になる……」
「……………………」
再度、同じ方法で間合いを殺してから神速を使って最速の突きを放って見せた。同じ攻撃をされたと考えた恭にぃは、肩を貫かれて吹き飛ぶ。
「おいおい、まさかこの程度のフェイントに気を取られるとか……未熟過ぎるだろ?神速っていう知識があるんだ、なら神速を使えると考えといた方が良いぞ?」
「くっ……」
その後も、恭にぃをちょこっと揉んでやって、スタミナ切れで尻餅を付いたところで薙刀を消して見せた。
「神崎、後は任せるよ?」
「はい、師匠!って訳で、大人しくして貰うぞ?」
「くっ…………」
神崎が、恭にぃを押さえ込むのを確認してからお茶してる【すずか】達の元へと歩み寄った。
そして、ニッコリ笑顔で楓に視線を向けて問う。
「やあ。久しぶりだね……元気してた?」
「ええ。当初は、かなり混乱させられたけど……それなりに楽させて貰っているわ……授業料は、払わないわよ?」
そこそこ、集中してないと裏特典が活動を再開するレベルで抑えていた。楓のアレは、気が緩んだ所で最大の爆弾を投下してしまうのでリラックスはしていられない。
まあ、そこら辺は想定内なので良いとして……鳴宮姉妹の方に視線を向けた。
「それで、そっちの姉妹はどうなんだい?」
「貴方のお陰で、とっても順調よ?妹とも、仲良くしているわ……後、男共の方は時空管理局に勤めて……頑張っているわよ?」
TAKE2の時に、過激な凌辱系転生者はあらかた片付けたので、残っていた扇動されやすい未熟者達が時空管理局の厄介になっているとのことだった。
「そうか……ならば、問題はないだろう。鳴宮海沙姫、君はどうだい?前回と、変わらない進路か?」
「ええ。ちょっと、驚いたりもしたけど……お姉ちゃんと一緒に暮らせるから、今はとっても充実しているわ……」
この様子だと、問題視する必要すらなっていないようなので手放しと考えて良さそうだ。後は、前回俺がやらかしたアリちゃ双子化計画で生じた歪みを取り除けば、この世界での任務は終了となる訳だ。
「そうか。じゃあ、僕は任務があるから撤退させて貰うね?まあ、しばらくは騒がせると思うけど……気にしなくて良い。ああ、そうだ……時空管理局は、正常かい?」
「ええ。ちょっと、黒い所もあるけれど……概ね、問題ないわ……戦力もあるし……」
「まあ、彼等が加わったんなら僕の出番も無いだろう」
それだけ言って、お茶会している彼女達から離れて行く。
「あ、待って!貴方達、この後どうするの?」
「前回、楓の事で色々やらかしたから……その後始末をするだけだよ。そちらには、関わらないと思うけど……何かあった時は、こちらから関わりに行くから問題ない……」
それだけ告げて、俺達は今度こそ神崎と翼を連れて月村家を後にした。【すずか】が、何も言って来なかった所を考えると、【すずか】は【すじゅかママ】ではなくなったと考えるのが妥当だろう。
「今度の拠点は、どうするんですか?」
月村家の庭を抜けて、門ではなく塀から外に出ていく。
出た所に監視カメラがあったので、ニコやかな顔で手を振っておいた。これで、より月村家の迎撃システムが向上する事になるけど、俺達にはもはや関係ない話だった。
「あー……また、神社で良いだろう」
「秘密基地様様ですね!」
出来ることなら、リーゼ姉妹がいればもっと楽しい日々の幕開けになるんだけど……流石に贅沢は言ってられない。
「鉄も出してやらないといけないし……RETAKEした事も、告げないとイケないしなぁ……」
ほぼ、無理矢理秘密基地に押し込んだから拗ねているかもしれない。転移魔法で、拠点となる神社へと飛び俺は秘密基地を裏手の軒下に設置。そのまま、神崎達と談笑しながら中へと入って……俺は、自分の迂闊さを後悔する事になった。
「……………………」
「あ……」
「はっ!」
「あ、漸く戻って来たのね……双夜。あのね、なのはちゃん達が地球に戻る任務があってねーーー」
すじゅかママが、何かを言っているけど俺の耳には全く入って来ない。いや、そもそも秘密基地内に何故すじゅかママが要るのか……それがまず、理解出来ていなかった。
すじゅかママ!?すじゅかママが、ここにいて……地球に行くとか言っている。つまり、前回の機動六課の地球任務の話から、ずっとすじゅかママは秘密基地で俺を待っていたという事になる訳だ。
「…………師匠、どうするんッスか!?帰る世界がないッスよ!?説明……しない訳には、行かないんッスよね?」
「ん……ああ。すじゅかママ、ちょっと良いかな?」
すじゅかママが、なのは達の任務に便乗して地球に帰らないかという説明を遮ってこちらの話を聞いて貰う事にした。すじゅかママは、首を傾げて俺を見詰めてくる。
「???」
「その任務だけど……もう、無いよ?」
「え?」
「えっとね……僕達は今、すじゅかママのいたあの世界軸とは異なる世界軸にね……いるんだよ……(嘘ではない)」
「…………え?」
「だからね。言いにくいんだけど……すじゅかママは今、すじゅかママの世界軸とは違う平行世界にいるんだよ……」
「……………………」
理解出来たのかはわからないけれど、すじゅかママは時間が経つに連れてサァーと顔を青くしていく。すじゅかママには、僕の任務についての説明を受けているから僕が平行世界を渡り歩いている事を知っている。
しかし、まさか自分までもそれに便乗する事になるとは思ってはいなかったはずだ。迂闊にも、すじゅかママは秘密基地内で俺の帰りを待っていて、俺はそれに気が付かずに鉄を押し込んで回収してしまった。その結果が、目の前にいる19歳のすじゅかママである。
鉄は良い。だって、転生者だから。本来、存在しない存在。世界軸を渡ったとしても、元から居ない存在であるが故に別の平行世界に放り出しても問題にすらならない。
だけど、すじゅかママは駄目だ。世界に、正式登録されている現地民。そんな彼女を世界軸から抜き出し、別の世界軸に連れてくるなんて禁忌に等しい行為である。
まあ、すじゅかママがいた世界軸は破壊神最終奥義魔法で消滅しているから次元重なり消滅の危機はないけれど、同存在同士による対消滅の危険性は残っていた。即ち、すじゅかママが【すずか】と出会うという行為をしてはイケないというモノ。とりあえず、秘密基地からの外出は出来るだけ避けて貰わないとイケないだろう。
「えっと……元の世界に戻して貰う事は出来ないのかな?」
「…………出来るなら、そもそも鉄がここにいる事自体おかしいよね?アイツも、巻き込まれた一人だし!」
「えっと、じゃあこの世界に置いて行かれたりするのかな?」
どう、説明したら良いのか考えていると、すじゅかママの方からありがたい質問が出てきてくれた。これ幸いにと、自分自身との出会が如何に危険な行為であるかを言い聞かせる。好奇心は、猫をも殺してしまうのであった。
「すじゅかママが、この世界軸の【すずか】と出会ったらどちらかの【すずか】が消滅しちゃうんだけど……」
「え?……そ、そうなんだ……じゃあ、家には帰らない方が良いんだね……」
「あ、でも、ここには居られるよ!ここは、ある意味別の世界みたいなモノだから、この中でなら出会う事は可能だけど……まあ、態々危険を犯す必要もないよね……」
そもそも、鉄にしてもすじゅかママにしてもイレギュラー過ぎる。すじゅかママを何処かの世界軸に、置いていけたとしても前提条件に【すずかの居ない世界軸】を見付けないといけない。とは言え、すじゅかママは吸血鬼性を失っているし……リンカーコアも持っているから、この世界軸のすずかと会わせても問題ないかもしれなかった。
ただ、この世界軸のすずかと会わせないのは対消滅の可能性があるってだけの話だ。まあ、《ルール・ブレイカー》を使えば普通に会わせる事は可能だった。
「世界の調整が終わるまで、すじゅかママはこの秘密基地で大人しくしていてね?鉄、神崎、翼。VRゲームの使用許可を出すから、ママの相手をお願いできるかな?」
「え!マジで!?ヒャッホー!!゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚」
「おい、こら!たく、しょうがねぇなぁ……」
「行きましょ、すずか……」
「えっと、翼ちゃん。VRゲームって、何?」
「すずか、ゲーム好きよね?」
翼達が、すじゅかママの手を引いて別室へと向かって行く。俺は、素早く外界との通路を封鎖してから引き籠る事にした。どうせ、食事時になれば呼びに来るだろうから食料の買い出しなどは後回しにしておけば良い。お金に関しては……前回、神崎が稼いだお金で十分だろう。まあ、同じ番号のお札が二枚になる程度の話なので問題ないはず。
その辺りの、細かい話は気にしない事にした。いや、むしろ同じ番号のお札が同じ人の手元にある確率は……とても、低いはずだ。それに、そんなに誰も気にしないだろう。
印刷ミスか、何かだと思うくらいだ。一応、この世界のお札が前回の世界のモノと同じモノかだけは確認しておく。
じゃあ後は、自室を因果律の遺跡と繋げて俺は世界の調整を開始するのだった。補佐として、側近のクリスティーナとリディアにも手伝って貰う。残りの使い魔達には、一応の確認として【凌辱系転生者】の捜索と【異端技術】の確認をお願いしておいた。見付かなければ良いけど、もしもの事があるので【凌辱系転生者】が改心したとしても捜索はするべきである。発見に至れば、それなりの対応をするだけの話なので手間にはならないだろう。
世界の基盤に関しては、ザッと確認した感じではアリちゃの双子化以外の歪みは検知できず、放置しても自然修正が可能な程度の歪みだった。ただ、少し懸念があるとすればすじゅかママの事だけだろう。すじゅかママが、この秘密基地に籠るというのなら問題ないが……世界軸の外に出た場合は、歪みの程が大きく歪む事となるだろう。
入り口を閉じて置いて良かった。
何の気なしに外に出られたら、調整のレベルが跳ね上がっていただろうから大変な事になっていたはずだ。
すじゅかママに取っては、残念な話になるだろうけど……永住の地を探すのは待って貰うしかない。
一通り、世界の調整を終えて広間に戻ると……正座をしている鉄と、説教をしている翼。頭を抱えた神崎と、ニコニコと冷ややかな笑顔を振り撒くすじゅかママがソファーに座っていた。それを見て、俺が思う事はすじゅかママに前回の世界の結末が伝わったという悪夢である。黒化はしてないみたいだけど……それと、同等の恐怖が待っているという事を俺の【真実の瞳】が看破した。
「あー……口を滑らしたのか?この馬鹿は……」
「ううっ……すいませんッス……」
「落ち着いてから、折を見て伝える予定だったのに……」
「あら……ちゃんと考えていたのね」
「考えてるよ、普通は!でも、混乱しているところに……更なる混乱を加速させる要素を教える必要ある!?」
「保身とかじゃ無かったんですね……」
「人間の精神が弱い事は知ってるよ!だから、伝えなかっただけだ。今は……な」
「双夜。私は、大丈夫だからちゃんと教えてくれるよね?」
「良いよ……神崎達は、買い出しに行って来てくれない?」
「あ、はい。了解です……あ、でもお金は……」
「前回の世界のを、そのまま使えば良いよ……偽札扱いではあるけど、十数万程度なら誰か特定の人物の手元に集まる事はないだろうからね……偽札と認識すらされないよ」
「あー……確かに番号が複重するけど、特定の人物の手元に集まる可能性は低いッスね……わかりました。ゾロ目的な番号は使わない様にします」
もはや、犯罪を犯す事に抵抗すらない神崎。いやはや、流石に俺の教育が行き届き始めたという事だろう。
「今回は、秘密基地に引き籠るから日保ちする系の食材を買って来てね?」
「あら……引き籠るの?」
「すじゅかママが、外に出られないからってのもあるし……それなら、僕が出来るだけ一緒にいれば良いから……ね?」
「問題が発生したら、どうするのかしら?」
「その為の君達だろう?凌辱系転生者一人撃破につき、功績一プラスね?それだけで、十分働きたくなったろう?」
「……それって、どれくらい溜めれば転生出来るのかしら?」
「え?ちょっと、待ってね?」
そう言って、俺は秘密基地の端末を起動させた。コンソールを展開して、外部協力者の功績に対する褒賞一覧表を空中ディスプレイに表示する。
「……こんなモノが、あるんッスねぇ…………『絶倫』『精力増強』『魅力アップ』?……何故、こんなモノが???」
「『ハーレム体質』何てモノもあるッスよ!?」
「はっ!そうか、《ニコポ・ナデポ》じゃなくて《ハーレム体質》を特典にすれば良かったのかっ!!」
神崎と鉄が騒いでいるが、『ハーレム体質』を特典として得たとしても女性は自前で、落とさないと意味がないのでいずれにしろ無駄となっただろう。それに、『ハーレム体質』の裏特典は落とした女性の『病んデレ化』なので、結果的に一人に絞られる事を強要される事となったと思われる。まあ、恋愛褒賞はどうでも良いのでスクロールして転生に関する褒賞を確認した。
「……………………あ、あった。えっと、『転生』は一万ポイントだな。後、付属として『健康な身体』も必要だろうから一万二百ポイント必要だ。溜まったポイントは、自分の部屋でも確認出来るはずだから、そっちで確認して?」
「わかったわ…………『体力アップ』って、ゲームじゃ無いんだから……」
「ああ、その辺はゲーム好きが創った褒賞だから仕方がない。他にも色々あるから、後で確認すれば良いよ……さて、僕はすじゅかママとお話があるから部屋に戻るね?」
「じゃあ、私と神崎で買い物に行ってくるわ……鉄も荷物持ちに来るわよね?」
「あ、因みにポイントは壌渡出来るから……神崎から、ふんだくっても問題ないよ?面白そうでしょう?」
「あら、良いこと聞いたわ!」
「馬鹿が、変な褒賞でポイント消費する前にふんだくっちまいな!じゃ、また後で……」
そう助言しつつ、俺は自室にすじゅかママを押し込み扉を閉め電子錠をロック状態にした。
「さてと……質問形式で、聞きたい事を答えるよ?何か、言いたい事があるなら言ってみて?」
すじゅかママの正面に陣取り、俺はそう切り出した。
鉄の馬鹿がすじゅかママに告げたのは、すじゅかママの帰るべき世界がもうこの世に存在しないという事だけだ。その理由や、原因については何も言ってはいないと思われる。現にあの馬鹿は、世界が消滅した現場を見ていた訳じゃない。そういう結果になった……という話を、神崎達から聞いていたからそう言っただけの話だった。
「じゃあ、私の生まれた世界はもうないんだね?」
「正確には、『友人に嫌われた事に絶望した【すずか】がすじゅかママに乗っ取られた世界』だね。それが、失われたか否か、という話であるならば……答えは、NOだ」
「え?」
「正確には、歴史改竄をして時間移動を実行した……というのが正解だ。即ち、この時間軸には【すずか】がちゃんと存在している。ただし、すじゅかママではなく【絶望しなかったすずか】がいるんだよ……」
その条件の上で言うなれば、すじゅかママがいた未来は既に失われていると言える。この世界……この時間軸の【すずか】が体験した経験がすじゅかママに上書きされる事はないけれど【すずか】が『すじゅかママ』である事に代わりはない。それに……歴史改竄はされて、この世界軸はすじゅかママの知る世界とは異なるモノとなってしまっているけど、すじゅかママの住民権が無くなった訳ではない。
「…………えっと?つまり、この世界軸は私がいた世界軸だけど歴史改竄をしたら、【私】に上書きされなかった【私】がいるって事なんだね?」
「そもそも、すじゅかママは存在自体がイレギュラー何だから文句を言われる筋合いは無いんだよね。因みに、時間転移してるから【この時代のすずか】は14歳だし……」
「じゃあ、【私が生きた世界】と同じ扱いで良いのかな?」
「…………『ゆりかご』に囚われた世界の事を言っているなら……YESかな?でも、探せばあるとは思うよ?フォルダの中身は空っぽかもだけど……」
「ふぉるだ?」
「パソコン等で、ファイルを纏めたりしない?」
「ああ、フォルダ……ね?」
「それを『次元』や『世界』の表現に使ったんだよ」
「…………上手い例えだね。その上で、空っぽのフォルダかぁ……それなら、見付かるって事は中身が失われてる?」
「うん。消滅の魔法を使ったからね……残ってないと思うよ?……そう。破壊神最終奥義魔法でね……」
「……………………なんで、そんな事したの?」
「それが、僕の役割だからだよ?僕達は、それなりに頑張ったけれど……時空管理局は、『誰か』に取って都合の良い組織に成り下がっていたし……地上管理局に至っては、完全に『誰か』の手の平の上で踊っていた。時空管理局は、なんとかしたけど……同じ時間掛けて、地上の方まで面倒を見る事は出来ないと判断したんだ。なら、凌辱系転生者を説得してRETAKEを受け入れさせて魔法を使った方が手っ取り早いじゃんか……」
「…………【私】が居たのに?」
「優先順位は間違ってないよ?僕がここにいるのは、【世界】に召喚されたのが理由だ。【世界の異常を取り除く】。それが、【世界】からの依頼。そこに、私情は挟めない」
「……………………」
すじゅかママと、しばらく睨み合っていたけれど最終的にすじゅかママの方が折れてしまった。悲しそうな顔をしてはいたけれど、大きな溜め息を吐き出して『そう』とだけ呟く。その様子が、余りにも呆れた様子だったから俺は聞かなくても良い事を聞いてしまった。
「僕を拾った事、後悔してる?」
「そうだね……少しだけ、後悔してるかな?でも、それは……双夜を拾った事を後悔しているんじゃないよ?双夜が、背負っているモノを一緒に背負ってあげられない事が悔しいよ……」
「…………そんなの、いらないよ。一緒に背負って貰わなくても良い。すじゅかママには、帰る場所であってくれたら良いよ……それ以上は、望まないよ?」
「双夜…………おいで……」
両手を広げて、すじゅかママが呼ぶ。
俺は、望まれるままにすじゅかママの腕の中へと進んだ。
ギュッと抱き締められて、その温もりに身を預ける。
「双夜は、辛くないの?」
「大丈夫。ママ達が、いてくれるから僕は一人じゃないよ?ホンとだよ?」
「そう……でも、どうしたら良いのかな?」
「すじゅかママが居られる世界……だよね?」
「このまま、双夜と一緒にいたりは出来ないよね?」
「…………出来ないよ。何処かの世界に、降りたって生きて行かないと……色々と制約があるんだ……」
「そう……それは、この地球とは違う世界なんだよね?」
「知ってたの!?」
余りに的を射た返答に、俺は慌てて質問を返してしまう。
「うーん。何かの本で読んだ記憶があるだけだよ?」
「なんだ、ファンタジーの話か……そうだね。ペナルティという訳じゃないけれど……地球と似た世界には、降り立てないかな?」
そう言って、俺は神崎達にも見せた褒賞一覧表を空中ディスプレイに表示する。
「僕の保有するポイントを上げる。一万もあればOKだから……それで、ファンタジー世界に行ってみない?」
TAKE3!!やっちゃったよ!RETAKE!!
そして、新たな問題が……wwwwww
ちゃんと、確認しないから……馬鹿馬鹿言ってる割りには、ポカする事が多い双夜だったww因みに、【すじゅか】は双夜と地球に帰る為に誘いに来ていたんだよ。双夜が、仕事仕事で大変なので息抜きをさせようとしたんだね!!
流石、ママ!気が利く女性だ!!しかし、帰るべき世界がないw破壊神最終奥義魔法(デストロイヤー)は、伊達ではないのだよ!!提案するとなると、【リリなの】ではないファンタジー世界に連れて行く必要がある。
ところで、外部協力者褒賞一覧表に関してですが……内容は、神様特典と酷似したモノとなっています。それ等を得るには、功績ポイントが必要になり……特定のポイントを貯める事で習得することが可能だったりします。
まあ、俗に『強くてNEWゲーム』的な何かだと思っていてくださいwwwwww
え?あのまま、RETAKEしなかった場合のミッドチルダがどうなってたか?大惨事になっていたのは間違いない(笑)
゚+.ヽ(´~`)ノ.+゚
その後処理も含めて、面倒になったのは間違いないw
最初は、正攻法を予定してたけど……他の方々が書いている話を読んでいてある事をしたくなったのが原因w
満足したら、アレもコレもやらないとなぁ……。
『アンチ』を最大にして管理局と敵対w 例のアレコレで……作者が暖めている切り札?をw その後、Vividに行く予定w
誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m
感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。