絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~ 作:葉月華杏
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SAOの事は、一先ず保留となり……俺は師匠のススメで、【組織】最強の女剣士の元に案内される事となった。
この【組織】で【最強】と呼ばれる女剣士と聞いて、どんな化け物が出て来るのかと身構えていたけれど……【組織】の《農業区・田園風景》を越えた先にあったのは一軒の藁葺き屋根の家。現れた女剣士も、ちょっとスレンダー過ぎるだけの女性だった。まあ、スレンダーというか一部が残念な感じの人物で、白っぽい浴衣を着たストレートピンク髪の色白な……可愛いと言うよりかは、美人と言った方が良い女性だ。瞳は、金色で縦割れの瞳孔だったけれど……それ以外は、高レベルの美人で【最強】という言葉とは縁遠いとしか思えなかった。
師匠が、そんな美人を俺に紹介してくれる。
「こちら、ちょっとセクハラッポイ冗談で弟子をバッサバッサ斬り捨てるガチ危険な女剣士さん。で、僕の弟子となった神崎大悟くんだ。短い間だけど、基礎を叩き込んでやって欲しい……」
「誰が、キチガイや!?訂正して貰えますやろか?」
なんか、思っていたのとは違うイントネーションの発音で、何処か京都弁に近い感じの喋り方をする女剣士。
その怒りを、のらりくらりと回避する師匠は流石である。
最終的に、手を出して来たのは女剣士の方からだった。
ちょっと、手が出るのが早過ぎる気もしないでは無いけれど……危険人物という評価を否定する気にはならないので黙って見ている。すると、回避し続ける師匠に苛立ったのか抜剣して剣風を飛ばして来た。全く、正気度が薄いどころの話ではない。ガチのキチガイで、超実力主義な世界である事を証明するかの様な行為にドン引きする。
要するに、あのレベルの剣風くらい避けろということなのだろう。あんまりな光景に、頬が引きつっているのがわかるレベルの苦笑いをしていると、師匠が使い魔の持ってきた両刃剣を受け取ってとんでもない言葉を目の前にいるキチガイの女剣士に告げた。
「もう!ちょっと、胸が抉れているからって剣風を飛ばすなんて芸当は酷いんじゃないのか?」
瞬間、女剣士の姿がブレ消えた。
それと同時に、師匠が練り上げる魔力の総量も跳ね上がり……気が付けば、金属同士がぶつかり擦れ合う音が大音量で鳴り響く。しかも、『ガキィン』ではなく『ズギャン』という恐ろしげな音感で……そこから始まるのは、女剣士に教えを乞う者としてはやる気が駄々下がりになってしまうレベルの闘い。軽口すら許されない状況に俺は涙した。
あ、これ……死ぬ……と、覚悟を決めそうになってしまうレベルの殺し合いに逃げ出すかを思案する。しかし、師匠……魔王からは、逃げられなかったのを思い出したので諦めてしまった。当然、ピンクの悪魔からも逃げられないだろう。師匠と同レベル……もしくは、それ以上の怪物ッポイし、何よりあんなレベルの闘いを平然とやってのけられたら最早諦めるという選択肢しかないと断言出来た。
「空間遮断の防御は、卑怯え!!」
「ふふん。攻撃が効かないからって、いちゃもん付けるのは自らを貶める行為にしかならんぞ?」
「くっ……減らず口ばかり、達者になりよって……!!」
「フハハハ!まだ続けると言うのであれば、それ相応の対処をするまでよ……《ルール・ブレイカー》!!」
「ちょ、ホンマに卑怯や!?」
師匠は、自らに《ルール・ブレイカー》を刺し捻り押し込む。それが、何を意味するのか不明だけど、女剣士の慌てた表情をみればなんとなく理解出来た。その後、女剣士さんは師匠に手も足も出せなくなってあえなく撃沈。
後で知った事だけど、あの女剣士さんは魔法が一切使えないという。そんな女性を相手に、《ルール・ブレイカー》を使用して無双する師匠は本当に大人気なかった。
「卑怯もん!鬼!悪魔!!人でなしぃっ!!」
「あっはっはっはっ!僕にとっては、誉め言葉だね!!」
なんというか……師匠と女剣士さんが、大人気ない言い争いをしている。内容も幼稚で、どうでも良いモノだ。
「じゃあ、神崎くん……10日程、頑張って修行するんだよ?逃げちゃダメだからね?」
そう言って、師匠は両刃剣を女剣士に渡して去って行った。そうして、残された俺は女剣士さんとしばらく視線を合わせてから頭を下げる。言うべき言葉は一言だけ。
「師匠が、すいませんでした!」
「はあ……あんさん、もしかして……置いて行かれた意味わかっとんかぁ……?」
「生け贄ですね!」
女剣士さんの八つ当たり用として置いて行かれたッポイ。
「はあ……ちゃんと、理解した上で残っとったんか!?」
「あんな、あからさまな挑発的行動で……去り際の『逃げるな』で、大体予想は付きます!」
「苦労しとんのやね。わかった。ウチが、あんさんを一人前にしたる!ちょっと、ハードになるけど気張りや?」
「テオルグさんとラヴォルフさんに、ある程度は仕込まれています!今は、我皇流の基礎と技を交互にと言った感じです!!滝ポチャと、生き埋めは体験しました!!」
「…………また、無茶な鍛え方しとんやね……」
何故か、女剣士さんは顔を覆って土下座状態になる。
あるぇ?もしかして、俺の修行は常識はずれだったのか?
「ちゃうちゃう……ウチ等が、短期で戦士を鍛えるんに使ってた手法え。それを、長期でやっとるみたいやったから力抜けてもうてな?」
「短期用訓練を……流石、師匠達。考えが恐ろし過ぎる……」
「ウチが、言うべき事や無いのはわかっとんのやけど……あんさん、不憫過ぎるわ……」
「くっ…………良いんだよ!好きでやってるんだから!!」
女剣士は、苦笑いした後師匠から手渡された両刃剣を俺に押し付けた。ズッシリとした重みが、俺の両手に掛かってくる。一応、鞘から抜いて二、三振りし確認してみた。
「その剣の名前は、【ダーティー・ニーズ】。あんさんの魔法の補助と修練を補助してくれる剣え。言うまでもないけど、あんさん専用武器やで?ちゃんと、手入れしてやってな?ある程度は、剣自身がやってくれるけど……」
他にも、色んな機能があるらしいが今知るべきなのはそれくらいなんだそうだ。
まあ、おいおい知って行けば良いだろう。
「了解です。大事に使わせて貰います!」
そう宣言すると、女剣士さんは満足気に頷いてから修行を開始した。
……………………。
修行の内容は、女剣士さんが発案したかなりハードなモノで【新・短期修行】と言う名前らしい。
だがそれは、師匠達が行う修行と似たようなモノだった。
ただ、違うとしたら回復法術師が側にいる事だろう。
最初の三日間は、その人によって無理矢理鍛練をさせられた。っていうか、何?あの拷問!?
体力面は、既にクリアしていたらしく俺は一通りの型と技を披露して『神速』も使える事をアピールした。
そのお陰なのか、拷問の様な体力作りな鍛練は終了し、次の段階へと訓練はシフトして行く。
因みに、藁葺き屋根の建物の中には魔法が使える少年もいて……その少年に魔法の師事をお願いした。そこで、魔法理論や構築式等を教えて貰ったり、武術と平行して魔法も頑張っていく。ただ、その少年は魔法の専門家ではなく魔法剣士で主に剣を主体に戦うのが得意らしい。
魔法は、初級から中級程度のモノで威力も低いと言っていた。だからという訳じゃないけど、その少年が教えてくれる魔法の基礎は師匠達の授業より良く理解出来たと思う。
まあ、師匠達の授業は短期間用のモノなので仕方がないと言えば仕方がないんだけど……少年がくれた訓練メニューは、俺に魔法の成長を実感させてくれた。
メキメキという感じでは無かったけれど、師匠達の理不尽な訓練よりかは魔法が上達していく実感が持てたと思う。
「ヤバイ……ずっと、ここで訓練していたくなってきた……」
「あー……双夜の場合、元の世界も剣と魔法が蔓延する世界だったからなぁ……だから、魔法は使えて当たり前ってのが頭にあるから使えない者の気持ちが今一理解出来ないんだろう……あれは、一種の天災だからなぁ……」
少年は、苦笑いをしつつそんな風に言った。
わかっていた事だけど、師匠は天才に分類される人種らしい。ここに来た時も、四ヶ月程で卒業したらしかった。
「四ヶ月……」
「まあ、その後も自主的に残って基礎訓練を他の奴に混じってやってたけど……あの理不尽プリは、今でも伝説になっているよ。まさか、ポアンが奥義を使って見せただけで、その日の内に奥義使うとかありえないし……」
「なんて理不尽……」
その後も女剣士から、理不尽な訓練を押し付けられたりと大変な思いもしつつ俺の修行期間は終了した。ぶっちゃけて言うと、師匠達の訓練よりも効率は圧倒的に良かったのは言うまでもない。
「そりゃそうえ……ここは、その為に作られた場所え?」
という事らしい。武術の専門故に、俺に取って最良の鍛練を課してくれたとのこと。それと、少年の魔法理論も初心者向けの教材だったらしい。
「本来なら、この後か前に魔法を本格的に教えている場所に行くはずなんだけど……それは、見送りになるんだろうね……まあ、基礎さえしっかり学べば後は訓練だけの話だから頑張ると良い」
「はい。ありがとうございます!」
こうして、俺の10日間に及ぶ武術と魔法の鍛練を終了した。終了したのだが、師匠が迎えに来てくれるはずもなく……俺は同情されながらも、女剣士さんの家族である少年に案内して貰って、最初の日に宿泊した施設まで送っていただいた。
「何から何まで、ありがとうございました……」
「あははは。大丈夫だよ。俺は、暇を持て余している方だから……そもそも、俺に《神殺し》適正があれば良かったんだけど。そんな才能ないし、出来ることしかやらせて貰ってないからね……」
「そうなんですか?」
「うん。俺の役割は、初心者に魔法の基礎を教えたり、剣術の相手くらいを勤めたりするだけだから……」
「はあ……」
それにしては、やけに戦い馴れていたけど……女剣士さんと毎日手合わせしたりしているのだろうか?今一、良くはわからなかったけれど、俺は少年と別れて施設へと入っていく。すると、バッタリ翼と出会った。
「お?翼じゃん、オヒサ~♪」
「…………かん、ざき……………………」
部屋から出てきた時は、何でもなかった風だったのに俺を見た瞬間翼は驚愕の表情を浮かべ、掠れた声で俺の名を呟いた。そして、一滴の涙を流した後、踵を返して走り去ってしまう。つーか、なんでそんな反応なの!?
微妙に混乱しつつ、翼が出てきた部屋に入ると鉄が死んだようにグッタリとソファーに寝転がっていて、その反対側ではユーリとすずかがあや取りをしていた。
「あら?神崎くん、帰ってきたんだね……」
「あ、ただいま……師匠は?」
「双夜?ここには、いないわよ?」
「朝はいたんですが……用事があるとかで、出掛けて行きましたよ?」
「そうか。で、コイツはなんで死んでるんだ?」
「さっきまで、VRで遊んでたんだけど……」
「翼さんが、乱入されたらしくって記録更新出来なかったそうです……」
ユーリが苦笑いしているので、どうでも良いことに全力を尽くしていたんだろうと予測を立てる。まあ、その気持ちはわからないでもないのでソッと放置しておいてやることにした。
「それにしても、翼はどうしたんだ?」
『……………………』
「いきなり泣き出して、どっか行っちまったんだが……」
訳もわからず、疑問を口にすると場を支配し始めた暗い雰囲気に声が萎んでいく。まるで、お通夜みたいな感じに俺は何かしらの地雷を踏んだ事を理解した。
「あー……やっぱ、良い。聞かなかった事にしてくれ……」
そして、俺はその雰囲気から聞いてはイケない事だろうと推測して何も聞かなかった事にした。すずかが、そんな俺に何かを言いたそうにしていたけれど、俺は臆病風に吹かれていたのでその場から逃げ出す。しかし、行く宛もないので適当に円盤に乗って格納庫方面へと移動する。
円盤は、全自動なのか施設から出るとそのまま格納庫へと入って行った。
そして、俺はとんでもない光景を目撃する事になる。
格納庫に入った所で、俺はその中央付近に師匠と数体の自動人形が集まっているのを確認した。まだ、円盤は動いていたけど途中下車してサイドスペースから見下ろした。
師匠達の目の前には、見えにくいけれど手の平サイズの箱らしきモノが置かれている。
いや、置かれているとは語弊があるな。
その箱(?)は、床にある物体に固定されているようにも見えた。しばらくすると箱(?)の上部分が開いて、師匠が格納庫の天井部分から吊るされた巨大サイズの頑丈そうなフックもどきのモノをその箱の中に突っ込む。ってか、サイズ的に突っ込めないと思うんですが……それは、何の問題もない様に手の平サイズの箱へと飲み込まれて行く。
その内、師匠すらその箱(?)の中に入って行って直ぐに出て来た。それと同時に、師匠が何か指示を出し数体の自動人形と共に箱(?)から逃げて行く。
「???」
不思議に思いつつ、ジッとその作業を注視していた俺は……フックが引き上げられる音と共に、箱(?)の中からサイズの違う巨大建造物が引き摺り出される瞬間を目撃した。
「つーか、おかしいだろ!?」
手の平サイズの箱から、格納庫の天井部分スレスレに至るレベルの巨大建造物が出てくるとか。
「それ、何て四次元ポケットオオオォォォ!?」
うっかり、鉄が良く使う表現を叫んでいた。
そこへ、ヒョイと上がって来た人がいて俺を見るなり声を掛けてくる。まあ、言うまでもなく師匠だった訳だけど。
「あ、神崎じゃん。修行、終わったのか?」
「終わりました。つーか、アレ!アレなんッスか!?」
「え?ああ、秘密基地だよ?」
「秘密基地ぃ!?」
そう、あの正方形の巨大な建造物が秘密基地の中身だったらしい。大きさとしては、四つの東京ドームが楽々入るくらいの表面積で50階建ての高層ビルに相当する高さと言えばわかるだろうか?とりあえず、広大な物体が目の前に現れたのは壮観と言えなくもない状況だった。
「なんつーモンを、あのサイズに入れているんですか!?一瞬、自分の正気度を疑いましたよ!?」
「あー……『箱』の性能を確認したかったっていうのもあって……【鮮血の】に、出来るだけ巨大な建造物を作って欲しいと打診したら、あのレベルのモノを持ってきやがったんだ。あの頃は、僕も自重というものが無かったからなぁ……大きければ良いや……みたいな感覚で、『箱』に納めたんだよ(笑)まあ、普通に入ったんで気にもならなかったが……」
等と、師匠は楽しそうに笑っていた。
まあ、そんな『自重』を忘れたヤバ気なモノで何をするのかと思いきや、今回はそれを解体する為に引き摺り出したとのこと。何で、そんな事をする必要があるのかはわからないけど……師匠は、中身を引き摺り出した『箱』に新たな建造物を突っ込んで蓋をした。
サイズは、前の巨大建造物の四分の一程度。
「あれ?巨大建造物は、もう良いんですか?」
「必要なデータは、もう十分に得たよ。今度は、中身の利便性を確認したいからあれで良いんだ」
「じゃあ、あっちのヤツはどうするんですか?」
「必要最低限まで削って、別のモノに入れる予定だ」
「あ、使うんッスか?」
「再利用はするよ?当たり前だろう?」
「リサイクルッスね?」
「……………………」
何故か師匠は、首を傾げてしばらく悩み続け首を横に振って、唐突に開いたウィンドに視線を移してしまった。
はて?良くはわからないが……師匠が、首を横に振って否定したという事は『リサイクル』等ではないという。
しかし、ならば何に使うというのだろう?『再利用』すると師匠自身が言っていた事なんだから、『リサイクル』する予定ではあるはずだ。俺はそのまま、巨大建造物が解体されつつ必要部分の抜き取りと必要でない部分の排除作業を眺めていた。作業は、くり貫かれた必要部分等を再度繋ぎ合わせる段階へと向かっていく。
最終的にそれは、必要最低限のサイズへと変更されて、四階建てくらいのちょっと大き目な家サイズへと変化した。
そして、それは師匠が手に持っていた巻物の中へと吸い込まれていく。だから、その『箱』や『巻物』はいったい何なんだ!?師匠が造った、マジックアイテムである事は知っているけど……異常レベルの不可思議物になってしまっている。物理法則完全無視なマジックアイテムに、俺は頭を抱えて悶えていた。師匠、俺の中の常識が崩れそうです。
「ん?どうした?」
「…………その巻物は……」
「マジックアイテムだ」
「物理法則は……」
「……ああ!マジックアイテムだから、仕方がない!」
「いやいや、そこはちゃんと答えてくださいよ!?」
「マジックアイテムなんだ!」
いうまでもなく、師匠は答える気がないらしい。
何を聞いても、『マジックアイテムだから』としか言ってくれないので、俺は諦めてトボトボと船の方へと歩いて行く。ある程度、進むと遠目ではあったがそこに停泊しているはずの船は無かった。
「クリスタルで、王家な船をどんな風に整備するのか気になっていたのにぃ……無念……」
ある意味、あのレベルの技術を『整備』する光景は一度見てみたいモノだったのだが宛が外れてしまった。
どうやら、ここでは整備出来ない様な破損でも見付かったと思われる。それはそれで、見てみたかったが仕方がないので元来た道を戻って行く。
ふと気が付くと、巨大建造物が消えていた。
数分程しか、目を離していないのに……驚きである。
あれだけの巨大建造物を、どんな風に消したのか……それとも、運んだのか全くわからない。
「師匠……」
「ん?どうした……ああ、船がどこ行ったか知りたいのか?諦めろ、あれは機密扱いで他人には見せられない事になっているんだ……」
「あ、そうなんッスか……」
なら、船に関しては気にしない事にする。
巨大建造物に関しても、冷静になったら巻物や箱を使って片付けたと考えられるし、別の方法だったとしてもここはオーバーテクノロジー溢れる世界。
俺の知らない事が、多すぎて当たり前の世界である。
「師匠、『ソードアートオンライン』の世界に行くんですか?」
「んー……必要ならだけど、それ程急ぐ理由はないよ?」
「急ぐ理由がない?」
これまた、師匠らしからぬ発言。
意味がわからなくて、少し首を傾げてしまう。
「世界的には、安定しているからね……まあ、アーティファクトや反則ツール等は危険なモノの回収は必要だけど……今の所、問題なさそうだからねぇ……」
成る程、つまり転生者がいないって事だな。
だからこそ、師匠達がのんびり構えているのだろう。
しかし、ポップしたモンスターがレベル999の転生者を倒して、今尚その世界の人々を襲っているのは良いのだろうか?
「問題ではあるけれど、元からそういう事はあったらしいからねぇ……まあ、大丈夫なんじゃないかなぁ?」
「そんなぁ……」
「なんだ、行きたいのか?」
「そりゃ、まあ……ちょっと、行ってみたいです」
「そうか。うん。まあ、なんとかしよう」
こうして、俺達は【セフィロト】を出た後の予定が決まった。SAO世界モドキへ行く事が決まれば、後は簡単な情報収集をして俺の原作知識との照らし合わせをする。
世界のベースは、『ソードアートオンライン』という題名の物語。SAOは、VRMMORPGというジャンルのゲームだったんだけど……そこへ、様々な要素を追加して組み上げられた新世界。集めた情報から推察すると、どうも『ソードアートオンライン』と『アルヴヘイムオンライン』を複合世界させた世界らしい。その上で、SAOのレベル制をベースにALOのドスキル制を組み込んだ複雑奇怪な世界に変貌させられているとのこと。
「いやはや、随分都合の良い世界だ……」
「うん。ドスキル制ってアレだろう?何度も繰り返す事でステータスが上がるっていう……」
「ええ。ステータス、というか『スキル』、ですね。まあ、筋力とかのステータスにも補正も入るみたいッスけど」
「それって、一般ステータスを筋力強化した上でレベルを上げればプラス補正が入るって事じゃないの?」
「…………どうなんッスかねぇ?」
それは、思い付かなかった。
何度も繰り返す事で、それぞれのステータスに補正が入るとしたらある程度体を鍛えてからレベル上げをした方が良いのだろうか?
「新世界ってのを省くなよ?ゲーム世界を、現実化させた完全に異なる新しい世界だ。そう、考えるのなら……現実的に、肉体を鍛える事でステータス補正が入るのは当たり前の様な気がするぞ?」
ゲームと、それに連なるシステムがあるとは考えてはイケないという事か。そもそも、ゲーム世界に様々な要素を追加して新たな世界へとさせるという発想自体がおかしい。
それを願った転生者は、いったい何を考えていたのだろうか!?リスク等を考えたら、ゲームのままの方が気楽である。やり直しが効かない、REAL WORLDにするメリットが無いようにも思えた。
「原作人物達に対する、何かしらの暗い情念がそうさせたんじゃないかな?逃がさないぞ!的な……」
「あー……ゲームが、クリアされた場合のか……」
「現実世界に戻った後、色々面倒な事が待ち構えていたんじゃないか?それを嫌って、都合の良い世界を創ろうと考えたとか?」
「あり得る話です。元の世界に、戻れない現実を突き付けて……絶望させた後で、自身に依存させて美味しくですかね?」
「それを思い付く神崎は、外道?同類と見るべきか……」
「止めてください!ちょっと、考えればわかる事じゃなッスか!?」
「僕には、わからないよ……」
「くっ……知識差が……」
情報を集めて、色々と推測するだけではわからないらしい。レベル制って事だから、最低限のゲームシステムが生きているのだとはわかる。しかし、ゲームの様なアシストシステム等は無いらしいからとても大変そうである事は理解できた。まあ、実際に行ってみてゲームと現実の誤差を修正しつつ攻略して行かないと何もわからないのだけど……今は、集めた情報から推測するだけとなった。
【セフィロト】に滞在するのは、14日間だけなので残りは後四日。それまでに、船の調整は終るらしいので俺達はのんびりと待つ事にした。まあ、師匠は忙しそうに走り回っていたけれど……俺は、『キリト』や『アスナ』に会えるんじゃないかとミーハーな想いの元ワクワクしている。
早く、四日後にならないかなぁ……。
「あ、忘れてた。悪いんだけど、後で翼に功績ポイントの譲渡をお願い出来ないかな?」
「功績ポイントの譲渡ですか?」
「うん。大体、500ポイント程なんだけど……」
「構わないッスけど……俺、そんなに貯めてました?」
「神崎は、知識面でポイントを大量に収得してるよ?」
「へぇ……どれくらい?」
「んーと……2578ポイントあるよ?」
「……………………」
師匠が、サクッと調べて教えてくれる。
2578ポイント……確か、『ハーレム体質』が2000ポイントくらいした様な覚えがあった。ここで、翼に譲渡したとしても十分お釣りが貰える。
「あのぉ~……功績ポイントって、俺が使う事も出来るんですよね?」
「そりゃ……『ハーレム体質』か?」
「うおっ!?」
何故、バレたし!?
師匠の視線が、とても冷たく感じる。
「止めとけ、アレの裏が何かはわからないけど……ロクなモンじゃないと思うぞ?」
「裏?」
「裏特典だ。一応、神様特典システムをちょこっと拝借して創られているらしいから下手なの取ると地獄見るぞ?」
「へぇ……あれって、神様特典だったんですか……じゃあ、『ハーレム体質』の裏特典もわかってるんッスか?」
「『100%病んデレ化』だったかな?」
「いらないです!つーか、『ハーレム』の病んデレ率高くないッスか!?ってか、嫌がらせッスか!?」
「神様特典にしろ、功績特典にしろ……楽をしようとすると、ロクでもない裏特典が加算される様になってるらしいぞ?特典で、『俺TUEEE!』とかやるとトラブル補正が入るらしい……」
あ、そういう法則なんだ。なら、成長促進系とかヤバヤバじゃないですか!!やだぁ~……。
「嫌な特典ッスね!じゃあ、成長促進系って鬼門なんッスか?限界突破とか……」
「戦闘技術や魔法知識系は、そういうのがないらしいよ?翼の『テイルズ系全技・魔法習得』なんて裏ないし……」
「はあ……あ、そうか。技が使えたとしても、敵に当てるのは自分の技量だからですか?」
「そうだろうな。アシストシステムがある訳じゃないから、敵との間合いやら何やらは自分の技量で補正しなければならないんだろう。だから、裏が無いんだ……」
「つー事は、努力系は裏特典とか無いんですか?」
「確認はされてないけど……今のところ、そういう報告は上がってないらしい。努力チートは、チートと言えるのだろうか?という問題なんだろうな……」
「成る程。功績特典、習得しても良いですか?」
「好きにしろ。お前の判断に任せる。因みに、習得した特典破壊は普通に可能だ。ポイントは、戻って来ないがな。功績ポイント譲渡の件は、頼んだぞ?」
「あ、はい」
こうして俺は、翼に功績ポイントの一部を譲渡する事となった。それによって、後で苦悩する事になるのだけれど……この時は、功績特典で頭がいっぱいになっていてその結末を失念してしまう。その時になってから、俺は頭を抱えて悶える事になるのだが……本当に俺は、迂闊だった。
後悔先に立たずとは、良く言ったモノである。
〇習得技術・魔法
既存属性魔法 土
初級属性魔法 火・風・水・雷・闇⬅NEW
中級属性魔法 土・水・雷・闇⬅NEW
両手剣(ランクC➡A)
神崎……初級魔法を会得する。が、まだ空は飛べないw
才能無いんじゃねぇ?と思ってしまっても仕方がないよね!
因みに、女剣士に預けたのに武術方面の会得技術はほぼ無しwダメダメだねwとりあえず、属性魔法をGET。初級に風魔法があるけど……それでも飛べないのは変わらないw
ガンバ、神崎wwww
女剣士さんは、「~え」とか言ってるけどこれは語尾ではなく京都弁に近い何かだと思ってください。「~どす」とか芸者的なしゃべり方をするのが女剣士の特徴なのでww
それと、女剣士と同居している少年は女剣士の恋人ですw
所謂、姉ショタって奴ですねw少年は、女剣士さんの前の恋人が転生して年齢が下がってるだけで……元々は、同い年何ですよwでも、一度死んじゃってるので姉ショタになります。
異論は認めない!!これが、小学生の考えた物語とはww
誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m
感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。