絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~ 作:葉月華杏
翼
――時はチビッ子が、神崎大悟を【セフィロト】最強の女剣士の元へ連れて行かれた辺りまで遡る。――
チビッ子が所属していた【セフィロト】に着いた後、神崎はチビッ子に連れられて何処かに行ってしまった。
一人、戻って来たチビッ子を問い詰めたらアッサリと自分の〈師〉の元に置いて来たと告げられる。その上、10日は戻らないそうだ。『なんて、面倒な事を……』と思わなかった訳じゃない。まあ、神崎の事だから嬉々としてチビッ子の〈師〉の元に突撃して行ったのだろう。
そんな事とは知らず、私はTVを付けて『うおっ!?知らないガン○ムだ!?』とはしゃいでいる鉄と共に二人の帰りを待っていた訳だ。
なんとなく、自分が滑稽に感じて落ち込んでしまう。
その後、チビッ子は紫天の書からユーリを……秘密基地からすずかを呼び出して私と同室にし、鉄と共に買い物へと出掛けて行ってしまった。
「それにしても、双夜がいた場所は大きかったんだね……」
窓から外を眺めていたすずかが、そこそこ興奮した様子で話し掛けてくる。そう言えば、すずかはノエルやファリンというロボットを作る技術者だったと、神崎に教えて貰った知識を思い出していた。
「この世界の施設は、一人の科学者によって造られたモノらしいわよ?」
確か、【鮮血の小悪魔】だったかしら?
兎も角、この施設を始めとしたほぼ全ての施設を造ったのは一人の科学者だと聞いていた。しかし、これ程の規模の施設をたった一人の科学者が造れるモノなのだろうか?
なんとなく、チビッ子に騙されているような気がしてならなかった。だけど、別の人物がここを造り上げた歳月を教えてくれて納得する事になる。まさか、10万年も掛けて造っただなんて普通は考え付かない。気が遠くなる。
「ええっ!?そ、そうなのっ?……これを、一人で……」
すずかは、納得が行かないのかブツブツと呟きながらしきりに首を傾げていた。まあ、造り上げる年月を聞いていないとそうなるのはわかる。
「10万年掛かったそうですよ?」
「じゅっ!?ええっと……ここの人達って、不老不死だったりするのかな?」
「全員がそうじゃないと思いたいけど……多分、ね……」
「整備とかもあるのに……はあぁ……」
すずかは、納得が行かないのかブツブツ呟きながら窓の外をマジマジと眺めている。気になるのなら、部屋から出て見てくれば良いのに……と思ったところで、この世界が生物にとって致命的な致死量世界である事を思い出す。
すずかは、それを気にしてなのかはわからないが安全な場所であるここに留まっているのだろう。チビッ子からも、余り外を出歩かない様に言われていたからそれに従っているのだとも考えた。
「ねぇ、すずか……外に出てみない?」
私の提案にすずかは、少し困った様な笑みを浮かべるだけで賛成する事は無かった。理由はわからないけど、すずかはここから出るつもりは無いようだ。
「どうして?」
「…………知ってるでしょう?別の【私】が、『絶望』してしまったら……その【私】に【私】が、上書きされる可能性があるからだよ……」
それでなくても、自分が帰るべき世界が失われたというのに下手をすれば、この身が消滅する恐れがあるとすずかは語った。そんな事は無い!と、反射的に答えようとしたけれど、すずかは弱々しく首を横に振って窓の外を見る。
その姿が儚げで、私は何も言えなくなってしまった。
そこへ、『プシュッ』という音と共にチビッ子の使い魔が入って来る。少し、困惑したかの様な使い魔を見てその外見からチビッ子の側近であることを思い出す。
「マスターに言われてやって来たのですが……なにか、タイミングがわるかったですかね?」
「いいえ。それより、聞きたい事があるの!」
「あ、はい。何でしょう?」
「この施設から出たら、死んだりするの?」
「は?…………ああ。この【セフィロト】には、特殊な結界が展開されています。まあ……『戦争孤児』等、生きている者も運び込まれますので、その方々を招き入れる為に【始まりの魔法使い】が張ったと言われていますね」
「…………そうなんだ……」
「じゃあ、『すずか』の精神が【絶望した】他の【すずか】に引っ張られて、上書き消滅する可能性があるって思う?」
「…………ここは、【零次元】ですよ?無いと思います……」
『…………えっと……?』
「この【零次元】は、本来ならば『存在しない次元』です。ハッキリ申しますと、【世界】を内包する次元の卵状態です。そこに、生きる者がいるはずがありません。これは、《旧・神族》とて同じ事。『すずか』様は、そんな場所に足を踏み入れているのです。ここでは、元いた世界の常識は通用しません。ですので、上書き現象は起きないと考えられます」
「じゃあ、双夜が私に出歩かない様に言ったのって……」
「ああ、この【セフィロト】で使用可能なお金を所持していないからだと思われます。現に、マスターは私にすずか様用のクレジットカードを渡されていますので……」
『……………………』
「なんだ、すずかの勘違いかぁ……」
「ううっ……親の私が、子供にお小遣いを渡されるなんて……なんか、すっごく情けない……」
『まあまあ……』
私とチビッ子の使い魔とで、落ち込むすずかを慰めて施設から出た私達は商店街……というより、ショッピングモールの様な場所に出掛けて行った。
……………………。
久々の買い物は、とても楽しいモノとなった。
何故なら、ショッピングモールで売られていたモノはSF級レベルの未来技術で固められたモノばかりだったからだ。そこでは、様々な未来ロマンを売っていた。
「これって……人?」
「違うよ、ユーリちゃん。これは、自動人形だよ」
「ロボットが、普通に売られているなんて……SFだわぁ」
ほぼ全てが、見た事もないモノだったので普段以上に楽しめる。まあ、予算が予算だったので衣服を数着購入したくらいでショッピングは終了したけど。
「ちょ、こんなダサいアクセサリーがなんでこんなにするのよ!?どんな素材!?」
「それは、アクセサリーではありません。大容量PCです。ナノテクノロジーで、作られていますので特殊金属や液体化ナノマテリアルが使用されています」
「PCって、パソコン!?え……マジ!?」
「翼ちゃん、言葉が崩れてるよ……まあ、マジ!?って私も思ったけど……」
「だって、厚さも幅もほとんどないのよ!?これが、大容量PCだなんて言われて『はい、そうですか……』なんて納得出来る訳ないじゃない!!ないわー」
「因みに、2エクサバイトとなってますね……」
「エクサバイトって……」
「テラバイトの二つ上だね……」
「ないわー……」
そんな感じで、私達はチビッ子の使い魔が『戻りましょう』と言い出すまでお店を冷やかして回る。
用途不明の物体Xを始めとして、神崎が喜びそうなビームサーベルやらを発見するけど、ちょっと手が出そうに無いレベルの金額だった。最終的に、ゲームセンター的な遊び場を発見。中に入ってみたら、自分の肉体を使用するVR系のアクションゲームが一番多かった様に思える。
「体感専用ゲー?」
カラオケBOXくらいの部屋の中で、ビームサーベル?を使って飛び交うビームを捌きながら敵を倒すゲームがあった。数人の人?が、それをプレイしていて最もハードな動きをしている人が最高スコアを叩き出している。
ビームサーベルを二刀流にして、四方八方から乱射されるビームを二刀のみで捌いているのだ。私達だったら、あっという間にゲームオーバーしている様な密度の高い散乱砲火。手に汗を握る、素晴らしい攻防だったと言える。
しかし、そのBOXから出て来たのは世紀末で雑魚ボスッポイ……ブサメン以上のグテたま的なナニカ。何かのギャル系キャラクターTシャツを着ていて、爽やかさを装っているけど全く爽やかじゃない、明らかにヤバイ系のモンスター?がタオルで汗を拭き拭きスポーツドリンクを飲んでいる。『ロック・ウォー』とか呼ばれていたけど、ちょっと関わりたくない人種だった為、見なかった事にして私達はその遊び場から退散していく。
「ちょっと、予想外なのが出てきたけど……手に汗を握る戦いだったわ……」
「うん。凄かったね。色んな意味で……」
その後も、ショッピングモール内をウロウロしてから宿泊施設へと帰還した。
「おかえり……翼。疲れているところ悪いんだけど、少し良いかな?ちょっと、話があるんだ……」
施設に戻って来た私達は、自分達に振り当てられた部屋へと戻っていく。その、振り当てられた部屋へと向かう前に通るダイニング的な広間でチビッ子が待っていた。
正確には、神崎が『トラブルメーカー』と呼んでいた青年も含めて私を待っていたらしい。
「…………私だけに?」
「プライベートな事だからね。出来れば、他の人は遠慮して欲しいかな?」
「別に構わないけど……」
「ここじゃあ、アレだから別の部屋に行こう」
「奥の別室を確保してあるから、お手数だけど付いてきて貰えるかな?」
「え?ええ……?」
私は、すずか達と別れてチビッ子達に付いて行くことにした。私達が宿泊している部屋を出て、奥手にある部屋へと入っていく。すると、入ってすぐチビッ子が扉にロックを掛けた。
「念の為だよ。セキュリティレベルを最大に設定した」
「それなら、外に会話が漏れる事はない」
「……………………」
まあ、暴れて逃げようとした処でこの二人から逃げ切れる自信はない。片や未知数の青年。片や、私が知る限り最悪最凶の悪魔。逃げられるはずもなかった。
「本当なら、説明する気は無かったんだけど……この無神経が、珍しく気を使って来るんで話す事になった」
「本当なら、もっと早くに説明するべきだったんだけど……コイツが、説明を面倒臭がったばっかりにこういう場を設けさせて貰った……」
「……………………」
良くはわからないけど、チビッ子が何か重大な事を隠しているというのはわかった。それが、とても面倒な事であることもである。
「本題から入ろう…………」
言い難かったのか……チビッ子は、本題から入ると言いながら少し迷った感じで中々言葉を発しなかった。
「……………………………君は、神崎を好きになるべきではない」
最終的に悲痛な表情で、絞り出す様な声で告げたのは『神崎を好きになるな』という一言。
少しだけ、心が冷えて行くのを感じた。
「理由は、僕には説明出来ない。だって、もしかしたら……っていう感情があるから。君が、神崎を好きになってーーーをしたとしても、神崎を好きなままでいられると信じてるから……」
「え?」
「双夜……それは、希望的観測だ。絶対じゃない」
「でもっ!それでも、僕は二人が仲良くなって一緒にいられるって……信じてるんだ!」
それまで、冷えていた心が温かみを取り戻していく。
しかし、わからない事ばかりで考えが纏まらない。
えっと……チビッ子は、私と神崎が恋人になれると信じていて、目の前の青年はそれが希望的観測だと考えているって事で良いのだろうか?しかし、チビッ子があそこまで悲痛な表情をしている意味がわからない。
「そもそも、貴方達は何を言っているの?」
「その前に、俺の根源能力を教えておかないと……だな。俺の能力は『真なる世界の中心』だ」
「しんなる世界の中心?」
「まあ、俗に言うと『全知全能』と呼ばれるモノだ」
「…………神様?」
うっかり、口に出てしまったけれど二人は気にした様子もなく説明を続けていく。
「正確には、全知全能の『全知』の部分のみの能力だね」
「つまり、過去・現在・未来に至る全ての事象を知っているって能力だ。ぶっちゃけ、『世界は俺を中心に回っている!』と言っちゃえる能力だな(笑)」
「あ。一応、これ【組織】の機密(トップシークレット)だから言い振らしたりしないでね?」
サラッと、恐ろしい告白をしてくるチビッ子にドン引きしてしまう。うん、全力で忘れよう。障らぬ神に祟りなし。
「えっと……」
「まあ、前後が逆転してるけど……今以上の説明は無理だよ?後、セイビア。相手を混乱させる様な言い方しない!」
「ははは……すまない。正確には、『世界の中心を知っている』って能力なんだ。間違っても、俺が世界の中心って訳じゃないから。あしからず……」
「って事は、私が神崎と結ばれる事は無いのね?」
「可能性としては、零ではないとだけ言っておこう」
零ではない……つまり、一%もないという事か。
なんて、分の悪い賭けなのだろう。
「その理由だが……君が、インスタント・ソウルだからだ」
青年が言った、その一言に私はとても大きな衝撃を受けた気分になった。忘れていた訳じゃない。だけど、全く予想すらしていなかった右斜め遥か上の事柄を提示されて、頭を鈍器で殴られた様な気分になってしまう。
私は、チビッ子が言われた『希望的観測』って意味を何となく理解した様な気がした。
「その様子だと、本能的には理解してしまった感じかな?じゃあ、論理的に説明するけど……良いかい?」
私は、小さく頷く事しか出来なかった。
「まあ、簡単な法則さ。君が、インスタント・ソウルでオリジナルの魂を探し出し融合する訳だが……吸収されて、メインとなるのはオリジナルの魂だけだという事だ」
「問題は……そのメインに据えられる意識が、【オリジナル】に限定されるって事だ……」
「オリジナルが、神崎という青年を好きでは無かった場合……多少の好感度改善が認められる程度で、君レベルの好感度を上書きする事は出来ない」
「……………………」
「でも、希に複製体がメイン化する事もあるんだろう?」
「それは、オリジナルの精神が崩壊している事が前提になってしまう。極めて異例の事態だよ……まさかとは思うが、オリジナルの精神を崩壊させるようなイベントでも用意しているのか?……君が?」
「……………………」
無言で、青年を睨むチビッ子。
何やら、話が別の事柄に跳んだ様な気がする。
「無いよね。君は、そんな事が出来る子じゃない。だって……まだ、巡り会えると信じているんだろう?」
「その未来を知っているんだろう?ありとあらゆる未来を知っている『全知なる者』?」
「ノーコメントで……」
未来を知っているって事は、チビッ子が望む未来をこの青年は知っているって事なのだろう。しかし、青年はチビッ子の言葉にノーコメントを貫き視線を反らしてしまう。
「話を戻そう。君が持つ、彼との思い出もそうだがオリジナルに引き継がれるのは、極一部の感情と経験のみだ。それ以外の記憶や情報は引き継がれない」
「……………………そう……」
それは、私に取って死刑宣告にも似た発言だった。
ズッシリとした、重たい空気が部屋を暗くどんよりとした雰囲気にしている。私は、少し考えたいと二人に進言して退室の許可を貰った。
チビッ子が先行して、部屋のロックを解除していつでも出られる様にしてくれる。私は、フラフラと立ち上がり扉へと向かう。
「今の君は、十分幸運な方だ……」
出て行こうとする私に、青年が声を掛けてきた。
「…………幸運?」
鸚鵡返しに、その青年の言葉を繰り返す。
「本来、インスタント・ソウルは【落ち神】を造る為に魂を歪める運命を押し付けられる。だけど、君の魂は歪む処か……オリジナルの魂の様に輝きを強めている様にも思える。双夜の側にいるっていう事もあるんだろうが……普通は、ありえない事なんだって事を自覚するべきだろう……」
「チビッ子の側にいると?」
「双夜には、【聖なる浄化の光】っていうアーティファクトがあるからな。無条件で、周囲の歪みを浄化しているんだろう?その恩恵を君は受けているのだよ……」
「聖なる……ああ。十字架天使のアレね……」
「……その世代だったのか……?」
「……そんな事言われたら、ますます神崎が好きになるじゃない。私が……ここにいるのは、あの人の、お陰なのよ?」
様々な感情が溢れてきて、私が紡ぐ言葉に嗚咽が混じり始める。本当に、止めて欲しい。ますます、神崎大悟という青年が【私】に取って重い存在になってしまうじゃない。
「これじゃあ、私……オリジナル、も……転生、も……出来なく……なる……っ!!」
遂に、私の感情が決壊してしまった。
部屋の入り口で、しゃがみ込み涙を流しながら頭を振る。
顔を両手で覆い、嗚咽を抑える事も出来ず、私は泣いた。
オリジナルの魂を探し出し、融合して転生するというその目的が果たせなくなってしまう。
私がどれだけ、あの人の恩恵を受けているのか理解してしまった。もう、あの人がいない時間なんて考えられないだろう。そんな、一方通行の関係なんて望んでいないのにあの人が私をダメにしてしまう。
「翼…………セェイビィアァっ!!」
「うおっ!?いや、ちょっと待て……いや、待ってください!そんな憎しみの篭った目で睨まれても……」
「だから、嫌だったんだ!少しでも長く、二人には幸せであって欲しかったのに……これじゃあ、何時までも不幸なままじゃないかっ!!」
本当に、嫌になる程私は恵まれていた。
あの人にしても、チビッ子にしても……この奇跡にも近い出会いが、私を幸せにしてくれる。それが嬉しくて、私はもっと泣いてしまう。絶望しかないと思っていた自分の未来が、たった一人の思いやりによってこんなにも幸せで嬉しい時間を与えてくれるなんて思ってもみなかった。
苦しく、嫌だった思い出はもう思い出せないけれど。
だって、あの人とチビッ子が洗い流してくれたから……私はこんなにも幸せなんだ。
もう、転生出来なくても良いと思ってしまう程に私は幸せになってしまっていた。
「ズル、いっ!こんな……こんなの、私は、自分で……」
本当ならば、自分自身の手で掴み取るはずだったのに……奪われるだけの人生だったはずなのに、こんなにもたくさん誰かに貰えるモノだったなんて私は知らなかった。
いや、転生して忘れてしまっていたんだ。
思い起こされるのは前世の日々。もう、両親の顔も忘れてしまったけど確かに幸せだった時があった。
だけど今は、あの時以上に私の中を幸せが満たしている。
「っ…………くっ…………ううっ…………」
私の背後で、何やら物凄く大きなモノが飛び交う音がするけど、そんな事も気にならないくらい私は自分の幸福差に感謝していた。
なんとか、感情の奔流を抑えきった私は涙を拭って背後を確認する。すると、青年がソファーと共に壁にめり込んでいてチビッ子が片手で冷蔵庫を持ち上げているという状況が出来上がっていた。
その後、私はチビッ子の怒りを鎮める様にお願いし、それでも尚青年に追い討ちしようとするチビッ子を力付くで抑えて場を取り持ち。怪しい感じはあったけれど、大人しくなったチビッ子と今後の話をした。
それで決まった事は、これまでと同様に転生を目指すという事だ。これには、神崎の動揺や困惑を抑える為という理由が上げられたけど、間違いなく神崎に私が恋をしている事柄をバラさずに弄ろうとする思惑が見て取れた。
「悪い子ね……」
「どうせ、アイツがすぐに靡く事は無いんだから……」
神崎の目的を考えると、今のままでは私の恋が成就する事は無いだろう。だけど、監視することは出来る。
「まさか、オリジナルに今までの事を説明しようだなんて……考え付きもしなかったわ……」
どういう結果になるかはわからないけれど、私と神崎の関係や思い出をオリジナルに伝えて恋人フラグの可能性を少しでも上げようとチビッ子が提案してきた。
その為には、私のTAKE3での出来事を事細かに記した報告書もしくは手記の様なモノがいるらしい。過去の事(平行第一世界TAKE3)は、チビッ子の使い魔達が調べてくれるそうなので私はこれからの事を手記に纏める事になる。即ち、日記を付ける事になりました。
その中でも、最も印象深かったモノを取り上げて纏める事になる。面倒な気もしないでも無かったが、それはそれで思い出になると言われて私の願いを書き記す事なった。
その為にする事として、私はチビッ子達と別行動をする事になる。早い話が、【魔法少女】の世界ではなく【SAO】と呼ばれる世界に行く事が決まった。
そこで、転生者達が持ち込んだとされるアーティファクトやチートツール等の回収をする事となる。
その為に、紫天の書から別の魔導書へと本体を移動させて、主人をチビッ子のまま【SAO世界】に行く事となった。【SAO世界】には、同行者として行く宛のない鉄翼刀とすずかの移住も含まれる。
ただ、世界の難易度がとんでもなく高いらしいのだけど……私と共に、【秘密基地・改】も持って行って良いらしいのでこれまでと同様に快適な暮らしが出来るらしい。
まあ、お陰で生活面での不安はない。
けれど、世界の難易度を確認した時に【魔法少女世界】との比較をしたのだが……【SAO世界】は、ちょっと頭がおかしいレベルの難易度だった。
【魔法少女世界】…………難易度★★★★☆☆☆☆☆☆。
【SAO世界】 …………難易度★★★★★★★★★☆。
「…………ちょっと待て!……何よ、コレ!全然、洒落になってないじゃない!!」
【魔法少女世界】が、難易度4に対して【SAO世界】の難易度が9って……バカじゃないの!?
「あー……使い魔に先行させて、色々と事前準備の情報を収集してきて貰ったんだが……こんな結果になった(笑)」
「(笑)じゃないわよ。どうして、こんな事になっているの!?アーティファクトを持ち込んだだけじゃないでしょ?」
行く前から、頭が痛過ぎて私はチビッ子に突っ掛かってしまった。チビッ子は、苦笑いしながら使い魔達が集めて来た報告書を渡して来る。その報告書に目を通して、私は計画性のない転生企画を立ち上げた神を恨んだ。
「これ、事情聴取よね?って事は、断罪済みなのかしら?」
「これをやった馬鹿?うん。断罪済みだね……」
「…………コレ、何時の話なの!?」
「最近の話らしい。僕等の警告も間に合わなかった……」
「ってか、無視されたんでしょう?」
「かもしれない。だけど、その世界が《旧・神族》にパクられる心配はないよ?」
「何故……と、聞いても良いかしら?」
「バランスが悪過ぎて、誰も欲しがらないという結果になった世界だから……下手に手にしても、天元突破したレベルのモンスターに喰われる可能性があるらしい……」
「どんな化け物よ!?」
「限界突破と上限撤廃によって、レベルが際限無く上げれたのが原因だね。元々、レベル50程しかなかったドラゴンが……レベル2000万とかになっちゃって、その気になれば《旧・神族》すら倒せるかもっていう怪物になったらしいよ?チートツール怖えェ……」
「どこの馬鹿よ!?そんな特典望んだのは!?」
「その世界に転生させられた一万人の内の誰か?」
「本当に計画性が無いわよね!?」
聞けば聞く程、頭の痛くなる話だった。
その癖、転生者を助ける様なアシストシステムみたいなのは無いとか……もう、逝って良し!な話である。
・ドラゴン
LV 20000000
HP 3865000000000/3865000000000
SP 9580000000/9580000000
MP 7880000000/7880000000
STR 9688653950
VIT 10006345540
INT 382166741
MEN 9995467813
DEX 452216850
AGI 9833401988
LUK 150
称号 超越者(ステータス補正)
最強の証(ステータス補正)
史上最強(ステータス補正)
転生者殺し(転生者の天敵)
神をも殺す竜(神の天敵)
スキル 属性ブレス(LVMAX)
一撃の噛み付き(MAX)
即死の爪(MAX)
尻尾(MAX)
チャージ(MAX)
即死耐性(MAX)
全状態異常耐性(MAX)
「なにコレ……」
「レベル2000万となったドラゴンのステータス」
「勝てる訳無いじゃない……」
「見たいって言ったの翼だよ?」
もはや、【SAO世界】に行きたく無くなってしまった。
こんな化け物がいるなら、チビッ子が行った所で安全性は保証されない。他にも、雑魚モンスターがLV100越えしてたりと手の付けられない世界へと変貌しているらしい。
「どうしたら、雑魚モンスターに負けるのよ!?」
「一般フィールドで、『俺TUEEE!』をやろうとした転生者がPKされてそのPK転生者は相討ち……生き残ったが、HP1の状態でモンスターに一撃入れられて死んだらしい。まあ、転生者同士の足の引っ張り合いの結果だね」
「馬鹿ぁ!?」
もう、頭が痛い処の話ではなかった。
呆れてモノが言えない……なんてのを遥かに超えて、私はガックリと肩を落とす。この世界は、ヤバ過ぎる。
しかし、今更行きたくないなんて言えないし、安全性が無い以上どうしたものかと頭を悩ませる。
「大丈夫だよ。妖精達の国は、安全らしいから……」
「妖精達の国?」
「うん。アルヴヘイム……だったかな?そっちは、アインクラッドと呼ばれる世界……SAOの後に追加された世界らしいけど。そっちには、アインクラッドのモンスターは現れない様になっていると使い魔が行っていた。んで、アルヴヘイムの方は比較的に敵が弱くて、アインクラッドの方は敵が強いって設定になっているんだって……」
「それって……」
「まあ、神なりの救済処置だったんじゃないかな?」
とりあえず、アルヴヘイムでレベルやスキルを上げて、ある程度してからアインクラッドへ渡ればなんとかなるらしい。アルヴヘイムには、村や国に【安全圏内】という結界の様なモノがあるから天元突破したモンスターに襲われる事は無いという。
「完全に、アルヴヘイムは救済ね。でも、アインクラッドは何処もかしこも危険なのね……」
「因みに、秘密基地に【安全圏内システム】を組み込んでおいたから、一応危険は無いようになってるよ?」
「そう……それは、有り難いわ……」
とはいえ、アインクラッドが危険な場所なのには代わりないのだった。
「そう言えば、『デバイス』とかは使えないのかしら?」
「使えると思うよ?持ち込んでいる馬鹿とか居そうだし……整備とかは、秘密基地の研究所に全自動なのを突っ込んでおいたから安心してね?」
「何から何まで至れり尽くせりね……」
「フッフッフッ……行きたくないなんて、言わせないよ?」
「くっ……」
「まあ、そっちは僕達が殺るから翼は情報を集めるだけでも良いよ?【魔法少女世界】が終わったら、合流するんでその時にでも報告してくれたら良いかな?」
下手をすると、【魔法少女世界】が終わる前に合流する可能性もあるらしい。それは、チビッ子のストレス状況によるので絶対とは言えないらしいけど。何はともあれ、私達は【SAO世界】へ行く事が決まったのだった。
はい。作者が神崎と翼をくっ付けない理由を投稿しましたw
インスタント・ソウルとオリジナルの魂に関しては、間違いなくこういう設定ですwさっさと、くっ付けろ!とか言っていた方にはごめんなさい。現状では、くっ付けられません。
そして、双夜が大分希望的観測を持って翼をけしかけていたのがおわかりになるかと思いますが、双夜の『希望の神格』を考えると妥当かもしれません。
ついでにいうと、双夜とセイビア……それからもう一人がいれば、翼をオリジナルに上書きすることは可能だったりw
双夜……『希望の神格』&《ルール・ブレイカー》
セイビア……『全知』、、、過去・現在・未来を見通す能力。
副産物として、未来を認識する事で不確定の未来を確定する(微力ではある)事が出来る。
そして、最後の人物の能力が➡???……『確率変動』。
このもう一人が揃うと、『混ぜるな危険!!』と言われるであろう洒落にならない能力が発現してしまうというw
まあ、最も揃う確率が低い三人なので、そうそう使われる事のない組合わせですけどw
双夜の『希望の神格』でブースト。《ルール・ブレイカー》で確率を反転。一%以下が五〇%以上にwwまあ、これだけでも十分だけど……セイビアの『全知』で、不確定な未来を確率の低いハッピーエンドに確定しつつ、???の『確率変動』で100%にw
うん。こりゃ、アカンw奴等は、危険な存在だったw
双夜の元々の方針は、ずっと黙ったままにしておいて、オリジナルと融合する際に《ルール・ブレイカー》と《ルール・メイカー》を使ってインスタント・ソウルの方をフルブースト。出来るだけ、オリジナルが上書きされる様に手を打つ計画でしたw中々、鬼畜な計画を企てているよねw
誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m
感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。