絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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こっちは、『ソード・アート・オンライン』SAO改め『ソード・アート・ワールド』SAWの話。


一三八話

神崎

 

 

さあ、やって来ました!

『ソードアートオンライン』の世界【観】をそのまま現実にしちゃった世界に!!

ぶっちゃけ、一度は来てみたかった世界なので今回の任務は俺に取っても楽しみの一つだ。で、まず俺がこの世界に降り立ってヤった事は……剣を構えて、ソードスキルが実際に使えるかを確認する事だった。しかし。

 

「師匠、何も起こらないんですけど……」

 

本当にこの世界は、『ソードアートオンライン』を元にして創った世界なのだろうか?確か、アルヴヘイムオンラインの世界とも併合されていると聞いたが……。

魔法が使えるSAOとか、チートが過ぎていると思うのだが……そこで漸く俺は、周囲に視線を巡らせたのだった。

そこはかつて、TVアニメで見た『ソードアートオンライン』のアルヴヘイムを再現したかのような光景が広がる。

遠くに見える巨大な樹が、かの有名な世界樹ってヤツだろう。それを更に上へと視線を向けると、黒い卵形の物体が浮かんでいる。きっとあれが、空中城塞アインクラッドなのだろう。ただ、問題があるとすれば……俺達は、地上を進んで世界樹を上りアインクラッドへ飛んで行くしかないという事だ。飛距離的に、地上から飛ぶよりかは世界樹の天辺から飛んだ方が良いに決まっている。

事実、『ソードアートオンライン』のTV放送を見た時にリーファが飛距離を稼ぐ為にシルフヴェーンの塔の最上階から飛んだ記実があったはずだ。ただ、問題がある。

俺ってば、翼もなければ飛行魔法も使えねぇってばよ……!

もう一度、『ダーティー・ニーズ』を構えて少し溜めを作る。そして、解き放つ様に両手剣を突き出した。

しかし、光が集まるようなエフェクトも引っ張られる様な感じもしない。ただの普通な突き攻撃となった。

 

「何も起こらないって?」

 

「SAOだったら、剣に光が集まってソードスキルっていう技が出るはずなんッスけど……」

 

「……説明、聞いてなかった?」

 

「聞きましたよ?聞きましたけど……」

 

「この世界は、ゲーム的なシステムは全部抜け落ちているんだ。ソードスキルってのが、どんなのかは知らないけれど……それが、ゲーム的システムありきのモノなら使えないモノになっているはずだよ?」

 

「…………ああ。残念無念……」

 

わかっていた事だけに、その残念さは表現すら許されなかった。何故、世界構築の際にその辺りを突き詰めなかった!?と、これを神様特典として願い出た転生者に問いたい。

ゲーム的システムを、この世界に組み込んでおけば……こんな、残念な結果を迎えずに済んだはずだ。

ある意味、SAOファン・ブレイカーな世界に目から汗が止まらない。マジで、『何てことしてくれたんだ!?』と叫びたい気分でいっぱいだった。

 

「兎も角、近くの町にでも行って情報を集めよう!」

 

「そうッスね。それじゃあ……って、何処に向かうんッスか?町って言っても、何処にあるかわかってるんッスか?」

 

「…………ってか、ここ、どこ?」

 

ああ、うん。師匠が、適当にこの世界に降り立った感じがしていたけれど気のせいじゃ無かったらしい。まあ、こちらとしてはモンスターとエンカウントしなければ問題ないなぁみたいな気分でいた訳だけど……既に最初から迷子とか、後ろにいる彼に申し訳が立たないではないか。

ちょっと振り返れば、鉄翼刀が『え?俺のせい!?俺のせい!?』と騒いでいるので冗談でも迷子になったとか言い出さないで欲しかった。それでなくても、あの裏特典【迷い子】が健在で【御守り】が無ければ迷い続けるだけの残念人物である。あの【魔法少女】の世界で、男が主人公に成れる訳がない状況で主人公を目指して戦っていた者の一人。しかし、現実は無情で彼は主人公にはなれず、師匠の使い魔に保護されて別の平行世界へ誘拐された被害者だ。

その後で、原作人物の一人。月村すずかも、別の平行世界へと誘拐されるという現状が生まれる。どちらも、師匠が秘密基地の中を確認せずに世界を渡ったのが原因だった。

その上、月村すずかに至っては本来あるべき世界が消滅しているという事態により、別のファンタジー世界へと移住する事になる。これはもう、慰謝料も糞もないので師匠が責任を持ってその一生を保証しなければならないらしい。

その為に、まさか……。

 

「まさか、【外】で待機中の《神殺し》の一人を護衛に付けるとか前代未聞なんじゃないですか!?」

 

鉄の言う通り、【世界の外側】で待機していた《神殺し》の一人がすずかと鉄の護衛に付くという事態になった。

 

「ん?そんな事ないぞ?《神殺し》が、一般人の護衛になる事は良くある事だ。主に、その世界に降り立った《神殺し》が、その世界で妾を作ったりした時の急場凌ぎの為に護衛に付けるというのは普通に聞く」

 

「あ、ソウナンデスカー……」

 

「それに、高々100年に満たない程度の拘束だ。時間的にも余裕のある《神殺し》が、担当するのは当たり前だろう?なんたって、僕達は【静止した歪みの塊】だからな」

 

「【静止した歪みの塊】ですか?」

 

「ああ……僕達は、不老不死とは違うからな。まあ、総合的にその分類に入るってだけで厳密に言うと不老不死ではないんだ。普通におかしいと思わなかったかい?僕、成長するし死んだら自動的に再生・復原・蘇生するんだよ?」

 

そう言われて、確かに俺の知る不老不死とはなんか違うなぁとは思ってはいた。【不老不死】とは、【死】の別名であるという話は良く聞いている。成長もしないし、殺しても死なず再生して行動を再開するモノだと。だから、何万年も【存在】していると師匠が言っていたから俺は【不老不死】なんだなぁと思い込んでいた。

しかし、師匠は【不老不死】とは違うと言う。

ならば、師匠はなんなのだろうか?

【静止した歪みの塊】とは、どういう意味なのだろうか?

 

「【鮮血の】は、時の呪いを受けた……時間転移をした、大罪人だ。時を越えて、未来を歪めた大罪人。故に、アイツは【死】に至ると時間が巻き戻って『生きていた時間に戻され』てしまうんだ。それが、【鮮血の】の特性だ。そして、僕は……数多の平行世界を繋げ、その世界へ干渉をした大罪人。僕の魂の内側には、『無限に等しい僕の魂』が秘められている」

 

「世界を【歪めた】って事ですか?」

 

「まあ、簡単に言うとそれが正解かな?その為に、『世界そのモノに呪いを掛けられた』存在なんだよ。その後に、神格を得たりして人間ではなくなったってのが僕だ」

 

なんか、色々とややっこしい経過を経て人外化したらしい。それにしても、【呪い】とはこれまた非科学的な……とは、転生をした俺に言う資格はない。しかし、それでも“世界そのモノ”に【呪われる】と不老不死モドキになるのだろうか?まさかとは思うけど、あの【始まりの魔法使い】も世界に【呪われた者】の一人なのだろうか?

 

「数多の平行世界を繋げたと言いましたが……それは、どういう意味ですか?まさか、平行世界の重なり消滅ですか?」

 

「いや、アストラルサイドから強制連結させただけだよ?」

 

「アストラル……って、精神世界ですか!?」

 

「それも、アニメ知識?恐ろしいなぁ、アニメ……」

 

魔術師からすると、アニメや小説、漫画には真実に近い事柄が書かれている事があるらしい。

しかも、意図的にではなく偶発的だって言うんだから魔術師泣かせだと師匠は言っていた。

まあ、そこら辺はもう折り合いを付けて下さい。

 

「じゃあ、師匠の中にはたくさんの人の魂が?」

 

「流石に、他人を受け入れるのは不可能だよ?でも、自分と同じ魂を持つ精神へはアクセスが可能だったね……」

 

つまり、師匠は《無限に等しい自分の精神》を魂の中に入れて……ではなく、融合させているらしい。

 

「融合って、大丈夫なの?そんなにたくさんの精神を一つに纏めて……」

 

「にゃははは。大丈夫だったら、【クレッセント・ノヴァ】なんて突っ込まれてないし!たまに、感情の制御が出来なくなるくらいだよ(笑)」

 

やっぱり、変な不都合が起こっているらしい。

つーか、【十字架天使の弓矢】級アーティファクトは融合の際の不具合を止める為に師匠の中に突っ込まれているとのこと。色々とツッコミ処が満載だけど、現状は奇跡的に安定しているとの事だった。

 

「奇跡的に安定って、それヤバイって事じゃない……」

 

「双夜……大丈夫、なの?」

 

「目の前で、すじゅかママが殺されない限りは大丈夫だよ?……………………多分……」

 

「不確定要素を高めて来やがった……」

 

「因みに、安定が崩れたらどうなるんだ?」

 

あえて、俺達がツッコまなかった所を斬り込んでいく鉄。

一瞬、キョトンとした師匠が段々邪悪な笑顔へと変化させて『世界を滅ぼす魔王になるよ』とニコやかに答えてくれた。ああ……【組織】が、束になって師匠を止めたというアレか。凄い損害を出しつつ、なんとか【クレッセント・ノヴァ】で師匠を抑え込んだっていうアレですね!!

 

「止めれ!マジで、死ぬから!」

 

とりあえず、鉄の暴挙を止めて後で説明するからと一旦話を切り上げた。

 

 

………………………………

 

 

……………………

 

 

…………

 

 

その後は、この世界の失われたシステムの検証を鉄と俺とでやる。流石に、ステータス画面が開いた時にはビックリしたけど……ソードスキルに関しては全滅だった。

 

「ステータス画面から、スキル画面とかは出るのに……」

 

「何故、ソードスキルが使えない!?」

 

「その癖、俺達のシステム外スキルは使用可能と……」

 

とりあえず、自分のステータス画面を開いてステータスを確認してみた。

 

 

 

神崎 大悟 ?? ♂ 人間

LV 1

HP 250 (+5200)

SP 50 (+5500)

MP 50 (+3000)

STR 20 (+200)(+5000)

VIT 10 (+180)(+500)

INT 10 (+500)(+1500)

MEN 20 (+250)

DEX 15 (+100)

AGI 10 (+200)(+300)

LUK 95

 

身体魔力強化 LV 5

瞬動術  LV 5

両手剣  LV 3

片手剣  LV 3

気功術  LV 4

我皇琉  LV 4

火魔術  LV 1

風魔術  LV 1

土魔術  LV 5

水魔術  LV 3

雷魔術  LV 2

闇魔術  LV 3

 

称号 《神殺し見習い》

    踏み台

    変態(バグ)

    鈍感

 

 

こんな、感じだった。

スキルレベルは、最高がレベル9でMAXらしいので4か5が中間レベルとなるらしい。

 

「つーか、称号の部分に《踏み台》が入っているのは何でだ!?レベル1な上に……後、装備もしてないのにカッコの中の数字はなんだ!?」

 

「あ、俺もレベル1ですよ!?」

 

「私もそうね。でも、ステータスがバグっているようにも思えるわ。レベル1のステータスじゃないもの……」

 

「俺も俺も!」

 

「師匠は、どうッスか?」

 

協力的な翼や鉄と話し合いながら、師匠の意見を聞こうとして振り返り何も見なかった事にした。何故なら、俺達が検証をしている背後でポップしたモンスターを片端から排除していたからだ。もちろん、師匠が武器を持っているはずもなく素手で殴り屠っている。俺が振り返った瞬間も、たった一撃でモンスターを木端微塵の血肉へと変化させていた。ブチ撒けられる血肉。まさかのグロに、俺は見なかった事にした。

 

「つーか、師匠……遊ぶ前に、残っているであろうシステムの残滓を確認をしましょうよ!?」

 

「もっと、大きい声で言いなさいよ……」

 

「「死ぬじゃん!!」」

 

翼のツッコミに、俺と鉄の声がハモる。

つーか、目に見えている死亡フラグを踏む馬鹿はいない。

 

「そう言えば、セットアップしたらどうなるのかしら?」

 

「流石に、別の世界の力は使えないだろう?」

 

「まあ、やってみて……出来なかったら封印すれば、良いんじゃないか?」

 

「そうね。じゃあ、《スフィア》セットアップ!」

《Stand by ready, setup.》

 

瞬間、翼がHU○TER×HU○TERのクラピカが着ていた色違いの民俗衣装バリアジャケットに身を包む。

そして、ステータス画面を展開した。

 

「……………………」

 

セットアップした翼は、無言となり口元に手を当ててステータス画面をジッと凝視していた。

 

「どうした?」

 

「…………」

 

「…………種族、《魔法少女》おぉ?」

 

「っ!!」

 

「キャプッ……!」

 

鉄の馬鹿が、無言で固まっている翼のステータスを覗き込んで冗談的声音でそれを読み上げた。その結果、顔を真っ赤にして怒った翼に顔面を拳で撃ち抜かれて奇妙な悲鳴を上げる。自業自得なので、俺は聞かなかったことにした。

咳払いをして、気を取り直した風を装いながら聞き直す。

即ち、馬鹿が馬鹿をした時間を切り捨てたと考えてくれ。

 

「どうした?」

 

「何でもないわ……」

 

「そうか。STR等のステータスも確認したか?」

 

「……ええ。STRの後の数字が私のでカッコのプラスが変化なし。更にカッコが増えて……これが、装備による補正ね」

 

「…………じゃあ、先のカッコは転生特典が関係してるんじゃないか?もしくは、訓練とかによって自ら勝ち取った補正とか?」

 

唐突に、師匠が横から口を出してきてそのまま走り去って行った。むしろ、勢いを付けてモンスターにダブルキックをお見舞している。自由だなぁー。

 

「先カッコのプラスは、師匠の言葉を当て嵌めるとして……どうだ?自分の特典と重なるか?」

 

「そうね……それで、間違いなさそうだわ……」

 

「そうか。じゃあ、後のカッコが装備による補正か……」

 

つまるところ、俺の専用武器『ダーティー・ニーズ』がこれだけのステータスに影響を与えるのだろう。

STR・VIT・INT・AGIを補正している訳だから、その性能が最高クラスである事に間違いはない。

LVは言うまでもなく、HP(命)、SP(わからない)、MP(魔力)、STR(力)、VIT(体力)、INT(知性)、MEN(精神)、DEX(器用)、AGI(素早さ)、LUK(運)……か。

ステータスの中で、わからないのはSPくらいで後はだいたいわかる。HPとMPの間にあるので、何らかの消費ポイントである事はわかるんだが……ここら辺は、実際に使ってみて確かめるしか無いようだ。

とりあえず、翼達を町まで連れて行くまでにわからないのであれば鉄に後は委託しよう。どうせ、この世界に居残り組だ。俺は、師匠と紫天の書と共に【魔法少女】の世界に戻る予定。戻って、原作と転生者問題を片手間に異端技術を回収して世界の調整をするだけの面倒なお仕事。もし、これを簡単だと表現出来るなら是非代わっていただきたい。そうすれば、掛け持ちとなったSAO?ワールドを攻略するから!《神殺し》の護衛を残すとは言え、翼やすずかを置いて戻れとか鬼畜過ぎる。それ故に俺は、俺が得た功績ポイントを全部譲渡し翼の強化に宛てた。

とりあえず、《身体限界突発》(1000P)と《努力すれば報われる》(1000P)を追加して安全弁を出来るだけ取る様に注意。それから、護衛の言う事を出来るだけ聞く様に言い聞かせておいた。因みに、《身体限界突発》はその名の通り身体能力の限界を解除する類いのスキルである。元々、翼には似たような神様特典があったので少し拒否感があったようだけど俺の心配度が減るからと納得させた。

そして、《努力すれば報われる》も翼の持っていた特典で努力を怠らなければ、それに見合うだけの結果を得られるという特典である。他にも、色々と付け加えたいスキルがあったのだけれど、俺の功績ポイントが底を突いたので諦める事になった。クソォ……俺の安心を勝ち取る為には功績ポイントが圧倒的に足りない。

 

「過保護ですね……」

 

「あの綺麗な顔や身体に傷が付くのは嫌じゃないか!!」

 

「あー……わからないでもないですが……嫌われますよ?」

 

「元より、俺は踏み台だ。嫌われて、問題ない!!」

 

「いや……それは、無いんじゃないかなぁ……?」

 

兎も角、見ていて嬉しい者(物)は綺麗なままで置いときたいじゃないか!翼は人間だけど、見ていて飽きない造形物モドキ(等身大フィギア)は着飾ってナンボのモノである。

本人には言えないけれど、決して俺が翼に惚れているとかではないと断言できる。そう、例え生前の姿も知っていてちょっと可愛いなぁ……とか、美人だなぁ……とは思ったけれど、これは恋愛感情ではないのだ。ましてや、同情でもない!ただ、ちょっと親御さんの翼に対する想いが手に取るかの様にわかってしまい、その代わりを勤めているだけなのである。仕方がないだろう!?ちょっと、興味本意で師匠に御両親と当時の翼を見せて貰ったんだ。そしたら、師匠が御両親の苦労や心配する姿を延々と見せるから……!

うっかり、感情移入してしまったんだよ!!

あんなに翼を、大事にしている御両親を見たら……ちょこっと放置で!なんて、出来る訳無いじゃないか!!

 

「ううっ……残りたい……」⬅(お人好し)

 

出来る事なら、この世界に残って翼と共に世界攻略に乗り出したい気持ちでいっぱいだった。

 

「大丈夫ですって、《神殺し》の護衛もいるんですから!」

 

「つっても、一人じゃあ……」

 

「一人じゃあ無いぞ?」

 

『ふぇ!?』

 

「基本的に、《神殺し》は使い魔を使役しているからな」

 

「流石に、双夜みたいに大群は使役してないが……一応、二体は使役してるな……」

 

「つまり……護衛が、三人いるって事ですか?」

 

「万全だろう?」

 

それを聞いて、俺は少しホッと安心の溜め息を吐き出した。護衛が三人もいるなら、単独行動にはならないと言える。呼び出された使い魔も、少女が二人。少女?

 

「えっと……」

 

「身の回りを世話させるのと、戦闘補助の為に使役しているだけだからな……少女で十分なんだ」

 

「あー……ロリコンか!?」

 

「違う!一応、双夜を除けば俺以外手も足も出ないぞ?」

 

見た目だけで、モノを言うつもりも無いので頷いておく。

というか、《神殺し》とその取り巻きについては見た目で判断しない方が良いのは師匠だけで十二分に理解しているので問題はない。突っ掛かるとすれば、鉄の馬鹿くらいなものだから気にする必要もないだろう。

 

「とりあえず……何が出来て、何が出来ないのか検証実験をして確認してしまいましょう。安全弁は、多い方が良い」

 

「了解だ。身体魔力強化が可能ならば、そこそこ驚異になるような敵は現れないだろう……」

 

「ですね。師匠が、モンスターで遊んでいるので……この辺りの奴は大丈夫そうです。ま、一応、町で装備を整えたら試しに戦ってみるのも手でしょう……」

 

「だな。双夜、そろそろ移動しよう」

 

「んー」

 

返事がする方に振り返ると、いつの間にか剣を持ち出している師匠がいた。しかし、師匠が手にしている剣が少しおかしい。何だか、長い年月を経て錆び付いてしまっている古い剣に見えた。確か、師匠が【魔法少女】の世界で使っていた剣は新品だった様に思える。

 

「師匠、それは?」

 

「フレールくんに、周囲を散策して貰って手に入れた《ロングソード》だ。ここから、海に向かって少し行った所に落ちてたから転送して貰った」

 

「そ、そうッスか……」

 

色々と言いたい事があったけど、気にしていてもどうにもなりそうが無かったので黙っておく。

そして、俺達はこの世の絶対的理不尽を目撃する。

錆びて、ボロボロになったロングソードでバッサバッサと敵モンスターを倒す小さな悪魔の姿を……だ。相手の攻撃も防御も諸ともしない、一撃必殺の斬撃にモンスター達がバターの様にスライスされていく。

 

「なにそれ……」

 

「ああ。あれは、空間制御だ。剣に、空間断裂系の魔法を纏わせて振り払っているだけだ」

 

「それにしては、斬れ過ぎている様に思えるが……」

 

「ナノ・ブレイドみたいなモノさ。それに、空間を震わせて超振動を起こしている。結構、残忍な術式だな……」

 

「それ、なんてオーバーキル?」

 

師匠が、通り過ぎた跡は嵐が通り過ぎた様を見せている。

木々は倒れ、岩は真っ二つになって放置されていた。

地面は、掘り返されて穴だらけ。いったい、どんな暴れ方をすればこんな惨状が出来上がるのだろう?

モンスターの亡骸は、そのままにされて鉄の臭いを撒き散らしていた。このままにしておくと、血の臭いに誘われて近場のモンスター達も寄ってくる様な気がする。

師匠は、周囲を気にした様子もなくこの場を放置して移動を開始した。まだ、何の検証もしてないのに移動!?

使い魔さん達が、近くに村か町でも見付けたのだろうが……これは、後々キツいと考えられる。

 

「師匠、検証はどうするんですか!?何が起こるかわからないんですよ!?」

 

「検証なら、終わったよ?こちらの魔力強化は可能だし、僕達が使う魔法やミッド式も普通に使えた」

 

「…………いや、そういう検証ではなくて……」

 

「前の世界の魔法を忘れて、この世界の魔法を覚え直すのも億劫だろう?ソードスキル?は、使い物にならないみたいだし……十分だと、思わないか?」

 

「それは……」

 

言われてみれば、俺達は既に別世界のではあるけれど魔法が使えている。『郷に入れば郷に従え』とは言うが、完全に従う必要はないのだ。『自分らしさを失うな!』と言われた様な気がして、俺は少し恥ずかしくなった。

 

「そうですね。では、このまま戦います!」

 

そう言って、俺は師匠の後を追い掛けていく。

 

「あれは、絶対『億劫』の所が本音だと思うわ……」

 

「神崎さん、ポジティブなんですね……」

 

「翼、鉄!置いて行くぞー?」

 

呼び掛けると、大きな溜め息を吐く動作をした二人が俺達の後を追って付いてくる。

 

 

……………………。

 

 

一、二時間程歩いた頃だっただろうか?

 

ズン!

 

と、背後から重量のある音が聞こえてくる。

場所は、木や草が鬱蒼と生い茂る森のド真ん中。

未だに村や町には、辿り着いていない。

原因は、100%師匠だと思われるが文句も愚痴も口には出来ない。もし、そんな事をした場合は鉄と同じ目に遭うと断言出来た。

 

「何だ!?」

 

慌てて振り返れば、森の奥から白いぼんやりとした何かがこちらへとゆっくり向かってくる所だった。

しばらくして、その全体像が見え始める。

それは、数メートルはあろうかという巨体の白い猪が森の奥からこちらへゆっくりと歩み寄って来る姿だった。

大体の目測で、大きさは四メートル程。全長は、まだわからないが四メートルよりかは大きいと思われる。

現段階で見えるのは、大きな巨体とその三分のニ程の頭。

下顎から伸びる四本の牙が、俺の記憶を刺激する。

それは、とあるアニメのキャラクター。

あの名作を彷彿させるその姿……しかし、紅く輝く目がある為にあれは違うと俺の頭が警告してくる。

ゴクリと、息を飲んでその動向を伺っていた。

 

「……………………」

 

フと、隣から視線を向けられている様な気がして翼の方に視線を送ってしまう。本来なら、驚異から視線を外す行為は死を意味するのだけれど、翼も俺と似た様な感じでこちらに視線を向けていたのでお相子だろう。

お互いに視線が合うと、苦笑いで返してしまう。どうやら、似たような事を思い浮かべていたいたみたいだ。

視線を戻すと、白い巨体の猪が森から出てくる所で、まだ俺達の戦闘領域に入ってすらいなかった。

それでも、その巨体から放たれる威圧感は普通の敵よりも大きい。きっと、あれが高レベル転生者を喰っちゃったモンスターなのだろう。

 

「あ……」

 

「え?」

 

その時、翼が何かに気が付き俺もその影に視線を持って行かれる。その影は、瞬動術で突撃して行った師匠だった。

ついというか何と言うか……師匠を制止しようとした訳じゃないけど、俺の左手が師匠に向けて伸ばされる。

しかし、師匠に届かず止める事すら出来ない。

その間に師匠は、白い巨体の猪の懐へと飛び込んでいて、下から上へと魔力強化したその拳を全力で振り上げた。

むしろ、ジャンピングアッパー!!

その結果、白い巨体の猪の頭……下顎から頭に掛けてが、血肉をひしゃげブチ抜かれて木端微塵に飛び散って行く。

それを見た俺は、ついその名を叫んでいた。

 

 

 

『おっことぬしさまあああぁぁぁーーー!!!!!』

 

 

 

 

 




はい。SAOのVR世界の【世界観】を元に構築された『ソード・アート・ワールド』……通称SAWの始まりです!!
作者のモチベーションを上げる為に書いてます。
ぶっちゃけ、ガイムは精神的に拷問なのではっちゃけたい物語を書き始めましたwさて、このSAOモドキ世界についてですが……VRゲームSAOの世界観を元に構築された神様特典です。言うまでもありませんが、世界『観』が元になっているのでゲームの様なアシストシステム等は搭載されていません。
ぶっちゃけ、『世界観』にゲームのアシストシステムが組み込まれているなんて事をいう馬鹿は頭が足りない馬鹿です。
転生者の中には、実際に『世界観』にはゲームシステムがセットだろう!?と言う輩がいます。ですが、世界観は世界の雰囲気や舞台に関する話なので、ゲーム的なアシストシステムは別途で必要です。
その点で言えば、アルヴヘイムを追加した方々は賢い言い方をした事になります。一応、アルヴヘイムの魔法だけは普通に使えますからねw
因みに、ステータスウィンドは神様がおまけで追加したモノです。まあ、それが勘違いの元になっているんですけどね。
あまり、ステータスウィンドに意味はありません。
LV制世界ではありますが、ソードスキルが使えないのでLV制ドスキル世界と考えるのが良いかもしれません。LVを上げてステータスを向上。スキルLVを上げて、攻撃力を補正。
そして、反復によって戦い方のリアル熟練度を上げていく世界って感じですw
戦闘熟練度や戦術熟練度や連携熟練度は、現実的な熟練度なのでステータスウィンドでは確認できません。って感じの鬼畜仕様です(笑)ゲーム感覚でいると、あっという間に死にます。ここで、ネックになるのがリアル熟練度ですね。
これは、反復あるのみです。何度も何度も繰り返し訓練して身体に覚えさせる作業が必要になります。ズルして『俺TUEEE!!』をやった馬鹿達は、間違いなくボス戦で全滅してます。まあ、低階層であるなら問題は無かったでしょうが、階層が上がるに連れてボス戦がキツクなったんじゃないかな?それで、パーティーを組んでも独り善がりの行動で連携もバラバラ。最終的に死亡者を続出させながら全滅といった所か?ボス、転生者倒す。ボス、レベルが上がる。減っているHPやMPに変動が無くても(最大値は上昇)、ステータスは変化するからあっという間に転生者が全滅する。結果、最悪の門番出現w手も足も出なくなる……って感じ?

白い巨体で二対の四本牙を持つ猪って言ったら……間違いないだろう?LV300の猪リーダー。ホワイトファング。普通の一般ポップモンスターが、転生者を食ってパワーアップしたモノ。

つーか、チートツールでLVカンストさせたら異常なAGIで瞬動術みたく顔面スライディングするだけなんじゃ……(汗)
自分の肉体の強化度に付いていけないバカ続出?
戦闘開始直後、シャチホコが大量生産されます的なお話に?

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。
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