絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一四〇話

神崎

 

 

おっこと主様撃破事件の後、俺達は師匠の言う『近くの町』を目指して旅(?)をしていた。これは、俺達が『近くの町』に到達するまでの三日間の間に聞いた笑い話である。

 

一日目(夜)。

 

「そろそろ、夜営をするか。じゃ、秘密基地の出番だ!」

 

「それ、夜営じゃねぇよ!」

 

「でも、ゲームでは普通じゃん。コテージに寝泊まりするなんて普通はあり得ないし……」

 

「それ、ゲームでの話でしょう?」

 

師匠が、ニコニコと秘密基地を地面に置き魔力を流す。次の瞬間には、人一人が降りられるくらいの階段が出現した。師匠に促されるまま、俺達は階段を降りていつもの広間へと入っていく。そこには、頬をプクゥ~と膨らませたユーリと苦笑いしているすずかの姿があった。

 

「皆さん、酷いです!私も、外で遊びたかったですっ!」

 

「遊びじゃねぇから……それに、外で存在を維持出来ないかもしれないだろう?ここは、ユーリが生まれた世界とは違うんだから……」

 

「大丈夫なんですっ!だから、連れて行ってください!」

 

無限に魔力を精製出来るとはいえ、消滅するかも知れない存在を易々外に出して置く訳にはいかない。と、過保護な師匠がユーリとすずかを秘密基地に押し込めてしまった。

それが、ユーリの不満だったらしく……師匠に猛烈抗議している。しかし、師匠はヘッチャラな顔で拗ねるユーリの頭をナデナデしたり、話を聞くように注意するすずかに抱き付いて膝の上に座ったりしていた。

 

「ガチで、無敵だな……アレ……」

 

「凄いッスよね……」

 

「わかった、わかった。間引きした後にでも、外に出してやるよ。それで良いだろう?」

 

「本当ですね!?約束ですよ?」

 

間引きした後って……危険な魔物がいる場合は、外に出さないと言っている様なモノじゃないか。ついでに、ユーリが『外に出してやるよ』の言葉に騙されているし……我が師ながらなんて過保護なんだ?

 

「なんか……翼さんと神崎さんを見ている気分だ……」

 

「…………俺、あんなに過保護じゃないぞ?」

 

「自分の功績ポイントを全振りしたくせに……」

 

「………………チッ……」

 

思わず、舌打ちが出てしまったが何も言い返せなかった。

言葉で返せないので、暴r……肉体言語で語り合おうとしたのだが、鉄は語り合いをする前に逃げ出してしまう。

全く、勘の良い奴。

 

「ーーー……双夜?」

 

「うっ……く、訓練は、町の近くでヤろう?その方が、安全だと思う……ね?」

 

視線を師匠に向けると、いつの間にか訓練を求めるすずかの説得へとシフトしていた。出来るだけ安全策を取りたい師匠と、直ぐにでも訓練をしたいすずか。

微妙に師匠が圧され気味だけど、最終的に師匠が泣き落としをして終わった。甘いなぁ……すずか(笑)。

 

「じゃあ、面白い話をしてください!!」

 

すずかが説得(?)されてしまって、ガックリと凹んでいたユーリが夕食の準備をしようとしている翼と師匠にそんな事を言い出した。子供か!?って、子供だったなぁ(笑)。

 

「うーん……面白い話ねぇ?翼ぁ……」

 

「良いわよ。その代わり、すずか手伝って」

 

「うん。良いよ」

 

という訳で、すずかと翼がキッチンに。

師匠が、広間にいるユーリの元へと移動する。

何故か、鉄が既にスタンバっていた。早ぇよ!?

 

「師匠、俺も良いッスか?」

 

「んあ?ああ、かまわないよ……面白いかは、わからないけど不幸な運命を辿った奴の話はあるよ?勇者(異世界)召喚の果てに《神殺し》になったエターナル・エンドッポイけど正規の《神殺し》って不思議なバランスの(笑)」

 

「エターナル・エンドって……落ちこぼれが集う、《神殺し》の汚点ですよね?それなのに、《神殺し》なんですか?」

 

「違う違う(笑)。アイツは、正規の軍所属だよ(笑)」

 

「はあ……?」

 

「まあ……異世界召喚で、悪夢を見た可哀想な奴なんだ」

 

「それが、『面白い話』なんですか?」

 

「ああ。僕達《神殺し》からしたら、とっても面白い話なんだよ。普通は、あり得ない人物だからねぇ……」

 

「「「???」」」

 

良くはわからなかったけど、師匠達からすると面白い人生を歩んだ人物らしい。その人物の名前は、匿名にされたけど師匠は厨二臭い二つ名でその人物を表現した。

その名も、【境界の守護者】。

異世界召喚で、初期の頃に元の世界へ戻る方法を自力で得た天才だったらしい。つーか、帰還方法を自力で得たって……創作小説や物語では、戻れない事の方が多いっていうのに凄いなぁ!っていうのが、その時の感想だった。

 

「アイツが、初めて異世界召喚されたのが……12?か13歳の頃だったかな?中学に通い始めて、二ヶ月くらいしてからだったと言っていたよ」

 

「クラスメイトごとですか?」

 

「うーん……いや、初めては一人だったらしい……」

 

12か13なら、『異世界』や『勇者』に憧れていてもおかしくないからそれはそれは喜んだ事だろう。と思っていたのに、師匠の言葉から読み取るとソイツは異世界に召喚された事に絶望したらしい。

 

「なんで!?」

 

「知らん」

 

「燃えるシュチエーションじゃないですか!?」

 

「だから、知らんて……」

 

肝心な所を知らないとか、師匠ちゃんと聞いておいて下さいよ!と思ったけれど、師匠からすればソイツの在り方が面白いってだけで物語には興味がなかった様だ。

 

「まあ、呼び出した巫女は美人だったらしいけどな……」

 

「それは……テンプレですね……」

 

「まあ、なんやかんやあって勇者となり……魔王を倒したってのが流れだな。その後で、召喚した国の言うことに従って世界統一をしたらしい」

 

「…………それ、ヤバくないですか?」

 

「世界統一なんてしたら、殺されません?」

 

「うん。裏切られて、刺客を送られたって言ってたよ(笑)」

 

「「やっぱり……」」

 

その後、使い魔を使って【境界】さんは召喚主に元の世界へ戻る事を伝えるが……召喚主さんは、その言葉を信じず刺客を送り続けたらしい。その結果、ブチキレた【境界】さんは事もあろうに召喚国を滅ぼして元の世界へ帰る方法を編み出したという事だった。

もはや、執念のみでその方法を得たんだとか。

 

「あー……師匠の知り合いさんは、過激な方が多いですね」

 

「逆襲されちゃったよ(笑)」

 

「で、元の世界に戻ったアイツは……たまたま、ではあったけれど召喚されたその日の内に戻れたということだった」

 

「へぇ……ラッキーだったッスね」

 

「いやいや、ここからがアイツの不幸の始まりさ。で、元の世界に戻った一時間後……別の世界に勇者召喚となった訳よ(笑)。第一世界で、八年の月日を経て魔王を倒し裏切られ……実質、十年後に再召喚だぜ?」

 

「キツいッスねってか、良く二度目があったッスねぇ……」

 

「傷心の所に、また異世界召喚……なんて悪夢……」

 

「で、第二世界の召喚主は……【境界】を隷属させて、魔王退治をさせたらしい」

 

やる気のない【境界】さんを、無理矢理奴隷にして魔王退治させたと?なんですか?その自己中な召喚主さんは!?

そりゃ、勇者召喚が難しい事で二度も出来ないのはわかりますが……ちょっと、ヤり過ぎではないですかね!?

 

「で、終わったら用無しですか?」

 

「いや、魔王討伐の旅の途中で隷属の魔法を撃ち破って解除してしまったんだと(笑)。まあ、首輪はしたままだったらしいけど……召喚主の元に帰って報告したら、毒殺されかかったって(笑)」

 

「また、裏切りですか……」

 

「元の世界へ帰るって言ってんのにな(笑)。勇者召喚は一方通行だから帰る事は出来る訳がないって一刀両断だったって(笑)」

 

「最初から、殺す気満々かよ……」

 

「で、その直ぐ後……召喚国を滅ぼして帰還。その時点で、三年の月日が経ってたって言ってたよ(笑)」

 

そして、また召喚されるんですね?わかります。

その後も、元の世界の数日の間に勇者(異世界)召喚を数十回体験し【境界】さんは人間不信になってしまったという事だった。つーか、それ全然不思議な事じゃないからね?

人間不信になって、当たり前の話だから!

召喚ラッシュが終わって、【境界】さんは召喚されない事にホッとしたらしい。うん。ゆっくり、休めるって良い事だよね!わかる。わかるよ……【境界】さん!!

 

「でも、異世界召喚によって【境界】はとんでもない弊害を受けてしまったんだって……わかるか?」

 

「異世界召喚による弊害ですか?」

 

「…………なんですか?それ……」

 

「【境界】は当時、中学生になったばかりだったんだ。だけど、異世界召喚によって数百年の時間を異世界で過ごしていたから……勉強がね……」

 

「「あー……」」

 

人間の記憶力は、150年分程しか覚えていられないっていうのが通説だ。その後は、新しい事を覚えた端から古い記憶が切り捨てられて行くらしい。即ち、【境界】さんは異世界に召喚される度に中学の勉学を忘れて行ったとの事だった。

 

「中学生にそれはキツいだろう!?」

 

「嫌だなぁ……異世界召喚……」

 

「異世界に根をはれば……って、ああ。異世界には、居られないのか……」

 

「残ってたら、殺されるだけだもんね……」

 

何?その詰みゲー……ヤってられないんッスけど。

 

「で、束の間の休息は小学校の勉強に宛てられて休息に成らなかったって笑ってたよ?」

 

「あー……ってか、師匠に質問ッス。【境界】さんは、異世界で数百年の時間を過ごした訳ですよね?なら、元の世界に戻っても当人だとは認識されないんじゃぁ……」

 

「……ああ!成長による、認識誤差だね?うん。【境界の】は、ずっと成長しなかったと言っていたよ。理由は……多分、元の世界と異世界の界位にあったんだろうね」

 

元の世界の位よりも、下位の世界へ行っていた故に成長的な時間を得られなかったという事らしいのだが……本当の所はわかっていないらしい。ただ、その辺りの話は多くの議論が上げられているという事なので、その内誰かが解明してくれるだろうという事だった。

 

「他力本願ッスか……」

 

「忙しいからね。今の所、有力な論文は上がっていないらしいよ?まあ、一種の御都合主義的な何かだったんじゃないかな?」

 

「御都合主義(笑)」

 

「俺に降り掛かって欲しかった……」

 

「無い無い(笑)」

 

「御飯出来たわよー」

 

「「待ってました!!」」

 

「現金だなぁ……」

 

ヒッホォーっと、運ばれて来たすずかと翼の料理に鉄とユーリが諸手を上げて喜ぶ。夕食が出来た事によって、【境界】さんの話は一時中断となり俺達は美女が作った手料理に舌鼓を打った。ヤベ……普通に美味い。

師匠のアレには届かないモノの、家庭料理としては普通のレベルだった。初期の頃と比べると、食べられるモノから美味しいモノへとランクアップしている。

 

「うん。美味いよ、二人共」

 

「……どういたしまして」

 

「ありがとう」

 

余分な事を言うと、修羅場になるのでサクッと簡単に褒めておく。ここでもし、「最初の頃と比べて~」とか「最初は食えるって程度だった~」とか言ったら殺されます。

夕食は、美味しく楽しくいただくのが良い。当初の俺は愚かだった。そして、今や学習した俺は何も言わずに褒めるだけ褒めて食べ続ける。

 

「それにしても、【境界の守護者】さんだったかしら……その人は、逃げ出したりしなかったのかしら?」

 

「ん?異世界召喚から?もちろん、異世界召喚防御結界とか色んな魔法を創って回避しようとしたらしいよ?でも、異世界召喚って……基本的に、神が関わってるんだよね。だから、結界を破壊されて強制召喚されまくったらしい」

 

「そこでも、《神様》が関わって来るのか……」

 

「言ったろ?《神殺し》となった者の物語なんだから(笑)」

 

「うへぇ……嫌な物語だな……」

 

「およそ、三年間で1500回も異世界召喚された者の物語だからな(笑)。そりゃ、嫌な物語だよ(笑)」

 

「どこが面白いの?それ……」

 

「元の世界に戻った際の【境界】の行動と絶望?」

 

「異世界じゃ無いんだ……」

 

「一番、召喚が激しかったのが……テスト前とテスト中だったらしいからなぁ……成績を気にしてる【境界】の奴には地獄だったろうさ」

 

「人生を異世界勇者召喚によって、滅茶苦茶にされた者の人生か……最悪だな……」

 

「まあ、オチを言うならテスト範囲が年を重ねる毎に増えていく悪夢とテスト中の再勉強は寝る暇が無いという悪夢だな。それに加えて、テスト時間終了毎に召喚される辛さは【境界の】を号泣させる事になったらしい。ついでに言うと、テスト中の召喚は基本100年が当たり前。もう、絶対に覚えていられない事が彼の悩みだったらしいからな」

 

「そりゃ、悩みにもなるだろう……」

 

なんだ、その狙ったかの様な召喚は!?

しかも、召喚されたら100年は戻って来られないとかどんな妨害だよ!?酷すぎるだろ!?

 

「なんで、そんな事になったのよ?」

 

「原因は、未来の【境界の】にあった訳だけど……本人に仕返しが出来ないからって、過去の【境界の】に怨みをぶつけたクズがいたらしい。未来の【境界の】が気が付くまで、その嫌がらせは続いたらしいから未来の【境界の】は余程怨まれていたんだろうね……」

 

「何したんだよ?」

 

「さあ?最終的には、そのクズを過去の【境界の】が殺しちゃったんで理由は不明のままだね……」

 

全く、【神様】ってのは自己中な奴が多いらしい。

つーか、未来の【境界】さんに手出しが出来ないからって過去の【境界】さんに八つ当たりとか結果を早めるだけの行為でしか無いだろうに……馬鹿だな。

 

「まあ、中学三年生の後半には……クラスメイト全員で、異世界召喚をされたらしいけど……その時が、一番面倒臭かったって言ってた。自分の欲望に忠実なクラスメイト達の行動や、【境界の】に当たり散らすクラスメイト達の言動が敵対フラグになって魔王とVSする前に【境界の】とVSして元の世界に送還されたとかなんとか……勘違い系は鬱陶しいんだよねぇ……」

 

「人間不信ッスね……」

 

「その人、人類嫌いじゃ無いんですか?」

 

「うん?いや、それが……嫌いは嫌いなんだけど、優しい人がいない訳じゃないからって完全には嫌ってないんだよね……ホント、不思議なバランスの奴なんだ」

 

「それで結局、何が面白いんですかね?」

 

まさかと思うけど、彼が体験した物語そのものが面白いんだと言われたら師匠との関係を考え直す必要があった。

 

「勇者(異世界)召喚が、実は等価交換の上に成り立っているって言ったらわかるか?」

 

『は?』

 

なんで、そこで『等価交換』?

 

「あれって、理由があって召喚される。召喚理由を達成する。そして、送還される……までが、一連の流れな訳よ」

 

「はあ。召喚される者にも、利益があるんですか?」

 

「あるよ?って言っても、【境界の】に関しては彼の生まれた世界に利益が流れていたんだけどね……」

 

『はああぁぁあ!?』

 

なんでも、異世界に召喚されると世界間で何かしらのエネルギーのやり取りが行われるらしい。当然、【境界】さんがいた世界に召喚する側の異世界から何らかの担保が送られていた訳だ。召喚された者が、召喚理由を達成出来ずに死んだ場合、その担保は【境界】さんの世界のモノとなる。逆に、【境界】さんが異世界で召喚理由を達成すれば送還されて担保も戻ってくるって流れになるはずだった。

しかし、実際には召喚主に送還されず【境界】さん自身での自力帰還となった訳で……異世界は、担保を回収出来なかったらしい。それは、当然の結果だと思う。

その結果、何が起きるかと言うと担保が回収出来なかった異世界は、そのリソースを召喚主達に求めるらしい。

結論。召喚主達は、異世界に支払った担保分が回収出来るまで何かしらのペナルティーを受ける事になる。それは、収益の低下だったり出産率の低下だったりと様々だ。

つまり、【境界】さんは自分の人生と引き換えに多大な利益を世界にもたらしていたという事になる。

 

「うわー。なんじゃそりゃ……」

 

「面白いは、面白いんですけどねぇ……」

 

「じゃあ、異世界召喚!俺TUEEE!!ハーレムとか、されなかったんですか?」

 

「中学生に、ナニ求めてんだよ!?」

 

「いや、異世界召喚の醍醐味じゃ無いですかぁ……」

 

「知らねぇよ、そんなモン!!」

 

鉄の疑問は、師匠を怒らせただけで俺達が求めた様な話は無かった。ってか、ホント師匠の話……いや、【セフィロト】に集った人物達の話は聞いていて飽きないなぁ(笑)。

そう、俺は鉄のバカ発言を聞きながら思っていた。

 

 

そして、日中は移動をして夜は【セフィロト】に集った人物達の面白話を聞く毎日を過ごしている。

二日目は、師匠が自室でエロ本を読んでいたので面白半分で話し掛けたらホラーハウスでゾンビに追い掛けられた人みたいな反応をされてしまった。

なんで、エロ本なんて読んでいたのか殴られた後に聞いてみると『リハビリの為』と言われる。

しかし、気分的には心霊写真とかホラー的なモノを見ている感じなんだそうだ。いやはや、師匠らしいと言えば良いのか良くわからない話だった(笑)。

それを聞いていた鉄が、エロ本を読んで怯えている師匠を驚かせてテオルグさんやラヴォルフさんにしごかれる……なんて事もありましたが……師匠を泣かしたらダメですよね!

ついでだったので、お風呂上がりのすずかにチクっておいた(笑)。ザマァ!!その結果、鉄はテオルグさん達を含むすずかにドナドナされて行く。

 

「ホント、バカよね……」

 

「全くだ……」

 

師匠、ガチ泣きとか……鉄、マジ反省しろ(笑)。

お調子者の制裁も終わったので、前日に続き【セフィロト】所属の【逸脱者】達の面白話を聞く。

今回は、セイビアさんの苦労話だった。

あの人、異世界召喚系の《神殺し》だったらしい。

召喚された世界は、天上界や魔界が実在する混合世界。

そこで、竜族に呼び出されて仲間を集め《邪眼石》というアーティファクトで第三の目を得た人間だったそうだ。《邪眼石》から溢れ出る力を使い、天使族から魔族から亜人達を守るのがセイビアさんの召喚理由。

殆どが、ギャク系の物語で現代技術チートをファンタジー世界でやらかしたんだと。

つーか、《邪眼石》はどうした!?

 

「使ってはいたらしい……」

 

しかし、何に使っていたかは不明。

 

間違いなく、戦い以外の事柄に使われていたと師匠は考えているとのことだった。

それを聞いて、俺が思う事はただ一つ。

 

「それ意味あるの?」

 

「無いだろうなぁ……」

 

魔王を討伐して神を殺し、世界を救済して神を創り、因果を制定して星を創造した人物だというのは以前にも説明されたので知っているが……あの人程、無茶を押し通した元人間は師匠でも知らないらしい。

 

「何が、したかったんですかねぇ?」

 

「知らん。必要に迫られたとは聞いたが……」

 

「そんな状況になるって、どんな状況ッスか!?」

 

「うーん……ま、アイツのする事に一々ツッコミを入れてたら時間が幾らあっても足りないから……」

 

「そこまでかっ!?」

 

兎も角、あの人のする事は気にしない方が良いらしい。

それで、胃が痛くなる事も頭が痛くなる事も無くなるとのこと。セイビアさんっ!?

 

 

三日目。

俺達は、漸くシルフ領の『スイルベーン』にたどり着く。

まさか、師匠が降り立った場所が図らずしも『SAO』の主人公・キリトが降り立った場所の近くだとは思いもよらなかった。アニメや小説では、妖精の翼で飛行してたどり着いていたけど、俺達は徒歩でシルフ領の『スイルベーン』にたどり着く。

『スイルベーン』は、緑を基準にした無数の塔を持つ美しい町である。別名《翡翠の都》。

その名の通り、領地全体がジェイドグリーンで統一されていて、闇夜に浮かぶ町並みは一種の幻想郷として有名だ。

そして、中央に一際高くそびえ立つのが《風の塔》。無数に立っているそれらは、間を空中回廊と呼ばれる通路で繋がられていた。

 

「幻想的ね……」

 

『スイルベーン』を遠目で見て、そう評価したのは翼。

しかし、いざ『スイルベーン』に到着した俺達は……遠目で見た以上に、荒廃した町並みに驚いていた。

遠目で見た時は、綺麗な町並みだと思えたんだけど。

周囲を見回して、ボロボロでグチャグチャにされたその町並みに驚愕の表情を隠せない。

 

「なんだこりゃぁ……」

 

「えっと……廃墟?」

 

「遠目で見た感じじゃあ、綺麗なイメージがあったけど……これ、人が住んでいる町なのかしら?」

 

スイルベーンの建物は、ほぼ全てが穴だらけで半分以上が倒壊していた。SAOのアニメで見た、あの町並みと比べると完全な廃墟と化し、周囲には人っ子一人見当たらない。

町に入り、周囲を散策しても人影すら見掛けなかった。

 

「…………人の気配は、あるけど……見当たりませんね……」

 

「何かに怯えて、隠れている……って感じだな……」

 

「ええ。どうしますか?師匠……」

 

《風の塔》の麓まで歩き、散策してきた結果を告げる。

建物に開いた穴や、地面の小さなクレーターから出した結論は転生者による蹂躙の跡ではないかというモノだ。

 

「どうするって言ったってなぁ……この様子だと、他の都市も似たような状況だろうし……」

 

「「デスヨネー……」」

 

「…………ん?」

 

棒読みの同意をして……次の瞬間、俺は背後から飛び掛かって来た気配の主を蹴り飛ばした。ドテッ!ドカッ!という効果音を発しながら、襲撃してきたソイツはゴロゴロと地面を転がり壁に激突する。良く見れば、それはシルフだった。全体的に、緑色の装備と薄い黄緑色の羽が生えた生き物が地面に転がっている。

ソイツは、『イテテテ……』と呻きながら何とか武器を構えた状態で立ち上がった。俺は、襲撃者の姿を見て驚愕する。何故なら、その襲撃者の姿がある登場人物とそっくりだったからだ。

 

「……レコン?」

 

「くっ……ギルガメッシュ!領主のサクヤさんと、リーファちゃんを返せっ!!」

 

「へ?」

 

「「……………………おk。把握」」

 

「え?」

 

背後に振り返ると、師匠達が固まっていて示し合わせをしていた。あ、なんか嫌な予感が……。

そして、その勘は当たる。なんと、師匠と鉄が何故か畏怖か驚愕の表情でレコンを煽り始めたのであった。

 

「ギルガメッシュ!お前、この国になんて酷い事を!?」

 

「仲間だと思っていたのに、反逆者だったなんて……!俺達を騙したなっ!?」

 

「え!?ちょっ……」

 

「そこの少年、頑張ってぇ!!」

 

「君なら勝てる!ここで、ギルガメッシュを討つんだ!」

 

レコンは、ギラギラした殺意の篭った視線を俺に向け、短剣を振り上げて襲い掛かって来た。俺は、反射的にレコンの大振りな攻撃をいなし、一本背負いをして投げ飛ばす。

レコンは、受け身を取らずに地面に叩き付けられた。

 

「カハッ!?」

 

「鬼畜ぅ~!」

 

「サイテェ~!」

 

「ちょ、俺が何をしたっていうんだ!?」

 

「「最近、イケメンな神崎(テメェ)に人誅!!」」

 

その言葉で、俺はある程度を悟った。

鉄の野郎……師匠にろくでもない事を吹き込みやがったな!?師匠は、ある意味無垢な所があるから真っ黒な鉄の野郎から色々吹き込まれている模様。ちょっと、寛容出来そうにないので、またすずかにチクってやると心に誓い冷たい視線を師匠達に向けた。

 

「兎も角、俺は今日初めてこの町に来たんだ。ギルガメッシュって奴とは、別人だよ……名前も違う。俺は、神崎大悟っていうんだ……」

 

「……………………」

 

レコンは、口を開けた状態でポケーとした表情で俺を見上げていた。今一、俺の言っている意味がわかっていないような気もするけど……そのギルガメッシュさんとは、赤の他人である事をコンコンと説明した。

 

「えっと……本当に、あのギルガメッシュではないと?」

 

「どのギルガメッシュさんかは、わからないが……俺は、そんな横文字的な名前じゃないよ……」

 

「横文字的?」

 

「兎に角、アイツ等の煽りにノル必要は無いからな?」

 

何とか、レコン……レコン似(?)の少年を説得して、俺は誤解を解く事に成功する。横から、鉄達のチャチャが入る事も無かったので相手も俺も混乱する事なく説得出来た。

それだけは、行幸と言うべきだろう。

 

「チェッ。面白くなると思ったのに……」

 

「鉄は黙ってろ!!全く……それでっ!?」

 

瞬間、膨れ上がった殺気に、俺は手にしていた『ダーティー・ニーズ』を引き抜き当てずっぽうに剣を振るう。

ギャリという、金属と金属がぶつかり合う音が響き……俺は、自分に向けられて打ち出されたソレを切り払って見せる。周囲を見渡せば、師匠と護衛の《神殺し》さんが武器を抜いて構えていた。

師匠達の側には、俺と同じ様に切り払われたと思われるへし折られた武器の残骸を見る。

 

 

 

「フハハハハ!まさか、この我(オレ)のフェイカー(偽者)が現れるとはなぁ……。目障りだ消えろ、雑種!!」

 

 

 

声がした方を見上げれば、上半身裸で下半身だけに金ぴかの鎧を着けた俺ソックリの厨ニが、腕を組み仁王立ちで現れた。うわぁ……ヤバイ。痛いのが出てきた!!

過去、似たような事をしていた俺のハートをグリグリと抉りに来る。マジ、勘弁して欲しい。

俺のライフは、もう0よっ……。

 

 

 

 

 




作者が持つ、このお話の主人公以外の主人公達の話w
人生を勇者(異世界)召喚で滅茶苦茶にされた人の話とセイビアの話ねw召喚の方については、元の世界に未練が無くなるように神様達が配慮した訳だけど……逆効果にw
たぶん、一番一般的な勉強を繰返した人かな?特に、中間考査と期末テスト期間・テスト中に召喚ラッシュされて覚えていられなかったという悪夢。その癖、異世界では裏切られて殺されかけて刺客を差し向けられて世界の敵にw
まあ、これはハニートラップを避けて英雄になっちゃった彼が悪いんだけど……召喚主に思い通りにはならない勇者はいらないと思わせる結果となった訳だ。本当なら、主人公を快楽と権力で巻いて人形にしたかったのだろうけど……そうならなかったので、殺して別の勇者を立てる予定だった。
当人は、元の世界に帰ると宣言までしてたのに……同じ事の繰返し。人間不信になって、神様を憎んでブチギれて……最終的には、召喚される瞬間に透明化魔法で姿を消して召喚を失敗させたと思わせて、こそこそと魔王を仕留めるとか色々ヤりきったって話だったwこれが、人間の敵であるならば自然の驚異を装って滅ぼしたり(メテオ)……等々w

厨二病ギルガメッシュとの開墾を書きたかったので野宿(?)での一幕をφ(..)。

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m(_ _)m

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いつも読んでくれる方々に感謝を……。
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