絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一四四話

神崎

 

 

「くっ……ガンダムを願っていれば良かったああぁ……」

 

俺の隣で、そう宣うのは厨二病のギルガメッシュである。

俺達……《神殺し》組は、スイルベーンを出て世界樹……そして、アインクラッドを目指す旅を再開させた。

現在は、草原を移動している訳だが……出現する高レベルモンスターを師匠が……数百に及ぶ、ブラスター(B)ビットにて蹂躙している所。それを見て、グチグチと羨んでいる厨二病が嘆いている。

 

「いや、思い通りに動くファン○ルでも……」

 

自分で、慢心王無双を選んでおいて今更何を言ってるのかな?俺だって、変えられるモノならば《魅了系特典(黒歴史)》を何とかしたい!せめて、戦闘系にしてーーー略。

師匠が操るBビットが、次々に高レベルモンスターや通常レベルモンスターを討ち取る度に隣を歩いている厨二病が嘆きの声を漏らすのである。

ハッキリ言って、鬱陶しい事この上ない。

何でコイツが、俺達と共にいるかというと……言うまでもなく、スイルベーンから追放されたからである。

自らを『王』であると宣うコイツが、異世界的暮らしを始めたSAO組達の間で浮くのは当たり前で……尚且つ、『王』である事を理由に働かないコイツがスイルベーンから追放されるという流れになるのは明白だった。

それでも、スイルベーンに固執したこの馬鹿は最終的に師匠の手によってボコられて拉致られた訳である。

だからと言って、『一度、似た様な奴を更生させた事があるから大丈夫!』等とコレと俺を同一視するような発言をするのは控えて欲しい。そりゃ、コレと俺が似ているのは否定しないが……ここまで、ギルガメッシュに成り切っちゃっている『重度』な厨二病と俺とでは全然違うからっ!!

 

「同志よ……」

 

「俺を『同志』と呼ぶなっ!!」

 

「ぐべっ!?」

 

俺は、こんな馬鹿とは違う。

拳骨で黙らせた俺は、前を行く翼達と合流する。

 

「あら、中二病さん。あちらの厨二病を放っておいて良いのかしら?」

 

翼の奴が、俺の苛立ちを煽ってくる。今なら、ダース単位で買ってやるからもっとブチギレワードを盛り込んでくれて構わないよ?ヒャッハー!汚物は、消毒だあぁ!!

堪忍袋の緒が切れたなら、今すぐここで厨二病ギルガメッシュを解体してモンスターの餌にするから。

 

「死んだら、そこまでの存在だったって事だろう?」

 

「……同族嫌悪って奴?」

 

横から馬鹿が、口を挟んだ。

しかも、ストライクワードである。

 

「よーし、鉄。ちょっと、シゴイてやるからそこを動くなよ?俺の鉄拳で、脳漿ブチ撒けてやるから(怒)」

 

「ちょ、八つ当たりゃああぁぁぁ……!!」

 

慌てて逃げる鉄を追って、瞬動術を駆使し追い詰めて行く。身体能力を魔力で強化して、振り上げた拳を鉄の頭少し左を突き抜けさせる。衝撃波で、鉄の馬鹿を吹き飛ばしながらその辺にあった岩を打ち砕いた。

 

「ちょ、そ、そんなん当たったら、死んじゃうじゃ無いですか!?ひ、人殺しぃっ!!」

 

「ああ!?ちゃんと、外しただろう!?」

 

「外したとか、そんな話じゃないッスよ!?そんな殺人拳、人に向かって放つこと事態が間違ってるッス!!」

 

「同志かと思ったが……リアルラカンであったか……」

 

また、その評価かよ!?ドイツもコイツも、ちょっと拳で岩を粉砕したくらいでリアルラカン、リアルラカン煩いんだよ。とりあえず、厨二病に殺気を叩き付けて黙らせた。

 

「ディバイン……バスター!!!!」

 

ピンクの極太レーザーが、草原とその先にある森を凪ぎ払いながら突き進んで行く。師匠の原動から、森を迂回して行くのが面倒になった事による強行だったとわかる。

全く、無茶しやがって。無茶ばっか、ヤらかすみたいであれば……【魔王降臨!!】とか言ってーーーダメだ。悪化する未来しか予測できない(泣)。

その内、世界樹を囲むように存在する限界コード設定山脈も、師匠の事だからDBで穿ち抜き大穴を開けて『トンネル開通!!』とか言い出しそうだ。

 

「……………………」

 

アカン!師匠なら、ヤりかねない!!

 

「いやいや、師匠の場合スターライトブレイカーで山脈消し飛ばして『これで、通れるな!』とか言い出すって!」

 

そう呟いて、俺は俺の台詞によって大ダメージを負う。

思ってた以上に、そのダメージは絶大だった。

ちょっと、直ぐには立ち直れそうに無いくらい。

 

「貴方……何やってるのよ?」

 

「師匠を止めたいのに、止めれない件……」

 

「泣く程の事!?」

 

だって、あの理不尽と来たらSAOモドキ世界でハッチャケ過ぎてるんだぜ?これで、『ヒャッハー!汚物は消毒だあ!!』とか言われたら二度と立ち直れない気がする。

 

「あ、『汚物は消毒だ!』を教えてやらないびょっ!?」

 

鉄が、余計な事を言い出したので速攻沈めてやった。

ちょっと拳に、赤いペンキが付いているが気にしない。

悪いのは鉄であって、俺じゃないんだから仕方がない。

 

「……お前も!師匠に、ネタを吹き込んだら只じゃあ済まさないからなっ!?わかったなぁ!?」

 

「あ、は、はい……」

 

アイアンクローの要領で、厨二病の顔を掴んだ俺は殺気と殺意をブチ当てつつ言い聞かせておく。

厨二病は、半分涙目になるくらい怯えて素で返して来た。

やはり、慢心王は演技で再現しているらしい。

別に、神の呪いや悪戯的なモノとかでは無い様だった。

まあ、予想通りと言えば予想通りだが……本当に、痛い駄目転生者だったか。そもそも、このSAOの擬似世界がファンブレイカーレベルのクソゲー世界であるというのに、更に裏特典で転生者を追い詰める必要性が感じられない。

《堕ち神》は、転生者が己の望みを叶え切れずに内なる《欲望の歪み》を肥大化させ呑まれてしまった結果だ。

即ち、このSAO擬似世界にインスタント・ソウルを転生させたところで、その結果を得る道筋は出来上がっていると言って良い。これだけ、システム不備のある世界で転生者の欲望が満たされる事は無いと断言出来る。

何故なら、『俺TUEEEE!』とか『俺最強!』といった個人無双が封じられた世界だ。簡単に、転生者の《歪んだ欲望》が満足を得られるとは思えない。

システム全般が揃っていて、漸く『俺最強』が満足に出切たなら、今度は裏特典を駆使して相手を追い込んで行く。

 

「師匠。俺達が、転生者の願いである『無双』をしてたら《堕ち神》が大量発生するんじゃないですか!?」

 

フと、気が付いた。Bビットで、蹂躙無双している師匠を転生者が見たら『俺TUEEE!!』を出来ない彼等の《歪み》を肥大化させる可能性があるのではないかとだ。

 

「ああ?…………無いんじゃねぇ?」

 

「…………何で、そう言い切れるんですか!?」

 

「隣を見ろよ。《堕ち神》化しているか?」

 

「……………………」

 

厨二病ギルガメッシュが、キョトンとした顔で俺達を見ている。あるぇ!?何であんなに、純粋ッポイ瞳でこっちを見てるかな!?まあ、歪みはあるみたいだけど……それでも、純粋な歪み?って感じの目をしている。

 

「この世界に落とされた転生者は、《堕ち神》の不適合者なんだと思うよ。初見は、材料に成り易そうなんだけど……転生させてみたら、不適合だったっていう奴等なんだろう」

 

「不適合者ですか?」

 

「ああ。要するに、心が折れにくいポジティブな奴なんだよ。だけど、必要とされるのは……心の折れ易い、欲望まみれの社会的不適合者だ。幾ら貶めても、ケロッとしてる奴はノーサンキュウなんだろうさ……」

 

「じゃあ、ここにいる転生者はポジティブキングばかりという訳ですか!?」

 

「…………もしくは、オリ主候補達の可能性がある……」

 

師匠はそう言った上で、『踏み台もいるだろうけどね』と付け足す。いや、まあ……わかってますけどね……。

オリジナル主人公の資質を持つ者は、オリ主にしない為に敢えてこういう失敗世界に落としているのだろうと師匠は言った。だから、裏特典が無いと考えるのは早計なんだって……もっとも、事細かに観察する必要があるらしいけど。って言うか……ぶっちゃけ、《真実の瞳》を使えば話は早いだろう?

 

「…………じゃあ、コイツ……社会的不適合者なのかしら?」

 

話を聞いていた翼が、バッサリ厨二病ギルガメッシュを斬り捨てる。瞬間、厨二病が膝から落ちて行った。

 

「何、言っているんだよ翼……」

 

「っ!ど、同志っ!」

 

フォローをする様に、すかさず翼を嗜めるように声を掛ける。すると、どういう事でしょう。厨二病ギルガメッシュが、嬉しそうにすがる様な視線を向けてくる。だから……。

 

「そもそも厨二病が、社会に適合する訳ないだろう?」

 

フォローしてやろうかと思ったけど、『同志』と気色の悪い事を呟くので俺もバッサリ斬り捨てた。

ドサッ!という音がして、振り返ると涙目の厨二病がうつ伏せに倒れている。そんなところで、寝転がられると邪魔になるので止めて欲しいのだが……彼の精神状態をかんばみる限り放っておいて上げたかった。

しかし、師匠が例のアレを口にくわえる姿が見えるので速やかに厨二病を引っ掴んで師匠との間合いを詰めて行く。

 

「あ、鉄君が……」

 

すずかの呟きに、周囲を見回すと馬鹿が師匠とは反対方向に視線を向けていた。思わず、「このっ、間抜け!!」と英霊エミヤみたいな事を言ってしまったが厨二病は何も聞こえなかったらしく、一人師匠の元へと滑空して行く。

もちろん、投げた犯人は俺だけど(笑)……邪魔だったんだ!

これから、モンスターがわんさかと溢れるとわかっているのに厨二病(足手まとい)を抱えて鉄を助けられる訳がない。何故なら、師匠が口にくわえたのはモンスターを引き寄せる犬笛みたいなアイテムだから。

因みに、元の所有者は厨二病。慢心王無双を人々に見せたいが為に特典でGETしたらしい。

どこまでも、目立ちたがり屋である。

だが、このアイテム……本人が、思っていた以上の性能だった為にゲート・オブ・バビロンの肥やしになっていた。

吹けば、周囲数キロ圏内にいる全てのモンスターが寄ってくるのだ。当然、中には高レベルモンスターもいて……厨二病では、手も足も出せない代物と化していた。

ドドドドドッ!!と、様々なモンスターが土煙を上げながら突進してくる。それにより、漸く異変に気が付いた馬鹿が慌ててこちらへと走り始めたが間に合いそうにない。

因みに、モンスターに追い付かれる心配をしている訳じゃない。師匠のBビットが行う、蹂躙オールレンジ攻撃に巻き込まれる心配をしているのだ。

これが、シューター(S)ビットであるなら問題はない。

しかし、Bビットが撃ち出すのはディバインバスターであり、例の魔王が穿つ極太のピンクレーザーである。巻き込まれれば、秘密基地内に収容され放置される事になるだろう。一日二日であるなら、それでも良いが……収容された馬鹿は忘れられて次の町ないし村でしか外に出られなくなるのだった。ソレは流石に面白く無いので、俺達は巻き込まれ無い様に逃げ惑うのである。

そして始まる、極太のピンクレーザーの嵐。

だけど、極太のピンクレーザーが狙ったのは遠くで土煙を上げながら突進してくる一団だった。見晴らしが良いからか、師匠は土煙を狙ってBビットを放って行く。

ソレを見て、鉄があからさまにホッと安堵の顔をしたのを目にした。今回は、草原だったから近場が攻撃される事は無かったけれども……これが、森とかだったら目も当てられない。閉鎖空間でも、アウトだろう。

 

「た、助かった……」

 

「ボーッとしてるからだ!」

 

このオールレンジ攻撃には、すずかでも巻き込まれる事がある。まあ、師匠からしてみれば気絶したすずかを秘密基地という超安全空間に閉じ込められれるので嬉しい限りだろうけど。因みに……俺達の場合は、秘密基地内に閉じ込められ上に部屋の端末にクレームメールが延々と送られてくるという苦行が待ってるけどな!

 

「草原エリアで助かった!」

 

「お前は良いじゃん。一人部屋なんだから……俺なんか、厨二病と相部屋なんだぞ!?似てるっていう理由だけで!」

 

「……心中お察しします……」

 

微妙な顔の鉄に、微妙な同情を受けて俺は師匠に怨みの篭った視線を向ける。だが、師匠が察してくれる可能性は低い。ストレートに直接言葉にしないと、考慮すらしてくれないのが師匠だ。

 

「厨二病との相部屋が、どれだけ痛々しいかお前にわかるか!?アイツ、一人ブツブツと設定とか呟くんだぞ!?」

 

「うわっ……それは……痛々しい……」

 

「しかも、栄光の設定とか呟き出したら……現実との差が、開き過ぎていて涙が溢れて仕方がないんだっ!!」

 

「妄想を聞かれるという絶望……本人が知ったら、自殺するかな?……するな。神崎さんの部屋で、汚物をブチ撒けて首吊りか……それの掃除、頑張って下さい!!」

 

「変なフラグ、建てようとするなっ!!」

 

「くびゃっ!?」

 

全力で鉄を潰して、俺は師匠の足元に落ちている厨二病に視線を向ける。ぶっちゃけ、消えて欲しいのだが……アルンに着くまでは、師匠が同行させるつもりらしいので殺す訳にも行かなかった。理由は、その辺に放置するとスイルベーンに戻ってしまう可能性があるから……という事らしい。

居ても居なくても、面倒にしかならないクズである。

 

「すずかさん、襲われたのに良く傍にいますよね……」

 

「翼もな……」

 

厨二病ギルガメッシュは、スイルベーンを出て二日目辺りで翼を……五日目辺りで、すずかを襲っている。何れも未遂で終わったけれど、翼の時は俺と本人にズタボロにされて……すずかの時は、師匠に本気の殺気を浴びせられていた。

まあ、俺達も師匠の本気の殺気を厨二病の近くで巻き添えに浴びせられていた訳だけど。

その時の感想としては……背筋にドライアイスを突っ込まれた様な状態で、呼吸すら満足に出来ないという貴重な体験をさせられてしまった。あれは、俺達の本能が起こした現象らしい。生物の本能を、危機的状況で縛ると最初全然動けなくなってしまう。それを師匠が、殺気や闘気を持って再現しているらしいのだが……全く、無茶苦茶である。

それによって、奴は学習した。

翼は、翼自身が強過ぎて襲っても返り討ちに合うだけ。

すずかは、守護者が理不尽の塊過ぎて手が出せないという事を。ぶっちゃけ、SAOからの介入者(原作組)のみを性的対象にする!と、そんな黒歴史設定を呟いていたのを睡眠時間の時に耳にする。

それを、師匠達に報告した時の反応がこちら。

 

『クズね』←(翼)

 

『クズだな!』←(師匠)

 

『正真正銘のクズだ』←(鉄)

 

『間違いなく、クズだ!』←(俺)

 

『ちょ、みんな……そんな事言っちゃダメだよ。そりゃ、どれだけ痛々しい厨二病のダメダメ人間だったとしても……』

 

一番酷いのは、すずかだったという事実。

その後、すずかは俺と厨二病を比べて『少し、神崎君と似てるよね』発言をする。すずかのその言葉は、サクッと俺の繊細なハートを斬り捨てた。そして、精神的に大ダメージを受けた俺をすずかがなけなしのフォローをするのだが……それが、『あ、ち、違うよ?今の神崎君じゃなくて、私の知る双夜に会う前の神崎君の事だから!』というフォローにならないフォローを頂戴した。

 

『あー……それって、別の結末を辿ってるだけで神崎さん本人ですよねー……』

 

話を聞いて、内容を理解した鉄の一言がコレ。

最初は、すずかが何を言っているのかわからなかったみたいだが……師匠の説明を受けて、鉄は初期の俺がどんな人間だったかを理解してバッサリ斬り捨てに来た。

コイツ……立場の弱い奴には、強気だな。

とりあえず、顔を掴んで全力で握り潰(比喩)しておいた。

 

「師匠。そろそろ、夜営の準備をしませんか?日も落ちてきましたし……」

 

周囲を見回して、土煙が消えたのを確認した俺は師匠にそろそろ夜営の準備をするように訴える。呼び寄せられたモンスター達が、その姿を拝む事無く師匠に蹂躙された訳だけど。夜営をするには、調度良い蹂躙となった。

何故なら、モンスター達が再度この周辺にリポップするまではほぼ完全に安全圏と化しているからである。草原圏内に敵影は無い上、周辺数キロ圏内のモンスターは呼び寄せて殲滅。モンスターは、魔素等によっても発生したりするが……基本的には、交配による繁殖である。

師匠が蹂躙したこの辺りに、モンスターが再度配置されるまではかなりの時間が掛かると考えられる訳で……。

今なら、安全に夜営を行う事が出来るのだ。

 

「そうだな。調度良いし、ちょっと早いけど夜営にするか……おい、厨二病!コテージを出せ……」

 

師匠に言われ、厨二病は渋々ゲート・オブ・バビロンから組み立てられたコテージを取り出した。まさかまさかの、右斜め遥か上のゲート・オブ・バビロン活用法がこちら。

因みに、師匠が壊した厨二病ギルガメッシュの特典はゲート・オブ・バビロンとは別物。だったら、あのブチ撒けはなんだったんだ!?って話になるんだけど……拒絶反応だったらしい。何の拒絶なのかはわからず終い何だけどな。

通常であれば、一々組み立てないといけないコテージをそのままゲート・オブ・バビロンに回収して必要な時に出させるという方法。中々、思い付きそうにない大胆な運用法に俺も厨二病も目から鱗が溢れる事になった。

 

「いつ見ても、とんでもない光景ですねぇ……」

 

「ゲート・オブ・バビロンにこんな使い方があるとは……」

 

「本当……もっと早く、神崎を活用するべきだったわ……」

 

「俺は、前衛であって荷物持ちじゃねえよ……」

 

「何はともあれ、明日にはルグルー回廊にたどり着くッスよ!?さてはて、どうなる事やら……」

 

そう言いつつ、鉄はニヤニヤと師匠を見て笑っていた。

きっと、潜らずに師匠がSLB辺りで消し飛ばしてくれる事を願っているのだろう。だが、そうは問屋が卸さない。

キッチリ、ルグルー回廊を抜けさせて貰うからな?

その為の策は、シッカリ用意させて貰った。それを、今晩の夜営時に切る予定なのでサクサクと準備を進める。

さあ、楽しい楽しい夜営の始まりだ。

 

 

……………………。

 

 

食事をして、それから眠るまでの時間は最近定番と化しつつある特殊な《神殺し》達の面白(?)話を聞くという談笑である。今回は、妖精に恋をしたぺドフェリアさんの話だった。もう、ぶっちゃけ……それ、弄りネタだよね!?

 

「交配とか、出来ないだろう!?」

 

下ネタに走ったのは、言うまでもなく厨二病ギルガメッシュである。まあ、全長30センチ程の存在にナニが出来るとも思えないんだけど……疑問である事は否定しない。

 

「濃いぃなぁ……《神殺し》、こゆいなぁ……」

 

「交配?出来るよ?」

 

「「出来るのっ!?」」

 

しかし、師匠の『出来るよ?』の一言に俺や厨二病だけでなく、翼やすずかまでも超反応。

あー……やはり、気になっていたか。

 

「どうやって!?まさか、そのままって訳じゃないよな!?サイズ的に、不可能だろう!?」

 

厨二病、素!素が出てる。驚き過ぎているのはわかったから、落ち着いて何時もの『王様語』で語ってね?周りの調子が狂うから。

 

「妖精、交配する時……5、6歳の女の子に変身するよ?」

 

「マジで!?完全なペドじゃん!?」

 

「だから、素!素に戻ってるよ、王様……」

 

「ハッ!?……クックックッ。女児に興奮するとは、《神殺し》等とうたわれていようとも下賎な輩なのだな……」

 

「この程度で、本性を現すとは……底が知れたな?慢心王よ……まあ、蜥蜴(ドラゴン)に恋して、蜥蜴と交配した強者もいるからペド程度で本性を現されても困るけどなぁ……」

 

「ちょっw!?それ、もっと詳しく!!」

 

だから!キャラクターが、崩れてるって……ハァ。

セフィロトには、色んな趣向の持ち主が集っているんだなぁ……と纏めてみたら、返しの刃で更に深みに嵌まった。

つーか、ストライクゾーンが広過ぎるだろ!?

人外と言えども、もう少し節度を弁えて欲しい。

 

「《神殺し》達の恋愛事情が、超級者過ぎて付いて行けない件。この様子だと、複乳のモンスターとも恋愛していそうだ……」

 

鉄のネタ的発言に、流石にそれはないだろうと厨二病が苦笑いしながら嗜める。しかし、俺は見てしまった。師匠が複乳ネタを持ち出された瞬間、視線を反らし聞かなかった事にした事を。更に声には出さなかったが、師匠の唇が『複乳エイリアン』と動くのを見てしまった。

ちょっと待て!『複乳エイリアン』!?ま、まさか、そんなのと恋愛している《神殺し(強者)》がいるんっすか!?

流石にソレは、ツッコム事が出来なかった。師匠が何も言わないので、俺も聞かなかった見なかった事にする。

鉄じゃねぇけど……『《神殺し》の恋愛事情が、超級者過ぎて付いて行けない件』は、普通に付いて行けるモノではなかった。まさかとは思うけど、もしかして師匠も?

 

「あ?何だ、その目は……」

 

ついつい、疑いの視線を向けてしまった俺と師匠の視線が交差する。即行で、師匠に勘付かれてしまった。

直ぐ様、サッと視線を反らすが……。

 

「もしかして、僕までも同類だと思ってんのか!?」

 

ヤヴァイ。師匠の声が、怒気を孕んでいらっしゃる!?

 

「いやいや、まさか……そんな事は……」

 

「むー……まあ、ゲテ者ばかりの話をしているからそう思ったのかもしれないが……僕は、普通に人間が好きだぞ?」

 

「……………………」

 

えっと……それは、人と恋愛をしていると取って良いのだろうか?師匠の事だから、人に見えるだけで人外と恋愛している可能性がある。しかし、普通の人と恋愛しているとも取れた。どうも、疑心暗鬼に陥っているらしい。

 

「えっと……どんな娘ですか?」

 

「コイツ……疑心暗鬼に陥っていやがる……たくっ!」

 

そう言って、師匠はコンソールを呼び出して操作し、俺の目の前にウィンドを開いてとある写真を見せてくれた。

そこには、銀髪の美少女が写っている。

見た目は、小学生くらいだろうか?赤みがかったパールの瞳。顔は小柄で、キリリッとした感じのお嬢様風の美少女である。将来的に見れば、間違いなく美女と呼ばれる女性に成長すると思われた。

 

「……………………」

 

「えっと、この娘……名前は?」

 

「静・クリスティーナ=ダイモンド=アスフォードだけど?お城に住んでる『魔女』って呼ばれてた……」

 

はい。普通にお嬢様でした!しかも、師匠の世界には一般的にお城が建っているらしい。いや、お嬢様って事は一般的って訳じゃないのかもしれないけれど、日本の外観にお城が介入している光景を思い浮かべれば良いのか?

西洋風だったら、外観ブチ壊しだな。

 

「後、御先祖様の自宅は……浮島にあったよ?」

 

「ファンタジー世界かよ!?美少女がお城に住んでて、御先祖様がいて空に島が浮いてる日本ってどんなだ!?」

 

「え?日本!?ファンタジー世界から来たんじゃ……!?」

 

ほら、厨二病も混乱してるじゃん。現代日本ではないにしろ、日本という国の中に魔法国家があるとか……俺等の常識には存在しないから!!

 

「5、6歳の女の子と手を繋いで、ニヤニヤしながらデートとかするんだぜ?ガチヤバイ光景だよな!うっかり、通報しちゃった♪」

 

「って、おい!?いきなり、話を変えられたら話の筋がわからなくなるだろう!?」

 

「えー……。僕の世界の話は、どうでも良いじゃん。説明とか、面倒臭いんだよ!!」

 

師匠は、自分の世界の話す気がないらしく……仕方がないので、俺が代わりに師匠の世界の概要を説明して聞かせる。

しかし、途中で翼達から睡魔を訴えられたので仕方なく引き下がるはめとなった。

夜営用のテントへと向かう中、師匠に視線を向けて考える。もしかすると、師匠はそれがわかっていたから話をしなかったのかもしれない。話しても、皆が睡魔を訴えて説明しても忘れる可能性を考えた……とも考えられた。

何にせよ、今日の面白話は終了になる。

だから、最後に俺は師匠にとある情報を投げ掛けた。

 

「師匠」

 

「なんだ?」

 

「アニメ知識で……ですが。ルグルー回廊にある鉱山都市ルグルーにある湖には、転生者がこぞって挑む高レベルの水竜型のモンスターが住んでいるらしいですよ?」

 

アニメ知識と前置きをした上で、転生者が好んで挑む高レベルの水竜型モンスターの存在を伝えてみる。俺達の目的は、転生者が喰われ高レベルが超レベルとなったモンスターの討伐だ。ほぼ間違いなく、師匠はこの話に乗って来る。そして、ルグルー回廊がある山脈をSLBで消し飛ばしたりはしないはずだ。

 

「……………………そうか。全く、面倒な……」

 

オッシャッ!ルグルー回廊消滅回避!!

そして、ルグルー回廊に潜る事が決まった瞬間でもあった。これで、ほぼ間違いなくルグルー回廊に潜る事になる。

水竜型モンスターが、どんなモンスターなのかは作中では語られなかったが……どんなモンスターなのか、ちょっと楽しみな俺だった。他にも、アニメや小説では語られなかったモノも、この世界では現実として存在する訳で……ちょっと、それ等を確認するのが楽しみな部分がある事は否定しない。師匠には悪いけど、シッカリと見て楽しんでから【リリなの】の世界に戻ろうと思う。

折角、かなり違うとはいえ『ほぼ』SAO世界に来たんだ。

それなりに楽しむのは、ヲタクにとって当たり前の話である。さあ!未知を堪能しに行こう!!

 

 

 

 

 




厨二病同行。神崎が、厨二病と一緒に弄られるという事態にw 神崎の黒歴史が……w 別の道を進んだのに同一視w
哀れな神崎くんでした(笑)
ファンネル……ギルガメッシュが、心揺り動かされてるけど気にしないで☆w アレは、隣の芝生と同じ扱いで(笑)
《神殺し》の強者達に関しては、ノーコメントで☆!
ちょっとした、気の迷いだったんだ……。複乳のエイリアンは、悪魔族だよ☆!エイリアンでは無い!!まあ、双夜から見たらエイリアンに見えたってだけだから!!

聖セイビアの話(自作漫画)を読み漁ってw
チート能力(邪眼石)を得て、その能力ではなく現代科学無双をするセイビアが不思議な存在と化していた件。ギャグだしなぁ……とか、微妙に納得出来ない物語が笑いを誘う!!
両手に数十キロクラスのガトリングを装備して、ドラゴンを撃ちまくるセイビア。フーハーハハハ!!とか笑いながら、手榴弾とかロケットランチャーで無双。いつ、邪眼を使うのかと言えば……戦闘後の日常で、ろくでもない事に使用。
あれは、何度読み返しても不思議な漫画でしかない。

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m(_ _)m

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