絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~ 作:葉月華杏
神崎
結論だけ言おう。
三ヶ月程で、馬鹿は餓死した。
そして、デスペナという経過を得て世界樹の麓にある中立都市『アルン』の広場で復活。復活したけど、真っ白に燃え尽きていた(笑)らしい。
空腹度合いは、復活するとある程度回復するモヨウ。
故に、復活後即死亡という事にはならないらしい。
俺が、期待していた無限餓死デスペナループ現象は発生しなかった……残念無念。ちゃんと、考えられていた訳だ。
因みに、『アルン』にたどり着くまで数週間の時間が掛かった。だが、別にアルンにたどり着くまでにそれだけの時間が掛かった訳ではなく、厨二病の餓死時間を稼ぐ為に寄り道しまくってただけの話。
『アルン』に着いた後も、モンスターがポップしない所で放置し続けた甲斐があったというもの。監視役は、もちろんフレールくん達。流石に俺達は、そんな事に時間を割いていられなかったので全力でお願いした。
本当に忙しかったんだ……本当だぞ?
それで、何をしていたかというと……レジスタンス?って奴をやってた訳だ。馬鹿をフレールくんにお願いして、俺達はずっとアルン内を駆けずり回っていた。
アルンでは、転生者達がSAO(原作)組を奴隷として売り買いし……男は労働奴隷。女は性奴隷として、酷い扱いを強いていた。それに怒った師匠が、様々な方法を用いてSAO組の正確な居場所を探したり、レジスタンスを組織して中心人物に添えそうな人を探したりしていたって訳。
それで見付かったのが、難を逃れ地下に潜っていたクラインとリズベットである。まあ、クラインを中心に添えるのは無理だとしてもリズベットならイケるはず。
ザックリ神様転生と意識転移の説明をして、リズベットにはレジスタンスの中心人物に……クラインには、その補佐をお願いした。
「それで、今どのくらい確認できてるの?」
「二時間もあれば、全員の居場所はさぐれるって……」
「「マジ!?」」
今は、現状と捜索状況を確認していた訳だけど……既に、ほぼ全員の居場所を割り出していた師匠の手腕にその場にいた者達(俺達を除く)が驚愕の表情を浮かべた。
「なら、エギルに連絡しないとな……」
「ねえ!シリカって娘、見付かった!?」
「エギルとシリカもいるのか……」
「エギルは、労働奴隷の方にいるんだ。他の奴等の面倒を見て貰ってる……」
「シリカは……ここに着いた後で、ハグレちゃったのよ……無事だと良いんだけど……」
四人が、ここ『アルン』に辿り着いたのは……実は、俺達よりもちょっとだけ前だったらしい。それまでは、中立の町や村で隠れながら住んでいたという。何故なら、転生者によって原作人物狩りが行われたと厨二病が言っていた。
「何で、私達な訳?それに、原作って……」
「別の世界では、君達の世界をアニメや漫画・小説等で広く放映していた世界があったって事だよ。それによって、君達が知らなくても相手が君達を知っているという現象が起きた訳だ。当然、そんな存在を自分のモノに出来るのなら手に入れようと暴挙に出てもおかしくはない」
「で、ヒロイン……この場合は、女性キャラか……は、そのアニメや漫画・小説を見ていた奴等の劣情対象となる訳だ。ここら辺は、男のクラインの方が詳しいだろう?」
「「……………………」」
そう、師匠と俺が説明するとクラインとリズベットは呆然とした表情で意識を何処かに飛ばしていた。まあ、わからないでも無いんだけど……今は、呆けないで聞いて欲しい。
「じゃ、じゃあ……シリカは……」
「最悪、捕まって暴行を受けてる可能性も……ん?」
視線をずらし、危機感を煽るつもりだったんだけど……師匠が、見慣れない水色のナニカに顔を押し付けている所が視界にはいる。ジィーっと見ていると、頭を上下させたり顔を左右に振ったりしている様子からナニカをモフッているのがわかった。その上、たまに『フワフワ』とか『スベスベ』とか言っているので間違いなくモフモフしている。
まあ、前にもフレールくんを召喚してSAN値が低い時に癒しに走る事があるから気にもならないが……うん。
アレは、フレールくんの亜種なのだろうと納得する。
しかし、その水色のナニカが声を上げたことで事態は急変した。
『ピュイ~~~っ……』
「「「ピナ!?」」」
「って、何処から連れて来やがった!?」
「フレールくんに送って貰った!!」(・`ω・)キリ
何、ドヤ顔してるんッスか!?
そして、次の瞬間には師匠の右足下に魔法陣が展開。
そこから、猫耳の生えたツインテールの少女?が出現する。転送魔法なんだという事はわかったが、師匠が何故彼女をここに転送して来たのかがわからない。
「し、シリカ……?」
「え!?あ……リ、ズさん……?」
二人は、最初呆然としていたが段々涙目になって行って、感極まった所で駆け寄り抱き合い再会を喜び始めた。
クラインが、それを見て貰い泣きをしていたが、いつも通り気を取り直して師匠に問う。
「なんだよ、今のは!?あんなの、見た事ねぇぞ!?」
「フレールくんが、水色のモフモフ見付けた。だから、お願いしてこっちに転送して貰った。ついでに、隠れていた飼い主?も転送して貰った……以上」
つまるところ、水色のモフモフが気になったという事らしい。取り寄せてでも、モフろうとする師匠の欲望めいたその気持ちを俺は否定出来ない。何故なら、俺のモフりたい生き物ベスト10に『ピナ』が入っているからだ。
「…………何はともあれ、これでアルンにいる原作組が全員揃ったって事で良いんだな?」
「えっと……原作組、ですか?」
「あー……詳しい事は、リズベットにでも聞いてくれ。後、俺は神崎大悟。《神殺し》の一人だ……」
「僕が《神殺しの異端児》。如月双夜だ、よろモフ!!」
自己紹介の途中に、ピナにモフりに行った師匠が逞しく思える。その後も、こちら側の自己紹介は進みあちらの自己紹介が終わった所で、転生者と意識転移者の説明と今後の打ち合わせを開始した。否定合戦があったけど……省略。
「それで、私達はその……私達を召喚した転生者ってのを探し出せば、元の世界に帰れるのね?」
「ああ。帰る方法としては、神様特典を破壊出来る師匠にお願いする事になるけど……概ね、そんな感じ?」
「でもよぉ、その前に俺達の立場を確立しなきゃならないんだろぉ?」
「その特典持ちの転生者が、見付かるまでの間この世界での生活を強いられる訳だしな。そこら辺は、仕方がない」
師匠は、モフりながらクラインの質問に答えている。
そんなに、ピナは気持ち良いのだろうか?少し、俺もモフりたくなってきた。ピナの飼い主は、モフモフしている師匠を見て苦笑いしている。ピナも、嫌がっている様子は無いので、後で俺もお願いしてみようかな?
「でも、現状……生活するっていう状況じゃないのよね」
「ですねー。私達、原作組ですか?……が、転生者の方々に奴隷的扱いを受けていますから……」
「全く、ふざけんじゃないわよっ!!なんで、私達が転生者って輩の奴隷なんて事になるのよ!?」
「状況を理解しておらず。また、神様によって与えられた特典扱いだから……物品と同じ扱いになるんだろう?生きていて、自我を持つ一人の人間と頭で理解していても……結局は、【架空(アニメ)の存在】という前提があるが故に人間として扱う必要性を考えない……って事だろう?」
「酷ぇなぁ……俺達は、ちゃんと生きてるってのに……」
「極論。死んでも生き返るっていう状況が、彼等の特別意識を増長させている原因でもあるけど……一番は、神に選ばれたっていう選民意識なんだろうね……」
まあ、原作組も復活するらしいんだけどね。
つーか、逃げ場のない無限地獄とか最悪だな。
「何とか、出来ないモノですかね?」
「出来るよ?不死者の心の折り方だろう?要は、粋がっている馬鹿の『俺は特別!』っていう心をへし折ればOKな訳だから。別の方向から、馬鹿にお仕置きをした上で心をへし折れば良いんだよ……」
『あるんだ……そんな方法……』
「まあ、敵味方無差別に効果があるから転生者以外はアルンから退避する必要があるけどね……」
また、ろくでもない事を考えてるな……と、俺は師匠を見ながら考えていた。しかし、不死者の心の折り方ってどういう方法だ?ってか、それを誰が思い付いた……もしくは、実践したかというので対応も変わってくる。
「それ、誰の作戦発案ですか?」
「セイビアだけど?」
はい、駄目な方の発案でした!!ヤバイ!それ、ムッチャヤバイ方の殺り方だ。きっと、情けも容赦もないへし折り方だ。何たって、あのトラブルメーカーが発案の対処法だろう!?間違いなく、死者が出ないのに死者が出るっていう矛盾をはらんだ方法だ。
「えっと、それは俺達も退避して良いんですよね?」
「え?参加するつもりだったの?」
「いやいや!しなくて良いなら、したくありません!」
何をするのかは、わからないがろくでもない事であることは十分にわかる。だけど、この師匠の発言で参加云々は自由だと理解出来た。
「でも、どうやって私達を逃がすつもりなんですか?」
「百万と数千万の使い魔を使って、アルンを囲み……転移と護衛でごり押しする予定だけど?」
「師匠、それじゃあ伝わらないです……えっと、師匠には百万の人形使い魔と数千万の獣形使い魔がいるんです。それで、アルンを囲んで……地上は、《ビースト》。空は、テオルグさん達……逃げた原作組を追う転生者を、千切っては投げ千切っては投げするんでしょうけど……その後は?」
「アルンの復活エリアに、強力な結界を展開するつもりだよ?そこに、死に戻りした転生者達を閉じ込める」
「……でも、それだけじゃ無いんですよね?」
「もちろん、仕掛けはしてある。密閉された空間で、特殊なアイテムを使って潰すんだ♪」
「そのアイテムって、何ですか?」
「ーーーだよ?」
『『は?』』
師匠の言うアイテム名を聞いて、俺達は揃って疑問の声を上げた。つーか、そんなモン持ってたんッスか?
…………………………………………
………………………………
………………。
更に三ヶ月後。
着々と準備を進めて行き、作戦が実行可能になった頃……俺達は、また下水にあるとある一角に集まっていた。
周囲には、強力な人払いの結界が張ってあって、『お守り』を持たない者は近付けない様になっている。普通なら、その『お守り』を原作組から奪えばここに辿り着けるって話になるんだけど……師匠の魔工技術は、転生者と転移者を判別出来るシステムになっていて転移者に奪われてもここには辿り着けないらしい。『お守り』、マジ、スゲー!
そして、アルンにいる全ての転移者にはフレールくんが憑いていて……その所在を完全に把握していた。当然、転生者の行動や所在も把握しているっていう徹底ぶりだ。
「相手に気取られた気配すら無いとは……」
「馬鹿共の会話すら、拾っているからな。情報のコントロールは任せて☆!」
「敵に回したくないチビッ子だな……」
クラインが、遠い目をしながら呟く。
「それで?何時、実行する?」
「今すぐでも、イケるよ?」
エギルの疑問に、師匠は軽く答えてくれるが……そう、簡単には行かないのが現状だ。先ずは、決行日を決めて原作組(モブ)達に伝えなければならない。師匠だったら、それを無視して実行する可能性もあるけど……一応、彼女達の都合に合わせてくれていた。
「ぶっちゃけ、告知しないでやった方が成功率は高いよ?まあ、近日中にって伝えたら良いんじゃない?」
「成る程。あえて、決行日をボカす事で相手に気が付かれない様に……気が付かれても、出方を封じるのか……」
「うん。この日って決めちゃうと、他の人達の態度に出ちゃう可能性があるからね。だから、あえて決行日を決めずに近日中って伝えといた方が良いんだよ。どうせ、強制転移でアルン入り口に飛ばすんだから教えていてもいなくても問題にはならないだろう?」
「確かに……飛ばされたら、外に向かって逃げれば良いだけなら、明確にしなくても良いって訳か……」
「それで?あの変態(厨二病)は、強制参加なの?」
「参加させたいの?」
「当たり前でしょう!?アイツは、リーファをオモチャにしたクズよ?それなのに、なんで参加させないって話になるのよ!?」
「そうですよ!あんな奴、ボコボコにしちゃえば良いんです!!」
リズベットとシリカが、厨二病ギルガメッシュがリーファにした事を聞いて激怒していた。それで、他の転生者と同様にこのイベントに参加させるべきだと訴えて来る。
厨二病は、既に師匠がプチッと潰してくれているんだけど……彼女達には、あまり意味はないらしい。
当人に、視線を向けると……蒼白な顔をして、部屋の隅でガタガタと震えている。内容知ってんの?
「作戦内容を聞いてから、ずっとあんな感じなんだが……師匠、なに言ったんですか?」
「ーーーがもたらす、経過と結果を教えた……」
「……………………」
ここに、鬼で悪魔なチビッ子が降臨してやがった。
邪悪な笑顔で、ニヤニヤと語る師匠がとても生き生きしていてドン引きである。厨二病が、こんなにも怯える経過と結果とは一体……とても気にはなるが、聞いたら一生後悔するような気がして聞く事は出来なかった。
アレの効果って、名前以上の効果があるのだろうか?
今一、想像出来ないソレが兵器に等しい程の効果をもたらすとは思えない。疑問は、果てしなく。余っていれば、欲しいなぁと思う程度だった。
「何、神崎……欲しいの?」
「あー、まあ……」
「使った事がバレたら、周囲の女性全員に嫌われるけど……本当に欲しい?」
確かに、アレはリスクがとても高い。だけど、リターンも高いので欲しいというのが正直な所だ。だが、それをいざ使うかどうかとなると微妙所だった。
「多分、『お守り』程度になると思います……」
「だよな!ハイリスク、ローリターンだもん。『使う』とか、あり得ないし……」
「んん!?『ローリターン』なんですか?」
「…………ああ。アニメや漫画みたいな、効果を期待しているなら諦めろ。アレは、そんな便利なモノじゃない……」
「マジッスか!?パッと聞いた感じ、とても魅力的なアイテムの様に聞こえますけど……?」
ある意味、ロマン溢れるアイテムだ。
「まあ……名前だけは、魅力溢れるアイテムだよな!それは、認める。しかし、効果が超ヤバイ。ってか、造ったのセイビアだぞ?それだけで、ヤバイ香りが満載だよな!!」
「ゲェ……製作者セイビアさんなんですか!?確かに、ヤバイ香りが満載ですね……」
「ねぇ、ちょっと……さっきから言ってる、セイビアってそんなにヤバイ奴な訳?」
『超危険人物』
リズベットの疑問に、師匠とハモッて答えてしまった。
更に、追加情報を告げていく。
「《神殺し》きってのトラブルメーカー」
「面白いと思う事なら即実行。後片付けはしません!」
「世界を滅ぼし、世界を創世して、人を救い、虐殺して、神を殺し、神を創ったキチ○イ……」
「兎に角、諸悪の権化と言えばセイビアさんが関わってると思え!等と称される存在?」
「それ、間違ってないよ?疑問符でなくてもOK」
師匠と俺によって、次々ともたらされる情報にSAO原作組は半分苦笑いでやり過ごしていた。本当なのに……。
まあ、客観的に聞くと作り話みたいに聞こえるのは否めないけど。
閑話休題。
「……そうだなぁ。告知して、24時間後ってのはどうだい?ほぼ、完全に電撃作戦になるけど……待たせるのも色々とキツいだろう?」
「24時間……それが、準備に掛かる時間か?」
「準備?ああ、使い魔達の……いや、アイツ等を呼び出すのに24時間も掛からないよ。一、二分程度で済む……」
「一、二分……」
軍隊もドン引きのスピードである。
準備期間が、ほぼ必要なく使い魔の展開も数分程度……どんな優秀な軍隊でも、師匠の使い魔召喚スピード展開と広範囲包囲網には届かないのだった。
「どんなチートよ!?」
「郡体チート。『軍隊』じゃないよ?『郡体』だよ?」
多分、意味が通じてないと思われる。しかし、師匠は気にした様子もなく淡々とモフモフを続けるのだった。
そして、その日の午後。何人かの使いに、『近日中』の伝言を託した俺達は何時もの如く息を潜めて地下に潜る。
転生者も知らない、SAO組ネットワークを使って『近日中』の伝言はあっという間にアルン中に広まった。
だけど、誰一人として騒いだりしていない。
この作戦が、自分達の命運を賭けたモノだという事を皆がわかっているからだ。下手な情報漏洩は、自分達の首を絞めるだけだという事をちゃんと理解しているという事なのだろう。
……………………。
そして、SAO組が『近日中』の伝言を出して24時間が経った頃……俺達はまだ、配置に就いてもいないのに強制転送されるのだった。師匠は、いつも通り問答無用だ。
「うおい!?」
エギルから、配置場所に向かう前に跳ばされた事に対する文句が出るが、今はそんな事を言っている暇はない。
俺達、《神殺し》組はアルン入り口にいる門番の転生者を排除する役割がある。転送されてくるSAO組(モブ)を避けつつ、俺達はアルン出入り口へと急ぐ。
出入り口では、異変に気が付いた門番の転生者達がワラワラと集まりつつあった。そこへ漸く辿り着いた俺達が、先陣を切って飛び込んで行く。
「うおらぁ!!」
鉄が、転生者の頭を刀で突き抜いた。
突然の攻撃に、転生者達は驚いて硬直する。
「はああぁぁっ!!」
それを、更に混乱で上書きする為に俺は練気を纏った拳で転生者の一人を木端微塵に吹き飛ばして見せる。
「っっっらあぁぁっ!!!!」
ステップを踏んで、体勢を整え再度木端微塵に吹き飛ばした転生者の隣にいた奴の頭をブチ抜く。例え、どんなにHPが高くても頭を欠損させられたら人間は動けない。
しかも、この世界では痛みが普通に『無い』ので頭をブチ抜かれた転生者は問答無用で動けなくなる。
まあ、普通に頭が無くなれば即死なんだけど。
「うっ……うわああああぁぁぁ!!?!??!?!」
転生者の一人が、正気を取り戻し悲鳴を上げて逃げ出す。
それを皮切りに、次々と悲鳴を上げながらその場にいた転生者達が逃げ出し始める。
「ひぃいいぃぃぃぃっ!?!!?」
統制を失った転生者達は、悲鳴を上げながら我先にと逃げ混乱のままに仲間内で足の引っ張り合いを始めた。
それを追撃するのは、翼とすずかである。
翼は、持ち前の腕力で転生者を狩り……すずかは、転生者を氷漬けにして行動不能にしたりしていた。
まあ、行動不能になった転生者を問答無用で叩き壊すのは俺達の仕事なんだけどね(笑)。
そうやって、門番を排除した俺達は次の役割である殿の為、SAO組(モブ)達の流れに逆らって最後尾へと向かう。
何故なら、俺達《神殺し》組は……レジスタンスの最大戦力という位置付けなので(笑)。
「オラオラ!ブチのめされたい奴はいるかぁ!?」
調子に乗っているのは、言うまでもないけど鉄である。
俺達が、門番を討ち取り殿の配置に就こうとしていた頃、原作組は奴隷となった転移者達の誘導をやっていた。
即ち、出入り口から外に逃げ出してくる人々を、安全で目立たない場所へと誘導する役割だ。
え?そんな場所が、あるのかって?無いよ?そんな場所、あったら皆逃げ込んでるって。じゃなくて、造ったんだよ。木々を切り分けて、結界を張ってポップするモンスターを千切っては投げ千切っては投げして確保した場所が。
殿位置へと辿り着いた俺達は、等間隔を開けて武器を地面に突き立てる。まだ、転生者達はここに辿り着いていなかった。どうやら、師匠の行動力が電撃過ぎて対応が遅れているらしい。もっと、危機感を持っているのだと思っていたが……チートツールで、ステータスを強化してあるからと油断しまくっていたと考えられる。
「…………来ないなぁ……」
何はともあれ、向かって来る……向かって来なくても、転生者は皆殺しにしろと命じられているので、俺達の役割は変化なしだ。殿と殲滅……それが、俺達の役割だった。
空制権は、師匠達(テオルグさん)に任せるとして俺達は余裕を持って陣形を形成していた。俺、鉄、翼が前衛。
その後ろに、すずかが弓を構えて控えている。
周囲には、矢の入った矢筒が散乱していて護衛の使い魔が一人付いていた。
タッタッタタッと、背後から軽い感じの足音が聞こえて俺達の隣に黒い獣がやって来る。その黒光りする躯体を見て、昔のトラウマが甦るも何とか押し留めた。
だって、コイツには何度も噛み殺されそうになった事が。
師匠と初めて会った頃、修行と称してコイツに追い回された経験がある。コイツ……師匠の使い魔で、通称《ビースト》。漆黒の身体に、凶悪なフォルム……牙が、特にヤバイ。
例えるなら、DVDとなったファイナルファンタジーⅦで敵の補佐として出てきていた影の獣みたいだ。
因みに、その事を師匠に聞いてみたけど例によって知らなかった。そうか、アレとは全くモノで創ったんだな。
その獣が二匹、俺を挟む形で『お座り』をしている。
背後を見上げれば、たくさんの魔法陣が展開されてそこから人形の使い魔さん達が召喚される所だった。
「…………これは、壮観だな……」
「……ソウ、カン……?」
「ソ、ウカ、ン?」
いきなり返事があってビビったけど、獣は俺の言葉を復唱している様だ。もしかすると、意味がわからないのかもしれない。
「……凄いって事さ」
「……スゴイ?」
「スゴイ?」
今一、知能が発達していないのか周囲の獣達にまで伝播し始める。見た目と違って、中身は幼子みたいで癒された。
「神崎、来たわよ!」
翼に呼ばれて、視線を戻せば町の奥の方から武装した集団が集まって来ていた。俺達は、近付いてくる『敵』を認識しつつ、地面に突き立てていた武器を手にする。
そして、『敵』が間合いに入った所で瞬動術を使い一気に間合いを詰めてまず正面の『敵』を斬り捨てた。ステップを踏んで、ついでの返しの刃で右方向にいる『敵』の首を取りに行く。薄皮一枚残ったけど、問題ないと判断して次の相手を屠って行くのだが。まあ、能力値が高いってのは剣を交えてみれば理解できるんだよ!?
でも、能力値に対して相手の技量と経験による反応がチグハグ過ぎて、手が届きそうで届かない程度のモノに収まっていた。それに、攻撃手段も手緩い感じがする。
何て言うか、手加減とかではなく……自分達が、痛い思いをしたくないからっていう感情が、今一剣に力を乗せきれていないっていうか……自分さえ良ければそれで良し、という自己中な思いが態度から滲み出ていてウザい。
相手を、ここまで不快にさせる戦い方があるんだ……と逆に感心させられる。まあ、そういうお馬鹿さんにはちょっとやそっとでは死ねない方法でご退場願っているけど。
両腕を斬り落とし、下半身を拳で粉砕するって方法(笑)。
確か、細胞がグチャグチャになる程、痛みが増すって何処かで聞いた覚えがあったので、そうなる様に拳で粉砕する方法を取った訳だけど……これでOKだよね?
そこやかしこで、悲鳴やのたうち回る馬鹿の呻きが上がっている。見れば、何人かがリメインライトへと変化していた。しばらくして、転生者の数が減り始める。
どうやら、師匠の結界が上手く機能してくれているらしい。お陰で、こっちは楽でありがたいが……と師匠の手腕に感謝しつつ、少し気になったので視線を空へと向けると……テオルグさん達が、無双している姿が確認できた。
転生者vs歴戦の《神殺し》の使い魔……当然だけど、チートツールでレベルを上げただけの強化兵では手も足も出ないらしい。ほぼ瞬殺で、リメインライト化させられていた。
ピナ、双夜に拉致られる(笑)。
もっと、電撃的に殺れば良かったと思ったけど……アチラと時期を同調させたかったので時間を取ってます(笑)(笑)
とりあえず、原作組、リズ、シリカ、クライン、エギルを登場。本当は、リズとシリカで攻める予定が……二人だけじゃあ、誘導キツいかなぁって事でエギルとクラインを追加。
本当にサポート役にw モフモフは、ピナが担当。
こっちは、原作組を採用w
UAが、10万越え。おおぉ……スゲー!!
何て言うか……☆祝☆!!!!!って感じだ!!
超ありがとうございます!!!
2017/4/24。矛盾点を修正。この世界に、現在『痛み』はありません。
誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m
感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。
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