絶望を払う者~狂気の神々vs愉快で〇〇な仲間達~   作:葉月華杏

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一五四話#

???

 

 

 

 

 

 

それは、思わぬ所からの攻撃だった。

 

 

 

 

 

ーーーザシュッ!!

 

 

 

 

 

「ーーーーー」

 

 

 

背後から、とても強い衝撃があり……身体が軽い彼女は、何歩かよろけてしまう程の衝撃だった。

それと同時に、彼女は誰かの声を聞いた気がする。

 

 

 

ーーー何故?

 

 

 

だけど、襲ってきた激痛と違和感に下を見下ろせば……己の胸から鉄の刃が突き出ていた。

即死では無かったけれど、それは誰が見ても致命傷だ。

それを認識した瞬間、背中から胸にかけて絶望的な激痛が彼女の全身に駆け巡る。

 

 

 

ーーーどうして?

 

 

 

身体から力が抜けて、彼女は地面に膝を付いた。

そして、彼女は咳き込むように込み上げてきた血を吐き出す。

 

 

 

ーーー私、何か悪い事した?

 

 

 

という疑問が、頭に浮かんで来るが……それ以上に、痛みで頭が真っ白になって行く。

それでも、原因を考える。

 

 

 

ーーーどうして?

 

 

 

ゆっくりと、でも急速に失われる熱に彼女は倒れてしまった。

突き刺さった刃はそのままに、彼女は薄れていく意識の中で考える。

 

 

 

ーーー何で?

 

 

 

ふと、さっきまで手に持っていた赤い宝石が目の前に転がってくる。

それに、手を伸ばそうとして……ピクリとも動けなかった。

何故か、視界が歪んで滲んだ。

悔しさからか、悲しさからか涙が溢れて来たんだ。

 

 

 

ーーー嫌だ

 

 

 

どれだけ、考えても……どれだけ、思い出そうとしても……瞬きにも届かない、刹那の思考で。

思い起こされるのは、今まで辿ってきた自分の過ごした日々。

 

 

 

ーーー私は……

 

 

 

楽しかった事。

 

悲しかった事。

 

寂しかった事。

 

嬉しかった事。

 

 

 

ーーーまだ……

 

 

 

いっぱい、あった。

 

 

 

だからーー

 

 

 

ーーー死に、たく……な…………ーーー

 

 

 

だが、その願いは届かなかった。

瞳から光が消えて、彼女の意思が消えていく。

どうしたって、何をしたって彼女の傷は治らない。

ドンドン、命が溢れて行って

 

 

 

 

 

ーーー彼女、高町なのはは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……死亡したーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、『主人公』を失った物語(世界)は歪み大きく未来を変えていく。変化する未来は、誰もが望まぬ結果を導き……転生者が、『主人公』の代わりを担うが正規の物語の様には進まず、心へし折れて無力感のままに去っていく。

『自分は、主人公ではなかった』……と。

誰もが、高町なのはの代わりを勤めようとして失敗していった。その結果は、無惨なモノとなる。

 

 

 

第一期、無印。

 

プレシア・テスタロッサとアリシア・テスタロッサ。

大規模次元断層を引き起こし、数多の次元世界を巻き込んで虚数空間の闇に消えて行った。

フェイト・テスタロッサは、別行動中の出来事だった為に帰る場所を失いさ迷っている所をジェイル・スカリエッティに回収される。

辛うじて、地球は『それ』に巻き込まれる事なく存続。

物語は、次の舞台へとバトンタッチした。

 

 

 

第二期、A's。

 

闇の書。一期の虚数空間への巻き添え落ちは、回避したものの物語と同じく6日4日に起動。

原作通り、ヴォルケンリッターと主・はやての共同生活が開始。数ヵ月後、やはり原作通りはやての死に至る病の原因が闇の書だとわかる。

多くの、魔導師を犠牲にして闇の書は完成。

ギル・グレアムを含む、局員混成部隊によって八神はやて諸とも凍結封印を実行。

しかし、封印失敗にて地球消滅。

ギル・グレアム達も、多大な被害を管理局に与えた上で失脚。管理局法違反容疑により拘置所に収容。

八神はやて、闇の書に取り込まれて行方不明。

 

 

 

第三期、StrikerS。

 

10年後。次元は、ミッドチルダ。

ジェイル・スカリエッティ達が、地上管理局を撃破。

聖王のゆりかごが、軌道上に到達し主砲をミッドチルダに叩き込んだ。第一世界各地では、トレディア・グラーゼ率いるマリアージュの爆弾兵士が闊歩し。

大元のロストロギア、「冥王」イクスヴェリアを守護するのはトレディア・グラーゼの娘ルネッサ・マグナスだ。

それと同時に、原作人物の大半を失った『我こそが主人公だ!!』を主張する【凌辱系転生者】達がブチギレて時空管理局本局を襲撃。リンカーコアを封じられた魔導師に成す術はなく、あっという間に制圧され全滅した。

更には、本局が沈んだのを良いことに各地の局施設が襲撃されて極悪犯罪者達が世に放たれてしまう。

結果、テロや抗争が勃発し……古代ベルカ以上の乱戦と化した数多の世界は数年で廃退して行き……数多の世界は、犯罪者の楽園と変化していく。

もはや、強い者が覇権を握り弱い者は蹂躙される世界へ。

これが、高町なのはという『主人公』を失った世界の末路だった。いや、『原作人物』を失ったと言うべきか……。

 

 

 

スバル・ナカジマとギンガ・ナカジマは、空港火災にて瓦礫等の下敷きになって死亡。

キャロ・ル・ルシエは、保護された施設にて軟禁状態で心神喪失。

エリオ・モンディアルは【転生者】の本局襲撃時に死亡。

 

 

 

 

 

 

 

「クレイジーですね……」

 

「パラダイスだな……」

 

「あの……二人共、怖いですよ?」

 

そんな世界に、ヒョッコリ現れたのは言うまでもなく《神殺し》の二人と+α。SAOモドキ世界で、のんびりマッタリ遊んでいた彼等はほぼ強制的に召喚された。

 

「まさか、強制召喚とか……」

 

「超ウケるんですけど……」

 

目の前に広がるのは、砂漠と化した荒野。

そこを、解き放たれた犯罪者達がバイク等に乗って爆走している。その光景はまさに、世紀末覇者!!(笑)

しかし、覇者だけがいないという無法地帯と化していた。

 

「終わってますね……」

 

「狩って、かつあげするか?」

 

世紀末無法共を、『狩ろう』と提案する師匠がニヤニヤと暴走する彼等を見ている。それに気が付いた神崎は、厄介な人に目を付けられたなぁ……と嘆いた。

とは言え、そんな事をする為に召喚された訳ではないので、二人と+αは一旦その場から離れて通信を開く。

通信先は当然、SAOモドキ世界にいる翼達である。

強制召喚される前、双夜達は世界樹の上にある妖精王の城でアインクラッドに通じる転送法陣を探していた。

転送法陣は、直ぐには見付からなかったが……偶々、翼が見付け散策していた空中庭園で発見される。

しかし、その転送法陣は何者かによって封印されていた。

きっと、妖精王(須郷?)の仕業だろうと神崎が、憶測とアインクラッドを創造した人物の話を踏まえて説明。

封印については、良くわからない術式が組まれていたので、双夜の《ルール・ブレイカー》によって破壊された。

すると、唐突に双夜達の目の前にウィンドウが開き、『限界高度及び、非行限界時間の撤廃』という告知が表示される。まさか、転送法陣の封印と一緒にそんなモノまで封印されているなんてちょっと驚きだった。

直ぐ様、各地の人々にそれ等を伝え双夜達は目的地であるアインクラッドへと転移したーー所で、強制召喚された訳だ。だから、残された翼達がとても混乱した事は間違いない。それ故、双夜が守護役に連絡を繋げた所ですずかに酷く心配された事は仕方がなかった。

 

『本当の本当に大丈夫なんだね!?』

 

「うん。大丈夫。大丈夫!ごめんね?すじゅかママ……」

 

『じゃあ、そのままそっちの世界を改変するのね?』

 

「ああ、解決しなきゃ解放はされないだろう?」

 

『じゃあ、私達は当初の予定通り情報収集に徹するわ』

 

「ああ。頼む、こっちを終わらせたら直ぐに戻るから……」

 

という感じで、今後の予定をサクッと立てて双夜達はそれぞれの役目に就く。翼達はそのまま、アインクラッド内で情報収集を……双夜達は、【リリなの】の世界を何とかする為に行動を開始する。

 

「それでは……地球にでも、行ってみるか?」

 

「在れば良いですね……」

 

「だよな!」

 

それだけ言って、彼等は次元転移を実行。

そして、宇宙空間に放り出された。

 

「はい、ありませんでした!!」

 

「ねぇなぁ……」

 

「じゃ、一期か二期まで行きましょう!」

 

「チッ!ロリコンめ……」

 

「ちょ、そういう訳じゃーー」

 

神崎が、全てを言い切る前に双夜が彼の顔を掴み、時間転移を実行した。最近では、使い魔を放つより地球が在るか無いかを確認する方法を双夜は取っている。

地球が在ったとしても、その内情を調べればある程度は状況がわかるのだから楽で良い。因みに、【楽】っていうのは……【楽】イコール『魔力消費削減』という意味で。

 

 

 

 

 

「ーーーーー」

 

「ーーーーー」

 

そして、時間転移先で行われた踏み台転生者の凶行に彼等は絶句する。高町なのはを、背後から投擲した剣で突き刺す【転生者(バカ)】。ノーコンもノーコン。

キング・オブ・ノーコンである。

暗がりで、良く顔は見えないけど金髪である事は遠目にもわかる。目立つ髪の毛のクズは、良くわからない事を喚きながら高町なのはとは反対方向に逃げ出した。

 

「神崎!」

 

「了解!」

 

咄嗟の判断で、双夜が神崎に声を掛け……続く言葉を理解した彼は持てる技術を駆使して逃げた金髪を追い掛ける。

双夜とユーリは、ジュエルシードと高町なのはの元へ駆け付けた。

だが、パッと見ただけで手遅れだとわかるレベルの致命傷。背中から、胸を貫いた剣は消えたみたいだけど……そこから、溢れる血がもうどうにもならない事を告げていた。

 

「ユーリは、ジュエルシードの封印を!」

 

「はい!!」

 

暴走する、ジュエルシードへ向かって行ったユーリを見送って、双夜は目の前に有る現実と向き合う。

 

「クラールヴィント」

《Ja……》

 

クラールヴィントにお願いして、消えてしまっていた封時結界を展開する。周囲を見回せば、本来の姿に戻った少年……ユーノ・スクライアが倒れている。

理由は、不明。確認すれば、ユーノ・スクライアは気絶しているだけだった。

 

「……………………」

 

視線を既に、事切れている高町なのはに戻して苦い顔をする双夜。どう頑張っても、これはどうにもなりそうにない。どんな解釈をしても、完全に死に絶えていらっしゃる。

 

「…………これ、時間転移じゃあ救えないよなぁ……」

 

事細かに設定し、時間を転移しても誤差は出る。

時間転移には、様々な不確定要素が絡むので設定した時間に転移する事はまず出来ない。故に、魔力の無駄になる。

それに……ぶっちゃけ、この状況を引っくり返すのは簡単だ。『蘇生魔法』を使って、高町なのはを蘇生してしまえば問題は無くなる。真夜中だった事もあり、しかも封時結界で目撃者もいないからヤろうと思えばヤれるだろう。

近くに倒れている、ユーノ・スクライアには蘇生中に起きられる訳にも行かないので睡眠魔法で深い眠りへと誘う。

これで、準備は整った。

高町なのはの隣に座り、細胞活性化魔法と蘇生魔法を展開する。問題となる魂は……未だ、体内に残留している様なのでそのまま使用。

まず、肉体の破損部分を修復。

胸に開いた穴を塞いで行く。ついでに、破損したと思われる背骨と鋭い刃によって傷付けられた臓器の再生を実行。

失われた血液は、造血魔法薬を使う事で出血性ショック死を回避。肉体と魂を、精神という名の鎖で繋ぐ。

 

「師匠、連れて来ました!」

 

タイミング良く、ズタボロになった金髪転生者を引き摺って来た神崎が声を掛ける。双夜が、振り返れば嫌悪感MAXな顔をした神崎が雑な扱いをした転生者を投げ捨てた。

双夜は、何も言わず蘇生を続ける。

 

「お待たせしました。ジュエルシード、封印完了です!」

 

更に、ジュエルシードの封印を終わらせたユーリが戻って来た。見せられたジュエルシードに対し、双夜は視線を向けるだけで更なる封印を施す。帯状の魔法陣が、三帯出現しジュエルシードを取り囲むと高速回転を始め、締め付ける様にジュエルシードを封印する。

 

「お疲れ様……ユーリ……」

 

「はい!」

 

「こっちも、後少しだから……ちょっと待ってね?」

 

「結構、時間掛かってますね……」

 

「後遺症を残す訳には行かないからね。背骨に臓器に筋肉に……致命傷レベルの傷だよ?なら、しっかり治療しておかないと……」

 

「「なるほど……」」

 

それでなくても、高町なのはは頑張り屋さんだ。

管理局に関わる様になれば、過労は必至。

撃沈は、免れない。なら、ちょこっと細工を……と考えるのも仕方がないというもの。

 

「全体的に、筋力が低い……しかし、手を加える訳にも行かないしなぁ……これは、頑張って本人に強化して貰う以外に方法はないか……」

 

「それは、仕方がないですよ。高町なのはは、見た目通りの女の子なんですから……これで、戦えるとしたら戦闘民族高町家ェ……って、話になります。魔王怖ェ……」

 

「……まあ、今後の課題だろうな……」

 

二人で、大きな溜め息を吐き高町なのはに視線を向ける。

 

「…………よし。これで、問題はないだろう」

 

「あ。結界はまだ、解かないで下さいね?リアルでは、警察が現場検証しているはずですから……」

 

「なら、転移魔法で近くの公園にでも行くさ……」

 

そう言って、双夜はチェーンバインドを其々の関係者に巻き付けるとフレールくんが探し出した公園へと転移する。

そして、高町なのはをベンチに寝かせるとレイジングハートをその胸に置いて、ついでにユーノ・スクライアをベンチにもたれ掛かる様に寝かせた。

 

「これは、オマケだよ?」

 

そう言って、双夜がユーノ・スクライアに手を翳すとユーノ・スクライアの顔色が良くなって行く。

 

「師匠、何やったんですか?」

 

「魔力不和を治した」

 

「大丈夫なんですか?」

 

「問題はないだろう?」

 

「え……っと…………」

 

微妙な顔をした神崎だったが、続く言葉を飲み込んで大きな溜め息を吐く。どうやら、諦めてしまった様だ。

 

「さて、それじゃあ僕達の使命を果たそうか……」

 

彼女達が、問題ないと判断した双夜は気絶している金髪の転生者に邪悪な笑顔を向ける。ただし、目が全く笑っていない。目の前で、高町なのは(ママ)を殺したクズに彼はきっと加減すらなく潰すだろう。

その場から、クズを拾って彼等は転移する。

残されたのは、原作人物達とキラーン✨と光るレイジングハートのみ。

 

 

 

「…………ん、んん…………ソ…………ニャ……」

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

…………………………

 

 

 

…………。

 

 

 

デバイスを脅して聞き出した金髪転生者の家で、双夜達はクズが目覚めるのを今か今かと待っていた。

翌朝、金髪転生者が目覚め双夜達を見て騒ぎ出すが瞬殺されて黙り込んでしまう。その様子を見ていた神崎は、首を傾げながら双夜に訊ねた。

 

「コイツ、俺じゃないんじゃないですか?」

 

「いんや……君自身だよ?まだ、認識阻害が掛かったままで記憶処理されてるみたいだけど……平行世界の君が居て、僕がいるんだから直ぐに理解出来る様になるよ……」

 

双夜が居て平行世界の同一存在が居れば、当然同一の魂を持つ者は引かれ合い知識の共有が出来るはずだ。

それは、浅上兄妹で証明されているので後は時間さえ経てば、部屋の真ん中で怯えている幼い神崎も大きい神崎と同じ思考と知識を得られると思われる。

 

「じゃ、認識阻害を外した方が良いんじゃないですか?」

 

「えー?あった方が、面白そうじゃん!」

 

「ちょ、俺の半身で遊ばないで下さいよ!!」

 

「半身ではないよ?そこにいるのは、インスタント・ソウル。君の流出データから復元された【複製体】であって、半身なんて呼べるモノではないよ?」

 

「わかってますが……それでも、見た目がそのまんまなんで俺自身が虐められているみたいに感じるんです!」

 

「な、何なんだよ、お前等!こ、ここは、俺ん家何だぞ!?で、出て行けよ!」

 

「「あ゛?」」

 

「ヒッ!?」

 

ほぼ、無理矢理家に上がり込み情け容赦なく我が儘したい放題をしていた二人は、家の所有者に文句を言われても問答無用だった。正気に戻った神崎(幼)?が、色々と盛り上がっていた二人を咎めてもギロリと睨み付けて黙らせる。

小さな悲鳴を上げて、神崎(幼)?はまたへたり込んでグスッグスッと泣き始めた。

 

「何、泣いてんだよ……人殺し!」

 

「高町なのはに、お前が何をしたのか覚えてるか?」

 

「背後から、投擲した剣で高町なのはを貫いて殺したんだろう?殺人者!」

 

「ち、違う!お、俺は、そんなつもりは……」

 

「でも、殺しちゃったんだよな?お前が、その手で!」

 

「……………………」

 

「おや。黙りかい?なら、思い出させてやるよ(笑)」

 

そう言って、双夜はウィンドを開き神崎(幼)?が行った凶行を再生する。それは、フレールくん達がこの世界に降り立った際、記録用に録画していた画像。

本来なら、アカシックレコードから抽出する方法を取るのだが……今回は、フレールくん達のお手柄で彼の凶行が記録されていた。それを見た、神崎(幼)?はビクッ!と震えた後、完全に押し黙ってしまう。

まるで、その罪から逃れようとする犯罪者の様に。

 

「ほぉらぁ~。証拠が在る以上、言い逃れは出来ないよ?」

 

「うぐっ……何でだよ!俺が、主人公のはずだろう!?主人公なら、主人公補正があるじゃん!なんで、思い通りにならないんだよぉっ!!」

 

「そりゃ、この世界が【魔法少女】の世界だからだろう?」

 

「はぁ!?俺が、転生したんだ!なら、俺が主人公のはずだ!!何が、魔法少女の世界なんだよっ!!?」

 

ハチャメチャな理論を喚くクズ。

自分が、主人公だと信じて疑わないクズは神崎(大人)と口論を始めてしまった。それも、論破される事が決定付けられた口論だ。

 

「なら、この世界の題名を言ってみろ!」

 

「ああ!?【リリなの】だよ!!」

 

「略すな!正式な題名を言ってみやがれ!!」

 

「正式って……【魔法少女リリカルなのは】だろう!?」

 

「だから、【魔法少女】の世界だろうが!?」

 

「そうだよ!……魔法、少女?…………って、え?」

 

神崎(大人)が告げる意味を、正しく理解した神崎(幼)?は、力が抜けたのかガクッと膝を突き両手を床に落とし……所謂、『orz』の状態に(笑)。

 

「わかったか?この世界は、魔法『少女』が主人公の世界なんだよ!だから、男であるお前が主人公であるはずが無いんだ!!」

 

「ーーーーーーーーーーマジ?」

 

「マジで!!」

 

すがる様に顔だけ上げた彼は、再度問うが神崎(大人)はバッサリと斬り捨てた。

 

「じゃ、じゃあ!攻略したアリサやすずかは……」

 

《ニコポ・ナデポ》=【恋愛系認識阻害】を持ったまま、現実を理解した神崎(幼)?は『恋愛』について問う。

 

「攻略してないよ?」

 

「それって、《ニコポ・ナデポ》に付随する認識阻害によるモノだろう?まるで、思い通りに行ってるかの様に見えるだけ…………そう。『見えるだけ』!!」

 

神崎(大人)は、大事な事なので二度断言する。

 

「恋愛系認識阻害……攻略出来ている様に見えるだけ!!」

 

「ーーーーーそ、んなぁ……」

 

「冷静になれば、わかるモノなのにねぇ……まあ、かく言う俺もわからなかったけど……このお方に会うまでは……」

 

「…………この餓鬼は、いったガッ!?」

 

神崎(幼)?が、双夜を『餓鬼』と言った瞬間、神崎(大人)が幼い自分に鉄拳を落とした。

 

「口を慎め!このお方は、我等の『師匠』だぞ!?」

 

「し、師匠!?」

 

「そうだ!俺を、『リアル・ラカン』と呼ばれる程に強化したお方だ。今なら、この鉄拳一つで魔王にすら勝てる!」

 

「っ!?あ、あの、ピンクのま、『魔王』にすらっ!?」

 

「ウム。一撃だ!!」

 

「ば、バカな……それが本当なら、正に『リアル・ラカン』っ!!だ、だが、俺達はギルガメッシュだぞ!?『リアル・ラカン』になんて、なれるのか!?」

 

「フッ。甘いな……それは、お前が慢心しているからに他ならないっ!鍛えれば、最高スペックなんだぞ!?」

 

「ーーーがーんっっっ!た、確かにっ!!」

 

幼いが故に判りにくいが、生まれた瞬間から英霊ギルガメッシュレベルの肉体を得ているのだから、それを鍛えて大成させればかなりのスペックになるはずだ。

それに、今更ながら気付かされた神崎(幼)?は大きなショックを受けたかの様に身体を大きく後ろへと反らした。

 

「生まれるまでが、『ギルガメッシュ』!だが、生まれた後は本人次第でリアル・ラカンにだってなれるんだ!!」

 

「…………ガk……いや、師匠!俺を鍛えて下さいっ!!」

 

「え?嫌だよ?」

 

「『なんでさっ!?』」

 

「神崎(大人)だけで、手一杯だもん……」(嘘)

 

「…………神崎?……え?……フルネームは?」

 

「神崎大悟だ。神様の『神』に長崎の『崎』。大きいの『大』に悟るの『悟』で、神崎大悟な?お前は?」

 

「俺も、『神崎大悟』だ……まさか、同姓同名!?」

 

「あー……それなんだけどーーー」

 

自己紹介が終わった所で、神崎(大人)は神崎(幼)にザクッと大雑把に説明をする。途中、肯定否定の押し問答があったけれど、概ね神崎(幼)に神崎(大人)は世界の【理】に近い事を教え込むのだった。

 

 

……………………。

 

 

「…………マジかぁ!!」

 

「マジだ!生前の俺は、死んでないだろうし……俺は、インスタント・ソウルだし……多分、お前も……な?」

 

「オリジナルは、未だ死んでない!?……マジかぁ……」

 

二人の『神崎』は、大きな溜め息と共に『マジかぁ』の言葉を吐き出し嘆く。それを横目で眺めつつ、双夜は散らかり放題の部屋を片付け始めていた。

 

「おい。お前等も手伝え!」

 

「「あ、はい!」」

 

そうして、様々な裏話をしつつ各部屋の掃除を終わらせた双夜達は部屋割りを決める。部屋割りを決めた所で、神崎(幼)から苦情が告げられた。

 

「ってぇ!出てけぇ~~!!」

 

「「だが、断る!!」」

 

「ちょ……ここは、俺ん家だって言ってんだろ!?」

 

「別に良いじゃないか。部屋は、余ってるんだろう?」

 

「男を住まわせる気はないっ!!」

 

「ははは。残念だが、《ニコポ・ナデポ》を持っている限り、お前がハーレムを築き上げる事は出来ない!!」

 

「な、なんだってェ!?」

 

「つまり、部屋は一生余ったままだ!!」

 

「つーか、ミッドチルダに移ったら……この家売る事になるんだぞ?ぶっちゃけ、拠点以外の意味はない!!」

 

「ああっ!?」

 

神崎(幼)は、あんまりな現実に頭を抱えて床に沈んでしまった。だが、二人の言う事は最もなので反論すら出来ない神崎(幼)。しかも、地球に残るのかミッドチルダに移住するのかで攻略対象も変化するという罠もあり、神崎(幼)は最終的に選ばなかった方から刺される可能性があった。

 

「……oh…………」

 

「非殺傷設定でないスターライトブレイカーを受けるか……包丁で刺されるか……どっちかだよね!」

 

「いやいや、スターライトブレイカーだけではなくトリプルブレイカーで蒸発させられるか、吸血されて刺されるかでは?」

 

「何れにしろ、君に明るい未来は無いんじゃないかな?」

 

「……………………(泣)」

 

神崎(幼)は、残酷な選択肢を持ち出す二人に苛められてorzの状態で号泣する。だがしかし、彼等の苛めはまだ始まったばかり。これから、ドンドン加速的に激しくなって行くのだが彼……神崎(幼)は耐えられるのだろうか?

 

「もう嫌だッ!誰か、助けてぇ~~っ!!」

 

「「逃がす訳、ねぇだろう?」」

 

 

 

 

 

 

 

 




さあ、始まりました。新しい世界の幕開けです!!
そして、いきなり高町なのはが死亡しました!何でだ!?と思った貴方!何でだと思いますか?クックックッ、悩むと良い。それに今回は、インスタント・ソウルで神崎(幼)……パシリ君も出現して楽しくなりそうですよね!
神崎(大人)、壮大なブーメランをやってますが気にしないで上げてください(笑)。気が付いた時の絶望が大きくなるように!!フフフ……弄られ役が二人になりました(笑)。
これはもう、溜まりに溜まったストレスをタップリ発散する場面ですよね!!最初から、ユーリが外にいるのはストレス発散の為。その内、本気で暴走となりそうなので押し問答はカットしてユーリは自由人として放し飼いに。
今度こそ、ユーリVSU-Dを実現させて見せます!!

誤字・方言あれば報告をお願いします。
m(_ _)m

感想もあれば、お願いします!
いつも読んでくれる方々に感謝を……。
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